ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回はオムニバス編の更新です。


第五百二話「菅野直枝の一苦労」

――統合戦闘航空団の統合後、それぞれの国の都合で、隊員が次々に本国に召還されたり、参謀本部付きの参謀にされたため、残った隊員は実際には多くなかった。残ったのは転生者だとカミングアウトした、ないしは異能に覚醒したカールスラント組が中心であった。そのため、ダイ・アナザー・デイでプリキュアが覚醒した後は『扶桑人とその仲間ご一行さま』の様相を強めた。戦争が始まって、しばらくした頃――

 

 

「あれ、直枝じゃん。どうしたの?」

 

「アンタか。いやさ、今度、日本の雑誌企画でインタビューされんのよ、オレ。アニメと違う道筋辿ってんだぜ?雁淵(孝美のこと)とは同期だけど、あまり交流はしてこなかったからよぉ…」

 

 

のぞみは食事のために食堂にきたが、菅野が先客でいた。なにやら愚痴っている。

 

「あー…。大変だねぇ」

 

「おまけに、アニメだとさ。オレ、馬鹿な犬っころみてぇに、周りにギャンギャン吠えてるキャラなのよ」

 

「あー。お前、こっちだと、一応は大尉だったもんね」

 

「こっちだと、黒江さん達の武勇伝のほうが有名だから。おまけに、リバウの撤退戦は記憶あるか?」

 

「うん。まだなる前だけど、会ってたでしょ?」

 

「ああ。坂本さんがメタ情報で参戦させてくれたんだが、あの人が目立ったんで、雁淵(孝)は埋もれた。なにせ、シグナムさんの技だもんな」

 

「孝美も盛られてたよ。実際より20は」

 

「なんでだ」

 

「坂本先輩、あん時は療養中って扱いだったから。孝美を盛らないと、現場のメンツが立たないって奴」

 

「なるほどな。で、あん時、オレなんて、11くらいだったが、奴は13くらいだったっけか」

 

「あたし……錦としてだけど、14。当時はまだ新人に毛が生えたくらい」

 

「孝美も盛られてたよ。実際より20は」

 

「なんでだ」

 

「坂本先輩、あん時は療養中って扱いだったから。孝美を盛らないと、現場のメンツが立たないって奴」

 

「なるほどな。で、あん時、オレなんて、11くらいだったが、奴は13くらいだったっけか」

 

「あたし……錦としてだけど、14。当時はまだ新人に毛が生えたくらい」

 

「な~にをつるんでやがる」

 

「あ、ケイ先輩」

 

圭子はこの時、いつものタンクトップとホットパンツ姿。タトゥーシールもバッチリ貼っているため、遠目からはカタギに見えない。

 

「あんた、ほんと変わったよな」

 

「いい子ちゃんでいるのは飽き飽きなんでな。『今回』は好きにさせてもらってるだけだ。ゲッター艦隊の厚意でここにいるわけだしな」

 

「先輩、なんかぶっ飛んでますね」

 

「素を出してるだけだ、幸い、あたしは小説と同人のキャラだから、日本での知名度も低いからな」

 

「メタいなぁ」

 

のぞみと菅野が同時にツッコむ。圭子はゲッターの使者となっており、本来はゲッター艦隊の一員として戦う義務があるが、ゲッターエンペラーの厚意で『魔女の世界』に舞い戻った。舞い戻った後は『問題児』扱いで、江藤からは『年下と一緒にバカをする年齢か?』と釘を刺されたことも多い。とはいえ、圭子はゲッターの力による恩恵もあり、文句なしに事変当時のトップエースかつ、大物食いであった。

 

「生身でシャインスパーク撃てる時点で、充分に超人だもんな、あんた」

 

「当時は個人戦果が秘匿されちまったがな。ミーナの一件で慌てて公表されたが、されたらされたで、中堅と古参の世代闘争になっちまった」

 

「普通は信じねぇって。1937年の時点で数百以上の怪異なんて。そん時の装備を考えてみてくれよ」

 

「そうですよ。今のあたしが言えたことじゃないけど」

 

「当事者は無条件で崇拝したぜ?まぁ、ガキどもにとっちゃ非現実的だもんな」

 

三人は食事をしながらも語り合う。圭子の超人ぶりは当事者には忘れようがない出来事だが、そうでない人間たちにとっては非現実的なものでしかない。それがミーナには不幸の始まりであったのかもしれない。

 

「あんたの部下だから、今度のインタビューで何か質問されそうなんだ。助けてくれ」

 

「そんくらいなんとかしろ、ばぁーか」

 

「ケチンボー!」

 

菅野はこの時期においては、配置換えで圭子の配下になっていた。黒江がプリキュア達の指導担当になり、その業務で多忙なためと、菅野の闘志を買った武子が圭子のお目付け役を任せたためである。

 

「でも、先輩。ミーナ、本当に知らなかったんですかね」

 

「あの事件の後、グンドュラに命じて、詰めの調査をさせた。ユニからの報告だと、本当だということが確定した。ミーナは1930年代前半は軍と縁がない歌手志望の子で、1937年の時点では入隊していない。入隊は戦局が切羽詰まった時期。しかも短期間で分隊長に任じられている。座学を受けた形跡はない」

 

ミーナの一件が公にされてからは『魔女にも座学を一定程度は履修させないと、国際問題に発展してしまう』と認識され、扶桑では『日本連邦大学への通学』が推奨されるようになった。これは以前と違い、『銃を撃てて、一定程度の語学さえあればいい』状況ではなくなったからだ。

 

「あちゃー……」

 

「これが下士官以下なら笑い話で済むが、あいつは部隊長級の上級将校だ。国際問題になって当然だ。それも統合戦闘航空団の隊長。単純に『ごめんなさい』で済む立場を大きく超えてるよ。だから、発表前に処分を済ませたんだ。素直に発表したら、扶桑の国民が暴徒化するからな」

 

連合軍司令部が査問でミーナを厳しく追求したのは当然のことだが、処分を済ませておかないと、下手な報道では、扶桑の国民が怒って暴徒化し、在扶カールスラント人が危険にさらされるからだ。田舎では、いくつかのヘイトクライムに発展してしまったという情報がある。

 

「だが、ラジオで断片的に報じられたから、田舎でヘイトクライムが起こった。すぐに押さえつけたが、大事になりかねなかった。カールスラントの皇帝が緊急で詫びの声明を出したり、ガランド閣下が談話を出したのはドイツの介入を避けるためだったが、結局は介入された。おかげで、あの国はNATOの軍政下で、立ち直れるかもわからん」

 

ドイツの介入はあまりに強行的・強権的であったと、NATO関係者も嘆息であった。軍事国家化していたカールスラントを無理に短期間で体制を転換させようとしたため、国家運営そのものが破綻。皇室の亡命と無政府化に陥った。共和制が史実より支持を得ていない世界であったため、カールスラントを見限った人々は日本連邦にあらゆる財産を持ち込んでいった。これはドイツも困惑する事態であった。その最大のきっかけがミーナの一件であったので、ミーナは25年位は祖国の土を踏めないだろうと言う。

 

「なんで、25年なんすか」

 

「そのくらいで、人口構成の主力が世代交代するからだ。子供の世代になれば、ヤツへの視線も和らぐ。日本もそんくらいで、軍人への視線が和らぎ始めたからな」

 

ミーナが許されるには、その子供の世代が1945年時点での大人たちに代わって、社会を担い始めるであろう1970年代以降を待たねばならない。それが圭子の示した回答であった。カールスラントは結局、混乱が長く続いた。現地の混乱を鑑み、NATOも共和制への転換を諦め、立憲君主制国家としての再建に舵を切る。史実と違い、怪異の存在により、民族をまとめる象徴が必要な世界であることを理解したからだ。

 

 

 

「カールスラントは再建に何年かかります?」

 

「史実より中がボコボコになったからな。下手すりゃ、21世紀になるまでは経済的な大国にも戻れんだろう。当分は民需で稼がんとならんだろうから……」

 

「軍事的には宛にするな、と?」

 

「あたしらが大国として振る舞うしかないだろうな。ビスマルクとティルピッツはアイオワ級やモンタナ級に立ち向かえねぇし」

 

額面上は他国の40cm砲艦に立ち向かえるとしたビスマルク級だが、実際には基礎設計の古さにより、キングジョージ五世級にも劣勢であったという記録がある。Z計画も棚上げされたため、結局は日本連邦の超大和型戦艦が連合軍のシンボルとして君臨するようになった。カールスラントは本来、1945年までに『大洋艦隊を復活させる』構想を持っていたが、カール・デーニッツの潜水艦偏重の施策とドイツの介入で破綻。結局、妥協的に鹵獲品を修復して済ませる手段で細々と海軍を再建せざるを得なくなり、大和型に対抗するどころではなくなった。扶桑はそうした状況が味方し、相対的な意味で超大国になりつつあった。日本はこれを望んではいなかったが、史実のアメリカがそうであったように、誰かが矢面に立たねばならないのだ。

 

「カールスラントは可哀想だな。必死に疎開しても、その疎開先を内乱で荒らしてよ……」

 

「二等国にも留まれるかどうか。だから、扶桑が超大国にならざるを得ないのさ。カールスラントの軍事力で持ってたような組織だしな、連合軍」

 

 

カールスラントの組織的な軍事力が霧散した影響は甚大であり、カールスラント寄りであったスオムスは日本連邦が智子の一件の報復措置としての経済制裁を匂わせると、平謝りで擦り寄り始めた(経済制裁で資源を輸入制限されると、立ち行かなくなるため)し、シャム(タイ)は扶桑からの自立を志向していた派閥が失脚し、扶桑への軍事的依存を深めた。その他の小国も大国への軍事的依存が深まり、皮肉なことに、軍事的な統合は一連の混乱で進展したわけだ。カールスラントという庇護者を失ったヒスパニアはフランコ将軍が失脚し、早期に王政復古を成し遂げたが、自国の維持もおぼつかない有様。今や、連合軍という枠組みもあってないようなもので、扶桑の外征の方便と化しつつある。

 

「軍事的にうちらが影響を強めるための一環でのインタビューだから、あまり堅苦しいのはやめとけ。菅野、お前は凝るから、言っとくが」

 

「ちぇー」

 

「でも、先輩。なんで曲芸しないんです?」

 

「大昔に事故って死にかけたんだよ」

 

「あんたの唯一のトラウマってやつか」

 

「それで曲芸はやる気しねぇんだ。智子にやらしとけ」

 

圭子は唯一、曲芸飛行は転生前の出来事を理由に断っており、曲芸飛行には参加しないのが常である。圭子の唯一の苦手なものであった。

 

「基本はやるが、こまけーことはやらん。綾香にやらせろよ。あいつはブルーインパルスの在籍経験者だぞ」

 

「あ、そんなこと言ってたなぁ。それで親父さんを極秘に日本のブルーインパルスの視察に連れてった事があるとか」

 

「2011年か、その次で異動になったから、ずいぶん前のことだな。その三年か四年前(佐官時代)に一本釣りされたんだと」

 

「へー。あの人、実戦部隊一本槍かと思ったぜ」

 

「その後に教導群に数年いたって奴だな。あいつ、親父さんの肝いりで潜入させられてたから、空自に人気なんだ」

 

黒江は統幕入りは成らなかったが、その代わりにブルーインパルスや飛行教導群の在籍経験があり、2015年ごろに統括準備室長になっている。源田実のお気に入りということで、嫌う者も多かったが、源田ほど成功した航空参謀がいないのも事実であり、ブルーインパルスの生みの親である彼のお気に入りであるのなら、パイロットとして上級である。

 

「空自は親父さんが育てたようなもんだしな」

 

「まあ、あいつは内規を逆手に取ってたが。陸海ともつながりを作れるって。扶桑の生え抜き将校が自衛隊に潜入してるってのは、相当にセンセーションだったしな」

 

「先輩、それで戦車や船も?」

 

「準備室の時にあれこれ潜り込んでたからな。で、生え抜きの職業軍人が自衛隊の教育を改めて受けてる理由がわからんって、2016年くらいに言われたそうだ。で、五十六のおっちゃんとかをあたごに連れてきた時なんて、アポ無しだったから、艦長が泡吹いたとか言ってたぜ」

 

黒江はM動乱後に、山本五十六などの命で海自の持つノウハウを扶桑海軍にもたらす役目も背負わされていたため、アポ無しで、扶桑の高官を連れてくる事があった。ある時は山本五十六をあたごに、また、ある時は岡田啓介と鈴木貫太郎に幹部学校で講演させたという。

 

「で、2017年の観艦式に岡田のじーさまと鈴木老を?」

 

「元総理だけど、大将だしな。大騒ぎになったぜ」

 

海軍系の大物ばかりではなく、山下奉文大将や前田利為大将を富士総合火力演習に招くなど、日本側を冷や汗たらたらにさせる大物を連れてくることが多かった。自衛隊としても、旧軍の将官クラスに技能を観閲してもらえる機会ではあるのだが、彼らへの応対にふさわしい階級の自衛官を現地で待機させなくてはならないため、事前通告を嘆願していた。思いつきで呼んできた者もいたからだ。

 

「そいや、小沢のおっちゃんが司令長官をやめた後、あいつが暇つぶしにって、あいつが仕事で視察するいずもに連れてきた事あったな。例によって、いずもの連中は最敬礼だったらしーぜ」

 

「大物ですからねぇ。それも空母機動部隊の生みの親で、最後の司令長官。いずもの連中、腰抜かしたろうな」

 

「いずもとかがも空母化するから、空母機動部隊の生みの親に見せられたのは嬉しかったって、先方が言ってたそうだ。加賀クラスの大きさだしな、いずもは」

 

史実より早く空母化の決まったいずも級。2023年度中には、いずもが試験的にGフォースの指揮下で運用される見込みであった。扶桑がF-35よりコンパクトなコア・ファイターを持っているからである。

 

「多聞丸のおっちゃんは?」

 

「ああ、司令長官就任が決まった時に、防衛省とかに挨拶回りしたんだそうだ。日本の連中も大歓迎だったそうな」

 

「あー…」

 

「MIで死んじまってるはずだから、司令長官への就任は抜擢だ。航空閥の提督だから、文句つけようがないだろ?」

 

「日本側は豊田さんや宇垣さんらは嫌いだけど、多聞丸は大好きだからなぁ。豊田さん、愚痴ってたっけ。日吉の引きこもりって野次られてるの」

 

豊田副武や宇垣纏、黒島亀人などは『代わりなどいくらでもいる』と冷遇する日本の人々だが、山口多聞、小沢治三郎などは厚遇しており、史実の主流派からは文句が出ていたという。

 

「ニミッツのおっちゃんより塩気あるんだがな。大和や武蔵で死にたいって愚痴ってたんだぞ、大淀に司令部のあった頃」

 

大淀はごく一時期に旗艦であった。M動乱の直前であった。連合艦隊司令部も日吉に移るはずであったが、日吉移転がポシャったため、改修された大和に置き直され、動乱中に信濃、三笠(二代)へと変遷している。日本側の世論が大淀が連合艦隊旗艦であるのを認めず、日吉への移転を非難したための妥協案として始まったのが、戦艦の近代化改修なのだ。その妥協が播磨型や三笠型を産むきっかけになったわけであるが、大淀の実戦の機会が失われたことでもある。

 

「この世界でも言ったんですね?」

 

「大淀は憤慨してたけどな。大淀はこれで出撃の機会を失ってな。直に博物館行きだろうな」

 

大淀は姉妹艦共々に、1940年代末にヘリコプター運用の試験に駆り出された後、軍役を解かれ、博物館船になる。これは大淀の船体が高度な近代化に適さないという問題もあったからで、連合艦隊旗艦経験のある船という事から、意外と購入希望の自治体は多かったという。

 

「どうりで、動かしてないわけだ」

 

「代替の護衛艦が竣工してきたからな。あれを直すくらいなら、こんごうやあたごのコピーを使うほうが早いくらいだと。金剛型は呉で擱座したから、解体工事中。一隻は直して、日本に売りたいとか」

 

金剛型の内、修復が成功したはずの榛名は当初、ダイ・アナザー・デイに向けての修復が決まっていたが、日本側が反対したことで流れてしまい、クーデター事件で艦尾を損傷させられてしまったことで復帰が諦められていた。霧島は潜水艦の攻撃で沈没し、金剛はまっ二つにへし折れ、比叡は炎上でスクラップ同然。榛名のみしか残っていなかった。そのため、日本側は『艦齢の古い金剛型を修復するくらいなら、大和型の増強でいい』という見解であったが、扶桑の人々は榛名のみでも救えないのかと嘆願し、やっと実現した修復工事であったので、クーデター軍の行為に激昂した。榛名はこうして、日本への売却艦のリストに載ることになったが、扶桑の自治体がいくつも購入を希望したことで、オークションが開かれるはずであった。戦争勃発で保留になり、今は神戸の港に繋留されている。退役したばかりの摩耶の隣だ。退役軍艦のオークションは扶桑の外貨獲得の手段ともなりつつあったが、戦争勃発後はそれどころではなかったりする。

 

「オークション、やる余裕ないだろ?」

 

「扶桑は売り払いたいんだが、世論が許さないんだよ。高い税金を取り立てられて作った軍艦を売り払うの。愛鷹の一件のせいで、ケチがついてな」

 

「あれなー…」

 

軍艦払い下げオークションは扶桑臣民には屈辱と捉えられていたが、効率のいい外貨獲得手段であり、旧式軍艦の平和的な処分方法であった。だが、愛鷹の一件で否定的な論評が広まり、海軍を困惑させていた。カールスラントはその点からも、長らく後ろ指をさされることになった。」

 

「長門と高雄が日本に買い取られたってもあるんだろうけど、海援隊に流せなくなったのに、手元に残しておく必要が?」

 

「そうなんだ。日本に売っぱらいたいが、国民感情がな。愛鷹があの有様なせいだ。返却の時はデーニッツをぶん殴ったぞ、あたし。あの潜水艦フェチめ」

 

「さすが…」

 

圭子は愛鷹が返却される際のエピソードを話す。カール・デーニッツをぶん殴ったというように、カールスラントが放置していたせいで、扶桑の国民が軍艦の売却に拒否反応を見せるようになってしまったのも扶桑軍には多大な衝撃であった。とはいえ、戦争が終われば、旧式の軍艦は解体されるのが常。全てを残せるわけではないのだ。

 

「お前はアニメでキャラが割れてる。だから、いい子ちゃんぶれないってのは知っとけ。だが、アニメより階級が上で、立場も分隊長なことはアピールしとけ」

 

「分かってるって。だけど、雁淵の妹とは最近に関係持ったばかりってのは言っていいな?」

 

「それは本当のことだからな。アニメとは状況が違うし」

 

魔女の世界はアニメとしての「ワールドウィッチーズ」シリーズとは状況がまるで違う。1945年で既に引退済みとされた世代の魔女が揺るぎないエースに君臨していたり、プリキュア達が連合軍の希望として見なされていたりしている。芳佳がサバサバした性格になり、烈風をレシプロ時代最後の愛機にしていたり、怪異がさほどは脅威と見なされなくなりつつあるからだ。

 

「智子やあたしが未だに現役張ってる時点で、アニメとは違う世界だってのは示されてるはずだ。あたしは三十路、智子も年齢がアラサーだしな」

 

魔女は本来、十代半ばくらいが最盛期とされるため、この世界では『儚い一時の夢』というのが強調される形になり、その柵を超えた者たちへの妬みが世代間闘争に発展した。世代を問わず、『人々の信奉を集めた魔女はそれを超えられる』という実例であるが、『怪異が駆逐されれば、魔女そのものが消えるのでは』という憶測が同時に世界に流れたことも魔女達の精神的混乱を招き、今日の有様となった。連合軍が異能者や超兵器に頼り切りになったのは、魔女達の界隈が世代間対立で分断され、対ティターンズ戦線で戦力にならないからである。

 

「ティターンズは非道の集団だが、元は連邦政府の生み出した連中だ。そこが日本側に理解されにくい点だ。エゥーゴは良識派が反連邦の衣を纏って生まれ、グリプス戦役で政権を得たってのもな」

 

エゥーゴとティターンズはグリプス戦役後、官軍と賊軍の立場が入れ替わっている。連邦政府内部の勢力争いに『地球至上主義者が負け、良識・融和派が勝った』というべきだが、連邦政府の守旧派はのらりくらりと生き続け、それが第二次ネオ・ジオン戦争の遠因となった。

 

「インタビューだと、ティターンズが下手に官製の組織だったから、ツッコまれると思う。Zガンダムとカミーユ・ビダンの名前を出しておけ。Zガンダムがいる側なら、素人目にも善玉(一応)ってわかる」

 

ティターンズの出自は地球連邦にある。任務上の後釜がロンド・ベルにあたるので、悪いことばかりはしていないはずだが、わずかな間にした非道がジオン軍と同等以上の凄まじいものだったのが運の尽き、グリプス戦役中に除隊したか、上層部の悪行を感知し得なかった場合を除くと、ほとんどがジオン残党に与するなど、本末転倒の有様。ラプラス戦役後のネオ・ジオンの解体時の士官の多くは生え抜きのジオン軍将校ではなく、行き場を失ったティターンズ出身者や連邦の脱走兵であったように、ティターンズは解体後、連邦政府の暗部として封印されたため、残党の多くはネオ・ジオンと同盟関係を結び、ネオ・ジオン解体後は統合している。

 

「今の連邦政府にとっちゃ、ティターンズは反連邦組織だ。ジオン残党と同レベルのテロリスト。それがリベリオンを抑えたのに疑問が出るが、ティターンズには旧アメリカの出身者も多いからな。抑えるのは容易だ。それと、ロンド・ベルは任務上は連中の後釜だから、気をつけろ。日本は伝統的に判官贔屓だからな」

 

圭子はロンド・ベルの設立時の目的は『ジオン残党狩り』と『反政府運動の取り締まり』であり、それが『有事即応のエース部隊』に変質していったことを教え、日本は伝統的に判官贔屓であり、体制側である地球連邦は(内部で政権交代がされても)常に批判される側であるとも告げる。

 

「かーっ、めんどくせえ」

 

喚く菅野。

 

「ティターンズか。拷問された身としては、意趣返ししたいんですけどね」

 

「連中は南斗聖拳やら華山系の拳法を使うからな。気をつけろ。こいつ(菅野)、ダイ・アナザー・デイん時に華山獄握爪食らって、数週間は唸る羽目になったからな」

 

「あ、そうなんですか?」

 

「あんたらが地上空母に殴り込みに行ってる時の陽動作戦の時だ。幸い、魔女用の特殊繊維で出来た飛行服着てたから、肉体の再生をしなけりゃならん傷は免れたけど」

 

「あたしは南斗鳳凰拳でしたからね。今なら戦える自信あるんですけど」

 

「連中はA級のガンダムファイターと同格以上の身体能力だ。菅野、インタビューでその事は言えよ?そうでないと、ケンシロウに手もなくひねられた連中に傷を負わされたと、笑われるぞ」

 

「こっちはまともな訓練を受けてないことも言っとく。対人訓練なんて、俺たちの代は兵学校でも、海兵団でも受けてないしな。のぞみさんはボス級相手だからいいけどよ、俺なんてさ、三下相手だし」

 

のぞみは南斗聖拳最強の鳳凰拳に手も足も出なかったが、菅野は華山獄握爪なので、どうにも三下感を感じさせるために悔しいらしい。とはいえ、対人格闘術が盛んでない世界の人間が対人暗殺術が百花繚乱の世界のそれと戦うこと自体が勇気のいることである。菅野は喧嘩慣れはしていたが、既にプリキュアとしてだが、百戦錬磨ののぞみには手も足も出ない(のぞみが現役時代の経験値を引き継いでいた状態かつ、草薙流古武術を会得していたのもあるが)。元々、格闘で鳴らしたために、ここ数年の前座扱いは腹に据えかねているようだった菅野。史実より既に遥かに強い状態だが、史実とは別の人間関係を築いていたので、アニメでの自分に戸惑うのも、菅野の意外な純真さを示していた。

 

 

 

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