ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第四百二十四話「間話~ジオン残党軍対プリキュア(入れ替わり)~5」

――ダイ・アナザー・デイ中から、連合軍は身内の引き起こす不祥事にてんやわんやであった。ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの引き起こした外交問題は昭和天皇が危うく、カールスラント皇帝に怒りの直電をする寸前であった。ミーナが悪者の扱いにされたのは、扶桑国民の大使館焼き討ちの防止のためであった――

 

 

 

 

――1940年代後半の連合軍統合参謀本部――

 

「ロンメル。よく、扶桑への皇帝陛下の謝罪に持っていったな?」

 

「日本連邦に経済制裁を受けて、国が経済から消え去るよりは、たとえ屈辱でも、正直に頭を下げて、彼の国からの救済の余地を残したほうが賢明だったからだよ、パットン。ラーテなど、ティターンズの前では玩具に過ぎんから、地球連邦軍の超兵器に戦ってもらうほうが国土の保全にいいと思ったからさ」

 

「各国への違約金は払えるのか?」

 

「ラーテの違約金はドイツに言って、なんとか値切らせてもらった。我が国を引っ掻き回された以上、金を値切ってもらわんと、割に合わんよ。こちらはパンターやティーガーの殆どが扶桑に売られてしまったんだから」

 

「義勇兵化を認めさせてもらったのは?」

 

「日本連邦へ人材をほぼ無償で提供したからな。それで相殺してもらった。メルダース大佐の名誉も回復させたいから、彼女を日本に移住させたよ。」

 

ロンメルはメルダースの失墜した名誉の回復を図り、元々はガランドの対抗馬と目されていた彼女を(昏睡状態の際に)予備役へ退かせ、書類上は日本連邦の義勇兵として志願し、赴くための下準備中に事故にあったように取り繕わせている。なお、本人は1949年度に宮藤芳佳の治療で意識を回復し、魔弾隊の制空班の責任者となっている。階級も中将扱いだ。なお、ドイツの強権で強引に名誉を剥奪され、軍での失脚を予想した『コンドル軍団』在籍経験者はその全員が部下ごと扶桑に渡っており、ある者は部隊の整備班と炊事担当の兵も引き連れてきたほどだ。

 

「それで、魔弾隊があんな豪華に?」

 

「しかたなかろう。現場で人望のある、古参の将校の少なからずはコンドル軍団への在籍記録がある。ガランド君の機関に全員を引き抜くわけにもいかんだろう?まぁ、ドイツはルーデル大佐の厄介払いができて、大喜びだというが」

 

とはいえ、カールスラントの名うてのウィッチの過半数は64Fが抱えている状態である。ロンメルは64Fの復活は源田実も想定外だったと話す。

 

「源田閣下としても、64が一癖ある連中の巣窟になるのは想定外だったそうだ」

 

「ああ、例の頓挫したG計画」

 

「ミーナ君が凡ミスさえしなければ、転生者は分散配置の予定だったのだ。経験値がカンストしている存在だから、教官がうってつけだったと思うんだがね」

 

「しかし、転生そのものが眉唾ものだし、年齢が年齢だ、かなり無理があったぞ」

 

「ケイの武勇伝は欧州にも轟いていたはずなんだが…」

 

アフリカ戦線では、圭子と黒田のコンビの独壇場状態が数年ほど続いた。マルセイユがアニメよりかなり大人な性格になっているのは、上官がバーサーカー気味であったり、負けの味を知っているからだ。

 

「しかし、マルセイユ中佐に、エーデルフェルトの令嬢を公の場で演じる胆力があるとは」

 

「彼女の父親も軍人だったし、周囲に貴族出身がいる環境だったそうだからな。鼻につくが、演技としてはアカデミー賞ものだよ」

 

マルセイユは『エーデルフェルト家の令嬢』を演ずる副業にも勤しんでおり、意外に面倒見が良かった。そのため、美遊・エーデルフェルト(リネット・ビショップ)の面倒を見ている。バルクホルンは『信じられん!!』と困惑しているが、マルセイユは元来は面倒見のいい性格なのだ。

 

「ところで、ケイのあの性格は素なのか?」

 

「今のままではな。元々はありきたりな『お姉さん』だったと聞いているが、何度か死ぬうちに品行方正に嫌気が差したらしい」

 

「針が振り切れすぎだと思うんだが」

 

「お前さんが演じてる、マッチョイズムと似たものじゃないのか?」

 

ロンメルは圭子本来のキャラを知っているようであった。圭子がガンクレイジーに振り切れた要因が『果てしない、ゲッター艦隊の闘争』が絡んでいることも悟っているのか、パットンのキャラ付けを指摘する。

 

 

「だから、ミーナ君がケイに嫌味を言ったと聞いた時は肝を冷やしたよ。頭をベレッタでトマトにしかねんからね…」

 

「ケイが素を見せたら、血を見るものな。数年前のアフリカ戦線を覚えてるか?」

 

「ああ。飛燕のエンジンが80時間でオシャカになった事件だろ」

 

圭子は扶桑軍の兵站担当者を殺しかねない勢いで怒鳴りまくり、担当者を大泣きさせた事がある。黒田が制止していなければ、担当者はその日のうちに砂漠に横たわっていただろう。

 

「だから、ミーナ君が嫌味を言ったと聞いた時は吹き出したよ。で、事の重大さを知った途端に隠蔽と偽装工作だ。それも拙すぎるくらいの」

 

「見破ったの、ケイのお抱えの秘書だろ?アフリカ戦線の頃にはいたよな」

 

「ああ。43年の頭には、既に秘書の肩書で活動していたからね、ユニくんは。宇宙人の前世を持つのだったな?」

 

「ああ。猫型の宇宙人の前世を持つと聞いている」

 

キュアコスモ/ユニは早い内から圭子に仕え、Gウィッチを繋ぐ役目も担った他、圭子がゲッター艦隊の一員であり、黒江のために現世へ舞い戻ってきている事を教えていた。その強大な力に異常に怯え、機密指定にしてしまったのがモントゴメリーなので、三将軍で最も『行った事に失敗の多い将軍』となってしまった。そのため、モントゴメリーはこの場にはいない。兵站部署に異動させられ、その指揮を執っていたからだ。

 

「それにしても、ミーナ君はシャインスパークを見るまで、本当に武勇伝を知らなかったのか?」

 

「どうもそうらしい。私がその場で叱責しても、気が動転するばかりだったからね」

 

「お前、よく撃たれなかったな?」

 

「ハルトマンがすぐに取り押さえたし、事の重大さを思い知って、坂本少佐へ向けた銃口を引っ込めたからな。肝が冷えたよ。あの場で彼女を叱るのは」

 

「未来世界規格のボディーアーマーを着込んでいたくせに」

 

 

ロンメルはミーナを医務室に隔離する命令を発した時、実はボディーアーマーを着込んでいた。錯乱したミーナが魔力を込めた銃弾を自分へ撃つ可能性を考えていたからである。坂本曰く『自分が止めるつもりでしたのに』と笑っていたが、坂本に怪我をされるわけにはいかなかったのだ。

 

「ケイがゲッターの使者だとわかった時、部隊の連中は?」

 

「プリキュア勢すらも、乾いた笑いだったそうだ。普通にプリキュアを格闘でねじ伏せるからな、あいつは」

 

圭子も普通に格闘はプロ級であるので、歴代プリキュアもねじ伏せるだけの実力はある。その圭子を一瞬で無力化させるのが赤松であるので、実は赤松の赴任は彼らの要請だ。

 

「赤松大尉を呼んでおいて正解だったな」

 

「ああ。ケイを子ども扱いできる猛者だからな、本当に。黙っていれば、絶世の美女なんだがね…」

 

赤松は智子以上の美女なのだが、実態はバンカラ系女子で、一人称も『儂』である。黒江が母のように慕い、圭子も『姉御』と恐れるほどの最古参。それでいて、孔雀座の白銀聖闘士(最強の白銀の一角)であり、パワーアップしたキュアドリームをも真っ向からねじ伏せるほどの実力者である。黄金ではないが、それに準ずる実力を備えているため、シャイナが行方不明となった穴を充分に埋めている。

 

「モンティのポカのせいで、俺はその尻拭いをしてきた。悪役も査問で演じさせられたが、日本から抗議の電話が殺到したんだぞ?俺の身になってくれ」

 

パットンはマッチョイズムな姿が知られているため、ミーナへの査問では悪役を演じさせられた。本人も気が引けたが、新拳銃の融通を条件に、引き受けていた。とはいえ、なんだかんだで仕事はやり遂げており、銃を乱射して、怒り狂う演技はアカデミー賞ものだとのこと。

 

「アカデミー賞取れそうな勢いだったから、彼女が折れてくれたんだ。あれこそ、お前の演じている偶像だ」

 

「いくらなんでも、ハンニバルの生まれ変わりとは思っとらんからな?」

 

と、愚痴る。とはいえ、圭子に拳銃を融通してもらった手前、悪役を演じきった様は名優であり、ロンメルの立ち位置である『温厚で、部下に慕われる将軍』が際立った。

 

「あとで謝罪するつもりだったんだが、人格が変わってはな。手紙は書いたが」

 

「彼女は消えたわけじゃないというから、おそらく、表に出ないのを償いとしているのかもしれんな」

 

二人はミーナ本来の人格は健在であるものの、坂本の前でしか表面化しないという報告を受けており、坂本を通し、扶桑国民への謝罪をしたと聞いていた。坂本の前でしか表に出てないあたり、ミーナなりの償いの意思を感じさせている。坂本もそれを受け入れており、別れの挨拶をある時に交わしたという。これは将来的には『西住まほと融合していく』事を分かっていたからで、挨拶はそれを見越してのものだろう。

 

「それも辛い選択だな」

 

「罪を償う手段がそれしかないからな。我々にどうこういう権利はないさ。彼女の意思である以上は尊重せねば」

 

「夢原少佐と似たようなものか?」

 

「彼女の場合は人格の上書きのようなものだが、この場合は穏やかな融合と言える。夢原くんのほうが大変だよ?記憶があるとはいえ、実感としては違和感が出てしまうからな」

 

「だから、野比氏の子息の一人と?」

 

「前世での想い人だったそうだから、幸せになってもらいたいものだ。とはいえ、夫婦で戦士というのもなぁ」

 

野比コージはのぞみの想い人の転生であるが、サムライトルーパー(烈火)でもあるため、夫婦揃って『炎』に縁がある。のび太の養子かつ、ノビスケの義弟であるが、彼の故郷の時間軸はノビスケが成人している頃である。お互いに家系図的にややこしくなってしまったのは否めないが、共働きである(コージの普段の職業は私立高校の教諭になっている)ので、実はめったに会えないのである。とはいえ、のぞみは前世の悪夢を振り払えたことに満足しているし、コージは『自分が守る側である』ことに大いに幸せを感じている。なお、前世で世話係だったミルキィローズこと、美々野くるみは『カエサル』としての高校生活があるので、滅多に顔を出せないと愚痴っているとか。その姿は高官たちも応援していたりする。

 

「家内に言い訳が大変だったよ、この間のパーティーで歴代プリキュアを侍らせて、ドンペリのグラスタワーしたから」

 

「酔っていたからな、お前…」

 

ロンメルも多忙の心労か、酔っ払ったあげくに、歴代プリキュアを職権乱用で侍らせて、グラスタワーをするなど、相当に危ない姿を晒し、その写真を妻に見られてしまう失態を犯したと嘆く。キュアマカロンが相当にノリノリだったのであるが、彼女のコスチュームがコスチュームなので、危うく家庭の危機になりかけたとぼやいた。とはいえ、キュアマカロンも転生後は扶桑第一の武門の名家の令嬢なので、羽目を外したいのだろう。

 

「私も、ドイツからは嫌味を言われる身だからな。ドンペリでタワーくらいやりたくなる。息子の教育に良くないと、家内に言われまくったが……」

 

「当たり前だ。俺も倅の前では気が抜けんのだぞ。俺と同じ職場にいるんだから…」

 

パットンは息子も戦車兵であるので、意外に育児はまともにしていた。後にその子は将官にまで登りつめ、ある時代以降は父に代わり、圭子達の後ろ盾となるのである。

 

「お前の気持ちはわかるが、あからさまに侍らせるのはまずいぞ。ゴシップ紙の格好のネタだ。俺が記念写真取っただけで、職権乱用って、ご婦人方が怒ったんだぞ?」

 

「ああ、地上空母を撃破した直後に、地上空母の降伏式した時に撮ったんだったな?」

 

「包帯姿のプリキュアなど、撮れるものでもないからな。それに、折角の拳銃を自慢したくてな…」

 

プリキュアがコスチューム姿で負傷するほどの激戦だった中、後から来て、記念写真を取らせたという構図はまずかったのだが、第二次世界大戦時代であれば、常識の範疇だ。とはいえ、プリキュアが戦争に加わっているという事実はショッキングな光景であったが、ティターンズの暴虐を止めるには、猫の手も借りたいとは、山本五十六のひねり出した日本向けの声明だ。高官たちは自軍の将校達からプリキュアの転生者が出るなど、夢にも思わなかったのだ。彼女たちはプリキュアであるが、少なからずはウィッチ世界の軍籍を元から持っている。更にいえば、ウィッチ世界の本来の主人公と言える宮藤芳佳からして、スマイルプリキュアのキュアハッピーの転生なので、主人公補正の重ねがけだと、別の方面から反則だと謗られている。とはいえ、シャーリーはキュアメロディかつ、紅月カレンの転生であるため、ファン層が複雑怪奇。のぞみはウィッチとしては無名(統合戦闘航空団に入れる素質はある)だが、プリキュア戦士の代表格なため、ウィッチとしての功績よりも、現役時代の名声で地位を築いた感がある。だが、ウィッチとしても、そこそこの実力はあったため、黒江、黒田と受け継がれた斬艦刀を継承し、公には『三代目の斬艦刀持ち』とされる。(統合戦闘航空団内でそこそこのという事は、扶桑国内では上位である)

 

「斬艦刀はパフォーマンスで使っているのか?彼女らは」

 

「半分はな。聖剣は政治的に表ざたにできんからね。東條元総理もそう判断していたらしい」

 

斬艦刀はスペックの時点で『たいていのものが斬れる』が、黒江たちは小宇宙と気を上乗せすることで斬れ味を増強しているため、パフォーマンスではない側面もある。のぞみもパワーアップ後はその方法で斬れ味を上げている他、存在自体がアニメとの違いとして使えるので、展開状態でプロパガンダに使ったこともある。また、のぞみであれば、草薙流古武術の応用で『火炎剣』に出来るため、ある時にジオン残党相手に『火炎剣・十文字斬り』を某未来ロボの如く、放ったこともある。また、聖剣の霊格を宿すことで、宝具級の力を持たせられるが、その状態を自在に扱えるだけの実力を持つ使い手は実戦経験豊富な四人のみだ。日頃のメンテナンスも大変なので、斬艦刀は実のところ、『斬れ味抜群だが、常に持ち歩いて使うような武器ではない』(液体金属の補充や刃の修理に手間がかかるため)という難点がある。とはいえ、使えば、並の戦艦を竜骨ごと斬れるほどであるので、使う時は使うのだ。

 

「バーゲンセールのように、エクスカリバーを持つ者がいるからな。対外的には斬艦刀を使うとしたほうが波風立たないんだろう」

 

「政治屋連中の考える事は分からん」

 

「アジア人がエクスカリバーをバーゲンセールのように持つのをよく思わん輩は多いからな。扶桑人にも、だ。東條元首相はその観点から、聖剣の名を伏せたのだろう。後で非難されたのは予想外だったろうがな。事変の時の高官たちは多くが墓の下だ。その彼等を責めては、残された家族が肩身の狭い思いをするだけだが、政治屋は後出しで非難するからな…」

 

ロンメルはメルダースのこともあるのか、政治の都合一つで、手柄の好ましい、好まざる事を判断される事に嫌気が差したようである。似たことを扶桑海事件当時の高官が晩年に述べていたため、『当時の判断を後出しで非難されては、自分達の判断は何だったのかと言いたくなる』というのは、扶桑海事変以降の高官たちに共通する心境だろう。ロンメルはこれでもマシな部類で、扶桑軍の高官であった者は『軍時代の功績を全否定された』ことも珍しくない。そのため、事変の詳細は1949年になっても不明な点が多い。当時の主流派が疎んじた論調が逆に大勢を占めた上、大和型戦艦の計画がその後に強力に進められたため、反対派であった者が生き残りのために証拠隠滅を図ったり、高官たちが名誉を守るために改竄したからである。とはいえ、当事者であったウィッチが尚も現役に留まっていること自体が想定外だったのも事実。ロンメルが愚痴る事はその象徴のようなものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイは守旧派のウィッチを日陰者に追いやるのに充分な戦であった。シャルル・ド・ゴールも敗戦を見越した脱出を画策するほどな様相を『一握りの精鋭がひっくり返し、陸戦と空戦の勝利をもたらした』出来事は戦力の平均化を目指していた守旧派にとっては不都合な真実であったが、日本は『未熟な者をベテランが引っ張るのでは、隊を支えるベテランが戦死してしまえば、彼等は途端に何もできなくなるから』という戦訓を持つため、『尖った練度を持つ前線部隊』の存在を容認。64Fはその目的で編成された。とはいえ、源田実としても、他部隊で扱いきれないはみ出し者(転生者含む)を抱え込む事になったのは予想外だったのは、ロンメルも言う通り。しかも、転生者の大半が各国軍のトップクラスの撃墜王という異例の事態。そのため、軍部は分散配置を諦め、一括管理と運用を是としたわけだ。第二世代理論は『英雄』と凡人との間を埋めるために開発が急がれた側面が大きい。分散配置はミーナが不祥事を起こさなければ、計画通りに実行されていた公算が大きかったのも事実だが、ウィッチの現場で『20を超えた者はロートルと見なされる』ことをわかりやすく示してしまったという点で、ミーナは後輩達のための十字架を背負う運命となった。1946年以降は(人材不足もあり)20代や30代の年齢でも戦う者は珍しくなくなるが、それ以前は『もの好き』、『特異体質』と見なされ、疎んじられていたことを示す実例とされ、1947年以降は士官学校の講義に取り上げられるほどに有名なエピソードとなった。カールスラント空軍の権威が没落し、扶桑空軍が『次代の王者』になる過程で起こったこともあり、殊更に悪目立ちした感は否めないが、以後の世代のウィッチにアジア的な『年上を立てる』風習を根付かせるきっかけとなった――

 

 

 

 

――過度に実力主義を尊ぶ風潮が(政治的都合もあって)弱まると、年長のウィッチは『好きに装備を調達できる権利がある』一方で、後輩に範を示さなくてはならないという問題が浮上。その事もあり、魔女が軍で居場所を得るには『どの分野でもいいので、一定以上の能力を見せる事』が条件として知られるようになった。逆に言えば、立身出世に身分を問わない事でもあるため、扶桑よりも欧州で歓迎された。特にカールスラントとブリタニアのような魔女の名門国でない国々のウィッチは国際的に立場を得るには、何かかしらの技能が必要であったので、実力主義の風潮が弱まるのは大歓迎であった。とはいえ、一定の技能は必要不可欠であるのには変わりがないので、扶桑は中小国の分も『魔女大国』である事が求められた。例えば、雁淵ひかりは扶桑では『技能は中の下』とされるが、他国では充分に(育てば)トップクラスとされるように、層の厚さはアピールされたが、実際には『黄金世代』頼りの有様であり、次代が育つことは減少傾向になった扶桑。そのため、次代のエースと対外的にアピールされている芳佳でも(童顔だが)、1949年には21歳を迎えている。エースの年齢を欧米向けにぼかす事が多くなったのは、年代が日本で言う『占領期』の時期に入り、その時期が数百年に一度の『ウィッチ覚醒の休眠期』であったからで、見かけが10代な転生者達は重宝された。芳佳、菅野、ひかり、静夏といった生え抜きの若手は国内向けに、のぞみや調といった『他の異能と併存する技能として持つ者』は平行世界向けにプロパガンダされたのだ。

 

 

 

 

 

――それらの経緯は日本のある雑誌がウィッチ世界を特集した際に詳細がまとめられており、扶桑軍はそれらを包み隠さずに明かしたことで、日本の若者らの入隊を狙った。その雑誌はウマ娘達が入れ替わる際の情報収集にも使われ、ナリタブライアンなどに特に有り難れた。ブライアンとしては、自身と対極にいるようなキュアドリームと入れ替わったため、当たり障りない範囲での情報は欲しかったからだ。ドリームの技は全て使えるが、使いこなせるかは入れ替わった当人の技能に依存するし、インタビューなどでは『当たり障りない内容』をいう事が良いからだ。ブライアンはこの経験で『前世での運命』を覆そうとしており、サクラローレルに勝つために、恥も外聞もかなぐり捨てる覚悟であった。故に、普段はレースで使わない技能(本人はレースに使わないから、黙っている気であったが)も活用し、戦闘に臨んだ――

 

「ん、あれは……」

 

「ずいぶんとレアな機体を持ち出したな。グフ飛行型の『飛行できた型』じゃねぇか」

 

「足がデブってない?」

 

「一年戦争のジオンの技術レベルで飛ばそうとしたら、どうしてもああなるらしい。一機は博物館に入れたいそうだから、無力化しろ」

 

「しかし、どこから発進した?」

 

「潜水艦はいないはずだから、ザンジバル級か何かを持ち込んで、そこから出てきたな。一年戦争の頃の機材を温存してたか、ありあわせの機材で修理したのを持ち出したか…」」

 

 

ゴルシもその出自が気になるグフのフライトタイプ。脚部に熱核ジェット(熱核タービンの以前の代物だが)を内蔵することで、強引に飛行させた代物であり、二個小隊ほど(六体)が飛来する。ブライアンはキュアドリームが持つ技能の内、マジンガー関連のものを使い、奇襲をかけた。

 

「要は一機を無力化すればいいんだろう?自衛隊の護衛艦を蜂の巣にされては、たまらんからな」

 

『サンダーブレーク!!』

 

稲光を走らせ、指先に収束させて雷のような高圧電流を発射するこの技、威力はオリジナルのそれと同等なので、300万ボルト=30万アンペアの出力を誇る。これはグフが原型機で備えていた『ヒート・ロッド』が玩具扱いのパワーである。稲光はマッハ3以上で動けない場合は躱せないので、グフフライトタイプ部隊は直撃を食らった一機が電子回路(対策は施されているが、あまりの出力を一点に集中されたため、内部の回路の大半が焼き切れた)を破壊され、動作不能に陥って不時着していく。ブライアンは剣鉄也がグレートマジンガーでしたように、サンダーブレークの電撃を鞭のようにしならせ、その熱エネルギーを利用し、もう一機を真っ二つに切断し、撃墜する。

 

「へ、味な真似しやがる。なら、こっちは超電磁のパワーだ!」

 

『天空ゥゥ剣!!』

 

プリキュア本来の力ではないが、空間の元素を再構築・固定し、人間サイズの天空剣(ボルテスV)を生成。そのままグフに斬りかかる。グフは『正気か!?』と言いたげな挙動を見せ、シールドで防御を試みるが。

 

「天空剣がそんな板っきれで防げるかっての!」

 

分子結合を破壊する超電磁フィールドが常に刃先に展開される天空剣は、超電磁フィールドに耐性があるマテリアル以外は一刀両断できる。それを知っていたゴルシは(キュアビートの肉体を借りている)その能力を以て、グフフライトタイプのガトリング・シールドを粉砕、離脱しようとした本体を必殺技でたたっ斬った。

 

 

『天空剣・Vの字斬りぃぃぃっ!』

 

天空剣の刃がグフフライトタイプをVの字に切り裂いていく。きちんと機体全体を切り裂いていくあたり、芸が細かい。

 

「うわーお、Vの字の残留エネルギーが光ってる。結構エグいな…」

 

タイシン(キュアフェリーチェの肉体を借りている)は若干引いたようだが、こちらは『ゲッタービームランチャー』(ゲッターレーザーキャノンの改良型)を召喚。相手のグフが『標的が人間サイズであるが故の照準の困難さ』から、武装を活用出来ていない(グフは元々、航空機やMS相手の近接戦闘を想定された火器管制装置を持つが、ザクやドムほどには歩兵との交戦は考慮されていないのだ)。タイシンは元々、ガンシューティングゲームが得意であり、サバイバルゲームで狙撃手の経験もあったため、俗に言う『長物』の扱いも心得ていた。

 

「エネルギー兵器なのに、反動を考えないといけないってのは面倒だけど……!」

 

ゲッタービームランチャーに限らず、エネルギー兵器であっても、手持ち火器の形態を取っていれば、発砲時の反動は少なからず生じる。エネルギー兵器は必ずしも、無反動の火器ではないのである。

 

「いけっ!!」

 

ゲッタービームランチャーは人サイズ故に、放たれた光芒は相応の大きさだが、威力はゲッタードラゴン用のそれと同じなため、一年戦争当時の『超鋼スチール合金』程度の金属など薄紙のように貫く。タイシンはグフフライトタイプが180°回頭をする際に見せる『無防備な脚部の補助ジェットエンジン』を狙い撃つ。危ういバランスで飛行が成立していたグフフライトタイプは、片足のエンジンを破壊すれば、安定飛行がままならなくなる。その指摘は開発中にも存在したが、グフをベースにしている故の『自衛力』のせいで見過ごされた点であった。

 

「やった……あっけないわね」

 

「こいつらはエンジンを積みまくって、その馬力で無理に飛ばしてるに過ぎねぇ代物だ。後の世代の飛行メカにちょっとした影響は与えたみてぇだが、ジェットスクランダーやグレートブースター、メタルアーマーのリフターみたいな『外付けのオプション』で飛ばすか、ミノフスキークラフトの応用(クスィーガンダムなど)か、軽い機体をミノフスキーフライトと推力の併用で飛ばす(F91など)、最初から空戦を考えた設計にする(コズミック・イラ世界のフリーダムガンダムなど)とかになったからな。コイツらはエンジンをどこかかしらやれば、すぐに安定飛行ができなくなる。コックピットから脱出した兵士は後で護衛艦に拾わせるから、安心しろ」

 

 

 

ゴルシはそう断言するが、グフフライトタイプはグフ飛行型の系統で唯一、一年戦争中に『ちゃんと飛行できる』グフ飛行型だった。だが、グフ系の焼き直しにすぎない機体設計、ジオン製の熱核ジェットの不安定さもあり、制式採用機でありながら、少数生産の部類に入る数しか配備されず、連邦軍も実機の接収が出来なかった。とはいえ、残党が用いる場合に備え、残されていた系統機の開発データを使っての分析はなされており、対抗戦術は確立されている。(ティターンズが似た傾向のバイアランを開発していた経験も生かされた)そのため、ゴルシたちも適切に対処できた(三人がサバイバルゲームなどの経験者だったのも大きいが)わけだ。

 

「残った連中は逃げてくよ。追いかける?」

 

「母艦がガウやザンジバルだったら、味方を守りきれないからな。艦載機を撃退しただけでも良しとすんぞ」

 

「アンタ、妙に引き際を弁えてるよね?」

 

「入学してこの方、ナカヤマフェスタやシリウスシンボリ達と博打してりゃな」

 

ゴルシは趣味として楽しむ範囲だが、学内で花札や賭けマージャンなどを行う『博打打ち師』である一面があった(競走馬としての、120億円分の馬券を紙屑にしてしまったという、有名なエピソードが由来か?)。その経験の為せる業か、意外に引き際を読めるのだ(生徒会に隠れてしているせいか、危機管理能力は本物だ)。ゴルシはそう言って、答えをはぐらかすが、生来の勝負師的な側面のおかげではないか?と深読みし、そのカンの良さを羨ましがるタイシン。

 

(アタシにこのカンの良さがあれば、前世でもっと、名を挙げられたのかな…。『それはそれ』だけど、やっぱ羨ましい)

 

その感情が顔に出、羨ましそうな顔をするタイシン。

 

「ま、気にすんなって」

 

ゴルシはその事をわかった上で、わざと茶化す。

 

「ばっ、ち、ちがっ……」

 

否定するものの、赤面と呂律の回らなさで本心丸出しなため、むしろかわいい。

 

「気持ちはわかるがな」

 

若干のドヤ顔で〆るブライアン。

 

「~~!アンタに言われるなんて、なんか悔しい……」

 

ブライアンに生暖かい目をされたのが悔しいのか、赤面しつつも、ふくれっ面のタイシン。

 

「各々でスコアは挙げたことにはなったし、母艦も今の戦闘で手を出さねぇだろう。帰還すんぞ」

 

ゴルシはすっかりノリノリだが、ウマ娘チームの知恵袋的な役目も果たしているのが分かる。実は彼女もまた、同期のトリプルティアラのウマ娘『ジェンティルドンナ』にレースでリベンジしたいという願望があるため、精神的な鍛錬を兼ねている節があった。ナリタブライアンはこうして、プリキュアの仕事を代行するという『奇妙な生活』を送りつつ、自身に残る『精神的弱さ』を乗り越え、前世(史実の競走馬として)で引導を渡された相手『サクラローレル』を打ち負かし、前世の雪辱を果たす大望を果たす事を目標に据えるのだった。

 

 

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