ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百九十一話「幕間その35 宣戦布告」

――野比家の地下格納庫に搬入されていくG3ガンダム。展示期間が終了したのだ――

 

「これが実物のガンダムなんですね?」

 

「戦後まで残った、唯一の小改良型ですが」

 

純正のRX-78(初代ガンダム)は現存数が少ないが、テスト機としての役目を負っていた都合で複数機が製造されたG-3ガンダムは戦後も予備パーツ込みで三機分ほどが現存していた。外観は初代とほぼ同一だが、スラスターなどが戦後モデルに換装されている。これは一時期に残党狩りに使われていたからだとされる。連邦軍は戦後は『ガンダムはトップエースにのみ配備する』方針になっており、時代ごとの『腕に覚えのあるパイロット』にのみ回されている。これは一年戦争中のいくつかの事例による措置とされており、必然的にニュータイプ、あるいはそれに近い能力を持つパイロットへ回されるようになった。

 

「横浜から運ばせましたが、トレーラーは大型になるので、航空輸送で近くの基地まで運んだ後、近くから通る地下通路で運ばせました。マークⅡと入れ違いになりますね」

 

「なんか大変だね」

 

「動きますからね。21世紀の日本の法律では、乗り物扱いされませんので、それを逆手に取って、上手く運んでいます」

 

その事から、野比財団は横浜のガンダム立像プロジェクトに出資していることが分かる。また、福岡でのジオン残党とハイニューガンダムの戦闘で、モビルスーツの未来における登場が予期され、その基礎研究が自衛隊で開始されており、そのデータがNASAなどの宇宙服の開発データと組み合わせられることで、ザクが生まれていくのだ。この時点で、一部の科学者はモビルスーツなどの登場は『ボタン戦争に終止符を打てる』と大喜びであり、後の世でミノフスキー博士がM理論の実用化を行うきっかけを作っていく。戦車は23世紀では、その最終到達点である61式戦車が小改修の後に生産が再開されていく。福岡での戦闘で、21世紀型装甲戦闘車両の備砲でドムに損傷を与えられた事が確認された事での戦訓であった。戦闘車両は人型兵器の隆盛で一時は消滅寸前であったが、異星人との戦争で有効性が再確認され、生産が再開されている。

 

「人型兵器というのは、最低でも核融合炉で動くので、戦闘車両より高コストでして。航空兵器を兼ねられるモノも出ていますが、これも議会受けは良くないので」

 

「どういうことだ?」

 

「地球連邦も、軍備にかけられる金が充分にはないので……」

 

「いつの時代も、お国はお金がないってことですよ、オグリ先輩」

 

バルキリー、コンバットアーマー、モビルスーツなどの機動兵器が開発されてきたが、宇宙開拓時代においても、軍縮時代の名残りで、議会の主流派には兵器の大量配備は忌避される傾向が強い。その都合上、単騎性能をとことん向上させるしかなく、ジェイブスのミッションパック方式は評価されることはなかった。その一方で、軍縮時には過剰性能と見なされたリガズィ・カスタムの制式量産が認められ、初期製造のZプラスの代替機としての生産が始められている。制式量産機ではバイオセンサーの搭載は仮設に留められているが、ロンド・ベル仕様では、フルスペックのものが搭載されている。元がリガズィのアムロ・レイ専用機としての開発であったためだ。

 

「この時代の自衛隊は使っているのか?」

 

「導入が検討されましたが、既存の軍需産業や防衛官僚の反対が強く、我々『Gフォース』専用になりました。福岡での戦闘後、福岡の即応部隊にジムⅢやネモを供与する話がありましたが、防衛官僚の保守派と財務官僚の横槍で」

 

ネックになったのは、動力源の問題(当然ながら、核融合炉である)であったのと、保守整備が21世紀の技術で可能なのか?という点であった。とはいえ、人型兵器は大いなる魅力に満ちており、妥協的に『DAM』(ダグラムの量産機)の試験運用は認められたものの、モビルスーツの運用は見送られた。ドムに正面切って対抗できる性能がある『ジムⅢ』や『ネモ』の配備は熱望されたが、21世紀日本の法規との兼ね合いで、モビルスーツの自衛隊での運用は見送られた。(Gフォースは『日本連邦軍』の部隊なので、モビルスーツの運用も問題はないが、自衛隊の正規部隊にへの配備は叶わなかった)

 

「しかし、未来からジオン残党がちょくちょく襲来し、その度に大損害を被っては話にもなりませんので、我が隊の拡充が妥協的に認められまして」

 

ジオン残党はデザリアム戦役後は地球連邦の重要人物である『ノビ・ノビタダ』(のび太の末裔であり、地球連邦軍中尉。アナハイム・エレクトロニクスの大株主でもある)の血統を絶やすため、過去に部隊を送り込む手段を講じ、この時期にはそれが主目的と化していた。デザリアム戦役後はネオ・ジオンも解体され、ミネバ・ラオ・ザビもジオンの終焉を容認しているためで、ジオン残党が『死に花を咲かせる』ための場所を求めている所以であり、最後の光芒であった。

 

「量産機も、任務の性質上、高級量産機を使います。とはいえ、敵が大型兵器を使う事も多いので、直接の戦闘で大技を撃ったり、スーパーロボットで倒すことが多いのです」

 

ジオン残党を結果的に利することを、野党や防衛官僚、財務官僚らがするので、実際にジオン残党と戦った経験がある自衛官の間からは『名誉ジオン軍』と揶揄されていた。Gフォースはノビスケ襲撃事件以降はスーパーロボットの本格運用を開始し、ゲッターD2が使われ出している。北海道と九州が配備先である。

 

「大変だね」

 

「そのようなわけで、ゴールドシチーさんの事は我々にお任せください。数週間ほどは経過観察が必要でしょうから」

 

「頼む。しかし、こんな施設をこの時代の日本政府は知っているのか?」

 

「表向きはマンションの地下駐車場で通しています。嘘ではないので」

 

「かなり無理があるような……」

 

「それは自覚しています」

 

格納庫はかなりの大きさの機動兵器も収容できる。Gフォースの拠点も兼ねているからだが、Gフォースの拠点は当初、厚木基地が予定されていたが、住民の反対で潰えたので、結局は野比家の住むマンションを拠点にせざるを得なかった。マンションの住民は殆どが関係者である。これは有事即応部隊の重要性を認識していながら、国民が基地の増設に反対であるが故であった。Gフォースはジオン残党との交戦経験を持った自衛官の行き場と化しつつあり、福岡で交戦した部隊の関係者は皆、遠征に参加していた。これは実戦経験を持つ者を野党と警察系の防衛官僚が危険視した故でもあり、ジオン残党が『いつでも、どこにでも、モビルスーツやその運用母艦をタイムトラベルで送り込める』ことを思い知らせられつつも、現地部隊に責任を押し付けようとしたが、政権転覆を恐れた政府の仲裁で『Gフォースに対応を任せる』となったからだ。

 

「この時代の日本は……なんといいましょうか、自分らの平和と安穏を守るほうが大事ですからね」

 

フェリーチェは、有事が起こっても、現場に対応を丸投げし、損害が出れば、現場に責任の一切を押し付けるというのが戦後の日本だと解説する。Gフォースは人的損害を扶桑に押し付けることが合法的にできる『道具』扱いだとも述べ、厄介者の押し付け場扱いされているとも明言する。ジオンの根源が日独などが中心の宇宙移民である事は既に報道されており、日本国民は気まずくなり、Gフォースに対応を丸投げすることを選んだ。関わり合いを持ちたくないからだが、皮肉なことに、自らが21世紀後半に生み出した『ひみつ道具』の便利さへの反対派(その彼らの子孫がテクノロジーの結晶であるモビルスーツを生み出すところに、歴史の皮肉がある)の子孫らでもあるため、その復活に反対し、テロリズムに走ったという事実がある。ウマ娘達も、戦後日本が抱えてしまった『負け組の切り捨て』などの自己保身心の強さに心当たりがある(オグリキャップも、ウイニングチケットも例外ではない)ため、そこは自身が落ち目と見做された時期を思い起こさせたか、苦虫を噛み潰すような思いであった。

 

 

 

 

 

 

 

――Gフォースはフェリーチェの言うように、対応を丸投げされたのを大義名分に、装備品を地球連邦軍の第一線兵器に刷新し始めた。RX-94『量産型νガンダム』がロンド・ベルに配備された(当初の予定通りにサイコフレーム装備)のに伴い、同機種もGフォースに配備された。幸いにも、Gフォースの幹部はニュータイプの素質があるために、フィン・ファンネルを扱える。フィン・ファンネル装備の同機は格納庫にある。インコムはコンピュータ制御である上、コードを『引きずる』ため、実は高機動戦闘向きの武装ではない。そのために、Gフォース配備機はフィン・ファンネル装備である。同機はサイコフレーム関連技術の封印が議論された際、サイコフレーム搭載機としての量産の是非が問題になったが、ネオジオングとグランジオングの製造をミネバ・ラオ・ザビが把握していない問題が浮上し、しずか(大人)が『どんな技術も、使う人間次第で善悪は変わる。封印するなど、政治屋の高慢で、愚の骨頂だ』と安直な技術の封印を糾弾したことが決定打となり、ネオ・ジオン穏健派は交渉で主導権を取れずに終わった。彼らの強い懇願でフルサイコフレームの製造は規制されたものの、真ゲッタードラゴンやマジンエンペラーG、マジンカイザーなどの『存在自体が宇宙を揺るがす』マシーンがあるため、ユニコーンガンダムなどはかわいい存在(その三機の前では、ユニコーンガンダムのフルパワーも赤子同然である)に入ってしまうからか、フレームの製造の禁止はされなかった。ジオン残党が過去へのテロリズムに手を染めたからで、ミネバ・ラオ・ザビはその責任を感じ、ザビ家の名を捨てる決意を固め、デザリアム戦役後は平行世界からやってきた同位体『メイファ・ギルフォード』にジオンの後始末を託し、自分は『オードリー・バーン』として生きることを選んだ。その関係で、量産型νガンダムの量産は成功したわけだ。

 

 

 

 

「遠征先からの要請で、整備を急いでいるマシンも多いので、ここから先はちょっと狭くなりますよ」

 

格納庫の通路には地球連邦経由で運び込まれた物資も並べられており、途中からは狭くなっていた。モビルスーツ用のパーツが梱包状態で置かれているからだ。

 

 

「あれ?これ、トレーナーさんが好きな『マジンガーZ』じゃ?」

 

ウイニングチケットが気がついたそれは、モビルスーツと違い、『ヒーローロボット』然した黒光りのボディを持ちつつ、かの有名なマジンガーZとの共通点が多い。つまりその兄弟機なのだろう。

 

 

「その後継ぎのグレートマジンガーを試しに、ゲッターエネルギーで進化させた『グレートマジンカイザー』です。大規模オーバーホール中ですが」

 

マジンエンペラーGが新造され、マジンガーZEROと戦った影響もあり、次元世界のどこかでZEROに『敗北』したグレートカイザーは軽んじられていたが、Gフォースに拾われ、同部隊の切り札の一つとなっている。改修でマジンカイザー同様にゲッター線を動力に取り入れられ、カラーリングも一部が変更されている。ミネルバX(ヒューマノイドロボットタイプとして復活している)からは軽んじられているが、ZEROがキュアドリームと融合した後は口出しを控えている。

 

 

「イレギュラーで生まれた機体ですので、当初は第一線で使うのを前提に調整されていましたが、ある事情で見送られ、別の機体が新造されたので、宙に浮いていたのを貰い受けました」

 

「事情ねぇ…」

 

「諸事情とだけ申しておきます」

 

GカイザーはミネルバXによって『役に立たない』という烙印を押されたが、それは素の状態での対マジンガーZEROの用途でのことである。マジンガーZEROが実質的にキュアドリームと融合したため、懸念は消失した。マジンエンペラーGが役目を肩代わりした事もあり、存在意義が薄れていたのを引き取ったわけだ。遠征先がどうなっているのか?それは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

――遠征先では、ティターンズ残党が手土産にしたと思われる『ジム・クウェル』、『バーザム』などのMSが本格出現したことで、機動兵器戦に突入していた。そして、その母艦である『アレキサンドリア級重巡洋艦』が投入された。本来は宇宙用であるはずだが、ミノフスキークラフトが加えられたのか、大気圏内で飛行していた。――

 

「アレキサンドリアだと!?ミノフスキークラフトでも搭載されやがったな……何っ!?」

 

アレキサンドリア級はティターンズ時代の産物という事で、爪弾きにあった感は否めなかった。一部は残存したが、サラミスやラーディッシュ、クラップとも規格が違うため、かつてのペガサス級よりもひどい扱いを受けていた。一部は艦隊ごとネオ・ジオンに下ったことでも知られている。だが、彼らはなんと、艦砲を地上へ掃射し、街の一区画を火の海にする。

 

「あいつら、トチ狂ったのかよ!?」

 

シャーリー(キュアメロディに変身済み)も、この暴挙に、我が目を疑う。

 

「あいつらにとって、あたしらさえ倒せりゃ、街の被害なんてのは、どうでもいいと見える!」

 

「おい、ハイザックが出てきたぞ!」

 

「あんな旧型を出してくるなんざ、残党も懐事情が悪いってことだな」

 

圭子とシャーリーは、ゲッターノワール一号機と紅蓮聖天八極式改で迎え撃つ形になった。敵は街を無人化させたのをいいことに、街を遠慮なく破壊していく。ティターンズもジオンも、その残党は在りし日のイデオロギーなど全く放棄し、単なる殺戮の合法化の方便に使われている。その質の悪さから、かつての宗教戦争の過激派と同列視されている。

 

「輻射波動が効かねぇのなら、MVSでやるしかないか…。くそ、予想外だぜ」

 

「愚痴る暇があんなら、奴らをぶち倒せ。やりようはあんだろ」

 

「へいへい。参るよ、ったく。機体越しに原子崩しをやるっきゃねーか」

 

原子崩し。シャーリーの前世の一つにあたる『麦野沈利』の持っていた超能力である。キュアメロディの状態でも使用可能であるが、副作用がある。口調がものすごく粗暴になるのだ。麦野沈利の要素が強まるからで、これでルッキーニBを泣かせた事がある。黒江曰く、『あまり普段と変わらん』との事だが、ルッキーニBの感想は『バケモノに見えた』との事である。前世より細かい制御がわずかに可能になっているが、大差はない。ただし、制御できるエネルギー量に限界があるため、量産型MSは破壊可能だが、高品質のガンダリウム合金を使う高級機には効果があまり見込めない。対ビーム・レーザーコーティングなどが発達したためでもある。その点では、超電磁砲には劣る。

 

「グリプス戦役以降のは、対レーザーコーティングもされてるはずだ。確実にぶっこめ」

 

「あいよ」

 

「黒田さんは?」

 

「ノワール2の調整が遅延してな。センチュリーガンダムで出させた。あと5分で到着するらしい」

 

「あれ、使えんの?」

 

「ネオの発展型って触れ込みだから、それなりには使えんだろ。F91のアナハイム・エレクトロニクス版だがな」

 

F91の限界稼働の数値に、アナハイム・エレクトロニクスがようやく追いつけた証がセンチュリーガンダムだが、V2ガンダムが現れているため、性能的にはパワー不足と言われている。しかし、ジェネレータ出力は6000kw級のハイパワー型を搭載しているので、V2以下ではあるが、クロスボーンガンダムを凌駕する数値を持つ。基本が接近戦用のクロスボーンガンダムは扱える人間を選ぶが、センチュリーは小型MSの傑作機である『F91』の模倣機の第三世代型であるので、乗り手を選ばずにコンスタントな活躍が可能である。

 

「やれやれ、それまで持ちこたえろってことか」

 

「援護してやる。ヒートワイヤーのダメージが出てるようだから、無理はすんな」

 

「ああ。エナジーウイングの展開機能にエラーが出やがってる。突撃態勢は無理だ。終わったら、電子部品の交換、ついでに機体全体のオーバーホールだな、こりゃ」

 

「特式は用意してあるぞ」

 

「あれ、燃費悪いんだよなー。クソ」

 

「ゼータク言うな」

 

愚痴りつつも、サイズ差を利用した戦法を取るシャーリー。圭子がゲッターノワール1のパワーを用いての正面切っての戦闘を展開するのに対し、シャーリーはMVSと原子崩しでの機動戦を展開する。

 

「変身しといてよかったぜ。普通の状態なら、気絶してるところだよ」

 

「そこはプリキュア化の恩恵だな」

 

二人は空中と地上を使い分け、バダンに与したティターンズ残党と戦う。圭子はゲッターノワール1の携行する『ゲッタードラグーン』のシリンダーを取り替え、瞬間接着弾を装填する。

 

「ドラえもんの瞬間接着銃を敷島のジジィが解析して、もっと粘着力を上げたものだが……どれだけのもんか」

 

油断していたジム・クウェルの一機へ瞬間接着弾を叩き込む。すると、ドラえもんの瞬間接着銃のように接着剤が広がり、地面にくっつく。ゲル状のままで広がり、機体を倒れ込んだ建物へ磔にする。ジム・クウェルは引き剥がそうとするが、MSのアクチュエータに限界まで負荷をかけて、機体を動かそうとしても、微動だにしない。スラスターとアポジモーターを噴射しても無意味であった。

 

 

「ヒュウ♪これだけの威力とはな。……!シャーリー、その場から離れろ!」

 

「なっ!?」

 

空気を一変させる上空からの機銃とロケットの掃射が行われる。そして、サイクロン号についていたエンブレムと同じ物がついているレシプロ戦闘機が現れる。

 

「あ、あの戦闘機は!?」

 

「てめぇらが遂に派遣されてきたのか……!」

 

『ハハハ……そうだ』

 

そのレシプロ戦闘機から一人の改造人間が華麗に降り立つ。第二次世界大戦中の飛行機乗りを思わせるボディを持ちつつも、仮面ライダーらしい特徴を持つ者。仮面ライダー三号と同じく、悪の組織の仮面ライダーとして生み出された『ホッパータイプナンバーフォー』の型式名称を持つ男。

 

『俺の名は……仮面ライダー四号。さぁ、地獄を楽しみな!!』

 

仮面ライダー四号。サンクルミエール学園を震撼させるその声はまさしく、仮面ライダーエターナルとして存在し、死んだはずの『大道克己』のものだった。この頃には、仮面ライダーエターナルのことを聞いていた二人は驚愕せずにはいられなかった。

 

「お前は……ディケイドの言っていた……大道克己!!馬鹿な……お前は死んだはず……」

 

『ふ、それは別の俺のことだ』

 

『何!?』

 

『俺は貴様らの知る大道克己ではない。かの方に忠誠を誓った改造人間よ』

 

仮面ライダー四号の変身者は『仮面ライダーエターナルであった男の同位体』であった。仮面ライダーディケイド/門矢士によれば、1990年代終わりの頃(その時に16歳ほど)に轢き逃げにあい、死亡。その後に仮面ライダーエターナルとして蘇り、2000年代終わりに仮面ライダーWと戦い、死亡したという。それとは異なり、母親が組織の一員であったために、当時に組織が生み出した『四番目の男(仮面ライダー四号)』の素体に選ばれ、改造人間として蘇生した世界線の存在。航空兵を思わせる風貌であるが、れっきとした仮面ライダータイプの改造人間。

 

『俺だけではないがな、ここに送り込まれたのはな』

 

『何、奴も……!?』

 

『そうだ。今頃はご挨拶でもしているだろうよ」

 

仮面ライダー四号の言う通り、その男も戦場に姿を見せていた。その男は黒江の因縁の相手でもあった。

 

「……一文字隼人、風見志郎……それに夢原のぞみか。あの小娘(黒江のこと)はいないようだが…」

 

「貴様、黒井響一郎!!何故、ここに!」

 

「かの方の命で、四号の監視を命じられてな……。奴は見境のない殺人マシーンに過ぎんが、この俺は違うのでね。宣戦布告にきた……。そう解釈してくれ」

 

トライサイクロンをカッコよく停め、トレンチコートスタイルでタバコらしきものを服用する渋い振る舞いを見せる仮面ライダー三号こと、黒井響一郎。改造直前の1972年当時に既に30代後半で、妻子もいたカーレーサーだが、ゲルショッカーにその妻子を殺害され、それをダブルライダーのせいだと勘違いしていた経緯を持つ。なぜか、前世の記憶を持つためか、その出来事の真実に気づいていながら、組織に忠義を尽くしていた。その純朴さを大首領も気に入っているという。

 

「先輩に何の用!?」

 

「前世であの子を半死半生にしたのは、この俺なのでね。あの子がリターンマッチを望むなら、俺は逃げも隠れもしない。そして、君たちプリキュアにも、俺は負けるつもりはない。……せっかくだ、俺の変身をお見せしよう」

 

黒井響一郎。またの名を仮面ライダー三号。その姿を、キュアドリームは初めて目の当たりにした。その身の悲運を組織に利用されつつも、仮面ライダーと同じ姿を持つ改造人間となり、独特の生き様を持つ男。

 

「昔……あの子にも言ったが、物事の善悪は勝者が決める。俺の爺さんも……そうやって裁かれていった」

 

黒井響一郎。生年は1940年代初め、あるいは1930年代終わりと考えられる男だ。彼の祖父は元・大日本帝国陸軍の高官で、東京裁判で戦犯として裁かれたらしい。祖父の悲劇的結末からか、物事の善悪などに対してシニカルな思考を持ち、妻子が死亡した事もあり、組織でも一匹狼で通っている。

 

「何、すると、貴様は……」

 

「あの戦争で、戦犯の烙印を押された者の遺族だ」

 

ライダー二号の言葉にそう答えた三号。出身世界での彼の生家は、戦前には名家として栄えていた軍人の家系だったが、太平洋戦争の敗戦、軍や財閥の解体で没落した事、自身の父はそれ故に、軍人であった祖父を忌み嫌い、自身も10代後半の頃からはカーレースに傾倒。1960年代頃にデビュー。1970年頃には『日本のモータースポーツ界を背負うホープ』として名を馳せていたという。

 

「俺は裁かれた爺さんの無念を晴らしたかったが、親父はそれを認めなかった。モータースポーツを俺が始めたのは、爺さんの勧めだった。俺が結婚した時は我が事のように喜んでくれたが、親父は祖父の操り人形と、俺を嫌うようになった。そして、組織に俺を推薦した…」

 

三号は自身の父が『息子の家庭を壊す』ように仕向けた張本人であった事、組織に息子の体を売り、改造人間にさせた無政府主義の思想家だったこと、その過酷な経験が自分を戦闘用改造人間として仕上げた事をシニカルな語り口で語った。

 

「俺は戦うことでしか『乾き』を潤せん。貴様らに『今は』恨みはないが、戦士としての血が騒ぐのだ」

 

「三号、その体で『今度』は何を為すつもりだ!」

 

「前世の記憶があるのなら、どうして、あたしらと戦う道を!」

 

「……さぁな。これも神様のいたずらかもしれんが、今の俺の『乾き』を潤してくれるのは……戦いの道だけだ」

 

幻影なのだろうか。黒い羽根が舞い散るようなオーラが可視化され、ベルトの改良型タイフーンが回転し、金のマフラーが風ではためく。二号とV3もタイフーンを起動させ、フルパワーを発揮できるようにする。そして。

 

「この世界の未来が……、あんたらの手の中にあるのなら……あたしが……あたしが奪い返す!!」

 

 

シャイニングドリームから更に『エターニティドリーム』に変身するのぞみA。場の空気を読み、仮面ライダーっぽい台詞回しを精一杯にしてみせる。(どこかで聞いたような感じなのはご愛嬌)

 

「あの子には、俺は逃げも隠れもせんと伝えてもらうが、その前に貴様らと一戦を交えるのも一興、四号への示しも必要だからな」

 

三号は黒江との再戦を『楽しみにしている』ことを匂わせつつ、組織人としての一面も見せた。そこは大人の世界らしいところであるが、キュアドリームは黒江に先立つ形で、仮面ライダー三号と一戦を交えるのだった。

 

 

 

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