ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回は前半がウィッチ世界の1947年の出来事、後半が前回の続きになります。


第三百八十一話「1947年の一コマと、エアグルーヴの戸惑い」

――ダイ・アナザー・デイで使われた重MSは史実で試作されるはずのいくつかの兵器の代替扱いで用いられた。特に、試作の自走榴弾砲であった『T92 240mm自走榴弾砲』は予備部品の調達が不可能となったため、武器庫の肥やしにされ、その代わりに、ジム・キャノンⅡや量産型ガンキャノンの残存機が近代化改修の後に『砲兵』代わりに投入された。戦艦級の火力に機動力が伴うことはリベリオン軍には脅威そのもの。連合軍が機甲兵器不足ながら、圧倒的な敵に立ち向かえた要因の一つだ。それよりも上位の機体も投入された。怪異対策の一環である。また、等身大サイズにダウンサイジング化されたMSの武装も投入された。数の劣位を覆すためだ。64Fのみの特権であったものの、ビーム兵器を歩兵が扱えるというのは大いなるメリットであった――

 

 

――ティターンズは地上飛行試験のために保有していた『ガンダムTR-6』を投入したものの、それすら玩具扱いのスーパーロボット『マジンエンペラーG』、『ゴッドマーズ』などの存在により、為す術もなく破壊され、残骸の回収作業が数年後に行われた。肥大化したモビルアーマーであり、かつて、ティターンズが否定したはずのRX-78GP03と同じように『巨大化しただけ』の代物な上、技術的に旧世代化していたこと、光子力やゲッター線の化身ともいえる『魔神皇帝』、『真なるゲッターロボ』などの前では、玩具に等しかったのだ――

 

 

 

――1947年の欧州――

 

「ガンダムTRシリーズの残骸の回収か。妄執の跡って奴だな」

 

「人格憑依とかの危ない実験の産物らしいが、根本がグリプス戦役の時の技術レベルの代物だから、眉唾もんだ」

 

マジンエンペラーGに撃墜された個体は『サンダーボルトブレーカー』の直撃で焼かれ、墜落、擱座したようで、複数のプロトゲッター3が共同で運搬作業を行っていた。この頃には、ガリア、ヒスパニアの両軍は有名無名化していたし、100m以上の大きさの機体を運搬できる重機など、1940年代にあるはずはない。そのため、プロトゲッター(初代ゲッターロボの試作モデル)を重機として使う形で運搬し、輸送機に載せていた。

 

「ティターンズは恐れてたっていうが」

 

「何をだ」

 

「ZZとSだよ。あれが完成されて、カミーユさんクラスのニュータイプに乗られたら、普通の人間じゃ、どう逆立ちしたって勝てん。だから、強化人間をデンドロビウムの親戚みたいなのに乗せたがったそうだが…実際には強化人間は第二次ネオ・ジオン戦争の『ギュネイ・ガス』の頃じゃないと、兵士として使い物にならなかったそうだ」

 

ティターンズは諜報部門の力を使い、ZZとSといった『次世代型のZ系』の存在を察知し、その力を異常に恐れた。故に、ガンダムTRシリーズの開発目的を変質させてまで、決戦兵器にこだわった。だが、実際にはZガンダムにパプティマス・シロッコが打倒され、コロニーレーザーで宇宙艦隊の9割を撃沈される結果で終わったのは有名である。

 

「21世紀のフィクションが未来で実際に起こるなんて、SFみたいな話だな」

 

「そこがミソだ。たぶん、そのことが23世紀の世界が、21世紀の世界に『地続き』という事を明確には告げていない理由なんだろう。しかも、21世紀から『そう遠くない』時間に波動エンジンに至るなんて、信じられないだろうよ」

 

連合軍の高官らは21世紀から、どこをどうしたら、あの未来世界に至るのかが不思議なようである。一寸先は闇とは、よく言ったものだ。

 

「しかし、最終兵器か。決戦兵器というのはよく聞くが」

 

「だが、結局はZに倒されてたと思うぜ?カミーユさんの能力を以てすれば、機体の制御を奪うことは簡単な事だしな」

 

カミーユのニュータイプ能力は、歴代のニュータイプでも最高とされている。バイオセンサーを積んでいるとはいえ、サイコフレーム無しの機体で『それに匹敵しうる奇跡』を実現し得たことは特筆に値する。より優れたサイコミュシステムであるサイコフレームの登場後はバイオセンサーの使用は縮小されたが、ニュータイプパイロットへの対応策として有効なため、地球連邦の機動兵器の標準装備と化していくのだ。

 

「Zガンダムか。ウルスラ中尉は変形の複雑さを不思議がっていたぞ」

 

「ウォーロックより複雑な可変機構だからな。まー、Z系はウェーブライダーありきで設計されたから、元々はチャンバラは避けるのが吉な特性だったんだが、カミーユさんたちがしまくったから、要望があって、素材技術の進歩でOKになったってくらいの強度だ。ダブルゼータが頑丈なだけだけどな」

 

「あれは正式には違うそうだな」

 

「元々は機動要塞的な巨大兵器の候補だった設計をダウンサイジングした代物らしいからな。表向きはZの発展型ってされてるが、実際には別系統の機体をそう宣伝しただけっていう話もあるくらいに、共通点がない」

 

「Zをスマートなスポーツカーとすんなら、ZZはだな、一時に米国で人気だったってゆー、大馬力のマッスルカーみたいなもんだと思う。コンセプトが全然ちげーから」

 

黒江は1947年当時、既に中将の位。本来なら、一方面軍の司令官でいいくらいだが、クーデター後の扶桑での『貴重なエースパイロット』であることや『本人の戦闘能力を活かすほうが有益である』という理由もあり、将官に昇進済みであるのに『第一線の戦士であり続けている』。日本連邦ではこんな事例は珍しくなく、大佐で留め置かれていた者たちが一斉に准将位の創設と共に昇進したため、『将官が第一線のパイロットである』ことが多くなっていた。

 

 

 

 

 

 

――なお、扶桑の『准将』という階級は特殊な経緯で設けられた階級だ。元々は黒江が自衛隊で指揮幕僚課程を修了し、将補になっていた事が扶桑軍に通知された上、統括官への就任で昇任したため、自衛隊の制服組最高位の階級である『将』になってしまった事、扶桑軍で『皇族以外のウィッチ出身軍人は佐官を実質的な最高位とする』慣習があったためだ。昭和天皇の時代には、皇室すら忘れかけていたものだが、慣習破りを良しとしない扶桑軍は職責だけを引き上げる『代将』で済まそうとしたが、名実共に自衛隊の最高位の階級になっている上、昭和天皇が口約束で『少将への昇進』を黒江の前で交わしていた事に震撼。結局は(天皇の言葉は絶対に反故にはできないため)『友邦の例に習い……』という言い訳で准将という階級が生まれ、『現場に優秀な軍人を置くため』に活用された。だが、黒江はそこから更に戦功を積んだため、階級は余計に上がったが、やることは変わっていない状態である。日本人はドイツ人よりも現場主義を尊ぶため、黒江たちのような『パイロット出身の将官』は好まれる。しかも、たいていの場合は『昔取った杵柄』なのに対し、ガランドと同じく『現役のエースパイロット』。そこも大衆に人気がある理由だった――

 

 

「君達が政治的な理由で昇進しただろ?そのおかげで、参謀コースにいかない連中が増えたというが」

 

「日本じゃ、太平洋戦争での失態が理由で、無能の象徴みたいに扱われてるかんな。だが、参謀も一定数いないと、組織は回らん。辻や『神がかり』みたいなエキセントリックなのがのさばったから、向こうの日本は負けどころも見定められなかったのさ。そのトラウマで、参謀や近衛師団の若手が前線送りになったが」

 

「政治的だな」

 

「大本営も廃止されて、統合参謀本部にされるくらい、戦前日本の要素は排除されてるからな。直に、陸軍の軍服も、陸自と同一のデザインに変えられて、戦闘服も決まるだろうよ」

 

実際に、1947年以降にそれらの改革が形になり、扶桑陸軍の制度や風土は陸自に近づけられていくが、自衛隊と違い、恩給制度などの福利厚生が手厚いため、扶桑軍への出向でその対象になることを望む者も多い。自衛隊はそういった引退後の福利厚生は総じて手薄なため、扶桑軍人は羨ましがられた。また、クーデター後は無用なトラブルを防ぐため、『扶桑の士官と判別できるものを身に着けることが前提だが、特別に日本で帯刀が許されている』。また、機甲兵器の配備が進んだのは、航空兵器の分の予算が浮いたからで、そこはしょうもないところである。とはいえ、軍服の変更は部内の反発もあり、すぐにはできず、旧軍服での勤務も『1945年時点で入隊済みの軍人』に限って認められるなど、混乱が残った。

 

「できるのか?」

 

「今度の戦争が終わんなきゃ、無理だろうな。昔気質の連中が反対してるからな。江藤隊長が聖上に咎められて、冷や汗タラタラだったと言うが、お前らのところの教育がなってないせいでもある」

 

「すまん。こちらとしても、予想外だったのだ。まさか、君らの武勇を知らんとはな。こちらの不手際だ。陛下には、既に外交団が正式に謝罪し、新聞やラジオでも大々的に報じさせた。皇帝陛下も扶桑向けの声明で謝罪なされた」

 

「間一髪だ。あと数時間遅けりゃ、大使館が大衆に焼き討ちされてた。扶桑の大衆は熱しやすいからな。そこは気をつけてくれ」

 

「うむ…。厳罰の体裁で発表したが、中尉に降格させても良かったんだぞ?」

 

「ノイマン大佐の一件で、現場が萎縮してたからな。パットンも、戦時階級の剥奪という形にしたほうが混乱を招かないと判断したのさ。一応、戦時階級っていう規則は生きてたからな。そっちの政府も、扶桑と外交問題になって、経済制裁を受けるよりは、一人の士官に泥をかぶってもらうほうがマシと考えたんだろう」

 

ミーナの処分については、最終的に「皇帝のお気に入りだし、実力で中佐になった叩き上げだ。中佐というのは『戦時階級だった』という体裁で済まそう」との穏便かつ寛大なもので決着した。これはカールスラント皇帝自らの謝罪があったり、統合戦闘航空団の運営権放棄などが合わせて発表されたからだ。扶桑のクーデターがごく短期間で終わったのは、カールスラント皇帝の一世一代の謝罪があったからだ。

 

「ドイツへの脅しは?」

 

「うまくいったよ。マジンガーZとグレンダイザーをベルリンに立たせて、宇宙戦艦を一隻浮かべただけだが。だが、その分、腹いせにカールスラント皇室親衛隊の解体が決まったが」

 

「それは撤回されたよ。人員が組織に入ってしまう事例が出たんでな。儀仗部隊への改編、除隊者への恩給の支給と引き換えに、一定期間の福祉への奉仕が義務づけられた」

 

「ドイツにしては穏便だな」

 

「君らの脅しが効いたんだろう。日本が一体化に成功したのが羨ましいんだろうさ」

 

ロンメルは運搬作業を見届けながら、そう漏らす。皇室親衛隊は実戦部隊としては解散され、儀仗部隊に改編。装備は一般部隊へ供出などの措置に落ち着いた。これは身分を奪われた人員がマフィアのみならず、反政府組織になってしまう事になる社会問題の発生、カールスラントの疎開先の荒廃は地政学的な意味での地域の安全を損ねる事になるからで、そのリスクを大きくしたからであった。また、王室への忠誠心が自国への憎しみに転化してしまった例があるため、妥協的に決まった措置だと強調した。その混乱により、カールスラントは軍事的に零落しつつある。立て直しは図られたものの、優秀な軍人は大半が日本連邦の義勇兵になっており、現在の将官達は10年以内に退官を余儀なくされる。日本連邦が半分は名誉的意味合いで元帥位を存続させるのが羨ましいようである。カールスラントでは元帥は廃止される予定ではあったが、国土奪還戦を戦う上での必要故に置かれていた階級なので、士気の維持のために『当面の維持』の結論が出るのだ。

 

「日本はわきまえているよ、まだな」

 

「まー、戦争に負けてない以上、現地の社会構造にまで手をつける必要はないよ。日本もそこはわかったよ。華族身分の解体の是非は扶桑の人々が決めることだからな。ドイツはやりすぎたんだよ」

 

扶桑はウィッチ確保と皇族の安定性の担保という意味合いもあり、『名誉階級』化は進むものの、華族という身分という形を存続させていく。ドイツは有無を言わさずにやったので、想定外の結果を招いたのだ。結果、カールスラント国家の存亡の危機を招き、結局はノイエ・カールスラントはNATOの軍政下に置かれ、当面はその統治下に置かれる。

 

「まぁ、雇用の崩壊が混乱のもとだし、ドイツは東西に分かれた時期がある。それを持ち込んだ結果だから。連中が戦艦を馬鹿にするからだよ、水兵の反乱が全ての始まりだから」

 

「戦艦ポチョムキンの二の舞い、か。そちらは?」

 

「駆逐艦や巡洋艦を強化しないと、艦隊にならないくらいに強化しちまったよ。長門以前を退役させたのは、足が遅いからさ。紀伊型もそうするはずだったが、伊勢の代わりに、航空戦艦の試験に回された。10年以内の艦齢だったしな、史実と違って」

 

「キイか…。八八艦隊の名残りだろ?」

 

「まーな。超大和型戦艦じゃないってことで、すごくがっかりされたのに、造船官は怒ってたがな。井上さんの反対で、超大和はペーパープランだったのが、ヒンデンブルク号の登場で一気に具体化したから、あれの存在は一気に希薄になったが」

 

紀伊型戦艦は八八艦隊の残滓であったがため、1930年代の造艦にも関わず、ダイ・アナザー・デイで戦力外通告を受け、当初は全艦が解体の予定だった。だが、艦齢が古く、老朽化も進む伊勢型に代わって、航空戦艦化のテストに回されることになった。未来世界ではそれがトレンドだからだ。仮想戦記のようなV字滑走路などは滑走路の強度、戦艦としての機能面から断念。(収容式にする案もあったり、アングルド・デッキを後部に設ける案もあったが、垂直着陸が可能なコア・ファイターを用いる事が決まったため、そこまでの航空艤装は求められなかった)史実伊勢型のそれを改良し、着艦可能なようにしたものが採用見込みである。

 

「君たちの国は未来技術の使用も可能だからな。羨ましいかぎりだ」

 

「アメリカ相当の国と戦うんだ。普通はジリ貧だからな。チートを多用して、やっとトントン。良くてな。それほどの国力がある」

 

黒江はこの時にロンメルへ明言したが、戦争は長丁場となり、1949年になって、やっと攻勢の限度が議論されるほどの遅さである。そこが日本連邦の政治的束縛の強さであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――それから時間は進み――

 

「夢原女史。ブライアンは何故、貴方と体を入れ替えに?」

 

「お互いに似たところがあったし、ルドルフちゃんが交わしたっていう約束のこともあるから、体を貸したわけ。能力は全部使えるから、役立ったと思うよ」

 

ブライアンは怪我をした(関節炎の発症とは別)後は必ず不振に陥る自分に自己嫌悪を覚えていたため、その不安を払拭するために(処置を受けてもあった)キュアドリームの体を借りた。ブライアンはゴルシ経由で技を把握していたためと、自身が元から護身術を嗜んでいたため、のぞみと遜色ない戦闘を披露している。

 

「でも、本当は活躍した時代が10年はずれてるはずだよね、ルドルフちゃんとは」

 

「前世…というべきでしょうか…では。ウマ娘としては、数歳程度の差です。ですが、全盛期の会長の走りは……見るものを圧倒しました。幼き頃のテイオーがそうだったように。私は母がオークスの優勝経験者だったので、それが原体験ですが。ブライアンは……子供の頃に、オグリ先輩の走りを見たことがきっかけの一つだと」

 

それはオグリとタマモの歴史改変による結果でもあるが、子供の頃、才能がありすぎて、どのトレーニングスクールも合わずに追い出されてきたブライアンにとって、『異次元の強さで海外ウマ娘と戦う』オグリとタマモの姿は輝いて見えた。それがブライアンの道標となり、ルドルフの後継ぎを期待されるに至った。

 

「まさか、それがオグリ先輩らの歴史改変の結果とは。タイムマシンを用いたのですか?」

 

「報告は受けてる。ドラえもんくんの時代に確立された理論だけど、よほどの特異点が存在しない限り、歴史は分岐していく。しかも行った当事者は記憶を持つままでね」

 

「それをおふた方(オグリとタマモはエアグルーヴより先輩であるため)は使用なされたと」

 

「うん。変えたいことがあったからだと言ってた。それが『ある年のジャパンカップ』だったそうだよ」

 

「それでは、おふた方は当時の自分と入れ替わり、レースに出たと」

 

「そういうこと。能力が完成されてるから、その時、本当は勝つはずの海外のウマ娘に勝つのは簡単な事だからね」

 

「『領域』をおふた方は…!?」

 

「そう。全盛期の体に『成熟した精神』が乗っかってる状態だから、それを重ねがけして、下したそうだよ」

 

「なんと……。よろしいのですか?」

 

「その一年後のジャパンカップは、ちゃんとあなたの知る結果になってるように、帳尻合わせはちゃんとされてる。ライバルの引退時期を延ばしたらしいけどね」

 

エアグルーヴはここで、自分の知る『ある年のジャパンカップ』の結果と、資料での結果が違っている事の種明かしを、キュアドリームからされた。オグリとタマモがタイムマシンで過去に行き、レース結果を覆したことを。

 

「しかし、キリがありませんよ」

 

「うん。だから、ゴルシちゃんも即答は控えたそうでね。あなた達クラスのウマ娘にもなると、悔やんでるレースの一個や二個はあるだろうし」

 

「……ええ。私は秋華賞ですね…。ある『無粋な輩』が、私に向けて、カメラのフラッシュを炊きましてね。私は動揺してしまい、無様な姿を後輩(メジロドーベル)の前で晒してしまった…。できれば、やり直したい。さすれば、私はメジロラモーヌ先輩以来の……」

 

エアグルーヴは出身世界で桜花賞を制することができたため、史実より格上である『二冠ウマ娘』である。だが、秋華賞は史実通りに『無知な観客の炊いたカメラのフラッシュ』に晒され、自身のトラウマである落雷への恐怖が誘発され、後輩のメジロドーベルの前で大敗した上、骨折が判明し、療養するしかなかったなど、散々な目にあった。それが最大の悔いであると吐露する。

 

「よく考えるんだね。歴史に手をつける事になるから」

 

「テイオーやブライアンはこれからの自分に希望を見いだせたからこそ、先の道を歩んだ。オグリ先輩とタマモ先輩は悔やんでいることを取り返すために。私は……」

 

「名誉は後で言われるものも多い。三冠の栄光も一時の儚いものだと、ルドルフちゃんとブライアンちゃんは言ってたよ。次の世代が現れれば、大衆は興味を失うと」

 

「ええ。私は女帝と言われていますが……絶対能力では、友人のサイレンススズカには及びません。そんな私がトリプルティアラという名誉に…。考えさせてください」

 

「それがいいよ。あ、直にゴルシちゃんの同期の『ジェンティルドンナ』ちゃんがそれを取る事は伝えておくよ」

 

「ああ、ゴールドシップの同期の……彼女が?」

 

「うん。ゴルシちゃんは『あいつは女じゃねーよ!アマさんタイプだけど…』って」

 

「根に持っとるな…。模擬レースで負けた事を」

 

半分呆れ顔になるエアグルーヴ。ゴルシの同期で、エアグルーヴとヒシアマゾンに憧れている『ジェンティルドンナ』。彼女の高い素質はヒシアマゾンとエアグルーヴも認めているが、『次の代のトリプルティアラ保持者』になることが運命づけられていると伝えられ、にわかに声が上ずった。

 

「あの子が……そうですか…。」

 

「トリプルティアラは呪いにも近い称号と言われるそうでね。史実だと、メジロラモーヌもだけど、達成した後は惨敗続きだったことも多い。ジェンティルドンナはその呪いを破った二例目になる。だから、強さはゴルシちゃんが保証してるよ」 

 

「奴はちゃらんぽらんな割に、レースを分析する事は定評がある…。根に持っとる割に、あの子をよく観察している……」

 

ゴルシは分析の名手でもあるため、気配りもきちんとこなせる。故に、テイオーが生徒会に招いたのもわかる。ジェンティルドンナの事はゴールドシップ自身がレースで負けたのを根に持ったためか、かなり嫌っているような口ぶりだが、その実力を正当に評価する冷静さも見せている。こうして、エアグルーヴはゴールドシップの真価の見定めに苦労してゆくのだった。

 

 

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