ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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プリキュア達の拙作中でのパワーアップの説明回です。


第三百三十話「プリキュア達の聖域的意味でのパワーアップ、その経緯」

――聖域は聖戦後も、様々な神々との聖戦に備える目的でスカウトは進めており、黒江達は『素質』もあったが、これまでの黄金や教皇の通例である『裏切り』をしない精神性も求められた関係もあり、抜擢されたのである。半分は当座しのぎの目的であったが、Z神の目論見は見事に当たった。また、プリキュアと聖闘士を兼任することになった者、前世が聖闘士だった関係で闘技を使うようになった者、黒江たちから教わり、闘技を会得した関係で聖域への出入りの許可を得た者が生じた。アテナ/城戸沙織は緊急措置でそれらを容認。シンフォギア世界に出向き、オリンポス十二神の一柱として騒乱を鎮めた。彼女は神であるが、『戦いと知恵』を司る都合上、全知全能ではない。神といえど、実際は分業制に近いのである――

 

 

 

――聖闘士の闘技は小宇宙に目覚めている事が前提条件だが、それを達成すれば、肉体的に大して鍛えてはいない者でも、時速70キロほどで突っ込んでくる自動車を強引に止める事が可能になるほど。黒江は肉体を素で鍛えた上で開眼したため、歴代の黄金聖闘士を通しても、かなり能力が高い部類に入っている。黄金聖闘士の代替わりの際に、蟹座のデスマスクや魚座のアフロディーテのように、後代に『セブンセンシズ頼りで戦っていると、格下からのジャイアントキリングを食らう』という戒めという形で、その名が伝わったわけだ。そんな状況で聖闘士となった黒江から闘技を教わった幾人かのプリキュアは実際に許可を得ての使用となった。(事後承諾だが)――

 

 

 

 

――ケース1 キュアフェリーチェの場合――

 

 

キュアフェリーチェは最初に聖闘士の闘技を特訓で会得したプリキュアである。それを披露する機会はダイ・アナザー・デイではなく、キュアアクアとキュアミントを平行世界から連れてゆく事の承諾を得るための果し合いが最初であった。

 

「聞いてみますか?獅子の咆哮を――!!」

 

フェリーチェがそう言った瞬間、キュアドリームBは『眼の前が光った』としか認識できず、次の瞬間には『天地がひっくり返った』と誤認するほどだった。起き上がろうとするが、体が痺れ、言うことを聞かない。

 

ライトニングプラズマ(雷光放電)。詳しい原理の説明は省きますが、貴方には見きれません」

 

フェリーチェが黄金のオーラを纏っているように見えたと、後にキュアドリームBは語った。隔絶した力の差。それを分かりやすく示すため、ライトニング・ボルトも放った。それだけで、B世界のプリキュア5は動けなかった。

 

「力づくでも、アクアとミントを連れて行かなければならないのです、皆様方。無作法をお許しください」

 

一応の謝罪を述べる。だが、ドリームBは混乱と嫉妬と怒りが入り混じった感情に突き動かれ、『プリキュア・クリスタルシュート』をアイテム無しで放つ。B世界では、アイテム無しで撃てるようになっていたのだ。だが、フェリーチェには意味を成さなかった。その掌で、ドリームの放つ結晶の奔流を、事も無げに受け止めたのだ。そして。

 

「あなたのその心情はわかります。それに私も応えましょう。全力を以て」

 

フェリーチェは両腕を天空に向けて伸ばし、頭上に掲げる。その状態から打ち下ろして放つ『氷結系の奥義』こそが。

 

 

オーロラエクスキューション(極光処刑)!!』

 

 

加減はしているが、相手を氷結に追い込む技であり、水瓶座や白鳥星座の聖闘士が代々に渡って継承してきた由緒ある闘技である。魔法と全く関係はないが、全力という言葉にふさわしい技であった。ドリームBはクリスタルシュートごと、その直撃を食らい、氷像も同然の状態になる。

 

「数時間ほどで自然解凍するようにしてありますので、ご安心を。変身した状態であれば、多少の低温状態は問題ありません」

 

「氷像同然の状態にしといて、それ言う…?それに、技を真っ向から押し返すなんて…」

 

引き気味のキュアルージュB。技ごと凍結させるなど、明らかにプリキュアにとっての普通をも超えているからだ。

 

「こうでもしなければ、そちらのドリームは納得しなかったでしょう?」

 

と、言った瞬間、キュアドリームBが氷柱を『プリキュア・シューティングスター』を発動することで強引にかち割り、フェリーチェに一矢報いようとする。

 

「シューティングスターを使って、強引に抜け出ましたか。……ですが、想定内です。『プリキュア・クラッシュイントルード』!!」

 

フェリーチェはそれを予測済みであり、この時期に編み出した新技『プリキュア・クラッシュイントルード』で対抗した。赤い鳥型のオーラを纏い、シューティングスターを圧倒的に上回る速度で突撃。お互いにぶつかりあった。その結果は。

 

「そ、そんな……!?」

 

力負けし、弾き飛ばされたのはドリームBのほう。信じられないと言わんばかりの表情を見せる。

 

「あなたのその闘志に応えましょう。そうでなくては、失礼というもの」

 

「…!」

 

その瞬間、フェリーチェの右手に雷が宿ったように、皆が幻視した。そして。

 

『アトミックサンダーボルト!!』

 

オーソドックスな乱打技の究極形『アトミックサンダーボルト』。傍目からは『無数の光弾を右拳から放つ』ようにしか見えないが、実際は無数の拳のパワーを光速でぶつけているのである。ドリームBは態勢が崩れた所を食らったため、これが決定打となる形で戦闘不能に陥った。もちろん、威力は落としている。本気であれば、のび太やゴルゴなどの補正込みで生存力が並外れた者などでない限り、大ダメージは必至であるからだ。緊急時であるためか、とことん容赦なしであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ケース2 キュアドリームAの場合――

 

デザリアム戦役で、マジンガーZEROと融合した後のキュアドリームAはナインセンシズに覚醒しており、聖闘士の闘技を習得するのに、さほどの時間は必要なかった。こちらは黒江や老師・童虎の教えを受けた関係で『射手座』、『山羊座』、『天秤座』主体に仕上がった。また、山羊座の黄金聖闘士である黒江の弟子筋ということで、太平洋戦争中にアテナより『聖剣』を授かった。聖闘士の『聖剣』は古来より『剣の霊格』をその身に宿すという形式であるので、身も蓋もない言い方をすれば、『ものすごいチョップ、ないしは蹴り』である。従って、霊格を実体化しての攻撃をする黒江は異端に属する。霊格を宿す都合上、どのような姿であっても使用可能。これが、黒江がシンフォギア世界でも本領を発揮できた理由である。キュアドリームAが聖剣を得たのは、デザリアム戦役終結後。そこから鍛錬し、制御可能になったのは、太平洋戦争も数年目を迎えた頃であった。

 

「悪いね、あたしも『昔とは違う』んだ。……斬り裂け、エクスカリバー(聖剣抜刀)!!」

 

こちらは聖闘士の伝統通りに、手刀である。放つ一瞬、剣のビジョンが出現するという、山羊座の継承技としてはオーソドックスなプロセスだ。こちらも威力は現役時代の敵である『ホシイナー』、あるいは『コワイナー』程度は一撃で葬り去る事が可能である。

 

「あ、あなた……。馬鹿な…!ただの……ただの空手チョップが何故、そこまでの威力を!?」

 

「こことは別の世界で、あたしも色々とあってね。悪いけど、あんたらにかまう暇はないんだ、アナコンディ。敵が他にもいるんでね」

 

キュアドリームAはB世界でも『エターナルの幹部』であった『アナコンディ』が使役してきた雷素体の竜タイプの『ホシイナー』を、手刀バージョンのエクスカリバーで一撃で屠る。

 

「あたしのこの腕は聖なる剣、『エクスカリバー』になってるんでね。……現役時代、石にされた礼だ。あんたの介錯をしてあげる」

 

Bと違い、戦闘者として完成された事、デザリアム戦役で『倒すべき敵はきっちり倒す』という答えにたどり着いたためか、B世界の歴史が変化するのを承知の上で、自分がエターナルの幹部を屠っていた。

 

 

「よろしいのですか?私を貴方が倒せば、この世界の歴史は変わってしまう」

 

「どこかで釣り合いは自然に取られる。世界はそういうもんさ。あんたの忠誠心に免じて、あたしの今の最大の技で倒してあげる」

 

キュアドリームAはドラえもんから聞かされた世界の摂理をゲッター線などの導きで『見た』ためか、歴史の流れを変える事に抵抗がない様子を見せた。そして、空高く跳躍し……。

 

『ゲッタァァァァ・シャァァイィィン!!』

 

空間に満ちるゲッター線を集束させ、『ゲッターシャイン』と呼ばれし閃光を発し、ドリームAは光を纏ったままで、一気に急降下する。

 

「こ、この技は…!?報告書の『シューティングスター』では……!?」

 

閃光に目が眩みつつも、困惑するアナコンディ。

 

『シャイィィンスパァァァク!!』

 

ドリームはオーラをエネルギー弾として放ち、その場から離脱する。そして、アナコンディはゲッターエネルギーの閃光の直撃に包み込まれ、大爆発と共に消し飛ぶ。(通常のシャインスパークはエネルギー弾を放った後に離脱するプロセスがある。そこが上位技の『真シャインスパーク』との違いである)

 

「歴史をちょっと変えたけれど、あんたと館長は消える定めさ。すぐに、館長もストナーサンシャインで後を追わせてあげるよ」

 

何気に、地形を変えるつもりなのがわかる。また、よく見てみると、Bとの見分けのためか、通常フォームではあるが、首元に流竜馬らのような『ボロボロのマフラー』を巻いている。更に、ゲッター線を受け入れた者特有の特徴的な瞳をしているなど、史実との違いが大きくなっている。『エターナル』はこれでほぼ全ての幹部を失い、館長自らが動くしかなくなる。だが、彼の目論見を阻止しようとするのは『プリキュアたち』だけではない……。

 

 

 

 

 

 

――ケース3 キュアパッションの場合

 

彼女は大決戦の後、黒江らの言った言葉の真偽を確かめるべく、『アカルン』の力を使っての捜索を試みていた。ある時、1990年の世界のある場所についた後、アカルンの力を以てしても『転移』ができなくなった。聖域にたどり着いた結果だった。アイテムの精霊の力では、神の貼っている結界は突破できないのだ。その関係上、聖域でしばらく保護されることになったが、素質が確認されたことで聖闘士の資格試験を受けさせられた。元々、実戦経験があるのもあり、見事に合格。その後の叙任で、行方不明になった蛇遣い座のシャイナの後釜に据えられた。師匠は白銀の生き残りである『鷲星座の魔鈴』であるため、蛇遣い座の継承技の他、『イーグルトゥフラッシュ』を放つ事が可能である。聖闘士としても、シャイナに遜色ない能力を持つため、白銀聖闘士としては最上位級の実力となった。その状態で戦線に加わった都合上、『正規のプリキュアとしては初の聖闘士の資格持ち』となった。彼女は1949年では、留守番部隊の主力を担っており、彼女とキュアアクア、キュアミント、キュアダイヤモンドが留守番部隊の主力となっていた。

 

 

――遠征中 ウィッチ世界――

 

「まさか、お前が蛇遣い座の白銀聖闘士になっていたとはな、パッション」

 

「偶然の結果よ。なろうとしてなったわけじゃないわ。だけど、放ってもいられないから、聖衣を継いだ。シャイナさんが行方知れずになった穴埋め、代打よ」

 

「それでも、聖闘士はなろうとしても、なれるものではない。それも白銀聖闘士以上の階級はな」

 

「詳しいわね」

 

「上官達は現在進行形で黄金聖闘士だぞ?」

 

「…そうだったわね」

 

微笑うパッション。キュアダイヤモンドは黒江や黒田の配下として活動している都合、聖域との接触は多いのだ。口調を前世の一つである『サンジェルマン』(シンフォギア世界)のものにしているためか、現役時代よりだいぶトーンの低い『大人の女性』らしい声色を使っている。

 

「お前を見かけた時はギョッとしたぞ。まさか、あの世界にいたとは思わんだ」

 

「こっちだって、あなたが黄金聖闘士になった人達の部下になってたなんて。それに、ドリームは見込まれてたの?」

 

「ZEROと融合した恩恵でナインセンシズに至ったのだから、得た才能を腐らすには惜しいだろ?それで、私達が聖域の幹部たちに直談判して、ドリームに聖剣が与えられた。綾香さんは山羊座だから、その関係もあったが」

 

 

「みらい……キュアミラクルと月で喧嘩したんでしょ?どういう流れだったの?」

 

「ミラクルが反発したんだ。ZEROはみらいたちの故郷の全てを零に還した張本人だ。それと融合したなど、普通は受け入れるわけがない。それで大喧嘩だ。月面に新しいクレーターが何個もできたし、喧嘩の余波で、ジオン残党の見苦しい抵抗が潰えた事は不幸中の幸いだが」

 

アレキサンドスタイルとエターニティドリームの喧嘩は月面を揺るがした。二人の発揮するポテンシャルが平均的な『超プリキュア』より更に上の次元だった事も重なり、バトル漫画まがいの高速戦闘が展開された。ジオン残党の『邪魔』が入ってなければ、間違いなく、月面都市に被害が生じていた。ミラクルが最高位の攻撃魔法を撃ちまくり、ドリームも『サンダーブレーク』、『グレートブラスター』、『ゲッタービーム』などの必殺技を撃ちまくったためで、さながら『二人きりの宇宙戦争』であった。二人は邪魔をした形のジオン残党に激昂し、両方向からの全力パンチを『グワンバン級』に食らわした。その結果、二人の超パワーは宇宙戦艦の装甲どころか、竜骨(キール)に致命的損傷を与え、綺麗サッパリに二つにへし折れ、轟沈させてしまった。二人はこれで我にかえったわけだが、弩級戦艦を派手に月面に墜落させてしまった(グワンバンはグワジン級の改良型の一つであるため、ジオン系の戦艦では最大級の大きさに入る)ため、墜落地点の近くの月面都市では軽度の『地震』が観測されるなど、迷惑をかけてしまった。そのため、二人は実のところ、デザリアム戦役終結後すぐの数週間は謹慎処分を食らっていたりする。

 

「とはいえ、500m近い大型艦をリバーシのように挟み撃ちしたら、竜骨まで折ったんだぞ?本人たちも青くなっていた」

 

「どういう状況よ」

 

「二人が月面の上空で殴り合ってるところに、ジオン残党の戦艦が割り込んできたんだ。一網打尽にできると意気込んでな。で、カッカしていた二人は最強フォームでの渾身の力でぶん殴った。それだけだ。その戦艦はルナチタニウム合金の装甲と竜骨を持っていたが、それを綺麗サッパリにへし折った。信じられなかったぞ。パンチを当てただけで、弩級戦艦がへし折れていったなんて…」

 

呆れ顔のキュアダイヤモンド。その経緯を聞き、ため息のキュアパッション。

 

「どういうパワーよ。聖闘士でも、なかなかいないわよ?そこまでの瞬間パワーを出せるのは」

 

「どういうことだ?」

 

「聖闘士は小宇宙の才能があれば、子供であろうが、黄金の階級になれるのよ。蟹座の前任者だったデスマスクのように、その地位と才能に泥酔してたから、肉体的な強さは下級聖闘士以下だった例もある。星矢たちがジャイアントキリングを繰り返せたのは、線の細い美少年の瞬であろうと、下手な黄金聖闘士以上に鍛えた肉体が備わっていたから。だから、破壊力はあっても、純粋な力比べでは、逆に弱い者が多いのが当たり前なのよ」

 

キュアパッションは聖闘士の事情を赤裸々に語る。聖闘士は『肉体的には鍛えていないか、むしろ脆弱な者も多い』。若齢の内に戦死するのが多い職業柄、どうしても、聖闘士になった後においての肉体スペック向上の鍛錬は軽視されがちである。デスマスクが紫龍に逆転され、無様に敗れた一因でもあると。世界線によっては邪神の走狗に成り下がり、怒った紫龍に冥土に送り返される彼は、死後の聖域では『聖闘士の風上にも置けぬ外道と罵られつつ、本来の仕事は冥界で果たしたので、名誉を辛うじて剥奪されずに済んだ』見下げられる立場である事が分かる。そのため、蟹座の聖闘士の地位は、デスマスクと縁もゆかりもない若松幸子(扶桑陸軍系空戦ウィッチの最古参。黒江が『若さん』と呼ぶのは彼女だ)が後釜になった。

 

「デスマスクか。あれだろう?噂の『あじゃぱー!!』などと言う、珍妙な断末魔で冥土に送られた…」

 

「そう。その男。魚座、蟹座、教皇、双子座。それが多くの時代で『争乱を引き起こす』って揶揄されてるわ。サガの乱は反面教師として有名だもの」

 

悪の人格のサガに加担した聖闘士の内、黄金聖闘士達は死亡の際に働いた善行、並びに冥界での仕事が評価され、恩赦がZ神から下されている。善の人格のサガ、シュラ、カミュはその筆頭である。死後の時間軸においては、悪のサガと善のサガは区別されるようになり、悪のサガは戦犯扱いされる一方、善のサガは否応なしとはいえ、教皇としての真っ当な職務をこなしていた(星矢の選抜試験に立ち会うなど、星矢たちの素質を見抜いていた節もある)事から、一定の評価を得ている。サガの乱は二重人格の悲劇でもあったが、若年で黄金聖闘士に任ぜられる事のリスクを浮き彫りにしたため、城戸沙織は『神の呪い』を受けた星矢を除く最高戦力の四人をすぐに黄金聖闘士に昇格させるのを見送り、『しかるべき年齢となるまでの場繋ぎ』も兼ねて、外部の人材を見出すようにしたわけだ。

 

「ああ、マナが持っている漫画で読んだが、実際に大変なのだな」

 

「組織が機能不全に近いもの。それに、後継者を見出していない者が黄金聖闘士は過半数だった。牡羊座の将来の後継者と見なされてる黄鬼はまだ幼子。それで、Z神が先々代の牡羊座であり、教皇だった人を蘇生させたくらいなのよ」

 

牡羊座のシオンは10代の肉体で蘇生され、孫弟子の黄鬼を育てつつ、再任という形で教皇に復帰。未来世界でデザリアム戦役が終わった直後の時間軸(ウィッチ世界では太平洋戦争の最中)では、聖域の再建に奔走中。二度も聖域の再建を託された事から、聖域と接触のある外部の人間からは『再建皇』と渾名されている。これは現任の黄金聖闘士が聖戦で全員死亡し、何人かはZ神の厚意による蘇生を断った関係もあるが、蘇生に応じた黄金聖闘士の中で、教皇の任に耐えられる者が、経験者である彼しかいなかったためでもある。なお、彼の蘇生に伴い、聖闘士の新規募集は平行世界にも広げられ、黒江らのツテを頼り、前線要員になる聖闘士を補充したというわけだ。

 

「聖闘士は育成に時間がかかる割に、戦死のリスクもかなり高い商売だからな。いくら、グラード財団からの生活費支給などがあると言っても、星矢たち以外の下級聖闘士は戦力として宛にならんレベルらしいな」

 

「邪武や市たちでも、そんじょそこらの青銅よりはずっとマシなほう。青銅は本来、上位の聖闘士の露払いか、お付き、聖戦での雑兵代わりが仕事。だから、将来的な黄金聖闘士への抜擢が前任者から約束されてる、例の五人は異常なのよ」

 

とはいうものの、シオンと童虎は青銅として一定の期間、職務に励んでいたのを、その時代の教皇の意思で黄金聖闘士に任ぜられているなど、抜擢人事がないわけでもない。星矢たちは黄金聖闘士になるべくしてなる、『神に愛されし者』でもあるが、それに見合うだけの実績を積んでいる。また、素質を黄金聖闘士から認められ、セブンセンシズなどに至っており、神ともまともに戦闘可能なほどの実力があるので、紫龍らは黄金聖闘士への昇格が約束されているのだ。

 

「白銀になったお前も、大したものではないか」

 

「極超音速がせいぜいだけど、現役時代よりは強くなった自負はあるわ。昔はイースとして、それなりに悪行三昧してたから、聖闘士になるのに抵抗はなかったわけじゃない。罪は消えるわけじゃないもの。だけど、その償いはできる。エレン、トワ、私はみんなへの十字架を背負っているって言えるわね…」

 

「確かにな…」

 

キュアパッション、キュアビート、キュアスカーレットは『敵対組織の幹部だった過去を持ち、その過去を背負いつつ、プリキュアに転じた経緯が現役時代にある』。その時代の悪行への贖罪が行動原理となっている。『誰かに過去の行為への許しをもらいたい』という心の傷があるため、ドリームの一件の際は彼女らが中心になって解決に奔走し、フェリーチェに『腕尽くでもいいから、キュアアクアとキュアミントを連れてこい!!』と厳命した張本人でもある。元々が悪の幹部だったので、そのやり方は強引であったが、ドリームを想う気持ちは本物であった。ただし、それがドリームBにコンプレックスを与えるという負の結果も招いたのも事実。キュアダイヤモンドは負の面を鑑みれば、『あまり褒められた結果ではない』と考えていたが、ここは先輩の顔を立てた。自分も『サンジェルマン』として、あまり褒められるような生き方はしてなかったし、婚后光子としては、自分の微力さを痛感されられてきた。その経緯、三人の真摯な姿勢を鑑み、この場ではキュアパッションの顔を立てた。そこがキュアダイヤモンドの『大人としての処世術』であり、多少なりとも『社会の通例的意味での上下関係』がプリキュアの間でもある事を示していた――

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