ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第三百十三話「幕間その56 BLAZE 2」

――扶桑の混乱はM動乱から始まっていた。当時、扶桑海軍艦艇の多くは対潜戦闘の必要がなかったからか、ソナーや爆雷などの対潜戦闘道具一式を装備していない艦艇のほうが多数派だった。いざ、戦闘が始まると、駆逐艦がUボートに狩られまくるという事態に陥り、扶桑皇国海軍艦政本部は日本防衛省にその見識を疑われ、徹底的に叩かれた。新造艦の建造を待ってはられないため、倉庫で埃をかぶっていた水雷戦闘用装備一式を『史実の1943年水準に嵩上げして』積み直す必要が生ずる始末であった。形式的に生産されていた『酸素魚雷』が多用されだしたのも、その頃だ。扶桑皇国海軍艦政本部は造船官の複数が辞表を提出するわ、自刃して果てる者も生ずる始末。そのため、『艦を大型化して、とにかく積められるものは、何でも積む』という設計思想が主流となっていった。その最初の恩恵を受けたのが超甲巡で、公試運転中の初期艦を武装テストに供したりした後、欺瞞のために上部構造物配置とデザインを変更するなどの改良を経て、量産された。事実上は老朽化してきた甲巡の代替としての量産である。ところが、日本はこれを巡洋戦艦と見做したので、さあ大変。日本は『性能が中途半端だから、36cm連装砲を載せて、防御力を上げよう』と度々、提案してきた。用兵側は投射重量の低下を嫌い、元は戦艦としての運用を考えてない船に無茶をさせることを嫌う艦政本部の猛反対で否決されたが、ミサイル兵装の強化で攻撃力の強化は図られた。これが後のアルジェリア戦争で、ガリア海軍の敗走に繋がるのである――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――日本連邦の結成後は自衛隊との規格統一が図られたが、それを嫌う者は多かった。かつての騎兵部隊などである。そのため、人型機動兵器やヘリコプターは彼らに優先的に回されていった他、震電の系譜の開発継続が例外的に認められたりした。しかし、機甲部隊の装備更新数の指針は一向に定まらずじまいで、統制が取れていない。中央が事態を把握した頃には、戦車の需要の多くを外国産装備が担う有様であった。とはいえ、戦後世代英国戦車は重装甲を持つ傾向があるため、それに独自改良を施した車両は極めて好評(それまでの戦車が九七式以前のものだったりするため)であり、センチュリオンとコンカラーの統合型『チーフテン戦車』も、1949年度にライセンス契約が結ばれ、生産に入っている――

 

 

 

 

――ある日――

 

「ゴルシさん、これ、師匠から預かっていた『頼み事』の手紙です」

 

「ああ、わかった。一両日中に片付ける」

 

ゴールドシップは自分の出走日が当分は先になっているため、64Fの戦闘には直接は関わらないものの、『ハッカー』として間接的に協力している。また、ルーデルと記憶を共有している関係で、64Fの抱える問題を存じている。ルーデルがウィッチ世界で多忙な身なためか、事実上のルーデルの代理のようなポジションにいた。

 

「でも、いいんですか?レース前のトレーニングをサボって」

 

「アタシほどのウマ娘だと、ぶっつけ本番でもよ、G1で勝てるからな。シャカールの奴と揉めなきゃ、あの事件の再現をしなくて済んだってのに」

 

ゴールドシップは史実通りに、ゲート入りで問題を起こし、あるレース(G1)の連覇を棒に振っていた。そこは悔しいようだが、この時、既にG1は六勝済み。充分に強豪と讃えられるだけの戦績を誇る。G1の勝利数で言えば、現役時代のオグリキャップを凌駕しているからである。

 

「でも、もう六勝もしてるじゃないですか、すごいですよ。世の中、一戦で見限られることも多い業界って言うじゃないですか」

 

「まーな。オグリキャップのG1勝利数はもう超えてるしな。アタシは本気で走ったことは殆どないが、G1でも余裕で勝てる。まぁ、凡百の連中からすりゃ、アタシのしてる事は舐めプだろうな」

 

ゴールドシップは黒江からの使いで、野比家に戻った調と話していた。ルーデルの記憶があるため、ゴールドシップは当初から調の存在を知っており、調も驚いている。

 

「でも、なんで、私のことを知ってたんですか?」

 

「ルーデルの最新の記憶が常に見られる身になった以上、部下のあいつの身の回りのことを知るのは当然さ。それに、興味がなかったわけでもなかったからな」

 

ゴールドシップは家の都合(前世で手綱を握った騎手の影響もあるが)で、レース以外のことも多芸多才を誇る。そのため、食事も一級品を作れる。本業で一流、それ以外も一流という多才ぶりはある意味、ウマ娘の理想の体現であるため、シンボリルドルフも、ゴルシの奇行を大目に見ている。また、声もルーデルそっくりなのを利用し、ある日、ウィッチB世界のミーナ達を宥める電話の『代役』を買って出たこともある。

 

「自衛以外で、あたしらが戦闘する事はまずないだろう。本業の事は頭の隅に置いてなきゃいかんからな。あ、うちのチームメイトのスペが批判されてるのは、海外遠征を期待されてたグラスワンダーの奴を燃え尽き症候群にしちまった一件だが、スペに言わせれば、『そんなことまでの責任は取れない』だ。まぁ、当然だな」

 

「スペシャルウィークさんにしてみれば、知ったことじゃないって奴ですからね」

 

「協会が勝手に期待しただけだ。グラスはスペやエルと一緒に引退したかったんだろうよ。ところが、エルは海外に遠征、スペはシニア級に行くことなく、ドリームシリーズときた。それで燃え尽き症候群を発症。マルゼンさんのようにはなれずじまいだ」

 

グラスワンダーはスペシャルウィークの移籍が引き金となり、精神不安定に陥った。シニア級での不振の直接の原因は、同期たちが相次いで彼女の戦う場から去った事そのものであり、リギル在籍末期は引退を本気で考えていたが、スペシャルウィークとエルコンドルパサーのために思い留まった。リギルの解散後はスピカ預かりになったため、スペシャルウィークとチームメイトになった。その影響で状態は上向きつつあった。

 

「奴を責めても酷だが、マルゼンさんの再来と期待された分、協会の重鎮どもの怒りを買ったんだろうよ。だから、再起にはスペ達の力が必要なんだ。こればかりは、どんな敏腕のトレーナーでも無理な話さ」

 

グラスワンダーは史実で言う『現役末期の不振期』相当の長期不振で、出走予定のレースでの下馬評は完全に往時から低下していた。本人は不振の要因がわからずにいたが、真の要因は『運命と時間が、同期たちを自分から奪った』事による精神的ショックによるものだ。

 

「奴は今は護身術の特訓中だ。あいつ、リギルから離された後、一人でトレーニングする事が増えて、チンピラに絡まれることが多かったそうでな」

 

グラスワンダーは一人でいると、その線の細さ(見かけ)からか、ゴロツキなどに絡まれる事が多いため、必要上、護身術を習得した。合気道や太極拳などである。レース以外では全力を出さないようにしている者が多い中、グラスは故あって、ゴロツキやチンピラを制圧せざるを得なかった。その事は自衛目的なこともあり、不問に付されている。グラスワンダーはすでに顔が知られているはずだが、普段の雰囲気からは『スペシャルウィークに勝ちを譲らなかったウマ娘』という実情は伺い知れない。喧嘩の際に、刃物で足を負傷させられた時だけは激昂し、そのチンピラを本気で叩きのめし、病院送りにしている。

 

「あいつ、その流れで、暴力団と繋がってたチンピラによ、ナイフで足を斬られた事あるんだ。スペには伝えてないようだが、セイウンスカイは見たらしい。その時のキレっぷりは凄まじかったらしい。レースを回避せざるをえないくらいに斬られたらしい。そいつを病院送りにした勢いで、親玉の事務所を潰したって噂だ」

 

「……すごいですね」

 

「あいつ、物静かそうだが、キレると、マジで周りが怯える。奔放なセイウンスカイが本気で避けてるほどに」

 

ゴルシが語る事は、グラスワンダーが『スペシャルウィークにはいうな』ということで、周りに口止めしたほどの凄まじい顛末。暴力団側が当局のガサ入れを恐れたり、グラスワンダーに本気で怯えたなどの理由で表ざたにはならなかったが、セイウンスカイ曰く、『下手なアクション映画が霞む勢いで暴れた』という。『暴力団の組長をメンチ切って、その場で失禁させた』ともいうが、セイウンスカイの誇張が入っている可能性があると、ゴルシの談。

 

「ただ、スペやエルを大切に思ってて、二人に何かあったら、レースをほっぽらかしにしてでも、駆けつけるっていうのはガチだ。スペがこの前、熱出した時な……」

 

「ゴ~ルシせーんぱーい?」

 

「うお!?お、脅かすな!!」

 

ドアをガラッと開け、本人がオーラを出しながら現れる。ゴルシも思わずビクッとなる。なお、ゴルシは少なくとも、スペシャルウィークらより先輩であるらしく『先輩』と、グラスワンダーは呼んでいる。

 

「落ち着け、馬鹿!子供の前だぞ!!」

 

「あら~……すみません」

 

薙刀をしまうグラスワンダー。落ち着いた物腰ながら、怒っているのが丸わかりなオーラを出している。私的な場以外では『触れられたくない』のだろう。

 

「この事はスペには言わんよ。だが、どうしても、お前の直近の怪我の要因だから……」

 

「わかってます」

 

ようやく、オーラを鎮めるグラスワンダー。闘志旺盛な本質を穏やかな物腰で隠していても、こうしてモロバレになっている。

 

「それにだ、子供の前だ。自重しろ」

 

「すみません」

 

 

キレると怖いという事を垣間見せたグラスワンダー。競走馬の『黄金世代』とされ、ウマ娘としても『黄金世代』の一人。マルゼンスキーの再来と言われていたが、マルゼンスキーほどの絶対性がない事から、協会内部では『たるんどる』という誹謗中傷も出ている。とはいえ、マルゼンスキーの時代とは既に比較しようもないほどに状況が違うのだ。

 

「先輩は何をなさってるんですか?」

 

「バイトだ。とはいえ、レースとは関係ない奴だがな」

 

「ん?ゴルシさんのほうが先輩なんですか?」

 

「競走馬としては、アタシがグラスの後輩だが、ウマ娘としては先輩だ。そういうのはザラにいる。それ言うと、スペとスズカはアタシのオジキにあたるからな?」

 

「なっ!?ほ、本当ですか?」

 

「あくまで、前世での話だがな。まぁ、テイオーと会長なんて、実の親子だったしな」

 

「なっ!?」

 

「会長はオフレコにしてくれってよ」

 

「そう……でしょうね」

 

ゴルシ、グラス、調の三者がわちゃわちゃしていた頃……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――『プリキュア5』の世界――

 

『ゲッタァァァァ・シャイィィィン!!』

 

キュアドリームAはZEROと融合した恩恵で、ゲッター線も制御可能になっており、シャインスパークを実行する。元々、似たような技である『プリキュア・シューティングスター』を有していた関係もあり、その事実上の上位技といえる『シャインスパーク』を会得するには、さほどのハードルはなかった。シューティングスターを置き換えたわけではないが、通常技が通用しない相手や、巨大な敵などに使用している。ゲッターGがそうであるように、相当のスタミナを消費するため、多用はできない。とはいえ、この戦いには普通にMSなどもいるため、使用せざるを得なかった。

 

「な、何あれ!?シューティングスターじゃない!?」

 

「のぞみちゃん、伏せて!あれはとんでもない大爆発を起こすよ!」

 

「え~~~!?」

 

「凝縮したエネルギーを放つからな。変身している俺とV3、キュアハートはともかくも、変身していない君では、爆風に耐えられんからね」

 

のぞみBはキュアドリームと別人であると、学園の皆に言い張る必要上、変身していない。そのため、シャインスパークの爆風に耐えるには、地面に伏せるしかないのだ。

 

『シャイィィィンスパァァァァク!!』

 

エネルギー弾が撃ち出され、講堂付近に陣取っていた突撃砲を数台は消滅させる。技のシャウトもばっちり。エネルギーと体力は消耗するが、威力は保証付きだ。

 

「……何、あれ。私の上位互換じゃん~!!」

 

シャインスパークは実質的に『プリキュア・シューティングスター』の上位互換である。プリキュアの力との関連はないので、敵の浄化能力はないが、物理的破壊力は桁違いであり、浄化を必要としない敵相手に使う位置づけである。

 

「浄化能力はないから、倒すしかない敵に使うもんさ。エネルギー使うから、滅多に使わないけどね」

 

「さ、講堂にいる関係者を『それっぽく』解放しよう。敵もそれは承知している」

 

「なんか変な気分だよぉ」

 

「敵だって、事を荒立てたくないから、交戦協定なんて結んだんだよ。ただ、映像は一応、撮影されてるから」

 

「へ、どこで?」

 

「ああ、衛星とか使って。それで映像を編集して、映画みたいにして公開するらしいよ。だから、戦闘終わる度に証拠隠滅してんだ。敵も味方も」

 

「なんか、変な感じ」

 

「敵はこの世界が欲しいようだが、スマートにいくつもりだろう。三号の指示だな」

 

「あいつ、一方的に戦いを打ち切ったけど、都合があるの?」

 

「奴は管理職だからな。悪の組織でも、上下関係はきちんとあるという事でもあるが…」

 

「あいつ、あなた達をまとめて相手取っても、対等に戦えてた。私じゃ……足手まといになる。それに気づいた時……動けなかった」

 

「それが当たり前の反応だよ。あいつは強い。あたしがパルテノンモードを使って、やっと戦えるくらいなんだから」

 

キュアハートは、歴代でも基礎ポテンシャルが高いプリキュアである。その彼女が二号とV3、キュアドリームAに加勢しても、尚も苦戦を強いられた。それがのぞみBに『実力差』を痛感させた。

 

「あいつはタイフーンで炎もエネルギーに変えられるから、炎属性の技は役に立たない。それが面倒なんだよね」

 

「あれで元・レーサーなんだから、恐ろしいぜ」

 

二号も、三号が戦いを打ち切るまでは、身体スペック差が顕著なこともあり、押され気味であった。格闘技では分があるはずだが、身体スペックの差が大きすぎることもあり、ヒヤヒヤものであった。しかも、四人がかりで戦ってさえ、手傷を負わせる程度に終わった。歴戦の勇士である二号とV3相手でさえ、終始優勢に立ち回れるという事実はのぞみBを立ち尽くさせるには充分であった。

 

「名前は確か……黒井響一郎でしたね」

 

「ああ。何故、組織に身を置いているのか」

 

二号とV3もそこが気になっているようであった。前世の記憶があるのなら、既に自分達への悲劇的誤解は『解けている』(1973年に妻子を失っている)はずだからだ。

 

「あの様子じゃ、戦闘マシーンみたいですよ?」

 

「いや、奴のことだ。何かの目的があると思う。そうでなければ、俺たちをわざと煽るような口ぶりはせんはずだ」

 

黒井響一郎は失った妻子への禊をしようとしていたが、タイガーロイド/三影英介がそうであったように、組織に忠節を尽くすのは、それが拠り所となっているからでは?という推測がされている。タイガーロイド/三影英介は米国の警察官だったが、人間だった頃、ある捜査でミスをした事を咎められた上、私生活で『愛する者たちに無残な形で裏切られた』ことでこの世に絶望し、組織に入った。

 

「三影と同類ですかね?」

 

「奴は自分で世の中を捨てたが、黒井は何かが違う。そう思えてならんのだ」

 

それはあくまで、村雨良に執着するタイガーロイドと違い、悪事にあまり加担せず、更に、仇敵のはずの『仮面ライダー』を名乗るのを許されている点で、彼が特別な位置にいるのは推測できる。

 

「妙な感じですね、あいつ…」

 

キュアハートもそう同意する。

 

「それを見極める必要がある。奴の本当の目的が何かをな」

 

二号はそう〆る。三号は戦闘マシーンのような言動を表向きはしつつも、本来は別の目的で動いている節がある。戦闘ロボのような様相の四号と異なり、人間性を感じさせるからだろう。

 

「さ、のぞみちゃん」

 

「う、うん」

 

キュアハートに促され、講堂のドアを開けるのぞみB。映画撮影を装うという、奇妙な交戦協定を律儀に敵も守るという状況だが、それは三号の意向らしい事を感づいた一同。三号の改心の可能性を見出したわけだが、黒江の持つ因縁に何かかしらの決着はつけさせるべきだとは考えていた。彼の存在が、黒江を完全に戦いの道を歩ませるきっかけになったのだから。

 

「先輩と戦う意思があるようだけど……」

 

「あの子もそれを望むだろう。彼女を今の道に引きずり込んだきっかけは奴だ」

 

V3も明確に言う。黒江が聖闘士の力を求め始めたきっかけとなった『三号への敗戦』。黒江が悔し泣きした数少ないケースの張本人。タウ・リンがのぞみAを『引き込んだ』のなら、黒江にとってのそれは『三号』なのだ。

 

「どうするつもりですか?」

 

「すっきりさせんと、あの子の中の何かが終わらんよ。三号もそのつもりだろう。前世では、大首領関連のゴタゴタでそれどころではなかったからな」

 

三号は黒江との決着を望む。黒江も、自分が真の意味で『生きていく』には、三号との戦いは必然と考えている。二号はそれを察したようだった。また、前世では大首領関連の出来事のゴタゴタを片付けた後、三号は『去っている』。それを口にする二号。三号はどのような形で去ったのか?二号はそれ以上は口を閉ざしたが、三号が『世を去った』という事には気づいたキュアドリームAとキュアハートであった。

 

 

 

 

――奇しくも、のぞみBとキュアドリームが同じ場所にいる事で、学園の関係者に『キュアドリームとのぞみは別人』という説に根拠を与えたわけだが、とんでもなく、やりにくそうなのぞみB。一方、場数を踏んだため、新聞部の部長のインタビューを平然と受けるキュアドリームA。中にいた教職員と生徒達は完全に『映画撮影』だと思っており、仮面ライダー達も話を合わせたため、教職員と生徒の救出は拍子抜けなほどに楽に終わった。だが、ここからが本番であった。

 

「やっぱ、こうなるか」

 

「今度は何!?」

 

「ジオンのドムか……敵も雑多な種類の兵器を使う」

 

「何、落ち着いてるんですか!来ますよ!」

 

「何、問題はないさ。こっちも来たようだ」

 

生徒と教職員のいる方にジャイアント・バズを向けようとしたドムだが、飛来した『センチュリーガンダム』にバズを斬られ、怯んだところにヴェスバーを撃ち込まれ、爆散する。

 

『すみません、バイオコンピュータの調整に手間取って』

 

「黒田先輩、そいつ、バイオコンピュータなんですか?」

 

『載せ換えたんだよ。サナリィ製の小型機とソフトウェアの互換性を持たせなきゃならんから』

 

基本的に、連邦系小型モビルスーツはサナリィがハードを完成させた兼ね合いか、高性能機のOSに関してはサナリィ製のそれのほうが高機能かつ、高レスポンス性を持つとされる。センチュリーはアナハイム・エレクトロニクス製だが、OSに関してはサナリィ製のものに書き換えられており、サナリィ製の歴代MSと互換性を持たされている。これは小型機の技術的熟練度では、サナリィが最高であるからであるためで、性能のみを追い求めたため、サイズ的な意味での限界を露呈し、斜陽を迎えた小型MSの最後の光芒であった。

 

「いいところに来た。生徒と教職員が安全なところに行くまで、敵を寄せつけないでくれ」

 

『了解』

 

第一印象はF91に似ているが、ネオガンダムの後継機らしいフェイスデザインを持ち、角張ったボディ形状など、シルエット改とネオのいいとこ取りなデザインであるセンチュリー。ビームシールドも、ネオのものを基礎にしている。F91の完全な模倣をこの段階でようやく達成するあたり、アナハイム・エレクトロニクスも不得意な分野がある事を妙実に示している。センチュリーガンダムは公には『アナハイム・エレクトロニクスの独自開発機』だが、シルエットフォーミュラの流れを汲む。露骨にF91を模したデザインなので、サナリィの幹部は不快感を顕にしている。

 

「でも、そのガンダム、本当に似てますね」

 

『アナハイム・エレクトロニクスが暗にパクリを認めたくらいの露骨さだが、サナリィ製のMSは製造に手間がかかるから、軍のお偉方の一部の後押しがあったんだそうだ』

 

ニナ・パープルトン曰く、『上(ビスト財団が権威を失う少し前の開発開始なため)が自分達の権勢を守るために、軍の技術部の高官を籠絡し、その線で入手した『クラスターガンダム』のデータを用い、実験機の体裁の強いネオガンダムを実戦機として再設計した代物だというセンチュリーガンダム。F91とクラスターガンダムの間の子的な特性なのは、シルエットガンダムの流れを汲みつつ、そこにクラスターガンダムのデータを取り入れたからだという。

 

「えらく政治的だなぁ」

 

『小型機の分野じゃ、アナハイム・エレクトロニクスは二流だからな。その小型機が昨今の戦況で衰退したんで、願ったり叶ったりらしいけどな』

 

宇宙開拓時代には、小型機は色々な技術的限界の露見で『進化』に行き詰まり始めている。搭載容量や推進器周りの技術革新などの結果で『無理に小型にする』意義が薄れ、機動兵器の大型化が再度始まっているからだ。これはスーパーロボットの活躍、『小型機を造る技術で大型機を改良したら、思いのほかに良好な結果が出た』という論文の発表、外宇宙戦では小型機のメリットはさほどないという戦訓によるものだが、戦術単位での機動力の優位は健在なため、16m級が模索されている。ジェイブス、フリーダムはその模索の産物だ。

 

『一年戦争のドム……。いや、マイナーチェンジのドワッジみたいだな』

 

「どこが違うんです?」

 

『擱座させた奴を見てみろ、普通とは違うとこがある』

 

ドムはわずか数ヶ月しか『公的な就役期間』はないが、わずかの間にマイナーチェンジが重ねられた。その最終仕様がドワッジである。あくまで、通常のドムのマイナーチェンジ個体にすぎないため、同系列の『ドム・トローペン』ほどのボリュームはない。だが、通常のドムの生産ラインを改変すれば生産できたため、意外な数がブラックマーケットに流れており、その数はジオン共和国が解体前に記録していた数の100倍とも言われるが、ジオン残党はヘリウム3ガスを調達できる環境を整えていた事、機体そのものを生産できる設備を持つ基地がアフリカや北米などに僅かに残った結果、明らかに『公的な就役数より遥かに多い』数が確認されている。

 

「でも、一撃で倒せましたよね」

 

『コイツはガンダムの端くれだしな。それも新型だ。比較にならないさ』

 

「確かに」

 

スペックで言うなら、比較対象にもなり得ない差がある両機種。ジオン系は全体的に重厚な外見を持つが、装甲強度には差がある。一年戦争中のジオン系機種は『超硬スチール合金』で装甲を構成するため、初期のジム系の持つ実体弾式マシンガンでも充分な効果があった。一方、最新のガンダムは『ガンダニュウム合金に近い強度を持つガンダリウムε』を採用しており、物理攻撃への耐性は素晴らしく向上している。黒田の言うことは誇張ではない。

 

『そんなマシンガン、効かないよーだ』

 

ガンダリウムεは、機体サイズが通常以下の機体にも高強度をもたらす。その恩恵による耐弾性能は素晴らしく、別のドワッジのMMP-80マシンガンのフルオート射撃を掌で弾く。ジオン系組織がMSを攻撃する時に主用するマシンガンを避けつけない。ガンダリウム合金であっても、低品質のものならば撃ち抜けるとされた同兵装だが、センチュリーガンダムの前には無力であった。

 

『あらとっと!』

 

黒田は手慣れた操縦で相手の懐に入り込み、ドワッジの顎を蹴り上げる。ドム系は地上仕様では『首が上を向けない』という点があったため、膝蹴りをかまされた機体は首をもがれる結果となった。黒田お得意の接近戦である。(機動兵器の操縦に黒田は天賦の才能を持つ)

 

『ガンダムに接近戦で勝てると思うなよ~!』

 

ガンダムタイプは『連邦系最強の接近格闘能力』を持つが、意外にその懐に飛び込まれ、一撃で行動不能にされたケースもある。闇夜のフェンリル隊などの記録にあるものがそれだ。とはいえ、これはジオン側のパイロットが凄腕で、連邦側が凡庸であったレアケースで、通常はまず『遅れは取らない』。当代最高レベルのエースパイロットの乗るガンダムは戦場を支配できる。その最たる例である。モビルスーツ戦の光景にのぞみBは圧倒され、キュアドリームAは(自分もパイロットであるので)『職場の先輩の凄腕ぶり』に舌を巻くのだった。

 

 

 

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