ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回は遠征組オンリーです。


第二百五十七話「プリキュア5の世界に現れし、ジオンの龍とは?」

――キュアドリームAの個人戦闘力はBを遥かに超えている。現役時代の主敵であった組織『エターナル』の使役怪物『コワイナー』及び『ホシイナー』はもはや敵ではなかった――

 

 

「あー、もう!!あのババアがやられたからって、物量で来やがったな!!……悪いけど、あたしはそっちの知ってるあたしじゃねえが、引導を渡してやるぜぇ!!」

 

ゲッターマシンガンをどこからか、二丁拳銃で取り出し、乱射するキュアドリームA。台詞が思いっきりゲッター線汚染度が高まっている上、ホシイナーを銃弾(ゲッター線入り)で蜂の巣にしていく。このゲッターマシンガンは使い勝手のいい武器であるため、64Fの幹部達の共通兵装の一つになっている。

 

「ほい、換えの弾倉。敷島博士が改良のためにデータ欲しいってさ」

 

「あのジジイ、言いたいこと言いやがって!そういう暇、あるかっての!」

 

のび太は自身も敷島特製のリボルバーに武器を持ち替え、ホシイナーを迎撃しつつ、弾倉をドリームに渡す。この戦いの名目上は『映画撮影』だが、町の外へその様子を装う必要のないところでは本気の戦いが起こっていたわけだ。

 

「エターナルはともかく、ナチとティターンズはどういう繋がりがあるの?」

 

「究極的には、専制政治を民主共和制の悪弊の打破のための手段、あるいは自分たちの思想の実現としての手段として用いた、あるいはそうしようとした集団の繋がりさ」

 

「どういうこと?」

 

「民主制は基本的に、平和が一つの戦争が終わってから数十年も続けば、政治や官僚連中の腐敗と経済的停滞が必然的に起こる。昔の専制政治の悪い点が人々から忘れ去られてから、統合戦争の終わった時点で数百年も経ってるわけで、ザビ家やコスモ貴族主義、マリア主義なんてのが出てきたのが歓迎された事があるのが、民主政治に飽いた人間が地球圏に多かった証拠さ。ナチ残党はジオンの形成に影響を強く与えた。あのギレン・ザビは一年戦争が優勢だった時期、国号を自分の名前に変えようとしてたっていう記録も残ってる」

 

「なにそれ」

 

「父親のデキンに『お前の名では、民はついてこんよ』って諌められたそうだ。その一方で日本とドイツの文化に傾倒してたから、近代以前の日独をごった煮にした国を造ったのさ。皮肉なことに、それが連邦と戦ったスペースコロニーの国家で一番に成功した統治なんだ」

 

ジオンは一つの『サイド』という範囲で国家を曲がりなりにも運営してみせた。ジオニズムを侵さない範囲でだが、一応の信教の自由もあるほか、戦前の日本や独のように、貴族もあった。ザンスカール崩壊の要因による『ギロチンによる反対者の処刑』、コスモ・バビロニア崩壊の原因『貴族主義の否定による動揺』もなかった。その点で、ジオンは宇宙の民に『連邦へのカウンターパート』としての存続が望まれたわけだが、外宇宙進出のフロンティア時代にあっては、スペースコロニー一つの群という狭い領域に執着する必要はなくなった。その時代の到来でジオンは役目を終えたわけだが、数十億の人間とオーストラリア大陸に大穴を開けた被害からすれば、ティターンズの誕生が歓迎されてしまうのも無理からぬ事。特に、シドニーとキャンベラをまるごと失ったオーストラリア、パリが歴史的建造物諸共に吹き飛んだフランスは反ジオン的風潮が強い。ただし、オーストラリアはジオンが善政を引いていた事もあり、旧・オーストラリア国家の復興への支持も低い。結局、元の先進国で比較的に地力が温存されていた日本が第二次日本連邦時代を迎え、地球連邦のキャスティングボードをまたも握ったため、日本的意味合いの強い民主制の連邦へと、地球連邦は変容してゆく。皮肉なことに、これはジオン共和国が一年戦争の後に恒久的な存続を望んだ際に目指していた形の統治であった。

 

「結局、腐った民主制は専制政治を生き返らせるための土壌になっちゃうのさ。ジオンは図らずもその実例になった。もしも、地球連邦の国民全体が政治って行為への関与に飽いてたら、地球連邦は一人の急進的な軍人か何かが現れて、そいつが英雄と祭り上げられれば、その人物の手で、いつの間にか地球帝国にでも変わってしまってるさ」

 

「昭和の頃に流行ったスペースオペラであったね、そういう展開」

 

「あれ、相当に長いよ。出木杉くんに高校の頃に借りて、受験勉強の合間に読んだけれど。80年代の終りにOVAが相当数出てるけど、それも長いよ?」

 

「うへぇ……」

 

「あれもある種の沼だよ。僕の従姉ののび枝さんがハマってて、解説してもらった事ある」

 

「のび太くん、いとこが多くない?」

 

「ぼくの親世代は子沢山なんだ。おふくろの兄弟だけでも二人、親父に至っては五人。じいさま世代の兄弟も入れると、親戚だけで相当な人数になる」

 

のび太は野比本家の嫡子。二一世紀現在における当主だが、全部の親類は把握しきれていない。のび太と敵対したであろう『のび太郎』は母方の方の遠い親類であったため、中学以降の消息は把握してなかったのである。

 

「だから、小学校の高学年の頃から、年長の従兄弟たちが結婚適齢期に入っていって、数ヶ月に一人の割合で結婚してたから、オヤジ達が留守にする事が多かったんだよね。それで、ドラえもんも、毎日はいるわけじゃないから、二人の面倒を見るうちに、『男になった』っていうのかな?昔の表現でいうと」

 

のび太には、従兄弟が何人もいる。全員と面識があるわけではないが、のび太が11歳当時に大学生になったばかりの年齢であった五郎(母方の従兄弟だが、のび太そっくり)、北海道にいた父方のおばの子「すみれ」など、のび太と付き合いを続け、野比財団に出資してくれた者も多い。野比家/片岡家は成功者が実は多いため、2021年時点でも、財団を初められるだけの元手は充分に捻出できたのだ。

 

「何気に凄いね…」

 

「僕たち五人は、23世紀にも子孫がいる定めだしね。カミさんのほうも、従兄弟が名跡を継いで、その子孫がセワシのガールフレンドだったし」

 

しずかの源家にも親類はいるため、その血筋の子供がしずかの容貌を強く受け継ぎ、ノビタダの代で、その子孫と結婚するのである。そのため、野比家には源家の血が二度交わるわけだ。のび太は23世紀の子孫達が地球連邦の富裕層に属し、アナハイム・エレクトロニクスをビスト財団から奪える政治力を持つに至る事を確定させる事も一種の仕事とし、ノビスケがある程度大きくなった頃からは、こうした『サポート』もするようになった。キュアドリームAはのび太の養子『コージ』の妻であるため、姻戚関係にあるのだが、そうなったからと、呼び方までもが変わるわけではない。話をしつつ、二人はホシイナーを蹴散らす。そして。

 

「出てきたらどうだ?ムカーディア。今回は生かして返さねぇつもりだがな」

 

「キュアドリーム、貴方はこの世界の存在ではありませんね?」

 

「御名答。この世界のあたしは別にいるさ。だが……。テメーには昔の借りがある」

 

「あの時のこと、まだ根に?」

 

「皆の前で大恥かいて、後輩にも知られちまってるしな。無駄にイケメンボイスしやがってからに」

 

「貴方もいつになく、ドスが効いてますが?」

 

「ほーう。死ぬ前に言うことはそれだけか?」

 

現れた、エターナルの幹部『ムカーディア』。ドリームはマジンガーZEROの影響を受けているため、ドスの利いた声で『忠告』する。そして。胸の蝶形のリボンが赤く輝き、胸部の宝玉に光が灯る。

 

『悪いが、テメーの相手はしてらんねぇんだ。先手必勝でいかせてもらうぜ!!』

 

蝶形のリボンが放熱板代わりになるかのように、光子力エネルギーを炎と変えていく。それも、効果範囲は見かけより遥かに長大であるのか、ドリームの周りの空気までも熱しられる。更に真下の地面はあまりの高熱でガラス化を引き起こす。

 

『光子力よ!!熱と光で、あたしの道を切り開けぇぇ――ッ!!ゼロ・ブラスターァァァッ!!』

 

ドリームAの放ったそれは『光子力の炎』となり、長大な範囲に効果を及ぼす熱線として放たれた。ZEROのブレストファイヤーと違い、『兜甲児が望む形での力の発露』なため、ファイヤーブラスターとZEROのブレストファイヤーの中間的特性の熱線技に落ち着いた。ただし、傍から見れば、斜めに伸びた熱線が円を描き、Φの形の光が敵に向かって飛ぶという物騒な構図である。『ZERO』と『魔神皇帝』という異なる属性の魔神の力を一つに合わせた異端的な攻撃だが、威力は超合金Zを一瞬で溶かし、ニューZにも重篤な破壊を起こさせられる。これはZEROが以前に、光子力を根本的に超える力を持つ『光量子』を持つ宇宙の王者に対抗せんとした事の名残りでもある。

 

「消し炭になったかな?」

 

「あの速さじゃ、僕と東郷でもなきゃ、避けらんないさ。それに、今のはブレストバーンの10倍くらいのパワーでしょ?地面がガラス化してるよ」

 

「パワー出しすぎかな?」

 

「核兵器の爆心地でも、滅多にないような現象起こしてどーすんの。余波を食らった建物はドラえもんに直させるけど、粘土細工みたいにドロドロだよ」

 

「あちゃ~…」

 

この街は元が旧華族の邸宅や保養地であった土地を戦後に開発し直し、欧州風の町並みにした『モデル地区』なので、学校周辺の建物の外見は欧州風のものが多いだけに、溶解してしまうと、見るも無残な姿になった建物が続出だ。

 

「相手が相手だからって、念を入れすぎたかなー。あ、あはは~。自重して、街丸ごと焼かないようにって考えたんだけどなぁ…」

 

「ブレストバーンで充分でしょ。ブラスター系は威力がダンチなんだから、普通の鉄筋コンクリート造の建物じゃねぇ。せめて、サンダーブレークか、プラズマサンダーにしなって」

 

湯気が立つほどに溶けた、一部の建物。ドラえもんがウマ娘世界から帰ってきたら、目を回すだろう。

 

「ZERO、君ねぇ。やりすぎだよ?あとで、甲児さんに叱ってもらうからね?」

 

のび太のお叱りに反応し、ミニドラの初期タイプくらいのサイズのマジンガーZEROが出現する。

 

「スマヌ。張リ切リスギタヨウダ…」

 

ちゃんとZEROスクランダーも装備しているし、精悍なボディもそのままだが、ミニドラサイズなので、迫力に欠ける。声色は10代の頃の兜甲児のものだ。

 

「あーあ、石材まで蒸発しちゃってるじゃないか、ドラえもんに頼むのも気を使いそうだから、作業中にでも、どら焼き差し入れてね?」

 

「ウム……」

 

ZEROもこうなってしまうと、見かけはともかくも、マスコットのようである。ミネルバXはあまりの衝撃に卒倒したというが、意思は消えておらず、普通にこうして疎通が可能。口調は傲慢不遜な傾向のままだが、ドリームの影響で態度は柔らかくなったという。また、ミネルバXを介し、ダイアナンAの後継機種『アルテミスA』の操縦をマスタースレーブ方式にするように仕向けるなど、10代の頃の甲児のようなスケベさも見せる。また、炎ジュンが育児のために一線を退くため、本来はジュン用に制作中であった『ミネルバXの改良型』はグレース・マリア・フリードの搭乗を前提に再設計が行われていく。これが『ミネルバX・シレーヌモード』となる。デビルマンに倒された『妖獣シレーヌ』をデザインモチーフにした改良型で、デビルマンの要請で回収されていた『妖獣シレーヌの亡骸(ただし、融合後であった都合、参考にされたのは上半身のみ)』を観察する形で設計されたという。

 

「我ノ技あれんじト聞イテ、居テモ立ッテモ居ラレズ、ツイ、ヤッテシマッタ。赦セ」

 

「君ねぇ……」

 

反省しつつも、甲児に似た人格を持つに至ったZERO。この姿でも戦闘はこなせるので、並のメカ・ザウルスやメタルビースト程度なら蹴散らせるが、姿を保つためにエネルギーを消費しているため、以前ほどには無敵ではない。とは言え、自身の姿がデビルマジンガー寄りの『禍々しさ』を備えてしまっているのは多少のコンプレックスがあるようで、Zの正統な後身のゴッドのようなカッコよさが欲しいとぼやくなど、甲児に似た人間臭さも見せていたりする。

 

「ZERO、力の加減くらい、いい加減に覚えてよね。貴方の武器はアイアンカッターでも、普通の超合金Zが60cmの厚さでも斬れちゃう威力なんだから」

 

ZEROの武器は元々、グレートマジンガーやマジンカイザーなどの後発機に負けないよう、デタラメな強化を施したものばかり。アイアンカッター一つでも、生半可なな厚さの宇宙合金グレンなら、一刀両断できるのだ。ドリームが諌めるのは当たり前である。

 

「ワカッテイル」

 

とは言え、創造主の兜十蔵の願いの真意がわかったZEROは『後発のマジンガーを受け入れる』選択肢を選んだ。本質は『甲児が後発機に乗り換える事を恐れたZの負の心が肥大化してしまい、別個の存在となった』ため、創造主と、自分が愛した者の心が自分にあるとわかれば落ち着く。幾多の世界を滅ぼした罪を償うために巻き込んでしまったキュアドリームに報いるため、以前のような『Zが変容した魔神』ではなく、キュアドリームと一つになった『マジンガー』としての道を歩んでゆく。ZEROは自分の禊の旅路にキュアドリーム(夢原のぞみ)を付き合わせたことに罪悪感を抱いていたためか、ドリームには素直に従う姿勢を見せているが、甲児が若かりし頃から『女性に弱い』事が反映された結果なのかについては定かではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――このゼロ・ブラスターは凄まじい衝撃をB世界の夢原のぞみ、夏木りん、春日野うらら、美々野くるみに与えた。なにせ、レインボーローズ・エクスプロージョンすら比較に値しないほどの大技を、しかも、マジンガーZのブレストファイヤー宛らに放ったのだから、当然である。プリキュアは基本的に後発になるほど『倒す』事は少なくなっていったため、塵一つ残さずに消滅させる行為は初代の二人でも、当初は恐怖を感じたほどなのだ。物理的破壊力を伴う技は凄まじいインパクトであった。それは後に語るとして、ナチス・ドイツ側はこの日、凄まじいインパクトの兵器を投入し、連合軍を驚愕させた――

 

 

 

 

 

 

「馬鹿な、あれは旧・ジオンで設計され、パーツだけ製造途中だったという……キング・オブ・ドラゴン級戦艦!?」

 

戦車隊の指揮官が青ざめながら呻く。その通りであった。ジオン軍の残党の一派がナチスに拾われ、彼らが土産としたのが、キング・オブ・ドラゴン級戦艦であった。元々は戦争が優勢であった時期、ジオン地上軍の要請で、宇宙攻撃軍が設計していたという、ジオン軍全体の旗艦候補。グワジンの後継を目指していたとも言う。一年戦争当時に予定された諸元より更に大型化されていて、更にエンジン音が核融合炉由来のモノではなく、波動エンジンのものである事から、ジオン残党が白色彗星帝国戦役で戦没したドレッドノート級の残骸から、波動エンジンを抜き取っていた事も判明した。そして……。

 

「おまけに、グロムリンだと……!?」

 

発進した艦載機もこれまたレア物。ジオン軍が戦争最末期に計画していた起死回生のモビルアーマー計画の産物『グロムリン』であった。

 

「各隊、後退だ!!64Fに連絡しろ!至急、援軍を乞うと!」

 

戦車隊は迅速に撤退を指示し、グロムリンはそれには構うことなく、威容を誇示する。その場に鎮座するだけでも、戦車隊を退かせる効果があるからだ。20世紀後半期レベルの陸戦兵器では超鉱スチール合金へは表面に傷をつけるのがせいぜいなため、戦っても無駄という賢明な判断もあった。この通報は直ちに、64Fへ通報され、64Fが保有していたスーパーロボットが起動され、出撃態勢に入る。

 

 

 

 

 

――壁紙格納庫――

 

『ゲッターG、出撃態勢に入れ!繰り返す……』

 

「わりぃ、出撃だ。ダイヤモンド、いくぞ!』

 

「わかった。ところで、一号機は誰だ?」

 

「ハートが乗るそうだ」

 

「いいのか?」

 

「訓練はさせてある。三号機は頼むぜ」

 

「わかった」

 

「だ、大丈夫?」

 

「こういう事があるから、変身しといたのさ。それに、ゲッターがかける負荷はモビルスーツやモビルアーマーの比じゃねぇからな。普通の状態じゃ、装甲服まがいの強化服が必須だしよ」

 

ゲッターロボが有人機としての量産に、中々踏み切れなかった点が『高出力のゲッターのフルポテンシャルに耐えられるパイロットがいない』点で、64Fが予てからテストしていたのはそのための検討機の一つだが、性能ポテンシャルはゲッターGのオリジナルから更に向上させているものである。これは超人である隊員が乗るため、機体性能を敢えて抑える必要がなかったからだ。メンタルが鋼か、フィジカルが鋼であれば、ゲッターに乗れる。これはメカニック出身の大道剴、単なる柔道家であった巴武蔵、野球のキャッチャー兼やじり(!?)の車弁慶ら三号機乗りの存在が証明している。

 

「んじゃま、行ってくらあ」

 

キュアメロディは現役当時の柔和な印象を払拭するかのように、荒々しい振る舞いであった。彼女は颯爽とライガー号へ乗り込む。ゲッターに乗れる人間はたとえ、歴代のプリキュアであっても、ゲッター線との親和性と闘争心の兼ね合いの都合で限られるため、他の機動兵器との掛け持ちも行われている。のぞみAは三号機を経て、一号機乗りに転じているように、死亡フラグの塊な三号機への搭乗は忌避される傾向が強い。(巴武蔵以来、三号機の搭乗者はターニングポイントの度に死ぬ、もしくはゲッターに取り込まれる傾向が強いので)

 

「ドラゴン、発進!」

 

「ライガー、発進!」

 

「ポセイドン、発進!」

 

――三人のプリキュアたちの駆る黒い新ゲットマシン。漆黒に彩られたドラゴン号、ライガー号、ポセイドン号の三機がエンジンを唸らせ、出撃していく。設置されているハンガーに並ぶ順は上からドラゴン、ライガー、ポセイドンの三機。キュアハートは現役当時は乗り物酔いしやすかったが、転生後は逸見エリカが素体の都合で、その心配はない。第二期プリキュア世代の筆頭格と目されている事もあり、ドラゴン号を任せられた。このような事は64Fでもままあった。機動兵器への適性がある者は全プリキュアを通しても貴重であるため、限られた人数でローテーションを組んで出撃させるのがベストであった。また、太平洋戦争そのものが『少数精鋭の部隊に大部隊を殲滅させようとする』事で一回の攻勢までの時間を稼がせるようにシフトしていくので、64Fがスーパーロボットを有する事は1950年に入る頃に公式発表がなされ、敵軍の行動の抑制に利用されていく。技術チートの使い方としては政治的過ぎるが、日本連邦では、軍隊が死傷者を多数出すと、上層部の誰かに責任を取らせる風潮があるため、少数精鋭の部隊が敵部隊を文字通りに殲滅する事は歓迎された。史実太平洋戦争で『数だけ揃えても、質が伴わない軍隊などはカカシに過ぎない』という事を学んだ結果が『質を極限まで上げて、有象無象の敵を休み無しで蹴散らさせる』という更に極端な選択なのは、戦後日本の軍事への無関心が生んだ結果であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――1949年に入ると、ウィッチ世界の各国も怪異との戦闘が専門と言える旧来的意味のウィッチ部門は『中央の言うことを責任者が無視する』という、実務上の都合もあって解体し始めているが、ミーナの上層部への不信の起こした不祥事が遠因である事も併せ、この時期はまさに、『ウィッチ冬の時代』と言えた。失業した職業軍人としてのウィッチの多くは仲間内で設立した民間軍事会社に設立者の勧誘で入るか、日本連邦に義勇兵として厚遇されるかの二択である。前者は民間軍事会社の乱立を『傭兵時代の再来』と恐れた列強諸国の国際会議で規制される見込みであるため、将校や先任下士官の経験のある者たちは現在進行形で太平洋戦線を戦う日本連邦の義勇兵に、給与が好条件である事、南洋に自宅が用意されるという魅力もあり、こぞって応募した。部隊単位で応募されることもしばしばであった。日本連邦は自前のウィッチ覚醒が休眠期に入った上、既存のウィッチ部隊の弱体化が深刻な状態であったため、公然とヘッドハンティングを実行中であった。多く応じたのは、カールスラント系の人員である。軍縮で解体された、あるいはコンドル軍団経験者の名を冠する部隊が『名誉を汚されたから』という理由もあり、部隊ごと応じる例も多く、ドイツ連邦共和国側の担当者が気づいた頃には、空軍の主だった士官のほぼ全員がヘッドハンティングに応じている有様。これに顔面蒼白になった『ドイツ連邦』は方針を転換。『ウィッチ世界のコンドル軍団関係者についての名誉剥奪はドイツ連邦共和国の誤解であった。軍団経験者の名誉回復は時間をかけて行い、軍人恩給については戦前の基準で支給する……。望むなら、以前より一階級昇進した上で復帰を認める…』という上から目線気味の声明を出したのが仇となり、古参の士官層の反発を却って招く事になり、日本連邦への流出には歯止めはかけられずじまい。結局、日本連邦の戦力増強には寄与したが、ドイツ連邦を支えているものの脆さの露呈となった。遠征の報はウィッチ世界にも伝わっており……――

 

 

 

 

 

「これが彼女の……キュアドリームの力なの…?」

 

「そうだ、ミーナ。この世界では、これが圧倒的正義と言う奴だ」

 

「一人の力で敵をねじ伏せる…。いいの?」

 

「ウィッチはかつて、対人戦争で一騎当千を期待されていた。その時代に回帰しつつあるのだ。対人戦争をウィッチがボイコットした結果だ。重要作戦中に『怪異としか戦いません』とふんぞり返っていれば、世間からの反発も大きくなる。そして、いざ動いた時には、異世界人が持ち込んだ超科学兵器の前に、ウィッチたちは尽く粉砕されていった。グローリアスウィッチーズも例外ではない」

 

「あの部隊が出征したの!?」

 

「ああ。だが、実態は世代交代で結成時の練度を失っていてな。却って損害を増やすだけに終わって、ブリタニアは大恥をかいただけだった。部下共は『物見遊山にきた若造どもに今更、何ができるか』と最初から冷ややかだったが」

 

坂本Aは64Fが活躍しだしたダイ・アナザー・デイの時期の出来事をミーナBへ教えた。ブリタニアも対抗心から『秘蔵っ子』の部隊『グローリアス・ウィッチーズ』を出征させたが、同部隊は『温存されていた』事が災いし、実際には戦線に寄与するどころか、たった一回の交戦で部隊が半壊し、再建のために後方へ後送される始末。しかも、ブリタニアが大仰なプロパガンダを打ったその日に。同部隊の後送は機密扱いされ、64Fに拾われた一部の負傷者が復帰後に64F預かり扱いで奮戦した事を、『グローリアスウィッチ―ズ』の奮戦の証とでっち上げていたと教える。

 

「貴方がいる第64航空軍というのは、いったいどんな組織なの?」

 

「扶桑海事変の頃、華々しい戦功を挙げた第一戦隊を前身に持ち、事変後期にさしかかる頃には、今の番号である『64』に改編された。名目上は陸海の共同行動の模索の試みだった。特に、黒江、穴拭、加東の三人は無敵を誇り、外国のウィッチからは当時の戦闘服につけていた八咫烏のワッペンから発想して、『レイブンズ』と呼ばれた。この三人が再結成でも中心となり、海軍の気鋭のエリート参謀『源田実』を抱き込んで、空軍そのものを創り上げた。私も協力したよ。三人は陸海の縄張り意識を持たんし、前線に立たなかった時期はたった数年。海外勤務も長い。私は空母機動部隊の再建の役目があるから、海軍に居残ったがな」

 

苦笑交じりの坂本A。空軍の設立に深く関わった一方で、海軍に居残ることになったからだ。黒江達が地球連邦軍で通称される『レイブンズ』という呼称が生まれた理由、ダイ・アナザー・デイで問題となったサボタージュに発端がある『魔女狩り』の風潮の高まり、その流れで軍のウィッチ部隊に求められた『一騎当千』。それを順番に話してゆくのだった。

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