ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第四百二十三話「間話~ジオン残党軍対プリキュア(入れ替わり)~4」

――アルザス級戦艦は後世、ウィッチ世界きっての『悲運の戦艦』として名を歴史に残すこととなった。それはガリア最強の軍艦を目指しながら、建造中に鹵獲され、いざ戦場に現れた時には、自身を遥かに超える日本連邦の超戦艦が待ち構えており、彼等に比しての劣位が衆目に示されてしまったからだ。ガリア純正の砲を備えていなかったとはいえ、鋼鉄とは隔絶した強度の金属を装甲板に用いたそれらは、アルザス級の持つ火砲では傷をつけることすらできなかった。更に、51cm砲の大口径砲弾に一方的に撃たれまくるなど、いいところなし。ガリア海軍では最新最強の戦艦だが、日本連邦の超兵器の前では霞んでしまう存在でしかなかった――

 

 

 

 

 

 

――アルザス級に移乗した三人。傷ついてはいるが、現代の無機質な軍艦より遥かに『わかりやすい』力強さを感じさせる。艦内も損傷が見られたが、艦橋までの通路は無事であったため、回航の責任者となった海自の一佐に挨拶する――

 

「任務ご苦労さまです」

 

「統括官から話は聞いています。ようこそ。たった数時間ですが、この艦を預かりました」

 

「敵兵は?」

 

「兵員・士官室と兵員用食堂などに押し込めであります。機関要員や見張り要員以外は邪魔なだけですので」

 

運航に必要な要員以外は監視を兼ねて、いくつかの場所に集めてあると述べた彼。艦の取り扱いは基本的にそんなに変わらないが、リベリオン製の部品で完成されているため、予定よりも操舵の応答速度は良いという。これは完成させるのに、リベリオンの新戦艦のパーツを用いたためだ。

 

「護衛艦付きの船を日本国内で襲うとしたら、ショッカーの類の連中でしょう。警戒をよろしくお願い致します」

 

戦闘不能になっているが、アルザス級戦艦は大和型戦艦よりも後の世代の設計である分、防御の理論は進歩していた。それ故に超大和型からも生き延びたのである。とはいえ、ペリーヌは海軍の復興にあまり関心がなかった(金食い虫と思っている)ため、死蔵してしまう結果に終わる(国土復興がなされた後でなら、いくらでも運用して良いという趣旨の意向だったが)。だが、いくらなんでも、リシュリューとジャン・バールの二隻だけしか稼働状態になく、ダイ・アナザー・デイで旧式化を突きつけられた状態であるのは、ガリア国民の不安を煽る形になり、1950年にアルザス級の一隻のみが艦隊旗艦扱いで復帰させられるのである。

 

「ガリアは修理へどれくらいの褒章を?」

 

「報奨金を出すそうです。まぁ、防衛省も政府も宛にはしていませんが、奴さんなりの誠意でしょうな」

 

連合軍は1949年度にはもはや、ガリア海軍を戦力としては見なしていない。ダイ・アナザー・デイ以降、連合軍の戦艦部隊は実質的に、日英の二カ国の有力な戦艦の一括運用の方便となっていた。カールスラントが内乱で『戦艦の外洋航海ができる状態』になく、リベリオンは亡命政権と傀儡政権がそれぞれ別個に装備し、亡命政権側は外征可能なほどの余裕がない、ロマーニャはヴェネツィアとのいがみ合いが再燃した上、タラント空襲のダメージから回復しきっていない、オラーシャは分裂した諸国との紛争に明け暮れるようになった上、連合軍を脱退している。その結果、連合軍の用いられる戦艦は二カ国のもののみとなった。ブリタニアの戦艦群も有力な七隻以外の今後がわからない状態になってしまい、余裕がないため、結局は扶桑の戦艦群が主力となっている。その扶桑も仮想敵がモンタナ級とその改造型となったため、紀伊型戦艦以前の型式を戦艦籍に置いておく意義が薄れ、大和型戦艦とその派生型が主流になった。

 

 

「扶桑の統合参謀本部の海軍部も愚痴ってますがね」

 

「なんでだ?」

 

「大和型は本来、量産するつもりはなかったそうなんですが、公にバラされたことで、それ以前の型式が旧型の烙印を押されてしまい、結局は大和型の一族で固めないとならなくなったのが予想外だったそうです。扶桑は本来、大和型戦艦からコストカットをしたものを量産する構想だったようで、上位艦まで必要となるのは予想外すぎたそうです」

 

大和型戦艦は本来(扶桑では)、46cm砲搭載の実験艦として計画されたため、量産を本当は考慮していない。そのため、扶桑海軍は大和型から不必要な要素を削ぎ落とした艦を『浮き砲台』代わりに量産するつもりだったという。ところが、M動乱で水雷防御の必要が再認識された上、モンタナの登場で大和型の攻撃性能が陳腐化することへの恐怖が誘発されたため、超大和型に至った。これは基地航空の信奉者であった井上成美が(史実の陸上基地部隊が空母機動部隊の機動力と物量に叩き潰された事実へのショックもあって)海軍から空軍へ移った事、基地航空部隊が空軍の管轄になってしまったため、空母艦載機運用部門の人的再建にものすごい時間を要する事となったためもあった。井上成美は『負けたからと、全てを否定するのか!?』とお冠であったが、流石に史実におけるあ号作戦、い号作戦などの航空戦での大敗北の記録は顔色を失った。また、機材と人員の優位が失われると、物量で及ばない側は絶対に負ける事実も突きつけられたため、彼は海軍提督としての名声を失うことになり、空軍へ移ったのだ。

 

「だろうな。とはいえ、子供でもわかることだと思うがね。ジオンだって、ガンダムショックでゲルググが遅れたというのに」

 

「お役所はおつむが単純なんですよ」

 

 

いつの時代も兵器の数、あるいはスペックだけで優越が決まると考える者はいる。22世紀では、『アンドロメダ級戦艦が二隻あれば、地球は安泰』と見る者が多かったが、そのアンドロメダが悲劇的結末を迎えると、ヤマトにすがりつく有様であった。そのため、以後の連邦政府は性能が一定以上あり、稼働率が高い兵器を推すようになり、VF-19の本国での使用率が急上昇するきっかけとなった。スペックだけで全てが決まるなら、ゲルググがジオンの救世主足り得たし、アンドロメダは地球連邦軍の象徴になっていた。練度だけで決まるなら、一年戦争でジオンが逆転勝利できていたはずである。23世紀の戦争の情報は科学と軍事で日本に極大の衝撃を与えたといえる。その研究の結果がドラえもんのテクノロジーだが、それらは技術的特異点を異常に恐れた西洋諸国によって瓦解。M粒子の登場もあり、軍事面が歪に発達した世界が出来上がるのである。

 

「23世紀の世界が我々と地続きなのは、暗黙の了解になっています。みんなわかっていますが、口にしないだけです。それがいつであるかはわからなくても、ね。」

 

彼は部内で既に未来世界が自分達の未来である事が知れ渡っているが、暗黙の了解で公にしていないことを告げる。自衛隊の制服組は既にそういう前提で動いており、未来兵器の使用も躊躇う事はない。恐れるのは、『歴史の修正力』を異常に恐れる研究者達だけだ。

 

「しかし、あなたがその体を借り受けるとは」

 

「三代目繋がりで、ゴルシが勧めたんだ。ミスターシービーから数えればの話だが」

 

ブライアンは一見して、キャラのイメージがまるで違うキュアドリームの肉体を借り受けている。本人との違いは『目つきが鋭い』、『紫色のオーラを纏える』、『のぞみ本人の声色であるものの、ドスの利いた低音ボイスである』などである。固有武器が戦いの水準からすれば貧弱(フルーレである)であるため、デザリアム戦役の後は『必要に応じて』他のヒーローなどの武器を借り受ける事が増えている。それはのぞみ本人もしている事だ。

 

「一つ聞いていいか?かの世界の魔女達は技術革新に及び腰なんだ?」

 

「自分達の培ってきた技能が使えなくなるからでしょう。ダイ・アナザー・デイの戦はまさにそれでした。艦艇にVT信管付きの対空砲が出ていないのが救いでしたが、彼女らはF-35を敵だと勘違いして、同士討ちする事例が続出しまして。結局はF-14やF-15の世代を用いる事になりました。キャノピーが非透明のものだったのも災いしたのでしょう」

 

ダイ・アナザー・デイでは、F-35も持ち込まれたが、怪異との類似性が高かった事が災いし、複数が同士討ちの被害に遭う事態となった。更に、M粒子で同機の真価を発揮できない状況となったため、『ネットワークで統制されていない』F-14以前の世代が結局は主力になった。21世紀型の電子回路では、M粒子に対抗できないのである。

 

「それも評価が落ちた原因か?」

 

「まぁ、ステルス戦闘機は遠目からすれば、怪異と誤認しやすかったのでしょう。あの世界では、敵味方識別装置も使われていなかったので」

 

結局、敵味方識別装置がそれで普及する流れになったが、戦闘機の形を必死に覚える羽目となった。64Fは転生者が主力であったため、何ら問題はなかったのだが、それ以外の部隊は不始末を何かかしらやらかし、上層部の頭痛の種となった。また、前世の坂本のように『個人技能を発揮できる軽ストライカー』をひたすら求める古株も多かったことも、64F以外の部隊の潰走の原因であった。

 

「おまけに、相手が米軍の頑丈な機体なのに、歩兵用の重機関銃を使う有様だったそうで。B29相手にそれでは、豆てっぽうですよ」

 

ウィッチは基本的に弾の弾道特性を強化できるが、炸薬量が変わるわけではないため、標準装備であった『三式十三粍機銃』、『M2重機関銃』、『MG131』、『MG151』などの火力不足に苦しむ事になった。その結果、場繋ぎで既に戦闘機用のラインがある『MG151/20』、『九九式二〇粍機銃』などが流通したが、『携行弾数の低下や反動の増大』を理由に、配備に反対する部隊が続出した。だが、当時は近接格闘術を使える魔女が減少していたり、重装甲化が進んだリベリオン航空機への無力ぶりが露呈していたため、自然と大口径銃の配備は進展した。とはいえ、それだけで落ちるほど、B29は容易くはなかった。

 

「まぁ、あれを歩兵用の重機関銃で落とすなんて、機首の操縦席を狙うかしないといけねぇが、あの世界の魔女にそんな度胸はねぇからな」

 

B29を正面から落とせる魔女は64Fにしかおらず、それ以外は(通常兵器なためもあり)軒並み、見るも無惨な有様であった。対空砲火の弾幕を防ぎきれずに死傷するケースが後を絶たなかったからだ。ミサイルでも、一発では落ちないほどの防御力は『軽めに持てる範囲の火力しか持たない』通常のウィッチの手に余った。それが衆目に示されたことも『権威の凋落』の始まりであったりする。

 

「話の続きは第二食堂でしましょう。兵員用の一つですが、無事ですので」

 

食事時なため、彼は副官に操艦を任せ、休憩がてらに、三人を招いての食事に入る。兵員用の一つだが、兵員の拘束用には用いられず、設備も無傷であった事から、稼働させていたのである。

 

「ある大物の要人と統括官が2000年代初めに初めに密談した事が、我々が平行時空の存在を知るきっかけでした。2000年代終わりの革新政権の無定見のせいで暗礁に乗り上げかけましたが、政権の再交代で実現にこぎつけました。ですが、省庁間の抗争も激しくなり……」

 

「向こうの世界の内務省や陸海軍省とかの問題もあるからな」

 

ゴルシの言う通り、扶桑は中央省庁の再編を行ったが、実務上の都合もあり、陸・海軍省を再編・統合し、治安維持関連省庁から検閲の権限を無くすことに力が入れられる程度に終わった。これは戦時下であった都合上、内務省が存在していたほうが各方面の手続きが簡略化できるからだ。余った憲兵を前線に投入する案もあるのだが、生え抜きの憲兵は法学部の出も多いため、結局は軍の司法部門に移籍させることで折り合いが取られた。空軍が当面の間は『空母航空団の任務を代行する』という布告が正式になされたのも、クーデター後の混乱による。また、日本の文科省の暴走により、扶桑の予備士官制度が形骸化してしまった事件は記憶に新しいと話す。その被害をもろに被ったのが、キュアドリームである事、彼女は皇室に掛け合い、教職につけるように取り計らってもらっていたが、日本の文科省の役人の独善と暴走で話を潰されたと。

 

 

「ああ。それは新聞のスクラップ記事で見た。損害補償の裁判を恐れた文科省が、件の役人に全責任をおっかぶせて懲戒免職処分にして、キュアドリームの軍階級を上げてもらうよう、向こうの国防省に動いてもらったってんでしょ?どうやって始末つけたんですか?」

 

「私どもも相当に困りましたよ。扶桑の陛下が裁可を下した案件を文科省が独断で潰すなど……。官僚らは腰を抜かしましたよ。プリキュアとはいえ、一介の将校の転職話を潰しただけで、向こう側の陸軍大将が直々に抗議に来るんですから。しかも、彼女以外にも、予備士官になりたがっていた将校たちが転職を潰された格好になっていたとあっては……。ですので、防衛大臣は彼女らの申請を『なかった』事にし、日付を遡って『昇進していた』という風に取り繕う事を提案し、向こう側のお上に文部科学相を連れて、頭を下げたとの事です」

 

本来、予備士官は『普段は民間で働き、有事にのみ、軍役に服する者達』なのだが、21世紀日本の文科省の役人はその事に無知であり、結局は大恥をかく形になった。『予備自衛官、予備自衛官補と同様の扱いにする』ことで合意はしたが、結局、損害を被った者たちは『一貫して現役の将校である』という形になり、軍籍を残したままで民間職につくことは認められなかった。とはいえ、副業は(扶桑の経済状況もあり)認められたため、家業を手伝う軍人がかなり増加した。64Fが大規模に広報事業を行うのは、のぞみの一件以降に中央の広報部の統制が弱められ、部隊が各個に広報活動を行う必要が出たからで、かなり複雑な経緯を経ている。公の教職が公務員とされたため、副業でなれるものではなくなったのも、のぞみが軍人であり続ける事になった最大の理由だ。結局は日本側が予備士官志望であった将校らに賠償金を支払う羽目に陥ったわけで、扶桑の『機能している制度を引っ掻き回す』のは、その事以降は日本側でタブー視されるようになった。

 

「で、そいつらは箝口令を兼ねて、全員が前線送りってわけ?」

 

「政治屋の圧力です。のぞみさんはプリキュアだからこそ、きちんと損害補償がなされたようなものです。他の連中は多くが箝口も兼ね、最前線の将校として送られ、既に3割は戦死したとのことです」

 

「証拠隠滅ってわけ?」

 

「日本の政治屋と官僚の圧力です。政権が苦境にある時に省庁の不祥事がバラされば、致命傷ですからね」

 

「戦時中の連中を笑えないじゃない」

 

「やっている事は赤紙を出していた世代と同じですが、彼等は罪悪感がない。扶桑は別の世界の国ですからね。扶桑には、自分の祖父母の同位体がいるやもしれないのに」

 

「知らんぷり、か」

 

「政治屋と官僚は自分達に災難が降りかかることがなければ、明治や大正期の制度を使い続けるような連中ですからね。向こう側の軍人は『自分達が手を汚さないための都合のいい駒』なんでしょうね」

 

タイシンは彼の話を聞いて、胸糞悪さがこみ上げた。ウマ娘競争教会も似たようなもので、マルゼンスキーが現役の時代には、帰国子女のウマ娘をクラシック級のレースから締め出していたが、マルゼンスキーがあまりに速すぎたために、その世代のクラシックレースの覇者達はまったく評価されず、世間も『マルゼンスキーの敗者復活戦だろ』としか見なさない事態となった。皮肉な事に、そのマルゼンスキーの早期引退の後に、ハイセイコーの再来であったオグリキャップが現れるという皮肉が起こり、そのオグリキャップの引退後に、追加登録制度が設けられたが、そこに至るまでに相当に揉めていた上、その恩恵を受けた最初のG1ウマ娘『テイエムオペラオー』は(芝居がかった言動もあって)イロモノ扱い。その後の世代の台頭が待たれるという残酷な有様になったように。

 

「自分達が世間に非難されないと、大きい組織は動かないのはどこも同じか…」

 

「そういうことです。日本系の組織では、それが当たり前ですから」

 

競馬の世界は時代の最強馬が『花形路線』から締め出されたがために、その代の他の馬たちが苦境に陥った事が有名となったケースが存在する。マルゼンスキーの光に飲み込まれ、消えていった中には、かつての『八大競走』の覇者達も含まれており、その世代の無惨さは『ウマ娘競争教会の黒歴史』だが、オグリキャップとタマモクロス、イナリワン、スーパークリークら『平成三強』+αの放つ光に飲み込まれた『サクラチヨノオー』、『ヤエノムテキ』、『メジロアルダン』の三人も引退後に低評価されがちである。(オグリキャップとタマモクロスの歴史改変により、タマモクロスがオグリキャップの引退まで現役であった事になったので、その三人は影に隠れてしまった感が強い)

 

「なんか、昔、オグリ先輩やマルゼンさんが味わったっていう苦境みたい」

 

「似たようなものですね。しかし、七勝しても、正当に評価されていない節のあるテイエムオペラオーさんよりはマシでしょう」

 

「あれはどうしてなの?」

 

「スペ達が引退した直後だからだろうよ。黄金世代が引退した直後はどのスポーツでも言われるんだが、特にあたしらはな」

 

ゴルシはそう総括する。オペラオーの不幸は直前に黄金世代と評される者達が活躍し、黄金世代の生き残りであるグラスワンダーとセイウンスカイは盛りを過ぎたものの、未だ健在という状況であり、オペラオー自身もアグネスデジタルに敗れてからは落ち目になっている故だ。

 

 

「あたしらの商売は回転が早い。スカイとグラスは落ち目に入ってきてるし、オペラオーはデジタルに負けたショックで落ち込んでる。G1の七勝は勲章だが、昔ほどは難しくはなくなったからな」

 

ゴルシは自身が六勝している事もあり、この感想である。平均の実力がルドルフの全盛期より向上したこともあり、G1を複数回勝つことは以前よりも容易ではない。とはいえ、相対的にハードルは下がっているので、ゴルシ級の実力があれば、『世代の雄』になれるのも事実ではある。

 

「ですが、有馬の権威は落ちましたよ?」

 

「足を痛めるケースが多かったからな、有馬は。時代ってヤツだな。ジャパンカップで辞めるケースが増えてるから」

 

有馬記念に時代の最強馬が出ないことも生じるケースは2010年代以降に増大していった。馬場の具合や、ジャパンカップや香港、ドバイへの遠征で精力を使い果たすからでもあり、苦慮させられる。

 

「出たけりゃ出るが、足を痛めるリスクがある。これからはそれとの戦いもクローズアップされていくだろう。あたしらは出るからな、これから」

 

「大変ですね」

 

「フィギュアスケーターみたいな要素もあるからな、あたしらの競技は。ある程度の実績がある引退者はエキシビションみたいなレースに招かれるんだが、お遊びのようなもんでな。それをどうにかしようとしてる改革派と守旧派が派閥抗争だよ」

 

「あなたはその抗争にご意見が?」

 

「それはブライアンに聞いてくれ。アタシは高位の生徒会役員じゃねぇし、興味ねぇよ」

 

「私が答えてやるが、改革派の領袖がシンザンさんでな」

 

「なんと……あの?」

 

「そうだ。学園の自治の維持のために、彼女の権威を利用させてもらう事にした。トウカイテイオーがルドルフの後を継いだが、ヤツは青二才だからな、私が裏の仕事もせねばならなくてな……」

 

「競走馬としては、あなたの方が下では?」

 

「ウマ娘としては後輩でな。その関係もある。ただ、レースデビューは奴のほうが早いから、そこで帳尻は取れている。姉貴は引退したが、私は当面の間は現役でいる。ローレルに勝ち逃げしたいからな」

 

ブライアンは目標を口にする。同期でありつつ、全盛期は天下無敵を誇ったため、他のウマ娘は歯牙にもかけなかったが、低迷を経た現在では、史実で引導を渡された相手である、サクラローレルを強く意識している様子を見せる。軽食をする短い間ながら、ブライアンが明確に『サクラローレルを意識している』様子を見せた点で、この会話は貴重な一幕であった。

 

『艦長に報告!!僚艦がジオン残党の敵機をキャッチした模様!至急、艦橋にお戻りください』

 

と、艦内放送が入る。第二次世界大戦型の軍艦は新鋭艦以外は『戦闘指揮所』(CIC)が存在していない(米軍が確立させた概念なため)艦橋から連絡が入るのである。アルザス級を捕獲せんとするのは21世紀の各国だけではなく、ティターンズ残党の傭兵という扱いにまで堕ちたジオン残党もそうであった。三人はその放送を聞くと、気持ちと思考を切り替え、戦闘モードに切り替えるのだった。

 

 

 

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