ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第四百三十九話「のぞみBの拠り所と、ナリタブライアンの選択」

――ナリタブライアンはハカイダーの登場を報告した。彼の復活により、人造人間キカイダーとキカイダー01は正式に『ヒーローユニオン』へ加入した。その日には、のぞみAの戦線復帰が迫っていたが、ブライアンは入れ替わりの継続を望んだ。何かを掴みかけていたからである。ブライアンは自分の前世の記憶から、精神的に自分を追い込む必要があると判断しており、そのためには、ドリームの仕事の代行を『今しばらくの間』は続ける必要があったのだ。これについて、ウマ娘たちと64F、ヒーローユニオンは協議を重ねることにした――

 

 

 

 

 

 

 

――連合軍は1949年までの人的混乱もあり、熟練の将兵をあちらこちらで取り合う状態であった。64Fは『存在自体が政治家に疎んじられている』者達の管理所の側面を持たせられていたが、そういう者に限って、空軍や海軍航空のトップエースであった。人事裁量の優先権を手慰みに与えた(政治家にとっての見方)ら、教導部隊の教諭級などを引き抜きまくったのである。しかし、史実で『人材を分散した事で侵攻を阻止できなかった』という事実もあるため、エース部隊を防壁にするというのは、合理的ですらあった。実際、中堅の魔女の多くが移籍してしまい、現場に残された魔女の多くが新兵か『引退直前の高齢者』という状況であったため、特別な力を持つ『転生者/転移者に人柱になってもらう』という結論に達したのである。兵士達のモチベーションが失われば、超大国でさえ『戦争には勝てない』。それは史実のベトナム戦争が証明している。連合軍は国の体すら保ち難くなったカールスラントから次々と人材を引き抜き、教官などに添えていったが、日本連邦だけはすぐに彼女らを最前線に投入した。これは日本連邦特有の事情によるものである――

 

 

 

 

 

 

 

――日本連邦、とりわけ日本はバブル崩壊からの不景気、太平洋戦争以降の軍事への忌避が理由で『自分達に大義名分がある戦い』に強くこだわるようになっていた。故に、防衛戦の体裁にこだわったが、圧倒的物量のリベリオン軍がヒスパニアやロマーニャの陸海空軍を鎧袖一触で蹴散らしてしまうと、日本はそれらの国々から猛烈に責められた。そこそこの軍事力があるので、『いくらアメリカ相当の国家が相手でも、数ヶ月は持つだろう』とたかを括っていた。だが、魔女の世界の軍隊は通常兵器の数が少ない上、年代の割に古い兵器が主力であったため、当代最高の質と物量のリベリオン軍に為す術はなかった。ドイツ主導の軍縮で、カールスラントの兵力がもはや、当てにならないことを認識した連合軍は比較的に兵力を持ち、リベリオン軍と戦える質を持つ扶桑を矢面に立たせるように仕向けた。連合軍の名だたる高官達(パットン、ブラッドレー、アイゼンハワーなど)が時の日本政府の首脳を強く説得したこともあり、扶桑軍は軍備の刷新に大義名分を得た。ただし、日本がその質の要求水準を高くしすぎ、今度は製造が追いつかないし、兵器の運用に関する教育も追いつかない問題が浮上していた――

 

 

 

 

――仮面ライダー三号による奇襲は仮面ライダー二号の献身で防げたが、二号が重傷を負ってしまう結果となった。のぞみBは打ちひしがれていたが、『自分より高スペックの後輩達でさえ一蹴されたのに、自分が戦っていても、二号の足手まといにしかならなかったのでは?』と冷静に分析する自分に薄ら恐ろしさすら感じ、自己嫌悪に陥っていた。別世界の自分自身はどうやって、三号に食らいつけるだけの力を得たのか。連絡を取りたかった――

 

「ラブリー、ハート。私のせいでこんな……」

 

「気にしないで。プリキュアの状態なら、自己治癒力も高まるから、一週間くらいで良くなるってさ」

 

変身した状態だが、コスチュームは所々で破け、その部分に包帯が巻かれている二人のプリキュア。現役時代の最強フォームの状態であるのだが、三号にとっては有象無象に過ぎなかった。

 

「だから、変身したままなの?」

 

「下手に変身を解くと、傷が広がるんだってさ。プリキュアの力で広がるのを抑え込んでる状態だから。面目ない」

 

「最強フォームのあなた達が何もできないなんて……」

 

「恐らくだが、奴は加速装置を使っていたんだろう」

 

「あ、ダイヤモンド」

 

キュアダイヤモンドがやってきた。口調その他はサンジェルマンであった頃の凛々しいもので、現役時代とキャラが違うとツッコまれまくりだ。

 

「ダイヤモンド。加速装置って、昔の漫画であった『あれ』のこと?」

 

「そうだ。奥歯にそのスイッチが有る…な。仮面ライダー達は機械式の改造であれば、性能の差はあれど、全員が持っている」

 

「なんでなの?」

 

「ボディの設計目的がなんであれ、加速装置が必要な局面は多いものだ。三号はアクチュエータの質が高い上、それに加速を上乗せする。二号が何故、命がけで止めたのが、よくわかる。加速装置の加速は……感覚そのものを強化しない事には対処できん」

 

加速装置の性能は改造(再改造含む)時点の技術レベルに依存するため、改造が後になればなるほど高性能である。仮面ライダー達は自己強化の術があるが、三号は元のスペックの高さと超高性能な加速装置、黒井響一朗の高い能力により、他のライダーの多くを圧倒しえたのである。

 

「奴は私達でも、殆ど手が出せん。こちらのお前で『やっと食らいつける』くらいの差なのだから、お前があの場で変身していたとしても、倒されていたのは間違いない。奴は光速にも対応できるからな」

 

三号の能力は(1973年の改造にしては)異常な高さであり、本来はその時点で最新最強の仮面ライダーであったはずの『仮面ライダーV3』すら凌ぐ。『最強の仮面ライダー』の一角である仮面ライダーZXや仮面ライダーBLACKRXと対等に戦えるあたり、その世界のゲルショッカーの起死回生をかけた改造手術の贅の尽くしぶりがわかる。

 

「……でも、恥ずかしいよ…。あの時、体が竦んで動けなかった。戦う気も起きなかった。今まで、どんな奴と戦っても、そうならなかったのに……」

 

「それは、のぞみちゃんが相手の強さをわかるようになったからだよ。気に病む事はないよ」

 

「でも、私だって……私だって、プリキュアなのに……こんな……」

 

その一言は、プリキュアという存在への捉え方が『戦士』としての側面からである事がわかると同時に、先輩である『美墨なぎさ(キュアブラック)』が言った『自分でどうすることもできない時には、誰だってそうなるに決まってるじゃない!』という一言と相反する一言であった。これは、のぞみは『子供の頃から何をやってもダメで、自分に何の自信も持てなかったが、プリキュアになったおかげで、自分の可能性を信じられるようになった』という経緯に由来するもので、元から運動神経がよく、ラクロス部で活躍していたなぎさと違い、『プリキュア戦士である』事そのものが自信の源泉である故で、ある意味、のぞみAが前世で持ってしまい、デザリアム戦役まで引きずった『歪み』の根源でもあった。それに三人は気づき、顔を見合わせる。のぞみは歴代でも、自分は『戦士』という自覚が強いという事実の再確認となったからだ。

 

「お前ら、ここにいたか」

 

「ケイさん」

 

「今後の作戦目標が通達された。それと、こっちののぞみだが、ちっとややこしい事になった」

 

「ややこしいこと?」

 

圭子は三人に、のぞみAは当面、ナリタブライアンと入れ替わりを続ける事になり、彼女が恩返しも兼ねて、仕事を代行する事が伝えられた。

 

「いいんですか?」

 

「無碍にはできねぇだろ。上としても、かの世界との関係を良好に保ちたいんだよ。研究のしがいがある世界だからな」

 

ウマ娘の世界は普通の世界での『不思議』が存在するのもあり、魔女の寿命延伸や技能継承に関して『参考にできる』という科学者の意見から、魔女の世界の連合軍は最も熱心にウマ娘を研究している。(これはG1ウマ娘たちは代々の得意技能を継承・発展させ、次代の発展に寄与してきたという事実から)だが、その研究を当の魔女の多数派が妨害する有様だった。秘術の流出防止という大義名分を掲げていたが、実際は個人的に『優位性を持ち続けたい』という差別的思想が作用した行為である。一定の技能の普及を促し、魔女全体の能力向上に尽力している坂本の願いとは相反する思想である。この魔女の秘術の秘匿主義思想が衰退するには、竹井退役少将が高齢になり、『近い将来の政治的後ろ盾の喪失』を待たねばならない。その頃には、F-14戦闘機やイージス艦が本格的に現れ、視界外交戦能力を通常兵器が持つので、魔女の秘術の優位性が低下するのだから。

 

「技能の継承で興味深い話があると聞きましたが?」

 

「それだ。坂本が旗振り役して、その研究を始めさせたが、多数派が妨害してきている。アタシらで不穏分子を摘発してるが、追っつかん」

 

「何故です?」

 

「秘術の流出防止……が大義名分だが、多分に精神的優位性の維持のためだ。あたしらは教えられるものは広めてるんだがな」

 

64Fの編み出した戦闘術で『他人に教えられるもの』についてはマニュアル化し、連合軍の戦闘教本に載せてきた。だが、実際にそれは殆ど生かされていない。64Fの幹部は少数派である『改革派』の領袖であるので、連合軍の魔女の多数派に敵視されていたからだ。だが、ダイ・アナザー・デイ終結以降は潮目が変わり、多数派は『保守派』と同義とされ、新世代ストライカーユニット開発の妨害者と見做されるようになった。通常兵器開発の妨害者とも見做されるようになり、彼女らは一転して、苦しい立場に置かれた。第二世代宮藤理論式の普及が遅れたのは、重武装化を嫌う彼女らの妨害であったが、既に空中での近接格闘術そのものが廃れていた当時にあっては、重武装化は理に適っていたのも事実であった。当時はカールスラント製の武装の供給が滞り、次第に戦後アメリカ製の武器が増えてきた時期である。当然ながら、魔女用に最適化はされていないため、従来型の武装を使い続ける部隊も多く残る。だが、時速1000キロ台を出せる遷音速ジェット戦闘機が出現し、超音速戦闘機も普及し始めてしまったため、従来の感覚での空戦は不可能となりつつあった。ここに至り、事の重大さを多くの魔女が悟るに至ったのである。

 

「やっと使われだしたんですか?」

 

「迎撃戦闘専門の連中から、マニュアル配布の要請が出された。事の重大さをやっと認識しやがったようだ。送っても、見なかったくせに」

 

「まぁまぁ。爆撃機は怪異のように単調な動きはしませんし、護衛機も雲霞のようにいますからね」

 

「F-104やドラケンの活躍で、焦りだしたんだろうよ。いい気味だぜ」

 

圭子はその点は転生前と違い、辛辣な物言いである。三十路に戸籍上は入ったはずだが、10代の外見を維持しているため、実年齢より7~8歳若く見られるのは当たり前である。

 

「この人は?」

 

「お前の上官の一人だ。こう見えても、空軍の将軍だぞ」

 

「し、将軍?は、はは……うっそだぁ」

 

「よく言われる」

 

七勇士の中核であった三人は1949年には、『中将』に昇進している。これは黒江が1945年次に昭和天皇から昇進の内示をもらっていたのに『前例がないから』ということで『大佐』に留め置かれていたが、自衛隊で将官になっていた事の発覚で大問題になった出来事を経て、更に数度の戦役での戦功で三人で昇進したためだ。カールスラント空軍の権威が没落した後は『将官になろうと、飛べなくてはならない』という不文律が全世界の空軍に定着し始めた。M粒子の軍事利用で『旧来型の無線通信技術での遠隔指揮』が意味を成さなくなったためで、赤松や圭子のような『バンカラ』な将校が『大手を振って、堂々とエリートコースを練り歩く』に至った。要は『実力があればいい』のである。

 

「あたしは行儀が良くないが、士官学校は出てるぜ。だから、将軍になれた。こんななりでもな」

 

圭子はこの時期になると、自衛隊式やロンド・ベル式の軍服を巫女装束(+小具足)の上から羽織るスタイルを見せるようになった。将官になったためだ。

 

「そんな格好で、士官学校出のエリートなんですか」

 

「一応な。将校は自由に服装をアレンジできる権利があるんだ。特に魔女はな。大正や昭和初期の青年将校がマントを羽織ってる写真あるだろ?その名残りだ」

 

この時は扶桑空軍将校としての勤務なので、航空自衛隊の制服が羽織るものになっている。これは扶桑は空軍の組織づくりの多くで空自を参考にしたためである。これは扶桑空軍の多数派が陸軍の飛行隊の出身者であり、旧日本陸軍と同様の軍服で練り歩いた際に、日本での活動に問題が起こった出来事を経て、正式に定められたものだ。扶桑軍は自衛隊と異なり、将校の帯刀が許されている。それは空軍でも同じ。魔女の近接戦闘術も復興し始めている関係も大きい。圭子は『ハルバードと鎌を主に使う』珍しいタイプである。

 

「で、これが式典の時に撮られた、こっちのお前だ」

 

「空自の制服だけど、刀を差してる?」

 

「うちは戦前の日本軍が空軍を持ったようなものだからな。魔女の戦闘に必要だからってのもあるけど」

 

扶桑空軍は魔女を含めた『許可が出ている将校』が帯刀を許される。魔女の近接戦闘では、コンバットナイフや銃剣は『使用者に負担を強いる』ということで不人気であり、逆に日本刀(扶桑刀)や古来の長剣が好まれた。それは1937年の扶桑海事変で一旦は衰退したが、魔女に万能性だけでなく、一騎当千の強さが求められるようになったM動乱以降は中興。ダイ・アナザー・デイ後半には、カールスラント出身者も家伝の『ツヴァイハンダー』を持ち出すようになるほどである。怪異相手の必要性は薄れたが、対歩兵や装甲車相手のサバイバルで効果を持つことから、中世や近世以前と違い、日本刀のように『刃の鋭さで斬る、或いは突く』用途に耐える刀身の剣が流行った。これはマジンカイザーの『カイザーブレード』、マジンエンペラーGの『エンペラーソード』が猛威を奮ったり、エクスカリバーの光芒を目の当たりにした者が多かったためだ。のぞみAの場合は、手持ちの『キュアフルーレ』が純粋な刀剣としては脆弱な作りで、破損も複数回あったために、デザリアム戦役のある時からは『烈火剣』か『剛烈剣』、あるいは『斬艦刀』を変形させて持ち歩く場合が多い。

 

「お前、二刀流の使い手で通ってるぞ、こっちじゃ。フルーレが激しい戦闘に耐えられなかったからってのもあるけど」

 

「……いいな。そっちの私」

 

「転生後の体が覚えてる剣術との兼ね合いだよ。フルーレはフェンシングに近い立ち回りが必要だから、日本刀や、西洋のちゃんとした剣と『必要な戦い方』が違うんだよ」

 

圭子の言う通り、キュアフルーレはダイ・アナザー・デイで一回、デザリアム戦役でも破損している。そのため、チーム技の発動時以外は使用を控える様になり、最近は借り物の『烈火剣』か『剛烈剣』での『超弾動双炎斬』で決める事も多いと語る。

 

「えぇ――ッ!?なんですかそれーーー!?」

 

「お前の旦那だが、聞いたと思うが、本当にサムライトルーパーなんだよ、転生先での副業。その関係で、お前も使えるようになってる」

 

「そんなスペックでも、あいつには?」

 

「食らいつくので精一杯だ。そもそもの戦闘経験値が違いすぎる上、基礎的なパワーが高すぎる」

 

仮面ライダー三号は組織の切り札として、生まれた世界のダブルライダーを倒した経験があり、更にそこから経験を増しているので、7人ライダーでも容易ならざる敵である。戦闘用に強化と進化を重ねた改造人間なので、パワーアップをドリームが重ねて尚も、素のパワーで大きな差がある。圭子はそれを断言する。また、ライダーダブルキックを真っ向から打ち破るほどのボディを持つため、並のプリキュアの技では、埃すらつけられない。黒江のサンダーブレークやストロンガーのエレクトロサンダーにも堪えないほどの電気への耐性もあるので、通常のプリキュアでは有象無象も同然なのだと。

 

「ああ、アタシだ。……そうか。やはり、そういう事になったか。ああ、明日には着くか」

 

「決まったんですね?」

 

「そうだ。ドリームの代行依頼だが、先方たっての希望だから、承認された」

 

「どうしたんです?」

 

「こっちのお前だが、入れかえロープで入れ替わった状態で戻ってくる。心は他人になってるから、その辺は気をつけてくれ。」

 

「入れ替えロープって、確か……」

 

「ドラえもんの道具だ。元は相手の立場になってみる目的で開発されたようだが」

 

「あの、どうして、あなた達の軍隊、上の人達が日本人やアメリカ人ばかりなんですか?」

 

「あたしらの世界と、ドラえもんの世界とのパワーゲームの結果だ。ウチの世界の連合軍は元々、ドイツやフィンランド、イタリアの軍が主体だったが、その二カ国が不祥事起こしたり、ロシアが政変で抜けたり、仏が荒れ果てたから、日米英の三カ国が国際的に動くための方便になっちまった」

 

 

カールスラントは一連の不祥事の処理で連合軍の主導的立場を失い、国際連盟が国際連合に改編される過程で、理事国候補からも脱落するなど、踏んだり蹴ったりであった。さらに、デロス島の奪還作戦の立案で『遺跡よりも、怪異撃滅を優先した』と批判を受けたエディタ・ノイマン大佐が鬱病を患い、1948年頃に軍を去る、コンドル軍団の名誉剥奪のゴタゴタの一件で、軍団経験者が日本連邦のヘッドハンティングに部隊ごと応じるなど、軍の人的・物的空洞化が進展。1948年前後の内乱がとどめとなり、NATO軍の軍政下に入った。同じく、スオムスはいらん子中隊の実績の秘匿を政治の観点から強く責められ、瞬く間に苦境に立たされた。マンネルヘイム元帥は『当時としては、軍の士気の維持に必要な措置だった。当該部隊の隊長には、我が国最高の勲章を授与し、ちゃんと功績に報いている。それが間違いと言うなら、何がいいのか教えてくれ!!』と嘆きの声明を表明したが、それが却って扶桑からの非難を煽ってしまったため、扶桑の世論を宥めるために、トップエースであるエイラやニパを連合軍に実質的に半永久的に供出する羽目になった。史実での陣営の鞍替えで、日本連邦に信用されていなかったからだ。そのため、連合軍はアイゼンハワー、パットン、山下奉文、今村均、ロンメル、デーニッツ、チェスター・ニミッツ、ウィリアム・ハルゼー、レイモンド・スプルーアンス、山本五十六、小沢治三郎、井上成美、山口多聞などの各国の有能とされた将軍/提督の合議制で運用されるようになった。

 

「英は会議のまとめ役に近いから、現場は日米同盟に等しいぜ。それがナチや東独の残党とドンパチしてんだぜ?まさにSF映画だよ」

 

圭子は元々の温厚な性格を捨て去り、ガンクレイジーな性格に変貌して久しいが、面倒見の良さは同じなため、慕う者は意外に多い。軍の流行の仕掛け人であったこともあるように、ファッションリーダー的な側面もあった。扶桑でさえ、魔女を疎んじる風潮が生まれつつあるため、魔女へは絶対性が求められる。凡人の範疇の魔女が軍に入隊することが減ってしまったのは、即戦力を求める風潮と、覚醒の休眠期が重なった結果である。MATが勃興期にあり、怪異専門部署である事を売り物に、豊富な人員を抱えた時期であるのと対照的に、軍部の魔女兵科は事変世代が軍を牽引する構図に逆戻りしてしまい、新人育成の面で大いに前途が危惧されていた。64Fの負担が大きい状況が『不味い』と魔女兵科全体に認識されたのは、ちょうどこの頃だ。

 

「なんで、あなた達があっちこっちで?」

 

「元々、うちの隊は転生者や転移者を保護・管理するために作られたからさ。で、そういう連中に限って、軍のトップエースだった。そういう連中は素性がバレたら、普通は気味悪がれるだろ?だから、一箇所に集めて、好きにさせてやる代わりに、常に最高の仕事を求められる。それがうちの台所事情だ」

 

転生者や転移者の武器の一つは知識だが、それを疎んじる者も多い。64Fは最前線で一騎当千である事が末端にまで求められる部隊であるという事を周知させる事で、上層部はスタンドアローン性を維持させ、その戦闘技能を部内の教育部隊で啓蒙させるという思惑のもと、64Fを動かしている。自衛隊にとってのGフォースも、64Fと似た意図で存在を容認されているので、双方はほぼ一体の部隊と見做されている。なんとも世知辛いが、64Fでの管理が転生者の戦時下での活用方法の最適解。日本連邦の中枢はそう認識しているのだ。

 

 

「世知辛いですね」

 

「転生や転移自体が普通はありえないからな。仕方がない。と、いうわけで、戻ってくるお前は『お前であって、お前じゃない』ぞ」

 

「ドラえもんが本当にいたことも驚きだけど、昔の声なんですね、本物は」

 

「可能性の一つだよ。今の声のドラえもんも、どこかにいるはずだ。個人的には、今の声はどら声とはいえないと思うぜ」

 

「確かに」

 

のぞみは1993年頃の生まれ。2020年代には30代を迎える世代である。ドラえもんのアニメでの声については、現在の番組の開始当初から25年ほど勤めていた大物の声優で育った末期の世代にあたる。アニメは年数が経てば、声優が交代するという事例を作った例で著名だが、熱心なファンの間で賛否両論だったのは事実だ。『どら声とはなにか?』という意見では奇しくも一致した二人。

 

「あ、そうだ。一つ聞きたいことがあって。面と向かって聞きにくいことだから、あなたに聞いていいですか?あの子の選んだことについて」

 

「なんだ?」

 

「あの子はどうして、剣を振るう事を選んだんですか?」

 

「ああ、そういうことか?」

 

「プリキュアの後輩の一人にいるんですよ、剣を取る事を否定した子が」

 

「キュアエールだろ?」

 

「え、知ってるんですか?」

 

「それが結果として、世代間対立の火種になった世界の出身なんだよ、あいつ。その事を引きずってるんだ。まぁ、物事の選択は人それぞれだから、キュアエールも否定はしないと思うけどな」

 

のぞみAは転生後に『未来を切り開き、闇を祓う』ための手段として、剣を手に取る選択を取った。(他には、ZEROの邪性の否定も兼ねている)圭子も、のぞみAの持っていた『歪み』の要因の一つは『後輩への負い目』であると踏んでいる。故に、剣を持つことを選ぶ事は『過去に踏ん切りをつける』ことでもあるのだ。

 

 

「奴にとっては、剣を使うこと自体が『自分と融合した存在の持っていた邪性の否定』になるんだよ。マジンガーZEROというんだが」

 

のぞみAはマジンガーZEROと融合したが、実際の戦法は元となったマジンガーZよりも、兄弟機のグレートマジンガーや、マジンガーそのもの究極形態である、二大皇帝に寄っている。これはZEROを説得するために、二大皇帝とそれに準ずる力を持つ魔神との対決でZEROを敗北させ、説得の素地を作る必要があったためだ。

 

「どういうことです?」

 

「このタブレットに、そいつとの戦いを録画してある。宇宙空間でなきゃ、とんでもない被害が出てる破壊力の技が飛び交ってたから、腰抜かすなよ?」

 

圭子はタブレットに記録してある、デザリアム戦役での『マジンガーZERO戦』を見せる。その映像はその直後の『アレキサンドライトスタイルのキュアミラクル対エターニティドリーム』まで続いている。二人の対決で月が欠けたため、二人のほうが大問題を引き起こしている(ジオン残党をいぶり出せたという、怪我の功名はあるが)。また、技の応酬が終わった後は単純なラッシュの速さ比べとなったりしたので、そこだけはプリキュアの原初の理に回帰している(逆に言えば、喧嘩の素人であった二人がバトル漫画まがいの方法で戦えるレベルにまで成長した証だが)。また、キュアミラクルも自己意志だけでのパワーアップをこの時に果たしたため、以降は通常形態からのパワーアップについては容易になっている。また、二人の大喧嘩に巻き込まれたジオン残党については、(当然ながら)全滅の憂き目に遭っている。

 

 

 

 

「!!???☆※」

 

言葉にならない衝撃がそれも連続で続くのぞみB。だが、各スーパーロボットの必殺技の応酬などは序の口である。そして、プリキュア同士の禁忌と言える大喧嘩。

 

「えーーーーーー!!み、みらいちゃん!?」

 

キュアミラクルと自分(キュアドリーム)がバトル漫画で見たような『ラッシュの速さ比べ』に至り、ついにはパンチのぶつかり合いで、月が震え、砕ける。

 

「なんですか、これ」

 

「誰かへの優しさだけじゃ、人間には割りきれないものがあるってことだ。時には『激しさ』も必要ってことだ。問題はその先のものを見出せるか、だ」

 

圭子はみらいが割り切れなかった感情をのぞみAにぶつけた事の意味を解説する。のぞみAも、心に溜まっていた何かを一気に吐き出すかのように戦った。二人のゆずれない思いがぶつかりあった先に、二人は何を見出したのか?そして、肝心なことをのぞみBは忘れている。別の自分は(入れかえロープの効果で)他人の体(ナリタブライアンの体)に入っているのだ……。

 

 

 

 

 

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