――結局、扶桑の体制は改革派の手での緩やかな変革がベターだとされた。華族は史実のような身分の剥奪は反発が大きく、社会に歪みを生み出すため、身分そのものの名誉称号への緩やかな移行を数十年単位で行い、次第に『残された特権』を廃止することで内々に決められた。日本の急進派としては不本意だったが、ウィッチは身分を問わず出現するし、手柄を立てれば、相応に遇しなくてはならないという社会的都合が彼等の意見を退けた。軍人や官吏の公務員としての身分確立や国民・厚生年金制度の樹立は太平洋戦争後まで先延ばしにされた他、皇族軍人の『軍に在職中は皇族としての権利は停止される』という事項は戦争後からの施行とされた。これは太平洋戦争当時には、扶桑海事変を知る軍人が多数在籍していたことによるもので、皇族軍人を反乱への防波堤と見做していたからである。(もっとも、ブリタニアのように、ノブリス・オブリージュを志向していたのも大きいが)――
――同時期に、金鵄勲章の存続の是非についても最終判断が下り、『戦争終了後にまとめて授与し、勲章の位は瑞宝章と同等にし直す』という妥協案が通った。ミーナがしでかしたことが連合国軍への周囲の視線を相当に厳しくしたため、存続を日本も認めたのだ。金鵄勲章の戦争中の授与が無くなったため、その代替の武功章と感状の授与、二階級特進が推奨されるようになる。旧基準で授与された最後の事例は、50Fのエースウィッチであった佐々木准尉であったという。ミーナがしでかしたことは扶桑国民の激昂を招き、皇帝の公的な謝罪声明の発表が遅れていた場合、大使館は焼き討ちされていた。以後、急速に扶桑のカールスラントへの思慕は冷めてしまい、カールスラントは関係の再構築に躍起になる。その過程で、『ガチガチの技術屋』であるウルスラ・ハルトマンは技術の正常進歩を重んじ、技術チートを否定する姿勢が却って疎んじられ、冷や飯食いを被る羽目になった。この姿勢は長じた後の自分の娘にさえ、『母は自分の愛着のある分野で思考の柔軟性がなかったから、なかなか出世できなかった』と評されるに至る。――
――1945年頃、扶桑の工業力で三式戦闘機『飛燕』を前線で好調状態で飛ばすことは困難であると判明し、川滝航空機はメンツ丸つぶれになった。前線では入手がしやすいオリジナルのエンジンである『DB601』か『DB605』を無理に積む、あるいは空冷エンジンに現地で載せ替える有様であり、現地改造を禁ずることも通達されたが、現地部隊から猛抗議を受けるため、結局はメーカー正規の空冷エンジン型である『五式戦闘機』が『ジェット戦闘機までの繋ぎ』として量産され、史実通りの方向性への転換に手間取った(四式戦はウィッチの嚮導機としての任務を主体に開発されていたため、史実と同じなのは外観のみだった。日本側は長島飛行機の主務設計者を召喚して、つるし上げのように叱責したものの、メーカー側も『燃料タンクのいくつかを12.7ミリ銃の弾倉に取り替えられる設計なのに!!』と反論したが、時代は大口径砲搭載が推奨される風潮になっており、結局は根本的な再設計が必要になった)四式戦を尻目に、ダイ・アナザー・デイ中期以降の扶桑陸軍主力機としての大任を担った。結局、四式戦の生産本格化時にはダイ・アナザー・デイは終局を迎え始め、ストライカーも武子の起こした事故で普及せず、時代の徒花となった。その負債で経営状況が苦しくなった長島飛行機は起死回生を自動車・二輪車産業に賭け、見事に成功する。クーデター以降は航空産業の統廃合が進んだため、兼業で自動車産業などに進出する企業が増加。扶桑はこの統廃合がきっかけで高度経済成長の下地を整え、戦中にモータリゼーション時代を迎える。日本連邦の軍部は『戦争をできるだけ国民に感じさせずに、うまく戦え』という政治家の要求に振り回されることになり、兵器が加速度的に進歩していく。戦闘機はその四年後には『第四世代ジェット機の量産準備』に達し、日本側を驚愕させた。しかし、兵器は更新出来ても、インフラ整備が追いつかないため、結局、その優遇がされる精鋭部隊におんぶにだっこになった。インフラ整備も民間が優先されたためだ――
――日本は『全盛期のアメリカ相手に、正攻法で勝てるとでも思っているのか?』と連合国を見下したが、いくらアメリカ相当の国家相手だからと言って、大量破壊兵器の大量投入をしていいわけではないし、アメリカへの公にできない復讐心を満たしたいだけだと、連合国側に見透かされていた。その代わりに、技術力差による勝利を望んだため、MSやVFなどの投入も公に認められた。そんな中、日本向けのプロパガンダに使われたのが、MSZ-006系(Z系)の機体であった。特に、Zプラスやリ・ガズィ・カスタムはガンダムフェイスかつ、相応に高性能であるため、精鋭部隊という64Fのお題目を示すのには格好の機体であった――
――日本 厚木基地――
2022年。扶桑と日米の軍事交流が行われた。この交流は扶桑による示威も兼ねており、ZプラスA1型、リ・ガズィ・カスタムなどの見栄えのいい機体が選定されていた。可変機であるのは『空軍の体裁を整えるためであった』が、歴代プリキュアの何人かが操縦しているのは、プロパガンダ目的と見なされたが、Z系は相応の練度がなくては『まともに動かせない』ため、却って、搭乗員の練度の証明となった。
「日米との軍事交流。二カ国のご機嫌取りって奴ね」
「仕方ないよ。日本の技術屋はMSの有効性に疑義を呈してたのが、2021年の残党の襲撃でメンツ丸つぶれだからね。それに、一年戦争で旧来の考えの兵器の殆どは花形から転落してるわけだし、その官軍側の実物を見せないと、奴さんは信じないよ」
キュアリズムはこの日、リ・ガズィ・カスタムを駆っていた。転属前の部隊から持ってきたZⅡは、ウェーブライダーに改良を加えなくては『大気圏内飛行ができない』故に、その能力があるリ・ガズィ・カスタムに乗ったわけだ。カラーリングは白主体のもので、自身のコスチュームの色に準じている。
「まぁ、可変機は手慣れてるから、こっちとしては乗りやすいけど」
キュアマジカルは別方面で可変機に乗りなれていたため、Z系であっても余裕で乗りこなしていた。こちらはZプラスC1型の後期仕様で、大気圏でも運用可能なようにセッティングされている末期生産ロットにあたる。
「プリキュアになってれば、パイスーがいらないから、それはいいのだけど、米軍の連中に言われない?」
「トランスフォーマーあるし、むしろ喜ばれると思うよ、フォーチュン。本当は廉価量産機のアンクシャがあるけど、あれはティターンズのアッシマーの系列機だから、印象が良くないとかで、うちにはないから、Z系なんだし」
「整備の連中が泣くわよ?」
「それに、VFを持っていったら、ファイター形態のデザインで騒がれそうだからっていうから、Z系にしたのだ。これなら、猿真似とは言われん」
キュアビートはZガンダム三号機タイプの機体で、ウェーブシューター仕様にしている。Z系の多い故の識別と彼女の好みによるものだ。
「お台場や横浜、福岡に立ってる立像と違って、こっちは本物だからな。技術屋達は見たいだろう」
Z系は可動部分の多さで『整備性と運用性が低い』とされているが、VFの技術スピンオフでそのネガが無くなったため、『エースパイロット専用の特務機』という位置づけで運用されている。空挺強襲などが多い部隊向けであるため、廉価量産機とされるものは複数が存在するが、どれもジム系ほどには出回っていない。
「GPシリーズでもいいっていうけど、デラーズ紛争が明らかになるまでは公式記録から消されてたし、ティターンズの暗躍で潰された計画の産物だから、地球連邦も表ざたにはしたくないということだ」
「自分達の政争がアニメ通りにあったことは闇に葬りたいのね?」
「シビリアンコントロールが不全に陥った時期の政争は表ざたにできんよ。しかも、強硬派が優勢になり、ティターンズの独裁を許したというのは」
地球連邦政府は自分達の過去にあたる地域国家群へ全ては明かしていない。特に『グリプス戦役~ペズン戦役までの軍閥同士の内乱期』は表ざたにできないことと判断した。その前段階であるデラーズ紛争も、地球連邦政府の判断で日本らに『真実である』ことはぼかしている。自分達の醜聞に関わるからだ。その時期のシンボルであるGPシリーズは、日本に持っていくには『ツッコまれる』ということでストップがかかり、その代わりにZ系を持ち込ませられたわけだ。ダブルスタンダードな気もするが、Z系はエゥーゴのシンボルであったので、良しとされたのであろう。
「どうして、MSを見せるのが?」
「示威だよ。ここ5年以上も異世界の介入で国内外を混乱させられたからな。日本では非現実的な兵器を見せたほうが、バックの存在を却って示唆できる。近代化させた大和や武蔵では『金をかけた道楽』と笑われたからだと」
キュアビートは明言する。近代化させた大和や武蔵は(史実のアイオワ級戦艦の存在もあって)『海軍の金をかけた道楽』と陰口があるため、それならばと、針を振り切ったとのこと。MSは戦車や戦闘機より少数配備が望ましいとされる高級な兵器だが、ビーム兵器の普及で『撃破=パイロットの戦死』の割合が高くなったため、地球連邦の保守派がそうであったように、配備に疑念がある。21世紀までの常識では、アニメのような巨大な人型ロボットは非現実的とされていたからだ。もちろん、ビームシールドやガンダリウム合金の技術革新などで生存率は上がっており、コズミック・イラから『セーフティシャッター』の技術も導入予定である。(ムウ・ラ・フラガの生存の要因。ただし、かなりギリギリであったため、記憶喪失になったのをいいことに、ロゴスに人格改竄と記憶操作がなされた。この事が地球連合で『大西洋連邦』が地位を喪失し、オーブが主導権を握る要因となり、戦後、大西洋連邦は戦災による被害と暴動で空中分解寸前に陥ったという)
「21世紀の技術では、ガンダリウム合金の最新型は撃ち抜けないからな。それで以て、アメリカ軍を黙らすつもりなのだろうな。ただ、アメリカは兵器の無人化に熱心だからな」
「それがモビルドールやゴーストに?」
「歴史的にはな。結局、戦争責任の問題が浮上するから、無人兵器は主力にはなれない運命だ。21世紀のアメリカにしてみれば、衝撃だ。故に、無人兵器の研究に躍起になったのだろう」
「どうして、そこまで?」
「色々な費用を浮かすためだろう。機械の高度化で育成期間は延び、兵器の値段はうなぎのぼりだ。それをカットしたかったんだろう。だが、非人道的と言われつつも、研究したのだろう」
無人兵器は結局、機械に責任を負わせ、戦争責任意識が曖昧になるという批判に晒され、非人道兵器との烙印を押された挙句、『使い捨ての拠点防衛システム』、『捨て駒』などの扱いに落ちぶれていく。地球連邦も軍の人手不足は認識しているが、本国ではそれを承知の上で有人兵器を主力としている。シャロン・アップル事件と、モビルドールの反省である。
「現実問題、人手不足は戦争が続くと、顕著に現れる。それを補うために研究されたんだろうが、西洋人は道具として考え、日本人はそう考えなかった。それが問題の根幹なんだろうな」
三人はプロパガンダ目的で交流に動員されたため、多少なりとも自嘲交じりである。通常型コックピット(全天周囲モニターとリニアシート)の通信越しに苦笑交じりである。なお、キュアリズムとキュアビートは素体となった人物の関係上、軍隊階級は他より高めである。
「まぁ、日本人は独特だから。中国とも微妙に倫理観が違うから、欧州の人間には理解できないことも多いよ。それが22世紀以降の動乱の火蓋だったのさ」
キュアリズムとキュアビートは日本人特有の精神性を西洋人達が理解しきっていなかったことが統合戦争の発端であり、無人兵器問題の根幹でもあることを悟っていた。また、西洋独自の宗教観や神への考えが統合戦争の泥沼化を招いたことは、後世の人々から『愚か』だと断じられている。故に、地球連邦政府の保守派がニュータイプ論を否定したがった(最も、アムロとシャア、シャアとハマーンのように、ニュータイプでも根本的な確執はどうにもできなかったケースもあるが)のも的外れではない。結局、ニュータイプは度重なる非人道的な研究が暴露された事で、ジオンが提唱した『新人類』ではなく、『ある種の突然変異で生まれる少数の超能力者』のような位置づけとされた。それが皮肉な事に、ある時期に『アムロ・レイへの政府の監視』が解かれる理由となったわけだ。
――こうした見解の普及は地球連邦政府が聖域とした『現生人類の普遍性の維持』の達成であり、ニュータイプ伝説の自然な風化で守られたとも言えるが、穏やかな進化の訪れはゲッターの存在で否定されなかったため、ジオン・ダイクンが(精神の破綻をきたす前の青年期)初期に提唱した『お互いに理解し合い、争いから解放される新しい人類の姿』とはいかなくとも、別の形での進化は存在するという希望は残された。このことがジオニズムに翻弄された人々が開けたパンドラの箱の中に残された一縷の希望と言えた――
――イデオロギーで人は殺される。デザリアム戦役で夢原のぞみ(キュアドリーム)に敗北し、事実上の引導を渡されたテロリスト『タウ・リン』の遺した言葉である。彼が示した通り、ロンド・ベル(地球連邦)に敗北していった者たちは皮肉な事に、お互いのイデオロギーを捨て去り、一体化。地球連邦政府の新たな『地球圏での仮想敵』となった。ジオン系勢力の凋落により、ティターンズ残党は相対的意味で大勢力となった。地球の軍需産業には、ティターンズ残党は『ジオン残党に代わる『飯の種を作ってくれる存在』として認識されており、バダンがそれらを利用する形で資金援助を行った結果、ティターンズ残党はリベリオンを『隠れ蓑兼捨て駒』として骨の髄までしゃぶり尽くす。彼らは『エゥーゴ系の軍人がレビル将軍を抱き込んで、強権を奮う』ことを気に入らない者たちを巧みに操り、機材や人員などのの補充を行った。そのため、MSの主力機はバーザムやゼク・アインなどの高性能機に移行し始めていた――
――ゼク・アインの量産はロンド・ベルも予想外の事態であり、ジェイブスやフリーダムなどの『ジム系の次世代機』の配備数増加が始められる一方、フリーダムの外観は無骨に過ぎ、気に入られないケースも多いため、大まかな外装をジェガンのままにし、内装を一新する改修も現地部隊主導で提案され、ジェガンV型として採用される。これはフリーダムの誕生の経緯を考えると微妙だが、同機のデザインが『ダサい』ことが不評を招いたのも事実であったためだ――
――ウィッチ世界のティターンズ残党の掃討が長期化した理由の一つは『残党の復権により、ティターンズが地球連邦の組織であったことが再び示される』ことを恐れた地球連邦政府の政治家達の一部が(組織に誘導される形で)匿名で援助したこと、ティターンズ残党の統治が『リベリオンの有色人種に有益だった』からである。さらに言えば、ティターンズという存在を上手く使えば、扶桑から太平洋の権益を奪えると見込んだ関係者も多かったからである。(そして、戦後は『被害者』を装えば良いという考え)それらが複合する形で、太平洋戦争の戦端は開かれた。扶桑がそれらにほぼ単独で立ち向かう羽目となったのも、ウィッチの社会的地位の低下に繋がった。その影響はのび太の時代にも及んでおり……――
「ころばし屋だけじゃないのが、彼女達の難事だな」
「これじゃ、おちおちトレーニングもできんぞ、ルドルフ」
「仕方あるまい。我々もできる範囲で街の治安は守るしかあるまいよ。街の清掃美化運動には、オグリとタマモを行かせた。エアグルーヴでは、子供たちの相手は上手くできんだろうからね」
「言えてるな。呼んでいきなりだが、こんな場に立ち会わせてすまんな、スペシャルウィーク」
「いえいえ。チケゾーさんたちに誘われたんですけど、ややこしい事になってませんか、会長」
「今は会長ではないよ。我々の事情はエアグルーヴやスズカから聞いていると思うが、しばらくはここで静養してゆくといい。協会の君への中傷は、シンザンさんとハイセイコーさんが抑えにかかっている。直に収まると思う」
「太り気味のこの体形を元に戻すのには、時間がかかりますからね。がんばってみます」
「期待しているよ」
トゥインクルシリーズを離れ、キングヘイロー失踪の衝撃も重なったためか、スペシャルウィークは短時間のうちに太り気味の体形になってしまっており、ゴルシを呆れさせている。そのため、『TTG』の三人の発案の特訓メニューが提案されたわけだ。その内容は(ドラえもんの道具も使用した上で)かなりのハードに仕上がっている。ウマ娘にとってもきついものである。
「ブライアンさんはなんて、その体を借りたんですか?」
「相性や境遇の相似性の都合もあるんでな。姉貴が見たら、絶対におふくろへの話の種にしやがる。妹たちは喜ぶだろうがな」
「あれ、妹さんがいるんですか?」
「うちは子だくさんで、私の下に小学生が二人、後は赤ん坊だ」
ブライアンの下にも、ハヤヒデの姉妹がいることは初耳らしいスペシャルウィークだが、ブライアンとしても、妹達にサービスしてやりたいというのも覗かせる。
「ブライアンさん。なんか、前より優しい顔してますね」
「ブライアンも色々あったからな。ゆっくり休んだ後は検査を受け給え」
「はいっ」
うまいこと、検査と同時に予防注射と『措置』を済ませる流れに持っていくルドルフ。スペシャルウィークが行った後……。
「うまいこと持っていったな」
「まぁ、表ざたにできることではないし、シンザンさんからも『マスコミに漏らすな』と通達されたのでな」
「やれやれ」
「彼女ら向けの書類も送られてきたが、彼女らに伝えるために開封してある」
「内容は?」
「ゼク・アインというMSが敵の工廠で量産されだしたから、注意しろという内容だ」
「ゼク・アインか……」
ゼク・アイン。ウマ娘の世界でも存在する『ガンダム・センチネル』の物語で登場する敵方の量産機である。未来世界では少数の残存機が闇市に出回り、それをアナハイム・エレクトロニクスのグラナダ支社(元・ジオンの工廠)が目をつけ、入手。機体にあった武装を再現した上で、反政府組織向けに生産された。皮肉なことに、旧式化していたハイザックやマラサイなどに代わるティターンズ残党の主力機として注目され、ダイ・アナザー・デイで消耗したMS戦力の補充という事で、バダンも協力する形で納入された。ゼク・アインとて、基礎設計は第一次ネオ・ジオン戦争の頃だが、連邦の現用機であるジェガンと大差はない年度だ。また、非発見性の確実性を得るためか、新技術であるビーム・シールドは加えられていない。(残党組織などでは、ビーム・シールドは嫌われものである)
「小説だったか?……では、ペズンの反乱の際に全機が失われたとあるが、ここでは少数が残ったのか」
「そのようだ。ゼク・ツヴァイというものもあったそうだが、それは量産されないだろうとの注釈もついていた」
「それは姉貴と行った量販店でプラモを見たが、かさばるようだから、嫌われ者だろうよ」
書類についていたゼクシリーズの写真。ティターンズ残党も流石にゼク・ツヴァイの量産は躊躇った様子があり、アナハイム・エレクトロニクスからプリベンターが押収した音声データによれば、元・ティターンズ派の幹部がゼク・ツヴァイの運用効率の低さに難色を示しており、流石に『残党のMSとしては非効率だ』という結論が出されたようだ。だが、ハイザックやマラサイよりも高性能な『現用機』の水準の機体を残党が手に入れたのは由々しき事態であるため、連邦正規軍の頭痛の種になるだろうと〆られている。
「彼等はどうするのだろうな」
「ジム系の廉価量産型はお呼びでないから、ガンダムタイプ級の機体で対応するしかないだろうな」
ゼクシリーズはこうして、日の目を見た。ティターンズの非公式な主力機として。マラサイやバーザム以上に高性能であるが、マラサイより初期経費はかかるため、残党も運用開始はダイ・アナザー・デイから数年後になった。ジム系の多くでは対応が困難な性能である事から、グスタフ・カールの配備も進む。ジェスタはUC計画の頓挫で量産が立ち消えになり、代わりに『量産型νガンダム』が配備される見通しである。ジェスタが頓挫したため、量産型νガンダムが(部材をより高性能なものに変えて)量産されるため、妥協のようなものだが、示威効果は遥かに高い。
「格納庫に置いてある、量産型νガンダムのような、か?」
「実証実験用の機体と説明されたが、復活するようだな」
量産型νガンダムは量産予定が立ち消えになった後、サイコフレームが使用されていることもあり、ミネバ・ザビとの交渉ではやり玉に挙げられていたが、ジオン残党がトンデモ兵器を用意しまくっていた事が暴かれ、更に『ザビ家の復讐装置』が『生物兵器・アスタロス』と判明したため、ミネバ・ザビは引き下がるを得なくなり、量産型νガンダムの量産は予定通りに行われる。野比家に数機が置かれているが、受け取った段階では『量産予定が潰えた』と言われていたので、ジェスタの頓挫の代打という意味合いが強かった。