――日本連邦の利点が認識され、2020年代には定着し、既に経済的に停滞を迎えていた日本に活力を与えたわけだが、同時に扶桑に多大なる混乱をもたらしてしまったのは言うまでもない。日本の一部政治家は扶桑軍の暴走を物理的に抑制させるために、近衛師団の完全解体(皇宮警察の重武装化)、純粋培養を警戒し、幼年学校の廃止などを提言したが、結局は混乱が起こった。日本の中立的な者たちは妥協案として、『近衛師団の連隊への縮小、皇宮警察との役割分担、陸軍幼年学校は高等工科学校へ改組、現時点で在籍中の要員については『高等工科学校予科』という形で面倒を見る事になった。同時に士官学校の教育期間は原則的に三年から四年とされた。この影響で任官が先延ばしになった世代のウィッチは、かなりが教育途中でやむなくドロップアウトしてしまった事の穴埋めも、義勇兵が実質的な主力となった理由である。ウィッチの平均年齢は一気に20歳代へ高齢化。10代前半のウィッチは見られなくなっていた。これは志願可能年齢の下限が上がった事、軍入隊に必要な条件も最低条件が『中学校卒業』と定められたためである。教育期間の長期化で農村部の人間が『子供にいらん知恵がつく』と、入隊を敬遠するようになったからでもある。対策として、中学校の部活での怪異退治訓練、怪異を害獣と位置づけ、その駆除を学生らと引率の顧問で行う事が『現地社会の風習への配慮』という形で認められた。1947年の半ば以降に相次いで『猟友会』が生まれたのは、人口比率で一定数がいるウィッチの就職先を広め、社会的地位をできるだけ保全するためでもあった。――
――ウィッチへの見方が悪化した扶桑では、従軍記章の有無が社会的処遇の差に繋がった。ダイ・アナザー・デイ従軍記章はウィッチ達を社会的蔑みから守る実効果があった。64Fの幹部のような『一般にも顔を知られるエース』はともかく、一般の軍ウィッチは従軍記章がなければ『軍服で外を出歩けない』までに白眼視されていた。そのため、ダイ・アナザー・デイに参加予定であった全人員への従軍記章の授与が決められた。参加予定人数は膨大であったが、等級を部内で設けることで、実際の扱いに差をつけているものの、社会的には一種の免罪符であった。だが、多くは『その時点での所属部隊が参加予定だったから、参加賞でもらえた』と自嘲しており、実戦部隊への転属を多くが希望する事態であった。日本側もこの問題は把握しており、希望者を前線に近い部隊に配置してやるなどの配慮をしている。実戦経験のあるパイロットを一部隊が独善することには反発があったが、そういう部隊での成功経験を持つ日本側が反発者を説き伏せてしまうため、軍中央は全体の練度向上に苦慮していた。『どんな大国でも人的資源には限りがある以上、一騎当千の強者共を一箇所に集め、とことん暴れさせ、人的資源を限界まで消耗させた後に主力部隊による決戦を挑んで、完膚なきまでに叩き潰し、負けを認めさす』という、日露戦争とさして変化が無いようなドクトリンは日本が資源小国である故の悲しい性の発露であり、アメリカに長期的な総力戦を挑んで敗北したことで得た教訓であった。64Fは源田実のお抱え部隊と揶揄され、ダイ・アナザー・デイでは扶桑の他部隊の支援は殆ど受けられずに戦ったが、ティターンズ本隊の超兵器を含む敵を撃退し、敵の超人たちと正面切って渡り合ったことで『お飾りの部隊ではない』ことを内外に示した。黒江達が『未だに神通力を維持していた』ことでカールスラントの権威がガタ落ちになったり、扶桑の他部隊の長たちに非公式に『拷問』が行われたともいう。結果、凡百のウィッチたちが尻込みしてしまう要因ともなったわけだ。『強すぎる者』たちは64Fで使い倒される事になり、優遇する代わりに最前線から離さない事になった。これはクーデターで凡百のウィッチ達から嫉妬を強く買っていた故の仕方のない措置でもあった。64Fの分隊の一つ『極天隊』が大規模化し、他部隊の幹部の研修先に指定されたのは、他部隊と64Fとに横たわる練度差があまりに極端なことが理由であった――
――1949年までに、他部隊から64Fそのものに転属できた者はセラと宮部大佐のみであった。それでいて、中堅幹部にまで登りつめられた稀有なケースである。中堅世代では最高レベルの戦闘能力を持っていたおかげであった。ウィッチとしての純粋な戦闘能力では、のぞみを上回る水準であった事も大きい。そのため、のぞみはウィッチとしては二番機か三番機のポジションが定着していた――
――亜細亜号 車内――
「向こうの芳佳に不思議がられちゃって。あたし、純粋なウィッチとしては、二番機か三番機じゃないですか」
「お前はウィッチとしては青二才だ。プリキュアとしては一流だが、ウィッチとしての実戦経験が少ない。あたしらは転生もあって、百戦錬磨だが、お前はウィッチとしては実戦経験が過小にすぎる」
食堂車で二人は食事をしていた。南洋横断鉄道の重役になった坂本の義兄(姉の夫)の計らいで一等車に乗れる上、食事代も統合参謀本部へのツケでいいからだ。64F基地への乗り入れ編成で食堂車を使う者は原則的に基地の関係者なので、二人が軍務に関わることを話していても問題はない。なお、この頃には見かけはともかく、錦としての戸籍上は既に成人済みなので、キュアドリームも飲酒可能である。
「先輩はカクテルとかお飲みに?」
「体質変化で酔えなくはなってるが、嗜み程度には飲んでみせなきゃならんからな。それが大人の世界だ」
大人の世界は相手への気遣いもあるため、酒を酌み交わす事が望ましいとされる。Gウィッチ達は体質の変化などの要因で『酔えなくなっている』が、そういう場では飲むようにしている事が語られる。
「日本からノンアルコールの奴を輸入させているが、出回るには時間がかかる。ウルスラが『過程』を重視するあまりに叩かれてるみたいに、あいつみたいな技術屋から批判も多い。連中にしてみれば、テストの答えをカンニングした感覚なんだろうが、全面戦争にカンニングもクソもあるかってのが答えだ。日独が半分は机上の空論と見なした原爆を二発も主要都市に落とされた日本からすれば、特にな」
ウルスラはあまりに思考性が硬直するところがあるため、周りからの技術者としての評判は悪い。技術屋であるからこそ、そこへ至る過程を重視するのだろうが、技術競争で劣勢なままで敗戦した日本からすれば、『知ったことか!』である。とはいえ、高性能兵器は性能に比例して運用コストも第二次世界大戦当時の兵器とは桁違いなため、調達数は減る。そのため、高性能兵器にエースパイロットや優れた戦車クルーを乗せる事が組織的に推進された。ハイローミックスが戦車に至るまで徹底されたわけだ。未来兵器の内、コンバットアーマーは陸軍中心に配備され、可変モビルスーツやメタルアーマー、可変戦闘機は空軍を中心に配備された。この頃には、コンバットアーマーが『時代遅れ』とされた軽戦車に代わる新兵器として配備されだし、ラウンドフェイサーが『ソルティック』との俗称で普及しつつある。遠目にヘリで輸送中の『ソルティック』が見えるのが、その証拠だ。陸軍は『手足の生えた戦闘ヘリ』感覚で運用しており、ティターンズも手を焼く存在である。とは言え、ラウンドフェイサーの装甲はあくまでサイズ相応のものであるため、軽戦車よりはマシ程度のもの。油断は禁物だったが、軽戦車より圧倒的に優れた火力、二足歩行である故の高い走破性は何より魅力であった。
「あ、ソルティックだ。どこに回されるんだろう」
「この地域だと、第二一軍だな。あそこ、騎兵部隊が転じた部隊だから、重装備嫌がってたからな。コンバットアーマーなら受け入れるだろう」
「騎兵科は廃止されましたよね?」
「ああ、ダイ・アナザー・デイの直後に正式にな。が、田舎には最後の乗馬師団が一個だけ維持されてるし、軍馬の施設の縮小も種の保存のためってんで、一定規模は維持されてるから、ペースは遅い。施設をレース用のサラブレッド育成に転用する案も出てる」
「なるほど。」
「日本が引退したサラブレッドの駄馬を儀礼用に転用してることを知った騎兵科の連中が軍馬を売り込んでるって言うぜ。万単位で育成されてた軍馬をいきなり放り出せんし、史実みたいに『種が消滅する事』は望ましくない。で、一部の軍馬を日本に提供する事になった。サラブレッドは本質的に、騎兵科が昔やっていたような任務には向かんよ。機械化が進む以上、軍馬は儀礼目的以外には使われなくなる。かと言って、45年時点で育成中の数十万頭に及ぶ若い軍馬を死蔵させるわけにもいかんからな」
サラブレッドは見栄えはいいが、持久力などで本格的な軍馬には及ばない。儀礼目的に使うにしても、警察の騎馬隊の馬は高齢の元競走馬であるため、それを聞いた騎兵科出身者が憂いたため、扶桑産の若い軍馬が警察の騎馬隊にも卸される事になった。遠からず、軍馬の儀礼目的以外の保有が無くなることを見越しての再就職先の確保でもあった。実際に何十万と育成されていた軍馬を使わずに死蔵させる事は牧場が許さない上、既存の軍馬は30年代までに納められた個体が多く、高齢化していた。そのため、若い個体への入れ替えを望む部署への分配、警察への提供も行われた。すぐにはサラブレッド用の牧場への転換はできないからだ。そのため、機械化率は足踏み状態であるものの、兵器の質は戦後水準へ向上している。機械化装甲歩兵に一方的に頼るのではなく、共に戦う時代への転換である。カールスラントが何もかも不足し、結局、軍縮が仇となり、機械化部隊の比率が却って低下してしまう有様に比べれば、だいぶマシである。扶桑は太平洋戦争で機械化が進み、この年には、最後の騎兵師団が田舎に残っているのみになる。とはいえ、牧場に何十万と控えていた軍馬の引取先などそうないため、皇宮警察を含む警察騎馬隊への卸しも行われ、軍も近衛連隊(近衛師団の縮小改組。国際儀礼用の部署に特化する案もあったが、30年代のクーデターの記憶がある扶桑国民の嘆願で、連隊への縮小での存続は認められ、本土の有事即応部隊としての側面は残された。)の儀礼用に残す事は続ける。数十年後には、軍馬の生産設備の半数以上はレース用サラブレッドの生産施設に転換されるが、種の保存目的で何箇所かの牧場は存続していたという。
「どうなるんですか?」
「数十年後に何箇所かを残して、多くがレース用のサラブレッドの生産施設に転換するだろう。一気にエレカを普及させろって声もあるが、エレカは21世紀後半でなきゃ、バッテリーの劣化問題を解決できねぇし、ガソリン車よりトルクが細いからな」
「バッテリーですか?」
「21世紀前半までの技術じゃ、バッテリーの経年劣化での航続距離低下が避けがたくてな。のび太が成人したばかりの頃に、経年劣化が問題になって、一時は水素自動車に期待が集まったが、これもいろんな問題が解決できずに終わった。22世紀終わりに核エネルギーに代わるエネルギーとしての光子力に期待が集まったが、地球上の鉱脈が富士にしかないから、これも駄目。結局はタキオン粒子の波動エンジンで落ち着いた。核エネルギーへの忌避感が強いから、より強く、無限の波動エンジンに飛びついたわけだ」
波動エンジンも更に強大なモノポールエンジンが後に発明されると、最強の動力源の座を明け渡すが、モノポールエンジンは欠点が多かったため、後に波動エンジンと融合した『波動モノポールエンジン』へと発展。25世紀の戦乱で、数百年にわたって存続した敵性国家『セイレーン連邦』がゲッター聖ドラゴン(真ドラゴンとエンペラーの中間形態。真ドラゴンが完全に自己意思を得た後に更に進化した。ゲッターエンペラーの肉体の母体である)と当代のハーロック、宇宙戦艦ヤマト、更に『聖ワルキューレの火』の力で本星が滅ぼされ、一夜で国家そのものが瓦解する。地球連邦はその後にまたも停滞の時代を迎えるが、イルミダスに追い込まれる時、ゲッターの究極進化型『ゲッターエンペラー』が覚醒める。ゲッターエンペラーとアースフリートが本格的に『失地回復』と敵対国家の殲滅のために、地球から出撃していくのである。
「敵は波動エンジンに加え、エンペラーの目覚めを恐れている。あの領域になると、異能生存体以外の因果律に干渉できるからな。故に、23世紀の内にどうにかしちまえと、敵もあれこれ干渉し始めた。ハーロックたちがそれに気づき、技術を提供し始めたわけだ。それが、ジオン残党との戦争が急に終わった理由だ」
「すごいですね…」
サテライトキャノンの実用化が間に合った理由も、のび太の子孫がハーロックからの技術提供を受けたからである。結果、基礎技術に差が生じたジオン残党は目論見を尽く阻止され、デザリアム戦役でネオ・ジオンは瓦解している。
「お前がプリキュアに戻ったことは、日本側にある種の衝撃を与えた。日本でも有数に人気のある世代のプリキュアだったから、文科省が騒動を起こした時に大事になった。基本的に軍に冷淡な連中が顔面蒼白になったし、政治的な駆け引きでプリキュアの夢を潰したってんで、文部科学大臣が更迭された。おまけに予備士官制度に大打撃を与えたようなもんだから、お前は防衛省からも、腫れ物に触るような感じで扱われるだろう。ま、連中をギャフンと言わせたから、そこはお前の功績だ」
「それで中佐に昇進したんですね、あたし」
「慰謝料代わりに昇進させるから、『これ以上大事にしないでくれ』って意思表示だ。防衛省は財務官僚を一番に恐れてるからな」
防衛省はのぞみが当事者となった騒動への懲罰的な予算削減を恐れており、のぞみを中佐に昇進させ、黙ってもらう事が『穏便な収束』と見なしていた。そのため、のぞみへの逆襲を目論んでいた懲戒免職処分になった『件の官僚』を色々なもの共々、ゴルゴ13に始末してもらっている。(文部科学省などに都合の悪いものを多く含んでいたため)
「でも、メカゴジラやスーパーXはいつに作られたんです?」
「バブルの時代に余った予算で作ったそうだ。旧軍の研究を引き継いで、その時代に具現化した。革新政党は2011年の地震の時にその存在を信じなかったんで、自衛隊を罰するつもりだったらしいが、政権再交代でだめになったらしい」
「その時代に、よく造れましたね」
「オーバーテクノロジーの遺産は残ってたらしいから、それで造ったらしい。ダイ・アナザー・デイで表に出したんで、国会が紛糾したらしいが、バブルの時の遺産ってんで、逆に話題になった」
メカゴジラもスーパーXシリーズも、試作型は80年代半ばに完成済みであった。ただし、スーパーXは落雷で故障が起こり、墜落事故を起こしたため、Ⅱでは無人操縦型になったが、Ⅲでは有人に戻されている。ダイ・アナザー・デイでは、現存する『スーパーXⅢ』が投入され、怪異を冷凍兵器で凍結させ、海に墜落させる離れ業を見せている。また、メカゴジラは怪獣型の移動砲台と割り切って運用され、相応に戦果を挙げている。日本軍の秘匿していた技術の結晶がそれらであるため、東條英機の名声が更に低下する結果になったが、東條は安定生産が可能になる時までは自前の技術を用いるという方針であったため、あ号作戦で連合艦隊が敗北した後に方針転換したわけだが、時既に遅しであった。東條は良くも悪くも軍官僚であったため、軍略家たり得なかった。彼の不幸は『官僚型軍人でしかないのに、永田鉄山亡き後に祭り上げられてしまった事』に集約される。
「結果として投入されたそれらは、日本連邦に今後の覇権を与えるが、それが統合戦争のきっかけになるから、皮肉なもんだ」
圭子は存在そのものが統合戦争への伏線となるそれらを皮肉った。統合戦争までには、21世紀初頭時点では『100年以上の時間』があるし、統合戦争以上の破局『一年戦争』まででは更に時間がある。オーストラリアにしてみれば、『シドニーとキャンベラは、22世紀後半にまるごと消えてなくなります』、フランスにしてみれば『パリが無くなってます』は夢物語にしか思えないだろう。ネオ国家系コロニーが相次いで建設された理由は『人々の旧国家への郷愁を認め、それぞれの地域にあった独自文化の保存』であり、学術的にも大きな意義があった。ところが、ジオン残党は『スペースノイドの団結を乱す』と猛批判し、馬脚を現した。その頃からジオンへのスペースノイドの求心力は失われ初め、デザリアム戦役で消滅する頃には、異星人のデザリアム帝国にさえ、『スペースコロニーだけで食っていけると思っているアナクロニズムの輩』と切り捨てられている。
「統合戦争って、なんで起こったんです?」
「日英による国連の再編案が発端になって、日本でのもろ他の出来事が直接的な引き金になって起こったそうだ。数十年も続いて、ようやく完全に終わった数年後に一年戦争が起こったそうな。ジオンはM粒子でインターネット文化を意図的に衰退させ、世論をコントロールしやすくした上で戦争を起こしたが、戦後に技術者の多くがそれを反省した。メカトピア戦役の時までに情報インフラを一年戦争前に近いレベルに戻したのは、ジオンの事があったからだ。結果的にティターンズの台頭にも利用されたからな」
ジオン系の技術者の少なからずは『情報インフラの衰退がザビ家の専横を招いた』と反省し、情報インフラの復旧に残りの生涯を捧げた。結果、銀河ネットワークの構築という形で、21世紀以降に確立された情報インフラは復活。地球連邦の自浄作用が蘇ったのも、その復活が寄与している。そして、それが復活しきる前に『事を起こした』のがジャミトフ・ハイマンであり、ハマーン・カーンである。デザリアム戦役の際にタウ・リンは『連邦もジオンも、イデオロギーで人を殺す!』と述べていたが、結果的にジオンの『選民意識』が連邦の愚行以上の殺戮を引き起こした。宇宙戦争時代に入ったことで霞みがちだが、同じ種族同士で『億単位を殺した』点で、ジオンは群を抜く。統合戦争の全期間の死者を遥かに超える数を達成したのだから、
「で、コロニーや隕石をボコンボコン落とされちゃたまらんと、サテライトキャノンが計画されたが、戦闘衛星に積む案に始まり、最終的にエネルギーソースを外部にすることで目処が経ち、MSがそのエネルギー供給に耐えられるようになったんで、お前のガンダムX系に繋がった。つまり、サテライトキャノンは一年戦争で主要都市を失った諸国の科学者たちの血と汗と涙の結晶なんだ」
ジオンは自分達以外のスペースノイドを否定し、同胞にも躊躇ない虐殺を働いた。そのことへの義憤がサテライトキャノンとガンダムX系の誕生を具現化させたわけだ。
「のび太の子孫たちに感謝しろよ。あいつらがアナハイムやキャプテン・ハーロックを動かしてくれなきゃ、ガンダムXはこの世に存在しない」
「わかってますよ。世界によっては、地球をガンマ線レーザーで焼き払おうとした勢力がいたようだし、それもあって生まれたんでしょうね。それに、ヒーリングアニマルの過激派は人間を浄化しようとしていたし、スタープリンセスに至っては、人間を利用してた。ゲッターエンペラーが聞いたら、その場で叩き潰してますよ」
「ヒーリングアニマルは多分、世界によってはだが、エンペラーが捻り潰しとるよ。星の意思だろうが、ゲッターは宇宙そのものの意志だ。どっちが上か、ガキでもわかる」
圭子は『ヒーリングアニマルの過激派がどこかの平行世界で事を起こしたが、ゲッターエンペラーが彼らを捻り潰したであろう』ことを悟っていた。彼等の理屈だけで、一つの種を滅亡に追いやっていいわけはなく、その世界でプリキュアに与していた者以外は無慈悲に殲滅させられているだろうと目星をつけている。ゲッターエンペラーはそれだけのパワーがある』からだ。
「スタープリンセスも?」
「ゲッター線を生み出した者にとっちゃ、そいつらはガキンチョ同然だ。神々は戦闘兵器として、地球人を生み出した。地球人が『自分達も及ばない存在を倒すこと』を望む。そのためには、他のいかなる存在も、いわば『地球人を戦闘兵器に仕立てる』ためのあて馬だ。ヒーリングアニマルだろうと、スタープリンセスだろうとな」
ゲッターの意思が望むことを知っているためか、ゲッターエンペラーの最終目標の前には、ヒーリングアニマルであろうが、スタープリンセスだろうが、所謂、『あて馬』に過ぎない事、別の世界で地球を攻撃した『アンドロメダ流国』もそれにあたる。
「地球人にとっちゃ、ゲッターたちの庇護は希望だが、他種族にとっては悪だ。そいつらにとっては『宇宙を破壊する機械の化け物』だろうと、地球人にとっては守護神なんだからな。ある世界にいた、アンドロメダ流国っていう種族は『降伏など認めず、その細胞の一片までも根絶やしにする』戦争で地球人の根絶を図ったが、人類の嘆きに呼応して、ゲッターエンペラーが目覚めた。そこからは真逆の殲滅戦に移行した。これは極端な例だが、ヒーリングアニマルの過激派は『有無を言わさずに浄化して、猿に戻しでもした』んだろう。エンペラーの怒りに触れたら、その瞬間に全てが終わる」
ゲッターエンペラーは恒星系、あるいは銀河ごとの殲滅も躊躇しない苛烈さを持っており、味方側の種族でさえ『エンペラーが来たら、和解もクソもないぞ!』と恐れている。つまり、ゲッターエンペラーは『地球に味方すれば、寛容を以て接するが、敵対すれば殲滅する』という思考で動くため、中世以前の十字教が行っていたような事を宇宙時代にしていると揶揄されてもいた。
「なんか、中世以前の十字教みたいな……」
「エンペラーはそういう思考だ。だから、23世紀のウィンダミアが『地球殲滅』だとか、『地球連邦政府の打倒』なんて言ってみろ。あそこの星団ごと、ゲッタービームで消え失せるか、本星がエンペラーイーグル、エンペラージャガー、エンペラーベアーの三隻に物理的に押しつぶされて終わるぞ」
「すごいですね、それ……」
「ゲットマシンの時点で惑星サイズだ。そんなのが合体したら、太陽系サイズになるんだぞ?そんなのが暴れてみろ。小さい星団は消し飛ぶ。あそこが変な気を起こさないといいが……。ウィンダミア王国なー」
「あそこは現地の連邦軍の失策のせいで恨んでますからねぇ」
「そこなんだよ。ケイオスがいるが、事態はアニメ通りにいくはずだ。場合によっては、ヴァールシンドロームを無効化できる手段を持つあたしら(この場合はロンド・ベル隊)が出向く必要があるかもしれねぇ」
「ソノウソホントとか使うんですか?」
「ウルトラスーパーオールマイティワクチンを接種しといて、フォールド細菌への耐性をつける案も出てる。連中、おったまげるぞ。ま、ソノウソホントを使えば、ヴァールシンドロームどころか、プロトカルチャーの遺跡の効力も無くせるけどな」
「どうなるんですかね」
「ウルトラストップウォッチで時間停止してる間に、王様を拉致る案もある。ゲッターエンペラーが来ちまったら、全ては終わる」
圭子はこの時、ゲッターエンペラーが来ないように、ウィンダミア王国で起こる動乱を早期に収めたいと願っていたが、結局、宰相のロイド・ブレームが政権を掌握し、方針を過激化させるに至り、ロンド・ベル隊による鎮圧を敢行。彼等には(ドラえもんの持つ道具の力もあり)ヴァールシンドロームも意味をなさないため、ウィンダミア軍はロンド・ベルの前に屈する事になる。ウィンダミアの王は早期和平派であり、国の独立の担保がなされれば、兵を退く意思であり、自分の本意ではない戦争は望んでいなかった。ロンド・ベルにより、軍の七割が戦闘不能に陥り、プロトカルチャーも持てなかった『タキオン波動エンジン』と『波動砲』を持つアースフリートの主力が更に援軍として登場。彼が事態を把握した時には、まさに前門の虎、後門の狼な状況に陥っていた。和平の調印が宇宙戦艦ヤマトの艦上で行われ、国の存続が認められた時が、同国の当代の若き王『ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミア』にとって、最も安堵した瞬間だと記録されたという。(ゲッターエンペラーの介入を前王が異常に恐れていた事を考えれば、だいぶマシな顛末であった)