ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回はプリキュア5の世界からのび太が一時帰宅をしている様子がメインになります。


第三百十七話「幕間その59 BLAZE 5」

――日本の予想以上に、ウィッチ世界に与えた技術面の衝撃は大きく、旧来型装甲空母の陳腐化を招いた。とはいえ、21世紀型空母は『被弾した実例がない』ためか、横からの攻撃に弱いと見なされ、扶桑皇国の新空母は史実の信濃型空母の『重装甲』の特徴をキティーホーク級に適応したものとして、1947年末にまとめられた。大鳳型を経て、信濃型に至る装甲空母の研究は無駄にならなかったわけだ。大事業となる都合上、扶桑の地上造船所の拡張を待ったため、予算取得と建造開始は1949年にずれ込んだ。大戦型空母複数隻分の任務を、単艦でこなすことが求められたためもある。スケジュールが大きく延びたため、異例なことだが、プロパガンダも兼ねて、ネームシップの艦名は事前に公表されている。艦載機も第四世代機以上の新型で固められる手筈だが、現場からは『小回りの効く小型機が望ましい』と反対されているという――

 

 

 

 

 

 

 

――アース(未来世界の地球)はガイアと違い、『年がら年中、何かと戦っている』ためと、波動砲の構成技術も次元波動爆縮放射器ではなく『タキオン波動収束砲』である事から、ガイアとの間で認識の齟齬があり、政治問題化した。だが、使用原理が根本的に異なる別種の兵器である上、アースは宇宙開拓時代を迎えている。その過程で、波動砲を以てしても『歯が立たない』敵が何度も襲ってきた経緯がある。その事から、アースとガイアは戦争になりかけた。だが、ガイア側では軽視されていた『人型兵器』が主力に登り詰め、更に単体で『惑星を破壊できる』機体も存在するという差、互いの艦艇の性能差もあり、ガイア側が折れる形で身を引いた。結果、アースは次なる侵略者に備え、波動砲搭載艦艇の世代交代を進めていく。それはデザリアムとガルマン・ガミラスの情報、銀河連邦の情報から、ボラー連邦という大国が次なる侵略者である事を悟ったからである。また、地球連邦内部の軍閥を開拓名目で放逐し、地球連邦の『地球帝国化』を防ぐためでもあった――

 

 

 

――『遠征』にのび太が再び赴く直前の頃のある日 新・野比家――

 

「のび太。地球連邦軍が時たま、辺境に兵力を送ってる理由は?」

 

「軍閥の無力化のためさ。はぐれゼントラーディの討伐って題目で、危険分子を放逐する。昔の有名なSFにあったろ?銀河連邦の気鋭の軍人が持ち上げられた挙句の果てに、冷酷非情な独裁者に変貌するって。それを避けるためさ。あの時代、ちょっとした激情で星を滅ぼすなんてのは簡単だしね。だから、ゲッターエンペラーの存在を敢えて公にすることで、反乱を抑制するのさ」

 

地球はとある世界では、移民星軍の蛮行のおかげで滅び、人類の歴史から忘れ去られていく。それを憂慮した地球連邦は、移民星の反乱抑止のために融和政策を取りつつも、惑星を軽く握り潰す力を持つゲッターエンペラーと宇宙戦艦ヤマトの存在を強硬派にちらつかせ、反乱を未然に防いでいた。だが、世の常として、それでも反乱を選ぶ者は存在する。

 

「でも、世の常として、やる奴は必ず出てくるもんさ、ゴルシちゃん。だから、ゲッターエンペラーが動く前に鎮圧しなくちゃならない。エンペラーが出たなら、星系どころか、銀河の一個くらいは軽く滅ぶからね」

 

「だよなぁ。あれの根源はドラゴンだろ?どこがどうなって、ゲッターエンペラーに進化するんだ」

 

「真ドラゴンが聖ドラゴンになって、そこで真ゲッターと融合して生まれた存在ってされてる。ただ、その中間形態らしきゲッターもいるからね」

 

それは『ゲッター天』と呼ばれるゲッターで、初代ゲッターがそのまま進化したような姿だが、真ゲッターの進化体では?という説もある。全ては謎だが、地球連邦軍もゲッターエンペラーの出現を恐れている事が、のび太の口から語られた。

 

「そんな化け物の存在が、どうして許される?」

 

「イルミダスやマゾーンの侵略、セイレーン連邦との戦で正面から対抗できる手段だからさ。平和がおおよそ数百年も続けば、人の思考は硬直するもんさ」

 

ハーロックの語った歴史によれば、24世紀~25世紀の第二の戦乱期が終わった後に数百年の平和があり、30世紀にイルミダスに敗北したタイミングでゲッターエンペラーが目覚め、イルミダスを駆逐していくという。だが、その過程で『生きるために、イルミダスの代弁者になった者』らへの凄惨な暴力が起こるという。それを避けるため、というのがハーロックの『歴史改変』の目的だという。

 

「ハーロックの目的への僕の推測が正しいのなら、イルミダスへの協力者が星単位で虐殺される事件が頻発すると思う。ハーロックはそれを防ぐ為に、イルミダスに勝てる力を与えようとしてるのさ」

 

「イルミダス、か」

 

「この銀河団屈指の軍事国家らしいよ。ゲッターエンペラーと『ワルキューレの炎』で本国が滅ぶと、瞬く間に国家が空中分解したらしい」

 

イルミダスは白色彗星帝国の源流となる国家であると、後に判明したという。そんな彼らもゲッターエンペラーの前では赤子も同然で、本国の星系が滅ぼされ、補給が絶たれた彼らは各地で地球連邦軍に逆襲され、自分達が許しを請う羽目になった。

 

「連邦が扶桑を強化してるのも、同じようなもんさ。あの世界で唯一、リベリオンと対等に戦い得る国だ。大国の中では、比較的に国力が温存されてる。それで強化させることで、ティターンズを討伐させようとしたけど、この時代の日本の一部の連中が、扶桑の社会を現代寄りに再構築するために、扶桑を負かすなんて考えを持って、ティターンズに情報を流した。それがダイ・アナザー・デイでの苦戦さ。未来と過去がお互いに別々に介入したもんだから、あの世界は皮肉なことに、史実の流れを辿るのが確定したよ」

 

「東西冷戦の時代か」

 

「だから、連邦が技術を裏で流したのさ。太平洋戦線で負けないように。彼らが望むのは、自分達の辿った事を扶桑に味あわせることさ。戦艦大和を沈めた上で、ね」

 

「身勝手だな」

 

ゴールドシップはそう切り捨てる。意外に聡明なので、21世紀の人間と未来世界の人間がそれぞれ、別の思惑でウィッチ世界を弄くった結果、本来は起こらない見込みだった『東西冷戦時代』を確定させてしまった事を『身勝手』と断じた。ウマ娘ではほぼ唯一、軍事的な相談事を受ける立場にいた。それでいて、レースで普通に勝つのだから、メジロの血を持っているのは伊達ではないのだ。

 

「連中は妬んでるのさ。扶桑にはあるからね、日本から戦争と高度経済成長、バブル崩壊で失われたものがね」

 

のび太はそう推測している。日本からすれば、『国際組織の常任理事国』、『戦争で失われた国宝、文化財などが健在』、『活力に溢れ、増加傾向が続く国民』などの失われたものをすべて持つ扶桑は妬みの対象になる。当然、『扶桑を軍事的に挫折させれば、自分達と同じ道を歩んでくれる』という希望的観測のもとに、ティターンズに協力する日本人は多い。そのため、扶桑はそんな者達とも戦っていると言ってもいい。ティターンズは未来世界のシンパ、持ち込んだ複数の資源衛星、21世紀日本の協力者から戦争遂行のための資源を得、やりくりしていたのである。

 

「日本人の悪いところだな」

 

「うん。僕も公務員になる前は、親父の会社に縁故で入れって言われてたしね。親って生き物は、自分の子供や孫に期待を託すんだ。自分の能力を鑑みずにね。僕のお袋がそうだったもの。自分の子供時代を棚に上げて、子供の生活態度を叱るんだもの。教育熱心だったのは分かるけどね」

 

のび太は父方の祖母という理解者を失った後、玉子が育児方針を厳しく設定した影響もあり、学業成績は高校まで振るわなかった。大学に入るために、中高の殆どの期間を犠牲にせざるを得なかった事は、玉子も罪悪感を持っており、大学以降はその埋め合わせの意味を含んだか、一転して放任主義に転換している。『憑き物が取れた』とは、のび太の周囲の人間たちの談。

 

「まあ、僕が公務員になって、稼ぐようになった後は、オヤジ達は昔の家の近くのアパートで隠居生活さ。偶に差し入れ持ってくるけど、処理に困る時あってね」

 

「田舎からの贈り物なんて、そんなもんだ」

 

のび太が環境省に入省した理由は、雲の王国やアニマル惑星の出来事を経て、環境意識が高まったからである。更に言えば、裏山のゴルフ場造成計画が取り沙汰される前後に『キー坊』にまつわる出来事もあったので、キー坊の厚意に報いたいという気持ちも多分にあった。だが、実際には後世のスペースノイド達のほうが、地球に短時間で大ダメージを与えている。しずかよりは穏健ではあるが、ジオン軍の行いは明確に否定している。しずかがなぜ、ジオンに敵愾心を持ったのか。それは、雲の王国での裁判で熱弁を振るったのがしずかであり、彼女は地上の人間の善性を信じ、天上人らに『環境意識の高まり』を説いた経歴があるからだ。しずかはジオンを含めた『過激なスペースノイド』を強く嫌うが、それは夫の努力を無に帰す勢いで地球を痛めつけた者たちへの怒りがあったからで、しずかのこの激昂心が末裔たちに思わぬ災難を呼び込むのだ。

 

「カミさん、環境意識が子供の頃からあってね。雲の王国の一件、知ってるでしょ?で、僕が環境省であれこれ仕事してるから、それが無に帰した程のコロニーや隕石落としをしたから、すごく怒ってね…。遠い子孫達が苦労するはずだよ。カミさんはキレると怖いからね」

 

「あー…。お前のカミさん、昔から、環境意識とか高そうだしな。コスモリバースシステムがなきゃ、あそこまでは回復しなかったかもな」

 

ゴルシも同意するように、基本的には清楚な少女/女性で通るしずかだが、意外に激昂心を持っており、喧嘩にも強い。また、雲の王国などの経緯があったためか、成人後は夫に『ジオン残党狩り』の進捗状況を聞くなど、自分達の努力を無にしたジオン軍に強い敵愾心を持っている様子が語られている。とはいえ、一応は節度を弁えているのか、未来の野比家のボディガードの主席がサイド3の出身である事は容認しているとも語る。

 

「もし、『クワトロ大尉』と会わせたら、すごく不味いんだよね。金的蹴りを全力でやりそうでさ」

 

「……あの赤い人のしたことがした事だしな…。それで済むなら、むしろ御の字だ」

 

「カミさんはザビ家にしても、『クワトロ大尉』にしても、自分たちのしたことの最終的な責任をとろうとしないのに憤ってるからね。ミネバ・ザビが同位体に全てを任したのは、ザビ家の人間としての責任は取りたいけど、市井で普通の人生を歩みたいっていう願いとの相克の産物だと思ってるよ。バナージ・リンクス君は彼女に湧いた救いかもしれないな」

 

メイファ・ギルフォードにジオンの後始末を託し、自身はオードリー・バーンとして生きる。虫のいい話だが、バナージ・リンクスの愛を尊重した結果である。ザビ家の業はメイファが後始末をし、ミネバ・ザビはオードリーとしての人生を歩む。それが結果的に選ばれた道である。

 

「まあ、一流のバッドエンドよりは、ベタな三流のハッピーエンドのほうが好まれるからな」

 

「そうだね。プリキュアのみんなも、それを望んでいた。だけど、世の中甘いことばかりでもない。これを見てくれ」

 

「ん、アステロイドベルト地帯の写真じゃねぇか。…おい、これ」

 

「そう。ジオン系の戦艦の識別灯だよ。火星と木星の間にはアステロイドベルトがあるからね」

 

「馬鹿な、あそこに残党はもう……」

 

「火星に逃れた一派がまだ健在だったんだ。そこの連中のものだろう」

 

のび太が財団を通して入手した写真には、火星と木星の間にある『アステロイドベルト地帯』に潜む『最後のジオン残党』の痕跡があった。後に『オールズモビル』と名付けられるその一派は『ギレン・ザビ』を首魁に頂くジオン残党軍。ネオ・ジオンも終焉を迎えた後の時代に蘇る亡霊。それがジオンという存在が地球連邦へ抗うための最後の一矢となる。

 

「今更、どうするつもりだ?」

 

「ザビ家の誰かを白色彗星帝国の技術で蘇らせない限り、ジオンはもうまとまらないさ。だけど、彼らがそれを為し得たのなら……」

 

のび太はその可能性を指摘する。問題はザビ家の誰を蘇らせるか。ガルマ・ザビか、ギレン・ザビか。国民から人気があったのは、ガルマ・ザビだが、彼は遺体も残らぬ死に様である上、ジオン残党が求めるだけの器足り得ない。キシリア・ザビはジオンの暗部の一切を取り仕切った関係で無い。ドズル・ザビはそもそも、遺体は残っておらず、遺品も殆どないとされる。可能性があるのは、ギレン・ザビ。死体が五体満足の状態で残っていたという証言もあるため、野比財団は彼の再臨の可能性を危惧し、のび太自身もそう考えている。かつての独裁者を蘇らす選択を残党は取るだろうと。『ジオンは連邦への抵抗の旗印たるべし』。その思想がジオン残党の拠り所であり、残党が次々と蜂起してきた真の理由。ハマーン・カーンはそれを利用し、グレミー・トトはギレンのクローンとも、落胤ともされる事を根拠に、ハマーン・カーンに反旗を翻した。

 

「でもよ、派閥抗争に明け暮れてきたジオンをまとめるなんざ……」

 

「一人だけいるさ。ギレン・ザビがね」

 

ギレン・ザビであれば、公国系残党は皆、言うことを聞くし、連邦への復讐を望むネオ・ジオン過激派も追従する。ジオン残党は最後の望みを彼に託す。皮肉なことだが、バラバラに立ち向かってきた僅かなジオン残党は彼の存在で一つにまとまる。そして、元・ティターンズ部隊を併合した『オールズモビル』として活動を開始していく。結局、地球連邦政府はティターンズ残党の大半がテロリストに堕ち、バダンやネオ・ジオンなどの走狗となった事を鑑み、『ティターンズは地球連邦政府から生まれた組織』という事実を封印し、公文書を改竄し、『ティターンズはジャミトフ・ハイマンとバスク・オムの私兵が肥大化した反政府軍』のレッテルを貼る。それを主導したのは、ゴップ連邦議会議長を首魁とする中道派であり、『ティターンズを連邦の歴史から葬り去る』という選択を新・大統領のユング・フロイトに承認させた。それほどにティターンズ主流派は『地球連邦軍の醜聞と暗部を詰め込んだ巨悪』に相応しい所業をした組織であり、業の大きさがあるのだ。

 

「ティターンズ残党を取り込んでるだろうから、現行の連邦政府は彼らを歴史から抹殺するだろうね」

 

「政府や官僚の少なからずはティターンズに媚びてたのもいるだろうからな。自分達の蒔いた種だ。……自業自得だぜ」

 

ゴルシはそう締めくくった。ティターンズの存在が地球連邦の歴史から抹殺されようとしている事は『自分達の蒔いた種の結果』だと。ジオンもティターンズも『複数の世界を混乱に追い込んだ』という大罪を犯した。ゴップはそれを鑑み、ティターンズの存在を地球連邦軍の歴史から抹殺しようとする。だが、ティターンズの掲げた旗を信ずる者は意外に残っており、その巨人たちの咆哮がウィッチ世界を混乱に陥れ、プリキュア5の世界をも巻き込みつつある。正式に時空管理局を『管理下に置いた』地球連邦は次元世界全体に生存圏を広げ始めると同時に、時空管理局の業務を代行するという名目で、ミッドチルダを地球連邦に事実上は併合する。

 

「バダンやジオン、ティターンズだけが敵じゃないのが『ぼくらの辛いところ』さ。あと数年もすれば、ボラー連邦と戦争だろうね」

 

「それはお前らの仕事だろ?だけど、世話になった以上、お前んちの留守くらいは守ってやるさ。ダチの怪我を治してくれた恩返しをしなくちゃな。例の件(黒江の臨時トレーナーの件)の手筈は進めておくよ」

 

ゴルシはそこまで言った後に微笑う。相談には乗るが、戦争に加わるつもりはない。それを明確にしつつ。

 

「これから群馬に出張でね。今から行かないと」

 

「またか?ゆっくり話もできないのか?直に遠征だろ?」

 

「このご時世、疫病をどうやったら改善できるかの研究がうちの部署に回されてきてね。その関係でもう、全国をてんてこまいさ。ガソリン代が馬鹿になんないから、仕事の経費で落とすつもり。遠征までには戻れると思う。……あ、タイシンちゃんによろしく言っといて。うちの倅があの子に懐いたんだって?」

 

「ああ。驚くくらいにな」

 

ノビスケがナリタタイシンに懐いた事を教えるゴルシ。のび太は不思議そうな顔を見せたが、実はタイシン自身もかなり困惑していたりする。のび太は出かける前、まだ夜が明ける前の客人用の寝室を、ゴルシと共にそっとのぞくと。

 

「ぐぅ……」

 

心地よい寝息を立てつつも、まだ幼いノビスケがタイシンの手を握りながら寝ている。タイシンの様子から、幼いノビスケがいつの間にか潜り込んだのを咎められずに諦めて、一緒に寝たらしい事が読み取れる。ゴルシはちゃっかり、タブレットの内蔵カメラのシャッター音を無音に設定し、フラッシュを切り、この隙にパシャパシャ撮影しまくる。

 

「タイシンの奴、普段はつっけんどんなくせに。ガキには勝てなかったようだぜ」

 

「いや、あの子の本質は優しい女の子さ。倅はそれを表面化させただけさ」

 

二人はそっとその場を後にする。気配を察したタイシンだが、ノビスケの寝顔に免じ、この場はそのままにさせる。のび太の存在に気づいていたのも大きいだろう。

 

(ゴルシ。この子に免じて、今は許す。だけど……こうして、誰かになつかれたの……久しぶり。ガキの頃……いや、チケット以来か。……わかってる。あたしはこの子の母親代わりにはなれないって。……クリークさんも、こんな気持ちなのかな…)

 

タイシンは寝てるふりを続けつつも、自身に芽生えた感情に気付く。タイシンはわかっている。ノビスケの母親代わりにはなれないという事を。だが、不思議と、かつての自分を見ているような感覚を覚える。

 

(……これが……『誰かを大切に想う』って事?あたしにそんな資格……あるの?)

 

――自身のトレーナー、同室の先輩にさえ、素直になれない自分が、他人の子の面倒を見ていいのだろうか?――

 

 

(!?……ダメだ、ダメだ!!ダメだ!!何考えてるのよ、あたし!?)

 

タイシンは何かのデジャブを覚え、思わず自己嫌悪を覚えるが、ノビスケのまだ幼さの残る寝顔はタイシンの中に『眠っていた何か』を呼び覚ます。そこで、タイシンは顔を真赤にしつつ、頭に浮かんだクリークの顔のビジョンをかき消そうと躍起になる。

 

(~~決めた、夜が明けたら、ゴルシは蹴る。そうしよう)

 

わけのわからない、ムシャムシャした感情のはけ口をゴルシに決め、タイシンは再び眠りにつく。なんともコミカルだが、タイシンの心境が確実に変わりつつある証拠でもあった。

 

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