ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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第五百四十七話「キボウノチカラの残光と未来」

――ダイアナザーデイが終結して、間もない頃。『中島錦』の名義で勲章を授与されたものの、肉体の容姿がすっかり『夢原のぞみ』としてのものに変化し、肉体年齢も計測の結果、『14歳』に戻っていた事が判明。中島家には帰りづらいと困っていたところに、のび太から誘いを受け、野比家のあるマンションに下宿する事になった。自分の過去の戦いがアニメとして知られている世界なので、『夢原のぞみ』としても生活しずらいと言うと、のび太は『プリキュアに変身した状態で過ごせばいい』と述べ、困惑したものの、プリキュアの姿で生活を送っていた――

 

 

 

 

 

 

 

――こうして、キュアドリームとしての姿で、ススキヶ原での生活を過ごす事になったのぞみA。転生により、前世での成人後における無理なプリキュア化(適齢期を過ぎた事による肉体への負担による、本人の寿命の短縮など)での負の影響は全て解消されている他、肉体がプリキュアになれる適齢期で固定されていた。ある意味、Z神が自らの目的のために与えた贈り物であった――

 

「いいの?」

 

「いいのいいの、どうせ、このマンションはGフォースの関係者しか住んでないし、フロア一個まるごとと地下はウチのものだから」

 

大笑するのび太。キュアドリームは困惑するが、そのほうが逆に目立たないというのだ。

 

「あ、パパ~!」

 

「お、ノビスケ。幼稚園は終わったのか?」

 

「うん~!」

 

ダイアナザーデイが終わった直後には、ノビスケはまだ、幼稚園の卒園前であった。小学校に入学後はグンと成長していくので、のび太が息子を軽く抱っこできたのは、この頃が最後になる。

 

「うちの息子のノビスケ。ほら、今日から下宿するおねえさんにご挨拶は?」

 

「ぼく、野比ノビスケって言います」

 

「あたしは夢原のぞみ。またの名はキュアドリームだよ。今日からよろしくね」

 

ノビスケはこの当時は六歳を直に迎える年頃であった。こうして、のぞみはこの日から、野比家で下宿した。キュアドリームの姿を保っての下宿であった。本人としてはかなりの困惑であったが、直前に『騒動』が起こり、キュアミラクルとキュアハートがその解決に尽力し、夢原のぞみとしては、かなり注目の的になってしまっていたので、プリキュアの姿を保つ事で、却ってそれを避けるというのは逆説的なアイデアであったが、これが意外に上手くいったのである。転生で前世における『往時から大きく加齢した後に起こった変身の弊害』の全てから解放された事もあり、のぞみはキュアドリームの姿でだが、つかの間の平和な日常を過ごしていった。そのため、心身共に本当に現役時代に戻ったような感覚を覚えていた。

 

 

 

 

――ある日――

 

「ドリーム、コーヒーを入れました」

 

「ありがとう、フェリーチェ。でも、不思議だよね。変身して日常を過ごすなんて」

 

「私はこの姿でないと、外見相応の口調が使えないので、切実でしたよ」

 

「あ、そういえば……。みらいちゃんとリコちゃんは?」

 

「今は未来世界で仕事をしています。私と入れ違いですね」

 

「どういう仕事なの?」

 

「なのはやフェイトの手伝いで、次元世界の探査と仲間集めです。全ての世界を探さないとならないので」

 

「そっか…。その中には、あたしの前世の世界も」

 

「おそらくは」

 

「……」

 

前世で自分の後を継いで、闇落ちした長女と戦ったであろう次女のことも気がかりであったのぞみ。自分が『亡くなった』のは、死の床についた自分の前で『後を継ぐ』とだけ告げた直後。それからどうなったのか。

 

「フェリーチェ、あたし、気になってるんだ。前世で自分が死ぬ時、二番目の娘が言ったんだ。後を継ぐって…。その時はわかんなかったけど、今ならわかる。あの子は……」

 

「貴方の後継者として、実の姉を討つ決意を固めたんでしょうね…」

 

「だとしたら、前世で長く戦い続けた末の結末が実の子供の殺し合いだなんて……皮肉すぎるよ…。これって……罰なのかな?」

 

「いえ、それは一つの結果に過ぎません。貴方の意志を継ぐ者がいて、貴方に代わって、世界を守っていく。それは立派な事ですよ、ドリーム」

 

「そう言ってくれると、少しは気が晴れるよ」

 

のぞみのいた世界での結末は確かに『のぞみにとっては皮肉極まりない結果であったが、後継者が実の子であった』のは、珍しいパターンであった。キュアフラワーであった、つぼみの祖母の場合、その後継ぎは孫娘であったからだ。

 

「つぼみさんのおばあさんとつぼみさんの場合は祖母から孫へ受け継がれた。貴方の場合は…」

 

「うん。今となっちゃ……喜べはしないけどね。前世じゃ仕事柄、酒を飲みまくってたけど、肝臓がやられてね。先輩に言ったら、付き合いは仕方がないが、呑まれるなよ、だって」

 

「あの方は酒豪ですからね。おまけに今の職業的に危ないですし、あなた」

 

「まさか、パイロットになるなんて思ってもみなかったよ」

 

パイロットは職業的に、飲酒は控えるべきだが、意外に泥酔状態でも一騎当千のパイロットは多い。

 

「でも、大先輩は泥酔状態でも無敵なんだけど…」

 

「あの方はバケモノですから……」

 

「フェリーチェ、一応は神様でしょ?」

 

「元、ですよ。今は一介のプリキュアに過ぎませんよ」

 

と、赤松は泥酔状態でも、キュアフェリーチェを意に介さない強さを誇る事が示唆される。元から扶桑最強の武人であったが、聖闘士になってからは、プリキュアでも手がつけられない強さになっている。それは後の戦役でも変わらない。

 

「一つ教えて。先輩たち、強すぎなんだけど……」

 

「あの方達の本業はオリンポス十二神に仕える闘士ですよ?私達が普通に束になろうと、屁でもありませんよ」

 

「戦ってみたの?」

 

「2003年からずっと。調と二人がかりで、手も足も出ない有様でした。多少は抵抗できるようにはなりましたけど…」

 

「ダイ・アナザー・デイの時に、捕虜になって、助けられたじゃん?あの直後、大先輩にムキになって殴りかかったんだ、プリキュアの状態で。そうしたら……」

 

――うろたえるな、小僧ーーー!!――

 

「って、一瞬で空高くふっ飛ばされた」

 

「聖闘士の伝統芸のようなものです。あの方なら、軽く投げる感覚で、空高くふっ飛ばせますから。私も修行でやられました」

 

「大先輩は何が守護星座なの?」

 

「孔雀座です。女性聖闘士で最強無比を誇ると、代々語り継がれた古豪の星座です」

 

「うへぇ……」

 

「たしか、鳳凰幻魔拳と幻朧魔皇拳も撃てると……本人が望めば、双子座の黄金聖闘士にもなれたはずです」

 

「何それぇ!?」

 

「要するに、黄金聖闘士のかなり上位と同等以上の実力者なんですよ、彼女は。おそらく、本気になれば、ブリタニアの全軍も数日で全滅させられるかと……」

 

「……頭痛くなってきた」

 

と、この時はあまりの衝撃に頭を抱えていたわけだが、デザリアム戦役の際に、女神から『聖剣』を与えられ、パワーアップで小宇宙に開眼し、自らも聖闘士の領域に足を踏み入れたわけだ。

 

――その数年後 デザリアム戦役の直後――

 

「婚約、おめでとうございます」

 

「ありがとう。それはいいとして、あたしも聖剣を授かっちゃったんだけど……」

 

「これで、刃物いらずですよ」

 

「喜んでいいものか」

 

「超合金Zもまっ二つなんですよ、手刀で」

 

「だーから、どこで使うのーーー!」

 

と、聖剣を宿したことで、手刀がとんでもない攻撃力を得てしまった事に、本人はこのうろたえようだ。

 

「いいじゃないですか。手刀の衝撃波だけでマジンガーZをまっ二つなんですから」

 

「うぅ。大決戦で先輩が撃ちまくってたって、かれんさんとこまちさんから聞いたけど……」

 

「ええ。あの時はデーモン族をスプラッタしてました。首チョンパは当たり前、顔を潰すわ、体を強引に引き裂くわ……」

 

「それで?」

 

「事情を知らない皆はドン引きでしたよ。おまけにデーモン族にジンメンがいたので、余計にすごい事に……」

 

「と、言うと…?」

 

「のび太が来て、事なきを得たとはいえ、あなたの姿でブラックを怒気で黙らせてましたから。怯える姿、初めて見ましたね……」

 

「えぇぇ~!?」

 

「本当です。ブラックが本気で怯えたので、ホワイトも血の気が引いてましたよ……」

 

「嘘ぉ……」

 

「で、その直後にアレを……」

 

「あれ?」

 

「乖離剣エア。あれをデーモン族に放ったんですよ。あなたの姿で、ブチギレ状態で」

 

「はぁ!?」

 

「完全にキレてましたからね……。その時、居合わせてたりんさんは完全にパニクって、泣いてましたよ。声をかけられないくらい」

 

「……想像ついた」

 

ブラックを怒気で黙らせたと思えば、虚空から剣らしきものを召喚し、次元をも斬り裂く『大いなる一撃』を放った。その世界にいたりんの混乱ぶりは想像に難くない。

 

「ドラえもんのおかげで人質はそれぞれの首から蘇生したから被害者は多少トラウマ残ったかもしれないけどサルベージ出来たんだよなぁ、正にドラえもん様々だったよ」

 

と、そこで黒江がやってきた。

 

「せぇんぱーーーい!!なんてことやらかしてくれたんですかーーー!」

 

「あれ、言ったはずだぞ?お前、上の空だったな?」

 

「そんなことより、エア使ったんですか、あの戦いで!」

 

「デーモン族には情け容赦はいらんからな。緊急事態だから、ロボットガールズ用のGアームライザーもお前の姿でテストした。ソードトマホークも使ったな」

 

「先輩ぃーーーー!」

 

「あー、だってヤツらどれくらい頑丈か解らんし、キッチリ潰しておこうって思ってな。中には、無から再生する能力持ちもいるって、デビルマンから聞いたし。こまちはハニーに驚いてたな、姉貴の転生体だし」

 

「それも聞こうと思ってました。なんでなんです!?」

 

「偶然の産物だよ。ハニーは元来、精巧なアンドロイドだからな」

 

キュアミント/秋元こまちが戦線に加わる理由の一つが『キューティーハニーが実の姉の転生であった事であった。

 

「ハニーが前世での妹を助けたいって言ってな。前世での姿になって現れたんだ。その時のミントとアクアの驚きようったらな……」

 

「どんなだったんです?」

 

「ミントが素を出しまくってたぞ。なんで、お姉ちゃんが変身できるの!?キューティーハニーってなんなの!?って。ハニーは軽く流してたけど、ミントは大パニックだ。アクアは開いた口が塞がらないって奴だな。だけど、その直後にフルーレで華麗な剣捌きをみせたから、子供みたいに目を輝かせてたな」

 

「嘘ぉ、あのかれんさんが?」

 

「かっこよかったからな、ハニーの剣捌き。Xライダーのホイップみたいに、剣先もしなるしよ」

 

キュアアクア/水無月かれんは現役時代には、様々な習い事をしていた。フェンシングもその一つ。プリキュアで唯一、馬乗戦闘もこなしたこともあるので、ハニーの剣捌きの凄さを真に理解した上で『カッコいい……』と見とれていたと話す黒江。

 

「で、必殺の『ハニー・ライトニングフレア』と来た。あれで、かれんのヤツ、すっかり憧れちゃってよ。ハニーんちに遊びに行くくらいだ」

 

「えぇーーーー!?」

 

「元々、こまちの姉なら、昔からの知り合いだろ?」

 

「あのかれんさんが……。珍しいですよ」

 

「フェンシングでも習ってたのか?」

 

「え、ええ。確か、現役時代に『フェンシングの大会でかなりいいとこまでいった』とか?」

 

「レイピアに近いけど、ハニーは名手だからなぁ。俺から見ても玄人だ。いい勉強になると思って、合流した直後に、ハニーの連絡先を教えたんだ」

 

ハニーの腕前は黒江が玄人と判定するほどのもの。それが伝えられた。

 

「あ、理由がもう一つある」

 

「なんですか?」

 

「ハーロックとクイーン・エメラルダスに会ってんだよ。あいつとこまち」

 

「なんでなんでぇ!?」

 

「私がのび太に頼んだら、本当にデスシャドウ二番艦(イカ型の船首のアルカディア号)で来てくれまして、ハーロックが」

 

「な、ナッツハウスの上空に!?」

 

「はい…。で、ボレットで二人を回収して、アルカディア号に着艦しようとしたら、現地での『エターナル』に襲われたんですが、そいつらはクイーン・エメラルダス号の超波動砲で塵に……で、泣いているあちらのあなたの前にクイーン・エメラルダスが……」

 

「いぃ!?あの宇宙最強の……女海賊が?向こう(B世界)のあたしの前に!?」

 

「ピーチが慌てて敬礼するくらいの迫力でした。あの貫禄は……私たちでは……」

 

クイーン・エメラルダス。キャプテン・ハーロックと並び評される、一匹狼の女海賊にして、宇宙最強の女傑。かれんとこまちが連れて行かれ、その場で泣き喚くのぞみBの前に姿を現した。敵かと身構えたりんBを制し、キュアピーチが思わず地球連邦軍の敬礼を取ってしまうほどの無言の迫力であった。エターナルのホシイナーの大群を『塵』と称し、事もなげに乗艦の波動砲(低出力)で全滅させるだけでなく、その場にいた美々野くるみ(B世界)がその場から動けずに震えるほどの貫禄を醸し出していた。

 

「ああ。あれで、メーテルの姉貴だぞ。母親よりも、叔母に良く似たらしいが……」

 

クイーン・エメラルダスは母親の雪野弥生(プロメシューム)よりも、その妹のセレンの面影を色濃く受け継いでいるためか、目つきがメーテルとプロメシュームより鋭い。その眼光は慈母のようなメーテルと異なる『戦士』としてのものであり、ピーチが思わず畏まり、美々野くるみがその場から動けなくなるほどの力を備えていた。

 

「向こうののぞみさん、言葉も出ない有様だったようですよ。クイーン・エメラルダスの瞳が動いただけでへたり込んだとか……」

 

「あーーーー!!なんたる醜態!!」

 

と、別の自分が無様な姿をクイーン・エメラルダスの前で晒したことを嘆くキュアドリーム。

 

「しかたねーって。向こうのお前は単なる一女子中学生、向こうは全宇宙に名を轟かせる最強の女海賊だ。器が違うよ、器が」

 

「しょんべんは漏らしてないですよね、向こうのあたし……?」

 

「さー…?」

 

一同ははぐらかす。それ以上はのぞみの名誉に関わるからだろう。美々野くるみ(B)が『足がすくんで、身動き一つ取れなかった……』とクイーン・エメラルダスの放つ何かに呑まれていたので、チビッたのは確実だろう。りんBも気まずそうに述べているなどの状況証拠がそれを物語っている。

 

「なんてこった……よりによって、クイーン・エメラルダスの前で……」

 

と、キュアドリームは別の自分の醜態に頭を抱える。Aは軍人であるからだろう。

 

「お前、こっちじゃ完全に、扶桑軍人の思考回路だな」

 

「慣れてる自分が怖いくらいですよ……。あー…くそッ……。なにしでかしてくれてんだ……これじゃ、いい恥だッ…!」

 

口調も荒れ、声のトーンが余計に低くなるが、これは素体の癖が残っている証でもあり、AとBが『別人』である事の証左であった。

 

「文句は向こうのお前に言うんだな」

 

「くっそーーー!!なんてこった!!」

 

「レントン声になってるぞー。錦の本来の声か、この場合」

 

「あ、あれ?これ、使えますかね?」

 

「たぶん、転生で声帯にも変化が出て、声色に一定の自由度が出たんだな。お前、それ、使えるぞ」

 

「へ?」

 

「俺なんて、ボイトレで声色を変えるように特訓したもんだが、お前のそれは素だからな。トーンを高くしていってみろ」

 

「は、はい……」

 

徐々にトーンが上がり、キュアドリーム本来の声に戻る。それは思わぬ副産物であったが、以後、黒江が特訓を課したことで自在に操れるようになっていき、後々にナリタブライアンと入れ替わった際に役立つことになる。

 

「今日は思わぬ発見だな」

 

と、黒江がメモってると。

 

「ただいまー」

 

「ノビスケか。学校は終わりか?」

 

「あれ、綾香のおばちゃん。今日は非番なの?」

 

「早めに仕事が終わってな。統括官ってのは、平和な時は暇でな」

 

統括官は有事のほうが仕事が多く、平時はGフォースの管理運営の書類にサインするか、各地の自衛隊の部隊の視察をするのが仕事である。たいていの事務作業を黒江は早く終えることもあり、統括官としての業務は視察や要人との会談や会食が多い。ウイングマーク維持のための定期訓練もあるが、それは副官がスケジュールを決める。

 

「明日は厚木に行くんだが、副官が病欠でな。こいつを連れてく。プリキュアの姿で」

 

「えぇ?大丈夫?」

 

「日本連邦の規則で『プリキュアのコスチュームは制服と見なす』ことって書かせたから、なんら問題はない。厚木のお偉方が見たいんだと、プリキュアを」

 

「厚木って、輸送機や哨戒機の部隊しかいないんじゃ?」

 

「ジェットの運用設備は残ってるから、時々、艦載機が立ち寄るのは変わらんよ。あと、飛行艇が一機いる。厚木だと、便利なんだと。明日は早いから、公用車が迎えにくる。お前、目立つようなら、コスチュームの上にジャケット羽織れ」

 

「先輩、公用車が呼べるんですね……」

 

「これでも空将だ。その気になれば、飛行隊の司令が裸足で逃げ出すぞ」

 

「でも、先輩、どこにオフィスが?」

 

「一応、防衛省ん中だよ。前の政権の時は窓際扱いだったけど、今じゃ、ちゃんとしたスペースとオフィスがあるよ」

 

「先輩、書類仕事のコツ、教えて下さいよ」

 

「お前の元々の職業よりは楽かな。平時は部下が出した書類を精査して、判子を押すのが半分以上だし」

 

「先輩、それで……」

 

「むしろ、そこまで行くまでが大変だったんだぞ。潜り込んでからの長い間……」

 

「ブルーインパルスにもいましたね」

 

「ああ。ちょうど、はーちゃんが大学に行き出す頃だな。俺、その年に離れるはずだったんだが、その時の隊長が俺の飛行技術に惚れててな」

 

「おばちゃん、空自の現場でエリートって言われる場所を総なめしたよね」

 

「だいたいの部署に回されたな。実戦経験があるってんで、引っ張りだこでな。カミングアウトの後は特に。教導群にもいた事あるし…。空自は広告塔にしたかったみたいだが、俺が扶桑のトップエースだってわかると、上層部も途端にへーこらだ。まぁ、陸士の50期だもんな、俺」

 

黒江は航空士官学校の50期の出。つまりは元から旧軍のトップエリート層に属する人間である。更に『加藤隼戦闘隊の人間』。これで畏まない者は空自にいない。

 

「おまけに、加藤隼戦闘隊の中でもトップエース。これが効いた。お前も64Fの人間なんだ、そこを官僚連中に見せてやれ。俺の直卒中隊の三番機を任せたんだからな」

 

「は、はいーーっ!」

 

キュアドリームはその言葉で勇気づけられたようだ。

 

「精進しろよ?プリキュアとしちゃ評価してやるが、パイロットとしちゃ、青二才だ」

 

「あのー、こう見えても、キ44乗りなんですけどー!?」

 

「アホ、俺と智子は試作機の頃から、アレのテストパイロットだぞ」

 

「えーーーーー!?そ、そんなぁ~……自慢だったのに……」

 

「アホぬかせ、お前とは年季が違うんだ、年季が」

 

と、黒江にそれを告げられ、しょげかえるキュアドリームであった。部屋には笑いが起きたという。

 

 

 

ちなみに、黒江はデザリアム戦役後~太平洋戦争開戦前は第三中隊の指揮を取っており、黒田やのぞみはその中隊に属していた。開戦後はプリキュアの人数増加などで配置換えになり、49年時点では、最も出動が多い第一中隊に配置換えとなっている。黒田が家督相続で隊を離れているのもあり、第三席であるのぞみが次席に繰り上がっているのだ。のぞみはこの日以降、『七勇士の指揮する飛行隊の第三席を任せられた』という事は、のぞみのパイロットとしての自信に繋がり、1949年の遠征の直前には、自分はエースパイロットだと自負するまでに成長を遂げる。そのきっかけがその一言であったと言える。新たにやってきた後輩のプリキュアらに自分のウイングマークを自慢するなどの子供っぽさも見せるものの、精神的に『本来、教師として大成できただろう』と幹部層に言わしめる面倒見の良さが徐々に表れていき、64Fの若手幹部としての地位を確立させていったのだった。

 

 

 

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