――ブライアンはトゥインクルシリーズからの勇退の時期は真面目に考えており、おおよその目安は『新世代四天王の全員と戦い、サクラローレルに土をつけた後』と決めている。ハヤヒデ(姉)の事で取り乱したものの、ローレルという目標ができたことは喜ぶべきことだと告げられた。ブライアンが超えるべき壁は『サクラ軍団最後の大物』である『サクラローレル』。史実でブライアンが引導を渡された相手である。――
「お前、プリキュアになっている理由は精神的土壌を整えるためなのか?ローレルと最後に戦うための」
「そうだ。アイツに土をつけ、三冠ウマ娘としての私の底力を見せるためだ。スペシャルウィークは上の連中に睨まれたようだがな」
「何故、スペシャルウィークが睨まれる?」
「シニア級に進まなかった事が原因だが、そんなものは『前の世代の嫉妬』だ。とはいえ、奴もそれは薄々と感じている。責任感がある分、上の世代に睨まれるのはキツイだろう。だが、シンザンさんの思惑がどうであれ、新世代四天王やアグネスデジタルの世代は上の世代との対決を望んでいる。ならば、スペシャルウィークの属する『黄金世代』も『もう一旗』揚げてもらう。シンザンさんに恩を売っておけば、マスコミや世間からの良いガードになってくれるからな」
ブライアンはシンザンの思惑を理解した上で、テイオー政権の土台を築くにあたっての後ろ盾として、『シンザンの威光』を利用することを明確に告げつつ、個人的にはスペシャルウィークを擁護する心境であるのか、スペシャルウィークの置かれた環境を『前の世代の嫉妬に過ぎない』と断じるなど、マーヴェリック(はみだし者、ならず者を指す言葉)という渾名通りに、三冠ウマ娘でありながら、協会やトウショウボーイの姿勢に批判的である。
「私が措置を受けたのは、『ローレルと戦うため』だ。名誉は既にクラシック級時代に得ている。個人的な願望を果たすためだ。まぁ、ルドルフは後輩の壁になりたいんだろうよ。ディープインパクトらの、な。もう一つは上の先輩たちと戦ってみたいし、マルゼンの全力を見たいんだろうよ。絶頂期のな」
「お前、体制に迎合はしないが、権威は利用する質になったのか?」
「ルドルフが後輩に道を譲った以上、テイオーやスペシャルウィークを守る役は必要だろう?それが、私たちに残された最後の仕事だ」
以前と違い、のぞみの影響を受けたらしく、面倒見の良さが表面化していた。また、テイオーやスペシャルウィークを前世代のウマ娘の中傷から守れる立場であることを自覚しているらしく、生徒会の仕事に意欲を見せている。
「奴はモンジューが万全でなかったにしろ、エルコンドルパサーの仇を討った。此方側のホームグラウンドだったにしろ、ジャパンカップで仇を討ったんだ。上の連中は何を求める。グラスの奴が不振だからと、八つ当たりか?これは前の体制の連中のいっていたことで、シンザンさんの罪ではないがな」
ブライアンはスペシャルウィークを擁護しつつ、シンザンの前任の協会長とその取り巻きたちの醜悪さを切り捨てた。前任は男性(もちろんヒトである)で、グラスの海外遠征で自分の名声と権威を確立させようとしていたと、テンポイントからの情報が伝わっている。しかし、グラスは(同期の相次ぐ引退と精神的ショックと怪我の連続で)不振期を迎えてしまい、絵に描いた餅に終わった。オグリキャップの時代には女性が会長だったので、その後任ということになる。
「それに、グラスの現時点での不振は、同期が去った事での精神的なショックによるものが大きいから、責められるものでもあるまい。オグリさんでさえ、三強の二人が先にターフを去ったショックで不振に陥っていたんだぞ」
「お前にしては珍しく、饒舌じゃないか?」
「役職らしいこともしてみせろと、姉貴に言われていたんだよ」
ブライアンは珍しく、饒舌になっていた。物珍しそうな表情のエアグルーヴだが、ブライアンはブライアンなりに、後輩に気配りをしていたことを知れて嬉しいのか、若干だが、エアグルーヴは微笑んでいるようだった。
「チケゾーやハルウララのように、勝ちたい気持ちが薄れた者は例外なく、能力が伸び悩むのも事実だがな。本能が薄れた者は種としては淘汰されるべき存在かもしれんが……」
「我々は強欲でなくてはならんのか?」
「種族としては、それが正しいのかもしれん。だが……それはそれで、別の道があると思いたい。ハルウララのようにな」
ハルウララは能力的には見るべきものがないが、皆に愛され、皆の清涼剤となるという功績はオグリキャップやハイセイコーに匹敵し植うるほどの功績がある。故に、前世から勝利至上主義の風潮が受け継がれていることに疑問を持つようになったらしいブライアン。主人公属性が強まったためかは定かではないが、史実で『負け組の星』となった形のハルウララを尊敬しているような口ぶりを見せるなど、以前より好人物となっていた。目つきも幾分か穏やかになっている(キュアドリームの姿を借りているために、普段より分かりにくいが)ため、心境の変化があった事が読み取れた。
「お前、変わったな」
「一度はどん底を見たんだ。『三冠獲得者がだらしない』、『ナリタブライアンは終わった』とまで書き立てられ、東条トレーナーにも迷惑をかけた…。だからこそ、私たちが身を置く環境を客観的に見れたんだ。ルドルフの奴も羨ましがっていたぞ、ハルウララのことを」
「何故だ?」
「愛されたからさ。負け続けても走り続ける姿に世間は希望を見出し、ハルウララを応援した。関係者にしたら、ウマ娘の本懐を果たせていないのにって宣うだろうが、アイツは走るだけで満足したし、成果主義に疲れた世間の清涼剤になった。それに対し、ルドルフは圧倒的な勝利だけを求められてきたからな。……かくいう私も、全盛期の頃はそうだったが」
ブライアンはどん底を見たり、史実の悔恨の記憶が蘇った事で、勝利だけを求める風潮に疑念を持つようになっていた。種牡馬として生活して二年で他界した記憶も作用したか、エアグルーヴが見たことないほどに穏やかだった。その一方で、『運命を超える』事を目指すと公言するなど、闘志は健在である。
「誰かの意志は……自然と後の世代に引き継がれる。ルドルフにとってのテイオーがそうだったようにな。だが、私個人としての意地もある。姉貴の果たせなかった事を果たし、サクラローレルへ『いつぞやの借り』を返す……。それまでは現役でいるつもりだ」
ブライアンは全盛期を本来は終えていた自覚があるのか、自身が『ロートル』と見なされる時期を迎えたことを悟り、自分を自虐的に見ていると思われる節があった。また、スペシャルウィークを周囲の誹謗中傷から守ろうとしているらしき口ぶりなど、以前よりも協調性が増している。全盛期は歯牙にもかけなかったはずのサクラローレルを多分に意識し、目標とする様子に、ブライアンの精神的変化を感じ取ったエアグルーヴであった。
――日本連邦の目下の防空上の目標は『戦略爆撃機の無力化』であり、史実での仇敵である戦略爆撃機を寄せ付けぬため、迎撃ミサイルや戦闘機の開発と配備を急いだ。ダイ・アナザー・デイでは、未来兵器と超人達の圧倒的戦力で『B-17』と『B-29』を封殺した。いくらコンバットボックスを駆使しようが、可変戦闘機やスーパーロボットの力の前には無力そのもの。B-17の当時の稼働数の過半数が空に散り、B-29も500機ほどが粉砕された。また、義勇兵らの迎撃による損害も入れると、更に数は増加する。ウィッチ母機の有効性はダイ・アナザー・デイでは全く発揮されず、迎撃機の体当たりと一斉攻撃で無防備な状態のウィッチが死傷するわ、スーパーロボットに有象無象のように蹴散らされた余波で消滅するなど、『国防総省の涙すべき30分間』などという言葉が生まれるほど、リベリオンのウィッチ部隊は『戦わずに死んでいった』。また、最高の使い手を有無を言わさずに集中運用した扶桑の戦術の妙、在来型高射砲の最高峰『五式十五糎高射砲』が近接信管搭載弾頭で集中運用されたこともあり、大型爆撃機は未曾有の損害を被り、帰還した人員の大半がシェルショックにかかってしまう有様だった。その一方で、敵側は運用を工夫し、敵が確認されたタイミングでウィッチを放出するなどの努力をしたが、ミサイルなどの近代兵器に第二次世界大戦レベルの爆撃機は無力だった。また、魔導師の技能が伝わり、魔力などのネガが無くなった者はミッドチルダ/ベルカ式の攻撃魔法を身につけていたため、それも能力差を大きくした。攻撃手段に幅が出たからだ。近接武器の技能を持つ者が前線に残留していた事も、扶桑空軍の武勇を際立たせたと言える。――
――ダイ・アナザー・デイ以降に前線に残るベテランのウィッチは多くが扶桑海事変と大戦初期の従軍経験を有し、なおかつ戦前の教育課程で士官になった世代の者であった。中堅へ育った『大戦初期以降に志願した層』がクーデター後に排斥された影響もあり、軍のウィッチの世代階層は『ベテランと未熟な若手』という具合に両極端となってしまっており、新世代の入隊が望まれたが、日本側の意向で『軍入隊資格を得られる年齢の下限が引き上げられ、志願制を前提に、教育制度も『長期的に勤務してくれる者を育成する』方向になったため、以前のような『即戦力になるウィッチ』は司令部からは歓迎されなくなっていた。だが、現場は『ヘッドハンティングで原石を見つけ、現場で磨けばばいい。士官教育なんぞ、後ですれば良いんだ』と猛反発。その認識の違いも、短縮課程ではない教育を受けた世代のウィッチが中核を担う64Fが司令部に重宝される理由だった――
――しかし、現に64Fとて、プリキュア達の大半は『実戦研修』で育成している上、実質的には素体が元から軍人(士官)であった、ごく数人のプリキュア達がそれ以外の者たちを引っ張っている。のぞみも1949年初夏時点では少佐まで昇進済みで、年長組であるキュアムーンライト/月影ゆりはすでに中佐に昇進していた(素体の関係もあるが)――
「ムーンライト、この戦争は長引きそう?」
「相手は全盛期のアメリカ合衆国の同位国、ひいてはその背後にいる連中だもの。いくら扶桑の高い国力でも、リベリオン全土の占領は夢物語。せいぜい、西海岸を抑えて、五大湖工業地帯を叩いた後にニューヨークとワシントンに一撃与えて、停戦協定のテーブルにつかせる。これが限界よ。ホワイトハウスに旭日旗と日章旗をおっ立てるなんて、ゲームか小説の中の話だもの」
「それで終わる?」
「うまく行く保障はないわ。敵は原爆を数発は使ってくるでしょうから、南洋の要衝の住民は地下に疎開させ始めたそうよ」
「原爆って、この世界でも?」
「怪異対策を名目に、広島型と長崎型程度の試作品が数発は完成していたそうよ。ティターンズはリベリオン政府を通して、使用を指令するだろうから、こちらも反撃手段として、反応弾をリベリオン大陸の都市に撃つ。相互確証破壊を示さないと、奴らも止まらないと思うわ」
キュアムーンライトはそういう見解だった。
「ゆりさんはどういう風に転生を?」
「ガイア(未来世界における反地球)の軍人として転生していてね。覚醒めた時には、もうアラサーなのよ。アースに同位体がいるから、プリキュアの姿でいたほうが都合が良かったのよ。向こうも同じ商売してるようだから」
新見薫という人物として転生していた月影ゆり。軍でカウンセラー兼科学者であったという共通点があるため、同位体に本来の職分を任せ、自分は(覚醒時の年齢の都合で迷ったが)プリキュアに戻ることにしたのだと、キュアフローラとホイップに教える。
「よく決心つきましたね」
「あなたたちみたいに、現役時代から呼ばれたわけじゃないから、決心がつかなくてね。27でプリキュアやるってのも…まぁ、つぼみのおばあさまは老境でプリキュアしてたけれどね」
「で、えりかさんはそのまま転生を?」
「そのままの立ち位置と同名で転生したのは、あの子が初めてよ。のぞみも、響も『別人』に転生していたというのに。あの子らしいといえば、らしいけれど」
前世と同名かつ、同じポジションで転生したあたり、来海えりかはかなりの悪運である事が示唆されている。また、前世で『のぞみの大学時代の後輩だった』と述べている事から、のぞみと同一の世界線から転生した存在である事も判明している。
「どう?仕事には慣れた?」
「なんとか。でも、変身してるほうがいいってのはなんでですか?」
「私たちは現役時代でなら、10代の子供よ。21世紀の日本じゃ、戦闘行為に法的問題があるのよ。仮面ライダーやスーパー戦隊のような立ち位置でもないから。だから、法的な身分を形だけでも整える必要があったのよ。仮面ライダー(昭和)のように『お目溢し』が通じる時代でもないから。扶桑の法で庇護しなければ、警察があなた達を捕まえていたかもしれない」
「なんか、世知辛いなぁ」
「私たちの現役時代の年齢的に、警察は違法と判断するもの。だけど、仮面ライダー達やその他の多くのヒーローの存在もあるから、有耶無耶にしたい。若い世代と上の世代がそれで大揉めになってたから、軍隊が引き入れた。もちろん、何人かが転生して、軍人になってたっていう事実を根拠にしてね」
プリキュアたちは現役時代には、最年長でも17歳前後であった。その事で警察内部での法的取り扱いが紛糾してしまい、結論が出なかった。それを懸念した者達が扶桑軍に入隊扱いにしたという経緯がある。とはいえ、それは『日本連邦の国籍がある者』に限られる。ウィッチ世界のその他の国に転生した場合は何も問題はない。軍にいる時点で法的に成人と見なされるからだ。
「警察としても、めんどくさい申し送りをしなくていいから、措置は歓迎されたわ。法務省や厚生労働省も文句を言える立場じゃなくなったから」
扶桑軍人という身分を持っていれば、戦闘行為に関する法的な問題をクリアできる。日本では、そうした『公的な身分保証』が必要であった。ヒーローたちも『ヒーローユニオン』という特殊警備会社を作り、一部のスーパー戦隊のような公的な地位が無くとも、ヒーロー活動ができるように土台作りを行っているように。20世紀のような『お目溢し』という風習が消えつつあったための行動であった。
「大人の世界って、大変なんですね」
「日本は特にこうよ。戦後直後、あるいは戦前の頃の常識で法律ができてるから。カビが生えたものを後生大事に使ってきてるから、無理が生じてるって奴。昭和からどれ位の年月が経ったと思ってんのかしら」
日本の法は基本的に大日本帝国の時代、あるいは戦後直後に作られたため、2020年代には無理が生じてきている。『カビが生えている』とキュアムーンライトが嘆息しているのは、1940年代以前の頃に作られたものの基本を変えぬままに、解釈変更をし続けることで21世紀まで運用しているからで、そこも扶桑から法的柔軟性の無さを呆れられている理由である。警察が軍事組織を見下す風潮もかなり強いため、その風潮が扶桑と日本の軋轢の原因にもなっている。扶桑軍の人的資源にかなりの損害を与えたからだ。
「おまけに、ウィッチの補充に大ダメージを与えたから、20年位は私たちにおんぶにだっこの状態が続くわね」
「どうしてですか」
「日本の政治家や官僚が『史実で敗軍の将だから』とか、『無能だったから』って理由でどんどん中央から追放した上、現場の中堅ウィッチを『危険な青年将校』と見なして、軍籍剥奪、罪人として収監、あるいは有無を言わさずに極刑。これで扶桑人が入りたがると思う?魔女狩りも同然だもの。いざ戦時になったら、『横の関係』を強引に断ったせいで、部隊間連携が取れないなんてことは当たり前。幹部の個人的な繋がりを拠り所にして、近くの部隊と連携を取ってるようなものだもの、ウチの隊は」
扶桑軍はクーデター時の事後処理の失敗で、軍全体の統制が崩れたも同然の有様。結局、隊長陣である黒江、智子、武子、圭子、赤松、若松の六名と個人的に親しいか、以前に部隊の同僚、ないしは士官学校などでの先輩後輩関係にあった者達を近隣の部隊の長、ないしは幹部に添え、担当空域の制空権を維持するしかなくなり、江藤や同世代のウィッチ出身の参謀に日本の防衛省は猛批判を浴びている。自衛隊の幕僚や現場の隊員たちの多くが扶桑の戦争に深く関わる羽目となったのは、扶桑の戦争遂行に多大な支障を来す行為を『日本連邦』を盾に、強引に実行したからで、要するに、日本の政策ミスの尻拭いだった。
「だから、私たち以外に飛んでるウィッチが少ないんですね」
「現場の中核になる中堅をクーデターの事後処理を大義名分に、大量に僻地に飛ばしたりしたせいよ。だから、ウィッチの雇用形態の維持ができないとか言われてて、どうにかしようとしてるの。のぞみたちがポスターに起用されてるのは、そういう事。中世みたいな魔女狩りが起こって、ウィッチの人数が減った国に未来はない。それがこの世界の常識」
怪異の自己進化も起こっている。二重コアを有する個体も出現しているため、ウィッチ組織の維持そのものは必須。近世以前の大国の中には、ウィッチを軽視する風潮が強かったため、土地ごと怪異に滅ぼされた例もある。その一例が明朝であり、李氏朝鮮であるというのが、ウィッチ世界の常識だ。とはいえ、45年からの人事的な粛清の嵐と世論の大転換で『扶桑軍のウィッチ供給と需要』は崩壊寸前。『プリキュア達と七勇士世代の古強者』に太平洋戦線の維持を依存する有様だった。
「だから、のぞみ達は強さを求められたのよ。一騎当千って言葉がピタリと当てはまるほど。なぎさとほのかが、今のあの子達を改めて見たら、腰抜かすわね」
「いやぁ、あのロボットたちの技を撃てる時点で、ねぇ」
キュアフローラ(春野はるか)は正式に呼ばれるより前に、マジンカイザーやゲッター天(真ゲッターの後身を目される巨大ゲッター)」を目の当たりにしていた。その際に『カイザーノヴァ』や『ストナーサンシャイン』などを目撃しているため、その技を先輩と後輩が『自家薬籠中の物にしている』ことに最も驚いた一人である。
「ゆりさん。話しておこうと思って。私たちが出くわした敵、それとの戦いのことを」
二体のスーパーロボットとは、別々の出来事で出会い、救われたと述べてきたキュアフローラ。その際にそれぞれの操縦者とも顔を合わせていたとも。その戦いでのプリキュアオールスターズの力ではどうにもできない『強大な敵』が自分たちの前に立ち塞がり、心が折れかけた時に『最後の切り札』のように颯爽と現れたマジンカイザー、星そのものを作り変える力を持つ敵のロボへの無力さに負けそうになった自分達を守るかのように顕現したゲッター天。
「その時に、兜甲児さんと流竜馬さんに会ってるんです。竜馬さんはパイロットスーツを着てましたよ」
キュアフローラはその時に、流竜馬と出会っていたと明言する。その戦いの後に『この世界にいるキュアフェリーチェ』と出くわし、フェリーチェが『大暴れ』し、他の二人を困惑させていたとも続け、プリキュアオールスターズの戦いは『同じチームのプリキュアでも、全員が同一の世界から呼ばれるわけではない』ことの裏付けがなされた。
「ドリームと他数人の性格の伝聞にずれがあることの裏付けになるわ、ありがとう。ホイップ、あなたに心当たりは?」
「そういえば、ドラえもんくんの世界のDVDにあるかは分かんないんですけど、はなちゃんたちのチームが現役のプリキュアだった頃だったと思うんですよ……その時の戦いのドリームとハートがやけに男前だった記憶が…」
ホイップも心当たりがあるようだった。その時に出会ったキュアドリームとキュアハートがすごく凛々しかったと述べる。その戦いでドリームはこういったとのこと。
――『やれやれ。無茶をする。……お前らに怪我されると、先輩方に会わせる顔がないんでな。――見せてやる。私の心は今も、昔と変わらずに燃えている!!』――
のぞみがとても言いそうにない(融合後でも)男前な台詞回しだが、腕を組み、オーラを発しながらの一言であったので、ものすごくかっこよかった。『その場にいた』野乃はなは『姐さん』と呼ぶようになっていたという。また、キュアハートは。
――『勇往……邁進!君たちの道は、私が切り拓くッ!!』――
そう宣言し、自ら吶喊していったという。ホイップの証言から、何があったのかを悟ったキュアムーンライトは思い当たるフシがあるのか、乾いた笑いが出てしまう。
「ゆりさん?」
「ごめんなさい。その事、心当たりがあるのよ。それもごく最近に」
「えぇ!?ど、どこで!?」
ため息交じりのムーンライト。驚く後輩の二人。ムーンライトはその理由を話し始めた……。