ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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ころばし屋編です。


第四百二十話「間話~ジオン残党軍対プリキュア(入れ替わり)~」

――ジオン残党の見境ない攻撃は過去の世界にも及んでおり、ウマ娘たちがそれをプリキュアの体で迎え撃つ事はザラに起こっていた。そのため、ころばし屋を一時的に大人しくしても、それと別に、街の危機は続いていたのだ――

 

 

 

――ある日――

 

「今日の残党は珍メカ全開な歩兵戦闘車とマゼラ・アタックで肉弾戦か?ったく、自衛隊が来れないのを良いことに、好き放題してくれる!」

 

「ゴルシ、Gフォースへの出動要請は!?」

 

タイシンが重大な事を問う。

 

「もう出した!直に、メーサー殺獣光線車とかメーサータンクがやってくる。それまで食い止めるぞ」

 

ジオン残党はMS以外の戦力も数多く持っており、戦車部隊もまだ生き残っていた。全てがザク・タンクにされたわけではなく、火砲性能のみなら、巡洋艦に匹敵するという威力を活用され、事実上の自走砲として運用された。マゼラ・アタックは支援戦車という名目で配備されており、通常型戦車も一定数は存在していた。だが、ジオン軍はMS至上主義的な風潮が後期になるほど強まったため、戦車の配備数は減っていった。しかし、実際にはMS以上の数の戦闘車両が使用されており、マゼラ・アタックなどは戦後もゲリラ活動を下支えしていた。

 

「そこは支えて!そこを抜かれたら、市街地になだれ込まれる!」

 

テイオーからの通信越しの指示に、ヤケクソ気味な返事を返すゴルシ。

 

「くそったれ、イラクだか、アフガンか、カンボジアかどっかの戦場にいる気分だ!!」

 

「しゃーない!『コイツ』の持ってる技を使う!!」

 

タイシンはキュアフェリーチェの体を借りているため、彼女が2022年までに身につけた全能力を使用できる。それを活用した。ゴルシはテイオーからの通信に半ギレで応えている。街のイベント会場周辺が瞬く間に戦場に変わってしまったからだ。

 

『ルストストリーム!!』

 

強酸の暴風をアイテム無しで発生させ、先頭集団のマゼラ・アタックを腐食させ、行動不能に陥らせる。更に。

 

『まとめて吹き飛べ!!ドリルテンペスト!!』

 

穂先がドリルになっている槍を召喚、ドリル部分を高速回転させ、暴風を発生。その暴風を操り、マゼラ・アタックを吹き飛ばし、横転させる。横転させてしまえば、マゼラ・アタックの分離機構も意味をなさなくなるからだ。

 

「風属性キャラじゃないいだろ、『そいつ』」」

 

「ゼータク言ってる場合?あ、今度は戦闘機が来たわよ!」

 

「こいつを使え。敷島のジジイが用意してたマシンガンだ!ドップくらいは蜂の巣にできる!」

 

「ああ、タキオンが連絡取ってるってゆー、イカレポンチなジジイ」

 

ゴルシもタイシンも、敷島博士のことはジジイ呼ばわりである。マッドサイエンティストの良い見本であり、アグネスタキオンなどは彼に比べれば『小娘』扱いである彼だが、武器の製造技術は21世紀におけるガンスミス『デイブ・マッカートニー』に匹敵し、23世紀では、宇宙四大の武器技術者としても知られている。その彼の制作した武器は確かなものだ。タイシンは人間サイズのゲッターマシンガンを受け取り、そのまま乱射する。

 

「こいつらのイメージを思いっきり壊してるけど、いいの?」

 

「商売が軍人な時点で、TVとはかけ離れてるって事はわかるし、戦闘の真っ只中に動画を録画するアホがいるか?誰も見てねーって。避難終わってるしな。つか、お前、手際いいな」

 

「ガンシューティング系、やり込んだ事あるんだ。テイオーに敵わなかったけど、街のゲーセンのナンバーツーくらいにはなれたから」

 

「そいや、シャカールとお前、つるんでるんだって?」

 

「ああ、テイオーがゲームで使ってるプレイヤーネームを調べる時の縁で。あいつは計算に頼りすぎだから、一定のところで頭打ちになるのよ。あいつにトレーナーを紹介したの、あたしだし」

 

会話しつつ、機銃掃射をするドップを落としまくるタイシン。(パイロットはちゃんと脱出している)

 

「で、こいつら、捕まえたらどーすんの?」

 

「Gフォースに引き渡して、尋問の後に23世紀に送還させるそうだ。21世紀にいない人間たちは法律で裁けないからな」

 

ジオン残党軍の兵士は22世紀後半の生まれの人間達で構成されるため、21世紀の法律では法的に裁けない。そのため、23世紀に送還され、そこでジオン共和国の残務整理部署の軍事法廷を受ける見込みである。ジオン共和国の法的な存続はまだされており、残務整理の終了は未定である。ジオン残党は地下組織化した派閥がそれこそアメーバの如くおり、明らかに一年戦争で戦っていない年代の青年層も多く属している。

 

「まだ、MSがいないだけマシかな。戦車と戦闘機なら、自衛隊でもやりようがある」

 

「技術揺籃期だったの?その戦争」

 

「話を聞くとな。MSなんてのが出てきたのはそもそも、旧来型兵器じゃ勝てないから、世の中のシステムすら変えてまで、連邦に勝とうとしたからだとよ」

 

一年戦争からグリプス戦役までの技術揺籃期は21世紀型の情報化社会が滅び、局所的に1980年代の水準にまで情報技術と社会が後退した時期であった。第一次ネオ・ジオン戦争後にM粒子への対応技術が開発され、それが実用段階に達したガミラス戦役以降の時期にインターネットや携帯電話などの分野が代替技術で復興するまで、それぞれに一定のタイムラグが存在する。ジオンは21世紀型情報化社会を葬ることで世論操作をしやすくした後、自分たちによる独裁体制を施行したかったのだろうが、連邦の力がそれを否定した。そのため、ジオン系スペースノイドほど、21世紀型社会を否定する。だが、逆に言えば、20世紀前半以前の『国家意思が全てを握る』事を全面的に肯定しているようなもの。ジオン公国も形式的に議会と内閣はあったが、内実はザビ家の意思を形式的な民主主義で処理するための機関に過ぎなかった。かといって、民間軍事会社が公的機関より強力になるのを許さない声は大きい。

 

「で、ジオン公国がその戦争に負けて、野党化した部隊や残党がテロ行為をしまくったから、民間軍事会社が台頭したんだそうだ。宇宙戦争の連続な上、軍部の上がバンバン死んだり、外宇宙への遠征で人手不足になったから」

 

「それで民間軍事会社が巨大化したから、法的規制が入ったのね?」

 

「国家の正規軍の部隊より強力な装備と人員を持ってる傭兵がたんまりいれば、世の中は怖がるからな。それで、民間軍事会社の著名な部隊は軍部に半強制で供出させられたんだそうだ」

 

民間軍事会社は平和主義的風潮の強まっていた時期に台頭した。安全を守れなければ論外だからだ。だが、外宇宙の異星人との戦争がなし崩し的に連続したため、必然的に民間軍事会社も巨大化した。だが、企業が国家を上回ることを恐れた者達の手で、民間軍事会社は『予備役軍人の管理所』の役目に留められる事になった。正規軍部隊に組み込めない者も多いため、『外郭独立部隊』の枠組に収められ、かつての海兵隊的役目を担わされたわけだ。

 

「で、正規の編成から外した部隊なり艦隊として公的身分を与える代わりに、有事はいの一番に戦わされるってわけね?」

 

「そうだ。内戦の時に反体制派だったり、はみ出し者だった連中ほど、最前線だ。腕利きが多いのを理由にな。のび太の子孫達はその内の一部隊、つまり、あいつの部隊だが……のバックアップを物資・資金面でしてる。その頃には財団があるから」

 

ゴルシの解説は明瞭である。ロンド・ベルもその起源は『元のエゥーゴとカラバの実働部門の取り扱い』に遡る。公的には『第13独立部隊』(旧・ホワイトベース隊)の後身とされているが、実際はエゥーゴとカラバの残存部隊の再編なのだ。ロンド・ベルは正規軍のはみ出し者が集められたような部隊なので、政府からも疎んじられていたが、有事の先頭に立った実績、資金・政治面のバックアップに財と名声を成したのび太の子孫らが営む『野比財団』がついたため、現在は物資・機材面での冷遇はされていない。

 

「でも、冷遇された期間が長いんでしょ?」

 

「政府や世論が異星人との戦争で危機意識を持つまではな。あれよあれよで権限が大きくなって、あのマンションの地下に兵器を置くまで潤沢になった。ジオン残党のテロの連続も大きいけどな」

 

ゴルシとタイシンはうまいこと武器をやりくりしつつ、Gフォースの到着まで、街の北端部で防戦を行う。ジオン残党は時と場合で使用装備が異なり、この日の残党はMSを持たない部隊の生き残りであったらしく、従来型兵器を数多く投入してきていた。車両のハード面での発展が頭打ちになっていたとはいえ、機甲装備として見るなら、21世紀の車両よりも強力な車両が多いため、ゴルシ達は敷島博士の作った武器で対抗している。

 

「つか、なんで、ゲテモノみたいな戦車が多いのよ」

 

「戦車は二線級の兵器扱いだったからだ。だから、昔のドイツ軍の突撃砲みたいなので良かったんだそうだが、実際はその頃には旧式化してた連邦の戦車にも良いようにやられたんだそうだ」

 

61式戦車は衛星とのデータリンクなどのデジタル化の極地であったが、M粒子の前に無力化。第二次世界大戦レベルにまで戦闘の様相を退化させられたこともあり、戦後は不要物と見なされ、一時は全廃されていた。だが、やはり必要な装備という事になり、不要な旧来理論式のデジタル装備を外し、代わりの機器を積んだ型が生産されている。完全新規の設計の車両もできたが、61式の手直し感は否めない。

 

「お、Gフォースが来たな」

 

「で、そのGフォースって何よ」

 

「あいつが自衛隊の有志を募って出来た独立部署。公的には日本連邦の固有部隊で、扶桑軍の監視が仕事だが、実際は自衛隊に扶桑の戦乱に関わせるための方便だ。装備は廃棄寸前のものが回されていたけど、ある時の戦いで足元を見られて、恥をかいたってんで、試作や秘匿装備の試験部署に改定されたそうな。あれがそうだ」

 

Gフォースの装備はダイ・アナザー・デイで定まったため、この頃には、23世紀製の兵器も厳重な報道管制のもとに運用されている。セイバーフィッシュがそれだ。23世紀水準では旧式戦闘機だが、一年戦争では新しめの機種であったため、外宇宙用戦闘機(コスモ・ゼロとブラックタイガー以降の世代の戦闘機)の普及後も多くが保管されており、Gフォースに供与され、ダイ・アナザー・デイ後も運用されている。大気圏内では、セイバーフィッシュの航続距離は充分すぎる(空中給油機が石油資源の減少で廃れていた時代以降の戦闘機なので、航続距離も過剰な見積もりがなされた)からだ。セイバーフィッシュは『後継機達に世代交代し、倉庫に保管されていた』ものが供与されただけだが、それでも充分に力の誇示になる。日本側としては『扶桑を抑えるためのもの』と認識していたが、実際には『有用な戦力である自衛隊に実戦での能力証明を与えるため』の存在であった。実際、厄介払いのつもりであった『ジオン残党との交戦経験のある者』が意図的に配属されており、三自衛隊の中でも『実戦経験のある者』で固められていた。海自からの派遣は少ないが、これは表立っての扶桑海軍への支援をしているためだ。

 

「ご苦労さんです」

 

「統括官からの指令により、援護に参りました。我々も戦闘に加わります」

 

幹部自衛官の一人が挨拶に来る。事情は既に知らされているため、短い挨拶だけを済ます。すると、メーサータンク部隊が展開する。バブル時代から細々と造られていた『オーパーツ』兵器の一つである。一説によれば、ダイデンジンやバイオロボなどを解析した成果ともされるが、海底軍艦への搭載予定武装の一つだったとも言われ、定説を見ない。地球連邦軍でも保有していない『光線兵器を主砲に添えた戦車』である。その威力は23世紀の目から見ても、現用で通用するほどのものである。

 

「おお、すげえ。超鋼スチールを焼き切ってやがる」

 

「何それ」

 

「ジオン軍が一年戦争の時に主用してた装甲材だ。今の高張力鋼が発達したもので、ザクとかはこれを使ってた。実弾兵器にはそここそこの耐久度があるんだが、ビームや熱線や冷凍光線には弱い。そこを突いたのが地球連邦なんだが、メーサーにも弱かったらしいな」

 

 

バブル時代に実用段階のものが開発されたはずのメーサー兵器だが、動力が『近代化』でMS用の核融合炉になっていたり、レーザーの発振器が23世紀製の高効率のものになっているため、22世紀後半の開発である超鋼スチール合金を焼き切ることができた。通常の戦車と機動戦闘車では捻られそうなため、メーサータンクが使われたのであるが、それは正解であった。

 

「各車はマゼラ・トップとベースの結合部を狙え。そうすれば、分離機構をダメにする事ができるはずだ」

 

自衛隊はマゼラ・アタックの弱点を既に熟知しており、トップとベースの結合部を熱線で撃って機能を損なせ、分離不能に陥らせる方法を用いた。この方法はマゼラ・アタックの分路戦法封じに有効であり、地球連邦軍もネーサー兵器のノウハウの再取得後に逆輸入する事になった。

 

「戦闘機と戦車は我々が引き受けます。あなた達は強化兵士を!」

 

「がってん!ジオンの強化兵士は初期の頃から人工器官を増設したり、内蔵を強化したものにとっかえてある上、洗脳してあるから、あんたらの手に負えねぇからな」

 

ゴルシも聞かされていたらしい。強化兵士。ジオン公国は戦争が不利になった時期に人的資源の再利用と有効活用の名目で、ナチス・ドイツがかつて犯した領域に踏み込んでいった。ティターンズがそれを再利用し、多くの悲劇を生んだ『強化人間』はその派生技術の一つにすぎない。元来は『子供や女性の肉体を兵士というカテゴリに最適化させる』研究だったのである。

 

「強化兵士?」

 

「初期の強化人間だが、ニュータイプ能力を無理に植えつけるんじゃなくて、洗脳と身体能力を人工器官で強化したり、脳内麻薬で恐怖と痛みを感じさせなくしたものだ。ある意味、ティターンズとかの強化人間より質がわりぃ連中さ」

 

その手の研究はイタリアやドイツなどが戦中戦後に行って、試験段階に達したイタリアのそれが統合戦争の混乱で外部に流出。ジオンに拾われ、より進んだ科学で実用化させたもの。ジオンはニュータイプを人工的に生む研究にシフトしていったが、研究そのものは完成しており、少なからずの兵士が『強化された。元々、人の数倍の能力を持つウマ娘であるゴルシ達が更に強力な存在であるプリキュアの体を借りても、尚も戦えるほどの連中である。

 

「来るぞ!!」

 

「如何にも『キメてそうな』連中じゃないの!?」

 

「そーゆー連中だ。加減は無用だ、やっちまえ!」

 

「アンタやナカヤマ、ステゴの一味と違って、ステゴロの喧嘩は苦手なんだっての」

 

「な~に、喧嘩なんてのはゴリ押しでどうにかなるもんだ。昔のボクシングのチャンプなんて、『蝶のように舞い、蜂のように刺す』って言われたもんだ」

 

「60年近く前も昔の事(2020年代に生きるウマ娘たちからすれば、1960年代のチャンプは大昔の存在である)じゃない」

 

「屁理屈言うなって。ブライアンを見ろ、意外にノリノリだぞ」

 

「あいつは昔はああいうの見てたクチだから。ガキンチョの頃は臆病だったくせに」

 

「あんま会ってないって言ってなかったか?」

 

「昔は親戚づきあいの一環で、偶に顔を合わせてた時期があるのよ。ただ、ハヤヒデと会ったのは学園に入ってから。ブライアンは母さんがあたしに面倒を見させてた事があって、向こうは忘れてたけど、あたしは覚えてる。そーゆーもんなのよねぇ」

 

「恥ずかしくて、いえねーだけじゃね?あいつ、今は無頼を気取ってるしよ」

 

「それはあるかも。いっちょまえに、姉貴だとか言ってるけど、昔は一般的な『ねーちゃん』って言ってたのよね」

 

タイシンはブライアンの過去をゴルシに教える。ブライアンは(遠くなりすぎて)記憶していないか、外聞を気にしてか、その事を口にしていないが、タイシンは覚えていた。そのため、ブライアンの暴力的なまでの才能に嫉妬さえ覚えたこともある。だが、その才能の衰えをタイシンたちは気にしており、プリキュアとの入れ替わりに付き合わせたのは、ブライアンが怪我の後遺症で生じた精神的な怯えで眠らせてしまった『本来の才能』(全盛期のブライアンの能力値はルドルフの全盛期におけるそれすらも上回るとの評もあった)を精神的な側面から復活させたい意図も含めていた。

 

「だから、会長に協力してもらって、ブライアンを?」

 

「会長が煽んないと、あいつは興味保たないのよ、俗事に。走るのと、肉を食うことしか頭にないし。だから、会長に協力してもらったのよ。子供の時の血が騒いだのか、意外に乗り気で、あの人(キュアドリーム)の体を使うなんて、思ってもみなかったわよ」

 

「あいつ、怪我がきっかけで、前世の記憶の扉が自然と開いたみたいだからな。だから、終わった存在扱いされる事が辛かったんじゃね?顔や言葉に出さなくても」

 

「だから、英雄として名が永遠に刻まれるだろう『変身ヒロイン』を演じることで、自分の新しい存在意義を探してると?」

 

「あいつはあいつなりに辛かったんだろうよ。テイオーの代わりに、汚れ仕事を今まで以上にこなさないとならない上、協会は『当代の三冠ウマ娘』として、次代のガキどもが育つまでの人身御供を要求してくる。ハヤヒデは治療受けたのに、とっとっと引退を公言する。これが一番効いたのは確かだ」

 

「ハヤヒデはインテリが過ぎんのよ。運命なら、それを覆せばいいじゃない。あの頭でっかちのバナナヤロウ……」

 

タイシンはごく短い会話にハヤヒデへ言いたいことを込めつつ、ブライアンが裏で傷心になっているのではないかという、ゴルシの推測を否定しなかった。ブライアンがハヤヒデの引退発表の際、ハヤヒデのトレーナーにものすごい剣幕で詰め寄っている姿を遠目に目撃していたからだ。ハヤヒデは理論派だが、理屈倒れの嫌いもあった。自身の能力が開花した後は『BNW』最強の称号を欲しいままにしたが、その状態でテイオーに敗れたためか、その直後の怪我の因子が発現する寸前の状態にあったのを知らされたからか、あっさりと自分の現役生活に終止符を打とうとしている。

 

「だから、ブライアンが協会のお偉方に頭を下げて……?」

 

「だと思う。ハヤヒデもそれを許した。たぶん、姉としてしてやれる最後のレースになるだろうからな」

 

「だから、ハヤヒデ……」

 

「せめての償いだろうよ。グラスが前にマルゼンさんの引退で味わったショックを、自分の妹に味わわせる事になったことへの」

 

ゴルシはハヤヒデの心境、ブライアンの傷心。その全てを見抜いていた。タイシンはブライアンがひた隠しにする本心を突きつけられ、困惑する。ゴルシは全てを見抜いていたが、ブライアンのプライドや外聞に配慮し、本人の前ではおくびにも出していない。タイシンに言ったのは『身近な親族であるから』だろう。二人は特異なフォルムの『キュイ歩兵戦闘車(連邦軍からは戦車扱いされていたが、ジオンとしては歩兵戦闘車のカテゴリに入る車両らしい)』にタンクデザントして、バカ正直に突撃してくる、ジオンの『強化兵士』達に敢然と立ち向かう。

 

「あんな三流のSF映画の珍メカ的なもんで突っ込んでくるなんて、連中はアホ!?」

 

「30ミリ機関砲をあんな高いとこにレイアウトするなんて、ジオンの開発部の正気疑うぜ。先手必勝だ!」

 

「なら、これで!」

 

タイシンはキュアフェリーチェの体の利点と、自身の能力をフルに活かし、キュイ戦車を破壊するべく、仮面ライダー二号が現役時に編み出した貫通力強化型のキック『卍キック』を放つ。ドリルキックの元祖なこの技だが、意外に難度が高い。体そのものを高速で回転させながらの飛び蹴りだが、歴代ライダーでもその種の技の使用者は少ない事が難度を物語っていた。

 

『プリキュア・卍キィィィ――ッック!!』

 

竜巻を纏い、自分に撃たれる弾丸を弾き飛ばしつつ、高速回転運動で戦車をぶち抜かんとするナリタタイシン。この時に彼女(ナリタタイシン)の宿す『鬼』の如き執念が右眼から発する篝火として具象化していたため、ものすごく『キュアフェリーチェ本来の柔和なイメージ』をぶっ壊す光景であった…。

 

 

 

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