――結局、扶桑陸軍は混乱が重なった結果、雑多な機甲装備が入り交じる有様で、車種統一などは夢のまた夢な状態であった。これは陸軍内部にドイツ系装備の信奉者が多く、ティーガーやパンターをダイ・アナザー・デイで本土に持ち帰った部隊もかなりに登ったからだ。これに日本の防衛省は目を回した。当時の扶桑本土で運用が出来ない戦車であったからだ。しかし、1945年当時の扶桑国産車両よりは圧倒的に強力であったため、そのまま扶桑の南洋に留め置かれ、使用された。戦後型戦車は相対的に高価な代物であったため、調達が遅れに遅れたからだ。弾丸もダイ・アナザー・デイ前にカールスラント軍が遺棄していった不良在庫が大量にあり、不足することはなかった。つまり、ダイ・アナザー・デイ用にカールスラント軍が用意していた弾薬はそのまま連合軍に接収され、数年後に太平洋戦争でカールスラント系装備用に使われたわけだ。とはいえ、それを快く思わなかった日本の防衛省は国産戦後型戦闘車両の配備を促進したが、生産数は扶桑の需要に全く対応出来なかった。その場繋ぎにブリタニア製の車両の購入がなされ、保有数の割合が変化。国産車が2(旧型含む)、カールスラント製が2、日本産が1、ブリタニア製が3、リベリオン製が2(鹵獲品含む)となった。幸い、連合軍は1940年代以降の採用の軍需品は大まかな規格を統一していたため、戦車の弾薬などの特殊なものを除いて、融通が効いた――
――遠征ではこれがいい方向に働き、迅速な軍需品の補充が成った。だが、戦車の火力が通じないため、新式徹甲弾と次世代戦車の導入が進んだ――
「早くも、現用戦車レベルになるか」
「ナチの戦車が予想以上に強大だからな。それに、敵の幹部級の動きが見えん。何を考えている…」
この時期、バダンは幹部級に動きが見られず、連合軍を訝がせた。とはいえ、全体的にはバダンの優勢気味で、連合軍は機甲装備を予想外に喪失していた。仮面ライダー三号も顔見せはしたものの、その後は姿を眩ませている。映画撮影を装う必要上、砲兵の投入に制限があることが原因である。自由リベリオンは青天井の予算により、比較的に量産が容易とされる『M60戦車』を早期生産に成功。遠征軍に配備された。(爆発反応装甲などが供えられ、外観上はそう見えない車両も多いが)M60は現用の一世代前に相当する『新しい車両』である故、1940年代の世界では生産不可能と見積もられていた。だが、戦車は射撃指揮装置などの装備以外の基礎的な要素は第二次世界大戦中に完成の域に達している。砲、射撃指揮装置、装甲、エンジンなどの生産設備を供与すれば、1960年代から1970年代前半の登場の車種は比較的に簡単に製造できる。(戦後第三世代以降は第二次世界大戦当時の思想から抜本的に進歩している故、連合軍の製造設備の手に余る)
「M1はアメリカ合衆国から供与された分しかないか」
「本来はリベリオンに生産させるためのサンプルだからな。技術屋達は今頃、基地で喜々として分析してるだろうさ」
リベリオンの技術者達は『自分の生きている内に拝めないはずの』戦闘車両に大喜びだろうと、圭子は見積もる。扶桑は地下秘密工廠で20世紀後半以降の水準の兵器を生産配備している。ただし、精鋭部隊に優先して回されるため、前線にまんべんなく行き渡っていない。
「ヤークトティーガーを撃破するのに、こいつらを使う羽目になるとは。米軍が目を回すぜ」
M60戦車は本来、第二次世界大戦中の重戦車くらいは容易く撃破できる。だが、残党軍のそれは明らかに大戦期のものより装甲が強化されており、ヤークトティーガーの正面装甲は43口径90ミリ砲を寄せ付けない。(大戦期のものなら、撃ち抜いて然るべきである)
「これでパンターくらいは破壊できるな」
「改良型のようだが、豹くらいは問題ないだろう」
パンター戦車は史実よりも改良された型が使われているようだが、M60戦車の砲に耐えられる防御はないと見積もられている。また、バダンの鹵獲品はカールスラント軍が購入し、自国産のものの改善の参考にしており、カールスラントは結果的に、『予算不足と周囲の反対』でなし得なかった『年式が比較的新しい兵器の改善』をそれで成したと言える。
「レーダー元帥が言ってたが、ビスマルクとティルピッツの就役は続くのか?」
「ああ。クーデターで水上艦の一定数の保有は必要となったから、鹵獲艦を参考に改良するそうだ。ドイツ連邦はミサイルフリゲート艦の装備で代替する予定だったそうだがね。アメリカ合衆国も、アイオワ級戦艦を半世紀は使い倒したろう?その理屈だ」
パットンはそう明言した。結局、ビスマルク級は抑止力としての維持が決まったという。大和型戦艦とその対抗艦が登場し、バダンがZ計画艦を持ち込んだことで旧式化。ダイ・アナザー・デイに投入されなかったこともあり、『軍港の置物』化していた。だが、それに不満を持つ乗員がクーデターに加わったため、見せしめのために解体が決まるも、結局は抑止力としての保有に切り替わった。近代化された大和型戦艦が華々しく活躍したためである。しかし、カールスラントには『ミサイル装備を量産する』余裕はないし、日本連邦のものに比して大型の割に、原始的であるため、ビスマルクの改修は高射砲の強化に留まっている。日本連邦とリベリオンが建艦競争で戦艦を圧倒的に強化してしまったことにより、存在意義が薄れた欧州型戦艦。その事実に振り回された悲劇だった。
「悲劇だな。出来た時には欧州最強を自負していたのに、大和型が現れたら二線級扱い。今じゃ、それも怪しいが……」
「カールスラントは一次大戦で海軍国である事を捨てたんだ。当然だろう。国民は再建を夢見ていたが、ドイツはそれを潰そうとした。軍事大国化を抑止したかったんだろうが、それは混乱に陥れただけだった」
「だから、ブリタニアが再建を支援するように?」
「ブリタニアは軍事的負担に耐えられる財政状態じゃないからな。カールスラント海軍をある程度は復興させて、南リベリオンの制海権を守らせたいんだろう。海に疎くても、その位はわかる」
「ドイツがあれこれ情報を流したことで、却って軍備更新の機運が高まったからな。海軍は更迭されたデーニッツが潜水艦ばっか作ったせいで、水上艦が老朽化してきてる。そこも悲劇だな。その間に、こっちは超大型空母と戦後型潜水艦、ミサイル艦の時代に入ってるからな」
「だから、君たちの国が背負わなくてはならぬのだよ、ケイ。超大国の責務を」
「おう。それと、この世界のプリキュアは戦力としては数えられないから、守る必要があるがな」
「仕方あるまい。あの子らの能力値では、奴らと戦えんからな」
この世界のプリキュア5の能力値は現役時代のそれであるため、組織との戦闘に耐えられないとされ、保護対象とされている。最も、同世界出身ながら、既にパワーアップしているキュアアクアとキュアミントは別枠だが。
「しかし、ケイ。この世界のミルキィローズはどのタイミングで合流した?」
「史実よりだいぶ時間がズレてる。史実のタイミングは仮面ライダーBLACKにやられてるから、機会を窺ってたらしい」
史実でミルキィローズが初登場したタイミングは『仮面ライダーBLACKからパワーアップする事がなかった世界の南光太郎』に取られている事、組織の送り込む歴代怪人には『この世界のプリキュア5』では戦力不足であり、彼女を加えて尚も、『仮面ライダーBLACKが駆けつけるまでの時間稼ぎ』がせいぜいであった。そのために、パワーアップしてきた『転移、もしくは転生者としてのプリキュア』との戦力差が大きく、戦いに参加させられないと判断されたのである。
「そうだろうな。それがいいだろう。それと、追加の報告があるが、君のところの海軍のある造船技官が持っていた『空母信濃』の概略図が回収されたそうだ」
「造船技官が手放したものが戻ってきたか。クーデターの時に流出したから、心配してたが…」
「たぶん、ジェット時代に、あれでも小さいことがわかったんで、手放したんじゃないか?」
「それもあるだろうが、多分、大和型の改装なら、充分な性能があると思ってたかもな。だが、263mくらいで、ジェット機空母としちゃ小さいよ。概略図はどこに?」
「君に確認してもらう。扶桑に返却する前に」
パットンは部下に届けさせたその概略図を執務室で見せる。寸法、外見はほぼ史実の空母信濃と変わりはない。だが、通常型攻撃空母としての運用が予定されていたのか、搭載予定の艦上機は大鳳の設計当時と同様だ。
「烈風と流星、彩雲で72機を艦内、露天駐機で稼ぐ…無難といえば無難だな」
「どうだ?」
「古い日付のものだ。実際は半完成状態の船体を弄くる予定だから、格納庫が前後に分かれるから、長くは使えないって結論が出てたからな。だが、かなり煮詰めてるぞ」
圭子は空母としての理想形の信濃と考えた。史実の姿であれば、格納庫で72機というのは無理であるはずだからだ。
「たぶん、これは空母化予定が立った時の最良の形態での概略図だろうな」
「最良だと?」
「空母化自体、うちの世界では当て馬みたいなポジションだから、新型機を多数運用できるってセールストークが必要だったんだろ。最も、ジェット機水準じゃ、超大和でちょうどいいサイズくらいだが」
「恐ろしいな」
「ラーテを本当に試作できたカールスラントよりはかわいいさ。あれの契約不適合責任で揉めてるが、あれを作られても、なぁ」
「欧州でどう使う気だったんだろうな…」
「今、ここに持ちこませるなよ?」
「無理なのは、技術屋も分かっとる。それよりも仮面ライダーらのほうがよほど役に立つ。…そうだ、仮面ライダーBLACKのマシンだが、バトルホッパーは自己修復機能あるが、ロードセクターはどうするのだ?」
「RSコンピュータ以外は汎用品が多いから、部品は彼に渡しておく」
仮面ライダーBLACKは『RXに進化する出来事が起きなかった』だけで、その他はシャドームーン以外は史実通りに事が運んだ世界の住人なので、ロードセクターも有している。RXになった世界のロードセクターと別であるため、二台運用もできる。ただし、RXの世界のロードセクターは性能に微妙な差異があり、オフロードに若干の対応性がある。
「しかし、あんな形状でよく時速900km以上が出せるな?」
「ゴルゴムの最高技術の結晶な上、オートバイ設計の第一人者が贅を尽くしたからな。アクロバッターよりもまだ速いぞ」
ロードセクターは本来、ゴルゴムの技術者が私的探究心を満たすために設計したもので、モトクロスレーサーでも扱えないパワーである事から、仮面ライダーである南光太郎に託された経緯がある。特性はオンロードオンリーに近く、オフロードでは真価を発揮しきれないなど、ライダーマシンかしらぬ特性を持つ。とはいえ、速度性能、加速性能は歴代随一のもので、バトルホッパーの進化形『アクロバッター』をも上回る。パットンから見ても、些か不格好なフォルムだが、その性能は極めて高い。
「信じられんな」
「そもそも、普通の科学じゃ、旧サイクロンの最大速度にも到達するか否かだからな。奴等の技術の凄さがわかるよ」
「それで、昨日に空挺部隊が鹵獲したショッカーサイクロンだが、どうする?」
「ショッカーライダー用だろう?改造サイクロンにして、予備に回したいらしい」
「しかし、仮面ライダータイプの雑兵もいるとは?」
「三号を改造する過程で作った量産型のショッカーライダーを出してきたんだろう。一号と二号クラスの性能があるが、オツムが悪人素体だから、雑兵でしかない」
「君たちや転移組であれば?」
「戦えるよ。三号は本物のライダーと同等以上の力だから、綾香でも、単独ではやらすわけにはいかねぇよ。リベンジの機会を狙ってるようだが、奴は……黒井響一郎は光速に対応できる」
「そこまでの力を?」
「大首領の秘蔵っ子だ。並行時空のダブルライダーを捻り潰すほどの実力を持つ以上、あたしらでも、ピンは危険だ」
仮面ライダー三号は正式なホッパー計画のバージョン3である。黒井響一郎が1972年時点で妻子持ちである事から、壮年期にさしかかる年齢でありながら、初期の改造手術に耐えたという事実が浮かび上がる。圭子が『単独では危険』と明言したあたり、三号は明確に『仮面ライダーを倒すための仮面ライダー』であるのがわかる。
「奴の造られた目的は?」
「対ライダー用のライダーが表向きだが、大首領の器候補だったかもしれん。世紀王や創世王に対抗するための」
黒井響一郎は脳改造は施されていないが、明確に黒江たちの敵として立ち塞がっている。その目的はわからない。快傑ズバットのような復讐者然とした雰囲気も持つ一方、改造時の壮年にさしかかる容姿の人間態では、元々が所帯持ちだった面影を覗かせるなど、謎が多い。破壊活動には加わっておらず、単独行動が大首領に許されているほどの特権を持つ『大幹部』。その立場を考えれば、パットンの推論も説得力を増す。
「……儂だ。そうか。完成したか」
「どうした?」
「まだ試作段階だが、アナハイム・エレクトロニクスから提供されたサイコフレームを加工し、擬似的にミラクルライトか、それに準ずるブースト能力を備えさせたアイテムができた。君の部下で試したいが、手空きはいないか?」
「擬似的なミラクルライトか。……そうだな、ぶーたれてた、この世界のキュアドリームを連れてくるか。シャイニング形態までなら、なれんじゃね?」
と、かなりアバウトなその場の思いつきで、圭子はキュアドリームBを呼び出した。
「なんですか?」
「いきなりでわりぃが、この試作品の被験者になってもらう」
「えーーーー!?」
いきなりの台詞にずっこけるキュアドリームB。
「テストもまだだが、な~に、ちょっとした実験だ」
「じ、じ、実験!?」
「なに、私達の世界の日本の軍需産業がミラクルライトを分析して作ったものだ。君の知ってるところの川崎重工業だったっか」
パットンもいい笑顔で補足するが、却って怯えさせる。
「川崎って、バイクのカワサキですよね!? なんで、軍需品作ってんですかぁ!?」
「メーカーのエンジニアが聞いたら泣くぞ~」
「え?」
「あそこ、昔から軍需産業してんだよ。飛行機中心だけど。電車も作ってるんぞ」
「そ、そうなんですか。でも、こういうこまいの大丈夫なんですかぁ!?」
「そうでなきゃ、エンジンが作れっかよ。ロケットも作ってた気がする。とにかくやってみるぞー」
「ち、ちょ、ま…」
と、圭子はその試作品を作動させる。すると、サイコフレーム由来の淡い光が彼女を包み込み、キュアレインボー形態(この場合はシャイニングドリームにミラクルライトのパワーが上乗せされた形態)に変化させた。
「えーーーー!? キュアレインボーになってるーーー!?嘘ぉ!?」
「成功だな」
「ああ。ここまでの効果があるとは」
「ど、ど、どーゆーことですか!?」
狼狽するキュアドリームB。正規のミラクルライトでないもので、ここまで強化されるとは予想外だったらしい。
「思いの力を増幅させて、お前に注ぎ込んだ。この世界の人々がお前に抱く希望のイメージをな。その結果がそれだ。多分、効果は半日か、一日くらい。外からブーストをかけたから、任意の解除は当分は受け付けんだろう」
「そ、そっかぁ…。ん?そっちの私は今、何を?」
「休暇中だが、故あって、ドラえもんの道具で、ある人物に体を貸してる」
「貸してるって、人の体をそんな、ビデオみたいに」
「お、ビデオ分かんの?」
「ギリギリですけど」
のぞみは2008年時点でほぼ15歳。そこから逆算すると、1993年くらいに生まれているため、レンタルビデオ店の時代をギリギリ体験している。これは両方で共通だ。
「ちょうど、友人ののび太から写真を預かってる。これだ」
「え……」
圭子の渡した写真には、目つきが鋭く、壁に寄りかかり、腕を組んで立つ自分(鼻に絆創膏あり)が写っていた。通常形態であるが、どこか無頼的な雰囲気を漂わせている。
「なんか、どこぞの番長みたいな事になってません?」
「そりゃ、中身が他人なんだから当然だろ」
「どういう人が私の体を?」
「それが……説明しにくいんだ。お前の親父さん、競馬中継みるか?」
「け、競馬?確か、結婚する前に、オグリキャップって馬を見に行ったとか。絵本作家になったから、私が生まれる辺りにはやめてたはず。それが何か関係が?」
「大有りなんだよ、これが」
「?」
「違う世界があるってことは、競走馬だって輪廻転生するだろ?」
「はい」
「そうしたら、また馬の姿でないことはあるだろう?」
「そりゃ、そ……う!?」
「そう。これも次元世界の不思議。競走馬の生まれ変わりのような存在がいるんだよ。それも、人が馬の能力を持ったような姿で」
「えーーー!?そんなアホな事が……」
ウマ娘は次元世界を通しても珍しい存在。たとえば、艦娘は『艦魂が人の姿を得た』存在だが、艤装は能力というわけではない。だが、ウマ娘は『競走馬の気質やその能力を人の肉体に宿し、変質させる』形で生まれ、繁栄してきた点で、艦娘と明確に違う。戦前期までは農耕馬や軍馬のウマ娘もいたようだが、21世紀の時点では、種の大半が『競走馬のウマ娘』である。更に言えば、生まれた時代が違う競走馬であっても、ウマ娘としては殆ど同時代を生きている場合が多い。たとえば、90年代前期の三冠馬であるナリタブライアンと、世紀末に名を挙げたサンデーサイレンスの子である『スペシャルウィーク』が同時代を生きているように。
「別のお前の体を借りたのは、ナリタブライアン。お前が生まれる頃に三冠馬として名を馳せた名馬。その生まれ変わりだ」
「な、ナリタ……ブラリアン?」
「ちゃうちゃう!! ブ・ラ・イ・ア・ン!それじゃ、TVのバラエティで走ってたポニーになっちまう」
キュアドリームBは偶然だが、ナリタブラリアンと言った。本人が聞いたら、大喜びだろう(ウマ娘世界では、ブライアンの遠戚のポニーのウマ娘らしい)。圭子もそこは大阪の漫才コンビのようにツッコむ。ブライアン本人もキュアドリームの体は(背丈が殆ど同じな事から)使い勝手がいいようで、最近はプリキュアのコスチュームの上から、フライトジャケットを羽織っている服装を見せている。ライバルのマヤノトップガンの姿にヒントを得たようで、本人もまんざらでない表情だ。
「あれ、このジャケット。あなたたちもよく着てるやつじゃ?」
「フライトジャケットか? 便利だぞ?お前も、うちのほーはプリキュアのコスチュームの上から着てること多いぞ?」
「そうなんですか?」
「儂のようなお偉方が来る会議に、そういう格好で出るわけにもいかんだろう」
「え、私、そんな立場なんですか?」
「直に中佐の椅子が見える立場だ。教師に転職させられなかった代わりも兼ねていると聞いている。かなり威張れるよ」
パットンもいうように、キュアドリームAは空軍の佐官。本来は飛行隊の司令でもいいくらいの立場にある。基本的に佐官になると、尉官以下の者よりかなり責任を持たせられるが、やれることも大きくなる。64Fでは使いっぱしりの階級でしかないが、他の部隊では隊の指揮を任せられる立場であり、パイロットでいられるギリギリセーフな階級だ。
「そうだな、軍隊の映画でおなじみの軍曹とか曹長なんて、遥か下。少尉や中尉もそこからすりゃ、使いっぱしりさ」
佐官は作戦の詳細が伝えられる立場なので、将校団の屋台骨に近い。のぞみAは立場上、何らかの管理職でもいいくらいの出世を果たしているが、将官が戦う64Fでは『使いっぱしり』。本来は大尉以下の担う職責だ。
「ほえー……」
「ガンダムタイプに乗れる特権あるんだぞ、お前」
「え、あの種類のロボット、誰でも乗れるわけじゃないんですか?」」
「ワンオフのハイエンドモデルだ。もうじき、この世界でもお台場に立つと思うが、あれの後継型なんだけど」
「ロボットアニメ、そんなに見てなくて」
「そっかー」
お台場ガンダムが立つか立たないかの時代に生きるのぞみBだが、Aはその後継機種を乗り回し、デザリアム戦役のエースパイロットとなった。その戦功で中佐昇進が約束されている。プリキュアなのも大きいが、何よりも、地球連邦軍でも珍しい『女性のエースパイロット』なのも、出世の一因だ。
「でも、なんでまた」
「キュアメロディもだが、素質があった。それで乗せたら…って奴だ。あいつもガサツだろ?」
「キャラが違いすぎますよぉ」
「あいつは現役時代と別人だよ。プリキュアの姿を保ってる状態でバイクいじってるしな」
「私の知ってるメロディは大人しい感じだったけど、そっちじゃ、ガサツで、サバサバしてません?」
「素体の基本が残った上、更にややこしいことに、何回かの転生の人格が合体したんだ。そのおかげで、ガサツな性格だよ」
キュアメロディAはシャーリーの基本に、紅月カレンやら麦野沈利やらが有名なお菓子「ねるねるねーるね」のように上手く混ざった影響か、ガサツで、勝ち気な性格が基本になり、紅月カレンが主体になっている。そのため、戦闘モードになると、バルクホルンもドン引きなほどに熱くなる。
「ま、おすましで大人しくできるが、基本はガサツで、熱血だ。あと、スピード狂だな」
「ラブちゃんみたいですね」
「あ、そっちでもか?」
「そっちも?」
桃園ラブは『ハンドルを持つとスピード狂になる』という知られざる一面があり、A世界ではすっかりレースの常連(キュアピーチの姿で出まくっている)である。B世界でも同じなようだった。A世界では、通勤にオートバイを使うなど、すっかりオートバイのある生活で、シャーリー(キュアメロディ)の相棒二号になりつつあるほど。2つの世界にある共通点の存在に、胸をなでおろすキュアドリームBであった。