ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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三百四十話の続編です。


第三百五十三話「海戦と状況と特訓 2」

――ゲッターエンペラーは地球の守護という大前提で行動を起こしており、地球を滅ぼそうとした者は星系諸共の全滅も辞さない。ウィンダミアはワルキューレの必死の行動で民族の滅亡は免れたが、国としては存続が不可能(王統が途絶える)に陥り、自然な形で終焉を迎えた。地球市民の虐殺による独立を視野に入れていたシリウス星系に至っては、独立派が集まっていた副首都星の一つがゲッターエンペラーによって『物理的に握り潰される』という痛ましい結果を生み、結果的に独立志向を放棄したので、それよりはマシな結果であった。ゲッターエンペラーの地球の守護という絶対的な意志は移民星の独立の意志を挫いたと言っていいが、結果的に、その生き残りの科学者一族の怨恨が銀河100年戦争の『セイレーン連邦』を生み出す一つのきっかけとなり、彼らは波動エンジンを上回る『モノポールエンジン』を生みだし、緒戦を優位に進めたが、波動エンジンとモノポールエンジンのハイブリッドである『波動モノポールエンジン』の発明で優位性を失い、おとめ座銀河団の伝説であった『ワルキューレの炎』を『第十八代宇宙戦艦YAMATO』が用いたことで、セイレーン連邦は一夜にして滅亡。以後はイルミダスやマゾーンの台頭まで、地球の停滞期が続いたという。ハーロックはこの二度目の停滞期で根付いた『怠惰と堕落』を消し去るために歴史の改変を働き、23世紀に『本来はそれよりも後で実用化される次世代技術』を提供した。ガンダムX関連の技術はその恩恵で実用化に成功した――

 

 

 

 

 

 

 

 

――ナリタタイシンがライスシャワーに投与した治療用ナノマシンはその技術による物で、23世紀製よりも重度な損傷への効果が高い。そのため、予想以上にライスシャワーの予後は良好であった。だが、精神的ショックからか、意識は回復していない。ライスシャワーのトレーナーはショックで塞ぎ込んでしまい、休職。タイシンのトレーナーが事実上、彼の担当ウマ娘の指導を兼任している。タイシンはあまりのショックで塞ぎ込むミホノブルボンを心配し、しばらく面倒を見ることにした。彼女のトレーナーは彼一流のトレーニング理論も持つ敏腕トレーナーだが、メンタル管理は苦手らしいのか、ブルボンに見えない『プレッシャー』をかけてしまい、結果的に、ブルボンはライスシャワーに菊花賞を持っていかれ、激しいトレーニングの代償に、足を負傷する事態になった。タイシンはライスシャワーの一件で塞ぎ込む彼女に手を差し伸べ、結果として面倒を見ることになった。ルドルフはその事の報告を受けており、会長としての最後の仕事として、タイシンにある指令を発した。その指令とは――?

 

 

 

 

 

 

 

――1949年までに連合軍内部の軍規粛正が激しくなされた結果、カールスラント、オラーシャ帝国、ガリア共和国は連合軍に殆ど影響力を持たなくなり、日本連邦、キングス・ユニオン、自由リベリオンの三カ国が連合軍の主流を占めるようになり、事実上はその三カ国が国際的に動くための大義名分となった。また、カールスラント軍から有能な人材の多くが流出し、日本連邦に与する事態となったことは、ドイツの言いなりな政府に見切りをつけた軍人が多かったかの証明であった。ドイツ政府が東ドイツ相当の地域の出身者、あるいは史実で東ドイツで職についた者を冷遇しようと画策していた文章が流出してしまい、内乱へ発展。ドイツの言いなりな政権は倒れ、ノイエ・カールスラントの国土は荒廃した。NATOの軍政がしばらく継続したのは、カールスラントの統治機構が完全に機能不全となっていた事、国民が君主制の継続を望む一方で、統治機構の近代化を望んでいたためであった。ドイツのような民主共和制に移行しなかったのは、ガリアで民主共和制の負の側面が凝縮された混乱があり、組織だっての疎開に失敗したのを見てきたからで、立憲君主制への移行は妥協策であったが、現地の混乱の恒久化を避けたいNATOとしても、妥協的に容認した。つまるところ、カールスラントの政治・軍事的な影響力は1949年には潰えたと言っていい状況であった。逆に、お互いの共存共栄に切り替えた日本連邦は扶桑の軍事力を近代化する事で、労せずに膨大な新規の市場と莫大な人的資源を手に入れた。経済の再活性化も扶桑という巨大な市場を手にした事で成り、国家としての中興に足を踏み入れ始めた。これを妨害しようとする国は元・西側諸国の国々にも多く、結果的には、ウィッチ世界の1950年代の国家間紛争の要因はこの政治工作にあった――

 

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑軍の軍事力は既に他国とは質的に隔絶しており、超音速飛行可能な戦闘機、それらを洋上で運用可能な巨大空母、如何な攻撃も寄せ付けない鉄壁の防御と世界最強の火力を兼ね備える戦艦を有するため、賢明な国は敵対を諦めていく。特に、ダイ・アナザー・デイの超物量すら跳ね返した64Fの武勇は、往時のエース部隊『JG52の名声』をかき消すほどであった。これはロシアが『JG52は組織だっての戦績粉飾をしている』という中傷を流したのをきっかけに、ドイツがそれを利用する形でエースたちを『辱めた』のがきっかけで、七勇士の部隊に属する事で名誉回復を図りたい思惑があっての事だが、同国のエースの過半数が日本連邦の義勇兵に転じる理由となった。つまり、ドイツはやりすぎたわけで、後出しで政策の軌道修正を図ろうとしたが、その頃にはカールスラントへ口出しできなくなっていた――

 

 

 

 

 

 

 

――1949年になると、統合戦闘航空団も体制が凍結され、64Fに統合されて久しいため、半ばカールスラント優位の過去を表す用語と化していた。これを憂いる士官は多かったが、当時は扶桑、リベリオンの両大国が全面戦争中であり、軍司令部の方針に異議を唱えられる者はいなかった。また、軍の中核を担うべき『中堅世代のウィッチ』がサボタージュした事で、ウィッチそのものの政治的立場が悪化していた時勢であった。多くの新規ウィッチは『戦争に加わる心配のない』MATに入隊していき、軍に自分から入るのは少数派になっている。故に、既存の人材の活用に血道を上げる様になった。Gウィッチたちがダイ・アナザー・デイ以降に『連合軍の英雄』と扱われたのは、現役ウィッチたちの『20代以降のウィッチ出身者への不遜な態度』が問題になり、大国間の外交問題になりかけた事の反省も兼ねての施策でもあった。カールスラント系の軍人は実力主義者が多かったので、自分達の言動で、祖国と扶桑との間で外交問題に発展しかけたのは予想外であり、多くの有力軍人が釈明に追われた。ルーデルはガランドの指令で、後輩達を会見で慰める役目を全うした。自分達は『実力を図る』目的で煽ったりしていたのに、差別主義者のレッテルを貼られかけていることに衝撃を受ける将校が多かったからだ。この一連の騒動で、カールスラントの撃墜王たちの威光は地に落ちたも同然と扱われたが、その内の上位の者達については、多くがGウィッチ/Rウィッチ/Fウィッチとしてダイ・アナザー・デイで奮戦した事で権威を保った。その者達がG機関の幹部として君臨した事、彼女らが1960年代以降にカールスラント空軍の要職を順番に歴任することが皇帝に確約されていることもあり、G機関は『現代的な意味の元帥府』という渾名がつけられていた――

 

 

 

 

――その一方で、ドイツの過剰な施策方針で社会的エリートの立場だけでなく、皇室を守るというやりがいすら奪われた皇室親衛隊の隊員の多くが自暴自棄に陥り、テロリストに堕ちていったという負の影響は極大であった。21世紀世界の日本を狙ったテロでも暗躍しており、ススキヶ原へは彼らの持ち出した機材が空襲をしかけ、64Fがそれを阻止する事態にまで発展しており、ススキヶ原自警団が航空兵器運用能力を持つに至っている。これを受けたNATOは緊急で会合。『カールスラントの皇室親衛隊の儀仗・皇室の警備部隊』としての維持を認める施策を妥協的に採択した。日本で実害が生じたことで、自分達が白眼視される傾向が強まる事を恐れたカールスラント政府関係者の強い要請によるもので、『社会的・金銭的な損害の補償、退役後に平和に暮らす権利の保証をする』事で、皇室親衛隊の隊員がゴロツキならまだいいほうだが、テロリストに堕ちる事は『恥』である。テロリスト化をこれ以上起こさせないためにも、行き場の確保と安息の地の確保は必須であった。だが、それが採択された頃には、全軍の復員した将兵の4割弱が組織の甘言に乗せられ、組織の尖兵と化していた。扶桑はそれらがリベリオン本国に与するばかりか、21世紀世界にも魔手を伸ばす結果となったことでカールスラントに苦言を呈している。また、21世紀日本は23世紀に無人機が非人道兵器扱いされていることに大きく落胆し、少数精鋭の兵器の研究を始める。(人型ロボットの軍事利用の研究の始まり)また、戦闘機と戦車の国産化の研究を縮小・廃止しようとする試みが未来で失敗する事を知ってしまい、結局は機動戦闘車も縮小させようと試みた財務省の試みは恥を晒すことに繋がったわけだ。そのため、扶桑に軍需品を開発させ、自分達が使うという手法が2020年代に開始され、統合戦争の時代まで続き、23世紀の『再発見』で再開される。統合戦争の敗戦国はこの『不都合な真実』で地球連邦での立場が危うくなったため、ジオン残党を裏で幇助する。それがオールズモビルのテロ活動が盛んになった理由である。その鬱憤をガンダムファイトに注ぎ込めば良いのに、だ。結果として、旧国家時代の遺恨がティターンズ系派閥を生き残らせていたのも事実である。(ただし、当代の主要国家コロニーの代表がシャッフル同盟になったという点で名誉は得ている。東方不敗の世代のシャッフル同盟が『大義のために個人におけるすべての欲を捨て去った』がために結束が崩壊した事の教訓として、ドモン・カッシュらの世代は前世代を反面教師にし、俗世での名誉を得ることは制限していないし、弟子をガンダムファイトで探すこともしている)――

 

 

 

 

 

 

 

 

――ウィッチ世界のリベリオン本国は有色人種が白人を虐げる裏返しのディストピアになっていた。ティターンズは白人層が主流であったが、意図してそういう社会にしたわけで、半ば監視社会化していた。ティターンズの真の目的はアメリカ系国家の勃興の阻止であるので、その目的はこの頃に既に達成した。日本が米国役、自分達が史実のソ連邦役になること。史実との帳尻合わせも兼ねた真の目的に黒江達が真に悟ったのは、1950年代以降のことであった――

 

 

 

――デザリアム戦役後も、ジオン残党は消え去らなかった。オールズモビルという蔑称で呼ばれつつも、火星と木星で勢力を温存していた旧ザビ派がネオ・ジオンに代わる最大勢力と化したからである。結果的にミネバ・ザビの祈りは水泡に帰した。その首魁はギレン・ザビその人であり、地球圏の反連邦勢力は彼の元に集合し、ジオン公国軍の再興を果たす。反統合同盟の残党が手引きしたためだ。ジオンの精神的ルーツが日独に由来する事を考えると、歴史の皮肉が凝縮された結果である。その主力はギラ・ドーガ系のムーバブルフレームに旧軍時代の主力機に似せた外装をつけた『RFシリーズ』であった――

 

 

 

 

 

――RFシリーズは堅実な技術で構成されるMSである分、機能的には『前世代』であった。だが、連邦軍の軍備は歪な構成になっていたり、エース部隊以外の練度は低い傾向が継続していたため、相変わらずのキルレートになってしまう有様。ジムⅢ系以前の機体の稼働数が底をついたのは、扶桑への売却もあるが、RFシリーズに負けた事も関係している。ただし、RFゲルググとRFドムは新規フレームを使用していた関係で高性能であり、ジムⅢでは対抗不能であった。地球連邦は(旧エゥーゴ期に構想があった)であるRGZ系やMSZ系の増産を緊急で決議。ジム系の立場が政治的に危うくなる要因となった。ジム系は一年戦争から『雑兵』のイメージがつきまとっているが、ガンダムと違った意味で『地球連邦軍の顔役』である。そのため、それに代わるフォーマットを新規で生み出すことは難しいため、原点回帰で『F91の簡易生産型』という体裁で生産されたのが、ジェイブスB型。当初はF90の簡易生産型を目指していたが、ミッションパックを廃し、F91のヴェスバーを固定装備とする形で手直ししたジム系MS。B型と言うのは、ミッションパック式をA型とした故の便宜上の区分だ。デザリアム戦役後に主流になったのは、こちらのタイプである。ロンド・ベルの要請で開発されたため、同部隊に優先で配備されている。同部隊に残るジェガンがいい加減に老朽化してきたからだが、16m級である都合上、全てのジェガンは置き換えるほどの需要はない。だが、前線部隊から配備が切望されているのは事実である。そこも地球連邦軍の寒い懐事情の表れであった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――23世紀世界の事情に巻き込まれたウィッチ世界は代理戦争の場となり、旧エゥーゴ系地球連邦軍と旧ティターンズ系の軍閥の成れの果ての残党が血で血を洗う場と成り果てている。それに加担しない事で、未来世界の言いなりな政府に抗議しようとしたウィッチ閥だったが、既に国家そのものの危機となっていたため、却って自分達の立場を悪くしてしまった。これは歴代のジオン残党が陥りがちな立場と似ており、Y委員会長の山本五十六は『国家の危機ですので、主義主張を捨てますと言っておけばいいものを』と吐き捨てた。実際、軍閥としてのウィッチ閥は昭和天皇の意志もあり、クーデター後に影響力を無くしていき、もはや虫の息である。戦争が激しくなり、加速度的に兵器が発達していったため、空戦分野では、手練以外は『接敵すらままならない』有様であった。魔力値が高い者は魔導師資格を取得するため、時空管理局に研修しに行くケースが増大していった。それに強い危機感を抱いた者達が第二世代理論式ストライカーの生産促進を推し進める。だが、第二世代式は1940年代末時点では、大量生産体制がまったく整っていない。最も優遇されているはずの64Fでさえ、予備パーツのまとまった数の確保ができていないので、実戦運用は未だに指で数える程度ほどしかしていない。(最も、自分達が手慣れている異能で戦ったほうが早かったからだが)――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――艦娘達は司令部直属の遊撃部隊として任務についていた。戦闘艦艇に準じる火力を人間サイズで行使できるのは大いなる利点であった。とはいえ、大和型でも、そのままではきつくなってきたために、基本的な艤装の強化が行われるに至った。敵の艦艇が史実では大規模量産が見送られた、ないしは未成である高性能艦へ次第に更新されたためだ。特に、長門と陸奥は備砲の陳腐化が問題となり、新式の三連装長砲身砲(専用のもの)へ強化されていった。モンタナ級は長門型戦艦の備砲を余裕で弾く装甲がある(大和型の竣工時に匹敵する厚さである)からで、長門たちもそこは悔しそうである――

 

 

「巡洋艦以下の露払いを頼む!」

 

「了解!」

 

長門の要請に応え、この時は通常サイズで運用されているガイアガンダムとスローネドライが巡洋艦以下の艦艇を蹴散らすため、ビーム兵器を用いる。サーベルでの接近戦は艦艇には非効率なため、銃火器での一撃離脱戦法を用いた。

 

「海洋だと、モビルアーマー形態は使えないんだよな、浅瀬でならいいんだけど」

 

「それでMS形態で固定を?」

 

「元々、陸戦特化型だから、火力自体は高くないんだ、ガイアは。肩のビームキャノンも出力が高くないから、対ビームコートが進んでる世界だと、本当に牽制用にしか使えないんだよな。キャノンをバルキリー用の機材と取っ替えたいくらいさ」

 

ガイアガンダムの武装は元のものがいくつか残されているが、未来世界では『出力不足』であるため、固定武装を未来世界のものへの換装を要望しているらしいキュアサンシャイン。未来世界では、ウイングゼロ、F91やV2、Zといった、遥かに格上の高機動型ガンダムがゴロゴロしているからだ。

 

「まぁ、ユニバーサル規格の電装品に換装したおかげで、こちらの武器を扱えるのはいいんだけど」

 

地球連邦軍製の武装は扱えるが、元々が高機動力が売りの機体であるため、大火力火器の反動を堪えられないという欠点がある。武器のチョイスが難しいということなので、愚痴る。

 

「みらいの乗ってるストライクルージュなら、フレームがしっかりしてるから、ハイパー・メガ・カノンも携行できるんだけどなぁ。ガイアだと、ハイパー・メガ・カノン級の武器の反動を堪えられなくてさ」

 

「つまり、コケると?」

 

「ビーム兵器も、それなりに発砲の反動はあるからね。フレームの増強はしてあるけど、せいぜい、ビームマグナムまでが耐えられる限界なんだ。ただ、あれは実用性がね」

 

とはいえ、ビーム兵器の反動はまちまちであるし、エネルギー回路が大容量のものに改良されているため、ビームマグナムも(その気になれば)運用できるらしいが、マグナムは実用性が低いとボヤいている。(ただし、ユニコーンガンダム用の武器であったために度外視された点があるのを、MS用構造材/装甲であるガンダリウム合金の世代交代で増産したために、運用面のデメリットが表面化したと言える)

 

「あれは一種のロマン兵器ですので、実用性を求めないほうがよろしいかと」

 

「あれの開発者はダーティハリーでも見てたの?確かに、マグナム銃は実用性よりも威力重視だけど」

 

散々にぼやくキュアサンシャイン。仕方ないが、ガイアは高機動型と言っても、MS形態単体では『至って平凡』な特性であるからだ。(RX-78のように絶対的な火力があるわけではないのも大きい)

 

「駆逐艦くらいなら、ビームの照射で撃沈できるから、いいじゃありませんか?」

 

「弾がもったいないでしょ?」

 

駆逐艦はフレッチャー級であるが、想定外のビームによる『ギロチンバースト』(ビームの長時間照射による敵の両断を指す用語)にはたまらず、先頭の一隻が横合いの中央からから綺麗さっぱりと斬り裂かれ、轟沈する。また、中央部をハイメガランチャーでぶち抜かれ、船体がそこで切断されて沈む艦も現れる。駆逐艦らは懸命に応戦したのだが、第二次世界大戦世代の駆逐艦の武装では、飛行機以上に機敏に動けるMSの三次元的な動きに追従できず、武装を撃つ以前の問題であった。(最も、MSの用いる接近戦はまったくの想定外であったが)

 

「さーて、これで最後、大人しくしなさいっ!」

 

ガイアガンダムが最後に残った駆逐艦に飛び乗り、Mk12 5インチ砲(主砲)の第一砲塔の砲身を蹴り、砲身をへし折る。若干高い位置にある第二砲塔は砲塔そのものを蹴り飛ばした。そして、肩のキャノンをブリッジに向け、乗員に投降を促す。巡洋艦は艦娘に撹乱され、自分の身を守るので精一杯。艦隊陣形もあったものではない。

 

「これで駆逐艦は問題なし。あとは空母と戦艦のみ!」

 

この時期のリベリオンの艦隊構成は空母機動部隊が基本化し、インディペンデンス級航空母艦もまだまだ多数が運用されていた。レシプロ機も数合わせで現役であったからで、その艦載機の迎撃のため、武器をビームピストル(リックディアス用の改良型)に持ち替える。また、その後継である『サイパン級軽空母』も現れだしており、空母機動部隊の艦艇の刷新に四苦八苦する扶桑海軍からは『お前らは錬金術でも使ってんのか!?(泣)』と喚かれていたりする。

 

「敵艦載機の一波を捕捉しましたわ」

 

「数は?」

 

「おおよそ150前後。艦娘の前に出て、数を減らしますわ」

 

「私は戦艦を狙うから、艦娘の護衛をお願い!」

 

「了解ですわ!近くに軽空母の艦隊でもいたのでしょうか?」

 

「敵には唸るほどあるから、軽空母がいくらやられようが、お構いなしじゃない?」

 

「ダイ・アナザー・デイで大型空母がかなり打撃を受けたと言っても……多すぎですわ」

 

「この時代のアメリカ空母は小さいのを入れたら、100隻近いはずよ。損失を補うために増やしてるだろうし……」

 

それはカサブランカ級航空母艦、コメンスメント・ベイ級航空母艦などを全て含めた史実での数だが、それらはウィッチ世界では、多数がまだ現役である。ダイ・アナザー・デイでエセックス級が相当に撃沈、あるいは鹵獲された影響である。エセックスやミッドウェイなどの大型艦は建造に年単位の時間がいるため、軽空母や護衛空母が重宝されている。扶桑軍はこの空母の余りの多さに泣かされており、超兵器偏重の軍事行政がまかり通る一つの理由でもある。キュアサンシャインは機体越しに『うんざりしている』事を示す仕草を見せ、キュアエースもスローネドライ越しに肩を落としたのだった。

 


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