――では、プリキュア達に課され、身に着けた技能とは何か?それは仮面ライダーなどの必殺技の再現である。仮面ライダーは基本的に身体能力の高さで必殺技を編み出していたため、プリキュア達であれば、見よう見まねで再現が出来たからだ。とはいえ、本家に遜色ない威力が出せるかは別問題である。基本的に、プリキュアは初期世代ほど、強力な戦闘ポテンシャルを持っている傾向が強い。5やフレッシュはその内の過渡期に属するプリキュアであり、後代のプリキュアの浄化パワーと初代とS☆Sの戦闘ポテンシャルを両立した世代である。5の面々が露出が多いのは『三代目』故の知名度の高さである。そのため、地味に他チームから嫉妬されていた。また、初期世代のプリキュアは2010年代後半には(世代交代が重なったために)顔出しの業務が少なくなり、任務中の休暇が取りやすいため、ゴルシ達に体を貸せたのである。――
――ナリタブライアンはキュアドリームの体を借り、自身最大にして、唯一無二の弱点『実は意外に臆病』を克服せんとしていた。同期らに『怪我で牙が抜けた』と評されていた事を気にしていたブライアンは、キュアドリームのやっている事を『代行』することで、何かを掴むきっかけを模索したわけだ。元から一級のアスリートであったためか、ブライアンはキュアドリームの体を本人と同等レベルに使いこなす事に成功した――
「なるほど、これがこいつのポテンシャルか。私の要求に充分に応えてくれている」
キュアドリームの肉体のポテンシャルはブライアンの要求に応えられるため、ブライアンとしても『違和感なく動かせた』。また、仮面ライダーディケイドが武器庫に『パーフェクトゼクター』と各種ゼクターの一式を置いていったため、それを持ち出して使うことにしたのか、パーフェクトゼクターを持っていた。
「すまん、二人共。こいつを取りに行っていたんで、遅くなった」
「お前、パーフェクトゼクターを持ち出したのか?!」
「こいつ固有の武器では、ジオン軍には対抗できんだろう?」
「そりゃそーだが、お前……ハイパークロックアップでもしたのか?」
「こいつが覚えている以上は使わん道理はないさ」
ブライアンは武器庫からゼクターを持ち出した直後にドリームが会得した『ハイパークロックアップ』で時間をぶっ飛ばしつつ、戦場に駆けつけつつ、かの有名な『特捜ロボジャンパーソン』さながらに、着ていたフライトジャケットを派手に脱ぎ捨てての登場をする。意外にノリがいいのか、仮面ライダーカブトこと、天道総司のお馴染みのポーズまで真似している。
「初期のジャンパーソンか、お前は……ノリノリじゃねーか」
と、ゴルシがツッコミを入れる。そして、増援のマゼラ・アタックの集団の目の前に立ちふさがると。
「天の道を行き総てをつかさどる訳でもないが、この場を片付けるのは私の仕事だ!」
「お、おまっ、地味に見てたのか?」
と、ゴルシもこの感想だ。
「失せろ、この時代からな」
ブライアンはパーフェクトゼクターに装着される全てのゼクターを召喚。それを接続させ、装着順にボタンを押す。その確認の電子音声が鳴り響く。
――KABUTO POWER THEBEE POWER DRAKE POWER SASWORD POWER.All ZECTOR CONBINE.MAXIMUM HYPER CYCIONE!!――
「タイシン、下がれ!あいつ、いきなり撃つつもりだぞ!!」
「あの虫とり棒みたいなのがなんだっての!?」
「バカ、おもちゃに見えても、平成ライダーで有数にチートアイテムなんだぞ、あれは!」
「な!?」
「こかけー説明は帰ってからだ!とにかく『ものすごい』武器なんだぞ、あれ!!」
卍キックをし終えたタイシンを回収し、ゴルシはブライアンにゴーサインを出す。ブライアンはすぐにゼクターのトリガーを引く。すると、波動砲と同等レベルにまで凝縮・集束されたタキオン粒子が解き放たれる。反動も相応に強いため、ブライアンはフォームチェンジで飛行可能な形態が持つ翼を広げ、反動を抑えるが、それでも、立っている地面が多少なりとも抉れるほどであった。マゼラ・アタックの一団はその光芒に飲み込まれ、消滅するか、直撃しなくとも、弾薬庫が高エネルギーで誘爆し、大爆発を起こす。
「ば、バカな……タキオン……粒子だと……」
辛うじて、炎上車両から脱出した残党の兵士は自分達を飲み込んだ光が『タキオン粒子』の放つ『青白い光』だと理解し、ほうほうの体でその場に倒れ伏す。ブライアンは彼等を冷たいまなざしで見つめつつも冷静に、次なる攻撃の態勢に入る。
「お前たちは一年戦争で、デラーズ紛争で、三度のネオ・ジオン戦争で負けた。そして、『今や』他の星にも移民は始まってるんだ。いつまでも『宇宙移民の代表』面してるつもりだ?」
ブライアンはジオン残党の拠り所を、第三者として否定的に見ていた。これはジオンが戦乱の火種となった歴史、ジオンの軍部と政治の独善が一年戦争~三度のネオ・ジオン戦争を引き起こし、他の星系に移民している時代でも『自分達こそが宇宙移民の意思の代弁者で、自分達に反した者は、同胞でも排除する』という傲慢を続け、結果的に億単位の人間を死に追いやった』事実があるからだろう。
「貴様、何様のつもりだ!我々は……」
「あんたらのやった事云々には興味はない。だが、お前たちのやっている事は同胞を苦しめるだけだと言っている。連邦も全てが腐ってはいないし、お前たちが素直に恭順していれば、共和国が存続する可能性もあった。だが、お前たちはそれをご破算にしたんだぞ」
「う、嘘だ!どうせ……」
「そうとしか見れないから、お前たちはアナクロニズムだと言われるんだ」
ブライアンはそこまで言った後、やけくそで襲ってきた兵士を回し蹴りで蹴り飛ばし、気絶させた。蹴る瞬間にやるせなさのある表情を見せたが、それは『時代の流れに逆っていく事しか、自分達の拠り所が無くなった』姿が、『三冠馬であった故に、怪我で全盛期を終えたとしても、走ることを世間に求められた』前世の自分に重なったためであった。
「存在意義の変化に順応出来なかったのが、あんたらがアナクロと言われる由縁さ。…それは私も同じだな…」
(存在意義は時間が経てば、別のものに置き換える。たとえ、自分の望んだものでなくても、な……。ディープ、オルフェ。お前たちもそうだったのか?)
例えば、ディープインパクトの場合、その現役期間は短く、その馬生の大半を種牡馬として過ごした。オルフェーヴルも三冠馬であるものの、同時代の牝馬三冠馬のジェンティルドンナに競り負けるなど、どうにも締まらないところがあった。ブライアンはそれを鑑み、存在意義の変化に対し、複雑な思いを覗かせる。
「さて、あとは……」
――ALL ZECTOR COMBINE.――
――MAXIMUM HYPER TYPHOON.――
今度は『マキシマムハイパータイフーン』を発動。巨大な斬撃で残った兵器を一掃する。見かけはおもちゃじみてすらいるが、威力は平成ライダーの武器で最高峰の一つ。ディケイドも便利なためか、その使用率が高いという。タキオン粒子を短時間でチャージできる技術は未来世界でも研究途上(スーパーチャージャーなどがその実用化の端緒に立ったばかりである)なので、如何にその手の技術で『仮面ライダーカブトの世界』が突出しているかがわかる。
「こんなものか。おい、ゴルシ。兵器は一掃した。残骸の処理とかはどうする?」
「Gフォースにやらせる。後は歩兵戦闘車から降りた連中を始末しよう」
後は掃討戦に入るが、ジオン残党たちはそもそもが(元の組織が消滅しているので)テロリスト扱いなのだが、ジオン共和国やミネバ・ラオ・ザビの要請で『他国の軍人』として処罰される。これは残党の多くはジオン公国の存続の主張と共和国(戦後)の否定により、『独立戦争は継続中である』とし、あくまで『自分たちの行為は正当なものだ』としているためだ。だが、それでミネバ・ラオ・ザビ(本人)が政治的に不味い立場に置かれ、『オードリー・バーン』という偽名で隠者になるしか『平穏を得られなかった』のも皮肉な話である。
「あとはあのバーサーカー共の始末か」
「さっさと決めよう。あいつらさえ捕まえれば終わりっしょ?」
「喧嘩慣れしてないだろ、タイシンは」
「あんたらの親類が異常なの!!ステゴ、ナカヤマ、オルフェ…」
「ドリジャもいるぞ。まぁ、『親父』からは気の荒さを受け継いだが、じーさま由来の高能力は引き継いだぜ、アタシ」
「馬券を120億分、紙くずにしたくせに」
「それは言うなって」
「私なんてな、異母弟のサニーも二冠だったぞ」
「前世での、でしょ?」
「今の生でも、奴とは親類だよ」
「そうだっけ?」
「お袋の従姉妹の子と聞いてる。ブラリアン共々、影武者を頼んでる」
「あんたねぇ……」
「親父(ブライアンズタイム)の血統を発展させられなかった負い目もあるからな、私とサニーは」
ブライアンズタイムの血ははタニノギムレットがウォッカを儲けたのが実質的に最後の輝きである上、二人のブライアンは血統を発展させられずに終わった。それ故か、ナリタブライアンは三冠馬経験者として最も自虐的である。
「やりたいようにやれよ。後悔はしたんだろ?お前ら」
「ああ」
「それでいい。次代の事はその代に任せればいい。アタシだって、前世での最後は悔しかったからな」
「あんた、もしかして、記憶が……?」
「目覚めていたのか…!?」
「お前らがそうなった以上、アタシもなっただけさ。それに、ディープのオジキやオルフェは最初からだぞ」
「なぁ!?」
「まぁ、オルフェはカレンチャンが怖いとか喚いてるけど」
ゴルシは前世記憶持ちという属性持ちのオルフェーヴルが、前世でのボス馬であったカレンチャンにビビり散らしている事をネタにしている。最も、ゴルシはゴルシで、前世では、大先輩であるグラスワンダーを見ると、嘘のように礼儀正しくなっていたのだが。
「あんただって、グラスの前じゃ……」
「仕方ねーだろ、あいつは前世じゃ、10年くらい先輩なんだし。お前らとは会えなかったしな、世代が離れすぎてて」
ちょっと寂しそうなゴルシ。さて、統制を失った『強化兵士』達は狂ったように戦闘を継続したが、プリキュア+ウマ娘の身体能力を奮う彼女たちに敵うはずはなかった。
「はぁああっ!」
ブライアン(体はキュアドリーム)の回し蹴りでビルの壁にめり込むほど叩きつけられる者。
「アタシの本気……教えてあげるッ!!」
タイシン(体はキュアフェリーチェ)のデンプシーロール(人間のプロボクサーでも、実戦での使い手はそれほどいない古典的テクニック)でグロッキーにされた後、コークスクリュー・ブローで前後不覚(パンチドランカー)にされる(如何に強化兵士といえど、頭蓋は強化の範囲外。また、通常よりも強化された身体能力でのパンチはプロのヘビー級チャンプの全力すら遥かに凌ぐ)者。
「過去の時代にやってきての任務ご苦労。そして、さよならだ」
ゴルシ(体はキュアビート)の全力キックが防弾チョッキを貫き、そのまま吹き飛ばす。相手の肋骨が折れる音を派手に響かせつつ。
「最近は動画を取る野次馬がどこかしらにいるもんだが……流石にいないか」
ゴルシは念のために辺りを見回すが、流石に封鎖と避難が終わっているため、自分達とGフォースや警察の関係者以外に人はいない。
「ご苦労様です」
「ああ、適当に処理しといてくれ。」
「分かりました」
「ああ、そっちの統括官によろしく言っといてくれ」
Gフォースの自衛官らがすぐに現場の片付けに入る。復元光線(ドラえもんの提供)で破損箇所を修復しつつ。捕虜は(捕虜の取り扱いの規定が自衛隊にはないので)Gフォースから直ちに地球連邦軍へ引き渡される手筈だ。
「ええ。しかし、パーフェクトゼクター…実物ですか?」
「仮面ライダーディケイドが召喚したものを置いていったんだ。あいつは平成ライダーのアイテムを好きに使える身分らしいから」
「後発のジオウにもなれますからね、彼」
「まぁ、野比氏が未来の技術で、SPTとナイトメアフレームを製造しちまうくらいだから、ディケイドが何を出しても驚かれないらしい」
のび太は未来の子孫たちに機動兵器をオーダーメイドさせ、この頃には一部は制式採用されている。そのため、仮面ライダーディケイドの能力もかわいく見えるのだ。
「でしょうねぇ」
苦笑する彼。黒江の自衛隊での部下らしく、事情を察しているようだ。
「貴方も酔狂な真似をなされますね、ゴールドシップさん」
「伊達と酔狂が無きゃ人生つまらないよぉ?それに、ブライアンとタイシンの面倒を見ないといけねぇしな。それで、キュアビートに頼んだ」
「貴方なら、もっとぶっ飛んだ人選をなさるかと」
「失礼な、これでもな、サンデーサイレンスとメジロマックイーンの孫だぞ。名門中の名門だぞ」
「その中の荒くれ一門のくせに」
「うるせーぞ、ブライアン!」
「貴方方の戦闘の痕跡は消しますが、パーフェクトゼクターをお使いになられるとは」
「ガキの頃、番組は見ていた。親父が見させたんだよ。臆病が過ぎるとか言って」
「伊達や酔狂が大手を振って歩いてるのが、レースの世界だしね。あんたもわかってるでしょ、ブライアン?」
「タイシン。お前が言うか?インドア派だったろうが」
「るっさい!子供の頃は病気がちだったし!」
ブライアンは幼少の頃は臆病であったが、両親の対策と、気質の変化で無頼な振る舞いになった。姉とセットで流鏑馬(ウマ娘世界では、ウマ娘が自分で走るのだが)を習った時期もあり、その中で『戦闘的な気質』を培ってきた。そのため、幼少期とかけ離れた性格になっているのだ。
「でもよ、メーサータンクなんて、どこに隠しておいたんだ?」
「松代大本営の秘密格納庫です。元々、野党にバレたら、幕僚長クラスのクビが飛ぶ案件ですので」
彼によれば、メーサー兵器は本土決戦に備え、1944年に研究が始まり、オーバーテクノロジーの使用で、1945年6月に試作の戦車が出来ていたが、日の目を見なかったと。その後に試作車が戦後の頃に、学園都市の事実上の独立国家化で脚光を浴び、1960年代にメーサー殺獣光線車が出来ていた。そのメーサー殺獣光線車を数十年の月日で発展させ、バブル期に量産されたのがメーサータンクなのである。
「景気が悪くなり、維持費が捻出出来ないため、我々は松代大本営跡に隠したのです。メカゴジラも含めてね」
「機龍はどう説明を?」
「ゴジラザウルスの姿を模したのです。前身とされている、ね。ゴジラは元々、爬虫類と水棲類の中間体の進化とされてますから」
ゴジラザウルスという恐竜はいる。ゴジラの前身と噂される形態の新種で、ちょうどゴジラの幼体とされる『ベビーゴジラ』を現実的にしたような外観である。その骨格をモデルにしたと説明する。なお、設定上のゴジラ化した後の生態は不明で、子供は『リトルゴジラ』とも『ミニラ』ともされる。
「ゴジラが現実にいるとでも?」
「さぁ。学園都市の反乱の可能性に、ゴジラのような怪獣を使う可能性は1960年代から続いてきましたから、その対策という名目でしょうな」
「バイオハザード対策の割に、非現実的な兵器を作るなんて」
「細菌兵器の研究は戦後はタブーなのですよ、タイシンさん。対策はし続けてますが、生物兵器と言っても、怪獣なら…?という恐怖心が黎明期の頃の幹部層にはあったのでしょう」
メーサー兵器はバイオハザードの際の焼却システムという名目で装備されているが、その予算がどう使われているか、革新政党は叩きたがっていた。その追求を躱すため、松代大本営跡に秘匿されたのだと。
「で、マゼラ・アタックの残骸はどう運ぶの?」
「地球連邦がミデアをレンドリースしてくれたので、それで。この時代のものでは、ギャラクシーでも載りませんよ」
マゼラ・アタックは23世紀基準でも大型に入る上、特異な形状もあり、21世紀の輸送機には入らない。そのため、ミデア輸送機をリースしてもらい、運んでいると説明する。劣化コピー品が川崎重工で製造が進んでいるが、流石に21世紀の技術では、巨体の垂直離着陸を可能とするエンジンは存在しない。
「MSよりはマシですがね。あれはミデアでないと、残骸も運べませんからね」
「しかし、どこで残骸を保管している?」
「北海道のGフォース用の敷地内の倉庫に集めています。この時代では表に出せない代物も多いですから」
「完品のMSはどうしてんの?」
「21世紀のメカニックの手に余りますから、64Fの整備班の指導のもとにジオン共和国へ返還しています」
ジオン共和国はGフォースからも、ちゃんと国として認められているのが分かる。ジオン共和国は存続のために知恵を絞ったが、公国残党の蜂起続きでご破算。デザリアム戦役で正式に解体が決まった。とはいえ、億単位の人々の暮らす自治体の解体は難しいため、移民船団化という形での終息となった。その音頭を取ったのは『ミネバ・ラオ・ザビ』とされるが、実際は『メイファ・ギルフォード』が同位体の意思を汲み、葬送役を買って出たのである。火星と木星の間の小惑星帯のギレン派残党の存在は知られていないので、ジオンは共和国の解体宣言で終息したと見られている。共和国の解体に反対していた青年将校らが脱走したとの情報もある。そのため、ススキヶ原は2つの時代の情勢の合わせ鏡となっていた。
「お気をつけを。ジオン共和国の青年将校が脱走したという噂もあります」
「ああ。ころばし屋がまだ片付いてないのに、ジオン残党も気をつけないとならねぇってのは疲れるぜ」
「我々もそこが辛いのです。2つの時代の情勢に気を配らないといけませんから、自分達の世界だけで、ね」
彼はそこまで言って、煙草を吸う。21世紀には珍しい、ヘビーな喫煙者らしい。
「失礼。モクを吸わないと、やってられない仕事ですから」
彼は上官の黒江が事務処理を投げ出すためか、事務処理役として抜擢された経緯を続けて話し、前職は九州方面の幕僚職にあり、ジオン残党の襲撃に対応した故に、中央から妬まれたと。
「この時代の装備でドムとやるのを命令する立場でしたから、辛かったですよ。M粒子で通信が困難にさせられた状況で、ザクより強力なドムとやるなんて」
「それは大変だったな…」
「まったくだ。ついでに本省のお役人連中もけむに巻いといて下さい」
「ええ。お手の物です。子供の頃は憧れたもんですが、実際に戦う立場になると、身がすくみました。それに比べれば」
とはいえ、ドムは施設科の隊員いわく『ワイヤートラップと地雷でやれます』とのことなので、機動力さえ封じればいいのである。なお、彼はその際にハイνガンダムを目の当たりにしており、福岡市ではちょっとした自慢になるとのこと。
「実際のガンダムも見ましたが、ハイカラになりましたね」
「FシリーズとVガンダム系が同時代にある中で造られたνガンダムだから、ハイカラなんだよ、バックパックのデザインも」
彼はハイνを見たので、翼のようにフィン・ファンネルを懸架する姿をハイカラと言ったわけだ。初代ガンダムの正統後継機ながら、シルエットはアナザーガンダムを思わせるため、ハイνは若者人気がある。アムロ本人もそのレイアウトを本来の構想としている。とはいえ、無骨な無印νも人気が高い。アムロは恩返しとし、ペーパープランであった『ロングレンジフィンファンネル』装備の立像を福岡市に建てたいと申し出ている。
「あれは二号機ですか?」
「あれは発展型だよ。リチャージの問題を解決して、サイコフレームに最適化したサイコミュを持つ奴。まぁ、ユニコーンほどじゃないが、サイコフレーム搭載機さ」
実物の存在は関係者以外には知られていないが、ガンダムは地球連邦の象徴に立ち帰った姿を見せている。横浜でサナリィが制作したレストアの78タイプのデモンストレーションも行われているので、実は気づかれないだけで、未来の産物は置かれているのだ。
「よく、地球連邦軍が予算通しましたね」
「異星人との戦争じゃ、旗印は必要だからじゃね?流石にマークⅡ以前のは使われてないぜ」
「古いからですかね」
「性能水準が飛躍したからな、あれ以降に」
Zガンダムが作り直しなどで一線級を維持している中、マークⅡ以前の機体は大改修が必須なため、よほどの特徴がなければ使用されない。とはいえ、ジムⅡのように、堅牢性が評価された機体もある。Zガンダム系は可変機構の弾力運用のメリットの拡大で復権しているのだ。ゴルシもそれは知っている。
「厚木に時々やってくるウェーブライダーも?」
「ああ、Z系だよ。バルキリーが生まれたおかげで再評価されてるんだと。それに、アッシマーやギャプランが嫌われてるのも大きいな」
Z系はウェーブライダーというだけで通じる。それが自衛隊内の隠語になったと、黒江はいう。アメリカ軍もその機構の有効性を知ったが、21世紀では模倣も出来なかった。
「それで、アメリカ系の軍需産業がステルボンバーとステルバーを作って、特機枠で採用された。23世紀での話だけど、欲しかったんだと、ああいうの」
「トランスフォーマー好きですからねぇ」
地球連邦軍の兵器も多種多様となり始めているのが、新時代の証である。ステルバーのような可変ロボの製造はアメリカの悲願だったが、それにはテキサスマックを経る必要があった。ステルボンバーはB-2以来の爆撃機のノウハウを注ぎ込んでいると噂されており、23世紀にはアメリカ地域も復興の証を手にしつつある。彼はゴルシから聞くそれらの勇姿を思い浮かべ、地球連邦時代の「空」に思いを馳せるのだった。