――ダイ・アナザー・デイ後、日本などの各国に不要となったレシプロ機は次々と買い取られていた。その中には、ススキヶ原自警団の所有となった機体もあった。ジェット機への更新で機体を大幅に放出せざるを得なかったからであるが、ある意味では幸せとも言えた――
――2000馬力以上の大馬力の空冷星型エンジンが次々と量産され、ダイ・アナザー・デイの主力エンジンに収まると、『旧式』と見なされた三式戦闘機(戦闘脚含む)以前の型式は生産中止が決まった。史実での『目も当てられない低稼働率』も決め手となった。ダイ・アナザー・デイが終わり、太平洋戦争に向かう時期になると、日本連邦の体制が確立されていき、重爆迎撃が容易なジェット機の配備が命題となったため、レシプロ戦闘機は急速に淘汰されていった。F-86はレシプロからジェットへの切り替えの時期に役目を果たしたわけだ。F-86が主力であった時期は短く、防空の主力は早期にF-104やドラケン以降の世代に切り替わっていった。扶桑の現場は既存機の増勢を望んだが、官僚達はシビリアンコントロールを盾に、矢継ぎ早に新型に切り替えたため、要員の教育が追いつかない有様であった。また、高射砲も増産は五式15cm高射砲の近代化改修型に統一された。三式十二糎高射砲は性能不足とされたからだが、地対空誘導弾は高価かつ、数量は常に需要に比して不足していたからだが、野戦防空を軽視しているという批判も大きく、比較的にまともな性能であった九九式八糎高射砲やカールスラントから放出された『12.8cm FlaK40』が場しのぎ的に使用された。64Fはその中では最高に恵まれており、自衛隊から『87式自走高射機関砲』を提供され、防空に供していた。扶桑は独自に『試製対空戦車 ソキ』を試作していたが、所詮は大戦型でしかないために量産は見送られ、87式自走高射機関砲がその代わりに大量生産された――
――1949年の盛夏になると、64Fの機材の多くが戦後式のものに更新された。テスト部隊の役目も負わされたためだが、連絡機も『T-1』、戦闘機もF-4EJ改やF-15J(後期型)、F-14(扶桑独自の単座型)などがまとまった数で配備された。元々、戦略爆撃機用の基地であったため、格納庫に余裕があったためだ。基本的に第一大隊と第二大隊専用の機材とされたが、コンピュータを素で扱える転生\転移者はその二つに集中しているからだ。第三大隊は扶桑固有の人員や外国籍の人員が属しているため、平均練度にムラがある。その兼ね合いで、比較的に練度の高い人員が他の大隊の作戦に随行する仕組みとなっていた。扶桑空軍は黎明期にあり、前身組織時代からの派閥抗争も続いたので、それと無縁の64Fは重宝された。ジェット機の時代を迎え、更に大量の重装甲レシプロ機と戦う事になった扶桑の航空部隊、とりわけ魔女の部隊は『13ミリ機銃の相対的な火力の不足』に悩む事になり、口径を20ミリに差し戻す措置がダイ・アナザー・デイ中から続けられた。13.2x96mm弾(オチキス規格)や12.7×99mmBMG弾が個体によって入り交じる有様であったこともあり、ダイ・アナザー・デイでは、魔女は対戦闘機にも戦力足り得ない事例が頻発した。これは緊急で回した13ミリ機銃の規格がバラバラであったためで、64Fは独自に戦闘機と同じ『20x101RB弾』の規格の20ミリ機銃をある程度揃えつつ、カールスラント軍が遺棄したり、扶桑の倉庫から放出した20x82mm弾のMG151/20を使用したので、対重爆戦闘にもつつがなく対応できたが、他の部隊は通常兵器を侮り、『たかをくくった』指揮官が大半であり、怪異と同様の装備で臨んだため、F4Uですらも満足に撃墜できずに部隊が壊滅していった。ダイ・アナザー・デイ後期には、陸上の制空戦闘に貢献でき、なおかつ、メンバーが五体満足な部隊は64Fと空母の魔女のみになっていた――
――20ミリ砲が普及したのは、携行弾数よりも『一撃必殺』を期する風潮が根付いたからであった。地球連邦軍の援助で補給が改善された事、魔女の力で弾丸の初速が強化されても、装甲貫通力の強化には限界があるからであった。(対物ライフルは対有人機には使えない上、重爆には効かない)リーネのような『狙撃タイプ』は対重爆に回すしかなくなり、F8FやF2G、P-47Nなどの最終世代レシプロ機は旧来機が嘘のような重装甲を誇った(九九式二〇ミリを弾く)ため、扶桑は二十五ミリと三十ミリ機銃を実用化して戦闘機に積み、ジェット機の次世代型機銃の普及までの繋ぎにした。魔女達の装備の刷新はその兼ね合いかつ、火力の強化が目的であった。そのため、それらを使わなくとも、敵を圧倒できる者は実にありがたい存在であった――
――ダイ・アナザー・デイ当時、曲がりなりにもティターンズの送り出す超人と戦えた歴代のプリキュア達は文字通りに戦線の要であった。一般兵士はもちろん、魔女であろうと、その格闘技で地獄に叩き込む彼らに対抗できたからだが、南斗鳳凰拳の前では、彼女らといえども劣勢であり、キュアドリームに至っては捕縛されて、拷問を受けた。その事が事後、騒動の際に明らかにされると、日本側は『敵側の幹部はプリキュアをも倒せる暗殺拳を身に着けた超人である』という事実を突きつけられた格好であり、それに立ち向かい、敗れたとはいえ、彼らを退かせたという実績は日本の防衛官僚も唸るしかなかった。彼女は仮面ライダーV3とXに救出され、その後も戦い続けた。その実績に見合う褒美を昭和天皇は与えたのだと分かると、彼女への補償の反対意見は一気に消え失せた。ましてや、彼女は軍の一線から退こうとしていたのだ。日本側はその事を扶桑の名だたる大物から知らされる格好になり、扶桑の予備士官の雇用に重大な影響を与えてしまった事に震え上がった。結果、日本連邦として、彼女を昇進させ、軍に(否応なしに)留める形になり、望む資格は『然るべき講習と講義の受講の後に授与する』事になった。また、この騒動のとばっちりを受けた予備士官達は『召集は解除されていない』という体裁で最前線に送られた(扶桑からは『口封じ』と批判され、実際に半数がその後に戦死する)。日本はこうした失策と、多発した官僚の暴走で扶桑の軍政に口出しする事が難しくなっていった。あまりに官僚や政治家が軍事に無知過ぎたからだ――
――日本はドイツよりは一線を引いて対応していたが、のぞみの事に関しては完全な失策であった。左派が防衛省の警察系官僚を抱き込んで画策していた『軍事予算の大幅削減と福祉予算の大幅増額』もこの不祥事で潰える形になり、扶桑に色々な形での補償を確約せざるを得なかった。その一つが扶桑海軍の戦艦の建造継続であった。日本は空母機動部隊の近代化と潜水艦隊の刷新を重視しており、巡洋艦以上の水上戦闘艦艇の本格整備に興味は薄かったのだが、21世紀の時点では、護衛艦も大戦型の重巡洋艦級の大きさになってきており、その点での議論は的外れであった。議論の焦点は、戦艦とそれに準じる能力の艦艇の整備の是非に移っていった。当時、既に巡洋戦艦というカテゴリは(主に生存性の問題で)陳腐化していたが、超甲巡は明らかに一昔前の戦艦より大きな船体を持っていることから、妥協的に『BC』の艦種略号に分類され、巡洋戦艦の枠がわざわざ維持される理由付けにされた。戦艦は(三笠、敷島の両型式が『海上要塞』の分類にされたため)水戸型の建造が(紀伊型戦艦の代替艦の名目で)認められた。八八艦隊型はこうして、連合艦隊の花形から退いていった。加賀型は土佐の機関の問題、艦載機のジェット化で空母化は見送られ、砲撃力を残しての上陸支援艦艇に転用されていく他、残存の紀伊型は航空戦艦の実験に供されていく。一三号型については、一三号が進水段階で標的艦として沈んだためか、存在していない。天城型巡洋戦艦を空母化した後に『外貨獲得と技術供与』を目的に売り払った事は(見返りが少なかったため)問題にされ、以後、扶桑は日本やブリタニア、自由リベリオン以外への軍備の売却に慎重になっていく。猛抗議を受けたカールスラントは日本連邦に軍備を無償で提供した。ダイ・アナザー・デイで現地に遺棄した兵器が中心であったが、四式中戦車、五式中戦車が精鋭部隊にしかない有様であった陸軍には福音であった。日本側はこれに慌て、渋っていた74式戦車や10式戦車のライセンスを提供。大戦型のドイツ戦車の排除を狙ったが、戦後型戦車は月単位の製造数が雀の涙程度である上、扶桑軍機甲本部が精鋭部隊への配備を優先したため、当時としては高めの性能であったカールスラント戦車はダイ・アナザー・デイで遺棄した大量の弾薬共々、太平洋戦争で重宝された――
――自由リベリオンからM4中戦車を提供してもらえという案もあったが、既に同車は旧式化していた事、扶桑の現場はカールスラントびいきであったことから、お流れになった。とはいえ、開戦後は大量に軽戦車やM46などが鹵獲され、使用されている。特に、インフラ整備の端緒についたばかりの扶桑本土では、M24軽戦車やM41軽戦車が重宝され、旧式の国産戦車を駆逐していった。61式戦車相当の戦車である五式改は61式より一部の能力が上回る(一部の装甲厚やエンジン構造などが上回る)事から、生産継続が決まった。三式以前の型式の更新が必要であったからだ。兵器はそんな状況であったが、悲惨だったのは、人員であった。カールスラントの下士官以上は理不尽な制裁人事で、給与も年金も減らされる有様であった。ルーデルも同位体が『ヒトラーのお気に入りの士官だった』事を理由に、正式な予備役へ編入になりかけた。日本連邦は魔女のなり手が人手不足であったことから、それらの人員を公然とヘッドハンティング。最終的には、カールスラント空軍の主力と目された人員の90%を手中に収めていた。カールスラントは外貨獲得のため、それを事後承諾。日本連邦へ破格の安価で兵を貸し出した。これは愛鷹の一件への詫び代わりであった――
――『戦後世界の論理』が現地世界の論理を駆逐することは1944年以降は多かった。それで最も不利益を被ったのがカールスラントであった。特に、デロス島の怪異への対応で『遺跡諸共に怪異を艦砲射撃で消し飛ばす』ことを提案したエディタ・ノイマン大佐はユネスコその他に猛烈に非難され、その場で任務を解かれ、降格されるという制裁人事を受けた。その際に、ドイツの政府高官に激しく非難され、その場で降格されたショックが大き過ぎたのか、鬱病に罹患。1948年前後に退役、すぐに機械加工の関連企業を興し、成功を収める。デロス島自体は圭子が大活躍をした事で数時間で怪異から解放されたが、ノイマンという優秀な人材が政治の都合で失脚したため、カールスラント軍の政治不信を招き、ついには内乱に至る。この内乱は、エクソダスの影響で最盛期より低下していたゲルマン系の人々の人口を更に減らすという結果に終わり、カールスラント皇室が『象徴』としての役目も果たせないほど権威が低下していることを示してしまい、カールスラントの国威そのものが地に落ちた。まさに民族存亡の危機であった。NATOが軍政を引かざるを得なかったのは、エクソダスで減っていた人口を更に目減りさせてしまい、コミュニティの存続すら危うくしたドイツの行為への謝罪と賠償がNATOとしても必要と判断したからだ。対照的に、日本連邦は地球連邦軍の支援、各国の金銭・物的支援が実り、1946年から超大国への成長を始めた。軍事と民間の切り離し政策により、軍の人手不足(特に若い士官)が顕著になったものの、新進気鋭の気力ある士官が台頭する土壌が出来上がったのも事実であった――
――七勇士は魔女としては『高齢』であったが、世間的な見方で言えば、充分に『青年将校』であった。彼女たちの多くはダイ・アナザー・デイで活躍した。二人はプリキュアに覚醒し、その他も多くが聖闘士になっていた事は、当の扶桑軍をも驚かせた。彼女たちが往時の力を維持し、なおかつ戦況を左右した事は『七勇士は未だ健在である』と内外に示したが、部内で世代間闘争が勃発。それが収まる頃に太平洋戦争が起きたため、扶桑の魔女兵科は『闘争の悪影響』から、太平洋戦争で目立った活躍ができずにいた。生え抜きの人数低下もあり、扶桑の魔女の働き口は次第に二分化され、生え抜きの『軍の魔女』は冬の時代を迎える。そんな状況を緩和したのが、プリキュア達の活躍に触発されて、日本で入隊した義勇兵らであった。太平洋戦争の勃発後には日本側で多数の覚醒者が確認された事から、扶桑はその覚醒者を勧誘。扶桑生え抜きの魔女よりも多くの点で優れていたことから、扶桑生え抜きの魔女の覚醒休眠期は義勇兵で乗り切ることになった――
――日本の魔女は学園都市の能力者であった者を親、もしくは祖父母に持つ者(異能者の家系)か、戦時中に少数が出現していた巫女を一族の出自に持つ者が覚醒を始めた。この傾向は23世紀以降も継続し、極秘裏に魔女を太陽系連合艦隊が有する。元々、異能者が出現してきた土壌のおかげか、日本の魔女は扶桑のそれより全般的に強大な力を持つ。扶桑の平均値より強力である故、統合戦闘航空団級の魔女でしか成し得なかった戦力値をたやすく達成した。魔女のセオリーを知らぬが故に、戦果を挙げれたというのも、皮肉な話であった。ジェット機の登場で空母から追い出された後に、それに引けを取らない戦力の魔女が現れた事になるため、空母機動部隊出身者は『あと数年早ければ……』と惜しんだという。だが、ジェット艦載機は軒並み大型であり、魔女の移管は決定事項であった――
――扶桑のそれまで最大の空母であった大鳳は量産計画が潰えた後は『不運艦』の評判がついて回り、1946年~49年までは練習空母も同然の有様であった。仕方がないが、完全な同型艦が存在しない上、史実の悲運は日本に忌避感を持たせるには充分であった。代替の空母を造ろうにも、大鳳は1944年の時点で『最新鋭』という触れ込みであった上、日本の望む空母は80000トンを有に超える規模のもので、建造には五年以上かかる見通しであった。地球連邦の手でアングルドデッキと蒸気カタパルト付きに改装はされたが、大戦型空母に電磁式カタパルトは(電力の余裕の上で)荷が重いとされたのが大きかった。ただし、扶桑に次世代の空母の知見をもたらす結果となったのは特筆すべき事項であった。1940年代は『④計画』の計画艦艇の多くが変更され、戦後型艦艇に切り替えられた時期になったため、ミサイル駆逐艦が急速に台頭した。扶桑では『あまつかぜ』を二隻ほど建造し、46年からテストを重ねた後、はたかぜ型護衛艦と同型の船で数を減らしていた艦隊型駆逐艦を代替した。そして、1950年代からはVLS装備の艦型へ移行する手筈であった。空母の建造が遅延を重ねたのは、その護衛艦艇の近代化が優先されたためであった。魔女が強襲揚陸艦に回されたのは、艦上機が大型の戦後型ジェットに切り替えられるため、艦上スペースに空きがないからでもあった――
――とはいえ、ジェット戦闘機は本土部隊でのテスト運用が続けられていたため、戦線には必要なモノのみが出回っているに過ぎなかった。64Fは戦後型の機材をふんだんに使用しているが、それは彼らが特権を有するからで、他の部隊はレシプロ機も現役で使用していた。連合軍の現場では『なんで、完全にテストの済んでない新型ばかりを送ろうとすんだよ!』という声が大きかったが、当時はシビリアンコントロールの名のもとに、現場への締め付けが強まっており、文句を言いにいった幹部級が官僚にネチネチと嫌味を言われ、(メーカーテストは済んでいたため)しまいには、激昂した官僚に殴打され、そのまま長期入院してしまう事例が相次いだ。64Fに人気が集中するのは、最前線勤務である代わりに、自分たちの権利が守られるからだ。この事例は日本での『文民が上で、武官は使いっぱしり』という認識と『武官が上で、文官は武官の行動を追認するもの』という認識の齟齬が招いた悲劇であった。日本政府は官僚の暴走に頭を痛めた。64Fの優遇を日本が認めるのは、こうした細かな事件で扶桑軍全体の能力が低下してしまうからであった――
――1948年以降、プリキュア達は変身後の姿が正装と扱われたため、勤務中は変身が義務付けられた。プリキュアたちはゲッター線の導きで本来の運命からは『独立した』存在となっていたため、多くは現役時代の容姿のままで固定されていた――
「現役時代の姿で固定されたのは、なんでなの?」
「ゲッターと出会った時点で、私達は本来の運命から切り離された存在になったんだよ、フローラ」
「本来の運命?」
「うん。ゲッターは地球人類を守護する者を探しているから。つまり、フローラ。あなたの力はホープキングダムの危機云々とは関係なく維持されるよ」
「咲ちゃんにしては……頭回るね」
「ここで数年過ごしたらね。ま、普通に過ごしてたら、学生を終えるまでに、実家のパン屋継いでただろうし。プリキュアのままでいろってのは、そんな自分を守るためのお召星だろうね」
キュアブルーム(日向咲)はキュアフローラ(春野はるか)にそう見解を述べる。別の自分達を守るために、『自分の内の誰かが戦いの道に留まる必要がある』事を悟ったからだろう。ゲッター天の導きだろう。
「でも、咲ちゃん達、単独で変身できないよね、どうしてるの?」
「私と舞は朝に変身して、勤務時間が終わると解いてる。あたしたちはまだいい方さ。のぞみちゃんは最近はズボラでさ、変身したままでベットに行けないで、いびき立ててるよ」
「えーーーー!?」
「頭回るって。そりゃ、三日三晩くらい悩んだ末に出た答えだしね。のぞみちゃんだけどさ、あの子。この世界に転生してたから、一番にしらがみも多くてさ。気ぃ張ってるとこあるんだ。あたしが来るまでは事実上の最古参だから、まとめ役をやらされてたようだし。最近は結婚できて落ち着いたけど、無理して現役時代のキャラを演じてたとこあるから、最近は転生してからの素を出してるから、結構荒っぽいよ。なぎささんが見たら、ひっくり返るんじゃないかな?」
「け、結婚!?」
「うん。ココっていたでしょ?あれの生まれ変わりの人とゴールイン。昭和のしょうゆ顔だけど、イケメンだよ。で、のぞみちゃん、今の実家と折り合い悪いんだって」
「え?なんで?」
「代々の軍人一家に生まれた上、親類縁者の多くが軍人・軍属なんだよ。おまけに時代的に堅苦しいからさ。そういう人たち」
「あー……」
「プリキュアは西洋的じゃない?服装とかさ」
「えー!?そんなとこに目くじら立てるの?」
「うるさいんだよ、陸軍出身の人たちは。そのくせ、ドイツびいきなんだから」
「でも、身分保障のためっていったって、なんで日本軍に?」
「法律の問題もあったし、ナチスの残党が平行世界を股にかけての悪事を働いてるしね。みらいちゃん達は一度、そいつらに殺られてる」
「やられ……って…まさか!?」
「はーちゃん、それでショック受けてね。しばらくはのぞみちゃんやラブちゃんが交代で面倒を見てたって。法的には、野比のび太さんの家に養子に入ってるし」
「え、あの男の人の!?」
「そのお父さん。あの人が小学5年位の頃に引き取られたって」
ことはは法的には野比のび助の長女(養子)である。のび太が思春期になる頃に送られ、しばらくは戦いから離れたが、プリキュアであるが故か、しばらくした後に『戦う』事を決意している。のび太達だけでも守りたかったからだ。なお、精神的ショックにより、しばらくの間はキュアフェリーチェの姿を解けなくなっていたが、野比家で暮らすうちに、精神的な平静を取り戻して後は、ことは本来の姿に戻れている。ゲッターに魅入られたのは、彼女がキュアフェリーチェの姿で無力を嘆き悲しんでいると、裏山にゲッター線が降り注ぎ、彼女の前に『巴武蔵』が現れたからだという。それは彼女が中学に入学する半年ほど前。野比家で暮らすうちに、みらいたちとの思い出が薄らぐのを恐れ、学校の裏山の千年杉の根本で、みらいたちとの離別を嘆き悲しんでいたら、彼女をゲッター線の光が包んだのである。武蔵が彼女に何を伝えたのかは定かではないが、以後の彼女はゲッターに魅入られていき、数年後には『使者』としての能力を手に入れていたことから、武蔵が何かを促したのは確実である。
「それと、はーちゃん、大学出たよ」
「嘘ぉ!?」
「うん。2014年位に。東北の震災の時……あたしらが三度目のオールスターズ戦を戦った2011年の時にはもう入学してたよ」
「嘘ぉ!?その時……」
「その時?」
「私……九歳だよ!?」
「まー、そこは気にしない」
春野はるかは『2015年で13歳』であるので、東北の大震災当時はミラクルライトを振る側の人間であった。また、キュアブルームは大決戦の後もオールスターズ戦を戦ったらしく、その際に色々と話している。
「それに、はるかちゃんがメインだった、あの戦でゲッター天が来てくれたのは、はーちゃんのおかげかも」
「ど、どういう事!?」
「はーちゃんがゲッターに頼んだんだよ。友達を助けてって。それで来てくれたんだと思うよ」
その出来事にブルームは居合わせたため、大地を震撼させる『チェーンジッ!!ゲッター天(ワン)ッ!!』の声が『流竜馬』のものである事を知っていた。そして、バグの前に立ちふさがった存在がゲッターロボであることも。
「ごめん、あの時、何が来たかわかってたんだ、私と舞、それにかれんさん」
「知ってたんなら、教えてよー!」
「ごめんごめん。でも、ゲッターロボの存在自体が説明し辛いし、あんな状況でそんな暇があると思う?」
「た、確かに」
ゲッター天の正確な力は未知数であるが、確実に真ゲッターロボすらも圧倒的に上回るのは確実である。『ゲッターアーク(真ゲッターロボをわずかに上回る能力値)を赤子扱いできるバグを更に寄せ付けない』のだから。
「でも、決定打になったのは、はるかちゃん。あなたの言葉だよ。あの啖呵があのゲッターを呼び寄せたんだ。下手したら、戦意喪失で変身が解けたかもしれないし」
プリキュアは変身者の心が折れてしまうと、変身が解けてしまう。第三世代のプリキュアではその傾向がある。実際に、はるかは平行世界で『心が折れた』結果、キュアフローラの姿を維持できなくなった事がある。それを聞いていたブルームはそれを心配していたのだ。
「平行世界の私の事は聞いたよ。だけど、その私も……諦めなかったんでしょ?。私も……地球人が侵略者になる未来があるとしても、みんなが生きる権利を否定される謂われはない。だから、あのロボのパイロットに啖呵を切れたんだよ」
「こっちは冷や冷やだったんだからね?相手が相手だし」
ブルームは、バグを駆るカムイに啖呵を切るフローラの様子が気が気じゃなく、大いに冷や冷やものであったと明言する。相手が惑星を一瞬で地獄に変えられる力を持つので、当然といえば当然だが。
「あたしがやろうかって思ってたよ、本当は」
「え、本当?」
「うん。あの場にいた中じゃ、あいつの事を知ってる主役のプリキュアはあたしだけだったからね」
と、ブルームは大決戦の記憶を持つ故に、気苦労も多かった事を話す。のぞみよりも本来は年長であり、二代目であるが故の責任感を自覚したのか、後輩に重荷を背負わせまいとしているようである。
「でも、はるかちゃんが言ったのは、ちょっと頼ましく見えたよ?」
「もー、からかうのやめてよー!」
「ごめんごめん。でもさ、本当は私、はるかちゃんより10歳は上なんだ」
「……嘘」
「こればっかりは本当。本当はかれんさんと同年代くらいか、もう一個は上」
咲は生年月日が判明しているプリキュアでは最も年長の部類であり、1992年の生まれである。生年月日でいえば、のぞみの一年先輩であり、なぎさの二年後輩に当たる。つまり、咲から響までの第一世代のプリキュアは春野はるか以降の世代のプリキュア達と一回りは離れているのだ。
「じ、じゃ、咲ちゃんの生年月日は」
「……1992年」
「わ、私、2002年……なんだ」
「うん、その……あれだよ、ど、ドンマイ?」
衝撃の事実に絶句し、肩を落とすフローラ。療養の最中の一コマであるが、プリキュアオールスターズの不思議な点が浮き彫りになった一瞬であった。