――ダイ・アナザー・デイでは、キ100が当初予定の『飛燕改』としてではなく、正面からの機影がフォッケウルフ空冷型に似ていることから、それに由来する『百舌鳥』という新規のペットネームを与えられ、実質的に隼に代わる陸軍飛行戦隊最後の主力機、空軍最初期の主力としても機能した。それと対照的に四式戦闘機『疾風』はウィッチ世界では、『航空ウィッチの嚮導機』的性格を帯びて作られており、大まかな外観しか史実と共通点がなかった。それが同機の不幸となった。同機の現生産機は自衛能力のある偵察機に転用され、史実の一型乙以降の武装を備えた本格戦闘型が急遽、開発される事になったが、ダイ・アナザー・デイに間に合うかは不透明である。怒鳴られた長島飛行機としては『いくつかの燃料タンクを弾倉に換装できるのに』と愚痴ったが、搭載機銃が従来のホ103を想定したため、それより大型のホ5(20ミリ)とホ155-Ⅱ(30ミリ)の組み合わせでは、翼の構造そのものを新規に再設計しなければならなくなった。その兼ね合いで、航続距離は史実と大差ない数値に落ち着く予定だ。これは扶桑にとっては、大いなる予定の狂いであった――
――扶桑本土――
扶桑本土では、日本側の指示で三式戦闘機以前の型のレシプロと火龍の生産中止が通達されたが、四式戦が事実上は嚮導機同然であった事で、防衛省に長島飛行機は謂れのない叱責を受けてしまう。長島飛行機の反論と企業努力で、四式戦闘機を史実同様の設計に改善する事は決められたが、長島飛行機への救済措置と見做されており、背広組からは期待されていなかった。それと対照的に川滝は『余った飛燕の活用策』(計画立ち上がり時)と聞かされ、空冷エンジンをとりあえず載っけただけの機体が主力化してしまうことが想定外であった。飛燕が空中勤務者の評判の悪い機体で通っていたため、その機体に空冷エンジンを載っけただけの機体がバカウケするなどは予想を超えていたからだ。もちろん、キ99とのコンペで『既存品で造れる』事が採用の決め手であったことは存じているが、飛燕の設計の素性の良さを空冷エンジンたる金星エンジンが存分に引き出したことは『液冷エンジンの存在意義』に疑問符をつけた。液冷エンジンそのものの航空エンジンとしての存在意義が諸般の事情で失われた事もあり、日本連邦はマリーンエンジンなどの他国向けの生産はしても、自国向けの生産は打ち切る事にしたのだ。
――発足して間もない扶桑国防省――
「何ぃ、ハ40の部品がないぃ!?ドイツのオリジナルか、マーリンでも載っけておけ!それが無理なら、キ100へ改造しろ!」
飛燕は外地部隊が主な配備先であったため、その多くが現地改造される顛末を辿った。中には、フォッケウルフの部品で空冷エンジンに換装された機体すら現れた。欧州戦線に注力されている現状では、他戦線は二の次にされていたからだ。また、部隊によってはベテランを根こそぎ転属させられたため、まともな行動ができなくなった部隊も多かったのが欧州以外の戦線の状況だ。怪異は当時、スーパーロボットの活躍で活動そのものが低調になり、ウィッチ本来の行動を取ることが減ったからだ。欧州戦線におけるウィッチの大規模サボタージュは通常部隊に取っては、はた迷惑そのもの。この時に醸成された反感が近い将来において、扶桑のウィッチ兵科の命脈を断ち切る事になる。ただし、主要国でGウィッチを最も多く有したことでの彼女らの功績により、ウィッチが部隊に出現した場合は『特技班を編成する』事で折り合いがつけられ、64Fは45年八月時点の編成が扶桑の全航空部隊で唯一、平時になろうとも戦時編成が維持される流れとなる。
――省内のある参謀たちの会話は――
「ふう。大変だよ、他の戦線に戦力を回してくれとさ」
「そんな余裕はないぞ。実務的にも、政治的にもな」
「そうだ。いくら緊急で軍学校を卒業見込みだったウィッチを何十名くらい卒業させたといっても、欧州の勤務者達がサボタージュしていては、欧州戦線に割り当てるしかない。たぶん、サボタージュした連中はこの先、何十年と誹りを受けるというのに、なぜわからない?」
「連中もまだ小娘だ。確かに、Gウィッチは魔力が永久にあり続ける異端の存在と言えるが、宮藤博士の息女のように、魔力が維持できる一族もいないわけではない。それに、あの一騎当千ぶりは軍事的に有用な存在だ。その上、聖上は彼女らを気に入っておいでなのだぞ。それを知らぬのか?」
「今の現場にいる連中の大半は事変の後に入隊した世代だ。七勇士の伝説など知らんか、年寄りの与太話と思っておるだろ。それで聖上はえらくお怒りになられ、旧・航空本部長と航空総監が呼び出されて叱責を受けたという。急な方針転換は聖上のご意思だよ」
「聖上も困ったものだな」
「信頼なされていた東條閣下が失脚し、もはや、軍で信頼できるのは山本元帥閣下や今村大将閣下などの率いる改革派だけだ。彼女らはその子飼いだ。源田が空軍司令官に抜擢されたのも、彼女らの後押しだ。日本側は『我が強すぎる』と嫌ったようだがな」
「カリスマで有っても陛下への忠誠が有名な者達で有るだけましさ。今の陛下には軍部への先帝や明治大帝陛下のような指導力はあまりない。だから、山本元帥の言いなりになろうと、日本に不興を買うよりは良いとお考えだろう」
「なるほど」
「忠義に篤く、人心を束ね、自らの身を賭す者の忠誠を今上陛下でなくとも上に立つ者で有れば蔑ろには出来ん。国や君主の威信を失うからな。源田も南雲中将の参謀だった頃に好き勝手したって言うことで、日本側が露骨に渋ったんだそうだ」
「何故だ?」
「空自の育ての親と言えど、失敗も多いって事で、初代にするのが嫌なんだと」
「わがままではないか」
「そうだ。向こうは聖上が軍部の人事に口出すことを嫌うが、こちらは226以来、クーデターが頻発し、聖上の軍部への不信が決定的になりかけたところに、七勇士が忠節を尽くしたから、お考え直しになられたのだぞ?」
「日本はそれを大義名分に、こちらの軍人の数十万単位のリストラを断行しようとしたらしいが、再就職の問題、それで生じる社会不安の問題で断念したそうだ。源田にはブルーインパルスと343空の功績がある。それだけは向こうも否定はできん」
源田実。史実でも第三代航空幕僚長に就任し、ブルーインパルスを設立させた功績を自衛官として残している。日本側は『南雲忠一が素人なのをいいことに、我が物顔で艦隊を牛耳った』史実を持ち出して、『初代空軍司令官』にさせる事を露骨に渋った。だが、『現場のアクの強い古参やエースパイロットを従えられるのは彼しかいない』という事実に、日本は何も言えなくなった。他の候補者の佐薙毅大佐(史実では源田の前任の航空幕僚長となった人物)は俗に言う『赤レンガ組』であり、現場主義のGウィッチの統率ができないことが危惧された結果と、史実の汚職疑惑も持ち上がって見送られた。源田は扶桑海事変の頃より、Gウィッチとなったウィッチと懇意である。更に、343空で『親父さん』と慕われ、絶大なカリスマ性を見せていた。それが空軍司令官に抜擢された最大の理由だ。(ただし、実際は実働のトップであり、事務上のトップは井上成美が移籍して就いた。その時に元帥位が授与された)
「源田も幸運なことだ。あの年齢で早くも大将だろう?」
「空軍が合同部隊でなく、独立軍になったからな。それに、陛下のお気に入りのGウィッチがいるだろ、七勇士の中に。彼女らの口添えもあったらしい」
「あいつは同位体の功績と、Gウィッチの後押しで出世できたようなものだな」
「うむ。七勇士以外にも、Gウィッチは増えていってるが、どの人物も功績あるし、現場で孤軍奮闘している。誹謗中傷も受けているが、それでも戦っている。プリキュアさえ出てきているからな。凄まじいよ。それと、見てくれ。別にいいではないか、野比のび太氏がどのような選択を取ろうと。このスポーツ新聞を見てみろ」
「うむ。彼は『前線で戦うことばかりが戦うことではない』事を実践している。誰もが最前線で戦えるわけではないし、支える者が必要なのだ。何のために、我々が輜重専門部署を立ち上げたと思っているのだ」
扶桑軍の40代の参謀達が言い合うのは、源田実の空軍実働トップへの抜擢と、のび太の行動に対しての誹謗中傷についてである。なお、扶桑軍は慣例で兵站部署を輜重~と呼んでいる。国内の予備役などに兵科を説明するためだ。第一次世界大戦と扶桑海事変で重要性が認識されたものの、予備役将官らには軽視している者もいる。しかし、近代戦は兵站ありきであるため、重要性は大きく増している。例えば、日本は扶桑に石油の備蓄を今の10倍にしろとし、扶桑も備蓄を開始しているが、現在は970万キロリットル程度の備蓄量でしかない。日本はその更に数倍もの備蓄量を欲し、日本の備蓄を融通したり、ウィッチ世界の油田を開発し、血道を上げている。これは日本が扶桑の南洋島の石油の質と量に懐疑的であるが故で、各地からの潤滑油の強引な大量購入などで批判を浴びていた。しかし、日本には史実のトラウマという大義名分があり、なんだかんだで、各種燃料の備蓄量は45年八月下旬の時点で975万キロリットルを数えている。これは史実の規模の連合艦隊を一年半は動かせるだけの数値である。リベリオンからの燃料供給が絶えた連合軍は大規模攻勢が困難になったのだが、そこに日本主導の燃料買い付けが作用していた。
「日本は何が望みだ?」
「次の戦線で連合艦隊を5年は動かせるだけの備蓄で開戦することだよ。今の本土の備蓄は一年半分。史実でこれで足りなかったからって、5倍は欲しいと」
「自給自足出来るというのに?」
「通商破壊を考えろと怒鳴られて来たよ。俺らの孫でもいいくらいの年齢差の奴に」
「坂本商会をそんな時のために育てて来たと言うのにな」
「民間任せは怠慢だとさ」
「明治大帝陛下ご公認で、元老の坂本竜馬氏の遺産なのがねぇ…」
坂本龍馬はウィッチ世界では、1930年代頃まで存命し、後半生においては元老の生き残りとして影響力を持っていた。その遺産が海援隊だが、海保長官の琴線に触れ、海保始まって以来の不祥事がこれから起こっていく。その過程で黒江に接触するのが、彼の孫娘に当たる才谷家の次期当主である。参謀たちが振り回されているのは、海援隊の『海上護衛総隊』への編入が評議会で議論中である事である。
「今度の海保の長官、日本海軍嫌いで通ってるそうだぞ」
「事実上の第二海軍と言える海援隊を敵視しそうだが…」
「もうしてる。評議会でそいつが非難して、海自に呆れられている」
「やれやれ。こんな事になりそうだと思ったよ」
「海援隊の上層部は既に内々にGウィッチに接触したという噂も流れている。海援隊は既に100万単位の人員を持つ大組織だ。解体したら、国の景気と治安が悪化してしまう」
「どうするのだ、向こうは」
「長官を切り捨てる方向だそうだ。海保も向こうでの動乱で大打撃を受けている。フネと人が欲しいんだろうが、逆効果だぞ」
「先方の薩摩は解体されてしまったんだろう?どうするのだ?」
「建造途上の軍艦構造の巡視船を譲渡する事で手打ちだそうだ。先方にいきなり護衛艦相当の装備を与えても扱えん。旧式装備の改装が主だったからな」
海援隊は結局、前弩級戦艦などの旧型艦艇の代替に海保用の巡視船を割り当てられ、更に自衛隊の状態の良い旧型護衛艦を譲渡される事で海上護衛総隊の指揮下に入り、国営化される事になり、多大な育成費を投資する事になる。この時期、軍部が過去の黒江へのいじめ問題をほじくり返されてウィッチ界隈が揺れていた時期でもあり、この時の騒動がウィッチ兵科の維持という意味では、後で多大な悪影響を及ぼす事になる。(国内ではむしろ、この問題が政治問題化してしまい、当時のいじめの首謀者達が転職先の海援隊を退職させられ、恩給も打ち切りが検討される事態にまで発展した。新首相の小泉純也の談話で表立っての追及は止んだが、この時の追及具合はかつての加害者の家族に類が及ぶほどで、日本側が『天皇が裁いた』事を『行政の役目を無視している!!』と騒ぎ立てた事がウィッチクーデターを促進させたのは否めなかった)転生を繰り返した故に、軍内の事情に精通するGウィッチを一箇所で管理するため、64Fのみはこの時の編成の維持が維持される事が内々で決められたのも、この時期である。
「どうするのだ?」
「わからん。今は国内が黒江准将のことで荒れているからな。これに海援隊が加われば、国内は五輪どころでなくなる。海援隊のことは内々に処理されなくてはならん。英雄を迫害したとして、航空審査部そのものが廃止され、集められていた人材が全て最前線送りになったのは知っているだろう?新機材のテストも64が兼務する事になった」
「前線でか?」
「前線に人材を目一杯にベットして、儲けを出すつもりなのだろうが、新機材のテストは64が前線でやってうまくいくのか?」
「未来の世界では、新機材をテスト無しに前線に送るのは当たり前だが、それは技術水準が上がったからで、この時代では無謀な事なのだがなぁ」
新兵器テストまで64Fに兼任させることに疑問を持つ参謀たち。これは扶桑の陛下が航空審査部に怒り、組織の解散を命じたからで、同組織に属していたテストパイロットたちは直ちに日本と扶桑の『前線主義』により、最前線へと送り込まれ、実際に何割かは戦陣に散っていく。扶桑の通常ウィッチ部隊はこの決定に驚き、一部は尖鋭化した64への反感から、クーデターに至る。だが、その選択こそ、現在の自分達の地位の失墜を招くことに気づかないのは、当時に軍事的に脚光を浴び始めたGウィッチへの嫉妬で目が曇っていて、大局的判断が全くできなくなっていたからであった。日本は『物申す』目的でもクーデターを許さないため、徹底的に鎮圧され、首謀者を銃殺する。それは法治国家としては当然だが、扶桑では物申す目的での反乱は許容される空気があるため、それが軍隊の人気が下がる要因であった。農家からの軍隊の人気の下がりぶりは特に酷く、陛下の玉音放送で集団就職が促されるまでの期間の志願数は目も当てられないもので、それが結果的にGウィッチが軍内で絶対的存在となることを促すという結果を生む。また、ウィッチ兵科の発展的解消はクーデターで既定路線となるのであった。この問題は太平洋戦争前に早くも破局寸前に行くが、竹井元少将の存在で太平洋戦争と二次事変では小康状態になるものの、次のアルジェリア戦争で、遂に問題が表面化してしまうのだった。アルジェリア戦争開戦時、扶桑のウィッチ兵科はアルジェリア戦争と時を同じくして、竹井少将が没した事で政治的後ろ盾を喪失。郷土戦友会がウィッチ紹介ボイコットを行っていた事が災いし、兵科解消とウィッチ以外の技能認定が無い者は退役勧告となる。だが、自衛隊(2020年代)のイベントに参加した事、採用が学校と家庭への直接訪問と街頭リクルートに迅速に切り替えた事、Gウィッチ達の血縁者が招来の入隊を確約した事で問題の解決は比較的早く、縁故採用もウィッチにおいては許容されるのであった。
――ダイ・アナザー・デイをきっかけに現れ始めた歴代のプリキュア。彼女らの一部はウィッチ世界で既に一定の地位を持つエースウィッチを素体にしての転生であり、人格が多重化したり、融合したりする形で転生を遂げた者か現れた。夢原のぞみはその最初のケースである。中島錦の記憶と経験を受け継いだ状態であるため、黒江達のことを『先輩』と呼び、飛行技能もエースレベルである。また、野比のび太が壮年期に養子にした孤児『コージ』がかつての想い人『小々田コージ』(ココ)の転生体である事から婚約し、のび太とは実質的に家族関係となっている。のぞみは生前は少年期ののび太と似た傾向の少女であり、変身前後の落差が歴代でも大きい方に分類される。錦の技能を得た事で上方補正がかかっている他、成人後の精神状態であるので、軍人としての仕事に抵抗感はない。戦士として成熟した後の時間軸の精神状態であるのと、なぎさとほのかの想いを直接受け継ぐ世代のプリキュアである分、戦いへの考えは二人に近い。そこは2010年代半ばを超えてからの後輩らとは一線を画する点であった――
「君たちは初代と同世代だろう?どう思う?最近の後輩たちを」
「代を重ねると、二人がどうにかしてくれるってのがねぇ。同世代だから、並び立つってことの意義が後輩連中と違うんだよ、あたしの代までは」
「君が最後だもんね、初代と同世代のプリキュアは」
「ハッピーからはオールスターズシリーズも第二シリーズに入ってるし、生年月日的にもあたしが最後だよ。なぎささんから数年以内は」
メロディまでは生年月日も近く、なぎさ、ほのか、ひかりとの年齢差はそれほどではないという点から、ハッピー以降の後輩とは『なぎさとほのかというの存在への思い』が違うことが明言される。
「そもそも、あの二人は『女の子だって暴れたい』が作品コンセプトなんだぜ?メタ的に言えば。それを色濃く継いでる世代の最後があたしらだ。だんだんと薄らいでいるがな」
「時代だよ。セーラー戦士の時代が終わって、君たちがそれに代わる女子アニメの大家になったのは、2010年代に入ってからだ。なぎさちゃんとほのかちゃんの伝説が一人歩きするのも仕方がない。君たちはその後継として生み出された作品群の一つでしかないからね」
「メタい発言すぎだよ、のび太くん…」
「なのはちゃんや八神さんに言わせると『戦隊シリーズ程作品間の繋がりが希薄では無いし、集合ネタで確執話にならないんだから良いんじゃない?』だって」
「そりゃ、そうだけどさ」
「君らの幸運なところは、セーラー戦士がアニメで戦死した話のような悲惨な戦闘になった例は『派生世界』でしか確認されていないのは救いだよ。ある意味じゃ、戦死描写が明確にあるセーラー戦士より生存率が高いって事になるからね」
「ま、あたしらはそれで議論が起こった後に生まれたからな。アニメじゃ戦死者は出してねえと思う」
「あれ、子供の頃に見たけど、かなり子供心に堪えるんだよなぁ」
「仮面ライダー一号だって、世界線によっては肉体を失うからね。それを思えば、君たちはマシだよ。君たちは君たちなりに、これからの道を探ればいい」
のび太は基地に置かれている自販機(21世紀以降に設置されているタイプ)からコーラを買い、二人にも渡す。
「君たちは転生で、昭和仮面ライダーと同じ使命を背負ってしまったって言えるよ。下手すれば、世界が望むかぎりは戦い続ける。その覚悟はしたほうがいい。僕が転生を選んだのは、統合戦争で消えたドラえもんズを出迎えるためさ。コールドスリープしてる10人の仮面ライダーを守るために戦って、時空破断システムと相打ちになった格好で時空の間に消えたドラえもんズを出迎えるために転生を選んだ。色々と陰口はあるけれど、理由なんてのは個人的なものでいいのさ」
のび太が転生を選ぶ背景にあるのは、統合戦争で10人ライダーの眠る基地をバダンから守ったドラえもんズを出迎えるためという個人的なものである。ユング・フロイトが二人の親友を出迎えるために地球連邦大統領の職を欲したのと似たような理由だが、理由はそのようなものでいいのだ。
「自分の正しいと思う事に従って生きていくのは難しいよ。君たちは公の立場を持っているから、個を多少なりとも犠牲にしないと納得されないのさ。ぼくもお袋に中坊と高坊の頃は勉強漬けにされた事があるからね」
のび太は少なくとも、青春時代の五年を勉強漬けにされた事を告白した。玉子はのび太を大学生時代だけは放任したが、おそらくは多感な時期を勉強漬けにさせたことへの償いを大学生時代を使う形でしようとしたからだろう。
「お前のママさん、どうして教育ママなんだよ」
「ぼくがばーちゃんになついてたから、かも。ばーちゃんはおおらかだったけど、お袋は受験戦争の時代の人間だったから、途中からぼくを産んだ時の初心を忘れたんだろうな。思春期の頃は顕著だったよ」
のび太は自分が生まれた日の事を知っているため、玉子に思春期の五年を潰されたも同然にされたことは成人後に負い目として残っており、成人後に趣味人へ転じた。息子の思春期の五年を勉強で潰した事は玉子も罪悪感を感じているのか、大学時代はのび太への小言を減らし、放任主義に転じている。(元々、玉子は息子を大学に行かせれば、自分の役目は終わると考えていたらしい)中高を勉強漬けにした償いも兼ねているのだろう。
「大学で自由になったのか?」
「18から急に放任になったから、こっちのほうが戸惑ったくらいだよ。おふくろも中高を勉強漬けにした事には罪悪感があるみたいでね。はーちゃんは最初から放任だったよ。ドラミちゃんが時々、ぼくの兄ぶりを見に来た時は面白い事になること多かったよ」
のび太は意外にも、年下への面倒見が良い。はーちゃんや調へいい兄として振る舞い、それが結果的に、のび太の大学受験を一発で志望校に合格させる(補欠だが)きっかけとなった。また、結婚は24歳、その翌年に息子のノビスケが生まれている。2019年ではノビスケは幼稚園児で、フェリーチェ、ルージュ、マーチが活躍した事件はこの前後の年に起こっている。
「でもさ、お前。よく、ドリームをアニメ会社に連れていけたよなー?」
「変身は流石に解いてもらって行ったよ。スネ夫のコネを使ってね。で…」
「わたしとりんちゃんがきたら、先方が腰抜かしてさー」
「りんはお目付け役か?」
「心配だからって」
「お前、普段はアホだからなー」
のぞみとりんは『本物感』を出すため、アニメ会社には学生時代の制服で訪れたが、それが効果てきめんだった事が窺える。
「外見が現役当時とはいえ、久し振りに制服はちょっと恥ずかしかったよー。子持ちだったから、余計にさ。それで、話がトントン拍子に進んだけど、りんちゃんがアフレコてんで下手でダメ出し食らってさ」
「お前はできんのかよ」
「出身世界でうららの仕事手伝ってた時期あるから、アフレコ経験あるんだよね~」
「なぬ!?クソぉ、あたしがのぞみに遅れを…」
のぞみはエアギターが上手いという意外な特技もあるため、意外にキュアレモネードこと、春日野うららの芸能活動を下支えしていた。メロディは悔しそうな顔である。
「それで、声優さんが急病ってんで、のぞみちゃんが自分で自分にアフレコするっていうトンチみたいな話になったんだ。スタジオに連れて行ったら、声優さんたちが悲鳴あげたよ」
「モノホンだしな」
「君なら、三つくらい出れるじゃないか、メロディ」
「一つは微妙だけどな。ほのかさんの声って、低くすると、C.Cになるの気づいたし」
「もしかして、ルルーシュの声?」
「気持ちの整理がついたら、引き受ける。今はまだだから」
ルルーシュ・ランペルージの声を聞くと、未だに殴りたい衝動に駆られることを示唆し、紅月カレンとしての気持ちの整理がついていないと明言する。メロディは現役時代の温厚さと相反する紅月カレンの激しさが表に出ているため、実は現役時代の温厚な振る舞いは意識しないとできなくなっている。シャーリーも戦闘に入ると荒っぽさが出るが、カレンの記憶の覚醒で余計にその傾向が強まったため、熱しやすさ自体は菅野に次ぐレベルになっている。ただし、シャーリーとしては基本は温厚なので、数年後に機会が訪れたアフレコは温厚さが出しやすいシャーリーの姿で行う事になったという。ただし、かなりアドリブを入れたため、のぞみとの掛け合いで、仕事での癖もあり、お互いに呼び捨てで演技をした。そのことが後年の後輩の映画で話題になるが、数年後のこと。
「あ、玩具メーカーから、紅蓮のフィギュアの監修とPVのアフレコしてほしいって話があるけど、ぼくから断りを…」
「やる!それはやるから、伝えとけ!」
「う、うん」
「あ、わたしもエウレカセ○ンで話が来てたと思うから、そっちもねー」
のぞみと響(北条響)はお互いにロボットアニメのような前世を送った経験があるらしく、自分が前世で乗った機体のフィギュアの監修を引き受ける。また、響も『そちら』の経験はあるが、今回は紅蓮らしい。
「あ!美遊ちゃん呼ばないと掛け合いできないやん、君のヤツ!」
「あ~!!そーだったぁー!」
と、律儀に掛け合いさせる気満々ののび太。のぞみは次の短期休暇を美遊・エーデルフェルトと共に取得。アフレコの際は別の意味でネットを賑わす事になる。
「おい、ネットが別の意味で賑わうぞ?」
「いいじゃないか、それは。君も同じだろ?あ、エイラさんが聞いたら、まーた『サーニャ~!』って暴走するから、終わるまで伏せといて」
「なんでだよ!」
「くっついてきそうだし、今のあの子はイリヤスフィール・フォン・アインツベルンだよ?」
「…忘れてた」
エイラの恋愛感情はサーニャがたとえ、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンになっても同じだが、肝心のイリヤ(サーニャ)は経緯上、美遊を家族同然に思っているため、エイラは暴走しやすくなっていた。それはもはやギャグ漫画の領域であるが、偶に怒ったイリヤがインクルードでエクスカリバーを放つ事があり、建物の何処かかしらに穴が空くことは日常となっている。
「とりあえず、美遊ちゃんに話を伝えてくるよ」
「いってらっしゃ~い」
「話がついたら、おしえろよ」
のび太はイリヤの部屋へ足を運ぶ。この時間は特訓の都合、一緒にいるはずだからだ。それをドリームとメロディはお互いに『元から軍人』である故に深化した仲を顧みて、おかしくなったのか、笑いあう。
「でもさ、響。不思議だよね。今は同じ立場で、同じショーバイしてるんだよ?」
「お前は教師、あたしはピアニストだったしな。むしろ、すぐ慣れたマナとかラブはどうなってんだって話だよなー」
「あたしは戦車道である程度、軍事の素地はあったからね。武道の一環だけど」
「マナ、いや、ハートか」
「ここにはあたしらしかいないから、本名でいいよ。変身してても、見られてるわけじゃないし」
「先輩が言ってたけど、マナちゃん、ティーガーで岩に乗り上げた事あるんだって?」
「……ドイツの戦車って、どーしてあんな足回りなのー!?」
「しかたねーだろ、ティーガーの足回りは特に弱いんだから。それに、ドイツ重戦車はやさしく扱えって」
「シャーマン馬鹿のアメリカ人には言われたくなーい!」
「失礼な!パーシング作ったぞ!!」
「陸軍地上軍管理本部のメンツ論で、二次大戦には間に合わなかったじゃんー!」
「ちゃんと20両は参加してるぞ!」
そこは史実でのアメリカ軍のドクトリンに関わる問題だが、M26はティーガー1が仮想敵であるため、正確にはティーガーⅡには対応していない。そのため、ティーガーⅡであれば正面撃破も容易である。誤解されがちだが、ティーガーⅠを倒す程度の能力への回答がM26なのだ。ちなみに、ドイツがこの世界のティーガーⅠを引退させたのは、ファイアフライの登場があってもおかしくない時期&ティーガーⅡがあるからだが、敵はファイアフライをそもそも生産できないのだが、ドイツは短絡的であった。
「敵はファイアフライを生産できないからって言っても、ドイツは今の時期の新理論の避弾経始にこだわった。次世代の有翼の徹甲弾には無意味だろ?」
「まあ、高速徹甲弾より先の徹甲弾は敵には作れないしね。ティーガーⅡの装甲で充分なんだけどね」
「艦艇の砲転用の似た戦車はありそうだよ?」
「日本はどうするんだ?」
「10式と榴弾砲を増やして、当面は対処。センチュリオンの機関換装型が出回れば楽なんだけどね」
「コンカラーは?」
「部隊使用の許可は降りたみたい。メーサータンクは多くないし、メンテナンスもあるから、数が欲しいみたいだよ、Gフォース」
「分離装弾筒付徹甲弾は使えたっけ?」
「今、出回ってるのは戦後規格の砲を積んでるから撃てるよ。一応、センチュリオンでもL7砲だから、M26だろうがイチコロだよ」
当時、敵が見誤っていた事は日本連邦陸軍の徹甲弾は最低でもAPDS、最高のものでAPFSDSと、当時のリベリオンが高速徹甲弾を使い始めたところに対しての優位があることである。また、イギリスは粘着榴弾を持ち、持ち込んでいるため、それもセンチュリオンでM4に打ち込むという実証実験を行っている。言わば、ウィッチ世界は壮大な実験場扱いであった。
「うーん。これって実験場だよね」
「国家総力戦の戦争なんて、21世紀には昔の話扱いされてたしねぇ。体の良い実験場にされてるけど、その分、わたし達以外の子が萎縮するなぁ」
「だよな。本当の戦争になるから、シェルショック増えるし、反戦運動も起こるだろうし。パットンのおっちゃんには自制しろって言ってあるけど、どーなることやら」
「いいの、それ?」
「十字砲火が奔って、兵士がバタバタ死んでいく戦場にガキは連れていけねぇよ。お前らこそ、大丈夫か?」
「欧州の初期で耐性ついてる」
「あたしは戦争映画で」
「やれやれ。二年後の芳佳やリーネの同位体は戦いに参加させないように言っとこう。させようとしても拒否するだろうけど」
メロディは一つ見誤った。それは二年後に出会う芳佳とリーネの同位体が『何かの役に立ちたい』と具申してくる事、芳佳は元々、父親の言葉を拠り所にしているため、『力があるのに、何もしない』ことを軽蔑する思考があることであった。これが黒江達の同位体を責め立てる最大の理由であった。
「その辺は黒江さん達に任せるが、嫌な予感するんだよな」
「メロディの予感、当たるからなー」
「後は直枝のガキだけど、どーする?」
「あのガキなら、どーせ黒江さんが遊ぶだろ?孝美への執着ねー同位体見て喧嘩売りそうだが、こっちのアイツは鍛えてやってるからなー」
「直枝、基本世界だと、孝美LOVEだからなー。シスコンすぎてドン引きだけど」
「孝美も難儀な奴だからな。絶対魔眼は智子さんが封じるだろ?」
「先輩達は遊ぶからなー」
黒江達の性格はだいたい把握されており、部下であるプリキュアの一部は出来事を正確に予測していた。問題は互いの違いであり、イリヤとクロはどうするか、などの課題もあるためだろう、三人はため息を小さくつく。ペリーヌがプリキュアである事は言うべきか、などの議論もされるべきだからだが、主にメロディとドリームについては、自分達の力はどう言うべきか。それに気づいて、もう一度、大きなため息をつくのだった。