ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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ころばし屋編です。


第四百十八話「間話~束の間の休息~」

――オグリキャップとタマモクロスの歴史改変の試みは大成功を収めた。大まかな流れは変わらないが、タマモクロス達の引退時期がオグリキャップと同時期にまで延びており、『オグリキャップの時代』と総称される程であった。だが、オグリキャップはいわゆる『成り上がり』であり、中央生え抜きではなかった。教会はルドルフの後継ぎを必死に探したが、三冠達成者であったブライアンは怪我でシニア期は低迷し、ルドルフの愛弟子であったテイオーも怪我で全盛期を終えたとされていたため、テイオーの更に二世代後の有力候補である『ディープインパクト』を推し始めていた。ブライアンとテイオーはそれに抗うため、シニア期での復活を期していた――

 

 

 

 

 

――二人の能力は施術の効果で、全盛期の水準に戻っていた。ブライアンはディープインパクトやオルフェーヴルと言った『三冠を運命づけられた次世代の者たち』に対抗するため、能力を全盛期から更に伸ばそうとしていた。年齢的に『ウマ娘としてのピークはとうに過ぎていた』ため、医学的チートを用いてでも、全盛期の水準に戻さなくては『次世代のウマ娘にには対抗出来ない』という確信があったため、脆さが残っていた精神面を鍛えるため、ころばし屋騒動に深く関わったのである――

 

 

 

 

 

「ブライアンさ、どうして、体を貸したの?」

 

「体の疲労を抜くためもあったが、ガキの頃から引きずっているものを超えるには、全く別の環境に身を置くのがてっとり早いと思ったからだ。形は違えど、戦うわけだし」

 

「意外にノリいいじゃん?」

 

「ガキの頃、こういうアニメを見ていなかったわけじゃないからな。誰でも通る道だと思うが」

 

「そりゃそーか」

 

ビコーペガサスがヒーロー大好きっ子であるように、カワカミプリンセスもヒロイン大好きっ子である。ブライアンも幼少期は相応にアニメを見ていたらしく、成長後も下の妹達に付き合って、TVを見ている関係で、その二人よりアニメに詳しい側面がある。そこがどことなく上流階級的な雰囲気たっぷりなルドルフと違い、親しみやすいと言われる理由だ。

 

「元の世界に戻れば、学園の自治やら、世論の処理やらに追われて、お前も私達もレースどころじゃなくなる。次世代の連中は青っちょろいガキでしかないしな、今のところ」

 

「そりゃ、中学生くらいだもの。ボクたちもあまり偉そうに言えない年齢だけど」

 

「この間まで、ランドセル背負ってた連中よりは世の中を知ってるのは事実だろ?」

 

「まーね。ボクも両親に家を継いでくれって言われだす年頃だしさ。ボクんちは元・華族系の旧家なのよね、カイチョーと同じで」

 

「戦後に事業に成功して、名士と言われ続けたケースか」

 

「ボクのひーおじいちゃんがそんな感じかな。元の華族って、武士の支配層だったり、公家の上の方にいた先祖の名前で持ってるって感じで、戦後の世界じゃ『世間知らず』っていう陰口叩かれる身分だからね」

 

「明治に日本が築いた秩序が否定されても、対外的には名家扱いなんだから、豪農たちよりはマシだろ。バブル崩壊で没落した豪農系の地主はたくさん出たが、元の華族なら、往年の威光で援助されやすいし」

 

「まーね」

 

ウマ娘世界も基本的に、大抵の世界と同様の歴史を辿ったらしい。ただし、ウマ娘はまったくのランダムに生まれる種族なので、テイオーとルドルフのように、華族系の名家の令嬢という出自を持つ場合がある。これは前世の出身牧場が『世間に名を馳せた大規模牧場である』場合に多い。メジロとシンボリはウマ娘世界では『名家』である。その一方で『サクラ』のように、『とある競争クラブに共通して属していた』という『緩めの繋がり』で関係を持つ場合もある。ナリタ家は双方の中間で、『お互いに遠戚関係だが、家自体は特段に裕福というわけではない』。

 

「サニーの奴がそろそろ台頭してもいいはずだ。あいつが輝くのは今しかないからな」

 

「ああ、サニーブライアン」

 

「奴は私のそっくりさんその二だが、二冠できるに足る力を持つ。前世では、フロックだの言われたそうだが」

 

サニーブライアンはブライアンの前世での異母弟にあたる競走馬で、サイレンススズカ、マチカネフクキタルと同期のクラシック二冠馬である。ウマ娘世界にも存在する。ブラリアンと並んでの『ナリタブライアンのそっくりさん枠』として知られているが、彼女もまた遠縁であるが、ブラリアンよりはかなり近い(前世では異母弟)親戚関係にある。

 

「呼び捨てってことは親戚か何かなの?」

 

「お袋の従姉妹の子供らしい。まぁ、法的に親戚に入る範囲だ。スズカとフクキタルの同期だから、シニアに入る年頃だな。その前に旧体制最後のドリームシリーズだが、ルドルフが〆るそうだ」

 

「カイチョーの一人勝ちじゃない?対抗できそうなのはマルゼンだけど、脚質的に長距離は未知数だし」

 

「シリウスも出るそうだが、全盛期に戻ったルドルフには、食らいつくのが精一杯のはずだぞ?」

 

「シリウスも負けず嫌いだからなぁ。それに、シンボリ家の一員としてのプライドもあるんだろうね」

 

「プライド、か。欧州で奮戦した実績は褒めるが、奴の国内での実績は『ミホシンザンさんの不在で得られた』って言われることあるから、ある意味じゃ苦労人だぞ」

 

「だから、捻くれたのかなぁ」

 

「何気に残酷だぞ、お前」

 

ブライアンは元の世界には当面は戻らないが、ルドルフはドリームシリーズの旧体制下での最後の一戦に出場する日が近くなり、元の姿に戻り、定期便で学園に戻った。コーチ役は先輩であるグリーングラスだ。

 

「グリーングラス先輩が臨時トレーナーになってくださったからな。今度のドリームシリーズは面白くないだろう。ルドルフの一人勝ちだからな」

 

「まー、出走表の面々が決まってないんだし、まだ早いって」

 

と、早くもルドルフの勝ちを決め込むブライアンを諫めるテイオー。ルドルフの同期たちにも『太刀打ちできる者』は数名いるし、最大ポテンシャルは劣るものの、全盛期(三冠達成時)であれば、ルドルフに勝つ可能性が高かったミスターシービーが参戦すれば、レースは荒れる。シービーもそれは分かっているはずだ。

 

「シービーが出たら、カイチョーもうかうかしてられないよ?全盛期に近い状態に仕上がってたら、カイチョーに追いつけるだろうから」

 

「そうか、奴がいたな」

 

「現役時代はちょうど落ち目の時だったから、カイチョーに勝てなかったのを気にしてたしさ」

 

ミスターシービーはドリームシリーズを面白くさせる要素。既に協会の役職についている『TTG』は出場するハードルが高いため、現時点で『全盛期の脚を取り戻した』シンボリルドルフにドリームシリーズで太刀打ちできるであろう、数少ないウマ娘である。(オグリキャップ、タマモクロスなどがその回は出場しないため)

 

「……ルドルフの横綱相撲と思ったが、見応えあるレースになりそうだ」

 

「その姿だと、ギャップあるね」

 

「仕方ないだろ。騒動は終わってないんだ。それに、この街の治安はどうなってる。ころばし屋に打撃を与えたと聞いたその次の日に、チンピラ共がたいそれた装備で襲撃してくるなど…。80年代の刑事ドラマか」

 

「ジオンやナチ残党の襲撃じゃない分、まだ良い方だってさ」

 

「……映画じみてるな」

 

「ボクたちの存在自体がそれだよ、この世界じゃ」

 

ブライアンは騒動中はキュアドリームから体を借りているつもりであるらしい。ブライアンはルドルフよりは世俗を理解しているが、この時は自分たちを棚に上げての発言であったので、テイオーも流石にツッコむ。

 

「それはそうだが…」

 

「それはそうと、マヤノがF-14に乗せろって言い出してさ」

 

「手始めに、P-51に乗せて、様子を見ろ。戦闘機は遊覧用の飛行機とはまったく違う代物だからな」

 

「確か、空中散歩用に、複座に改造した奴が一機あるんだったね」

 

「数が多いから、パーツも確保し易いからな、マスタングは」

 

地下格納庫には、のび太が空中散歩用に確保していた『P-51マスタング』(ウィッチ世界の余剰機を引き取った)が一機ある。ウィッチ世界では、史実より性能の良い型式の『H型』が実戦投入されたが、パイロットが折角の高性能を持て余すわ、超人の巣窟と化した64Fに飛行軍単位の数があえなく撃滅されるなど、一年戦争でのリック・ドムもかくやの敗北の連続であった。だが、素の性能水準は当代最高レベルであるのは事実。鹵獲された機体は『高性能機』として重宝がられてもいる。敵味方全体で使用された機種であることもあり、ウィッチ世界でも多数が払い下げされている。のび太が入手したものは扶桑軍が試験のために有していた個体を譲り受けたもので、塗装を米軍式に戻してはいるが、日の丸は描いている。(扶桑は1945年には、次世代技術のジェット機に関心を移し、ダイ・アナザー・デイ当時には既にF-86の生産にかかっていた関係で、マスタングのライセンス生産へ関心を持つ事はなかった)のび太が空のツーリングに使うことになった個体は元は扶桑軍で試験に用いられていた個体なのだ。

 

 

「あ、マヤノに悪いけど、あの世界だと、マスタングの戦績は良くないんだよね。テックスペック自体はいいんだけど、パイロットが史実よりヒヨコで、相手方が百戦錬磨の猛者揃い、おまけに、格闘戦で右に出る者はいないって評判の日本軍だったから、あれよあれよで落とされまくったそうで」

 

「仕方がない。開戦時の精鋭が生きてて、紫電改や雷電級の機体を得られた世界なんだ。ドッグファイトの時は速度は落ちるし、そういう時の練度が世界最強だった時の日本軍なら、マスタングをひねるのは簡単だろ?」

 

「F8Fのほうが強敵だったみたいだけど、こっちもこっちで、ジェット機とターボプロップ機の噛ませだったみたい。まぁ、そうなるよね」

 

 

ダイ・アナザー・デイの空戦は日本では、『まともなパイロットのいない扶桑は有象無象のように蹴散らされるだろう』という下馬評だったが、実際には扶桑があの手この手で義勇兵を募り、パイロットの質を上げていた事、更にその義勇兵たちは多くが『太平洋戦争の激戦を戦い抜いた百戦錬磨の猛者たち』であった事、史実と比較にならないくらい良好な工作精度、100オクタン価以上の品質の燃料が惜しげもなく使えた事などの要因により、紫電改と烈風は(史実で日本側が大戦後期に夢想したような)戦果を挙げられたわけだ。特に、紫電系は実質的に扶桑軍の2000馬力級戦闘機としての主力として大量投入され、失われた数も相応に多いが、総合的キルレシオでは勝っているという結果を残している。紫電系は設計の異なるターボプロップ機である『陣風』に途中でバトンタッチしているものの、生産は続けられた。主力としての責務を果たしてのバトンタッチであるため、史実より幸せな道を辿った。F8Fのみが強敵だったが、それ以上に高性能な機体が味方にある事から、問題視されていなかった。二人はけして詳しくはないが、曽祖父の世代の体験談、小説などで、そういう類の知識があった。そのため、ダイ・アナザー・デイの戦闘詳報を閲覧しても、問題なく理解出来たのだ。

 

「後世の人間は、ああいう記録をもとに研究するんだろうな」

 

「南北戦争とか、正確な記録がされてないのはいくらでもあるからね。太平洋戦争も、当事者が口を噤んだから、米軍の記録を頼りにしたら、日本側の当事者に文句言われたなんて、よく聞く話だよ」

 

そういう研究はいつの世も存在する。特に、軍縮時代を経た後の未来世界では『一年戦争の研究』が盛んである。この場合もジオンの記録では『撃墜数が明らかに多い』、一年戦争終結時の残存部隊数から、『地球連邦軍がなぜ残党狩りを続けているのか』という理由の説明が困難であるなど、一般人から見ても問題が山積している。

 

「やれやれ。研究者の飯の種はあるってヤツだな」

 

「タイムマシンの技術がほとんどロストテクノロジーになって、ドラえもんが現れることで、復活の目処が立つ有様って言うからね。統合戦争のゴタゴタで、各分野の研究機関にあったデータも散逸したっていうし。その復活を邪魔するくせに、自分たちは技術力を誇るんだから、ジオンは嫌われ者なんだって」

 

「元々、サイド3は反・超テクノロジーのイデオロギーを持ってる連中が集められたというからな。そいつらがその残滓でMSを開発するのも皮肉なもんだ」

 

「世の中、そ~いうものだよ。未来世界でガンダムを否定しようとしたら、認知度がすごくなってたから、異星人との戦争での旗印に仕立て上げるのも、そういう流れの結果だし」

 

「ディープインパクトやオルフェーヴルが台頭したり、私がルドルフの後継ぎを期待されるのも運命の因果だからな。まぁ、まだまだ若いモンには負けんよ」

 

「オルフェーヴルが聞いたら、年寄りの冷水なんて言われるよ~?」

 

「…の割に、ジェンティルドンナに負けてるからな、あいつ」

 

ブライアンは本来、ディープインパクトやオルフェーヴルとは世代がだいぶ離れている。そのため、ブライアンが全盛期の状態で戦ったとしても、サンデーサイレンスの子や孫である彼等に対抗できるかは永遠の謎である。ウマ娘としての最大ポテンシャルは二人に劣らないと自負するが、それは『全盛期の状態なら』という修飾語が付く。史実の晩年期の状態だった場合は二人に大きく劣ってしまう。ブライアンは全盛期に戻っているからこそ、二人と戦える自信があるのだ。(ただし、ブライアンとオルフェーヴルは『生前の成績が似通っている』ため、オルフェーヴルと同等の潜在ポテンシャルを持つと推測されている)

 

「全盛期に戻ったからか、余裕出てきたね」

 

「衰えた状態なら、あと二年で引退するのはマジに考えていたからな。だが、全盛期のポテンシャルを恒常的に維持できるのなら、『やりたいだけやってから』去るさ」

 

ブライアンは処置の効果で全盛期のポテンシャルを取り戻せたためか、ドリームシリーズ行きを先延ばしにし、現役継続を公言しだした。

 

「それ、公に?」

 

「ああ。先輩方を通して、正式に教会に通告した。ディープインパクトが三冠になるまでの繋ぎを務める条件で、素行を不問に付す事を約束させた」

 

ブライアンは教会に『素行不良を不問に付す』という条件を提示。それを呑ませた。伝言役はメジロマックイーンにさせて。

 

「マックイーンに伝言役をさせた。私だと、喧嘩腰になりそうでな」

 

「あ、あ~あ…なるほど。で、すっかり板についたね」

 

「マヤノに、ドヤ顔でうんちくを聞かされたがな」

 

苦笑交じりのブライアン。フライトジャケットをプリキュアのコスチュームの上から羽織っているが、フライトジャケットに関するうんちくを、マヤノトップガンから聞かされたらしい。さすがにプリキュアのコスチュームで街をぶらつけないだろうと言われ、マヤノトップガンの薦めで着たらしい。

 

「ルドルフは今頃、役職を退いた一ウマ娘になったから、気楽にやってるだろうな」

 

「シリウスが絡むんじゃない?」

 

「あ、そうか。あいつを忘れてた」

 

「シリウスって、どうして上から目線なのさ」

 

「海外行ったからだろ?掲示板は外さなかったが、帰った時にはミホシンザンは去ってたし、あいつも全盛期は過ぎてたから、負けこんだからな」

 

シリウスシンボリは現役時代、海外帰りという泊で国内に復帰したが、その頃にはオグリとタマモの世代が台頭してきており、精彩を欠くレース続きで、引退を余儀なくされた。オグリキャップとタマモクロスの歴史改変後は『二人の前では、三下と世間に見做される』屈辱を味わったが、ダービーウマ娘の矜持は守りきっている。

 

「それ言うなら、カイチョーのおばあちゃん(スピードシンボリ)の方が偉くない?」

 

「それを言うなよ。奴が聞いたら、ますます撚るぞ」

 

「んも~…めんどくさいなぁ」

 

「ルドルフが引退した今、シンボリ家の期待は外様のシンボリクリスエスにかかってる」

 

「ああ。嫡流がみんなダメダメだもんね…」

 

「ああ、ルドルフの引退後に名を成したシンボリはシンボリクリスエスまでいないからな」

 

クリスエスはシンボリ家の外様に位置する。それでありながら、結果的に(後々にだが)ルドルフの後継ぎに推されるに至るほどの実力者に成長する。これはシンボリ家の嫡流の者達がよってかかって、トレセン学園に入ることすら怪しい実力しか持てなかったことで、ルドルフの父が養子を取ったからである。

 

「前にカイチョーから聞いたんだけど、忘れたなぁ、その子達の名前」

 

「アイルトンシンボリ、ジュネーブシンボリ、プレストシンボリだな。嫡流がどうにもダメだったからな。オジュウチョウサンは分家筋らしいが、あいつは障害だし」

 

シリウスとルドルフの引退後、シンボリ家は嫡流に後継が生まれず、外様にあたるシンボリクリスエスを養子に迎え入れることにした。その彼女は後々にシンボリ家を中興に導くほどの功績を立てていく。彼女は外国出身で、その才能を買われ、養子縁組でシンボリ家に名を連ねた。ブライアンはオジュウチョウサンの存在も知ったようだが、シンボリ牧場で育てられていない。なお、シンボリクリスエスは天皇賞(秋)と有馬記念を連覇する運命にあるので、シンボリ家にとっては、ルドルフ以来の逸材である。史実では、その孫の代でデアリングタクト、エフフォーリアを輩出する。

 

「シンボリクリスエスの孫が大物揃いだが、シンボリ家そのもののの輝きはクリスエスが最後になるかもな」

 

「メジロみたいに『名が消えてない』分、未来に希望はあるさ。マックイーンを思えば、まだ気が楽じゃないかな、カイチョー」

 

「マックイーンの史実の孫は……ゴルシとオルフェーヴルか……。それはそれで幸せだと思うがな」

 

マックイーンの父系は絶える運命かもしれないが、母系の孫達が後世に名を馳せたのは、ルドルフとテイオーの親子より恵まれているかもしれない。ブライアンから見ても、そうと言える功績がゴールドシップとオルフェーヴルにはある。とはいえ、マックイーン個人としては『孫たち』が問題児であった事の方が頭が痛いはずだが、マックイーン本人も現役の晩年期からはゴルシを思わせる我儘な気質になりつつあったため、外聞を取り払った場合の『素の性格』はゴルシに近い疑惑が出ている。(実際、野球観戦の時には素の性格が表面化しており、熱狂的なファンぶりを見せている。そのおかげで、却ってマックイーンと気づかれていないという。ただし、たまたま、球場でアルバイト中のアイネスフウジンには目撃されてしまっているが、アイネスフウジンの自主規制で公になっていない)

 

「マックイーン、あれで野球好きだから、観戦に誘ってあげたいけど、生徒会長を継いだからなぁ」

 

「私が連れて行ってやると伝えろ。理由はいくらでも言い繕える」

 

「分かった。ボクも仕事の引き継ぎの続きをやるよ。ブライアンはいいよねぇ、留任だから」

 

「お前を補佐する事になったエアグルーヴのほうが気が気じゃないだろうな」

 

「ボクだって、シニア級の年齢だよ?少しは大人になったんだから~!」

 

「へいへい」

 

ブライアンは投げやりながらも、以前より砕けた返事で返す。ブライアンも以前よりは気楽に構えられる立場になったが、今は『街の平和を取り戻す』仕事を遂行しなければならない。ゴルシ、タイシン共々、当面は休養期間であるからこそ、可能な芸当である。

 

「でもさ、その体の持ち主のプリキュアさん、かなりチートになってるよね?」

 

「転移後に色々あったらしいからな。はっきりいって、プリキュアの範疇を超えている。素体の人物の能力を使えて、途中で融合したスーパーロボットの系統の能力と、それと深く関係する『ゲッターロボ』の能力も扱えて、フラッシュシステムに適応するってのは、はっきりいってチートもいいところ。おまけに、特訓で昭和ライダーの技を身に着けているんだぞ?悪と戦うには充分だと思うんだが、これだけ盛っても、尚も苦戦する敵が普通にいるから、私達と不思議に共通しているよ」

 

ブライアンも、ドリームがこれだけの強化を経ていて尚も、けして無敵ではないという塩梅である事を関心している。ルドルフとて、全盛期、カツラギエース、ギャロップダイナの二名に足元をすくわれているし、ブライアン自身も『覚醒』までに敗戦を経験しているからか。(次元世界全体を見渡せば、ウマ娘の身体能力を普通に上回るヒトは多い。例えば、東方不敗・マスターアジア(シュウジ・クロス)、その弟子であり、後継者のドモン・カッシュ、流竜馬、神隼人、一文字號、橘翔は素でG1ウマ娘を身体能力で上回るし、かつてのゲルマン忍者達はドモンや東方不敗を更に手玉に取れるだけのパフォーマンスを持っていた。ウマ娘たちも(ルドルフとシンザン、マルゼンスキーを例外として)強いウマ娘が現れれば、その同世代、あるいは一世代後に互角の力を持つ者が生ずるのは当然の事だ。

 

「それもまた、神様がうまい具合にしたもんだよ。仮面ライダーやプリキュアたちも常勝ってわけじゃないからね」

 

「確かにな。さて、買い物に行ってくる。そろそろ、タイシンが見回りから戻る頃だろうから、見回りもついでにしてくる」

 

ブライアンはタイシンとは親戚にあたる。そのため、姉の親友である彼女にタメ口を聞いている。タイシンも(親類であるためか)ブライアンに気を許しているらしき素振りを見せている。ゴルシが間を取り持っているからだろうが、以前より明るい表情をすることが増えている。タイシンはキュアフェリーチェの体を借りているわけだが、キュアフェリーチェ本来の優しいイメージは守っている(気恥ずかしさがなくなるためか?)。ゴルシはキュアビートの体を借りているものの、こちらはゴルシらしさ全開である。ころばし屋Zの襲撃に備えつつも、束の間の休息に身を委ねるナリタブライアンだった。

 

 

 

 

 

 

 

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