――プリキュア5は比較的に直接格闘に慣れていたが、圧倒的な強者である仮面ライダー三号の前では、戦う意欲も失せてしまった。実力派で鳴らしていた故に、お互いの差がわかってしまったわけだ。二号ライダーはそんな彼女らを身を挺して守ったが、重傷を負わされてしまったのである。B世界ののぞみは責任を感じ、思い詰めてしまった――
――一方、A世界ののぞみはというと、ウマ娘たちの要請で、入れ替わっていた。彼女はナリタブライアンの体を借り、町内のイベントに出演することで小遣い稼ぎをしていた。ブライアンの記憶は全て閲覧できる状態なので、振る舞いに気をつければ良いのと、ブライアンはのぞみの体の素体となった中島錦と似た性格であったという幸運もあり、無難に演じていた。――
「史実のように引退するのかって?そいつは違うな。前世と違って、四本足じゃないんだ。馬類と同じ怪我や病気にはかかるが、治らないってわけでもないしな」
『中身』の都合で、本人より高めの声になっているという違いはあれど、本人より受け答えが上手いために、主催側としては大助かりであった。ブライアンの背丈は160cmほど。のぞみ(キュアドリーム)と同程度。入れ替わっていても感覚的な違和感はない。
「それでは、復帰する意志がおありですね?」
「そうだ。怪我する前のようにはいかんかもしれんがな」
と、ブライアン本人が言えなさそうな事もサラッと言えるのである。のぞみは本来、演技は下手であったが、ブライアン本人のキャラは把握していたので、それらしい事くらいは言えるのである。
「ジャパンカップの事は触れんでくれ。悔しくて、当時の事は覚えてないんでな……」
それも本当である。ブライアンは三冠を取った後に怪我を負った。医学的には完治しても、本人いわく『全盛期の感覚からズレてしまった』らしく、低迷が続いていた。その感覚のズレをどうにかしたいため、体を他人に貸したのだ。実のところ、来訪の直前の時期には、史実通りに『引退』の二文字が周囲から出まくっていたのである。ブライアンはそれを黙らせるために努力していたが、運命の神は残酷なもので、レースは惨敗続き。心が折れかけていた。故に、藁にもすがる思いだったのだ。
「あなたの注目している後輩は?」
「前世とは色々と違うからな……。無論、ディープやオルフェには注目してはいる。だが、連中は青二才だからな」
ブライアン本人が思っている事を口に出すのぞみ。ブライアンはオルフェーヴルやディープインパクトの入学時には、既に三冠ウマ娘であり、立場は違いすぎた。だが、そのポテンシャルは自分の世代を凌ぐものであり、予てより注目していたのも事実だ。
「ウオッカについてはコメントに困るな。前世での姪に当たるし、寮での私のルームメイトは奴の親父なんだよ」
「おお、では、同じブライアンズタイムの……」
「偶然だがな……中二病全開で困るよ、受け答えにな」
「お察しします」
のぞみがブライアンの記憶を参照しつつ、当たり障りない範囲で、イベントでのインタビューに答えていた。ブライアンの本音を代弁してやっている面もあり、タニノギムレット(前世では、ブライアンの異母弟にあたる)が中二病患者なので、言うことを理解できない事が多いとぼやいてみせる。人間、やる気になれば、それなりにやれるのだ。
(すごぉ~い、違和感ないじゃん~)
(次は私ですわね…。まさか、ゴールドシップが孫だなんて……)
控え室のテイオーとマックイーンだが、ゴルシがメジロの血を継ぐ者(自分の実の孫)であったという事実が効いたらしく、まだショックなようだ。
(ボクなんて、カイチョーの実の子なんだよ?それに比べればさ…)
(パーマーやライアンではなく、なぜ私なんですのぉ~~!?)
(パーマーとライアンが聞いたら怒るよ~?)
マックイーンはゴルシが自分の孫(娘の子)であった事を『日本シリーズで満塁本塁打を打たれたような衝撃』とぼやき、そのゴルシから不満を言われまくっている。
(ボクも、シリウスにどんな顔して会えばいいのさ?親戚だよ、親戚!!)
テイオーはテイオーで、シンボリと繋がりが深かった事の自覚が蘇ったため、色々と気まずくなっていた。特にシリウスシンボリとの関係だ。競走馬の世界は意外に狭いので、マックイーンは前世の晩年期には、あのサンデーサイレンスと禁断の関係にあったというのは、競馬ファンには有名な話。
「君、間違いなく、サンデーサイレンスとの関係はツッコまれるよ?」
「それは前世の話でしょう!?ウマ娘としては、会ってもいませんわ!」
「マンハッタンカフェに憑いてるっていう『友だち』、実はサンデーサイレンスじゃない?」
「やめてください、縁起でもない!」
テイオーはマックイーンの前世の晩年期の交友関係にツッこみを入れる。マックイーンは顔を真赤にして否定するが、やはり、サンデーサイレンスへの好意はまだ消えていないようだ。
「イクノに言うよ~?」
「それだけはやめてください!!」
マックイーンはイクノディクタスへ好意を抱いている事は周知の事実だが、それでいて、サンデーサイレンスへの好意も残るなど、ゴルシの祖父であったという過去通りの『恋多き乙女』であった。
「んじゃ、帰ったらさ、はちみーを作ってくれる?」
「わ、わかりましたわ……その代わり、あなたも……」
「どーせ、タイ○ーズの東京ドームの試合のチケットでしょー?」
「なるべくいい席を……つか、なんで知ってますの!?」
「パーマーに聞いたんだ」
「パァァァマァァ~!!」
情報を漏洩したのがメジロパーマーと分かったマックイーンは顔から湯気が出る勢いで真っ赤になり、メジロパーマーの名を絶叫した。後日、全盛期のスタミナを取り戻したマックイーンは凄まじい勢いで、様子を見にきたメジロパーマーを猛追。メジロパーマーは『殺されるかと思った』とぼやくのだった。(パーマーには逃げの脚質なので、ステイヤーの脚質であるマックイーンとの相性は良くなかったが、根性を見せた)
その頃、ブライアン本人は何をしていたかというと……。
「ミサイルの嵐を食らいやがれぇっ!」
こちらは『闘争心のはけ口』として、学園都市のゴロツキ共を叩き潰していた。こちらも、その時点でのキュアドリームの全能力を使えるため、『空中元素固定能力』でミサイル(拡散弾頭)を生成。発射する。学園都市は街そのものが何らかの原因で暗部の解体がされた後、その構成人員がまとめて行き場を失い、周囲に破壊をもたらす災厄と化した。ある意味、学園都市の組織解体後は世紀末の世界も同然に堕ちたわけだ。そのため、ブライアンは一切の躊躇いを持たずに、相手を倒していった。
「さて、ものは試しだ。見せてやる、草薙の拳を!!」
ドリームが転生で手に入れ、デザリアム戦役中に正式に継承した草薙流古武術。元々、ブライアンも炎をライブなどで用いていたため、属性的にも相性は良く、加減しない分、ブライアンの方が炎使いとしての本領を見せていた。
「おおおおおっ!!」
青い炎で学園都市のゴロツキを焼き尽くす。元々、ヤマタノオロチを倒した拳と言われるほどの炎なので、出力が高まると、必然的に青い炎となる。プリキュアとしてのドリームの特性は『聖』だが、ブライアン本人は『炎』属性なので、ミスマッチ感もあるが、ある意味、この炎こそ、のぞみの存在に中島錦の肉体が馴染んだ証拠である。元来、草薙流古武術は『魔女の世界』では世に知られていない秘術であったが、21世紀の世界では『ゲームの主人公の力』として、すべてが知られている。そのため、継承家の一つであった『中島家』も大いに困惑する事になった。のぞみが錦の立場に置かれた後、中島家そのものが『長島飛行機』との関係を日本に『癒着』と叩かれ、一気に苦境に陥ってしまったため、草薙流古武術の事を世に発表するしかなく、のぞみは中島家全体の懇願もあり、当代当主を差し置いて、草薙流古武術の継承者となった。ブライアンはその技能を使い、ゴロツキ共を薙ぎ払う。
「やれやれ。そのうち、漫画のようなモヒカンと肩パットで、バギーに乗ってるゴロツキが出てくるかもな……。『こいつ』(キュアドリーム)が扶桑から求められる『英雄』か。……同情するな」
『あのぉ、やりすぎですよ、奥義を出し惜しみ無しなんて』
「ゴロツキ共には良い脅しになるだろう?つか、お前も大概だぞ。スーパーレッドホークをホルスター付きで携行してるとはな」
『護身用ですよ、護身用』
「昔のバイオレンス刑事ものの漫画か?デジタル、お前ってやつは…」
「ゴルシさんに頼まれて、せっかく来たんですから、今後の参照に……」
アグネスデジタルはゴルシに呼び寄せられたが、どうも、コミケの資料を探していたらしく、ゴルシに勧められるままに銃火器を持ち出したらしく、別の場所で撃ち合いをしていた。ゴルシもゴルシだが、選ぶ銃が過激なあたり、オタクとしての粗野がかなり広いことを窺わせる。
「やれやれ。わかってると思うが、44マグナムだから、肩を狙えよ?ヘッドショットは言うまでもないが、やめとけ」
『分かってます。いっぺんやってみたかったんですよ、マグナムの片手打ち』
「どこのドイツ軍の少佐だ、お前は」
「あれ、あの漫画、かなり古いんですけど、知ってるんですか、ブライアンさん」
「おふくろの本棚にあってな……冷戦時代の頃に見ていたと、ガキの頃に聞いた」
ブライアンは母親が『エロイカより愛をこめて』のファンだったといい、マグナムの片手打ちをするキャラを知っていた。ただし、『エロイカより愛をこめて』でそれをしていた少佐の銃はオートマグである。
「でも、少佐はオートマグですよ?」
「野比氏に聞いてみたが、できないことはないが、ジャムる銃だから、僕は勧めないという事だ」
「さすが。」
アグネスデジタルの見かけはかわいい少女そのものだが、芝とダートの王者であるウマ娘であるので、実は相当に鍛えられた筋肉を隠している。砂の絶対王者と名高い『スマートファルコン』に至っては、全力の正拳突きで『海を割ることができる』ほどのパワーを秘めているので、かわいい見かけに反し、パワーファイターそのものだ。双方のオールラウンダーである故に、純粋なパワーでスマートファルコンに劣るという、アグネスデジタルでも、44マグナムの反動に余裕で耐えられるのだ。本人たちとしては不本意ながらも、その能力を自警活動で用いたわけだ。最も、デジタルはこの時、顔出しで銃撃戦を派手にしてしまったので、後でエアグルーヴに強く怒られたという。
――軍人である者がその代の当主の座を『長子を差し置いて』継ぐ、あるいは伝承されてきた何かを継ぐという事は、魔女の世界では、ダイ・アナザー・デイから太平洋戦争の時代、都心部、農村部、身分を問わずに、多く発生した。これは扶桑全体への反戦思想の拡大もあるが、その代の長子が『戦時の空気に耐えられない』文学青年であったり、軍役に耐えられない病弱な体質である事が身分を問わずに頻発したり、中島家のように『創業者と友人であったために、その企業の製品のテストを長年にわたって務めてきた』関係を理不尽に叩かれ、経済的・政治的に苦境に陥ったため、秘術を『現在進行形で士官である者に継承させる』ケースも頻発した。戦争の戦況が膠着状態となりつつも、超人以外の魔女達の活動が(人数の都合もあるが)低調である事に批判が集まりだしたため、世間の評判を気にした農村の人々は数年も『一族の魔女を隔離していた』事を闇に葬りたいが故に、大げさな出征式で送り出したが、そのような者は来られても、『精神的な傷による人間不信により、軍務に耐えられない』ため、太平洋戦争もたけなわな時期には『工廠で魔女用の軍需品を作る』仕事に回されていた。1949年当時、扶桑は数百年に一度の『魔女の出現の休眠期』に入ってしまっており、世代交代どころでは無くなっていたので、現在進行形で軍人である魔女は家の体裁のために『当主を継がされる』事が頻発した。中島家は幸運なほうで、当代当主も退役将校であったために、世間の批判は軍需産業との深い関係に向かった。とはいえ、魔女は先祖代々が魔女の一族でも、当代に出現するとは限らず、本家ではなく、分家のほうに出現する事で『お家騒動』となった黒田侯爵家のケースもある。このように、魔女の出現は自然現象に近いため、日本が考えたような、『人為的な制御』は一切合切、不可能である。この事の判明で日本側もあまり強くは叩けなかったが、癒着を名目に、中島家の財政を苦境に追いやったため、のぞみは実家に多額の仕送りをする羽目に陥っていた。当主である小鷹も(家の小間使いなどを食わすため)軍に戻ると言い出しており、結局、中島家は姉妹全員が軍役についている状態に回帰していく。このように、『魔女になっても、周囲に優遇されるとは限らない』という事実は、扶桑軍の魔女兵科の維持に多大な悪影響を及ぼしてしまうのだ――
――その流れで、日本と扶桑で激論が交わされたのが、プリキュア達の処遇だ。プリキュアは魔女枠で各国軍に雇用され、人事的優遇を受ける身であった。連合軍の中枢を担うようになった扶桑軍は『世界を守った実績を鑑みての措置である』と押し通している。覚醒した者は扶桑軍、ないしはその友好国の将校であったし、法的にも『民間人の戦闘行為は自衛であろうとも、違法になる可能性あり』というのは、魔女の世界においても同じである。そのため、身辺警護と身分保障を兼ねて、入隊させたのだと。過去、機動刑事ジバンの対バイオロン法で野党に糾弾された経験があったし、2000年代の財政難と政治的後ろ盾であった警察幹部『正木俊介』の退官で『レスキューポリス』を解散せざるを得なくなった後は、日本警察は超がつくほどの凶悪事件に無力となり、ヒーロー頼りの有様だからだ。(機動刑事ジバンはバイオロン壊滅後は消息不明となり、23世紀に復活している)ススキヶ原周辺の混沌とした治安に打つ手がないのも、日本警察がヒーロー達の活動に文句を言う権利を有さなくなった理由だ。日本はそれを持ち出されると、グウの音も出なかった。自警団を黙認せざるを得ないのは、レスキューポリスの解散や、機動刑事ジバンの消息不明で、超凶悪犯罪に対応できる能力が日本警察にはなかったからだ。プリキュア達を警察や警備会社に転職させろという論調もあったが、仮面ライダー達をそれに組み込むので精一杯であったし、仮面ライダー達は法的には既に、21世紀には『老人に達している』戸籍年齢の者が大半である。プリキュア達は外見的には『年端も行かぬ少女』であるので、連合軍にいてもらったほうが、日本政府としても楽であるのも事実なのだ。(とはいえ、初期世代のプリキュアは設定を鑑みると、普通に成人済みの概算年齢になっているチームも多いが)
――こうして、ころばし屋の逆襲に備え、キュアドリームの活動を日々、『代行』するナリタブライアンの前に現れたのは……――
「フム……。アポロガイストからの情報通りだな」
ススキヶ原の街に現れた『一体』の黒いロボット。彼こそ、組織の傭兵として雇われた戦闘ロボ『ハカイダー』。かつて、ダークという悪の組織が人造人間キカイダーの破壊のために生み出し、その後もキカイダー兄弟の前に立ち塞がってきた漆黒の戦闘アンドロイドである。
「誰だ……なにィ!?」
ブライアンはギョッとした。オートバイにまたがり、颯爽と現れたロボットの頭部には『人間の脳髄』が視認できる状態で搭載されていたからだ。
「俺の名はハカイダー。お前たちの言う『組織』に雇われた者だ」
蘇りしハカイダーはあくまで『傭兵』であるが、キカイダー兄弟を倒すために、組織に身を置いている。サブローであった時期と同様のカラーリングに戻っているので、生まれた当初の状態に差し戻されて復活したらしい。
「ハカイダー……まさか、人造人間キカイダーと戦ったという……!?馬鹿な、お前はキカイダー三人衆(キカイダー、01、ビジンダー)に葬られたはず……!」
「たしかに、俺はキカイダー三人衆に敗れた。だが、ボディの制御中枢部と記憶回路は幸いにも生きていたのだ」
重厚な渋い声の響きもあり、大物感を醸し出すハカイダー。彼いわく、キカイダー三人衆に倒された際も重要部品が無傷で残り、組織の手でボディが新造され、有能な人物の脳髄がそれまでの記憶とともに移植され、蘇ったという。その証拠に、武器を持つ手も左手に戻っている。
「俺が涅槃にいる間に、世の中は変わったものだ。だが、俺の目的はいつでも同じ。キカイダーとその仲間を地獄に送り込むことだ」
往年同様の目的を明言し、左手にハカイダーショット(彼の武装である長銃身の拳銃)を持ち、キュアドリーム(ナリタブライアン)へ向けて構えるハカイダー。ブライアンはその構え方に一瞬戸惑う。右腕を左手の下につけて安定させる方法を取っていたからだ。
「!!」
反応速度の良さが幸いし、ブライアンはハカイダーの放つ弾丸をすんでで避ける。だが、弾丸の初速の高さにより、左肩をかすめる。
「ぐお……っ…。左肩をかすめたか…!」
銃弾がかすめたのは(当然ながら)初体験だが、かすめただけで、結構な痛さである。プリキュアの状態でなければ、出血していたのは間違いない。
「小娘よ、キカイダーとその仲間の場所を教えろ」
「そういう問いに答える阿呆はいないぞ…!ヒーローものの定番だろうが……!」
「…フッ、確かにな」
ハカイダーはギルハカイダー時代に『ビジンダーレザー』で二度は倒されているという記録があるので、エネルギー兵器には弱い疑惑がある。そのため、ブライアンは空中にエネルギー生成型のトマホークブーメランを作り、それを遠隔操作で投擲する。
「ぬっ!」
「これでどうだ!!真・トマホォォクブゥゥメラン!!」
作ったトマホークブーメランは八個あまり。ハカイダーもさすがに、その場から飛び退く。このトマホークブーメランはエネルギータイプなので、切れ味は下手なビーム・サーベルより上で、任意で消せるという特徴を持つ。ハカイダーもこれは銃で迎撃しきれず、吹き飛ばされる。
「なかなかにおもしろい手を使う。だが、今日は挨拶代わりだ。キカイダーに会うことが会ったら、伝えろ。ハカイダーが黄泉の国から舞い戻ったとな」
空中で態勢を立て直したハカイダーは、ギルハカイダー時代が嘘のような『大物』な物言いと、見事な宙返りで着地し、停めてある愛車にまたがりつつ、キカイダーへの宣戦布告を伝えるように言い、その場を去っていく。
「デジタル、聞いていたな?」
『はい。大物が来ましたね。それもサブローに変身できそうな……』
「奴の人間態か?」
『ええ。ですが、光明寺博士の脳が入っている状態の人間態ですから、今は違うかも知れませんが……』
「奴はキカイダーにこだわっているようだが……」
『それが彼の存在意義だからですよ』
「どういうことだ?多少の知識はあるようだが、『コイツ』は詳しい情報は持っていないようだからな」
『それじゃ、さっきの会話はハッタリですか?!』
「さっきの場の空気的に、そうしないといけない気がしてな」
『分かりました……。話せば長くなります』
通信越しに、ハッタリで場を乗り切ったとぶっちゃけるブライアンに、ハカイダーの誕生した理由と、その背景を教えるデジタル。とはいえ、自分もちゃっかりと銃火器で武装し、ゴロツキと銃撃戦を『普通に』展開し、無傷で撃退できる能力を持つなど、門外漢と思われた分野でも有能さを見せるデジタル。デジタルからすれば、ほぼ半世紀前の特撮ヒーローである『人造人間キカイダー』の知識も持つなど、オタクとして只者ではない。ブライアンは(本業でも芝・ダートの双方で一流の強さを誇るためか)以後、アグネスデジタルに敬意を払うようになるのだった。