ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第三百七十八話「ナリタブライアンの選んだ役目と、扶桑の状況」

――扶桑皇国海軍は結局、戦前の想定と真逆の選択を取り、『戦艦を使い捨ても辞さない前衛に配置し、その代わりに空母を後生大事に配置する』戦術ドクトリンを取らざるを得なかった。そのため、相対的に死傷率の高い戦艦勤務、駆逐艦勤務を避ける動きもあった。その戦術の取り捨て選択の結果、扶桑戦艦は一部の例外を除き、基本的に『大和型を祖にする、高速重戦艦』とせざるを得なかった他、日本側の不手際で『二線級』の人員しか残っていない空母航空隊が不貞腐れるという問題が発生していた。扶桑の空母では最新であった『大鳳型』の量産も頓挫してしまい、その代替としての次期大型空母は五隻以内の建造である事が通知されたため、航空隊の統廃合も進められた他、次々と変化するジェット戦闘機に対応できなくなってしまった。彼らにとって、1940年代後半はまさに冬の時代と言えた。とはいえ、装甲車両不足に喘ぐ陸軍も似たようなものであったため、相対的に待遇の良い空軍への志願者が増大していった――

 

 

 

 

 

――扶桑空軍は米空軍と航空自衛隊の更に間の子として成長していった。45年の設立以降、徐々に組織の地固めを行いつつ、名目上は『人員の資質を活かす』という形で、陸戦部隊も有しており、その陸戦部隊用に『ZプラスA1型』が回されていた。1949年になると、カールスラントを逃れた人員がかなりの数で義勇兵として参戦するに至った。皇室親衛隊の完全な儀仗部隊化と所属人員のリストラが契機になった形である。また、組織的に扶桑に兵器を横流しする者も続出しており、解体予定のティーガーⅡやパンターA型といった生産中だった兵器は多くの個体が扶桑陸軍や空軍に流され、義勇兵によって使われる有様だった。皇室親衛隊の実戦部隊としての地位の剥奪は、結果的にカールスラントの軍需産業にも大きな影響を及ぼした。スポンサーであった富裕層や貴族たちの多くが失脚したことで資金を確保できず、開店休業状態に陥る企業が続出したのだ。民需に手を広げていた『ポルシェ社』などの自動車メーカーやオートバイメーカーのみがそれを免れ、貴重な外貨獲得手段となっていたものの、カールスラントの落ち目は否めなかった――

 

 

 

 

 

――敵戦車の多数派は前線の将軍の意向もあり、M4中戦車の76ミリ砲搭載型が主流のままであった。これは戦車駆逐大隊の存在、『扶桑戦車は脆弱』という情報があったからだが、実際には……――

 

 

 

――南洋のとある戦場。二線級の部隊が配置される末端の地。そこで警戒につく『豹戦車』。要するに、扶桑陸軍に横流しされた『Ⅴ号戦車パンター』の事だ。カールスラントから亡命してきた皇室親衛隊所属の輸送艦隊に大量に貯蔵されていたもので、マーキングを日本連邦仕様に塗り替えただけで、そのまま使用されていた。戦後型戦車が現れているため、パンター戦車はもはや旧型に属するが、扶桑の在来車よりは圧倒的に強力な事から、旧型戦車の代替物扱いで二線級部隊に配された。後期型であるA型な点で、混乱するカールスラントの国情が見て取れる。カールスラントは有力な部隊、軍需品などの多くが国外に流出していた。日本連邦の引き起こした技術革新で兵器の多くが旧式の烙印を押され、生産ラインがストップ。カールスラントはドイツの高慢で国家存亡の危機に陥った。立憲君主制の徹底という条件で、帝政の存続は許されたが、21世紀世界での数カ国分の国土を有していたため、そこが無駄に高い軍事力の削減の度合いの議論で問題となった。その分の軍事力を『扶桑が補え』となったのは当然だが、日本は軍事力をどうしても削減したかった。結局、扶桑の戦闘車両の多くは軍縮に反対するカールスラント軍が扶桑にあらゆるルートで流したり、ブリタニアと米国から購入したものが主流になった。本土は当時の道路整備の都合で、戦後型軽戦車が限界であったため、重戦車に相当するものは南洋に優先配備されたが、カールスラントは帳簿上はあるはずの車両を扶桑へ横流しされてしまい、兵器不足に喘ぐことになる。また、キューベルワーゲンもかなりの数が扶桑に持ち込まれ、より優れた軍用四輪車が配備されるまでの間、くろがねに代わる扶桑軍用車の華となっていた。――

 

 

 

 

 

「しかし、のび太も気を回すものだ。まさか、ヴィルキスを本当に造るとは」

 

「私たちは『ガンダム系に乗った経験がない』ですからね。まぁ、連想できたものを選んだんでしょう」

 

「だからといって、ラグナメイルを本当に造るか?姉さんが懐妊で産休中だから、代わりになってくれと頼まれたが、ここまでは想定外だ」

 

苦笑いのフェイト。声が仕事の関係もあり、かなり低めになっているので、風鳴翼とそっくりの声色になっている。時空管理局の執務官は続けているが、正規の軍事教育を受けたので、待遇は大佐相当である。警察機構と司法機構が分離した後だが、管理局に残る『希少な腕利き魔導師』であるため、執務官の職務を続けている。機動兵器の操縦訓練は受けたためか、ラグナメイルを扱えるのである。

 

「しかし、ティターンズはどこから、こんなに機体を持ち出した?」

 

「地球連邦も出どころを調査しています。とうに帳簿上の彼らの保有機数は破壊したはずですから」

 

「バーザムまであるというのはおかしいからな」

 

南洋のビーチに擱座するバーザム。互いのサイズ差からは大戦果に等しい。(ラグナメイルは基本的に7m級の大きさ。一方、バーザムはグリプス戦役時のMSなので、20m級だ)

 

「しかし、ドラえもんはどこから機体のフレームを造った?」

 

「ほんもの図鑑を使ったとか。そこから取り出したものをコピーし、駆動系を既存の機動兵器のそれに置き換えたものだそうです」

 

「やれやれ。あいつは本当、なんでもありだな。まぁ、俺たちもチートだがな」

 

フェイトは聖闘士になった後、アイオリアに乗り移られていた時期があり、その影響もあり、一人称が俺になっている。姉のアリシアが花咲つぼみとしての穏やかな口調を維持しているのに対し、フェイトは戦闘向きの性格が強まったため、精神的に複雑怪奇な状態になっているのだ。

 

「まぁ、それは同意します」

 

リコは普段の姿で乗り込んでいる。リコは普段の姿でも、パイロットとしての仕事をこなしている。プリキュアとしての変身条件が厳しいためだ。焔龍號に乗り込んで戦うことは、前世での姉である『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』からは心配されているが、リコはエースパイロット級の腕を持つので、心配はない。ラグナメイルのサイズは、コンバットアーマーより多少小さい程度で、ナイトメアフレームよりは大きいというもの。機動力は最新世代のナイトメアフレームに匹敵し、武器の威力はそれを凌ぐ。

 

「しかし、二線級の戦車しかない辺境でも、敵の物量のおかしさを感じるとはな。いったいどうなっている?」

 

「敵の兵器動員数は明らかに、この世界の他の国の倍以上に到達していますからね。この時代の米国は人的資源の限界量自体は日本と大差ない(日本人が最盛期で一億数千万、米国は1945年当時に一億四千人台)はず。違うのは医療技術ですが」

 

米軍は物量を誇ったが、それは医療技術の高さによる負傷兵へのケアの良さも関係している。64Fが局所的に大暴れしても、大局への影響が少ないのは、他部隊が攻勢に出る余裕がなく、その間に損害を回復されるからである。扶桑としても、軍隊が嫌われ者と化しつつある現状を鑑み、極端な人的資源の消耗は避けたいのである。(徴兵が表向き廃止されたため)国家総力戦の時代、志願制だけでは軍隊の人的補充は容易でないことの表れであった。また、装備の機械化などを行っていた途中で、その要求水準が史実の冷戦末期以上のものに上がったため、とても代替の兵器の配備が間に合わないのである。古参兵は旧式装備を望むため、そこも悩みどころである。

 

『ご苦労さまです』

 

一体のラウンドフェイサーが通信で話しかけてきた。元々は軽戦車の部隊であった連隊の所属らしい。

 

『状況は?』

 

『敵はM4を雲霞のように使っています。戦車駆逐車もあるので、既存の車両はほとんどが鉄屑にされました。チヘでは足止めも無理ですね』

 

『鹵獲はしたのか?』

 

『はい。上層部が渋ってる間に、20両は』

 

『やれやれ。日本の防衛省に通告しておく』

 

日本側は扶桑の兵器生産も管理したがり、機甲兵器については、戦後水準の国産兵器を優先させたがるという。だが、肝心の前線で兵器不足という問題が発生していた。

 

『カールスラントの有志が豹戦車を提供してくれた。これで少しはマシになるだろう』

 

『それはありがたい。連中は少しのコンバットアーマーでどうにかできると思ってますからね』

 

数合わせも時には必要である。彼の言う通り、戦線の末端では、旧式装備が消耗してしまい、少数のコンバットアーマーが回されたが、焼け石に水だとぼやかれている。その関係で、カールスラントの有志が提供した武器と弾薬は重宝された。日本は人型機動兵器を過剰に評価するが、ガンダムタイプやスーパーロボットなどの一騎当千の超兵器でもない限り、汎用性のあるロボット兵器の域を出ない。ドムが一年戦争の地上戦で活躍しつつ、戦局を押し返せなかった理由が『生産開始間もなく、数が少ない』ことにあるように。

 

『問題はどこも同じようですね』

 

そう指摘するリコ。

 

『自分は隊に戻りますが、お気をつけて。このあたりは『M36』が出ますよ』

 

彼はそれを言い終えると、機体越しに敬礼して、近くの駐屯地へ戻っていった。敵の戦車駆逐車『M36』へ注意を促すあたり、扶桑軍は同車両を使ってのゲリラ攻撃でかなりの兵器を消耗したらしい。うっそうとしたジャングルを徒歩で行くのは危険なので、二人は機体を人型形態のままで飛行させ、偵察飛行を継続するのだった。

 

 

 

 

 

 

――一年戦争で地球連邦軍が証明したように、既存兵器も運用次第で新兵器に対抗できる。その事をよく叩き込まれた64Fの面々は、既存兵器と人型機動兵器の同時運用を行っていた。遠征軍でもそれは同様で、扶桑が完成させ、正式にライセンスが下ったばかりのF-14をパットンとブラッドレーに見せていた――

 

「これが、アメリカがライセンスを与えたという機体か」

 

「バルキリーのデザイン元になった機体で、F-14。グラマン社最後の艦上戦闘機だ。日本は運用コストの高さを理由に反対したが、F/A-18系は純粋な戦闘機としてはイマイチでな。ファンも多いから、プロパガンダ的意味合いもあって、採用が決まった。これは単座型にしたが、本来は複座だ」

 

「扶桑はこれを?」

 

「空海合わせて、少なくても700機は予定している。相手が物量で来るから、戦闘での消耗も考えんと、割に合わんよ」

 

戦闘機は戦後の時代、大戦中のような大編隊を組んでの運用は想定されなくなっていたため、生産・配備数は少なくなる傾向がある。第四世代機は開発時期が1970年代以降なので、ベトナム戦争までのような、乱戦じみた大空中戦は想定されていない(核を積んだ爆撃機の迎撃は想定されていたが)。

 

「それに、一部の部隊向けには機銃をレーザー砲にした。バルカン砲は連射速度の関係で、あっという間に弾切れ起こすんだ。950発でも15秒で弾切れだ。だから、扱いが難しい。当分は自衛隊で訓練受けた連中しか乗せられねぇよ」

 

F-14は扱いの難しい機体でもあるため、扶桑は史実の末期型を基本にし、更に改良を加えている。史実より機体構造が大きく改良されたため、一般部隊への普及型でも『10G以上の荷重に耐えられる』。特務部隊の仕様はエネルギー転換装甲財と熱核タービンの搭載で『変形しないバルキリーに等しい』ほどの差異があるが、これは日本連邦軍の特異な事情によるものであり、ジオン軍のドクトリンである『エースパイロット/上位パイロットの専用機を製造する』思考の起源である。

 

「どうして、エースパイロット部隊に新型機を回す?」

 

「史実でエースパイロットが大戦後期にどんどん死んだ記録の影響だ。新型機は原則的にエース部隊へ優先配備。普通の部隊へは後回し。日本だけの現象だよ、こんなことは。人員もウチに呼び出して、徹底的に講習させるんじゃ、他の部隊が哀れだぜ」

 

「他の部隊にベテランはおらんのか?」

 

「戦隊長とその護衛くらいだ。だから、日本が出撃を規制しやがってな。飛行時間が1000時間超えのウィッチなんぞ、うちにしかいないしな」

 

「生涯の飛行時間が平均で700時間いかない方が多いからな。800時間など」

 

「だから、日本側は怠慢だってなじってな。結局、抗議したいくつかの部隊が懲罰的に解体されたから、その人員も引き受けた。編成上の中隊が以前の大隊以上の規模になったよ」

 

64Fの編成上の中隊は通常の飛行大隊以上の規模になっていた。日本側に反抗し、有無を言わさずに解散させられた部隊の人員も引き受けたからで、多くは閑職に追いやられた大西瀧治郎中将の麾下にあった部隊であった。大西瀧治郎は『私の同位体の選択が多くの若者たちを死に追いやった以上、自分への情けは無用』と公言し、退院後は閑職に甘んじた。竹井の叔父であるため、本来であれば要職を歴任してゆくはずであったが、同位体のデータのために中央から追放され、辺境にある戦争博物館の長という閑職に追いやられた。これに反発するウィッチは多かったが、それが却って日本による粛清人事を煽り、結局は扶桑ウィッチ内部の『階層の構築』を決定づけたわけだ。

 

「パイロットと違って、魔力が回復しないと飛べないのがウィッチの難点だ。魔導師のように、今の世代は全員にリンカーコアがあるわけでもない。だから、あたしらが重宝されるんだよ」

 

「うむ。世代交代が進んで、全員にリンカーコアが作られるようになるには、少なくとも、今の若い連中の孫、もしくは曾孫くらいまでかかるかもしれんからな」

 

パットンの言う通りだが、ウィッチの体質が根本的に変化するには、70年以上の月日がかかるというのが生化学的な見解だった。従って、力が有限的なものでないプリキュア達は救世主と見做されている。

 

「まぁ、ガキどもを招いた以上、大人としての役目は果たすよ。三十路だしな、あたしは」

 

圭子は1919年生まれ。1949年には30代の大台に乗る。肉体的には10代のままだが、戸籍上の年齢は自覚している。精神的に青さの残る他の二人と違い、年長者としての立ち位置を明確に自覚した上で生きている点で、圭子は趣を異にする。それは元の性格の名残りでもあった。また、気骨ある技術者たちは自国産戦闘機に強くこだわるあまり、クーデターに与したが、それが却って『史実で成功した機体の大規模生産』に大義名分を与えた。閃電が採用されず、震電の名が国産機に残されたのは『史実で宮藤芳佳が使ったから』という身も蓋もない理由。日本人の験担ぎ的な気質の表れであった。それはジオン軍に間接的に受け継がれるのである。

 

 

 

 

 

 

 

――こちらはナリタブライアン。世代交代は意識しつつも、シンザンの一派を味方につけることに成功した彼女は、彼女の後ろ盾を存分に利用し、学園の自治権の維持などを重鎮たちに確約させていた。ルドルフが生徒会役員を引退したため、彼女が実質的にその代わりになっていた――

 

「ええ。シンザンさんが誓約書を交わしてくれました。証拠の書類と写真は私共が預かっています。……ルドルフ会長によろしく?。……ええ。それでは」

 

ブライアンはここのところは(スペシャルウィークの事もあり)副会長らしい仕事をするようになっていたが、ルドルフが町会と交わした約束を果たすため、キュアドリームの体を借りている。ゴルシはこの状況を楽しんでいるが、ブライアンに協力している。

 

「ご苦労さん」

 

「やれやれ。人の体を借りて電話する事になるとはな」

 

「お前の体はかなり疲労が溜まってたからな。ドリームも働きづめだったから、五日位は酸素カプセルで休ませておくのさ。プリキュアの状態なら、疲労しにくいからな」

 

「まさか、プリキュアの状態で栄養ドリンクをかっこむとはな。姉貴が知ったら、なんていうか」

 

ブライアンはドリームの姿で栄養ドリンクを飲み干す。

 

「シンザンさんの権威は利用させてもらう。姉貴と最後の勝負をしたいし、邪魔は入れさせたくはないからな。」

 

「テイオーに汚れ仕事をさせたくないのか」

 

「エアグルーヴにも無理な相談だろ。あいつは意外に『お硬い』。マルゼンに手伝ってもらうさ。テイオーは『ガキ』だからな。仕方ない」

 

ブライアンは汚れ仕事担当という自覚があるようで、苦笑交じりにゴルシへ答える。ドリームの姿になっていても、得意の腕組をしつつの壁際立ちである。ウマ娘として、一度でも『並ぶ者無き頂』に立った経験がある者に許されるポーズである。また、エアグルーヴとテイオーにはやれない『ダーティーな仕事』を処理するつもりらしい。

 

「で、どうするんだ」

 

「元の体ではやれんことも、この体ならやれるからな。しばらくは使わせてもらう」

 

ブライアンも元々、武術の心得があったため、戦闘力について、のぞみに遜色はない。さらに、のぞみ本人が特訓中の『気の高精度制御』という技能を持っていたため、その気になれば大威力の『気弾』を撃てる。

 

「ああ、お前に言っておくが、私の固有スキル発動時のビジョンだが、コンピュータの合成は使ってないのは理解できるな?」

 

「一般には、高度なSFXだよ思われてんぞ」

 

「お前や私クラスのウマ娘は普通にオーラを出せるんだがな。オグリさんやタマさんがそうだったように。その気になれば、気弾も使えると思う」

 

「何か、石破天驚拳やかめはめ波でもやる気か、お前」

 

「なんでもありな世界だし、私本人がするわけではないから、別にいいだろ。こいつに何か置き土産できるとすれば、領域による集中状態での能力向上くらいだから、そのくらいはあげたくてな」

 

ウマ娘は領域という超集中状態に覚醒すれば、バトル漫画よろしく、そのウマ娘の限界能力値を引き出せる。だが、それに耐えられる体を持っていないウマ娘の場合、能力の衰えが早くなる。サクラチヨノオーがその好例だろう。また、史実の気性難が別のところで発露したため、二冠ウマ娘にまで出世したエアシャカールのケースがある。

 

「シャカールの奴はシニア級で伸び悩む。それはお前のオジキ(ディープインパクト)からも聞いているだろう。どうするんだ?」

 

「あいつのトレーナーとドドウ、それとファイン次第だ。ドドウはそろそろ知覚していいはずだし、シャカールも知覚したか、ご自慢の計算で導き出してるはずだ。トレーナーにはそれとなく伝えておいたが、どうだろうな」

 

「二冠まではいったが、精神面は酷評されていたからな、奴は。知覚すれば、その因果を断ち切ろうとするはずだ。ひいては……死の運命を」

 

「そこだよ、あたしが心配してるのは、そこだ。野郎は意外に感情的になるんだよ、口ぶりと裏腹に。アグネスデジタルに動いてもらう。タキオンの言うことは聞かねぇだろう。奴の姉貴のアグネスフライトの事もある」

 

「…なるほどな。さて、呼び出しだ。この体での仕事をしてくる」

 

「加減しろよ~」

 

と、出かけていったブライアン。ブライアンはどこで鍛えたのか、プリキュアとしての仕事の代行を見事にこなしているばかりか、のぞみが目下特訓中の技能を既に会得ずみであるというように、それを高度に使いこなす芸当を見せる。さらに中身が『ウマ娘』であるため、のぞみと違い、足技主体の攻撃を見せる。

 

「さて……、手早く片付けるか」

 

宙に浮いた自然体の姿勢のまま、緩やかに距離を詰めつつ、高速の猛攻撃を加え、相手のパワードスーツを怯ませる。更に、相手の後方にすり抜けるように移動しつつ、左右で膝蹴りをかまし、ムーンサルトキックで上方に吹き飛ばす。先回りで上空に陣取り、踵落としで〆る。ブライアンの思いっきりの良さが表れている戦術である。すごいのは、それを通常フォームの姿でこなしているところだろう。

 

「この街を壊した代償は払ってもらうぞ、チンピラ共」

 

ブライアンはハッタリも兼ねて、自身の『領域』をキュアドリームの体で発動する。紫色のオーラと紫電の輝きがハッキリと視認でき、あたりの空気と大地を震わす。鋭い目つきと腕を組んでの仁王立ちはまさしく王者の風格に満ちていた。ブライアンにしてはノリがいい姿であり、後に、自身も武道を嗜む『ヤエノムテキ』(オグリ世代の皐月賞ウマ娘。武道を嗜むことで著名)がこの場面を目にし、仕合を所望したという。

 

 

 

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