ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前半は『インフィニット・ストラトス』、後半は「ウマ娘」がメインです。


第三百二十一話「幕間その63 進化とは?」

――レシプロ戦闘機は空冷が液冷エンジンを逆に食ってしまうという問題が最後に発生した。シーフューリーにしても、陣風にしても、初期型は大馬力の空冷エンジンである。そのため、液冷エンジンの役目は終わったと判断された。カールスラントも軍縮で『基礎設計の古い』Bf109は生産が打ち切られ、Fw190も生産は縮小されていった。そのため、日本連邦は必然的に兵器の数のキープを世界的に求められていった。ダイ・アナザー・デイはジェットへの切り替え途上での戦役であったので、日本連邦は生産能力をそれに費やした。未来技術がなければ、とうにキャパオーバーを来たしたほどであった。そして、日本連邦は人材の絶対数の不足から、一点突破戦法を取り、陸・空で『エリート部隊に無双させる』方法を奨励した。64Fはそれを見事に達成したわけである。M粒子、一騎当千の強者、それを達成させられるだけの力を持つ兵器。その要素が合わさった結果である――

 

 

 

 

 

――64F内部でも、軍令上の管理者が源田実であることに反発はあったが、当時の扶桑では彼以外に『エースパイロットの統率ができる参謀格がいない』という現実問題、源田は『分を弁え、実際の運営は現場の幹部級に一任する』という選択を取ったことで落ち着いた。パイロット出身であり、自身もジェット機を動かしてみせたことも、源田が64Fの『司令官』に落ち着けた理由である。それが彼の幸運であったといえる――

 

 

 

 

 

――ティターンズ残党から回収されたペイルライダーは元の搭乗者の脳が組み込まれた状態になっていた。すぐの『施術』は不可能であったため、『ハデス』システムにリミッターを設けた上で、しばらくは人サイズで捕虜生活を送らせざるを得なかった。(ただし、セミモノコック構造の古い機体であった都合で、後年の機体のような『違和感のない』滑らかな動きはあまり取れなかったという。それが『首から下の新造』に繋がった)その頃に、ティターンズ残党の放棄した地上空母のデータ、ペイルライダーに記録されていたデータとの突き合わせで、一年戦争時の連邦の非人道的な計画が露呈した。『当時、形式的にレビル派に属していた腹黒い高官が、エクザムの基本フォーマットのみを入手し、独自のアプローチで完成させたシステムを組み込んだ機体』。表向きは『次世代機のための検証機』だが、実像は『バーサーカーシステムに通ずる狂気を纏う狂戦士』であった。その計画を再利用したジャミトフ・ハイマンが『肉体の限界を迎えたクロエ・クローチェ少尉を、今後も利用するために『取り出した脳を機体に組み込んだ』のだ。『彼女』は機体と一体化したような感覚を感じていたというが、実際は『機体が彼女の肉体代わりになっていた』のである。また、リミッターが施された後も、ハデスシステムが『リミッターを強引に解除しようとする』事があり、その時はリミッターとハデスのせめぎあいが『激しい頭痛』として彼女を襲うなど、さながら『悪魔の笛を聞かされる人造人間キカイダー』のようであった――

 

 

 

 

 

 

 

――とはいえ、その生命維持技術そのものは新操縦システムの安定化に一役買うことになり、太平洋戦争での『前線の機動兵器パイロットの確保』の一助となるが、特殊なものである事には変わりはないため、64Fでのみ使用された。『その場の人員に操縦経験はないが、機体を遊ばせられない』状況下で重宝されたわけだ。別の目的として『ISの量産の頓挫の代替』が含まれており、いくつかの機体はその運用法が主用途であった――

 

 

 

 

 

――IS学園に一旦戻った代表候補性たち。データの提出が必要だったからだが、箒のように『ISであって、ISではないもの』に変貌したために稼働データが取れず、学園のいくつかの課程の消化のために戻された者もいるが、ラウラ・ボーデヴィッヒのみは『戦闘任務中で、出頭不可能』である――

 

「箒、どうして戻ったの?」

 

「単位を取らなければ、留年してしまうからな。いくら時の流れが違うといえど、単位は一応、取らねばな」

 

鈴からの質問に答える箒。以前よりずっと穏やかになっている。赤椿が『姉から与えられただけのもの』から『自家薬籠中の半聖衣』と化し、姉の存在で存廃を決められる事がなくなったり、新たに『アガートラーム』という力を得たためであった。

 

「一夏はどうしている?」

 

「あいつ、しばらくは塞ぎ込んでたわ。千冬さんに散々に叱られた上、自分の力の及ばない何かが存在して、それにすがることしかできない事が『来た』みたいで。まあ、いい薬になったみたいで、今は他人の善意に素直に甘えられるようになったわ。今は千冬さんの用立てで、外に行ったわ。気晴らしにね」

 

「護衛は誰が?」

 

「生徒会長さんよ。あの人が今は監視半分の護衛に就いてる。あたしらがかわりばんこで、向こうに行ってる時は、あの人が守ってた。ただ、ISは何回か修理を余儀なくされたけど」

 

「姉さんは?」

 

「束さんはヒスを何回か起こしたけど、相手が黄金聖闘士じゃ、どんな機体を造っても破壊されちゃうから、今じゃ大人しくしてるわ」

 

「精神を再構築したほうが良いんじゃないか、姉さんは」

 

「あんた、根に持ってない?」

 

「小学校の頃から、姉さんには振り回されてきたからな。根に持たんはずがないだろ?」

 

「た、確かに」

 

鈴と箒は互いに織斑家と家族ぐるみの親交を持っていた共通点もあり、一夏が揉め事を引き起こした後には『戦友の関係』へ深化している。箒が聖闘士になり、次元世界を飛び回るようになったため、元の世界で一夏の面倒を見る誰かがいなければならない。その事もあり、一夏と比較的に古い付き合いの鈴が呼び戻されたからである。

 

「セシリアはどうしてる?」

 

「セシリアなら、今は23世紀の世界で、のび太の末裔の警護をしている。改装後のISの宇宙空間でのテストも兼ねているがな。ぼやいてたぞ、色々と」

 

「あの世界には、あの子のブルー・ティアーズがおもちゃに見える『オールレンジ攻撃兵装』があるものねぇ」

 

「ある程度のブルー・ティアーズの稼働データがなければ、本格的な改良はできんと言われたらしい。当然といえば当然だが」

 

「データの提出って、どういう事?」

 

「大方、学園の技術部が見たいんだろう?改良された機体を」

 

「面倒ね」

 

「お前らの本国の意向もあるだろう。セシリアとラウラは、実働データ取りの最中という事でまぬがれたが、私とシャルはダイ・アナザー・デイなどで、データがたっぷり取れているからな…。まぁ、私は半分は解析不能と判定を食らったが…」

 

苦笑いで状況を教える箒。彼女の機体は色々な事があり、半聖衣化した。その都合で、開発者の束すらもパニックになったのはいうまでもなく、束のコントロールを完全に外れている。(束はISを『触れただけで解体できる』のだが、赤椿だけは不可能になったことに大混乱を引き起こしたという)

 

「姉さんもパニックになっただろう?データを見た時」

 

「ええ。なんか、学園の使われてない棟を一個は吹き飛ばしてたわ。で、千冬さんに叱られてた。本当は何かを仕込んでたみたいだけど、それが『最初から何もない』同然になってたのに狼狽したみたい」

 

篠ノ之束は赤椿を『造った』が、実はそれは偽装。ISのプロトタイプの一つ『紅月』にあれこれの偽装を施し、妹に使わせていただけであった。だが、機体が箒の聖闘士への叙任に伴い、アテナ/城戸沙織によって『洗礼』を受けたことや、敷島博士が実験でゲッターエネルギーを照射した事で、機体そのものが変質。変態機能(偽装の解除)は失われ、赤椿に『射手座の黄金聖衣及び、神聖衣』の意匠を落とし込んだ新形態が加わっていた。(上書きされたようなもの)

 

「ゲッターエネルギーと、私の小宇宙で変異を引き起こしているからな。姉さんの好きにはさせんよ」

 

箒はゲッターの力で、『自分が本来多辿っただろう道』を垣間見たのか、姉への意趣返しができた事にご満悦であった。傍若無人の姉に『思い通りにならない』事を学ばせられたのだから、そうならないはずはない。

 

「アンタも溜まってたのね」

 

「生まれてこの方、姉さんには振り回されっぱなしだったからな。こう言ってはなんだが……いい気味だと思った」

 

束への屈折した思いを吐露する。箒は普段は真面目かつ、『扱いの難しい部類のツンデレ』だが、実姉へは屈折した感情を持っている証左か、何気にひどい扱いである。

 

「赤椿は一応、技術部に見せている。形式的なものだ。構成素材も解析不能になっていると思ったが、好きにさせた」

 

「オリハルコン化してるはずよね」

 

「ああ。洗礼を受けた時にな。一般に伝わるものと違い、その世界のムー大陸が沈む前に実用化していた『超金属』だ。高位の聖衣のものは『神、あるいはそれに近い能力者の攻撃でない限りは損傷しない』強度だし、現在科学で分析を試みても、模倣すら困難。それが『スチール聖衣』なんてものを生んだんだろうな」

 

箒たちが属する『聖域』のある世界でも、鋼鉄聖衣は存在したらしいが、時代的な意味での強度限界(星矢のいる世界は『1990年』である)と機能面の限界(正規の聖衣と違い、装着のフィット感が小宇宙の高まりで変わることも、性能強化もない)が実用化の壁となり、結局はハーデスとの聖戦までに『試作品』止まりだったという。

 

「時代的な事もあったと思うが、性能が聖戦に使えるレベルにまったく届いてなかったらしく、城戸財団も投入を見送ったらしい」

 

「黄金が死ぬレベルの聖戦じゃねぇ……」

 

「それでも、たいていのISより高性能らしいが…」

 

「要求水準が高すぎたんじゃ?」

 

「雑兵が何千いようと、戦力にならんからな。そうだと思う」

 

これは聖戦が起こった時代の聖域が抱える問題だが、星矢の代の聖戦は歴史上では二番目に深刻で、『次代を見出していない聖闘士のほうが多かった』上、内乱で数を減らした状態で聖戦となったため、戦死や行方不明で多くの星座が空位になった。箒や黒江、調、フェイト、黒田などが『比較的に容易に聖闘士になれた』のは、その穴埋めが目的であった。

 

「今はマリア・カデンツァヴナ・イヴから、アガートラームを借りてある。コピーした個体だが、緊急時には使う」

 

「アンタ、何気にチートになってるわね……」

 

「姉さんが公式チートのような存在だったんだ、妹の私にも、その権利はあるはずだろう?」

 

冗談めかして、メタ的な台詞を吐く箒。以前に比べ、周りに溶け込めているという事の表れか、表情も柔らかい。ウィットに富んだ会話ができるようになったのは、同位体であり、『一つのある魂が二人の人物に分かれた』という推測もなされているほどの親和性を持つ『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』の影響だろう。

 

「シャルが今、技術部に稼動テストしてみせてる頃ね」

 

「奴のISの本来の行末を、ゲッターの力で見たが、あいつは機体が後続機と融合し、第三世代と同等に進化する。デザインも有機的に変化していた。その要素を『メカニック』に寄せて再現できないか』打診してある。この世界でそれが起きるとは限らんからな」

 

箒は『本来の歴史』では、最終的に専用機を喪失するが、シャルがその代わりに専用機の進化を起こす。つまり、メタ的に言えば、箒はメインヒロインの座から陥落する可能性があったわけだ。とは言え、性能向上の限界がきている『リヴァイブ』では『今後の戦闘は危うい』のも事実。箒は気を回し、『手配』を済ませていた。手際があまりにいいが、マリア・カデンツァヴナ・イヴの存在が箒にいい影響を及ぼしたとみるべきだろう。

 

「たしか……リィン=カーネイションとかいったな?」

 

「リーインカーネーションに引っ掛けてんの?」

 

「おそらくは。二機の融合体というのは見たが、能力までは」

 

箒もそこまでしか見れなかったが、少なくとも、第三世代相当の能力にまで進化したのは、なんとなくわかったようだ。

 

「随分と曖昧ね?」

 

「見たままの事実だからな。シャルも驚いていたよ。ただ、『綾香さんが私の姿を借りて、アガートラームを使ったのに比べば……』と言っていたが、本当なのか?」

 

「あんた、その時はどうしてたのよ」

 

「前日にインフルエンザにかかって、40度の高熱で唸っていたんだ。綾香さんが言っていたろ?」

 

「話半分に聞いてたけど、本当なのね」

 

「嘘ついてどうする?」

 

鈴は、箒に事の詳細を語り始める。変装は完璧であったが、立ち姿の違いなどで『千冬にはすぐにバレた』事、ISを技術班に出した状態で無人機に立ち向かい、アガートラームのシンフォギアを纏った事、その力でISを一蹴した事、千冬が敬語(軍隊階級の差に由来する。千冬は自衛隊/ドイツ軍在籍時に中佐/二佐扱いであったが、黒江はその時点で既に『大佐』であった)で接した事……ラウラ・ボーデヴィッヒが『キュアマーチに覚醒した』のはその出来事からすぐであった事……。

 

「一夏、怒っただろう?」

 

「烈火の如く怒ったわ。だけど、まるで相手にならないで、一睨みでISを解除させられてた」

 

「ISのコアにも、感情というのがあるかもしれんな。聖闘士が睨みを効かせただけで、強制解除するとは。……あいつからすれば、私の姿を勝手に使ったからだろうが、やむを得ない理由だったんだからな?本当に直前で…」

 

「それは言ったんだけど、あいつ、またキレて…」

 

「あいつめ……余計な手間を」

 

「惚れられてるんじゃないの、あんた」

 

「どうだろうな……家族の一員として見ているかもしれんし」

 

一夏の直情的なところに、箒も、鈴も困り果てていた。助けに入ったヒーローたちに暴言を吐く、箒の姿を自分に無断で使った黒江(生身)にIS姿で斬りかかるなど、問題行動が短期間に多すぎた。箒も別の世界にいるうちに、一夏の直情さを欠点と認識するようになったのか、以前のように、一夏へ盲目的に思慕はしていないようだった。

 

「あいつ、あたしらのこと……どう思ってるんだろう?」

 

「聞かないほうがいいかもしれん。そのほうがお互いのためだろう。みんな、な」

 

箒は一夏の心には『千冬しかいない』事を悟ったのか、以前より距離を置くつもりのようだ。一抹の寂しさを出しているのは、一夏は自分達を『恋愛対象』として見ていないのでは?という推測に至ったからで、一夏が自分の消息を気にかけていたのは嬉しいが、自分の立ち入れない何かを悟ったからだろう。鈴も頷くのは、同じく、『家族ぐるみの付き合い』であった故だろう。

 

「シャル……、あの子を選ぶのかしら?」

 

「さあな。私の見たものは途中までだし、それに、『可能性の一つ』に過ぎん。大人になるまでには、時間はまだある。それまでに機会はあるだろう」

 

箒は断りを入れつつ、けして諦めてはいないことを口にする。鈴も同じ思いのようである。惜しむらくは、肝心要の織斑一夏が『恋愛に朴念仁』なことだろうか。

 

「そろそろか」

 

「シャルを迎えに行きましょう」

 

「うむ」

 

この頃になると、ISの他兵科への実力の程や、その立ち位置が明らかになり、ISもけして、在来兵器に『無敵』ではない事も明らかになったため、二人に以前ほどの在来兵器への優越意識はない。箒に至っては、聖闘士になった影響もあり、以前はあった『ISに対しての執着』は無くなっている。束も、『世界のリセットの為に用意していた手段』を無効化されてしまった上、自分がどうあがいても及ばない存在(黄金聖闘士には、彼女の如何な抵抗も無意味である)を知ってしまったため、意気消沈しつつも、不気味なほどに大人しくしている。史実と異なり、箒らが学園を不在になった影響はかなり大きく、亡国機業も、鳳凰星座の一輝にメンバーを心神喪失に追い込まれたりした影響で活動を縮小している。少なくとも、世界は(現状の科学力では、ISに匹敵する兵器を造れはしない)現状維持を決め込んでいる。箒は学園の単位が取れるのが確定し次第、『戦線に復帰する』。鈴達は本国にデータを提供し、その後の活動については、本国と協議中という。それはIS世界の各国の思惑に振り回されてのことだ。結果として、『グレートマジンガー』の存在がIS世界を揺るがしたため、通常兵器閥の復権をIS閥が恐れたためだ。

 

「そいや、グレートマジンガーのせいで、各国は喧々諤々だそうよ?」

 

「あれは有象無象の兵器より特別な代物だが、その中では旧式化しつつある機体なんだがな。かの有名な『マジンガーZ』よりは強力だが、後発機に比べると、パワー不足気味になってきたんでな」

 

デザリアム戦役の後になると、マジンガーZやグレートマジンガーは『旧式機』に入りつつあった。戦闘力そのものは改装で上げられるが、それにも設計の許容範囲とパイロットの体の耐久度の関係で、その限界点がある。その関係で、マジンガー系はより進歩した機構を持つ『皇帝』の名を持つマシン達へ世代交代しつつある。弓さやかの『エンジェル計画』は皇帝達のサポートを目的にしているが、レディロボットの既存機では『皇帝のサポートどころではない』問題があるため、外装を流用した新造機、あるいは一からの新造を目指している。

 

「まぁ、上位の連中なんて、星を一機で滅ぼせるようなバケモン揃いだし、最高位の『ゲッターエンペラー』なんて……」

 

「千冬さんも言葉を失うだろうな。ただの合体だけで、一つの星雲が消し飛ぶなど……、今でも信じられん」

 

 

 

――チェェーーーーンジッ!!ゲッターァァァ・エンペラァァァァァ!!ヌゥゥゥァァンッ!!――

 

 

 

 

ゲッターエンペラーの宇宙そのものを震撼させる合体と、流竜馬の雄々しい『合体コール』。地球型惑星より巨大な宇宙戦艦が星系規模のゲッターロボへ合体するという凄まじい光景。合体の余剰エネルギーの放出だけで、一つの星雲が消し飛ぶパワー。

 

「あれはまだ進化途中だそうだ」

 

「あれで!?」

 

「最終目標は『時天空』だと考えれば、宇宙一個の征服も通過点にすぎんのだろう。ラ=グースなども倒すべき敵だと考えれば、かの世界と我々の次元の違いなどは些細な事かもしれん…」

 

「ラ=グース?」

 

「我々の想像を超えるバケモノだという…。実際に見た私も……言葉では表現できん」

 

箒はゲッターの力で『ゲッターと人類がいずれは倒すべき敵たち』を垣間見たらしいが、時天空とラ=グースに関しては、この有様であった。ドラえもんは『空間を支配しなくては、ラ=グースとは戦えない』といい、その脅威を何故か知っていた。兜甲児らも『将来的には、俺達はラ=グースを打倒しなくてはならない』と述べており、人類の進化の真の理由を示唆している。また、23世紀の時点では、ゲッターは人類に『空間支配能力』の領域を目指すように促しているという。

 

「どうなっていくのよ、あの世界は」

 

「生存競争が続くのだろう。幾星霜の歳月をかけてでもな……その世界と関係を持った以上は……私達も無関係ではいられん。『新たな世界』くらいだろうな、平和でいられるのは」

 

それはウマ娘世界のことだ。煩わしい何かに振り回される事はあまりないし、何よりも平和だ。

 

「まぁ、血で血を洗う戦いと無縁の世界がいくつかあっていいはずよね」

 

「同感だ。ただし、この世界は既に本来の道筋からは外れている。ある意味では、私の望んだものかもしれん。姉さんに振り回される事が無くなった点では、な」

 

箒はそう明言した。束を好いていなかったのは確か。疎んじていたのも事実だ。その点を叶えたので、箒は現状を受け入れている。

 

「戦いに赴くのは抵抗はない。シャルに嫉妬がないわけではないが、本来のメインヒロインは私のはずだからな」

 

 

それは愛機が入れ替わりに進化し、一夏を守る力を持つシャルロット・デュノアへの羨望と嫉妬の入り交じる箒の心からの言葉であった。

 

 

――そして、箒の心に木霊する、流竜馬の叫び声――。

 

 

――チェーンジッ!!真・ドォォォラゴォォォンッ!!スイッチ・オン!!――

 

その叫び声とともに、姿を現す『真ゲッタードラゴン』。その威容が箒の心に焼き付いていた。真ゲッタードラゴンこそが、ゲッターエンペラーの幼体なのだろうか?その謎が箒を自然と『引き込みつつあった』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――トウカイテイオーは生徒会長に就任したものの、ルドルフほどの『権威』がない事がコンプレックスであり、現役生活は続行すると宣言し、シニア級に名乗りを上げた――

 

 

「マックイーンの仇討ちのつもりか?」

 

「半分はそうだね。もう半分はブライアンへの挑戦状。そう受け取ってほしいんだ。競走馬/レースウマ娘として、ボクのほうが先輩なんだからさ」

 

「マックイーン、本当は治ってるだろ?」

 

「うん。だけど、ブンヤが書きたてたから、二年位は引っ込んでおけって、あ~やが」

 

「まぁ、やった怪我の深刻度を考えれば、そうなるか…。」

 

「マックイーンも、本当は引退確定の怪我だからって、納得してた。会長も、現役の時に、あの怪我にかかったっていうけど、本当?」

 

「奴の姉貴から聞いたことだ、間違いない。あいつ、家では三女だから、意外に子供っぽいのが素なんだと」

 

「へ~~」

 

「今みたいになったのは、トウショウさんから生徒会長の座を継ぐのが決まったあたり。お前や私がガキの頃だそうだ。昔はお前にそっくりだったそうだが、今はあの通りだ」

 

ルドルフはブライアンを怪物と綽名した。だが、ブライアンはルドルフと違い、無敗でもなく、三冠達成後に低迷してしまった経歴がある。深刻な怪我は回避できたが、精神的なところで不調を来たしていた。そこから立ち直ろうとしているのだ。

 

「マヤノが張り合ってるそうだね?」

 

「ヤツか。史実では、私に最後の華を与えてくれたようだな」

 

「知ってたの?」

 

「調べたんだよ。私はまだ終わるつもりはないぞ。新入生の連中に、まだでかい顔はさせん」

 

「ディープにカメハメハ、クロフネ、ハーツクライ。豊作だからね。基礎ポテンシャルはボクらを大きく上回ってる子たちさ。うかうかしてられないよ」

 

「……現状、お前とキタサンの後継ぎの候補は『ディープインパクト』とかいうガキか」

 

「ブライアンの後継ぎの三冠馬だよ、その子」

 

「三冠、か。ルドルフを超えるのが、牝馬三冠の経験者というのがな」

 

「アーモンドアイのことだね。その子は日本史上最強の牝馬だよ。もし、ウマ娘になったら、間違い無しに『女帝』の後継になれるよ」

 

アーモンドアイは安田記念以外のGⅠを勝ち、最後まで名声を保った女帝である。ルドルフを超えた初の存在であり、ディープインパクト、キタサンブラック、そして、コントレイル以上の能力を備え、世界レコードさえ叩き出したバケモノ。並ぶ存在は現れても、ずっと超えられはしなかった壁を超えた存在。正統な後継者であった自分も、ブライアンもできなかったことをやってのけた者。メジロラモーヌ以来、受け継がれてきた『牝馬三冠』という箔を背負い、引退する日も後輩らを圧倒した。テイオーは自身の憧れだった『皇帝』を超えたのが『女帝』の間接的な後継者であったことに悔しさがあるようで、ムスッとした表情を見せる。

 

「なんか悔しいんだよなー……ボクやその子孫でなくて、カイチョーとボクの血統を奈落に追い込んだ『サンデーサイレンス』の血を受け継ぐ子がカイチョーを超えるなんて」

 

「それを言うなら、うちは殆どを淘汰されてるんだが?チケットのひ孫が成功してくれたのが慰めだが…」

 

ナリタの名を持つ競走馬の中でも、ブライアンを除けば、ナリタトップロードはトップクラスに位置する。とはいえ、彼女以降にGⅠで実績を挙げた『ナリタ』の馬は現れていない。実質はナリタ最後の雄である。姉の友人ウイニングチケットのひ孫『レイパパレ』がGⅠ馬になったことで溜飲が下がる思いのナリタブライアン。自分亡き後に『後継ぎ』が出てくれていない事に相当に落胆しているが、レイパパレがウイニングチケットの血を受け継いでいることに安堵しているようだ。

 

「時代の流れを感じるな。……おい、横浜にいくのに、高速を使うぞ」

 

「運転は気をつけてね。ただでさえ、ダグラムは重い荷物なんだから」

 

「わかってるさ」

 

ブライアンはトラックを運転し、高速を使って、横浜に向かう。展示展のためのダグラムを運びつつ、特別ライブのために、歌の歌詞を今一度、確認するテイオーなのだった。

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