ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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遠征側が主役です。


第二百五十三話「遠征の一コマ 2」

――扶桑は40年代後半のクーデター事件で多くの試作中の機材が失われた。その責任を負わされた横須賀航空隊は防空部門が存続したものの、他の部門は解体の憂き目にあった。焼却された機材には、震電の量産のための改修を受けていた個体が含まれていたのだ。志賀が基地に戻った時には、震電は焼却された後であったという。彼女はこれ以上ないほどに部下を叱責し、小園大佐(当時)も、焼却を主導した将校らを拳で激しく殴打したが、もはや、後の祭りは否めず、震電と閃電の試作作業は中断を余儀なくされた。後に、震電はメーカー所蔵の個体をベースに作業続行、次世代の推進器を積むように再設計された後、ジェット戦闘機としてリファインされる。同じく、閃電もジェット化されたが、こちらは双ブーム式がネックで有り続け、遂に制式採用には至らずじまい。一部の気骨ある技術者がクーデターに加担したことを重く見た日本連邦は技術者達を科学プロジェクトに集中させるため、震電のジェット化、新幹線の製造などの大プロジェクトを矢継ぎ早に起こし、それらに関わらせていく。その結果、技術向上が急激に起こり始める――

 

 

 

 

 

 

 

 

――震電改一はデコイ目的で計画がされたが、現実問題として、国産機を望む声が出ている事や、震電はジェット化に適する艤装であったこと、改二の計画の予算取得のために制作された。更に、ダイ・アナザー・デイでレシプロ機の限界が明らかになり、早晩の退役が目に見えていたことから、実質的に『橘花』と『火龍』、『秋水』の三機種の代替機種とされ、改一であろうとも『マルチロールファイター』であることが求められた。その結果、当時に制作済みであった非力な国産エンジンは早々に見切りをつけられ、米国製のジェットエンジンのライセンス生産で賄われた。カールスラントがドイツの手で強引に独自の軍事技術開発を中断させられた結果、技術者達の日本連邦へのエクソダスを招くという本末転倒な結果を招いた事の教訓であった。未来的な外観の改二と違い、改一は良くも悪くも、外見上からもわかるように、震電の直接的な改良機であった。プロトタイプは1947年度に完成。エンジンはJ79が予定されていたが、クーデター後の工廠施設の一斉更新の影響で、同エンジンの量産に遅れが生じたため、初期型は飛天用に量産済みのJ57エンジンが積まれた。その結果、燃費性能の差で、機体の航続距離が思ったより短縮されたために、運用側は秋水の代替機とみなし、ゼロ距離発進で運用した。秋水の訓練を受けていた者が優先的にパイロットに配され、爆撃機キラーとなった。1949年にエンジン換装型がラインに乗ると、旧式化していたレシプロ機の後継機として配備が始まる。ちょうど黒江たちが遠征に赴いた直後のことだ――

 

 

 

 

――日本 防衛省――

 

「あの機体はこの機体の予算を通すための囮だと?」

 

「ええ。我々には改二型こそが本命ですので」

 

時代を考慮した場合、あまりに未来的な外観の震電改二。『戦闘妖精雪風』じみた外観もあり、オーバーテクノロジーを使いすぎという批判も出ていた。だが、加速度的に進歩する爆撃機に強い恐怖を抱く扶桑にしてみれば『まだまだ性能を上げたい』機体である。

 

 

「しかし、B-47相手では充分すぎるのでは?」

 

「万一、XB-70が実用生産に入られた場合に備えたいのです、我々は」

 

「馬鹿な、ヴァルキリーを量産することなど……」

 

「弾道ミサイルに精度が期待できない以上、あり得ると申し上げておきましょう」

 

幸い、M粒子が敵味方共に使われたため、大陸間弾道ミサイルに精度は期待できない。扶桑は『悲運の爆撃機』として有名な『XB-70』が本気で量産される可能性を確信していたため、迎撃ミサイルシステムの配備を急ぎつつ、防空戦闘機の刷新を急いでいた。また、震電は『レシプロ機としては』上昇率が雷電以下という問題がつきまとっていたが、高出力ジェットを得たことで解決を見たため、レシプロ機として完成していた場合、『迷機』認定されただろうという評もある。

 

「改一はジェットへの入門を兼ねています。第二世代機相当として造ってあるので、小回りは効きますが、第二世代機の枠は出ません。しかし、改二は第四世代機相当の実力を備えています。エンジンは新型が出来次第、随時にアビオニクスとエンジンを換装してゆく予定です。最終的には、F-2クラスの性能は持てるでしょうね」

 

「そこまでだというのですか?」

 

「時代ごとの性能向上を元から考慮してありますから」

 

改二は時代ごとのアビオニクス周りの進化を考慮し、アビオニクスの組み換えを自由に行えるように設計されている。ヘッドアップディスプレイは30世紀でも、用途的には全く廃れていない。(逆に、M粒子の影響でヘッドマウントディスプレイが衰退しているが)むしろ、M粒子散布下でも動作が保証されているため、通常の宇宙戦闘機では、コスモタイガーでも使われている。ガミラス帝国戦でフェーザー砲がショックカノンに取って代わられ、急激に廃れていった一方で、実弾兵器が再評価されたような経緯だ。

 

「改一はレシプロ機の代替機としての配備を既に開始済みであります。まずは雷電、鍾馗の代替機として……」

 

「空中給油機は?」

 

「既に爆撃機を転用しての派生型をロールアウトしてあります。ウィッチにはあまり恩恵がないので、反対論も根強かったのですが、ダイ・アナザー・デイで彼女達は役には立ちませんでしたからね。それで黙らせました」

 

「それがいい。一部の超人以外は役に立ちませんからな」

 

ウィッチ達は空中給油機を『的になる』、『基地を多く作ったほうがいい』、『そんなものより、ウィッチ運搬機にしろ』と騒いだが、ダイ・アナザー・デイで軍事的に役にも立たなかった事は覆せず、政治発言力の低下を露呈した。軍の多数派のウィッチ達はそれまで眉唾物と見なしていたはずの『第二世代理論』にすがりついていく。軍ウィッチはダイ・アナザー・デイで殆ど役にも立たなかったと記録された上、争乱のもとと見なされ、社会的に『ならず者』と判定されつつある。ダイ・アナザー・デイでのサボタージュは彼女達の社会的地位や名声の失墜の理由になっているが、それに気づいている者は少なかった。それ故に血の献身で以て、戦線の勝利に貢献した『Gウィッチ』の功績が強調されていた。

 

 

 

 

――プリキュア5の世界――

 

この日は『エターナル』が漁夫の利狙いで襲ってきたのだが、当然、パワーアップを重ねているキュアドリームAと遭遇してしまうわけで……。

 

「悪いね、あんたたちに構ってる暇はないんだ」

 

ドリームAは半ギレ状態である。そして構えてる武器はプリキュア由来のものではない。なんと、真ゲッタータイプのゲッタートマホークである。如何にも殺る気であるかが容易にわかる武器だ。

 

「ま、待ちな!!その斧、どこから取り出したんだい!?」

 

「問答無用。前、アンタには、方向オンチだの、国宝級のドジだの言われてさぁ……」

 

「そのお返しにしては、随分と物騒じゃないのかい……!?」

 

「こちとら、転職を権力で潰されたんだよ!チクショウ、文部科学省めー!」

 

「そんな事、アタシに言われてもねぇ。つか、アンタ。別世界じゃ、自分の望んだ職に就けてないようだねぇ」

 

「大人の事情だ、大人の事情!チクショウめーっ!」

 

あっけらかんとしてしまうエターナル幹部『シビレッタ』だが、ドリームAと遭遇してしまったので、ここ半年で溜まっていたストレスの発散に付き合わされてしまった。

 

「ホシイナーなんぞ、このあたしには……」

 

「ナヌ!?」

 

「通用しない……っての!」

 

エターナルが用いていた使役怪物『ホシイナー』はキュアドリームAに通用するはずはなく、ゲッタートマホークで一刀両断される。史実ではレインボーローズ・エクスプロージョンで倒されたシビレッタだったが……。

 

「あんたには、かれんさんとこまちさんの分の借りもある。今回は、あたしがきっちりと地獄へ送ってやる!!」

 

啖呵を切ったドリームは現役時代由来ではない技を使った。

 

「あー、ドリーム。サンダーボンバーは放電の余波で周りの電化製品をダメにしちゃうから、後々で面倒だよー」

 

「わかってるって!この技で!」

 

のび太の助言に頷きつつ、キュアドリームAは雷雲を呼び、雷を天空へ向けている指に受ける。そのエネルギーをそのまま集束・圧縮する。

 

『サンダーボルトブレーカー!!』

 

雷を圧縮して、ビーム状にしての電撃を指から放つ。プリキュア由来の技でないため、純粋な破壊力では比較にならないほど強烈だ。

 

「ぐおおおお……!馬鹿な……お前たちの技はすべて調査済みのはず……なのに、何故…!?」

 

「悪いね。昔と同じと思ったらさ、大間違いなんだ。『成長する』んだよ。たとえ、どんなことになっても、どんな立場に置かれても、ね」

 

電撃で空中高く吹き飛ばし、そのパワーで拘束したまま、拳を握る動作に合わせ、遠隔爆破してトドメを刺す。マジンエンペラーG由来の技だ。

 

「……昔の借りは返させてもらったよ、シビレッタのばーさま」

 

せめての慈悲と言わんばかりに、跡形なく吹き飛ばすわけだが。

 

「ご苦労さん。ドラえもんから連絡。厚木の連中が震電改二で援軍に来るって」

 

「厚木の元・302空の連中が?」

 

「小園閣下の気遣いだって。まっつぁんいるしさ、ウチ」

 

「そいやそうだ。雷電から切り替えたっていうけど、連中、後世に武勲より反乱で有名だから、ここ数年は警戒されて、腐ってたからなぁ」

 

「小園閣下、史実の行為を理由に、危うくクビになりそうだったけどね」

 

「しでかしたことがしでかしたことだしね。だけど、戦争末期、海軍で真面目に本土防空を考えてたのは、小園のオヤジと源田のオヤジさんだけだからなぁ」

 

ドリームもそう断言するが、防空という概念が日本海軍航空には決定的に欠けており、一介の士官パイロットである菅野ですら、『防空に無理解のノータリン』などと罵られていたほど、個人単位のバッシングも強かったように、海軍航空はマスメディアに公然とメディアスクラムに遭う者が続出。一定以上の戦功がある有力な士官の大半は空軍に移籍した。奇しくも、井上成美の『海軍空軍化』の施策が成果を挙げてきていた時期であったため、肝心の空母機動部隊が却って弱体化してしまっていたという本末転倒となり、井上の空軍移籍の要因となった(本人は『負けたからと、全てを否定するのか!』と憤慨したが、彼とて、ハンモックナンバーに囚われていることを論破され、グウの音も出なかった。結果、半ば失意の内に空軍へ移籍している)空母機動部隊はジェット化による戦法の変化、空母そのものの世代交代などに容易に追従できず、人的意味で冬の時代を迎えている。(海軍航空隊は夜間飛行技能が必須でなく、専門部隊が専従していたためもある)

 

 

 

 

「海軍航空隊は史実の南太平洋海戦が終わった後は負けっぱなしだから、空母機動部隊を軽視してるって、散々に叩かれたじゃん?あれで軍をやめたの多くてさ。結局、パイロット雇い直しで苦労してんだって。おまけに夜間飛行技能が必須になったから、ねぇ」

 

海軍航空隊は空軍の下請けも同然の状況に堕ちている。戦闘機無用論などで散々に叩かれた挙句、航空機乗員養成所が廃され、軍事色ゼロの航空大学校に転換された影響でパイロット供給が絶望的に先細りしたため、統合後の航空士官学校の募集・採用人数を10倍に倍増しなければならない、航空自衛隊との人事上の兼ね合いで、既存の下士官パイロットを一律で士官に格上げ(坂本と若本も、今回は賛成した)せねばならないなど、強い人的混乱で組織が機能不全である。緊急で空軍の海軍出自の部隊が『旧任務専従』指令で以前と同様の任務に就いている。空母航空団出身の部隊がそれである。(機材の空母運用装備をし直す羽目に陥ったため、空母航空団出身の部隊は愚痴りまくったというが)

 

「まともに仕事できんの、防空部隊のエリートとうちくらいだしねぇ。防空機材も戦後水準に飛躍したから、ヒーヒー言ってるし」

 

「旧式の高射砲は博物館行き、五式15cm高射砲が近接信管化で現役続行になったけど、殆どはミサイルや自走対空砲で置き換え進んだからね。だけど、大型ミサイルは一発が一軒家より高いから、レーザー兵器やマイクロミサイル積んでるデストロイドが主体になる。ウィッチなら、接近する以前の問題さ」

 

「向こうの501と502の連中が防空網突破訓練受けたら、芳佳以外は撃墜判定だったからね」

 

「あの子だったから、生き残れたようなもんさ。ダイ・アナザー・デイでそれが問題視されたから、第二世代理論の実用化がせっつかれたわけ。おまけに、アニメって形で『統合戦闘航空団以外は役に立たない』って描かれちゃねぇ。40ミリ機銃だもの、最低でも。模擬弾でなかったら、一発でストライカーはオシャカさ」

 

ストライカーはダイ・アナザー・デイで『現地改修で防弾装甲を取り外していた』事が問題視された。怪異戦では有効でも、人同士の戦闘では、死傷率が却って上がったからだ。ウィッチ達は『怪異専従だから、これでいいのだ!』と押し通そうとしたが、マジンカイザーやマジンエンペラーG、真ゲッターロボ、ゴッドマーズなどの超兵器の投入で怪異が巣ごと倒されたため、その大義名分が消え失せてしまった。B世界のウィッチたちを戦闘に使う案が積極的に議論されなかったのは、そのネックがあったからだ。

 

「おまけに真ゲッターやマジンカイザー、ゴッドマーズとかの最強ロボが現れてるんだ。ウィッチの必要性の有無が議論されるのは当たり前さ。核兵器でも再生することがわかったから、リベリオン合衆国以外は核兵器の研究は放棄したけど、エネルギーとしての研究は続行してる。扶桑は早々に反応兵器に切り替えたけど」

 

「鉱物資源は宇宙いかないと、数百年で枯渇しそうだし、化石燃料は23世紀までには枯渇する試算もあるしね」

 

「だから、宇宙開発なんだよ。史実より遥かに目標が明確だから、21世紀には、月面コロニーの初期段階にはなると思う」

 

日本連邦は宇宙開発の重要性を知っており、扶桑の軍事費を削った代わりに、宇宙開発につぎ込んでいた。扶桑も未来世界からガンダリウム合金やヘリウム3ガスなどを購入し、未来世界の地球では枯渇寸前な化石燃料や、不要となった軍用機を『博物館展示物』として輸出して資金調達をしており、遠征が行われた段階では、軍事費の財政バランスの改善に成功していた。科学技術と文化の振興も推進されたため、扶桑は高度経済成長時代が見えてきている段階であったと言える。

 

「だから、核融合炉や波動エンジン、重力炉を?」

 

「そう。化石燃料は21世紀で効率改善が頭打ちになる。かと言って、光子力はウィッチ世界にはないし、ゲッター線は危険度がね」

 

ゲッター線はあるが、早乙女博士級の人物がいないと、基礎研究すら覚束ない事は判明している。また、ゲッターロボGの一件以降、危険性がクローズアップされたため、未来世界でも『危ない代物』扱いである(あながち間違いではない)。とは言え、兵器としては有効なので、その用途でゲッターは発達していく。

 

「波動エンジンはコスモナイト合金と硬化テクタイトがないと完全にはならない。重力炉が一番に楽かな」

 

「なんかすごくない?」

 

「向こうの世界にとっては重要だしね。ガリアは今後の数十年で国内の鉱物資源が枯渇しかねないから、多分、太平洋戦争が終わった時を狙い所とするよ。だけど、ペリーヌちゃんが軍事的な復興を抑え込んでるから、アルジェリア戦争は数週間で終わる」

 

「ペリーヌちゃん、こっちに移住したほうが」

 

「ド・ゴール大統領もその頃にはやめるだろうから、ぼくも勧めてる。ガリアも独自路線は不可能だろうしね。七回も暗殺未遂されてるからなぁ、あの子」

 

ペリーヌは爆破、銃撃、刺殺、毒殺、狙撃、ひき逃げなど、あらゆる方法で敵対派閥に暗殺されそうになっており、時にはキュアスカーレットになって、自分で制裁を加えた事もあるという。そのため、のび太からも移住を勧められているという。ウィッチという存在のメリットが超人たちや強化人間、改造人間の前に霞み、庇護する必要が無くなってしまった。体系だった魔法も確立されていないため、時空管理局の凡庸な魔導師のほうが、戦力としては安定しているとまでされる。

 

「あの子の愛国心は見上げたもんだけど、そこまで尽くす必要ある?」

 

「家族の代わりなんでしょ?あの子は元々、旧時代には領主だった家柄だし。ノブリス・オブリージュの意識が強いのさ。それがもとで人心が割れてんだから、皮肉なもんさ。プリンセスプリキュアでもあるのもね」

 

ペリーヌの凛々しさは、ガリアの大衆の人心を割るものであるのも事実である。ペリーヌもド・ゴールの政界引退を退き時と認識しているので、どの道、1950年代を退き際と考えている。

 

「エターナルへの借りはこれで、一つ返したけど、館長やアナコンディが出てきたら?」

 

「草薙流の最終奥義か、サイキック斬で決めたらいい。館長はなんか、モヒカンで『ヒャッハー!!』とか言ってそうだっていうじゃん?声的意味で。サイキック斬がお誂え向きさ」

 

のび太は周辺を警戒しつつ、アルファ・ロメオのエンジンをかける。また、野比家に在住のプリキュア間で技の教え合いがあるため、プリキュアの垣根を超えた武器や技の貸し借りも始まっている。それ以外の技ももちろんである。

 

「ストナーサンシャインやカイザーノヴァはあたり一帯が消し飛んじゃうからねぇ。ファイナルブレストノヴァは?」

 

「地殻露出させる気?」

 

「あはは~…」

 

「ま、僕もガキの頃、ドラえもんの地底探険車が暴走して、日本の反対側まで掘っちゃったことがあるからなぁ」

 

「あ、それ!昔、漫画で見た!実際はドラえもん君とだったの?」

 

「ドラミちゃんの道具は全部が新品だしね。ドラえもんのやつ、持ってる道具の三分の一が中古や試供品、レンタルだから、予期しないトラブルが多いんだ。あの時、小5くらいの時かな。みんなで地底探検車に乗ったらさ。案の定、途中で不具合が発覚。エンジンが暴走した。終いには、地球のコアまでぶち抜いてさ……。コアに突入した角度が悪けりゃ、僕たちはお陀仏だったってさ」

 

キュアドリームAにのび太が語ったのは、ジャイアンが言い出しっぺで、地底探検をしたのだが、ドラえもんの地底探検車が整備不良で『逆転装置』が作動せず、更にエンジンの制御が失われて暴走。地球のコアを通過し、南米のマヤ文明の遺跡に到達してしまった出来事。

 

「めっちゃ、あぶないじゃん!」

 

「そーなんだ。ドラミちゃん曰く、突入した角度が良かったらしいんだ。そのせいでドラえもんの地底探検車はバッテリーが上がって、オシャカ。帰りはドラミちゃんの新式ので帰ったんだ」

 

「なんで、ドラミちゃんは新品買えるの?」

 

「頭いいから、大学教授の助手なんだって。それで稼ぎいいから、新品買えるんだ。ドラえもんの奴もそこそこ稼いでるよ。カード持ってるから、それもブラックカード」

 

「へー……」

 

「タイムパトロールから謝礼金やら出てるからね。僕も謝礼金出てるよ。だけど、ロボット裁判所は過去の人間である僕を裁こうとしたってんで、かなり問題になって、程なくして閉鎖になったらしいけど」

 

のび太は実は『ロボット裁判所』で危うく、懲役刑に処されるところだったと自嘲する。のび太曰く、小四の頃の出来事らしい。だが、流石に2000年前後の当時はまだ子供、長じた後は日本連邦の功労者となるのび太を『存命でない時代の法律で一方的に裁く』というのは、かなりの問題となり、ロボット裁判所は数年後に閉鎖に追い込まれた。この事例が間接的に統合戦争の引き金を引いてしまったとされるので、ロボット裁判所は『ロボット共生社会の崩壊の張本人』と見做され、白眼視されている。(形骸化した制度そのものも後年にひっそりと廃止されている。ただし、後年に残されたロボット裁判所の記録によれば、『のび太を精神的に戒めるための、周囲を巻き込んでの大芝居だったのに…。彼を2120年代の法で裁けるはずがないのはわかっている』とされており、統合戦争の要因のスケープゴートにされた感は否めない)

 

「あの話、夢オチじゃないの?」

 

「僕もそう思ってたが、ドラえもんがそう計らうように仕向けてたのさ。セワシのひ孫に調べさせたから、間違いない。多分、ロボット裁判所が僕を使って、ロボットの悪用を戒めるためのマッチポンプをしたんだろうが、結局は統合戦争の一つの引き金になったわけだからね。あった場所は23世紀でも瓦礫のままだって」

 

「なんで?」

 

「反統合同盟構成諸国への戒めだそうだよ」

 

ドラえもんの時代の名残りは徐々に減ってきているが、23世紀でも敢えて残されたモノも多い。犯統合同盟構成諸国へのメッセージを意図して残されているという。ドラえもんの時代の技術が失われ、その復興を邪魔した事も、ジオン残党が殊更にテロリスト認定されていた理由だ。ジオン出身者は少なからずがデラーズ・フリートやハマーン時代の蛮行を悔い、統合戦争以前の技術の復興を禊としているのは、統合戦争以前の技術があれば、コロニー居住者への重税が一晩で消え失せるからである。実際、イスカンダルからの技術で宇宙居住地の生命維持装置に技術革新が起こった結果、月では先行して、税が引き下げられている。結局、ジオニズムの根幹は地球育ちのウッソ・エヴィンがニュータイプになったことで否定されたわけであるので、ネオ・ジオンの解体とジオン共和国の解体を以て、政治思想としては息の根を止められたわけだ。

 

「ジオニズムが起こした最後の戦争も、君のダブルエックスに打ち砕かれたわけだけど、反統合同盟の残党に拾われてるって情報もある。それを利用してるのが組織。その組織の大元はナチス・ドイツだから、20世紀後半からは、ナチスがずっと暗躍してたってことになる。平行世界すら超えて、ね」

 

「まさか、そんな……」

 

「大首領ジュドのやることは『家畜としての人間の進化』だしね。だから、ゴルゴムと反目しあってた。だが、ゴルゴムは仮面ライダーBLACKの力で滅んだ。生き残ったバダンは君たちも狙ってる。多くの場合、プリキュアオールスターズが力を犠牲にしないと、撃退もままならない。だから、やらなければならないんだよ」

 

「うん、わかってるさ」

 

車で再び、戦場となった街を駆ける二人。自分がこの世界の自分を含めた『みんな』を守ることが責務なのだと強く想う。

 

「もちろんだけど、『あたしたち』が汚れ仕事をするさ。純粋な邪に、情け容赦は無用さ」

 

ドリームAは自分が『汚れ仕事』担当な事を実感している。殺意満点な武器である『真ゲッタートマホーク』を見せたのも、その決意の表れである。

 

「君たちのフルーレは『必殺光線の発射用の道具』だったしね。パワーソースが侵されれば、敵には通用しない。技の性質を見切られてもね。ミルキィローズのように通じない事も…」

 

「わかってる。こっちのくるみ、『現役時代』、技がパワーアップしても、アナコンディに効かなかったのを気にしてたからなぁ」

 

「そういうこと。それと、君の噂さ、後輩たちにだいぶ広まってるよ」

 

「それね。別世界のハッピーのオールスターズ戦の初陣、かなり変えちゃったんだよね、その場に来てた仲間で。ストナーサンシャインでその時の敵を浄化したけど、ビジュアルが殺る気マシマシだからさ」

 

「かなり言われたようだね、ドラえもんから聞いたよ」

 

腕にエネルギーを圧縮、それを前に包むように構えた両手の中で集束させて、太陽のような輝きを発するエネルギー弾を生成。これを敵に投げつけるのがストナーサンシャイン。純度の高いゲッター線弾を投げつけるのと同義であるので、破壊に特化したカイザーノヴァと違い、浄化にも用いられるのだが、ビジュアル的に殺る気満々にしか見えないので、その世界に来ていた『その他のプリキュア』達が止めようとするほどだったという。特に『その世界にいた別のキュアハッピーとキュアブロッサム』は最も狼狽してしまったのは言うまでもない。

 

「仕事はちゃんとしたんだけどね。インパクトありすぎたみたいで」

 

「そりゃ、ストナーサンシャインのビジュアル的に、浄化しまーすなんて雰囲気ないからね。真ゲッターがウィッチ世界であれを初めて撃った時もそうだったとか?」

 

ガリア解放の際に、真ゲッターロボは『ストナーサンシャイン』で怪異の巣を吹き飛ばしているが、あまりに凄まじい爆発が起こったので、ペリーヌは早合点しかけている。ウィッチ世界では『キノコ雲が発生するほどの大爆発』は起こった事がないので、実際よりかなり誇張された伝聞が連合軍で語り継がれていく。それと同質の力を持つ者が扶桑にいたという衝撃も凄まじい。ミーナが吐いたという真ゲッターロボへの呪詛の半分は『真ゲッターロボと同質の力を奮える』ウィッチが扶桑にいたことを扶桑は意図的に秘匿していたのでは?とする疑心暗鬼がエスカレートしての妄言に近く、『神経衰弱』を理由に、公式記録には一切記されていない。実際には、圭子の存在は抑止力となる事を理由に、意図的にアフリカ時代の戦果は公にされていたし、軍内部でのGの称号を持つ者達の取り扱いも協議中の段階であった。Gウィッチは日本が強く求める『戦術の妙で敵の戦略を根底から粉砕する』役目を担っていると言える。日本は寡兵で多数の敵を倒さなくてはならないという地政学的理由による『宿命』がある故に、いつの時代も純粋な軍事学上の不合理を気合で押し通すしかない。それは地球そのものがその思考に染まる宇宙戦争時代により顕著となる……。

 

 

 

「だよねぇ」

 

「だから、64Fの存在が認められたのさ。普通なら通らない、戦略的に異常な部隊は。末端までが勲章や従軍記章持ちなんて。日本は台南空や史実の加藤隼戦闘隊、343空の実績を大義名分にしたからね。源田さんも流石に閉口したそうだよ。だけど、日本がほしいのは『どんな状況でも敵を殲滅してくる』無敵の部隊。だから、世代の代表格で第一線の幹部が固められた。ドイツ人以外には理解できないだろうね、どんな敵が来ても、『一部隊でどうにかしろ!』って言われんのは」

 

のび太は『第44戦闘団』の事例があるドイツにしか、日本連邦が64Fの人員を異常に豪華にした理由はわからないだろうという。第二次世界大戦の敗戦国は絶対的な人的資源が少なく、大戦の半ばの頃には底が見えてきていたほどに消耗していたからだが、皮肉にも地球連邦軍も度重なる宇宙戦争で、そのドグマに囚われてしまう。

 

 

――史実でも『統合戦闘航空団が怪異の巣をどうにかしてくれる』というドクトリンを連盟軍が取っていたように、ウィッチA世界で生まれた最精鋭部隊『64戦隊』になんでも屋を要求するのは当然であると受け止められるあたり、連盟軍/連合軍は日本的発想がなされる軍隊であるのがわかる――

 

 

 

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