ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百八十七話「幕間その30 タイシンの意外な願望とメジロマックイーンの素顔」

――シンボリルドルフには人間の兄の他、ウマ娘である姉妹が二人いた。史実の記憶が宿ったことで、姉と妹も大成せず、自分のみが突然変異で天才であったことを知った。実家の厳格な教育で育てられた中で、自分がそれまでの日本の名ウマ娘(シンザン、ノーザンテースト、トウショウボーイ、ニジンスキーなど)の血統を淘汰する役目を担っていた事、自身の正統後継者のテイオーが今度は逆に、サンデーサイレンス系の力の前に飲み込まれ、子孫を繁栄させられなかった事に強い衝撃を受け、更にゴールドシップから『ディープインパクトの出現』を伝えられ、盛大に腰を抜かす羽目となった――

 

 

「なにぃぃぃ!?で、ディープインパクトだとぉッ!?」

 

「ああ。オジキが現れた。今いるウマ娘じゃ、スズカ以外に太刀打ちできねえよ、あんなの」

 

「前世がお前のオジキだが、なんだか知らんが、そこまでの力を持っているというのか?」

 

「マヤノがこの間に天皇賞かなんかで叩き出したすげえレコードあるだろ?」

 

「ああ」

 

「あれを更に更新できるほどの実力の持ち主だ」

 

「な、なんだと……!?」

 

驚愕を顕にするナリタブライアン。

 

「ブライアン、お前の実力で太刀打ちするのは困難だぞ、マヤノよりも数段上、全盛期の会長と並び称されるくらいのポテンシャルを持つからな、オジキ」

 

ゴールドシップはそう断言し、言葉を失うナリタブライアンとシンボリルドルフ。ディープインンパクトは現役期間は短いが、全盛期のナリタブライアンをも確実に凌駕していたと言われる。歴代の名馬でも、太刀打ちできるのは、全盛期のシンボリルドルフか、全盛期のサイレンススズカしかいないと評された。明確に『自分を超える』逸材と断言されたことにむかっ腹が立ったが、ゴールドシップは用意がよく、タブレットで『馬としてのディープインパクトが現役の時代』の映像を見せる。

 

「どうだ?」

 

「……これがソイツの根源なのか…?」

 

「そうだ。アタシ、スペ、スズカ、マンハッタンカフェ、タキオン、エアシャカールの奴はこいつの親父である『サンデーサイレンス』の血をどこかで継いでた。サンデーサイレンス、ウマ娘としても噂は聞いてたはずだ。そいつが『90年代前期以前の名馬の血統の殆どを淘汰した』んだ。それは会長。あんたらの子孫も例外じゃない」

 

「……クワイトファインが私とテイオーの後継種牡馬だそうだが……」

 

「キテキノテイオーってのがいるが、あれは耐える寸前の血統の保存の箔付けで、無理にレースに引っ張り出されたような奴だからなぁ」

 

キテキノテイオー。トウカイテイオーの忘れ形見だが、乗馬であったのを、血統の保存のためにレースに引っ張り出されたという経緯を持つ馬であるため、偉大な祖父と父の才能はまったく受け継がれていないとされる。つまり、ルドルフの才能をよく受け継いでいたテイオーもまた、天才だったのだ。テイオーが生徒会長になる決心をしたのは、乗馬として生きていたところを、人間の都合でレースに出されつつも、完走はする『末息子』の姿に『闘志を失いかけた自分が恥ずかしい』と心を打たれたからでもあった。

 

「私にも姉妹がいるのだが、大成したのは私だけだった。だから、似た容姿を持つテイオーは他人のようには思えなかった。平行世界でとはいえ、私の息子だとわかった以上、テイオーの家族に何かあれば、私がテイオーを引き取る」

 

「あんたの姉貴、そして、妹も大成しなかった、いや、妹さんはレース向きの体じゃなかった。そうだろ?」

 

「ああ。あの子はレース向きの体に生まれる事ができなかった。姉さまは怪我で引退せざるを得なくなった。だから、父様は私に英才教育を施した。それは成功したが、私は孤独だった。親戚のシリウスとも道を違えてしまったからな。……だからだよ、ゴールドシップ」

 

「テイオーへの入れ込みは、無自覚な『前世の因果』とあんたの寂しさが複合した結果か」

 

「笑ってくれていい。姉さまも兄さまも優しかったが……私が入学し、大成しだした後は二人にも距離を置かれていてね…」

 

ルドルフは皮肉なことに、覇道を歩みだした頃に誰かに『愛される』ことをされなくなり、その寂しさは隠しているつもりでも、現役時代に東条トレーナーの指導に盲目的であったり、新人~若手時代にトウショウボーイに懐いていた、テイオーに異常までに入れ込むなど、意外と似た者同士な要素がある。

 

「アタシも似たようなもんだからな。笑わねーよ。マックイーンはじいちゃんなんだよ、あたしの」

 

『なにィ!?』

 

「あたしのカーチャンは前世じゃ、マックイーンの娘なんだよ。マックイーンのステイヤーの才能とオヤジの頑丈さを合体させて生まれたんだよ、このゴルシ様は。だから、メジロの正統な末裔なのよな」

 

ゴールドシップはメジロマックイーンの実孫にあたるため、母方でメジロの遺伝子を受け継いでいる。その事はメジロ家当主『メジロアサマ』も存じており、ゴールドシップは表向きは外戚扱いだが、メジロの資産の一部を継承する権利を得ている。(ゴールドシップはマックイーンを介する形で、メジロアサマと血縁関係にあり、玄孫にあたる)

 

「マックイーンは知っているのか?」

 

「知らせた。ラリアット食らわされたけど」

 

「私と姉貴の末裔は…いるのか?」

 

「お前は若死にだったから、直接の子孫は絶えた。姉貴の方で残ってるかどうか」

 

ブライアンは内臓破裂で若死にしてしまった上、種牡馬生活があまりに短すぎたため、孫世代の子孫は残せなかった。ビワハヤヒデは大成した者はいないが、細々と子孫を遺していた。ハヤヒデは芦毛で80年代後半から90年代前半に王者になれた四頭の馬の一角だが、先輩格の三頭より地味な存在とされる。時代を背負ったタマモクロスとオグリキャップ、その後を継いだメジロマックイーンはヒーロー性を持っていたが、ハヤヒデは名脇役になれても、自身が時代の中心にはなり得なかった。そこもある意味での悲劇であろう。

 

「ただ、お前の姉貴も、お前やテイオーの引き立て役に甘んじてた感は否めない。お前ら三人で一番に輝けたのには、何ら変わりないはずなんだけどな…」

 

「タイシンはそれを破りたいと息巻いてるぞ。あいつににいいとこを見せたいんだろうか?」

 

「タイシンはノビスケ君に慕われることで、心の歪みが正されつつある。故に、周りへの接し方が変わったのは喜ばしいことだ。彼女のトレーナー君も、自分やBNW、それと家族以外に心を開かないと、今後を思い、憂いていたからね」

 

「あいつはあと数年で高等部を卒業するはずだ。付属大学に行くと言っているが……」

 

「私も近い内に大学だよ、ブライアン。その事があったから、テイオーに譲ったのさ。前会長と比べれば、遅すぎると言われているくらいだよ」

 

ルドルフも、高等部を去る日へのカウントダウンが始まっている。故に、テイオーに政権を譲り、残りの高校生活を静かに過ごしたいと漏らした。実際はそうはいかず、任期満了のその日まで、引き継ぎと残務整理で多忙なままである。また、地球連邦軍諜報部の協力で、行方不明のキングヘイローの足取りの一部が解明されたのは、まさにこの日の事。キングヘイローは父母の思い出の地を辿っているのでは?とする痕跡が見つかったからで、神戸行きのフェリーに偽名で乗船していたのが遂に判明したのだ。

 

「……スズカか?今、会長やブライアンと一緒だけど……なにィ、キングヘイローの野郎の足取りがつかめたぁ!?」

 

珍しく、サイレンススズカから連絡が来たゴールドシップ。エアグルーヴも病み上がりであまり動けないため、現在はナイスネイチャとスズカが副会長代行を拝命している事が伝えられる。そして。

 

「キングヘイローが神戸にいただと?本当なのか」

 

「ええ。理事長やメジロ家に入った連絡によると、フェリーで神戸に向かった事がわかったの。すぐに現地の警察に探してもらったけど、見つからなかったわ。推測の域を出ないのだけど、キングヘイローさんは……ご両親の思い出の地を巡っているんじゃないかって」

 

「……スズカ、私だ。すぐにタイキシャトル、エルコンドルパサー、グラスワンダーに事情を説明して、手を回してもらうんだ」

 

「何故ですか、会長」

 

「情報をこちらでも精査しているところだが、下手すれば、キングヘイロー君は……ご両親の思い出の地の一つであるアメリカに出国している可能性がある。私や前会長、あるいは会長代理であるテンポイント先輩の名前を出してもいい。急いで手配するんだ」

 

「わ、わかりました!」

 

「でもよ、会長。プライベートジェットとか、外洋航海ができる私有のクルーザーとか使われたら、合法的には追えなくなるぞ」

 

「非合法な手段を使おうとも構わん。カワカミプリンセス君がキング君の失踪のショックで大暴れしているので、校舎がギャグ漫画のように壊れまくっていると、エアグルーヴから連絡があってね……エアグルーヴが倒れたのも無理はない」

 

キングヘイローは同学年であるが、史実では実の子であったカワカミプリンセスに慕われていて、そのカワカミプリンセスがショックのあまり、鍛え上げたパワーで校舎のあちらこちらを破壊してしまうという珍事が発生していた。エアグルーヴが倒れていた理由の一つは大先輩のテンポイントに手荒くこき使われたことだが、もう一つは『カワカミプリンセスが物損事故を起こしまくり、その心労が祟った』のだ。

 

「スズカ、このままでは校舎や施設の全建て替えになりかねん。そうなると、理事長も他の理事たちの策謀で失脚させられかねん。テンポイント先輩には私と前会長から説明するから、君にキングヘイロー捜索に関する現場判断を任せる。エアグルーヴは病み上がりで、これ以上の心労かかかると、彼女自身のレースに支障が本当に出てしまう。そうなったら、エアグルーヴの母上に申し訳が立たない」

 

「わかりました。あの、マルゼン先輩はそちらに?」

 

「すまん。マルゼンは……ゴールドシップにプロレス技を全力でかけられてね、ベットでのびている……丸一日は起きられん。話は聞いている、スペシャルウィークには私からも連絡を入れよう。色々な事があって、あの子も気が滅入っているからな」

 

「嘘でしょ……」

 

「ゴールドシップはマルゼンが車にのめり込んで、スペシャルウィークに何の気遣いも見せないことに腹を立てていてね。ついに今日、やってしまった。マルゼンの悲鳴が聞こえて、駆けつけたら…。後はわかるな?」

 

「はい……」

 

サイレンススズカは入学からスペシャルウィークの転入までの時期、チームリギルに在籍していた。だが、管理体制の厳しいリギルの風土は『思うがままに走りたい』彼女の気風には合わず、スペシャルウィークの転入と出会いを利用し、チームスピカへ移籍した経緯上、元・チームメイトの間柄でもある。その関係と、スズカ自身がアメリカ遠征経験者である事から、キングヘイロー捜索の現場指揮を委託された。

 

「次の定時連絡までに、何らかの一報を伝えられるようにがんばります」

 

「あまり根をつめんようにな。スペシャルウィークが心配する」

 

「ええ。そのつもりです」

 

こうして、サイレンススズカはシンボリルドルフ公認で『キングヘイロー捜索の現場指揮』を託され、病み上がりのエアグルーヴに代わり、副会長代行と兼任する形で生徒会の要職に就く。ゴールドシップの行為には絶句したものの、モータースポーツにのめり込んでいるマルゼンスキーの性格と、スペシャルウィークが精神的に追い詰められ、マルゼンスキーに相談するのを避けていたという事を知っていたため、ある意味では悲劇だと考えた。だが、彼女はまだ知らない。エアグルーヴがまたも卒倒した原因となった新入生『ディープインパクト』こそは、前世での父『サンデーサイレンス』が遺した最強の遺産であり、自身に対抗し得る可能性を備えた親戚筋の競走馬が転生した存在だと。

 

 

「ところで、カワカミプリンセスが見ていたアニメだが、もしかして、プリキュアの事じゃないのか?」

 

「そうらしいわ、ブライアン。ゴールドシップに言われて、エアグルーヴが調べたのだけど、間違いないわ」

 

「どのプリキュアだ?」

 

「年齢的に、初代からフレッシュまでのどれかと思うのだけど、お姫様を目指してるから、つい最近の『GO!プリンセス』の可能性も捨てきれないわよ」

 

「今来ている世界には、プリキュアの本物がいると聞いたら、どうなると思う?」

 

「……今はやめて。エアグルーヴが心労で入院するわ」

 

「カワカミプリンセスは……昔にドラマであった『ナースのお仕事』の主人公か?」

 

「私も思ったわ……」

 

「世代出るな…」

 

「会長、茶化すな」

 

「おっと、すまん」

 

ナリタブライアンとサイレンススズカは子供時代に親に付き合い、ナースのお仕事を見ていたらしく、呆れ半分で、ため息交じりにぼやく。カワカミプリンセスがギャグじみたレベルのドジをやらかし、エアグルーヴが『カ~ワ~カ~ミぃぃ~!!』と怒る姿は、ナースのお仕事の作中でお馴染みのやり取りを連想させる。かなり古いドラマなので、ウマ娘たちも、年長の者でないと内容は知らない。サイレンススズカとナリタブライアンも『親に付き合って、再放送を見た』世代である。ルドルフも話を聞き、合点がいく表情だった。

 

 

 

 

 

――ウマ娘達は基本的にはレースのための合宿という名目で訪れているため、一日の内、午前中にレースに関する勉強会を開いている。元々は獣医で、競馬場の獣医として働いた経験もある佐渡酒造が経験と趣味で得た知見を講義したり、真田志郎からも、体を痛めないトレーニングの仕方を教わっていた。そして、ある日。(前走含めて、長く気を張っていた事もあって)根本的な気分転換がしたかったナリタタイシンは、折しも、遠征から一時的に帰還したキュアフェリーチェに頼み込み、(周囲の了承を得た上で)『入れかえロープ』を使い、一時のプリキュア生活をする事になった。元々、タイシンも公言はしないものの、プリキュアのファンであり、実家に初期の作品の録画が残っていた。(何故か、ゴールドシップは把握している)周りに言うと気恥ずかしいのと、似たような理由で一念発起したカワカミプリンセスが『お騒がせウマ娘』になってしまったため、公言できなかったが、ノビスケの何気ない一言で勇気が出、プリキュアの一人である花海ことはに相談したところ、了承を得られたので、お互いの関係者(ことは側は、非番になった朝日奈みらいが立ち会った)の立ち会いで、三日前後の入れ替わりを体験することになった――

 

 

「すみません、あたしの子供みたいなお願いに付き合わせちゃって……」

 

「気にしないでください。こういうお願いを叶えるのも、プリキュアの仕事の内ですから」

 

微笑むフェリーチェ。タイシンも魔法つかいプリキュアの事は知っていたので、フェリーチェと入れ替わったことで、後輩の『スイープトウショウ』の気持ちが理解できた。

 

「ロープの端を握って~」

 

みらいの合図で、両者が入れかえロープの両端を握る。それと同時に、ロープ内部の機械が作動し、両者の立っている位置が物理的に入れ替わったように見える。それが入れかえが成功した証である。タイシンは目を開けると同時に、みらいから鏡を渡される。

 

「嘘、本当に入れ替わった……」

 

「ドラえもんくんの時代の超技術の産物でね。原理はよくわかんないんだって。だけど、ドラえもん君の時代じゃ、デパートのディスカウント品のコーナーにあって、100円で買えるとか」

 

「ディスカウントぉ!?」

 

「私は何度か入れ替わった経験があるので、慣れました。しずかが子供の頃は、時たまですか、入れ替わりを頼まれていましたので」

 

「そ、そうなんですか」

 

「いつの時代も、魔法少女は人気者ですので」

 

「でも、心が入れ替わったのに、声とかは入れ替わるわけじゃないのは、なんでなんですか?」

 

ウマ娘側で、その場に立ち会ったウイニングチケットが最もな疑問を口にする。フェリーチェ(外見はタイシンになっている)は答える。

 

「おそらく、純粋に心だけを入れ替えるので、肉体的な変化は起きないのでしょう。ですが、あなた方は名馬の魂を持つ者。何らかの作用で、普段通りに走れるでしょう」

 

フェリーチェの言う通り、タイシンはウマ娘であるため、ウマ娘としての力が魂のレベルで刻まれており、肉体が別のものになろうと、普段通りのポテンシャルを引き出せる。ただし、入れ替わる側の肉体には相応のポテンシャルが求められるため、タイシンがプリキュアに頼み込むのは理に適う。

 

「それでは、私の体をしばらくお貸しします。レースの事から離れることで、見えて来るものもあるでしょう」

 

「自分を他人視線で見るのは……変な感じですよ」

 

「気にしたら負けですよ?」

 

タイシンは自分を第三者の視線から見るという奇妙な体験をした。のび太達は時たま、入れかえロープでお互いを入れ替わり、お互いの生活をかいま見た。そこも、のび太達四人が生涯を通して、お互いの理解者であった理由であった。

 

「でもさ、タイシン。プリキュアになれるなんて、カワカミプリンセスが聞いたらさ、飛び上がるよ」

 

「あの子だったら、興奮して、校舎や寮に大穴開けるかもね……」

 

カワカミプリンセスの噂は学園中に轟いていたため、タイシン(外見はフェリーチェ)も乾いた笑いをする。普段は能天気なウイニングチケットも苦笑いだ。

 

「でも、心が入れ替わっても、変身ってできるんですね?」

 

「フレッシュプリキュアの現役時代に、妖精とメンバーの魂が入れ替わる事件があったもので。心が他人になろうと、変身できる事はそれで実証されています。この時代からは10年以上も昔ですが」

 

ことはは妖精枠と思いきや、人間の姿に転じたプリキュアの一人である。そのため、現役時代は幼児性の強い言動があったが、この時点では野比家で精神的に成長してきたため、従来での変身後のような超然とした言動を見せている。元・神であるために、マジンガーZEROの因果律改変でも妖精時代由来の不死性は残ったからで、精神的に成長したため、公の場などでは敬語を使う大人びた言動を取る。

 

「でも、あんたの技とか、知らないんだけど……」

 

「私はプリキュアとしての変身と魔法以外にも、マジンガーとゲッターの技を念じることで使えますから、いざとなれば、そちらで対応してください」

 

「なにそれ」

 

「色々あったもので」

 

「でも、あたしの体、うまく使えるの?」

 

「案外、どうにかなるものですよ。私もここしばらくは戦ってばかりだったので、休みは久しぶりなんですよ」

 

フェリーチェの超然とした雰囲気に圧倒されるタイシン。これを聞きつけた隙にゴールドシップはあれこれと好みの写真を取りまくり、ファンクラブに売りさばく行為を働く。後日、ゴールドシップの行為を知ったマックイーンが『超おも~い蹄鉄』で制裁を加え、今度は自分が情けない悲鳴を挙げる羽目となるのである。

 

「なるほど。このようなことで、リフレッシュをしますのね」

 

「マックイーン、来てたの」

 

「はい。ラモーヌ姉さまから電話がありまして、その応対が終わったもので」

 

メジロラモーヌ。トレセン学園のOGであるウマ娘で、メジロアルダンの実姉。現世代のメジロ家の長姉であり、エアグルーヴが入学前に憧れていたトリプルティアラ達成(牝馬三冠に相当)を成した。だが、清楚なアルダンと違い、性格と言動が荒い。落ち目になった時期の苦労で心が荒んだ時期があるからである。とはいえ、全盛期はトリプルティアラ達成を成し得た初の逸材であり、歴代のメジロ家のウマ娘で最高レベルの名誉に預かったのには違いない。(アサマのミスは歴代当主の悲願であった天皇賞を重視するあまり、トリプルティアラを軽んじたためで、メジロという存在が本来、1990年代後半には既に凋落していることをゴールドシップから知らされたため、ラモーヌを顧みるようになった)

 

「トリプルティアラを達成した、あんたの長姉ね」

 

「はい」

 

「つか、よく……あたしって分かるね」

 

「雰囲気でわかりますわ。ゴールドシップがどうせ良からぬことを考えていると思いますので、後でお仕置をしておきます」

 

「だろうね。偶にはこうやって、誰かと入れ替わるのもいいかな……」

 

レースのことを考えないで済むため、ナリタタイシンはこの後も、プリキュア達(タイシン本人も子供時代に見ていたためである)の協力で、入れかえロープを使うようになる。(意外にノリノリで扮する面があったため、後日にウイニングチケットにからかわれるのだが)また、ナリタタイシンの闘争心は入れ替わっても健在であるため、敵の追尾などで最大の威力を発揮するのだ。

 

「わたくしも……一回はやろうかしら……」

 

と、意外な願望を秘めているらしきつぶやきをしたメジロマックイーンだが、彼女は後日、ノビスケにせがまれ、草野球の試合に出ることになったことで、深窓の令嬢かしらぬ『熱狂的な野球好き』を見せることになり、意外な見せ場を作る。また、元の世界の『大阪の縦縞ユニフォームの球団』からCMのオファーが舞い込み、マックイーンご執心の『ユタカ』選手との対談の機会ができ、マックイーンは絶頂の心地になり、ウマ娘界きってのオタクで鳴らすアグネスデジタルも唸るほどに舞い上がるのだった。(そのアグネスデジタルは意外なことに、芝・ダートの双方のレースのG1に勝利している強豪ウマ娘であり、その速力はオグリキャップすらも超えていると評判であった。ゴールドシップすら引き気味のオタク気質の持ち主だが、実力は本物である)

 

 

 

 

――後日、スペシャルウィークを励まそうと、ゴールドシップとトウカイテイオーが送った写真には、闘争心をむき出しにバッターボックスに立ち、全盛期のタ○ガーズの名選手達を彷彿とさせるバッティングを披露し、草野球に全力疾走するメジロマックイーンの姿が写っていた。それを見たスペシャルウィークは久しぶりに笑顔を見せ、サイレンススズカの頼みで、スペシャルウィークを励ましていたアグネスデジタルは、その画像の威力に鼻血を吹き出しながら卒倒したという――

 

 

 

 

 

 

――意外なことに、子供の頃にプリキュアの熱心なファンだったウマ娘は意外に多く、次代を担うと評判のウォッカやダイワスカーレットも子供時代に視聴者であった。メジロマックイーンはこの後、あることを思い出したゴールドシップからあることを教えられる。『カワカミプリンセスはキングヘイローとは、前世で親子(カワカミプリンセスが娘)にあたる』というもので、それを知ったメジロマックイーンはメジロ家継承者(史実のメジロマックイーンはメジロの嫡流ではなかったが、ウマ娘世界では嫡流である)としての力を使い、諸方面に働きかけ、キングヘイローの捜索にメジロ家の莫大な資産を投ずる事となる。そして、歴代プリキュアの内、比較的に手空きであったキュアミラクル、キュアフローラ、キュアラブリーの三代のピンクが捜索に協力することになり、捜査網は大仰さを増していく。そんな経緯を露知らないキングヘイローは、その頃、自家用クルーザーでアメリカへ航海中であった。彼女は傷心のあまりに思いつめていたため、世間の動きを見ないようにしていた。だが、彼女の知らぬところで、メジロ家の力を背景にしての『世界を股にかける大捜査網』が構築されようとしていた――

 

 

 

 

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