ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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三百九十五話の続きです。


第三百九十八話「二つの世界での風景 4」

――スーパーロボットの力は凄まじく、旧式化していると評されるグレートマジンガーやゲッターロボGでさえ、ガンダムタイプか、それに匹敵しうる機体でなければ『互角の戦闘は不可能』と判断されている。故に、戦争への投入は避けられた時期もあるが、MSなどの高性能化による戦禍の拡大を食い止めるために、積極的な運用が許可された。その力を宿した者はすべからく、強大な力を持つ――

 

 

 

 

 

――キュアドリームBは別の自分がなぜ、プリキュアの範疇を超えるほどに力を持つことを志向したのか?宇宙で戦ったからと、ニュータイプに似た力に目覚めた(フラッシュシステムに適性を示した)りしたのか?それをりんAに問いた――

 

「あの子はあんたと違って、大人になった後に全部が裏目に出た世界の記憶があるのよ。だから、拠り所を戦いに求めた。だけど、あたしがある戦いで記憶喪失になった後、精神のバランスが崩れてしまったらしいの」

 

のぞみAは成人後に巣食っていた『闇』がりんAの記憶喪失で暴発してしまい、俗に言う闇落ち一歩手前までになったが、なんとか立ち直り、『プリキュアの壁を超えた』と説明される。

 

「闇落ち…!?」

 

「あたしが安全ピンの役目を果たしてたみたいでね、それを理不尽に奪われたから、あの子、一時はすごく荒れたみたいなのよ。で、てんやわんやがあった果てに、『超プリキュア』に覚醒めた。ミラクルライトの力で変身する一時的なものじゃなくてね」

 

「何、その……バトル漫画みたいな展開ィ!?」

 

「事実よ、それはプリキュアとしてのスペックが飛躍的に上がったから、感情が昂ぶったりしたら、直にシャイニングドリーム形態だって」

 

「嘘ぉーーーー!?」

 

「聞いてなかったの?」

 

「半信半疑だったんだ。でも、さっきのあれ……ずるいよぉ。こっちは蝶の羽が生えるくらいしか、外見の変化ないのにぃ~…」

 

シャイニングドリームすら超える形態にも覚醒めているため、この遠征の時点では、シャイニング形態での勤務も増えている。また、キュアドリームという存在の基礎能力そのものが更新されたらしく、他者が何らかの原因で入れ替わっても、一通りの能力を扱える。これは『フレッシュ!プリキュア』の事例で確認されている。

 

「実はというと、もっと上の形態もあるのよ」

 

「何それーーー!」

 

「イレギュラーな経緯で、もっとパワーアップしたのよ。あんた個人の変身としては、最強の姿……って奴ね」

 

正史には存在しない第三形態『エターニティドリーム』。シャイニングドリームを基本に、神聖衣のように『神々しさ』を加えたIFの姿と言える。射手座の神聖衣のような『滑らかな神々しさ』をストレートに表している姿は、のぞみAがその時点で『神聖衣の神々しさ』を多分に意識していたことも無関係ではない。シャイニング形態よりも、全ての点で飛躍的に強化されており、黄金聖闘士級の力を持つ。従って、正史でのドリームキュアグレースよりも、単純な戦闘能力の強化度では上位に位置する。

 

「あんたはこの後、後輩との合体フォームに目覚める事になってるけど、ずいぶん後の話だしね」

 

「本当?」

 

「オールスターズの戦いも落ち着いてからの事だもの。だから、こっちのあんたは『元からあったフォームのさらなる強化』を選んだの。それと、プリキュアと別の存在の技も使うようになってるわよ?」

 

「どういう事?」

 

「仮面ライダーの皆さんや、聖闘士からの指南を受けたから。仮面ライダーの技も、いくつか覚えさせられたわよ」

 

仮面ライダー流の特訓の成果により、この時期には『きりもみ反転キック』、『超電子イナズマキック』を会得していることを示唆する。

 

「うーん……」

 

「まぁ、こっちは戦いが続いてるし、サイボーグや吸血鬼ともとも戦う羽目になったから。それに、赤ん坊から人生をやり直したわけじゃなくて、別人に生まれ変わって、その子が16、7になった段階で前世の人格に戻って、その影響で、身体の容姿も肉体改造レベルで昔の姿に戻った。今のあんたと変わりないか、ちょっと若いくらいの外見よ」

 

「何それ!?」

 

「ネットで素人が書いてるSSで使い古されたネタみたいだけど、本当にそうなのよ。まぁ、あんたが転生先で日本軍の士官になってたから、そのままなし崩し的に他のプリキュアも同じ扱いにされたわけ。今じゃ、あたしたち、少佐。」

 

プリキュア5の面々はチームとしてのプリキュアの元祖であることから、入隊措置後の昇進も早く、遠征時には全員が少佐以上の階級にあった。扶桑軍は日本主導のリストラで生え抜きの人材に大打撃を被ったため、それをなりふり構わずに補おうとしたわけだが、プリキュア達が佐官級以上の階級に若齢で任じられることは批判もある。(とはいえ、士官級の階級であれば、行動の自由度も大きいのは事実だ)

 

「偉いの?」

 

「そんじょそこらの兵隊よりよっぽど偉いのは本当。まぁ、兵隊のモラルの乱れを正さないといけない立場だけどね」

 

軍隊はモラルが戦時だと崩れやすいため、将校は規律維持の役割も担っている。りんも、その立場上、兵隊が市井で問題行動を起こせば、それを制裁し、悪質であれば、憲兵に引き渡すことを自主的にしている。

 

「その代わりに、給与はいいわよ。危険手当も出るから、かなりの贅沢できるし」

 

64Fは特に危険手当が高額である(激戦区に置かれるため)ため、扶桑軍内で一、二を争う高給取りの部隊として定着した。それ目当てで転属希望を出す者も多いが、激戦区に配置されることは確定しているので、それは整備兵が中心である。

 

「やっほー」

 

「あ、みゆ…じゃなくて、今は芳佳だっけ」

 

「呼びやすいほーでいいよ。かれんさんに定期検診の仕事を言いつけられたから、来ただけだし」

 

「この子は?」

 

「スマイルプリキュアの星空みゆきが生まれ変わった子。変身すれば、昔の姿に戻るけど、この子は転生先で有名人だから」

 

「嘘ぉ?み、みゆきちゃん!?」

 

「そーですよ、のぞみさん。」

 

白衣をセーラー服の上から羽織っている芳佳。芳佳として、ウィッチ世界では有名人なため、プリキュアの転生組の中では珍しく、普段の容姿を日によって変えている。

 

「私、転生先での親父が三菱重工業の航空部門のエンジニアなんだけど、ばーさまの代から診療所を開いてるから、医者志望で育ってきた。そんでもって、母親とばーさまが高位の魔法使いだから、その世界での魔法が使える。魔法って言っても、みらいちゃん達みたいなものじゃないけど」

 

「えーと、つまり、医者なの?」

 

「軍医。だけど、戦うこともあるから、特異な扱いになってる」

 

芳佳はプリキュアへの覚醒と関係なしに、強力なウィッチであるため、最初の入隊先での海軍の規則に一石を投じた存在であった。坂本は『芳佳を海軍で一人前にする』ことを望み、軍令承行令の改正を含めた改革を進め、64Fに色々と『特例措置』の事項を設けさせたが、芳佳自身は集団主義的な海軍航空隊を嫌い、1947年付で空軍に移籍してしまったため、無駄骨を折る形になった。曰く、『空軍にいるほうが気楽にやれる』との事。とはいえ、ダイ・アナザー・デイまでに軍令承行令が有名無実化したのも事実であり、撃墜王の名誉も相応に与えられるようになった。事変後の教育の誤りで『各国との撃墜数の意義への認識の齟齬が生じた』事の反省だが、現場単位での浸透が遅れたため、多くの有力な人材が空軍に流れる結果に終わった。志賀にその責任の一端があるとされたことも、彼女の軍でのキャリアに事実上のピリオドが打たれた理由だった。

 

 

「海軍にいたけど、撃墜数を誇れない空気が嫌でね。それで空軍に移籍したんだ」

 

というものの、『自分から公の場で誇らしげに語る』のが強く戒められていただけで、部内で言い合うのは構わないという暗黙のルールがあったが、数年で統合戦闘航空団が花形とされる時代を迎えたため、時代にそぐわなくなった。日本連邦化で撃墜数の厳密な精査が求められるようになると、尚更であった。海軍系のウィッチの撃墜数は軍令部の方針で、1943年以降は公式な記録が残っておらず、統合戦闘航空団への派遣と勤務で不都合が生じた。自己申告スコアを公認化するしかなかったが、信憑性が低いとされたため、ダイ・アナザー・デイ以降、撃墜数の表彰は公式記録の残る『陸軍系のウィッチの独壇場』と化し、海軍の沽券に関わる事態になった。そして、1947年に発表された芳佳の空軍移籍の表明が最大の打撃となった。

 

「日本海軍って、撃墜王って公に言うと、上にしごかれたり、使い潰される風潮があって、嫌いなんだよね。艦艇より航空部隊が息苦しいってどうよ?」

 

それが本音であった。上官の坂本の手前、公言してこなかったが、移籍後は遠慮なく、公に発言している。

 

「なんか大変だね」

 

「兵科将校じゃないから、見下されることもあったからね。移籍の話は前もって受けてたんだけど、上官の人がいい人でね。あれこれ便宜を図ってくれるから、悪くて、正式に移るのを先延ばししてきたけど、世帯持ったのを大義名分にしたんだ」

 

「え、結婚してるの?」

 

「親父の助手だった人とね。子供もいるよ」

 

「子供ぉ!?」

 

驚くキュアドリームB。芳佳(キュアハッピー)は既に子も儲けていると明言する。(1950年頃に第二子を妊娠するが、それが戦士としての後継者に成長していく『剴子』である。なお、一族の通字である『~佳』は長女が受け継いだため、芳佳の才能は子供たちには分割して受け継がれたことになる)なお、夫の吾郎技師は妻の後ろ盾もあり、この時期には宮菱の若手技師のホープと見なされ、時代ごとに新機軸を多く持つ戦闘機を手掛けていく。

 

「だって、いる時代が大戦中の頃だよ?そのくらいなら、20の前半で子供産むの、ごく当たり前だよ」

 

「それもそっか」

 

芳佳は1949年の段階では、20代に突入する。宮藤家の血筋のおかげで、元から『出産後もシールドも問題なく張れる』。プリキュア化後は生前と違い、角谷杏要素の強い人格になっているために、飄々とした態度である。

 

「こっちののぞみちゃんも結婚してて、子供作ろうかって話してるけど、当分は先になりそうだね。両方とも、忙しいし」

 

「なんで?」

 

「共働きだし、両方が戦う仕事してりゃねぇ。それどころじゃないって。私なんて、軍の医者だから、暇なときは暇だけど」

 

「プリキュアにはなれるんだよね?」

 

「とーぜん。まぁ、まともな単独の武器はないままだけどねー」

 

現役時の能力に+αがついたプリキュアは少数であるが、その中に自分(キュアハッピー)は含まれていない事を自虐気味に明言した芳佳。キュアピーチも仮面ライダーアギトと同種の力(アギトの力)に目覚めているため、アギトの武器と技を使えるようになっているし、キュアハートはどこから見つけてきたのか、冷艶鋸(青龍偃月刀)をデザリアム戦役以降に用い始めているなど、生前とかけ離れてきている者も生じている。

 

「マナちゃんなんて、冷艶鋸なんて、どこから見つけてきたんだか」

 

「冷艶鋸?」

 

「中国の英雄だった関羽雲長が持ってたとされてる青龍刀のことだよ。マナちゃんったら、それをどこかで見つけてきて、使ってるんだから」

 

「ひょえ~……」

 

「と、まぁ、そんな感じ。マナちゃんなんて、昔とキャラが違うとこも多くなってきてるよ」

 

相田マナは素体である逸見エリカの持っていた荒っぽさが表れてきたらしく、現役時代より荒事をするのに躊躇しないところが生じているため、そう評された。最も、キュアメロディ(北条響)も、生前よりかなりガサツな性格になっているが。

 

「芳佳、外の状況は?」

 

「敵が戦闘ヘリを持ち出してきたから、陸戦部隊は動けない状態。今、その掃討中。ソ連型の現用機だから、連合軍の手に余るし」

 

「どこから手に入れたのかしら」

 

「東独からの横流しだろうね。今、携帯式対空ミサイルの調達の命令が正式に出たよ」

 

「こりゃ長引くわね…」

 

遠征は敵軍の予想外の近代兵器による攻撃により、新たな局面を迎えたらしい。戦闘ヘリは連合軍では組織的運用に至っていないため、機甲部隊の重大な脅威になっていることでもあるが、敵の重戦車の壁を一週間も突破できていないなど、不手際を露呈している。これは連合軍がMSを恐れていることも大きいが、M48の火砲をヤークトティーガーなどが寄せ付けないためでもあった。

 

 

「あのさ、どういう状況なのさ、そもそも」

 

「そこから説明するけど、かなり時間かかるよ?」

 

「まぁ、暇だし、いいよ。ところで、うちのおかーさんたちには?」

 

「映画撮影って言っといてある。それに、ラブやマナはプリキュアだって事は知られてるから」

 

「あ、そっか。あの二人の代は隠してないんだっけ」

 

「ラブたちは最終決戦で明かしたけどね。だから、一応、共同の映画撮影ってことにしてある」

 

「敵も律儀に付き合ってくれてるのが、奇妙な協力関係といおうか」

 

プリキュア5のいた街は洋風の街並みがあること、旧華族の保養地であった記録から、元々は明治期~昭和戦前期まで、華族が別荘を構えていた別荘地であった事が判明している。そこを敵味方共に利用し、映画撮影という奇妙な協定のもとに戦闘をしている。

 

「悪の組織にしては、やけに律儀じゃない?」

 

「妙に律儀なんだ、連中。なんでも、1974年くらいに、ライダーマンさんに達筆な年賀状を送ったとか?」

 

「え、1974年?」

 

「ほら、仮面ライダーのみなさんって、みんなが改造人間だし」

 

「あ、そっか」

 

仮面ライダー(昭和ライダー)は改造人間であるため、そう言われて納得した様子のキュアドリームB。ほっと一息つく、りんAと芳佳だった。

 

 

 

 

 

 

――未来世界で霧散し始めたネオ・ジオン残党は次第にティターンズ残党と利害関係の一致から手を組むようになり、反連邦勢力の急先鋒になりつつあった。その黒幕はバダンであり、巡り巡って、ナチス残党が地球連邦政府の根幹となる日本と対立する構図へなりつつある。のび太の時代にも、その余波が届きつつあった――

 

「あんた、どこでバイクのテクを!?」

 

「お前のトレーナーから習った!」

 

「はぁ!?あいつから!?」

 

「ゴチャゴチャと説明してられん!とにかく、そういうことだ!!」

 

ブライアンはタイシンにそう答え、巧みな運転で、ショッカー戦闘員のバイクの一台を振り切る。

 

「一台は振り切ったか……」

 

「あいつら、たしか……」

 

「ショッカーの戦闘員だ。話には聞いていたが、生き残りがいたのか、それとも、魔方陣であの世から蘇らせたのか…」

 

「仮面ライダー一号と二号を作った組織じゃなかった?」

 

「そうだ。途中でゲルショッカーに再編されたというが……今更、ショッカーなど……妙だな」

 

 

そこが引っかかる二人。ショッカーなど、有に半世紀も昔、仮面ライダー一号と二号に壊滅させられた事は聞かされているため、その残党にしては、妙である。

 

「後続のゲルショッカーに残党狩りされてるから、生き残りはいても、ごくわずかだし、忠誠心などはないはずだぞ」

 

「じゃ、あいつらはなんなのよ」

 

「バダンがそんじょそこらの連中を拉致って、洗脳で仕立て上げたんだろうさ。ホムンクルスを造るにしても、金がかかるし、簡易な改造人間にしても、同じだそうだ」

 

歴代組織の戦闘員で優秀な者は怪人の素体にされるか、親衛隊の勤務、あるいは科学班に回される。だが、大半は雑兵扱いで使い捨てられる。ゲルショッカーは戦闘員の体の維持に投薬を要するようにしたが、問題も多かったため、結局は市井の人間の拉致と洗脳に回帰している。組織は末端の雑兵をロボットにしたり、ホムンクルスで賄うなどの方策を考えたが、結局は洗脳と手玉に取っての労働ののほうがコストパフォマンスがいいとしたようである。

 

「なんか、世知辛いわね」

 

「悪の組織というのは、大規模な行動は控えていることも多いからな。それに、大元がナチスの残党だというからな」

 

「ガチなの?」

 

「そうだ。実際に、幹部達はドイツ軍の将校だった連中が多いそうだ」

 

 

死神博士、ゾル大佐、ゼネラルモンスター、ドクトルGなどはかつて、ドイツ軍に在籍していた。ブラック将軍は帝政ロシアの将軍であった経歴を持つなど、ドイツ軍や帝政ロシアとの繋がりがある。しかし、元々はナチスの残党であるバダンに帝政ロシアの将軍がいたり、後年の民族紛争での勇士がいるのか?それは謎である。だが、新陳代謝を兼ねて、時代ごとに、人材勧誘を首領自ら行っていたと思われる情報もある。

 

「どうする?」

 

「あいつらを撒くしかないが、何かないか………ん、これは!」

 

ハンドルにウインカーなどと別に、何かのスイッチがある事に気づいたブライアンは、それを押してみる。すると、フロントカウルのウイングが展開され、ロケットブースターが点火される。計器盤には『飛行モード』のスイッチが入ったという表示が出ている。

 

「そうか!……タイシン、多少怖いが、掴まっていろ!」

 

「うわっ!?」

 

ブライアン(体はキュアドリーム)はハリケーン号を数秒間ほど、ウイリー走行させつつ、そのまま、ウイングについているロケットブースターを点火。一気に空へ舞い上がる。昭和ライダーの少なからずは自分に飛行能力がないのを補う目的か、オートバイに飛行能力がある。ハリケーン号は新サイクロン号に不足していた『空中での行動力』を補うため、組織が試作していたロケットブースターの試作品を二号が強奪し、一号が取り付けた経緯がある。オートバイ本体は堅実に、新サイクロン号の発展型らしい、流麗なフォルムを有する。ハリケーン号はつまり、かの立花藤兵衛が生み出したライダーマシンの第二作(新サイクロン号が処女作)にあたる。10時間の使用限界時間があるが、それだけあれば通常は充分である。

 

「と、飛んでる!?」

 

「どうやら、仮面ライダー達はバイクに飛行能力を持たせてる場合があるらしいな」

 

「どうコントロールすんのよ!?車輪は無用の長物じゃないの!」

 

「落ち着け。ハンドルがウイングのフラップと後部の尾翼に連動するように切り替わった。飛行機の要領だ。水陸両用車みたいなもんだ」

 

「それとこれは違うでしょーが!?」

 

大パニックのタイシンと、冷静なブライアン。縁戚関係にあたるため、フランクな関係であるのがわかる。(世界線によっては、ブライアンは敬語を使うが、ドラえもん達の接触した世界線では『縁戚関係』が明確になっているためか、ブライアンはタメ口を聞いている)

 

「ガキの頃から変わらんな、お前は」

 

「るっさい!あんたのほーが年下っしょーが」

 

若干、拗ねたタイシン。年下にリーダー風を吹かせられたのは一度や二度ではないが、縁戚関係にあり、なおかつ、ブライアンが遥かに立場が上である(三冠経験者+生徒会副会長)ことには思うところが多々あるらしい。

 

「……それにさ、いくら、会長が約束したたらって、あんたまで入れ替わる必要あったの?」

 

「やれやれ。羨ましいのか?」

 

「バッ……ちが、違うからね!?」

 

「お前、素直になったらどうだ?」

 

「~~!!」

 

タイシンもなんだかんだで、プリキュアと入れ替われたブライアンが羨ましいようで、赤面している。指摘されて、かぁっと赤くなるあたり、図星なようだった。

 

「ころばし屋は手強い相手だが、それを『そうなる』ように仕向けた奴をタイムパトロールが調べている。意外に強大なバックがあるかもしれん」

 

「え、個人的な怨恨じゃ?」

 

「第一報の時点では、タイムパトロールもそう見ていたが、調査が進むと、骨川家の中でも変わり者だったという、アレの開発者は一族からの支援は殆どなく、どこかから資金援助を受けていたらしい事がわかったそうだ。いくつもトンネルしていて、詳細はまだわからんが、その時代に生まれた『反統合同盟』が怪しいらしい」

 

「反統合同盟?」

 

「ドラえもんのいる時代は宇宙進出をしていた最初の時代で、日英を中心に『地球連邦』の構想が発表された。だが、統合で画一化され、それぞれの民族の固有アイデンティティを失うことを危惧する国々は多く、それらが日英の連合に対抗するためのネットワークを築いたのが起源だそうだ。日英連合が地球連邦の設立を急いだ背景には、宇宙戦争の時代が来ることを知っていたことが挙げられるそうだ。だが、結局は二つの連合体が戦争をすることになったが、あまりに長くやりすぎて、終わり頃には、双方の連合が大義名分を忘却していた。完全に終わったのは、地球連邦ができてから数十年も経った頃らしい」

 

「不毛な争いだったわけね」

 

「まぁ、地球連邦になって、世代が進めば、地域国家時代の言語は使われなくなるからな。それが怖かったんだろうな。その始まりの時代だからな、ドラえもんの故郷の時代は」

 

ブライアンも、ドラえもんのいる時代が反統合同盟の黎明期にあたることを聞いていたらしい。そして、それがひみつ道具時代を終わらせてしまう原因であることも。

 

「これなら、連中を振り切れる。さぁ、いくぞ」

 

「待って。これ、運転免許どうなの?」

 

「バイクのでいいだろ?本当にバイクなんだから」

 

「そりゃそうだけど……」

 

仮面ライダーのオートバイは『オートバイの形をした万能ビーグル』の体裁が強い。平成ライダー以降では、そもそも、バイクに乗っていない仮面ライダーもいるほどであるため、仮面ライダーに法律が追いつかない。ブライアンはキュアドリームの体を借りているが、言動などは普段のままなので、とても荒っぽい。とはいえ、普段よりは大人めである。一応は気を使っている事が窺える。ブライアンはアクセルを吹かし、ハリケーンのウイングについているロケットブースターの出力を上げ、戦闘員らを振り切るのだった。

 

 


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