ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

454 / 788
前回のつづきです。


第三百七十二話「会話と状況」

――結局、地球が危機に陥り過ぎたため、地球連邦軍の軍備は異常に発達。MSも最新技術ではミノフスキードライブが搭載されるに至った。その一方で、旧来の技術も洗練されたため、21世紀では考えられないほどに小型化された核反応炉が普及した。(石油資源は移民星の輸出品と、21世紀以来の節約で備蓄量は回復へ向かっている。移民星からの輸出品がわずかながら使用されたり、コスモリバースシステムで備蓄が手つかずの状態に戻った油田も多いためだ)スペースノイドは移民星の出身のほうが多数派になったためと、独力では異星からの侵略に対処できないことが突きつけられたため、結局は独立志向を持つサイド3は異端視され、サイドごと移民船団化する形で地球圏を去る事になった。とはいえ、サイド3の軍事力は既に離反の繰り返しで形骸化していたため、ネオ・ジオンの残存する軍事力の編入をせねばならぬため、出発は当面の間、先送りとされた。だが、旧・ジオンの復活を夢見る者は存外に多く、サイド3は騒乱のもとであり続けている。それがウィッチ世界の地球へ混乱をもたらしている。ティターンズへ支援をしていたからで、もはや反政府なら、お互いの理念などは形だけのものに堕ちていた証であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ジオン残党はティターンズ残党に援助を行っており、ウィッチ世界の各国に無視できない被害をもたらしていた。その成果の一つがラ級戦艦で、連合軍が対抗上、量産を強いられたのは、ティターンズが複数の宇宙戦艦を有しており、その中にペガサス級強襲揚陸艦が含まれていた事も関係している。また、ティターンズ内部の関係者が組織の仲介で複数のラ級戦艦を有することが明らかになったため、抑止力も兼ねて、ラ級戦艦の量産が決議されたが、政治的横槍で頓挫したりしたため、自由リベリオンがその殆どを受領するに至った。扶桑は性能的にそれらに優越するワンオフ艦の保有で留めた。これは兵器全体の更新が急務だった事の兼ね合いだが、空母艦載機などの機動戦力の刷新のほうが重大課題だったからである。――

 

 

 

――64F基地は地下部が拡張と区画整備を繰り返され、遂には地下に大規模な艦艇整備ドックと各種の生産工場を有する『工廠』と化した。扶桑の大規模な基地は食料品も自前で生産・貯蔵する工廠を備えるようになったため、『大口取引』を見込んでいた扶桑の民間企業等から苦情が日本に舞い込み、結局は政治判断で扶桑の民間企業等と改めて契約書が交わされるなど、日本連邦はグダグダぶりを露呈。結局、全てを性急に戦後の常識に合わせることは不可能であったので、民間企業への補償金も嵩んでしまった。それに関連して、酒保は『PX』への改組が進み、地上基地の酒保には民間資本が入り込むことになった他、炊事は空軍では、陸軍由来の持ち回り制が継続したため、現役時代は炊事が壊滅的であったプリキュアも『そこそここなせる』レベルにはなっていた――

 

 

 

――野比家――

 

「まさか、あなたが炊事をなさるとは」

 

「所帯持ちだし、旦那に任せっきりじゃ、プリキュアの沽券に関わるからね」

 

のぞみは錦が遺してくれた技能を使い、カレーを調理した。この日はちょうど金曜日(昭和以降の日本の軍隊には、週末にカレーライスを食べる習慣がある)であったからだ。レトルトカレーであるが、現役時代はまともに調理できなかったため、それでも大した進歩である。調やいちかなどの調理ができる者から教わり、数年かけてこぎつけたわけだ。いくら、機動兵器の操縦技能に優れ、戦闘の天才と評判でも、なにかかしらの欠点はあるものだ。

 

 

「戦闘じゃ強いけど、家事は現役時代から駄目でね。昔はおかゆさえ焦がしてた」

 

「ははっ、私も現役時代は似たようなものでしたよ」

 

ルドルフも現役時代は意外に欠点も多く、完璧超人じみて語られるようになったのは、引退後のことだ。

 

「オグリの現役時代の事を語ってくれと頼まれますが、あいにく、その当時は生徒会の仕事が多忙だった上、オグリの力にもなれなかったので、私個人としては、無力感を覚えた時期でしたし、協会の許可を得ないと」

 

「なるほど」

 

ルドルフはオグリキャップの現役時代の裏事情の生き証人であるので、そこを語ってくれと言われるらしいが、協会の派閥抗争と政治判断も絡むため、ルドルフの一存では語れない事柄らしい。ましてや、キングヘイローの失踪を期に、協会の派閥抗争が表面化した現状、ルドルフほどの立場の者が語れば、組織の体裁に関わるらしい。とはいえ、マルゼンスキーの世代の日本生まれのウマ娘、平成三強世代の『それ以外のウマ娘達』など、世代最強をクラシック戦線から締め出した結果、その世代のウマ娘達は世間から強者と認められず、多くが不幸な道を辿った。そんな事が二度もあったからだ。しかも、改革の恩恵を受けたはずのテイエムオペラオーは不人気ときている上、全盛期を過ぎ、ルドルフ超えはならない見込み。世間の注目は新世代四天王に向き始め、オペラオーも挫折に打ちのめされている時勢。

 

「世間はディープインパクト、キングカメハメハ、クロフネ、ハーツクライの四天王に向き始めていて、落ち目のテイエムオペラオーを見捨て始めてまして。世間は気まぐれで、勝手気ままなものです」

 

「日本人は栄枯必衰が身にしみてる上、変わり身の早さじゃ世界有数だもの。その気質が不幸を招くことは多いよ」

 

ルドルフは二人の友人、尊敬する先輩、あるいは自分の祖母『スピードシンボリ』などの逸話を知る故か、世間の移ろいには反感を持つらしい。実際、G1を勝ってでさえ、最終的な行方のわからない者は多い。

 

「オペラオーは再起できると思いますか?」

 

「彼女次第だね。史実だと、能力に衰えが出た後は早かったらしいから。それに、史実で『八大競走を勝っても、行方不明になった子たち』はごちゃまんといる。レオダーバンとか」

 

「デビュー前はテイオーの対抗馬を目されていた子ですか。懐かしい」

 

「覚えてないの?その子、確か…テイオーちゃんが欠場した菊花賞を」

 

「そうでしたか……。そのレースは上の空に近かったもので」

 

「泣くよ?その子」

 

「失態ですね…。我ながら、恥ずかしいかぎりです」

 

 

ルドルフはレオダーバンについて、そういう風に記憶していた。つまるところは、ルドルフの失態である。実際にはテイオー不在時の菊花賞の勝ちウマ娘であったが、彼女は程なくして怪我で引退を余儀なくされたため、(ルドルフもそのレースは見ていたはずだが)記憶していないようだった。なお、史実では、ライアン、マックイーン、パーマーの引退後に次第に勢いを失い、2010年代に消えていったメジロ、2010年代以降は中央競馬で輝きを失う『サクラ』など、栄枯必衰を地で行く出来事も起こっている。マックイーンが引退をせずに現役続行を選んだのも、その運命を覆すためであった。バツの悪い表情であるあたり、ルドルフも完璧ではない事が分かる。カレーを食べながらも、ルドルフとのぞみの会話は続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――太平洋戦争への日本の介入が弱まったため、扶桑は無制限報復のために反応弾を購入していった。敵の原爆投下を想定したのである。扶桑人は戦前の日本人に近い気質があるので、倍返しをしなければ、国民が納得しないのだ。日本は『軍組織と社会の繋がりを希薄にする』事でその気質を消そうとしたが、結局、軍組織の人的基盤の弱体化と、社会不安を招いただけだった。しかしながら、シベリア地域の統治は『重荷である』という認識では一致しており、オラーシャへの譲渡(オラーシャへの不信から、国連の管理地へ最終的に変更)が検討される。しかし、元住民が帰還を望んでいた事もあり、その補償問題も絡むため、元住民の生存中は事実上の棚上げとされた。日本も、扶桑とカールスラントにおける軍縮の試みによる予想外の混乱に強く戸惑っており、シビリアンコントロールに強くこだわりつつも、一部の有能な軍人たちが増長することを強く警戒し、軍全体の練度上昇を提言していく。その一方で、軍の個人単位の顕彰制度は海軍航空の一部の士官の反対を押し切る形で陸軍式で整えられるなど、実状に沿った改革が行われていった。これは戦後日本式であると、軍人は現役中に叙勲されないが、各国は現役中に各種勲章が与えられるための兼ね合いである。軍人たちの勤務意欲や名誉に関わるし、ミーナの一件で勲章や従軍記章の佩用の重要性が認識されたからである。(カールスラント皇帝は自国軍人の失態の尻縫いのため、日本連邦の双方の国を訪れ、双方の首脳に直接の謝罪を行っている)――

 

 

 

 

 

 

 

――また、日本側は通商破壊に消極的であったが、必要上、対潜掃海はきちんとするように厳命したため、(データがある事もあり)ガトー級潜水艦は史実の伊号がそうであったように『鉄の棺桶』と化した。自由リベリオン軍は(要員の不足と艦の更新の必要もあり)潜水艦を組織だって運用する事は少なく、潜水艦戦はもっぱら、日本連邦とリベリオン本国軍との間で生起した。性能差もあり、日本連邦の戦後型潜水艦が圧倒的優位であった。掃海の高精度もあり、潜水艦は本来用途で使用されたが、日本連邦のアスロックなどの対潜兵器の前に為す術もなく狩られ、1949年になると、ガトー級潜水艦の既存艦の稼働率は目に見えて低下。その後継の開発が急がれていた。カールスラントがUボートの更新に躍起になるなどの副次効果も発生した。潜水艦はウィッチ世界では輸送任務用が主用途になりかけていたため、攻撃艦が不足していたためだ。M動乱で対潜兵器の欠如で苦戦を強いられた扶桑軍が対潜訓練を徹底しだした結果、既存の潜水艦は尽くが陳腐化。同時に、扶桑の既存の水雷対策は『時代遅れ』と判定され、既存の艦艇も近代化が徹底的になされた。ただし、既存の駆逐艦は21世紀以降の水準ではフリゲート艦相当の大きさしかないため、近代化の余裕が無いとされ、多くが太平洋戦争までに戦後式護衛艦と置き換えられていった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――大鳳は史実の不幸での験担ぎもあり、空母機動部隊旗艦の機会はM動乱の一回きりであった。また、史実の不幸が原因で日本義勇兵から嫌われる傾向が強く、結局、空母機動部隊の世代交代まで、当座の旗艦は『瑞鶴』が務めた。小沢治三郎の後任の空母機動部隊は山口多聞だったが、今度は彼が連合艦隊司令長官になったため、後任は次善の策で角田覚治中将が就任した。日本の提督たちは空母機動部隊の運用を切り開いたが、専門家は数人のみである上、自衛隊は空自と海自の相克でそれどころではない。結果、積極性を買われた角田覚治が抜擢された。空母機動部隊はその関係で空母艦載機の先進性の担保が急務となったが、パイロット達は複座機を強く嫌うため、F-14戦闘機を単座仕様に再設計させるなど、強いこだわりを見せた。(アメリカなどと違い、予算に余裕がほとんどないため。とはいえ、偵察用や練習機としての複座機は容認された)史実と同じような姿だが、エンジン推力の差、機体強度の差などの内面の差は大きく、『トムキャットのガワをかぶったライノ(スーパーホーネットの愛称)』と評された。エンジンとアビオニクスなどが21世紀水準のものであり、再設計による恩恵での内部スペースの増加によって『機銃の装弾数が増加する』などの恩恵がある事から、扶桑仕様のトムキャットは『ライノの部品で改造されたトムキャット』という疑惑を持たれる事になった。当然、相応に大型であるので、新型空母でなければまともな艦上運用は不能。とはいえ、F-4EJ改の陳腐化が懸念されていたため、先行生産機は陸上で運用され、1949年度には配備が進み始めた。零戦の史実のような経緯である――

 

 

 

 

 

――トムキャットはダイ・アナザー・デイ前の双発機と同じ程の大きさを持つが、機動力は第四世代機相応のもの。複座機ではなくなった事、23世紀の水準の精錬技術でのチタン合金による軽量化の恩恵もあり、史実よりも構造強度、飛行性能などが改善されている箇所も多い。1949年度に生産開始なため、同年の初夏の時点で、64F以外の配備予定部隊は『機種転換訓練』の最中にあった。その時間稼ぎをすることも、64Fの任務の内であった。このように、『64Fで装備の実戦試験を行わせ、そのデータをフィードバックさせた生産型を改めて製作し、各部隊に行き渡らせる』という手法。未来世界の地球連邦軍がよく使う、『その時々のガンダムのデータを量産機に反映させ、設計を最適化した量産型を開発させる』という地球連邦軍のおなじみの開発方針の芽と言える手法と開発方針を扶桑は取ったことになる。――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――歴代プリキュア達は現役時代そのままの能力値では敵に太刀打ちできない(最強フォームでも)ことがわかり、事実上の保護者にあたるのび太は特訓を課した。主に戦闘担当のプリキュアを鍛えるためである。南斗聖拳や崋山系の拳法の使い手と戦うには、現役時代を上回る能力を手にする必要があった。その一環が『気』の制御である。これは修行となにかかしらの精神的きっかけがトリガーとなる。ドリームがエターニティへの扉を開けたのは、ZEROとの融合だけが理由ではない。また、キュアグレースの覚醒で『ドリームキュアグレース』形態もなれる可能性が出てきたので、初期のプリキュアに属しながら、パワーアップの数は後輩に引けを取らなくなりつつあった――

 

 

 

 

 

 

――ある日 『プリキュア5の世界』――

 

のぞみがいた世界とは平行世界の関係にあり、かれんとこまちの故郷でもある世界。未来世界から送られてきた記録映像の中で『新フォームに怒りと悲しみの双方の感情で覚醒める』自分を見たのぞみBは、頭を掻きむしりまくりながら悶える羽目になった――

 

「なにこれぇーーー!み、ミラクルライト無しで新フォームになってるーーー!?」

 

「バトル漫画でよくある展開を地で行ってんのね、向こうのあんた」

 

「オーラにスパークが走ってるしーー!なんか、昔のアニメであったよね、こーゆー展開!?」

 

のぞみBは史実通りの能力であるため、ミラクルライト無しでは上位形態になれない。そのため、シャイニング形態で追い込まれ、そこから強い感情でさらなる高みに覚醒めるというのは、プリキュアというシステムではあり得ない(ただし、強い意志があれば、正規の手順無しで変身は可能)事だ。更に、それを完全にモノにした後のコスチュームはシャイニングドリームにキュアハートのパルテノンモードの神々しい意匠を加えたものだが、纏うオーラは攻撃的な意志の表れか、ピンクのオーラにスパークが走っている。その新フォームと戦える力を持つ敵、最終的には『シャインスパーク』なる技を放つ…。

 

「何、あのシャインスパークとかゆーの!?シューティングスターと違うけど、似てる……」

 

「見たかぎり、高エネルギーを纏って、そのエネルギーを体当たりのように打ち出す技みたいですね……威力は段違いです……完璧に上位互換ですよ」

 

B世界のドリーム自身より段違いに強力な技。シャウトも気合がこもっており、大技らしい迫力に満ちている。更に。

 

「あ、マナちゃんだ。こっちは外見は同じみた……え…!?嘘……?」

 

『ストナァァァァァァ・サァァァァンシャァァァァイン!!』

 

キュアハート・パルテノンモードが『もう一つの太陽の如き輝きを放つ光球』を作り、ぶん投げる映像が入る。やることが大仰かつ、敵へ情け容赦しない姿勢が鮮明になっている。また、現役時代は常に明るい表情であったが、同情の余地なしの完全な『邪』な敵故か、明確に怒りを見せている。歴代ピンク一の博愛主義者の相田マナ/キュアハートをして『優しさよりも炎の如き烈しさが必要な相手』と見なされるほどの相手であるという事である。

 

「マナちゃんがここまで怒るなんて………。」

 

唖然とするのぞみB。この頃には、第2世代のプリキュアオールスターズたちと面識を持っているようだが、マナが『激昂』する姿は記憶にないため、大いに驚く。また、普段の高めの声とは似ても似つかない、『ドスの利いた低めの声』を使い、どこから持ち出したか、青龍刀を敵の首元に突きつける。

 

『さぁ、話してもらおう。この街の住人はどうした?……首と胴体が泣き別れになりたくはなかろう?』

 

と、敵の構成員を殺しかねない勢いで迫る。映像に映る敵は、月面都市の住民を面白半分で惨たらしく虐殺しており、キュアハートも完全にブチギレ状態である。映像ではぼかされているが、街の一区画が無人化したほどの虐殺を行ったことは察せられるくらいには痕跡は映っている。その事への怒りで完全に『プッツン』しているのは見て取れる。歴代最高レベルに沸点が高いプリキュアであるマナを激昂させるほどの残虐な所業。それを行った張本人と思われる機械の残骸らしきものも見える。

 

『マナ、そいつにかける慈悲はない。一思いに殺ってしまえばどうだ?』

 

『情報が得られないだろう。吐かせた後で楽にさせるさ』

 

キュアダイヤモンド(菱川六花)も大人びた低めの声色で発破をかけている。

 

『鉄仮面……いや、カロッゾ・ロナが使っていたバグをどこで手に入れた?人を虫けらのように殺す機械など――!』

 

B世界のプリキュア5にはわからないが、ある月面都市での虐殺に、かつてのクロスボーン・バンガードが『フロンティア・サイドの掃除』に使用した『バグ』が使用されたのである。その残虐さがキュアハートの逆鱗に触れ、普段なら絶対にしない『DEAD OR ALIVE』の選択を怒気を孕んだ声で迫っているわけだ。また、持ってきた青龍刀(青龍偃月刀と呼ばれるモノ。銘は『冷艶鋸』とのこと)は業物らしく、襲ってきた装甲車を一刀のもとに切り捨てるなど、完全に何かのバトル漫画に出てきそうな雰囲気を纏っている。

 

「マナ……青龍刀なんて、どこから持ち出してきたのよ。三国志の関羽じゃあるまいし」

 

映像を見て呆れ気味のりんB。キュアハートの『衝撃的な姿』。三国志の中での関羽が使う『青龍偃月刀』を手慣れた手付きで扱う様はカッコいいのだが、メタ的なツッコミを入れると、『青龍偃月刀は宋代以降に発明された武器』である。そのはるか以前の三国時代の人間が持てるはずはないので、関羽が青龍偃月刀を愛用しているという認識は『三国志演義』成立の時代である明代以降に創作された事柄である。りんBは親戚に三国志好きがいたことから、その事を聞かされた事がある。三国志と冠詞をつけたのは、そのためであった。

 

「なんか、マナさん。声にドスが効いてますよね」

 

「うん…。普段はもっと元気っ子な感じだよね?声だけで印象が全然違うんだなぁ」

 

と、ツッコミどころがずれ気味ののぞみBとうららB。とはいえ、のぞみAも素体の声色を使い、仕事を円滑に進めたことは多い。更に言えば、マラソン大会の後のライブの『場繋ぎ』の際に、ナリタブライアンの勝負服のコスプレ衣装で彼女の持ち歌である『シャドーロールの誓い』、『BLAZE』を(訓練の成果もあって)熱唱し、うららのマネージャー『鷲尾マネージャー』を驚嘆させ、『のぞみちゃんをスカウトしたい』と口にするほどである(Aは『ルミナスウィッチーズの代わり』も想定された訓練を受けているため、歌もそこそこ上手くなっていた)

 

「でも、向こうのあなた、どういう訓練積んだのよ。この間のマラソン大会で……」

 

「向こうのわたし、どーやったら、あんなに歌えるんだろう。同じわたしなんだから、元は上手くなかったはずだよ」

 

「あなた自身のことでしょ?」

 

「向こうのわたしは成人してるし、軍隊で色々な訓練を何年も受けてるんだよ?そりゃ、わたしも絶対音感はあるし、エアギターはできるけど」

 

「……嘘、持ってたの?」

 

「絶対音感あっても、音痴な人はいるかんね?」

 

美々野くるみBは『のぞみは絶対音感を持っているが、音痴であることを始めて知り、驚愕し、固まった。Aは鍛錬で『絶対音感を活かせるようにした』ためと、正規の歌唱訓練を受けたために、ナリタブライアンの持ち歌を歌い上げられるレベルに歌唱力を増しているのであって、Bは音痴であり、エアギターでしか絶対音感を活かせないので、宝の持ち腐れ感は否めない。とはいえ、訓練で(なんとか)矯正できる範囲であるので、ジャイアンのように『どうしようがない』ものではない。のぞみBはそこもAに劣等感を抱く理由であるが、訓練でどうにかなるという『嬉しい結果』が起こり得る証明のようなものだ。そこは嬉しいようで、ぶーたれている口ぶりながらも、冗談めかした雰囲気があった。そこに彼女の複雑な心境が隠されているのだ。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。