ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回はルドルフのある一日が舞台で、前回より時系列は前です。


第三百八十一.二話「シンボリルドルフのとある一日」

――ゲッターエンペラーがシリウス星系の移民から『力』を奪った背景には『彼の地は地球を破滅に追い込む可能性があった』からであった。現に、シリウス星系は『宇宙怪獣とはぐれゼントラーディの対策』の名目でかなりの軍備を蓄えていた。だが、それらはゲッターエンペラーによって無に帰され、再構築されたシリウス星系には、配下のゲッター艦隊が監視のために進駐した。ゲッターエンペラーの『破壊と創造』を目の当たりにした人々は『地球に手出しすれば、自分達に破滅が訪れる』ことを理解。以後は地球連邦の一構成星系に立ち帰る。この事件は明確にゲッターエンペラーが過去に介入した初の事件であることを秘匿する意図もあり『シリウス事件』という名が与えられた。ゲッターエンペラーは平行世界のどこかに『シリウスの人間たちが地球を虐殺し、死の惑星に変えてしまう』可能性があることを察知し、その芽を摘み取るために行動を起こした。ゲッターエンペラーの行動は結果的に、『ゲッターエンペラーの行動を抑えようとする勢力』主導の『人類の政治経済の中心部の地球外への移動』を促進させ、月や火星が実質的な地球連邦主星のバックアップとして機能していくことになる。また、植民惑星と移民船団の権利拡大が(第二のシリウスを出さないために)促進されてゆくが、それを地球による飼い殺しと断ずる者たちは発生するもので、24世紀ごろに『セイレーン連邦』という星間国家として現れる。だが、そのセイレーン連邦も首脳陣の冷酷・非情・高慢が仇になり、第18代宇宙戦艦YAMATOが聖ワルキューレの炎を用い、セイレーン連邦の主力艦隊を破滅させたその日、『聖ワルキューレの意思』がセイレーン連邦の主星を滅亡に追いやったため、連鎖的に連邦そのものも崩壊してしまう結末を迎えたわけだ――

 

 

 

――2022年――

 

「これがこの世界の未来か」

 

「ここ1000年以内のな。地球にルーツがある人類の精神的統一が成功した理由が『ゲッターエンペラー』と歴代の宇宙戦艦ヤマトの抑止力ってのが皮肉なもんだが」

 

「宇宙戦艦ヤマトか。歴代とは?」

 

「初代ヤマトが檜舞台を降りた後の時代、ヤマトの名前が政治的に必要だったから、同型艦の一つをヤマトと同仕様に改装して、名を継がせたのが始まりで、三代目宇宙戦艦ヤマト以降は新造だそうだ」

 

ある日、シンボリルドルフは暇つぶしに、ドラえもんが提供した『宇宙完全大百科』を閲覧していた。ドラえもんらの協力で、23世紀以降の情報も加えられた状態で復旧(ジオンが『昔の人工衛星の残り』として攻撃もせずに放置していたものが宇宙完全大百科のデータバンクがある人工衛星であった。23世紀時に、データはギアナ高地内のコンピュータや月の主要都市のメインコンピュータに分散して移植され、ネットワークとされる形で復旧された)した。その中には、宇宙戦艦ヤマトのその後、その後継者らのデータもあった。段々と初代から形状がかけ離れていくが、18代目の活躍以降は初代への原点回帰が図られていくようで、初代ヤマトそのものの改造強化型『大ヤマト』が現れるまで、初代に形状を似せていくようだ。

 

「どうして、初代に回帰していったんだ?」

 

「政治的に象徴としての役目も担わされたからさ。多くの侵略宇宙人を撃滅した『ヤマト』は地球の不屈の精神の表れってなったんだそうでな。『ヤマト』って言葉の元来の意味知ってるの、いないんじゃないか?」

 

「おそらくな。地域国家時代の言葉の意味など、惑星全土が統一されれば、忘れ去られてゆくからな。未来では、仏語や伊語は衰退したというが」

 

地球連邦では主に英語や日本語が使われ、旧・反統合同盟の関係で、独・露などの言語が細々と使用されている。だが、仏語や伊語の使用者は『観光や映画撮影、料理用語に使用される以外に使用用途がなくなってきた』という理由で使用人口が減っている。文化保全のため、ネオ国家コロニーが作られたが、ジオン残党やエグム(旧エゥーゴの過激派)の攻撃対象になっていた。シャッフル同盟はその掃討も仕事の内である。

 

 

「しかし、この街の自警団だが、なぜ、日本軍のレシプロ軍用機を?」

 

「別世界のドイツ軍を追い出された連中が装備を持ち出して、この世界の学園都市を根城にしたんだ。あそこは警察がガサ入れしないから、この街と周りの街のいくつかが共同で、向こうの世界で退役したレシプロ機を買い取った。表向きは航空ショーに使うって事で」

 

「追い出された?」

 

「戦後のドイツにとっちゃ、戦前のナショナリズムに溢れた軍人なんてのは『邪魔者』だからな。西ドイツ軍に属した記録がある連中以外は排除して、多くは体の良いこと言って、介護の人員にさせるつもりだったとか。だから、それが漏れて、大問題。ついにはショッカーの元締め組織の下僕になったっつーわけ。ナチス残党の組織だから、ドイツは争い事のもと、なんてジョークも生まれたよ」

 

ゴルシの言うように、ドイツは致命的な施策ミスにより、カールスラントを滅亡寸前に追いやったどころか、国際的評判も最悪に落とした。その揺り返しを促したのがNATOな点で、戦後ドイツの過去への高慢さがわかる。(とはいえ、帝政ドイツが1940年代まで生き永らえた世界であったのは予想外だったと認め、帝政の存続は『立憲君主制への完全移行』を条件に認めた)カールスラントは1945年からの数年で国家基盤に至るまでがガタガタにされ、自力での本土奪還も泡と消えたことで、一気に内戦地帯化。完全な治安の回復は十数年後となるなど、混乱が続く。皇室親衛隊に至っては強引な解体の試みが災いし、人員の半数以上が組織に加入してしまうなど、日本にはた迷惑な事態となった。日本で『カールスラント軍崩れ』によるテロ行為が社会問題化してきていたため、自警団の結成が相次いでいた。その中でも、ススキヶ原のそれは軍隊経験者らによって鍛えられ、レシプロ機による航空自衛力も持つ。機材をジェット戦闘機に切り替える案もあるが、F-86であろうと、レシプロ機より運用設備の高度さが求められるため、2022年の時点では見送られているという。(扶桑仕様は史実と異なり、再燃焼装置が備えられているため)

 

「それで、自警団が空中戦を?」

 

「仕方ねーよ。敵がフル武装のメッサーシュミットやフォッケウルフを持ち出してくんだ。こっちも紫電改や雷電で対応するしかねーよ」

 

「海軍機しかないように聞こえるが」

 

「払い下げの品種の問題だ。疾風は史実と違う用途で作られてたのを史実通りに修正して生産したから、あと数年は使うそうで、払い下げはまだなんだそうだ」

 

「何故だ?」

 

「隼の後継に五式戦闘機が収まってた上、史実通りの用途に差し戻すのに時間がかかりすぎたんだ。でも、ラインが動いてたし、隼よりも古い機種も残ってたから、その都合で生産するしかなかったんだと。その頃には、お世辞にも高性能とはいえなくなってたというオチだ」

 

四式戦闘機はダイ・アナザー・デイ最末期に生産ラインがようやく稼働したが、前線に出回ることは殆どなかった。これは五式で充分に需要が満たされていたからだ。更に言えば、日本側が『機体設計に伸びしろのない疾風よりも、より新型のジェット戦闘機を配備したほうがいい』と判断した事も大きかった。だが、当時の扶桑の搭乗員の平均年齢は比較的に高めであったため、人員の世代交代が必要とされた。結局は鍾馗の代替機という触れ込みで配備されたわけだが、その頃には『より高性能のレシプロ戦闘機が敵に現れていた上、海軍系レシプロ戦闘機の集大成である陣風が出回っていた』のだ。陣風は初期型の時点でハ44のさらなる改良型『ハ44特』(離昇出力3000馬力)を積み、最終型は高出力ターボプロップエンジンに換装され、1949年でも現役を張っている』。それだけに、払い下げはまだされていない。紫電改や烈風はダイ・アナザー・デイで散々に実力を見せたため、ダイ・アナザー・デイ終了直後から退役が始まっている。それは『ダイ・アナザー・デイ中に使えればいい』という思考だからで、そこも日本型レシプロ機へ妙に冷たい日本の政治家たちの態度が見え隠れする。

 

「まぁ、二次大戦の頃は飛行機の革新期というが……」

 

「戦車よりマシなほーだな。まだ戦える分、な」

 

「それで、彼(のび太)がその一部を保有しているのか?」

 

「軍から試作機のテスト飛行と管理を委託されてるんだそうな。各国のな。それで地下がああなったんだとさ。地球連邦軍は地球連邦軍で、試作機が強奪される不祥事も多いし、日本は日本で、なにかかしらのゴタゴタの後は、悲観した誰かが焼きたがるから」

 

「いいのか?彼は、複数の時代と世界の仕事を引き受けていることに」

 

「まぁ、地球連邦は地域国家の承継国家と見なされるから、一応はいいそうだ。もちろん、公にできねぇもんもあるけどな」

 

「ゲッタードラゴンやゲッターロボD2、それと、ゲッターロボアークか」

 

「アークは地球連邦軍へは『試作中』って説明してるからな。隼人さんが送り込んだのは、平行世界の個体を修復したものだ。ドラゴンとD2は量産仕様じゃないけど、オリジナル機じゃないからって、説明がめんどーだそうだ」

 

野比家に格納されているゲッターロボのうち、ゲッタードラゴンは同型の仕様改良機、D2は量産前の仕様検討機である。隼人の構想するゲッター軍団の試金石ということで製作したが、ネイサー基地は正式には完成しておらず、工事中の有様なため、のび太に預かってもらっているというのが本当のところ。ゲッターロボはスターター代わりのゲッター炉心も必要なため、野比家地下にはスターター代わりの小型ゲッター炉心(ゲッター1のそれと同等の出力を持つスターター用の炉心)が設置されている。ゲッタードラゴン以降のゲッターは『起動させれば、エネルギー補給は比較的簡単だが、機体の起動に必要なエネルギーそのものは大きい』という難点があり、スターターを必要とする。そこは波動エンジンの始動と似ている。

 

「それが必要になるほどの事態は滅多に起こらないだろう?」

 

「普通はな。ジオン残党が戦中の未完成の兵器を完成させて、あのガキンチョの通ってた幼稚園をテロった時に、アークが駆けつけて、ぶっ飛ばした。真ゲッターと同クラスのゲッターなら、ジオンのモビルアーマーなんぞは敵じゃないしな」

 

「思うんだが、なぜ、彼とそのご子息が狙われる?」

 

「あいつらの子孫たちが反ジオン派だからさ。その時代の戦禍で亡くなった人も多い。地球連邦の良識派を支援してきた名家なのに、反連邦の自分達を敵と見なすことが気に入らないんだそうだ。本当はジオン・ダイクンの生きてた頃のパトロンの一つだったともいうけどな…」

 

 

野比家はジオン・ダイクンの存命中は彼のパトロンの一つであった。だが、ザビ家の台頭、ブリティッシュ作戦で一族に死者が多数出た事から、ジオンと袂を分かった。その経緯は当のジオン・ダイクンとその側近以外は知らないため、野比家にはジオン系勢力に目の敵にされているのだ。

 

「なんとも、それは…」

 

「あいつら(ジオン)は建国の父を支援してた家を攻撃してることになる。知ったら知ったらで逆恨みしてくるだろうが」

 

「彼等はなぜ、未来兵器でこの街を狙う?」

 

「自分達が消えるかもしれないが、ジオン勝利の可能性が出る。それを拠り所にしてんだ。だから、モビルアーマーやモビルスーツはまだいいが、宇宙戦艦に来られてみろ、この時代の兵器じゃ歯が立たない」

 

ジオン残党が戦艦級の艦艇を持ち出す事は実際に日本連邦でも懸念されているが、航空自衛隊や海上自衛隊の現有兵器では対処がほぼ不可能とされている(戦艦に相応しい重装甲を持っている場合、21世紀型のミサイルでは致命傷とはならない)。軍事を知らないわけではないが、その方面のオタクではない(ただし、現役時代の異名が『皇帝』であるのと、チェスを嗜む故、現役時代に勝負服と併せてのイメージづけのために、ある程度は知識を持つように教育されたが)ルドルフでも、簡単にそれは想像できる。ロボットアニメでやられ役とされやすい『宇宙戦艦』だが、実際はかなり強大な兵器である。ジオンの艦艇は『歴代ガンダムに一撃で撃沈される』ケースが多いため、脆弱なように勘違いされるが、ガンダムタイプとそれと同等の敵フラッグシップモデル(キュベレイなど)が異常なだけで、ジム系やザク系などの量産機を用いた場合は相応の機数と装備が必要となる。ジオンの量産機はエース機でもなければ、宇宙戦艦ヤマトやアンドロメダ級の対空砲火の突破は困難である。また、ジオン系の艦艇は後発艦でも、地球連邦軍の開発した『ショックカノン』などの大出力エネルギー砲は耐え難いのだが、それでも、21世紀の海上自衛隊と航空自衛隊のミサイル程度ではびくともしないだけの強度は持つ。

 

「だから、23世紀から戦艦が引き取られたんだと。アンドロメダ級が」

 

「なぜだ?」

 

「反地球側のヤマトクルーとのトラブル回避のためらしい。最も、波動エンジンや波動砲の原理が違うから、向こうでも問題になったんで、その代わりの船が開発中だそうだ。性能はいいんだがねぇ」

 

ゴルシも『地球連邦軍のアンドロメダ級にまつわるゴタゴタ劇』は知っており、その末路には同情しているようだった。もっとも、地球連邦軍はブルーノアやブリュンヒルトなどを経た後に『第二代宇宙戦艦ヤマト』を建造。それ以降は第十七代までが地球連邦軍の正規計画での軍艦。十八代以降は平和な時代が続くので、代替わりのスパンは長くなったという(なお、初代ヤマトが30世紀頃に『大ヤマト』という形で蘇るために、ナンバリングはどこかで打ち止めになったという)が。

 

「いいのか?仮にも、地球連邦軍が大金を費やして作ったのだろう?」

 

「政治家の取引の結果だから、軍はとやかくいえない。ヤマトの後継艦も候補に上がってるみてぇだが、当のヤマトがまだまだ元気だしなぁ」

 

地球連邦軍は理不尽な理由でアンドロメダ級を退役させられた後、あれこれと総旗艦の座につく戦艦を模索するが、地球の不屈の精神のシンボルとしての絶対性でヤマトの右に出るものはいないため、結局は『今後、ヤマトが何らかの理由で軍艦籍を喪失した場合、その代替となる『改ヤマト型宇宙戦艦を建造する』方針になる。その最終的な答えが『魔改造された初代ヤマトの後身』であるので、地球連邦軍の造船部局が『ヤマトのシンボル性を用兵側より理解していなかったのでは』と、第二代ヤマトの登場以降に世間から囁かれる事になるが、反地球側の(勘違い含む)不祥事と名誉に関わるためか、本当の理由は政治判断で、長らく秘匿されたという。

 

「それはかわいそうなことだな。艦の性能に問題はないのに」

 

「星間パトロールに払い下げにするにも、大仰な船だから、功労者の一族の私有物にしたほうが政治家たちとしても、説明が楽だったんだろう。もったいねえから、そのままの状態で使うことにしたんだそうだ。宇宙戦艦は本当は数十年は現役を張るもんだから」

 

「兵器は10年以上は使うものだからな」

 

「宇宙戦艦は技術革新で陳腐化が早いんだそうだが、マゼランとサラミスは星間パトロールで働いてるそうだし、主力戦艦級だって、あと数十年は使う。もったいねえからな」

 

「23世紀の星間パトロールがやけに重装備なのは、そのせいか」

 

「ジオンのザンジバルやチベ級が海賊になって襲いかかるのはザラだそうだし、過去にやっつけた宇宙人の生き残りが海賊化してることもある。それで、星間パトロールも重装備になってんだとさ。マゼランやサラミスは多くがそこに払い下げだそうな」

 

星間パトロールは地球連邦警察の管轄にある。装備も練度も『銀河連邦警察』に比して貧弱さが否めなかったが、過去に『マクー』、『マドー』、『フーマ』という悪の宇宙組織が銀河連邦と戦いを起こしていたことを知った地球連邦政府の手で強化され始めた。その端緒となったのがデザリアム戦役の直後の時代なのだ。

 

「21世紀にいて、それから200年後のことをいうのも、変な感じだな」

 

「まー、23世紀の連中も、もっと未来のゲッターエンペラーの動きにビクビクしてるところはあるから、そこはお互い様だな。アタシたちはアタシたちの道があるが、23世紀の連中は思いっきり悲惨だぜ?平和と戦争がこれから数百年ごとにやってきて、その度にヒーヒーいうことを知っちまったんだ。しかも、少なくとも一回は同胞同士の闘いなのが確定してんだ。上の連中としちゃ、頭が痛いだろうよ。どうやっても起こっちまうことになるんだから」

 

「恒星間国家になると、色々なものが噴出するからな。トレセン学園が地方に多くあった時代の後の統廃合と似ているよ」

 

「数回あったと言うが…」

 

「一つは戦後の廃止、もう一つは不景気の時代における廃止だよ。持ち直してきているが、ウマ娘が全国にいるわけではないからね」

 

トレセン学園の地方部は戦後直後のレース場の統廃合と制度改編に伴う淘汰、あるいはバブル崩壊後の不景気に伴う閉鎖などの時期に『暗黒時代』を経験している。オグリやイナリなど、地方の大スターになれただろう逸材が『中央に流出していった』過去もある事から、水面下の対立が『キングヘイローの失踪』をきっかけに表面化。シンザンはそんな混乱の最中に次期協会長となったのである。また、(前世がそうだった影響か)ウマ娘の生誕地は北海道が多いが、史実で持ち込み馬であったマルゼンスキーは『昔に二重国籍だったらしい』などの情報もある。

 

「第二次世界大戦の前は人口が多かったらしいが、その後はグンと減った時期があって、そこから持ち直した後だって聞いた」

 

ウマ娘も戦後にレースが再開されるまでに、色々な理由で人口が減り、そこから持ち直したらしいのだが、詳しくは不明。また、競技人口も地方レースの衰退期にかなり減った事が示唆される。そのため、過去のスターたちの復活を宣伝に使おうとする動きがあるという。

 

「ゴールドシップ。君は『知っていた』のか…?」

 

「さーな。あたしはあたしのおもしれぇと思ったことをするだけさ。だけど、あんたらの悔いを晴らしたり、夢を叶えてやれるって思っただけだ」

 

ルドルフさえも計りかねる、ゴールドシップの真意。オグリやタマモの過去の夢を叶える一方で、テイオーやブライアン、タイシンには生き甲斐を見出させ、『未来に目を向ける』ように取り計らうなどの行動を見せるからだ。

 

「なぜだ、なぜ君はオグリとタマモに力を貸した?その一方で……」」

 

「自分でどうしようがないレベルで何かがあって、悔いがある連中と、それを素直に未来への糧にする連中は違うからだよ、会長さん。オグリさんとタマモさんは前者、テイオーたちは後者だ。テイオーにはキタサンっていう後輩がいるし、タイシンは自分に心を開く子供のためにって目標が、ブライアンは姉貴の仇討ち、自分の存在価値の証明と……」

 

「なんだ?」

 

「前世であいつは早世した。その悔しさを晴らすためだよ。あいつは戦後の歴代三冠で唯一、直系の後継を出せなかった。それも、テイオーやツヨシ(ツルマルツヨシ)を残したあんたへのコンプレックスなんだ」

 

「ブライアンは……無頼のように見えるが、意外に甘えたがると聞いている。ビワハヤヒデがいなくなった後、入ってくる妹達に頼られる側に転じるのは慣れんだろうな。ヒシアマゾンの負担が増してしまうな…」

 

「アマさんが倒れたら、まずいからな。どうするよ」

 

「うーむ」

 

ハヤヒデがターフからいなくなれば、ブライアンは頼られる側に完全に転じるが、本人の根本は妹属性がかなり強いため、ヒシアマゾンに裏で甘えまくる事が容易に考えられる。しかし、ヒシアマゾンは寮長だし、ブライアン自身も副会長に留任する。ルドルフとゴールドシップはそれに気づく、方策を練ろうと考え込むのだった。

 

 

 

 

 

 

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