――扶桑海軍は不文律が強引に変えられる流れに抗う意思を持っていたが、岡田啓介や鈴木貫太郎らがそれを否定し、戦前の扶桑軍が持っていた闇の部分を葬った。岡田啓介は自身の残りの寿命をそれに費やす事にした。その事が生きがいになったためか、史実よりも長命を保ったという。扶桑海軍は史実の日本海軍と真逆に、艦艇を使い倒すつもりであり、戦艦大和などは休み無しで、二年も稼働状態にあった。そのため、攻勢をかけた上で、主力に休息を与えたいというのが扶桑の思惑だった。だが、日本側は扶桑の主力部隊を裏で消耗品扱いしており、休み無しの防戦を『要請』してくる有様であった。困った扶桑軍は主力の未来装備化を推し進め、1949年の盛夏が迫る頃には、軽戦車は人型ロボットに置き換えられつつある――
――怪異は精鋭化、多数化が進んだものの、人同士の戦乱が激しい時勢では徒花という方が正しい有様となった。怪異は元々、地球意思の生んだ『抗体のような存在』に近いという仮説が1945年に生まれた。それは未来世界での宇宙怪獣に近い存在であるという前提に基づくものであったが、怪異のお陰で『人同士の戦争が抑止された』側面もあるため、ウィッチ世界にすぐに受け入れはされなかった。だが、人同士の戦争が激しさを増すと、怪異は嘘のように大人しくなっていた。各地に送り込まれていた『強力な個体』もスーパーロボットたちにねじ伏せられ、その4年後には一部の北方地域に巣が残るのみになっていた。更に、明確な魔女以外の弱点である『ゲッターエネルギーに弱い』事が発見されたこともあり、急速にその脅威度は下がっていった――
――ゲッターエネルギーは進化を促す。つまりは闘争本能を強めるということである。未来世界の人々はその危険性を知りつつも、脅威への対抗策としての開発を継続。ついには人の意思の介在により、ゲッタードラゴンを真ゲッタードラゴンへと進化させた。真ゲッタードラゴンのパワーは真ゲッターロボ、その強化体『神ゲッターロボ』をも遥かに凌ぎ、アイドリング状態の出力のビームの一発で、ヱルトリウム級の試作段階で生み出された余剰の船殻(60km級)を消し去るほど。その名の通り、流竜馬ら初代ゲッターチームでなければ、その制御が困難であるという特性があるものの、彼等が乗れば、真ゲッターより安定性が高まる。そして、ゲッターの促す『闘争本能の増強』は種の進化そのものを促す。それは人間の別種と言える『ウマ娘』とて例外ではない――
――闘争本能の増強は必然的に生存本能の増大も促す。それを制御できるようになれば、強大な力を手に入れる。それに例外はない。プリキュア達の一部が激戦を経て、ゲッターの力を受け入れた結果、現役時代の能力という『縛り』から解放された。故に、他の存在の能力を奮えるのである――
――ナリタブライアンはデザリアム戦役でのキュアドリームの記録を閲覧し、ドリームの能力が変質した理由を知っていた。その割に、固有武器は現役時と同様である事に気がついた。それを補う目的で、パーフェクトゼクターを持ち出したのだ。とはいえ、基礎能力自体は大きく向上しており、蹴られた強化兵士は肋骨が六本も折れていたほどである――
「ブライアン、ここは片付いたが、別の仕事が入った」
「何だ?」
「海上自衛隊が鹵獲した船のドックまでの運搬だそうだ」
「どこへだ?」
「修理ドックのある横須賀あたりだろう。なんでも、かの世界のフランス艦らしくてな」
それは連合艦隊が鹵獲した『アルザス級戦艦』である。ウィッチ世界では建造中にティターンズが接収し、リベリオンで完成させ、数隻が投入されていた。その能力は第二次世界大戦の新戦艦の中でも有力であり、大和型の群れの一斉射撃にも耐えるだけの耐久性を誇った。アイオワ級戦艦が『純粋な艦隊戦での能力不足の露呈で一線から外れていく』中でも継続運用されたが、二隻目の鹵獲に成功したのである。これはガリアの要請によるもので、船体は無事だが、上部構造物は半分近くがメチャクチャに破壊されている。これは51cm砲の榴弾のせいであった。
「その護衛か?海自にやらせればいいだろう」
「フランスの戦艦の運搬を海上幕僚監部が嫌がったんだそうで、Gフォースが担当する事になったんだと。総理大臣はお冠って話だ」
「繋留場所を与えるのも嫌がったのか?」
「253mの巨体がある上、半壊状態とはいえ、戦艦を修理するために、ドックの一つが占領されちゃな。部品は扶桑経由で届くが、戦艦の武装の修理のノウハウなんて、とうに失われてるからなー」
「旨味がないと言うことか」
「そういう事だろう。とはいえ、フランスのご機嫌取りも必要だから、政権主導で決まったそうでな」
「ガリアのものだったとはいえ、殆どはアメリカ式に変えられているはずだが?」
「それでもいいそうだ。連中はまともな軍隊を持ってないって話だからな」
ガリアはゴルシ達の言う通り、1949年にはまとも軍隊の体を成していない。これは各地のガリア軍がバラバラに怪異と戦った結果かつ、多くの戦力をリベリオン軍に接収された結果であった。戦艦は自沈と接収の結果、稼働しているものはリシュリュー級の二隻のみ。空母は旧式・小型のベアルンがあるのみと、往時から見る影もないほど衰弱していた。ド・ゴール大統領はこの状況をなんとかしようとしていたが、ペリーヌが防波堤になっていたため、それも遅々として進んでいない。史実のフランスと違い、ペリーヌが軍備を後回しにさせていたためだ。しかしながら、欧州で最もガリアが偉大だと思っている一派のガス抜きは必要なため、こうした鹵獲艦の取得は推奨している。その分、扶桑連合艦隊は『手心』を加えなくてはならないので、四苦八苦させられている。
「Gフォースの海上部門は小さいって話だ。それで、主力を張る空自の所属って事になってる『こいつら』に話が舞い込んだ。カモフラージュのためにも、話を受けとくぞ」
ゴルシは二人を引き連れ、そのまま、Gフォース所属のヘリで海上に向かった。10数分ほどで現地上空に到着する。
「あの半分ボロボロな戦艦が?」
「ああ。大和以上に強い戦艦にボコボコにされたが、半分は無事で、自力航行もできるくらいの余力は残ってるそうだ。」
彼女たちの眼下の戦艦は、後ろ半分の構造物の大半がメチャクチャに破壊されており、後部主砲塔も天蓋が裂け、砲身も二本が折れ曲がっている。だが、幸いにも機関は出力低下なれども稼働可能であるなど、独自の研究の成果が反映されている。とはいえ、ダメージは前半分にもあり、戦闘続行は不可能な状況であるのが見て取れた。その修理はかなりの時間を要するのは間違いない。だが、相手が大和型戦艦を二段も強力化したような化物であることを考慮に入れれば、アルザス級は充分に強力であったと言える。
「自衛隊は何を渋っている?」
「戦艦にドックを占領されれば、ローテーションを変えなきゃならんからだろ。浮きドックの提供で収まったというが」
当時、扶桑は各所で浮きドックと工作艦を多用しており、太平洋戦争でも活用している。23世紀製の浮きドックなので、400mを超える宇宙戦艦の修理用のものである。当然、工作艦の設備も23世紀の宇宙戦艦の修理用であり、それより200年古い洋上艦の修理などは容易である。防衛省の背広組は工作艦の有用性を否定したが、宇宙戦艦時代のそれである事の通達で掌を返すなど、どうにも締まらない一幕があった。また、扶桑が必要とした空母も計画を変更させ、ヘビー級の生産に切り替えさせるなど、防衛省が『自分達も使いたいから』という理由で、空母を21世紀規格に変えさせた事は大いに紛糾している。
「気持ちはわかるが、外聞的に不味いだろう?」
「だから、浮きドックを提供されたそうだ。これで、防衛省もしばらくは大人しくなるだろう」
アルザス級は修理されるものの、ペリーヌが早期の再就役に難色を示したこともあり、ガリアのドックに死蔵されてしまう。ペリーヌが『順番が違う』と考えていたためだが、結果的には『軍事面の復興』を遅らせた事が祖国の軍事的凋落を決定づけるのである。
「奴さんはこれで肩の荷がおりるだろうさ。これで鹵獲された戦艦は取り返した事になるからな。問題は向こうのフランスに運用できる余力があるかどうか、だな」
アルザス級はリシュリューに代わる象徴としての就役が見込まれていたが、ペリーヌが資材を国土の復興に回させていたため、ガリアに残存した船体の完成は大きく遅れていた。ガリアは国土のダメージもさることながら、鉱物資源の貯蔵量も大きく目減りしており、その枯渇の恐怖がつきまとった。結局、アルジェリア戦争はそんな恐怖心がもとで引き起こされる。ガリアは旧植民地地域での鉱物資源の優先融通権を条件に、アルジェリアから手を引く。扶桑は政治的に持て余すことになるものの、アルジェリアを『委任統治』する羽目に陥る。扶桑はアルジェリア戦争を教訓に宇宙開発に邁進し、他国もそれに追従。スペースコロニーの研究もなされるが、それよりも、鉱物資源とヘリウム3ガスを得られる月面への植民が研究されるが、やはりそこにも怪異はいた。そのため、怪異の駆除の必要が生ずる。植民の研究は続くが、数十年は軍事利用が先立つことになる。
「扶桑は日本とどう付き合ってんの?」
「似て非なる国だからな。安易に口だして、大恥かいた連中はごまんと出たそうだ。結局、華族は将来的な名誉称号化を条件に存在を承認。扶桑でしか存続してない皇族は日本への来訪時も他国の王室に準ずる扱いにするとか、皇室の軍事的権限の縮小。その辺で手打ちだ。軍人の叙勲はかなり揉めたってよ」
ゴルシの言う通り、軍人の叙勲は功のある佐官以上に限るなどの議論が延々と繰り返された結果、『武功ある将校に戦役終了後に叙勲をする。扶桑の軍事勲章は危険業務従事者叙勲の扱いにし、引退後に瑞宝章を追加で叙勲する』という妥協案が採用され、現地司令官の判断で武功章と個人感状の授与をする事が推奨された。なお、武子は本来は『個人感状の授与は『聖上たっての願い以外は辞退させる』方針で部隊運営をしていたが、64F就任以降は(戦友や自身が外国勤務で苦労したこともあり)逆に個人感状の拝領を推奨している(本人は対外的には『若気の至りだった』と釈明している)。そのため、武子は若齢期に作った敵が多い状況であり、64Fの指揮を執る事も『友人への贖罪』と公言している。
「だろうな」
「あいつが扶桑で授与された勲章をつけて、式典に出たら、国会に呼び出されたそうだ。その時にカミングアウトしたそうだ。それで日本の議員連中は大混乱。それで存在が知られ、地球連邦の仲介で国交成立。そこから10数年で連邦化。だけど、基礎的な科学技術が進んでるせいか、日本はイキりがちだそうだ」
「まぁ、いつも他の国にへーこらしてるしね、この国」
日本には70年分の技術力の優位があるが、扶桑は軍事面で日本以外のルートで先端技術を安価で購入しており、1945年のダイ・アナザー・デイでは(軍隊限定だが)ネットワークの活用の端緒についていたほどであった。そのため、日本は軍事面では扶桑への優位性がないという有様に陥り、ダイ・アナザー・デイで秘匿兵器が解禁されたわけである。とはいえ、航空部隊の現場からすれば、この間まで1000馬力未満の軽戦闘機だったのが極めて短時間でジェット戦闘機にまで飛躍してしまい、スロットルレバーに引き金がない(ジェット戦闘機では、スロットルの操作を誤ると事故につながるため)事に戸惑う海軍兵が続出。結局、ダイ・アナザー・デイの主力は旧日本軍出身の義勇兵で賄われ、苦戦の記憶を持つ彼等の提言で、既存機も『操縦桿に引き金がつく方式』に回帰させられたため、扶桑軍は生え抜き搭乗員の訓練をやり直す羽目に陥った。ダイ・アナザー・デイに関われた生え抜きの扶桑軍航空兵は二割にも届かないが、それは日本側が練度不足を理由に、教官の最高位級以外を関わらせなかったからで、扶桑海軍航空兵の練度不足はこの時の施策が原因なのだ。
「おかげで、扶桑がヒーヒー言ってるんだそうでな。Gフォースが世界を駆けないと、ろくに動けないらしい。都合のいい駒扱いした代償だな」
「やれやれ。その尻拭いってことね」
「この時代は色々とキナ臭い時期の始まりだしな。統合戦争の種が蒔かれたってなってる。日本が中興する事は西側諸国の中にも望まない連中はごまんといるっていうからな。ススキヶ原はそのしわ寄せをもろに受けてるっていっていい」
「それで、あたしたちはあの戦艦の運搬の護衛?」
「そうなる。それが済めば、三日くらいは休める」
「だといいがな」
「ブライアン、お前。言うようになったな?」
「これだけの事が続けば、な」
ブライアンはすっかり色々な出来事が連続したため、慣れてしまったようだ。
「野比氏は知っているのか?」
「そうでなきゃ、あたしたちが入れ替わった状態で動けるわきゃねーだろ?手引きを頼んである。彼は顔が効くからな」
「環境省の一官僚がどうして、そこまでできる?」
「表向きは官僚だが、裏の顔はプロの狙撃屋だからさ。一応、日本政府の所属ってことにはなってるけど、固定のクライアントは持たない。だから、政府に脅しが効くんだそうだ」
この世界の日本は、未来情報で無人機が将来的に非人道的な兵器と位置づけられる事に衝撃を受けており、自衛隊の装備の有人機率を維持する事に決めている。また、M粒子の登場で、21世紀型無人機は役にも立たなくなった上、自立型の23世紀型は非人道的兵器という烙印を押されているため、無人機部隊は形だけのものとなった。のび太はその情報を財務関係者に流し、防衛省の無人機導入推進閥を潰しつつ、日本政府首脳の首根っこを掴み、自衛隊の装備導入を調整していた。また、戦闘ヘリについても、のび太が扶桑が欲しているという情報を流した途端に、技能維持の観点からの維持を決めている(扶桑が引き取りを希望していたためか、扶桑へ譲渡する話がある)。
「でも、なんで、表立って出て来ないの?」
「自分らしくない事をしてる自覚があるからだろうよ。下手に目立てば、カミさんの所属先の公安警察が自分を襲うだろうからな」
「公安警察が?」
「連中、あいつのカミングアウトで面子を潰されたから、復讐の機会を窺ってるんだそうでな。表立ってはしてないが、当事者だった幹部が今でも目論んでるそうでな」
公安警察は2005年頃に取り組んでいた『手柄となると見込んだ』案件を政治判断で潰されたことを恨んでおり、政権の暗部として手を下すのを担っていると見込まれたのび太を逮捕しようと息巻いていた。だが、彼等は逆に政権から排除されようとしており、のび太に件の公安警察の最高幹部の排除を依頼し、のび太はころばし屋騒動に関わる前の仕事として、公には『とある県の警察の幹部』である彼を密かに葬る仕事をしていた。
「だから、ゴルゴ13と張り合える彼を使わない手はないから、今日にも政府の依頼で『殺る』そうだ」
「道化じゃないの、その公安の幹部」
「有りていに言えばな。あたしらにはかんけーないけどな、ボウズの親父さんは表立って言えない仕事をしてるって事は覚えとけ」
ゴルシはそこまで言って、仕事に入る準備を始める。
「お前が借りてる体の持ち主は素で空を飛べるけど、こっちは上位変身を使わねぇといけないからな」
「私は上位変身なら、空を飛ぶのにスタミナを消耗せんらしいが、二段変身は面倒だ」
と、二人は上位形態に切り替える。本来は奇跡が必要だが、二人が体を借りているプリキュア達は『能力の殻を破っている』状態であるため、自己意思での変身が可能である。
「これを使っとけ。パーフェクトゼクターはおいそれと使える武器でもないから。のび太の義理の息子から、サムライトルーパーの刀を預かっておいた。そいつは力に目覚めてるみたいだからな」
「こいつの旦那だという、烈火の鎧を持つ奴か。扱えんわけではないから、受け取っとく」
「あんた、剣道や居合の経験は?」
「じーさまや親父に仕込まれた。お袋は反対だったが、レースで戦う心を養うためだって説き伏せてた。おかげで、武道はルドルフ以上の腕だ。レースでは役に立たんから、できるのを言わなかっただけだ。グラスも、薙刀の護身術を身に着けてるだろ?」
「そいやそうだ」
ブライアンは腰に『剛烈剣』(輝煌帝用の刀)を帯刀する。パーフェクトゼクターはヘリに置いていくが、剛烈剣もただの日本刀ではない。彼女は剣術の心得を持つと告げ、普段は絶対に使わない技能も父親と祖父の意向で鍛えられていた(その反動か、芸術センスはないが)事を明かす。
「まさか、他人の体で使う時が来るとはな」
苦笑交じりのブライアン。姉に付き合わされて、流鏑馬(我々の知るそれとは異なるものだが)をしていたなど、武道の心得があるため、キュアドリームのパワーアップ後のスペックに振り回されなかったのである。
「しかしだ。一応は海自の護衛艦が護衛しているんだろう?どうして、私たちまで駆り出す?」
「海自の護衛艦はだな、良くて駆逐艦だぞ。潜水艦と飛行機はこわかないが、あれと同等の戦艦や重巡に襲われれば、ただの駆逐艦じゃ一撃死するぞ」
戦艦が普通に現れる場合、海自の護衛艦は『数に限りがあるミサイルで戦艦や重巡を相手取る必要がある』。内規で雷撃が禁止されてしまったため、速射砲とはいえ、駆逐艦程度の砲では、重巡以上の艦艇には立ち向かえない。そのため、護衛艦が護衛についても『心許ない』と評されてしまう有様である。そのため、扶桑の駐留艦隊が日本の統合幕僚監部の指揮下にないことが防衛官僚らから不満がられている。戦艦と空母を有し、超甲巡も近代化された状態で配備されていたからだ。とはいえ、間接的な指揮は可能であり、戦艦三河(大和型の最終艦)とその護衛艦が演習名目で第三国艦艇と航空機の監視のために出港している。
「だから、保険は必要って事だろうさ。とりあえず、着艦したら移乗すんぞ」
アルザス級は第二次世界大戦型の新戦艦の例に漏れず、水上機運用設備がある。そこに臨時でヘリを着艦させ、三人を移乗させるのである。(そこは無事であるため)目的地までは数時間ほどであるが、気は抜けない。史実では存在しない仏戦艦の集大成な船など、第三国の中には欲しがる者が多いのだ。(40.6cm3連装砲塔などに換装されているのもポイントである)
――日本連邦が大和型の改装を徹底的に行って『イージス戦艦』とし、その圧倒的火力を誇示したとされることは『戦艦は海の王者である』という原初の認識を海軍関係者に再認識させたが、戦艦そのものは『実物がある日米英の戯れ』と認識されている。これは21世紀には『戦艦を一から再建造する』事は不可能になっていたし、米国も『過去の図面の焼き直しで用意した』に過ぎない。だが、象徴的意味合いでの同位国からのレンドリースは過去に戦艦を運用していた元の列強諸国の間に興味が生まれている。二一世紀現在では『空母や潜水艦よりも安上がりに、空軍よりもわかりやすい軍事的なプレゼンスを提供しうる』用途が生まれたからである。アルザス級も修理後にフランスが『データ集計のために借り受けたい』と述べるなど、あれこれの方便で運用を目論む動きはあった。とはいえ、ガリア最強であるが故に、現地軍は一刻も早い回航を望んでいるのも事実。日本連邦は修理を引き受けたが、直ちに引き渡すとは告げていない。史実での未成戦艦は開発元の願いと裏腹に、21世紀世界の列強諸国の駆け引きの道具にされていたのである――