ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前話『あるプリキュアオールスターズ戦のまとめ』の続きですが、ウマ娘達の日常もあります。


第二百六十二話「幕間その6 あるプリキュアオールスターズ戦のまとめ2」

――プリキュアオールスターズ(スマイルの現役時代)の戦いは既にフュージョンとの戦闘から、プロフェッサー・ランドウのメタルビースト軍団との戦争へ移行した。

 

『ブライト、ウィンディ!奴らと戦える奴以外のプリキュアを下がらせろ!ここからは俺たちの戦場だ』

 

竜馬がそう促し、ブライトとウィンディはその指示に従う。もちろん、多くが反発するが、もはや、『戦争』へと事態は悪化しているのだ。

 

「待って、ブライト、ドリーム、ピーチ!あなた達は……、あいつらのことを知ってるの…!?」

 

「長くなるから、話はメロディやミューズ、ビートから聞いて!今はそれどころじゃないから」

 

三人はこの場でランドウ軍と戦える『ピンクプリキュア』の筆頭であるため、即座に戦闘態勢に入る。ランドウ軍のメタルビーストやメカザウルス、百鬼メカはリアル系ロボの量産機では撃破は極めて困難である強敵。この世界に集まったプリキュアで、正面からそれらと戦闘が可能なのは七人のみ。後は消耗や経験値不足などの理由で戦力外である。横浜市の郊外は先程のマグマ砲で焼かれており、かなりの大惨事となってしまった。怒りに燃える三人は先頭に立ち、ランドウ軍と戦闘を行う。比較的に装甲の弱いメカザウルスだろうと、21世紀基準の自衛隊の通常兵器では傷をつけることも困難なため、三人がそれらとまともに戦える事は大きな意義を持っていた。

 

『ダブルトマホォォク・ランサー!!』

 

ドリームはハルバード型のトマホークを召喚し、制空権確保のために飛んできたメカザウルス・バドの大群を生身で蹴散らす。メカ・ザウルスは恐竜に兵器としての改造を施した『生物兵器』に近いが、量産も可能であるため、いまいち不明な点がある。とは言え、それと生身で戦闘可能なところに、パワーアップの真髄があった。翼竜の断末魔の悲鳴が響くと同時に、その軍団が幾何学的飛行をするドリームたちに蹴散らされていくわけだ。

 

「嘘……何あれ?」

 

「うーん。ドリームはルージュたちとは違う世界から呼ばれたからね。それに……そこの世界での仕事が自衛官みたいなもんだから」

 

「何やそれ?!そんなんで、あんな強いのかいな!?」

 

「実際に強いんだから、しょうがないでしょ、サニー。それに……子供の教育に悪いからね」

 

「?」

 

「見てみな」

 

ドリームはZEROの影響か、戦闘時の口はかなり悪くなっている。流竜馬にも影響を受けているので、戦闘法も彼の影響が出ている。

 

「ランドウの走狗の連中め!今日こそ引導を渡してやるぜぇぇ!」

 

ゲッターマシンガンを片手に持ち、乱射する。ゲッター線に当てられた影響か、戦闘狂味がある台詞が飛び出ている。プリキュアには不釣り合いな小型の手持ち式の機関銃を恐竜のサイボーグ体の集団にぶっ放ち、蜂の巣にして倒す。

 

「……確かに、子供の教育にはよくあらへんなぁ……」

 

「サニー、君って大阪の出?」

 

「そうや。中学に入る頃に引っ越してきたんや。まるでロボットアニメみたいやな。あんなのがいるから、もうなんでもありやけど」

 

「荒療治だったけど、まぁ、なんとかなるもんさ。それに、ボク達は一番に戦闘だらけの世界から呼ばれたし、あいつらはその敵さ」

 

メカザウルス、メタルビースト、百鬼メカがそれぞれ徒党を組んで、横浜市を蹂躙する。四大スーパーロボットが応戦しているが、武器の桁違いの威力もあり、非現実的ですらある。

 

「本当はこの戦いは君たちの見せ場だったけど、こうなった以上は戦争になる。この世界の自衛隊は足止めにも役に立たないし、あんな連中相手じゃ、君たちじゃ足止めがせいぜい。それに、情け容赦の必要がない殺し合いはボク達の仕事だ。ここは任せて」

 

「それに、あの連中は死んだ人間を傀儡のように操る下衆な野郎どもだ。そんな連中の相手はお前らにはきつすぎるからな。リズムを頼むぞ」

 

スイート組はキュアリズムを除くメンバーが召喚されたため、実質は三人でランドウ軍との戦闘を行った。ランドウ軍は死体を特殊な技術(ナチスが残したゾンビ兵士精製技術を独自に完成させたという)で兵士に仕立て上げたり、同志を幹部に取り立てるなどの方法で軍を組織しつつ、恐竜帝国や百鬼帝国の残党を(ランドウ自身が百鬼帝国の一員であったため)取り込み、一大勢力となった。デーモンとも手を組んでいるため、やることは冷酷非道の一言。人間を食物感覚で食い散らす事も平然と行う。同じ世界から呼ばれた七人は相手を『殺す』つもりで戦闘を行う。ドリームに至っては、相手の胴体と下半身を『泣き別れ』にして倒す。この世界の日本政府は横浜市という日本有数の大都市で何が起こっているかを把握できず、右往左往するだけ。更に、横浜市と通信などが不通に陥ったことなどで国会は紛糾。結局、なんら有効な手を打てぬまま、現地での戦闘は進んでいく。そして、現地は2010年代に入った後で、ネットが発達した時代なため、現地の人間たちがネットにマジンカイザーや真ゲッタードラゴン、マジンエンペラーG、グレンダイザーなどの画像をアップする。結局、米軍が独自に観測機を飛ばし、戦闘が起こっていることを確認したこと、横浜市の郊外が『壊滅』した事が米軍から通告されたことで、ようやく自衛隊の出動が決まったものの、マグマ砲で爆心地は焼け野原になっている上、地形も変化し、交通網はズタズタ。中心市街地では未知の勢力同士の戦闘の真っ最中。どういう出動かも決まらずじまい。その間も死闘は続いているのである。

 

 

 

「こっちは20人が実質の戦力外……参るな」

 

『仕方ないだろ、この世界に集まったガキ共に、ランドウやデーモン共といきなり戦えって方が酷ってもんだ。こいつらは俺たちで片付けたほうがいい』

 

竜馬はドリームにそう言いつつ、真ドラゴンのトマホークを振るい、メタルビーストを破壊する。そして。

 

『真ゲッタービーム・ランチャー!!』

 

ゲッタービームランチャーの進化型『真ゲッタービーム・ランチャー』。発射口が真ゲッター系列の頭部を模したものであるという奇抜なところがあるが、威力は本物。百式系のMSが使う『メガバズーカランチャー』の100倍以上ともいう高出力のビームを撃ち出せる。真ドラゴンの携行火器としては、最大の威力である。

 

『メカザウルスなんぞ、真ドラゴンの敵じゃねーぜ!』

 

ビームを発射中のランチャーを動かし、メカザウルスの大群を薙ぎ払う。ゲッター1程度のビームでは致命打にはならない防御を持つモノが多かったが、真ゲッターロボ以上のハイパワーを持つ真ゲッタードラゴンのビームはゲッター1のそれとは比較にならない。並のメカザウルスは射線にいただけで生体部分が溶解する始末であった。

 

「うへぇ。生体部分だけが溶けてる」

 

『真ドラゴンは、真ゲッター以上の濃度のゲッター線をそのまま撃ってるようなものだ。メカザウルスに使えば、こうもなる』

 

「そうか、奴らはゲッターエネルギーに」

 

『そうだ。ゲッター1程度のビームには耐えられる技術はあったが、ドラゴン、真ゲッターと飛躍的に強化されているゲッタービームを防ぐ手立ては奴らにはない。ましてや、現時点で最も強力なゲッターロボである真ドラゴンのビームだ。かすっただけで防護装置が壊れるだろうよ』

 

隼人はこのコメントだ。メカザウルスは基本的にゲッター1程度の相手には、時として優勢になるが、ゲッタードラゴンや真ゲッターにとっては有象無象の相手である。真ゲッターよりも強いゲッターロボである真ドラゴンにとっては塵芥も同然だ。

 

『さて、リョウ。俺に代われ。音速を超えた戦いを見せてやる』

 

『しくじるなよ?』

 

『フ……。俺がそんなヘマをするとでも?』

 

真ドラゴンが部分的なゲッターチェンジでライガーモードへ移行する。真ゲッタードラゴンはライガーやポセイドンに基本的に変形はしないが、武装をライガーやポセイドンに切り替える事は可能である。真ドラゴンの姿を保ちつつの高機動戦を可能としている点で、それまでのゲッターロボと趣を異にする。そして。

 

『ミラージュ・ビジョン!!』

 

真ドラゴンのライガーモードは真ゲッター2を更に上回る速度での戦闘ができる。更に、ゲッター2系共通の弱点『トルクが全形態で最も細い』難点が解消されているため、パワー不足の心配もない。また、真ドラゴンのドリルは真ゲッター2のそれよりも貫通力が上であるため、ドリルに容易く串刺しにされる敵メカら。

 

「うわぉ……エグいなぁ」

 

「確かに、これはねぇ」

 

『ハハハ……やりおる。だが、これはどうかな?』

 

自軍の損害も意に介さないプロフェッサー・ランドウ。二度目の『パチン』を行い……。

 

「!!」

 

「出たわね!デビラムウ!!」

 

「ランドウ!これがアンタの…!」

 

三人のピンクプリキュアはその兵器を知っていた。恐竜帝国が製造していた最終兵器の一つ『デビラムウ』。これがランドウの持つ切り札の一つ。それが姿を見せた。

 

『これはデモンストレーションとでも言うべきかね、プリキュアのお嬢さん方』

 

「デモンストレーションだって!?少なくとも数十万を殺しといて…!」

 

『ナチスやジオンに比べれば、軽いものだ。彼等に比べればだね。儂はまだ慈悲深いほうだと思うがね』

 

横浜市の人口を数十万ほど減らしたことを悪びれもせずに、プリキュア達を煽るプロフェッサー・ランドウ。地上にいる20人以上は殆ど蚊帳の外であった。だが、四大スーパーロボットとランドウ軍の戦闘が『自分たちの力ではどうにもできない』レベルのものであること、デーモン軍団を四人の仲間が食い止めている。銃火器すら用いて、血みどろの死闘を繰り広げている。プロフェッサー・ランドウはその20人と7人の間にある戦闘力の差を見抜き、部下のナルシスに指示を出し、残り20人あまりのプリキュアを超能力で攻め立てた。美青年と言える容姿のナルシスだが、強力な超能力を持っており、遠距離からでも残り20人のプリキュアを攻撃できた。

 

「かしこまりました、ランドウ様」

 

28人だった当時のプリキュアオールスターズでは防御担当のキュアミントとキュアサンシャインの防御技を透過する衝撃波を放ち、二人の防御を崩すと、キュアサンシャインのシャイニータンバリンを超能力で分解、消滅させ、彼女から遠距離用の攻撃手段を奪う。あまりの衝撃に言葉もないキュアサンシャイン。そして、ナルシスが指を鳴らすと。

 

「う、うわぁあああ!?」

 

その場で超高速回転をさせられ、そのままコンクリートのビルに勢いよく叩きつけられるキュアサンシャイン。そして、キュアミントも遠隔サイコキネシスで首を締められ、卒倒させられる。それに激昂したキュアレモネードが『プリキュア・プリズムチェーン』を放つが、なんと、チェーンのエネルギーはナルシスをしばりあげるどころか、チェーンのエネルギーがナルシスに届くか否かというところで静止させられる。レモネードはチェーンを動かそうとするが、ナルシスが指を当てただけで、チェーンを動かすことができなくなる。驚いたレモネードは全力で動かそうとするが、押しても引いても微動だにもしない。そして、そのまま振り回され、ドラゴンタートルの甲板に叩きつけられ、動けなくなったところにエネルギー弾が放たれる。それをドリームが間一髪で気づき、レモネードを助け出した上で、クリスタルウォールで防ぐ。

 

「さすがはキュアドリーム。クリスタルウォールを使ったか」

 

冷笑を浮かべる美青年幹部『ナルシス』。二代目ゲッターチームの一文字號をライバル視するなど、外見相応のところもあるが、基本的に冷酷非情である。彼に対抗するには、連続攻撃で超能力を消耗させるか、同等以上の超能力で『超能力戦』をするしか方法がない。その点で彼はプリキュア達の強敵である。

 

「ドリーム、あなた……」

 

「アクア!急いで、みんなを下がらせて!奴らはみんなの力じゃ対抗できない!」

 

「どうして!?どうして、そう言い切れ……」

 

それを聞いたキュアハッピーが反論するが。

 

「死にたくないなら、『俺』の言うことを聞け!!」

 

切羽詰まっていたこともあり、普段のトーンの高い声色ではなく、錦であった頃のハスキーボイスと荒い口調で怒鳴り返すドリーム。『この世界のキュアハッピー』はその迫力に思わず震え、縮こまる。

 

「は、はい……」

 

ハッピーはそう返事を返すので精一杯。他のプリキュアも普段とかけ離れているドリームの姿に唖然とする。そして、ドリームに異形のバケモノ――デーモン――が襲いかかるが。

 

『おうおうおう、来やがったな。だったら、見せてやる。大蛇薙の拳を!!』

 

キュアドリームはその転生の素体『中島錦』がウィッチ世界における草薙流古武術の正統伝承者の家系の娘であり、素質があったため、プリキュア化で素質が開花。会得に至った。炎の色はより高温を示す蒼い炎であり、通常の炎に強い耐性があるデーモン族をも焼き払う。伝承では『ヤマタノオロチを退治した』ともされる存在。ドリームにとっては、ルージュ(りん)との絆の証の炎である。ドリームは『裏百八式・大蛇薙』を放った。

 

『食らいやがれ!!裏百八式・大蛇薙!!』

 

蒼く巨大な炎を翻し、目の前のデーモンを焼き払う。プリキュア由来の攻撃ではないが、ドリームがこの時点で使う闘技で最高ランクの一つに位置する。悲鳴すら挙げられずに、デーモンは消滅する。炎を扱うプリキュア達は数人いるが、蒼い炎を操る者はいない。

 

「貴様……。草薙流古武術を使うとは」

 

「悪いな、ナルキス。こちとらな、現役時代とはちげーんだ」

 

指から炎を出してみせ、ナルキスを挑発してみせる。当然、この時点の炎を操るプリキュア達はアイデンティティのピンチを感じ、なおかつ、ドリームかしらぬ行為に唖然とする。そして。

 

「ふんっ!」

 

ナルシスのサイコキネシスを振り払ってみせ、お返しにこの技で対抗する。

 

『スターダスト・レボリューション!!』

 

指から光速弾を放ち、ドラゴンタートルにダメージを与える。黒江経由で得た闘技である。戦闘力の観点でいうなら、彼女は現役当時を遥かに上回る。

 

 

「さて、デーモン共。生かして返さんぞ」

 

武器をダブルトマホークに持ち換える。ゲッターロボ系の武器が多いが、デーモンを倒すにはお誂え向きである。黒江や不動明から、デーモンの合体能力を聞いているからだ。ジンメンのように、残虐非道な手段を用いる手段を用いる者も多いからだ。

 

「待って、ドリーム!こいつらは何なの!?」

 

「ある世界にいる『悪魔』そのものさ。残虐非道な種族で、無差別に相手と合体したり、相手の魂を取り込める。どうやら、ランドウと手を組んだみたいだが……」

 

キュアブラックからの質問にそう答えた。幸いにも、デーモン軍団には上級のデーモンはいない(シレーヌなど)が、それでも、並のプリキュアの攻撃に余裕で耐えられる者達なので、7人以外で相手取れる者はいない。

 

「ドリーム…、あのじいさんは何者なの?」

 

「ある世界の23世紀の始めのドイツ人で、元は科学者だった男さ。だけど、ある時期から世界征服の野望を持つようになって、その世界の情勢が戦乱期に入った時、それを実行に移した。所謂、トチ狂ったマッドサイエンティストって奴さ。いるんだよ、科学がものすごく発達した時代になると、世界征服を夢見る奴がね。あたし達は、その世界で戦ってるんだ」

 

そう言いながら、ドリームはエターニティドリームの姿で幾何学的飛行を見せ、デーモン族の雑兵をトマホークで粉砕する。シャイニングドリームを更に発展させたような姿だが、目つきはプリキュアとしてのものからはかけ離れており、口調も普段のそれから離れつつある。

 

「何ですか…、あれ……まるで……」

 

「阿修羅……やな。可愛い顔しとるけど、やってる事は完全にバイオレンス・アクションやな」

 

ドリームの戦闘ぶりに圧倒されるキュアブロッサムに、キュアサニーがツッコむ。仕方ないが、残り二〇名あまりのプリキュア達はランドウ軍の幹部やデーモン族に対し、微力であった。四大スーパーロボットが主力を抑え込み、ドリームたちが敵幹部やデーモンと一戦を交える。関西弁を使う者はすべからくツッコミ役になる。キュアサニー、八神はやて、そして。ウマ娘のタマモクロス。

 

「なんか、サニー。ツッコミ役になってません?」

 

「そうなんや。関西弁使うからって……ちゃうちゃう!なんで、そうなるんや!関西出身だからって、オバちゃんの全員が虎皮のスカーフとかしてへんよ!!」

 

「関西弁キャラはなぜか、そういう運命になる。諦めろ」

 

「キュアビート……」

 

「まぁ、チームが巨大になると、誰かどうかのツッコミ役は必要になるからな」

 

「なんで、そうなるんや!?」

 

「私の友人に心当たりがあってな」

 

それは八神はやてのことだ。最も、はやては標準語を使う機会も立場上の都合で増えたが。

 

「耳を塞いでろ!!」

 

キュアビートは対艦用ガンポッドを人サイズにダウンサイジングしたものを使い、デーモン族を蜂の巣にする。

 

「ふう。間一髪だったな」

 

「なんや、そのハリウッド映画でマッチョマンが持ってそうな、ガトリング砲!!」

 

「とある変形型のリアルロボットの武装のダウンサイジング品だ。量産機が対艦任務で使う代物だがな」

 

「プリキュアが使っていい武器じゃないで……」

 

「仕方ないだろう。私達の技は浄化が主目的みたいなもので、敵を完全に消滅するわけではないからな……。残りカスのような邪念が敵に利用された事もある。だから、後腐れのないように消滅させるのも優しさだ」

 

ドリーム達はその経験を持つためと、未来世界で『救いようがない、吐き気を催す邪さ』と対峙してきたため、後腐れのないように倒すのも優しさだとしている。そのため、後輩のキュアグレースに『相容れなかった敵』(ダルイセンという敵幹部)がいることを責めてはいない。

 

「優しさは誰かの光になりえるが、常にいい結果をもたらすとはかぎらん。これからの人生、いくらでもそういう事はある。ドリームもそういう経験があるそうだ」

 

「どういうことだ?」

 

「ドリームは教職志望だったが、現実は厳しいというのはお前もTVでみただろう?そういうことだ」

 

「わかるで…。うちの店の常連さんに教職に挫折した人おったし」

 

「それは後で話すが、あいつも色々あってな」

 

キュアビートは苦笑する。ドリームは前世での教職時代に『友達を装った敵』がいたらしいことを漏らし、教職時代の後期に人間不信に陥った事があると言っていた。そのため、苦楽を共にしてきた戦友たちに必要以上に心を許している面がある。のび太は義父として、のぞみの心の傷を癒やす事も役目だとしており、息子夫婦には甘い。ノビスケには自身の長子であり、野比家の次期当主ということもあり、心身が成長していくとともに厳しく接する事も増えるが、のぞみへは『子煩悩』と言われるほど甘く、南洋の土地を購入し、夫婦で住める邸宅を与えている。(ドラえもん曰く、『のび太くんは優しいから』とのこと)。のび太は自身の父がそうであったように、『アメとムチ』で子どもたちを育てていく。のび太夫婦のそんな子育てを助けているのが、月読調と花海ことは(キュアフェリーチェ)であり、後に、結果的に野比家に深く関わった何人かのウマ娘も加わるのだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――2021年。その時期に小学校低学年であったノビスケ(のび太の嫡子)が街のサッカークラブの試合で活躍する。その試合を観に来ている観客の中に、何人かのウマ娘がいた。ゴールドシップ、タマモクロス、ウイニングチケット、ナリタタイシンの四人であった。その内のナリタタイシンの表情はいつになく柔らかいもので、後に、彼女のトレーナーも『俺も滅多に見ないぞぉ!?』と漏らしたほどに優しさに溢れていた。普段は周りに刺々しい態度で接するタイシンも、流石に自分を素直に慕ってくる子供を邪険にすることは気が咎めたのと、ノビスケの境遇がかつての自分に似ていることを直感し、そのことに共感したのか、ノビスケに対しては心を開いていた――

 

 

「そういう顔できるのかいな、タイシン?」

 

「……やめてよ、タマ先輩」

 

「茶化してるわけじゃないで。あの子が昔の自分に似てることに気づいたんやろ?」

 

「うん。ウチも母さんの花屋の経営が安定するまで、アタシも一人で留守番すること多くてさ。昔の自分を見てるみたいで……」

 

「なるほどなぁ。アンタも皐月賞以外のG1レースを取って、あの子にかっこいいとこ見せられるようにしいな」

 

「い、言われなくても、そのつもりだし!」

 

ニヤニヤしながら、タイシンをからかうタマモクロス。タイシンもノビスケが自分を慕うことは素直に嬉しいのか、精神的コンディションは絶好調であるらしいことが伺える。子供には素直に感情を見せられる事もあり、ノビスケに弁当を作ってやったらしい。

 

「アンタがあの子に弁当を作ってたの、ウチは知っとるで~」

 

「なっ、なんで知ってんの!?」

 

「早朝トレーニングに起きるからや。努力は認めるけど、まだまだやで」

 

「……なら、上手く作れるコツを教えてよ」

 

「弁当ってのは、見かけの良し悪しやない。愛情やで」

 

「……先輩?」

 

「ジョーダンや、ジョーダン」

 

タイシンはムスッとするが、以前ほど不機嫌さをあからさまに見せなくなっており、ちょっと膨れる程度で済ます。タマモクロスはそのことを確かめるために、わざとそういった。元々、面倒見がいいため、タマモクロスは子供っぽい見かけとは裏腹に、ムードメーカーであった。

 

「せんぱい~!タイシンがカワイイですー!」

 

「アンタも見たことないやろ、チケット。タイシンのこういう顔」

 

「はいー!」

 

「ち、ちょ、チケット!」

 

「お!ノビスケがタックル食らったぞ!」

 

ゴールドシップが声をあげる。タイシンの表情が慌てている時のものに早変わりする。

 

「ノビスケの奴、エースストライカーらしいからなぁ。小学低学年の試合にしては、派手にラフプレーされるな」

 

「ち、ちょっと!なんで、今ので反則取られないのよ!?」

 

タイシンが怒るように、ノビスケが審判に猛抗議するが、反則を取られずにプレー再開になる。

 

「落ち着ちぃな。相手チームのディフェンスはあの年齢にしては、なかなかに本格的や。小学校低学年だったら、この時代は親の抗議が来そうなもんやけど」

 

「おう。近頃はうるさいご時世だからな。サッカーはまだ寛容なほーだけど」

 

「やるなぁ、相手の選手」

 

ウマ娘たちも、他のスポーツを知らないわけではなく、ゴールドシップやウイニングチケットは普段の趣味として、仲間内とバスケットボールやサッカーをしている。タイシンはインドア派なので、他のスポーツに多少疎いが、トレーナーに言われて、デビュー後は見るようにしている。

 

「そいえば、オグリ先輩は?」

 

「オグリンは……中華料理屋の早食い競争やって」

 

「うわぁ。その店の店主の心が折れなきゃいいけど」

 

ウイニングチケットをして、そういわしめるオグリキャップの食欲。笠松時代はカサマツトレセン学園の食料庫をすっからかんにしたとされ、中央移籍後も、トレセン学園最強のフードファイターと渾名されている。フードファイト番組でトリオ扱いの後輩であるタイキシャトルとスペシャルウィークの二人を合せて尚も及ばないという異次元の胃袋。中央学園が食料庫の面積をルドルフが現役時代の頃の三倍に増設したという噂の根拠。ウイニングチケットはオグリキャップという怪物の標的となった中華料理屋に、心から同情したのだった。

 

 

 

 

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