ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百九十六話「幕間その40 ウマ娘達の近況2」

――統合戦争と一年戦争の惨禍で最も打撃を被った旧先進国の一つがフランスで、フランス語も地球連邦体制下で言語人口が激減。気候変動で名産品であったはずのワインも作りにくくなり、往時の首都であったパリは一年戦争の戦禍で消滅している。それを憂いた一人が、ティターンズの創設者のジャミトフ・ハイマンで、彼はフランス文化の保護を謳い、ネオフランスコロニーの運用に個人として出資していた。そもそも、ネオ国家コロニーは『地球圏が画一化されていく中でも、地球人類が元来、持ち合わせていた多様性を守る』という大義で作られた。旧先進国中心の施策であったので、旧・中小国は反対したものの、既に旧・中小国はコロニー建設事業を独自に行える余裕はなかったため、先進国独自のコミュニティを維持する狙いもあり、先進国の住民を収容するコロニーが順に建造された。完成後、ジオン系コミュニティは『コロニー運動の連携を乱す』と攻撃したが、一年戦争の際に自分らに味方しないコロニーを皆殺しにした経緯から、もはや同調する者はいなかった。ジオンは残党が戦乱を起こすたびに支持率は下がっており、ネオ・ジオンの解体後に残る者は、旧公国~アクシズ時代の筋金入りの残党のみとなった。蘇生されたギレン・ザビ麾下の艦隊の存在は知られていなかったが、かなりの戦力に膨れ上がっており、地球連邦軍の脅威になり得る規模である。――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ジオンは敗北の度に霧散集合を繰り返す様から、連邦系の組織であるティターンズやエゥーゴから『アメーバ』に例えられた。ただし、連邦に仇為す国家としては唯一、通常兵器の配備に気を配っていたため、一年戦争の後も『ドップ』系統との空戦は無くなったわけではない。特に、旧・反統合同盟軍の残党が各地におり、ジオンに与した事もあり、結局、一部の官僚と官僚型軍人の模索した地球連邦軍の再軍縮(今度は民間軍事会社への再就職斡旋を考慮してはいた)は民間軍事会社の際限なき肥大化を嫌う政治家のロビー活動で世に出る前に潰され、民間軍事会社の規制に同調した世論の後押しで、民間軍事会社の規制が強まった。皮肉な事に、この規制が軍部の人員の質を引き上げることに繋がったが、せっかくの質ののいい人員を持て余すことに繋がるため、外郭独立部隊に編入し、好きにさせることが推進される。S.M.S、ケイオスの二大民間軍事会社の最高のエース部隊がまるごとロンド・ベルに編入されたのも、人員の身辺警護と民間軍事会社そのものへの政治的批判を前政権が躱すことを兼ねた政治的措置で、民間軍事会社そのものを嫌う風潮が地球連邦の国民全体に表れている事を鑑みた措置であった――

 

 

 

 

 

 

 

――ロンド・ベル隊は民間軍事会社から異動する者達の行き場と化し、スカル隊やピクシー隊、デルタ隊も書類上はロンド・ベル隊に編入されている。その内のピクシー隊の隊長であるクラン・クランは表向きは『地球圏で防空任務についている』とされているが、実際は『黒川エレン』として、太平洋戦争に従軍している。階級は中佐であり、プリキュアとしての軍階級はナンバー2にあたる。ゼントラーディ人に転生していた都合、闘争心は人一倍。黒川エレンとしてなら、精神が子供にならなくてすむため、最近はクラン・クランとしての活動は鳴りを潜め、『黒川エレン』としての活動に専念していた。パイロットとして優秀なため、プリキュア達の内、前線で戦う者の教官任務も引き受けていた――

 

 

 

 

 

――遠征先――

 

「お前も前線に?」

 

「子供たちのお守りばかりはしてられんさ、シャーリー。仮面ライダー四号から、よく逃げられたな?」

 

「ケイさんが目眩ましの閃光弾を使ったんだよ。紅蓮は損傷してたし、あのまま戦っても、あたしがジリ貧に追い込まれたさ。今、予備機の特式を改良してるとこだ。原型のままじゃ、武器のエネルギー効率が聖天八極式より悪くなってるからな」

 

帰還後、紅蓮聖天八極式改を修理に出したキュアメロディは、予備機の紅蓮特式を紅蓮シリーズ本来の『ゲリラ運用』主体の設計思想に差し戻す形で改良させていた。64Fでは、ゲリラ戦術のほうが常態だからだ。そのため、前型機に先祖返りした箇所もできたものの、エネルギー効率は逆に向上していた。輻射波動機構はエネルギー出力の向上、ドリル状にエネルギーを固定することで刺突に転用可能になっているなどの特式の利点はそのままである。ただし、本来開発されるはずの『火焔光背』については、MSのフルアーマーとのコンセプトのかぶり、『ナイトメアフレームの特性を殺す』と判断したシャーリーの判断で用意されなかった。代替に、機体そのものの強化を行うことで対応した。これはシャーリー(キュアメロディ)が高機動戦こそがナイトメアフレームの特性を活かせることを前世の経験で理解していたからだ。

 

「MSが予想外に輻射波動に耐性あったからな。こいつの出力なら、ガンダムタイプ、あるいはそれに比肩し得る機体以外なら、一発で倒せるはずだ」

 

「速度は?」

 

「高出力の恩恵で、YF-29に追従できる。最近のバルキリーは加速度的に早くなりやがったからな」

 

バルキリーは通常の機動兵器の範囲内では最速を誇るが、最強のバルキリーと名高い『YF-29』はグレートブースター装着時のグレートマジンガーよりも速い。大気圏内での速度はマッハ5.5あたりで頭打ちになるが、デュランダル(未来世界では、デュランダルのペットネームがそのまま制式採用された。パーシヴァルというペットネームも検討されたが、軍令部から『パーシヴァルは宇宙戦艦に検討しているから、却下!!』とお達しがあったらしい)の加速力もグレートブースターをも上回る。そこを差して『速くなった」と述べたのだ。

 

「仕方ない。最近は実戦続きなんだ。それに、フォールドクォーツの調達にも目処がたった。VF-19の初期調達機が老朽化してきてたから、上位のエースたちが調達してるんだ。専用機として。グレートブースターよりも加速がすごいのに、通常のエクスギアで乗れる。一種のバケモノさ。VF-31はVF-25と大差ないがな」

 

とはいえ、廉価量産機の代表となった『VF-171』程度では、エース部隊である64Fの需要はとても満たせない上、未来世界の地球本国での同機の運用は終えている。そのため、地球本国の可変戦闘機部隊はブレイザーバルキリー以上の高性能機種に再統一され、それ以降の新世代機も扱う部隊も増加しつつある。皮肉なことだが、侵略者や小競り合いの連続が地球連邦軍の中枢部の意識を変えたわけだ。そのため、地球本国の可変戦闘機部隊の練度が異常な速度で向上。気がついたら、民間軍事会社の下手な部隊より強くなっていたというオチであった。機材もこの需要に応じて高性能化が進んだが、一般部隊はブレイザーバルキリーとVF-22が最高峰のままだ。これは両機のポテンシャルの証明であると同時に、フォールドクォーツの希少性の実証でもあった。

 

「でもよ、VF-171はどうなった?」

 

「払い下げが進んだが、辺境の移民星や移民船団の少なからずはまだ使ってる。ウィンダミアの部隊は質が悪い上、ゴロツキ同然の者も多い。面倒な事になりそうだ」

 

「まずいからな、あそこが暴発してみろ……」

 

「ああ……。ゲッターエンペラーが嗅ぎつけてみろ、『エンペラーチェンジ』だけで星団自体が消し飛ぶからな」

 

二人もゲッターエンペラーの苛烈さは知っているため、地球壊滅や殲滅を公言する国家や組織の出現は気が気でなかった。ゲッターエンペラーは地球人類とそれに与した者には菩薩だが、敵と見做した者は細胞の一片すら残さずに打ち倒す修羅となる。もし、ウィンダミアが血気に逸れば、ゲッターエンペラーが時空を超えて飛来し、『エンペラーチェンジ』で星団ごと消し飛ぶのがオチだからだ。仮にも、味方側である二人があからさまに存在を恐れることからも、ゲッターエンペラーの有無を言わせない圧倒的な力が窺い知れる。

 

「どうするつもりだ?」

 

「我々が鎮圧していくしかないと結論が下った。エンペラーが動く前に、なんとしても向こうの戦意を挫かんと……しかし、当分の間は無理だ」

 

「一難去ってまた一難、か」

 

「ジオン残党もまだ、オールズモビルが残ってるっつーに…」

 

一難去ってまた一難という言葉が似合う未来世界の地球連邦。修羅場をくぐり抜けた女傑のユング・フロイトが大統領になるのがせめてもの希望だろうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑空軍はそれぞれの旧組織から引き継いだレシプロ機の耐用年数を超えた個体が退役し始め、数的不利がますます増大。前線部隊では、射撃回数に制限のない『パルスレーザー』が人気であった。仕方ないが、ジェット戦闘機の時代の機銃は『お守り』と威嚇射撃、対地掃射用が主であり、機銃の発射レート増大もあり、最大でも十数回分しか弾数がない。レシプロ機や第二世代機以前の旧型が多数飛来する空戦では、それは不利な要素でしかない。そのため、機体の電源がある限り撃てるパルスレーザーは重宝された。レシプロ機で現役に残っていたのは疾風、紫電改、五式戦、烈風改(戦闘爆撃機型)、陣風である。ターボプロップ化の改修も施されてきているが、場当たり的に史実通りの設計がなされた疾風は見限られるのが早く、初期配備の機が早くも退役を始めている。とはいえ、長島航空機も性能向上は怠ってはおらず、ターボプロップエンジンに最適化した最終型は一定数が出回っている。(史実通りに信頼性の高い金星エンジンに換装したモデルは検討されたが、敵が3000hp級エンジンを積んだモデルを量産したためにボツとなった)結局は戦闘機の主流はジェット機に移行しつつあったため、四式戦闘機は史実ほどの功績は残せずに終わった。ベテランも五式戦を好んだための悲運であった。五式戦闘機が日本軍出身者を含めた古参に愛され、エースパイロットも多く使用した事、ジェット戦闘機が高高度戦闘を引き受けたおかげで、得意な高度での戦闘に専念できたという戦闘での僥倖もあるが、日本軍出身者達の手で、その真価が発揮されたことも最大の幸運であった――

 

 

 

 

――シンボリルドルフが退任に追い込まれたのは、中央と地方の対立の表面化、地方レースの衰退も一因であった。ルドルフは過去の発言が漏洩した結果、キングヘイローの失踪を大義名分にされる形で政権を追われた形となった。とはいえ、誰も、ルドルフ路線からの方針転換など望んでいないので、ルドルフの継承者『トウカイテイオー』の会長就任は協会公認の既定路線と化していた――

 

 

 

「あれ、かいちょーはどうしたの?やけにしょぼくれてるね」

 

「それが…。過去、オグリ先輩に言った『中央を無礼るなよ』がゴシップ誌に漏れた上、地方の反発の大義名分にされて。会長は自責の念に…」

 

メジロマックイーンも気遣うが、ルドルフは『中央を無礼るなよ』が世間に知れ渡り、ゴシップ誌に『中央の傲慢』と書き立てられたことで、自身が慕う実姉『スイートコンコルド』にこれ以上ないほどに叱責を受けたショックでふさぎ込んでしまった。トウショウボーイの擁護で『スイートコンコルド』は納得してくれたものの、ルドルフはあまりのショックで『ルナ』時代の口調で泣き出してしまう事態となり、トウショウボーイが擁護すると同時に、スイートコンコルドを諌めなくてはならず(スイートコンコルドはトウショウボーイの後輩である)、それを聞きつけた長姉の『シンボリフレンド』も加勢し、やっとスイートコンコルドは納得してくれた。だが、ルドルフは次姉に怒られたショックで落ち込んでしまい、トウショウボーイが困るほど、一時的な幼児退行を引き起こしてしまった。

 

「ルナ、わるくないもん……」

 

年甲斐もなく、子供のようにぐずっているルドルフ。ショックで幼児退行を一時的に起こしているようで、テイオーよりも子供っぽさが出ていた。

 

「この有様でな…。助けておくれ、テイオー君…」

 

「何があったんです、トウショウ先輩」

 

「うむ…。マックイーンくんの説明の通りだが、ルドルフの姉で、私の後輩にあたるスイートコンコルドが怒ってしまってな。彼女を宥めるのに苦労した…。一番上のシンボリフレンドに謝罪されたが…」

 

トウショウボーイにギュッと抱きつくシンボリルドルフ。ルドルフの生家は厳格な教育方針であり、オグリキャップに釘を刺すためとはいえ、中央の格式が高いことを強調するかのような言葉を以て、地方出の後輩を威圧したことをスイートコンコルドは有無を言わさずに強く咎めた。ルドルフは弁明も出来ないほどにショックを受け、泣いてしまった。たまたま、そこを通りかかったトウショウボーイが電話口でスイートコンコルドを諌める羽目となり、スイートコンコルドは今度は自分の姉であるシンボリフレンドに『言い過ぎだ!!』と叱責され、シンボリフレンドが『先輩のお手を煩わせる事になり、申し訳ありません!!』と謝罪するに至った。その際、ルドルフは『フレンドおねーちゃん、コンコルドおねーちゃんがいじめる~!!』と泣いてしまっており、頭を抱えた。シンボリフレンドはトウショウボーイ共々に、ルドルフを電話口でなだめすかすのに苦労を強いられたという。

 

「かいちょーに兄弟いたんですか」

 

「うむ。上が三人、下に一人。その内の一人は人間の男だが、三人はウマ娘だ」

 

シンボリフレンドは現役時には難しい気性で知られたが、二番目の妹であるルドルフにとっては『優しい姉』であった。家の長子らしく、厳格な面はあるが、スイートコンコルドを諌め、ルドルフを慰めるなど、スイートコンコルドより『できた人物』であった。また、ルドルフは下の姉妹のおかげで、大人びた態度が取れるようになったことがトウショウボーイの口から語られる。

 

「こんな時は、グリーングラスの奴に任せていたんだがね」

 

トウショウボーイはルドルフと違い、実力で他を引っ張る割合の強いリーダーだった事がわかる。また、ルドルフからは慕われているものの、その全盛期には『天を駆けるウマ娘』と謳われたほどの実力だった故に『近寄りがたい』と言われていた。ルドルフと違うのは、対等の実力を持つ同期のライバルがいた(ルドルフは全盛期には敵なしで、それ故に、幼馴染かつ親類のシリウスシンボリにさえ、距離を置かれていた)

 

「うーん。いつの時代も、クリーク先輩みたいなタイプっているんだなぁ」

 

大器晩成型、母性あふれる性格など、スーパークリークは『グリーングラスの再来』という評判も持っていた。グリーングラス自身、才能が開花したのは、クラシック戦線の末期頃。第三のウマ娘と呼ばれ、台頭したのはシニア戦線期である。テイオーはいささか、的外れな感想を言う。

 

「そういうことではないと思うのですが…」

 

呆れ気味のメジロマックイーン。メジロの名がターフから消えて、久しい時代を迎えている21世紀では『往年の名馬』扱いであるが、前世では孫にあたるゴールドシップが一時代を築いた事は素直に嬉しいらしい。

 

「でもさ、マックイーン。TVの中継のゲストに呼ばれたんでしょ?」

 

「ええ。実を言うと、野球中継のゲストに呼ばれたかったのが本音ですが……。」

 

「仕方ないよ。君はメジロの黄金期を担ったし、タマモ先輩、オグリ先輩。芦毛の王者としての間接的な先輩たちの後継者でもあったんだ。そんな君がレースの解説に呼ばれるのは当然さ。ボクなんて…、そういう話さ、どういうわけか来ないんだよー?」

 

ふてくされるテイオーだが、一時代を築いたマックイーンと違い、テイオーは怪我に泣かされ、引退レースが出来なかった事、ルドルフの後継者としての素質はあったが、そうはならなかった事、最後の見せ場が有馬記念であった事が語り継がれる馬だったためか、マックイーンに比べて『波乱万丈すぎて、重くなる』と判断されたらしい。

 

「貴方は逆境から這い上がる姿が後世に語り継がれていて、会長の後継になりきれなかったところなどの会長にはないドラマ性があるのですけど……何故でしょう」

 

「テイオー君はルドルフの子だったから、わがままそうに考えられたかもしれんな。それに、ルドルフ自身、王者であっても、大衆のアイドルではなかったからな」

 

トウショウボーイらは時代背景として、それなりの人気はあった。しかし、ルドルフは大衆人気ではシービーには及ばず、『強すぎて退屈』とさえ論じられるなど、どこか冷めた見方がされていた。テイオーはその逆に『ルドルフの子でありながら、波乱万丈の競走生活だった』点で、大衆に人気があった。とはいえ、ルドルフの血縁者と思われたのか、『わがままそう』と見做されたのでは?と推測される。テイオーはかなり不満そうに膨れるが、前世で親子だったからか、その様子はルドルフに似ている。

 

「これも、不思議な縁かもしれんな…。マックイーン君」

 

「ええ、前会長…」

 

頷き合う二人。しかし、トウショウボーイもミスターシービーと似ていないわけではないし、マックイーンとゴールドシップは似ていないようでも、似ている点はやはり多々ある。たとえ、ウマ娘としては血縁でなくとも、魂のレベルでの繋がりは存在する場合はある。また、前世で先輩後輩関係であった場合も、何らかの繋がりがある。ナリタタイシンとナリタブライアンがそれだ。

 

「ボーイ、マルゼンだが、スペシャルウィークのことを気に留めない様子だったのが、ゴルシをキレさせたらしい。俺はそろそろ行くが、マルゼンのことは頼む」

 

「ええ。あいつとした事が、ヌケサクのようなミスを犯しおって…」

 

「それじゃな」

 

黒江はそれだけいい、今度こそ出かけていった。それを見送る一同。

 

マルゼンスキーはゴールドシップの怒髪天でかなり怯えていたが、やっと冷静になってきたと、黒江が伝えてきた。目覚めた当初にアグネスタキオンが鎮静剤を投与したことも併せて伝える。

 

「奴が怯えるとはな。後は私が引き受けます」

 

「頼む」

 

マルゼンスキーはこの後、トウショウボーイにも諌められ、スペシャルウィークへの気遣いを表立って見せていく。前世で自分の孫であったことも知ったこともあり、スペシャルウィークのサポートに力を入れていく。また、現役時代の蓄えの一部をスペシャルウィークの養母(スペシャルウィークは実母を亡くしている)の経営する室蘭の農場に投資したり、スペシャルウィークへ生活費を仕送りをするなどの行為をし、トゥインクルシリーズを去った後のスペシャルウィークを公私ともに支えていく。なお、後日のことだが、マルゼンスキーはスペシャルウィークの養母が過去にレースのトレーナーを務めていた可能性に気づいたという。

 

 

「マックイーン君。メジロドーベル君への伝言を頼む。ラモーヌが『対戦を楽しみにしている』と」

 

「ラモーヌ姉様が……!?」

 

「奴も、君らの活躍に刺激されてな。ターフに戻るつもりらしい」

 

「ラモーヌ姉さまが……ターフに…!」

 

メジロの歴史上、最も輝かしい栄光に彩られつつも、メジロ家の悲願である天皇賞とはまったく関係がないために一時は軽んじられ、不遇を囲った経歴を持つ現世代のメジロ家長姉。アルダンの実姉であり、マックイーンらの従姉でもある。なお、ルドルフの同期だが、重度の怪我で引退を余儀なくされていたという。

 

「先程、ラモーヌからメールが来てね。奴も、君等が自分を尊敬し続けてくれていることで、立ち直れたようだ」

 

メジロ家は天皇賞以外の勝利を軽視していた時期があり、トリプルティアラを初めて達成する名誉に預かったラモーヌを軽んじた。そのことでアサマと喧嘩をしていたが、次世代のメジロであったマックイーン、ライアン、ドーベルらが彼女の背中を追っていたことを、妹のアルダンから知らされ、『自分の走りは無駄でなかった』と知り、アサマも素行不良を許し、メジロ家へ戻ったという。

 

「姉さまが戻られるなんて…!」

 

目を輝かせるマックイーン。ラモーヌはマックイーンらが子供の頃に、家を出ていった記憶がある。何故かは知らされなかったが、アルダンが哀しげな顔であったのは覚えていた。往年の走りを見られたわけではないが、マックイーン、ライアン、ドーベル、ブライトの四名はその走りに憧れた。その実像を知るのは、実妹のアルダンのみ。そこもメジロ家の持った業であった。だが、マックイーンらの純真な憧れが、姿を消していたラモーヌに光を戻させた。キングヘイローの捜索に加わったのを期に、トウショウボーイの取りなしで帰参したという。

 

「君らとの対戦を楽しみにしている。奴もトリプルティアラの達成者だ。君等の頃とはレベルが違うかもしれんが…」

 

「い、いえ!姉さまの栄光はアルダン姉さまから聞かされていますわ!」

 

ラモーヌは秋華賞創設前の時代のウマ娘である。その関係で、彼女はエリザベス女王杯の優勝を以て、トリプルティアラとされている。時代は経過しても、その頃の輝きは色褪せはしない。既に一流のウマ娘であるマックイーンが子供のように興奮しだすのに、トウショウボーイは怪我もあり、不遇を囲っていた過去を持つ後輩へ向け、こう独白する。

 

(ラモーヌ…。メジロ家からすれば、お前のティアラは不本意な栄冠かもしれん。だが、お前の走りは……。お前の『妹たち』に光を確かに見せていたぞ…)

 

一時は当時の生徒会のメンバーとなることも取り沙汰されたメジロラモーヌ。往年の栄光を見ていたトウショウボーイはルドルフをなだめすかしつつも、トリプルティアラに輝いた後輩の『復活』を静かに祝福していた。

 

 

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