ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第五百十二話「状況説明 12」

――ブライアンの要請により、夢原のぞみはナリタブライアンに成り代わっていた。現役時代は演技力が低かったが、現在はむしろ高い部類に入るため、ブライアンのキャラを良く模倣できていた――

 

 

「夢原女史、さすがですな」

 

「これくらいはやってみせないとね。でも、あなた達の種族は馬が進化したにしては…」

 

「ええ。それが謎なのです。現生人類と混血ができるという点では、人間に馬の特徴が色濃く表れたというべきでしょうか」

 

「うーん。爬虫人類と人類も混血が可能だから、現生人類の要素が入ってれば、混血ができると思うよ」

 

ウマ娘については謎が多く、女性型の肉体がベースである事、転生前の記憶がない代わりに、転生前の馬生をロールプレイするような道を辿るなど、冷静に考えると、疑問符がつく話が多い。この運命に疑問を持ったのが、ゴルシである。ゴルシはオグリとタマモを口車に乗せる形で、タイムマシンで二人の運命を操作してみた。すると、意志力の強さ如何で乗り越えられるものとそうでないものがあることが判明した。それが歴史の修正力である。少なくとも、歴史の流れ上、どうしても避けられないことはある事も、多少であれば、いい方向に変えられる。それがタマモクロスの現役期間の延長であり、二人の現役時代の成績が本来より良くなっているという結果であった。

 

「ゴールドシップは何をしたのです?」

 

「オグリちゃんとタマちゃんの運命を多少なりとも良くしただけさ。その分、割を食った子も出たけど、それをあの子達は望んだからね」

 

エアグルーヴにのぞみはそう明言する。二人の運命が良化したのと引き換えに、スーパークリークやイナリワンが割を食う形になったが、結果としては、二人の引退も引き伸ばされていた。

 

「なぜ、オグリ先輩はそれを望んだのです?」

 

「タマちゃんが足をダメにして、自分が全盛期を迎える頃に去ったのが心残りだったんだって。それを覆したかったそうな」

 

オグリは『タマモクロスの電撃引退』が堪えたのか、その日の記憶が消し飛んでいた。それを知ったタマモクロスも『ゴルシ、お前の話に乗ったる』と述べ、運命を多少なりとも変えていった。それがタマモなりのオグリへの償いであった。二人が運命を変えたことで、その当時に盛りを過ぎつつあった『シリウスシンボリ』はオグリとタマモの才能に打ちのめされる形になり、何回かの敗北の後にひっそりと引退するなど、割を食っている。

 

「シリウスには悪いことをしたと、オグリちゃんは」

 

「シリウス先輩がオグリ先輩やタマモ先輩に強く出れないのは……」

 

「海外遠征で全盛期を消費しきったって事を、自分のトレーナーに隠してたって負い目があるから、かもね。それとミホシンザンへのコンプレックスかな」

 

のぞみの推測は当たっている。シリウスがそれらを乗り越えるには、長い時間を必要とした。また、自分のトレーナーに花道を飾らせることもできなかった事により、精神的に屈折してしまったのも、現在の粗暴な態度に繋がっている。その割に、『温厚で、気さくな性格であった』頃の片鱗が見え隠れしているので、のぞみは『ツンデレをこじらせてる』と評する。

 

「まぁ、前世で、ライバルを回し蹴りして、馬主同士の喧嘩を起こしたって記録があるくらいの気性だったそうだしね、シリウスシンボリちゃん」

 

気性の激しさで名を残した馬がシリウスシンボリだが、晩年期には現役時代が嘘のように穏やかになっていたとの話も残っている。真偽は不明だが、海外遠征に赴いたものの、(掲示板は外さなかったが)一勝もできなかった点がコンプレックスになっている上、国内に帰還したら、既にオグリとタマモが台頭する時期になっていたという悲劇である。

 

「ああ、私だ。……何?……本人の体調次第だが……先方に伝えておいてくれ」

 

「どうしたの?」

 

「実は……」

 

エアグルーヴにかかってきた電話の主は、政権交代に伴い、テイオーの要望で生徒会入りしたナイスネイチャであった。彼女曰く、『日本のTV局から、走るシーンを撮影させてほしい』と要望がきたとの事。

 

「大丈夫ですか?」

 

「な~に、あたしなら、遜色ない走りができるからね」

 

この頃になれば、のぞみも素でウマ娘と同等以上の走りを元の肉体でこなせるため、撮影に何ら問題はなかった。ただし、走りのフォームはブライアン本来の荒々しいものではないが、『怪我で、フォーム改造を試みている』といえば誤魔化しは効く。

 

「フォームの違いはそちらで誤魔化して。日時は?」

 

「ネイチャ、先方からの日取りを確認したか?……あと四日後か。……わかった。連絡ありがとう。……四日後だそうです、女史」

 

「慣らし走りをしとく必要があるなぁ。このあたりをひとっ走りしてくるかな。誰か、併せ走りにつきあってくれる?」

 

「私がしましょう。ブライアンの動きは私がよく理解しています」

 

「お願い」

 

エアグルーヴがそれを買って出る。ウマ娘の加速スピードは人間のアスリートとは桁違いだからである。のぞみはこうして、限られた時間で、ウマ娘の肉体での走りの感覚を掴むための努力をしていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

――日本の左派は日本連邦の体制下になる時代、あらゆる意味で窮地が続いた。扶桑は日本と似て非なる歴史を辿り、中国は清朝になる以前に滅んでいたことの判明により、扶桑が軍事大国でいなければならない意味が理解されてくると、今度は民間軍事会社の容認へ傾くなど、主張の二転三転を晒す有様であった。彼らは比較的に現実主義な者と夢想論の信奉者とに分裂していき、内輪で争い合う醜態となったからである。彼らの悲劇は、事の次第を知った時には『後戻りができなかった』事であり、かつての学生運動の負の歴史と連鎖を繰り返したことであった。とはいえ、扶桑への政治的圧力としては充分な効果を叩き出した。扶桑が行っていた『検閲』の廃止に繋がったからである。(ただし、検閲担当の内務官僚や憲兵隊の兵士が役職を奪われることでもあるので、窓際族化する官僚が続出したりしたが)気象情報も軍の管理下であったが、1945年八月十五日付で軍の管理下を離れさせられるなどの混乱もあり、民需優先にされゆく時代での戦争遂行に四苦八苦する。航空作戦の都合上、気象情報は秘匿されていたが、台風などの気象災害で死傷者が多数生じる事態に陥り、所管していた軍部の責任問題とされたからだ。軍部も流石に困惑し、結局、将官と佐官の誰かを『生贄』にした上で、気象情報の全面解禁と地図情報の一部解禁を容認せざるを得なかった。その大混乱と同時期に行われていたのが、プリキュア5の世界の派生世界の調査である。遠征先の世界はほんの一例であることをわかっていた扶桑軍はのぞみへの損害補償の一環で、その調査を仮面ライダーディケイドに依頼していた――

 

 

 

 

――門矢士が扶桑に出したレポートによれば、『スイートまでの第一世代は同一の世界に存在するが、第二世代以降の後輩らとのつながりは、キュアミラクルたちの魔法の力で偶発的にもたらされたものである』と判明した。これはHUGっとと初代が『別の世界のプリキュア』の関係にあることが判明していたからだ――

 

 

「そうか。HUGっとのキュアエトワールからの話で薄々と思っていたが、やはりそうか」

 

「そうだ。おそらく、みらいたちが現役時代にかけた魔法の効力で第二世代以降のプリキュア達と第一世代のつながりができたんだろう」

 

「連絡、サンキュー。お前は更に調査を続けてくれ」

 

「バイト料は弾ませろ」

 

「あのおっさんとは会ったか?」

 

「行く先々であいつと出会ったら、俺のほうが背筋が凍るんだが」

 

門矢士は仮面ライダー界有数のチートキャラである。そのため、行く先々でトラブルに巻き込まれるが、持ち前のチートぶりで突破している。派生世界のプリキュア5は本来とは能力値が異なるため、本来の流れの敵に苦戦する事は当たり前。ディケイドはそうなった場合に救援を行い、敵側を戦慄させるのがお約束の流れだという。

 

「あいつ、お前のストーカーだもんな」

 

「おっさんにストーカーされる筋合いはないぞ」

 

「いや、お前。元は大ショッカーだろ」

 

門矢士は悪の組織の首領の経験がある。その因果がトラブルを呼び寄せるのは確実であった。それは黒江にも周知の事実である。

 

「それをいうな。大事なことだが、あいつらは少なくとも、プリキュアとして長い期間、戦っていたのは確実だ。進級しないで二年は……」

 

「その原因はわかるか?」

 

「お前の方でも、オリンポスに問い合わせてみろ。初代は進級しているが、あいつら(5)は進級しないで、一年を二回は繰り返している」

 

「スーパー戦隊に心当たりないか?そういう現象」

 

「90年代の連中に連絡を入れてみる。それと、のぞみに伝えろ。調べた世界の一つでは、成人した後でも騒動が起きていたと」

 

「そうか。それは因果だな」

 

「それと、いくつかの世界のプリキュア5から、お前の知るのぞみについて尋ねられた。部外秘を条件に教えたが、いいな?」

 

「そいつらにはそいつらの人生があるからな。俺たちの知るあいつはその一つでしかない」

 

「お前の魔改造がすぎると、文句言われたぞ」

 

「こっちは否応なしに、闘いに生きるしかなくなって、職業軍人だもんな。あいつの本来望んだ商売とは全く別種の仕事だ」

 

「乾いた笑いしてたぞ。14歳当時の姿を保つ上に、魔法つかいの連中の最強フォームを一方的に叩きのめすことができる戦闘力を持つなんて」

 

「ZEROと融合しちまったから、完全に独立した存在だからな、あいつ」

 

「写真見せたら、ある世界のあいつ自身に泣かれたぞ」

 

「お前、どういう写真見せたんだよ」

 

「ファイヤーブラスターを最大パワーでぶっ放す時の……」

 

「そりゃ泣くわな…」

 

エターニティドリームはシャイニングドリームの発展形だが、技についてはスーパーロボット色が濃く、胸のリボンを放射版代わりにして『ブレストファイヤー系の武器』を放つ。その最大技の一つが『ファイヤーブラスター』である。熱線の放射温度は数百万度。超合金Zも一瞬で融解する温度だ。

 

「むしろ、キュアミラクルが凄いんだが。月の地面がドロドロになるくらいの温度だぞ」

 

「金魔法を重ねがけできる最強フォームで防いだが、必死の形相だったよ。それでも、青ざめてたからな。撃たれた時」

 

「そりゃ、太陽の中心温度よりも高熱の熱線をガチで撃たれたら、そうなるだろう。他には?」

 

「サンダーボルトブレーカーやら、グレートスマッシャーパンチとか撃ってたな。月面のクレーターが増えたぞ」

 

「しかし、エターニティだが、説明に困ったぞ」

 

「俺だってわからんさ。イレギュラーのフォームだし、ZEROの魔神パワーがかかるから、技の威力がスーパーロボットの中でも最高位に近いんだぞ。聖衣でも、白銀までは簡単に壊されるぞ」

 

「試したのか?」

 

「暗黒聖衣の相当品を使って、試したんだよ。黄金はないから、白銀までだが。鋼鉄聖衣の研究も進めさせてるが、装着者に過剰な負担がかかる割に、得られる戦力が青銅の一軍の平常時に毛が生えた程度だしな。俺たちの黄金は最高位のオリハルコンを用いている都合で、神の攻撃でもなきゃ、損傷しない。初期のマジンガーZの武器くらいなら、逆に壊れるんだが……」

 

「つまり、お前が使う黄金の強度は……」

 

「平常時でニューZか、宇宙合金グレンくらいだと思う。青銅の攻撃を弾けるからな」

 

「それに通用するレベルの技をポンポン撃てるのか?」

 

「あいつが記憶してりゃな。最近は普通のフォームでも、シャインスパークが撃てるからな。能力の強化は続いてる。今度はシャインスパークの写真を持って行ってやれ」

 

のぞみは元々の持ち技に近い特性の『シャインスパーク』を得意とするようになり、デザリアム戦役以後の極め技にしている。それはB世界に何度か顔を出した際にも使用している。その他の世界からすれば、かなりの衝撃であろう。

 

「シャインスパークか。マジンガーの技じゃないだろ」

 

「ゲッターとマジンガーは持たれ持たれつの関係だからな。ギルギルガンやピクドロンとの闘い然り……。ミッド式の講習受けて魔力ダメージてんかんとか覚えて、安全装置になったらいいなぁ」

 

「それ、お前がなんとかしろよ」

 

「遠征が近いからなぁ。終わったら、何が何でもやらせる。フェイト曰く、数ヶ月の講習はあるみたいでな」

 

「お前はどうなんだ?」

 

「俺は軽い講習だけで済んだ。すぐコツは掴んだからな。調は古代ベルカで世話になった騎士さんから教わったっていうしあ、作戦の合間に少しづつ座学は進めるか、講師(ティアナ)いるし」

 

「ウマ娘たちからチケットが送られてきているそうだが、遠征に行く日と被ってないか?」

 

「先方に詫びの一報を入れたよ。くっそ、折角の招待なのに」

 

この時に黒江が棒に振った招待は『テイオーが奇跡を起こした有馬記念』であった。史実では、そこで『トウカイテイオーの物語』は終わる。だが、のび太や黒江が手を差し伸べた事により、トウカイテイオーのみならず、メジロマックイーンもその恩恵に預かる。(とはいえ、レース復帰は随分先になるが)

 

「招待はまたくるだろ。それよりも……」

 

「ああ…のぞみBの世界を救うことだよな。タイムマシンか、タイムテレビでレースは見れるし」

 

「Bはひがんでるそうだぞ」

 

「りんが言ってたが、拗ねると、長引くんだそうな。力の差くらいで、ひがまれちゃなぁ」

 

「追いつける気がしないからだろう?責任は取らせておけ」

 

「事が済んだら、多少は鍛えさせたほうがいいな。たとえ、あいつらにとって、プリキュアである時期は青春の一ページでしかなくても」

 

「お前、特訓ビデオでも作って、置いてこい。2008年だから、ブルーレイは普及してないぞ」

 

「ビデオとDVDでいいか?流石にレーザーディスクはないだろうし」

 

「そんな時代でもないだろ」

 

「いや、その頃ののび太としずかの大学の視聴覚室だが、ガチでレーザーディスク置いてあったぞ」

 

「本当か?」

 

「本当だ。レーザーディスクといえば、あいつらがガキの頃、スネ夫が散々に自慢してたが、廃れるのも早かったな?」

 

「あれの円盤はかさばる上、経年劣化があるからな、技術の限界で」

 

映像ソフト規格の変化が起きる時期に、黒江は日本にやってきたため、VHSから小型の光ディスクの時代に移り変わる様を見てきた。プリキュア5が現役であった『2008年』はブルーレイが普及しきっていない頃にあたる。

 

「しかし、微妙な時期だな、2008年は。PS2の末期だろ、たしか」

 

「PS3が普及したのは、2010年代の事だからな。初期型をかれんが持ってるかどうかってところか」

 

「特訓ビデオはこっちで適当に見積もる。後はティアナの事で調べてほしい事がある。」

 

「今度はあいつか。俺は便利屋か?」

 

「頼むよ。フェイトにやらせると、時空管理局のお偉方がしゃしゃり出てくるんだよ」

 

その通り、フェイトは執務官であるため、時空管理局の許可がいる。いくら、ミッドチルダが地球連邦の暫定的な指揮下に入ったと言っても、一定の自治権は認めている都合、フェイトほどの腕利きの執務官は動かすのをはばかられるようになったからだ。そのため、黒江は1948年頃からは門矢士に調べさせる事が増えてきているのだ。この時に調べさせようとしたのは、ティアナが断片的に思い出しつつある前世の記憶のことである。断片的な情報を繋ぎ合わせると、『舞-HIMEシリーズ』関連の情報である事がわかりつつあり、高校時代にそのファンだったのび太に確認作業をさせているが、間違いないとのことだ。

 

「分かった。いい望遠レンズを用意しろよ?」

 

「約束する。とはいえ、お前、自分は写らないだろ」

 

「他のものを取る分にはいい。俺自身が写る立場でなければいいだけだ」

 

門矢士はカメラに写らない。特定の世界に属する存在ではなく、その気になれば容易に世界を滅ぼせる力を持つ存在であるからだろう。

 

「説明役に、あいつを連れて行く。オリジナル(五代雄介)のクウガじゃないが、それに準ずる力は持つ」

 

「あいつか。あいつとは親友らしいな」

 

「ああ、俺の仲間だからな」

 

仮面ライダークウガのオリジナルは五代雄介だが、門矢士も彼には会えていないらしく、彼の言うクウガはその平行存在のクウガであり、黒江も何回か会っていた。それと対照的に、津上翔一(仮面ライダーアギト)、天道総司(仮面ライダーカブト)、乾巧(仮面ライダー555)とはよくつるんでいるので、五代雄介のクウガが平成ライダーで別格の存在であるのがよくわかる。

 

「しかし、オリジナルでなくても、万一、アルティメットで暴走したら、プリキュアじゃ手がつけられんぞ」

 

「あれは凄まじき闇だからな…。子どもたちじゃ手も足も出ないだろう」

 

仮面ライダークウガのアルティメットフォームは仮面ライダーディケイドに正面から戦えるほどの高い戦闘能力を誇る。黒江も小野寺ユウスケ(平行存在のクウガの変身者)の精神力は(クウガのオリジナルたる)かの五代雄介ほどではないのでは?という危惧を抱いていた。また、アルティメットフォームの『超自然発火能力』はプリキュアの能力で対応できない可能性は高いため、暴走への懸念を持つのは当然であった。

 

「オリジナルと会った事がある乾から聞いたが、アルティメットは『聖なる泉枯れ果てし時、凄まじき戦士雷の如く出で、太陽は闇に葬られん』と伝えられていたそうだが、『清らかなる戦士 心の力を極めて戦い邪悪を葬りし時 汝自らの邪悪を除きて究極の闇を消しさらん』に塗り替えられたそうだ。奴の記憶違いかもしれんが」

 

「クウガは見てないんだよなぁ。2000年ん時はそれどころでなかったし」

 

「お前、妙に知識が抜けてるな」

 

「うるせぇよ」

 

門矢士と電話で長話する黒江。とはいえ、プリキュア達の現役時の力は(仮面ライダーや聖闘士を含む異能者らから見れば)さほど高くはないが、『折れない心』が最大の武器であるといえ、キュアフローラもその心意気でゲッター天の招来という奇跡を起こしている。のぞみBが僻んだのは、Aが平常時含めての全能力で自分の完全上位互換化しているからであろう。自分の望んだ職業ではないが、なし崩し的に就いた職業で成功し、高い地位についている上、プリキュアの力を更に進化させているからだろう。士の言うように、のぞみは教師になり、成功を収める世界線が多い。だが、そのAはそうでない世界線。教師の負の側面に押しつぶされ、更に家庭も崩壊状態に陥り、長子がダークプリキュア化したであろう世界線からの転生であった。故に、軍人としての自分を受け入れ、元の世界線での長子が敵として現れるのなら、自分の手で滅ぼす覚悟を持っているのだと、士はBに説明するつもりであった。

 

「例のことをいうつもりか?」

 

「ああ。避けられんだろう。あの子の根幹に関わる。軍人でいることを受け入れた一因だからな。それと……」

 

「ダークプリキュアの線か。言わなくてはならんか」

 

「キュアムーンライトのような悲劇は避けたいが……」

 

「のぞみは現役時にダークドリームの事を経験しているが、肉親だからこそ、だな……」

 

肉親だからこそ、関係がこじれることはよくある。遺産や土地相続などがよく知られるが、のぞみAの場合は『実子が邪な道に落ちたのなら……!』と思っていたが、その前に自分の寿命が来てしまったという悲劇性を持つ。故に、その事への『覚悟』を決めてしまっている。それを避けるため、幾人かの後輩や黒江たちは方策を練ってきているが、いいアイデアは出ていない。Bにその事を知らせるかの判断がついていなかったが、正式に知らせる運びになりつつある。

 

 

 

――セシリー・フェアチャイルド(ベラ・ロナ)とカロッゾ・ロナ(鉄仮面)の例が証明するように、自分自身、あるいは肉親だからこそ、問題がこじれる事は未来でもある。人は根本的には、原始時代と変わらない。ニュータイプであるはずのカミーユ・ビダンとハマーン・カーンが分かりあえなかったように、アムロとシャアがララァ・スンの事で、お互いの関係にしこりを持ち続けているように。のぞみAも、元の世界での長子の事を許せない気持ちは消えてはいない。その逆も然り。黒江たちはそれらの『先例』を鑑み、のぞみの事は慎重に対応するため、この後も協議を重ねるのであった――

 

 

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