ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きですが、今回の登場人物はキュアダイヤモンドとキュアラブリーのみです。


第四百四十九話「プリキュア達の療養とは」

――結局、日本と扶桑の違いを理解しない者が扶桑に混乱をもたらしたのである。その混乱への賠償責任を逃れようとした者もいたが、日本政府はせっかく得た、久しぶりの経済的繁栄を確固たるモノにするため、日本政府は当事者に厳罰を加えた。のぞみへの賠償が手厚くなった理由の一つである。のぞみが遭遇した一連の騒動は扶桑の予備役制度の根底を揺るがしたため、結局は『魔女の任期制雇用を廃し、正規雇用と統合する』という体裁で幕引きが行われ、同時に、最低でも『中学校卒業済み』が軍への志願条件として定められた。陸軍幼年学校は高等工科学校に改組され、幼年学校在籍中であった生徒達はそこで近代的な教育が全般的に施された。農村部のために『農業大学』、『農業高校』も設立されるが、結局は国全体が富むにつれ、農村部の時代錯誤な『女に高度な学問はいらない!!』という男尊女卑の思考(魔女の世界では多数派ではないが、一応は存在する)がクローズアップされてしまい、農村部の望んだ結果には結びつかなかった。扶桑はこうした社会全体の変容が1940年代~1950年代に起こるのである。こうした変容の影響を抑えるため、タイムふろしきは魔女の寿命延伸(新制度下では、任官は最低でも17歳以降になる)に大いに活用され、軍部は黄金世代の魔女達の前線勤務の継続を望むのである――

 

 

 

 

 

 

 

――魔女の職業軍人化の進展と同時に、軍人全体で副業が認められた理由は、のぞみの一件で、予備役軍人の転職が全体的に困難になったためでもあった。軍事教練の全廃で元・魔女の士官の後方での働き口が無くなったので、軍学校の教官に回そうにも、近代的な軍事教育を受け直させる必要がある上、前線の人手不足により、士官級の魔女はもれなく出征が尊ばれる風潮となり、戦死率も高い。そのため、後方勤務を望む者のために、隊内での教導の他に『副業』が認められたのである。ただし、戦士としての能力が高い者は率先垂範で戦う必要があり、高級将校の空中指揮は当たり前になっていた。ダイ・アナザー・デイで魔女の『世代が新しいほど、古い世代を軽んじる』風潮が世間的に疑問視された。年功序列が全て正しいわけではないが、『年長者に敬意を払え』。それが太平洋戦争以後の時代、魔女達の間で暗黙のルールとして定着していく。これは古参の魔女は事変以来の古強者であるのに対し、若い魔女には事変の際には生まれていない世代も出てきているからであった。――

 

 

 

 

――そのため、既に高い能力を持つプリキュア達が優遇されるのは当然であった。それでも、現役時代と全く同じままでは『能力がバレバレ』すぎて対策を立てられるため、特訓が課せられた。たとえば、のぞみは素体の能力をモノにしつつ、さらなる領域が求められたので、草薙流古武術の継承や波紋法の習得などが目標として挙げられた。基礎能力はマジンガーZEROとの融合で大きく向上したものの、それを使いこなすための経験も必要であった。北条響(シャーロット・E・イェーガー)は紅月カレンであった頃の自我意識が混じり合ったため、紅月カレンのガサツさ、北条響としての温和な振る舞いの切り替えができるようになっていた。また、キレると麦野沈利のような口調で『原子崩し』を撃つため、プリキュア経験者としては『最も危険な存在』と認定されてしまった。歌唱力が特訓で改善されたために『美雲・ギンヌメール』の影武者をするなど、音楽への関わりが強くなった面もあるのだが、落差が大きすぎたのである。肉体の共有による共存でプリキュア業に復帰した『紅城トワ』は現役時代と能力は概ね同じだが、もう一つの人格であるモードレッドの宝具を『本来のポテンシャルで使用できる』という意外な利点が生まれ、ペリーヌの固有魔法も『エクレール』という上位互換の形で行使できるなど、戦闘面では申し分ないのだが、ペリーヌの肉体を借りる都合、やすやすと戦闘に参加できないデメリットも生じている。キュアハート/相田マナは『逸見エリカ』を素体に転生したため、感情が昂ぶったりすると、逸見エリカとしての素が出たりするが、基本的には現役時代同様の性格を保っている。第二期プリキュアでは最強クラスの実力派であるのと、『戦車道は夏の大会が終われば、数ヶ月は暇である』ことを利用し、呼び出され、第二期プリキュアの代表的立場となっている。相方の一人の『キュアロゼッタ/四葉ありす』は『西住みほ』を素体に転生した都合、大洗女子学園戦車道部の統率などが忙しく、なかなか参加できない。そのため、キュアダイヤモンド/菱川六花と共に参加している――

 

 

 

 

――医務室――

 

「そっか、ありすちゃんは元の世界での立場が立場だもんねぇ」

 

「マナは大世帯の学校だから、副官に指示を出しておけば、向こうがやってくれるが、大洗女子学園はな。調整が難しいのだ」

 

「でも、六花ちゃんのほうは?」

 

「私は成人してから記憶が蘇ったから、そこは気にしないでいいのは助かったよ。転生先の家業は航空会社だから、めったに実家に帰らんでいいし」

 

「そういえば、ユニは?」

 

「奴はつい最近のプリキュアかつ、裏方で動ける能力持ちだから、重宝されてな。もう数年はあれこれ裏工作がメインだ。声色も変えられるしな」

 

キュアダイヤモンドは『サンジェルマン』としての自我意識が残る状態で『婚后光子』を素体に転生したため、サンジェルマンとしての凛々しい口調を任意で使える。そのため、仕事の時は重宝していると、療養中のキュアラブリーに明言した。

 

「六花ちゃんも大概と思うよ~」

 

「ハ、ハハ……それは否定せんよ。だが、仮面ライダー三号……まさか、フォーエバー形態のお前が相手にならんとは」

 

「加速装置をいきなり使われちゃ、お手上げだよ。いくら変身を重ねてても、ああも速いと……」

 

フォーエバー形態でも『手もなく捻られた』ことはかなりの衝撃だったらしいラブリー。三号の加速装置はかなりの性能であり、キュアハート・パルテノンモードとフォーエバーラブリーが視認できないほどの速さを発揮し、二人を叩きのめした。歴代プリキュアでも上位の強さに入る両者を『何もさせないで、一瞬で無力化させた』。その衝撃はのぞみBを呆然自失とさせ、戦意喪失に追い込んだほど。

 

「現状、あの速さは我々の中では、『此方ののぞみ』しか対処できん…ということか……。この世界のあいつは堪えただろう?」

 

「あれから、何してても上の空でね……。あたしとマナちゃんが最強フォームで『何もできない』くらいの敵に怖気づいたことを恥じてる。背負い込むことないのに」

 

「二号ライダーが自分をかばって、重傷を負ったんだ。責任を感じるのは無理もない。それと、お互いの落差も堪えたのかもしれん。此方は『ヒーローたちと遜色ない力を手に入れた』が、あいつは『六人がかりでも、怪人を相手どるには足りない』という現実を否応なく突きつけられてきたんだ。故に、お前とマナが一蹴されるのを目の当たりにして、戦うという選択肢が吹き飛んだのも無理はないが、戦士である事が拠り所のようなところがあるからな…」

 

のぞみは元来、『何をしても長続きしない』飽きっぽい性格であり、部活追い出され王という汚名も背負っていた。学業成績も劣悪なため、プリキュアになるまでは『自分に自信の持てない』ダメ少女であった。だが、プリキュアとなった後からは『高い潜在能力を引き出せる』ようになり、明確な『将来の目標』も持てるようになった。故に、のぞみは『プリキュア戦士である』ことに強い誇りを持っている。これは、先輩である美墨なぎさと違い、『元々は自分に誇れるものはなかった』からである。それ故に、今回のことでの戦意喪失を『生き恥を晒してしまった』と思い詰めており、後輩たちを悩ましている。のぞみAは周囲の支えもあったものの、『錦がもたらした心の強さと、コージの愛』で立ち直ったが、Bは予てから『南光太郎の力になれないどころか、足手まといになっている』現状に悩んでいたため、三号の襲撃が自分に嫌気が差す決定打になってしまったのは想像に難くない。

 

「どうする?」

 

「可能性があるとすれば、あいつを『ドリームキュアグレース』化させる事くらいか…。小宇宙に目覚めていない状態でのシャイニング形態では、手も足も出せんだろうからな……」

 

キュアダイヤモンドは『正史でのドリームの第二の最強形態』に触れる。ドリームキュアグレース化させ、能力をすぐにAと並び立てるレベルに引き上げる手段として。Aがシャイニング形態で仮面ライダー達と同等のレベルで戦えるのは、戦闘経験値の違いもあるが、ZEROのとの融合で『加速した世界の動き』に追従できるようになっている故であり、現時点のBとは『力の差がありすぎる』。ミラクルライトの時代が終わった後に、プリキュアへもたらされた『奇跡』による変身。その嚆矢が『ドリームキュアグレース』であることを知っているようだった。

 

「こっちののぞみちゃんは『チートを二、三個は重ねてる状態』に等しいもんねぇ。波紋法も修行中だし、草薙流古武術も使えると来てる」

 

「その代償に、扶桑軍にこの先も使い倒されるだろう。転生先の家が武門の名門なことを考えると、必然だったかもしれんがな」

 

のぞみAも『転職』は考えていたが、様々な要因が重なり、日本連邦軍に骨を埋めることになった。転生先の実家が『扶桑で代々にわたって魔女を輩出してきた名門で、近世以降には士族になっていた家柄』という環境であった事も関係している。本人も『軍での名誉は自分から望んだわけではない』が、転生先の錦が陸軍将校だったので、それを自動的に引き継いだ。肉体や立場を乗っ取ったような経緯での覚醒であるための『精一杯の償い』であると、のぞみAは言っている。転職が潰されたことも大きいとも。

 

「扶桑はのぞみの転職を認めてたんだがな。有事に召集する前提で、だが。日本の官僚が独善で潰したんだ。外交問題になったんだぞ。向こうの皇室に恥をかかせたからな」

 

日本が解決を焦った『のぞみの転職問題』は扶桑の皇室の顔に泥を塗る真似を一官僚がしたからで、日本の大臣が扶桑軍部と皇室に団体で頭を下げる羽目となった。センセーショナルな報道で、扶桑の予備役制度そのものが大きく揺らいでしまったからだ。結局、のぞみの届け出は『出さなかった』事になり、のぞみが中島小鷹の仲介で転職を斡旋されていた女子中学校にも多大な迷惑がかかった。文科省は軍事教練の廃止で職にあぶれる『魔女出身の将校/士官』への損害賠償にまで話が膨らんだ事に困惑。防衛省内部の警察系官僚もそれらの人員を『口封じ』に前線に送り込みたくとも、その多くは引退済みの魔女たちである事に頭を抱えた。

 

「それで、どうなったの?」

 

「結果はお前も知ってるとおりだが、官僚の左遷が相次いだそうだ。で、軍の人事に連中が介入して、魔女出身の連中をところ構わずに前線送り。やってることが戦中から進歩しとらん。それが余計に戦死率を引き上げている。連中の報復だろうな」

 

この時に引退済みの魔女の三割以上が戦死したことも、深刻な技能継承の断絶を生じさせ、第二世代宮藤理論の普及を却って阻害する結果を生んでしまう。この頃から『黄金世代の技能のマニュアル化』が坂本や若本の呼びかけで始まるわけだが、それは中間世代が抜けたり、戦死することで技能の継承がうまくいかなくなった事への緊急対策の面が大きかった。第二世代理論式は扱いが難しいモノが多かったため、その普及を促すための対策であった。また、カールスラントびいきの上層部が追放されたために、同国の義勇兵受け入れに支障を来すなど、施策が裏目に出た出来事も多い。自分たちが危険視していたはずの64FのG機関との繋がりが逆に庇護の対象になるなど、グダグダぶりを露呈した。その兼ね合いか、カールスラント義勇兵の入隊に当たっては、64Fのメンバーと知己である古参に仲介を依頼し、了承を得てから、扶桑に赴く事がマニュアル化しつつあった。こうして、G機関はカールスラント元帥府の『代わり』として機能し始め、実質的なカールスラントの国家中枢と見做され始める。既存の法秩序が崩壊したカールスラントで唯一、統制を保った組織だからだ。

 

「連中の方策もあって、魔女世界に史実の流れへの揺り戻しを起こさせてしまったからな、我々は。その禊も仕事になる。この先、数十年は冷戦になるだろうし」

 

「冷戦ねぇ……」

 

「核兵器のない分、幾分は穏やかにはなるだろうが、やることは似たような事になるだろう」

 

太平洋戦争がたとえ終わろうと、ティターンズの持つ科学に肖ろうと、接近する国も生ずるはずであるので、この頃には『冷戦時代の訪れ』が転生者/転移者を含めた一部の者たちの間で確実視されていた。歴史の『揺り戻し』といえる流れにしてしまったことへの償いとして、日本は扶桑を『史実の米国の役目を演じられる』ように育成する方針を選ぶ。この場合は、カールスラントが日本と分断国家の立ち位置になるが、ショッカーからしてナチスの残党なので、そこは当然と見ている。そのため、『ブリタニアの軍事的な衰退が始まる時代までに、扶桑を世界最強に育成しておく』というのは介入者たちの共通意識になったと言える。自由リベリオンの文化を育て、扶桑を史実戦後日本に近い空気に変えていくためには、『戦後の時代を生きた記憶のある転移者/転生者』の協力は必要不可欠。そう結論づけるのである。ショッカーから連なる組織の源流がナチスなために、カールスラントは割を食ったと言える。

 

「カールスラントは犠牲になったようなものだが、ショッカーから連なる組織の源流を考えれば、仕方あるまい。日本も史実の日独伊三国軍事同盟の実態から、彼の国に冷淡だからな」

 

キュアダイヤモンドも、カールスラントを追い詰めた21世紀世界の真意は『ナチスを生み出さないための犠牲である』と考えているようだが、日独伊三国軍事同盟の意趣返しも入っていると、もっぱらの噂である事をキュアラブリーに教えた。日独伊三国軍事同盟の実態は『利害が一致した国が形だけの同盟を結んだ』ような有様であったので、カールスラントへの日本の追求が厳しかった理由だ。

 

「ひどくない?」

 

「ああ。だが、日本も史実の三国同盟に恩恵がなかったことへの報復をどこかでしたかったんだろう。裏で『モンキー』と揶揄されていた事もバレている。おまけに、カールスラントの技術は21世紀日本に比べれば、多くは原始的だ。21世紀日本が扶桑に技術を渡せば、価値の無くなるモノが多い」

 

 

日本は三国同盟の鬱憤晴らしも兼ね、カールスラントを追求した。カールスラントは『国家の維持のため』、日本への損害賠償を渋った。あまりに金額が高額だったからだ。空母『愛鷹』の違約金(復旧作業含め)、Me262や『飛燕』のエンジンの技術ライセンス料のぼったくりへの賠償と示談金。それらだけで、カールスラントの軍事費の総額の数年分に相当する金額だったからだ。ドイツはカールスラントに軍縮させ(費用捻出のため)、技術ライセンス料を値切らせたのだが、それがカールスラントの軍人(とりわけ陸海軍と皇室親衛隊)たちの被害意識を生み出し、カールスラントの内乱を招いた。アメリカ合衆国の仲裁により、カールスラントは『旧統治地域を奪還する権利を有する』事(史実で戦後にポーランドや仏となった地域含め。ポーランド相当の国家が魔女の世界では、そもそも成立していないという幸運もある)、『旧統治地域の防衛のための軍隊の維持を認める』という『第二次新京条約』が締結され、カールスラントの再建にお墨付きが与えられた。1948年の秋から冬頃のことだ。それ以降のカールスラント軍は史実の西ドイツ軍と自衛隊を複合させたような軍隊として再建され、皇室親衛隊は(雇用問題の兼ね合いで)儀仗専門の部署として改編され、保有していた実戦装備は正規軍へ供出された。

 

「だから、あそこは当分、戦力にならんと考えた方がいい。人はともかく、物資面では」

 

カールスラントはこの時代以降、軍人を他国の最前線に派遣し、外貨を稼ぐ事をビジネスとして始める。日本連邦に優秀な軍人をヘッドハンティングされまくったことへの回答だった。追放したコンドル軍団経験者、更にそれを慕う者達にトップレベルのエース級が集中していたため、それらがごっそり抜けた穴を埋めがたいため、それらに代わる次世代を自国では育成できなくなったため、他国に育てさせる方法を取ったのだ。

 

「あたし達、当分はまとまった休暇取れなさそうだねぇ」

 

「怪我以外では休めんだろうな。土日もローテーションで出撃があるし。夜間のシフトに備えんとならんし……」

 

軍隊の辛いところは『まとまった休暇が取りにくい』ところである。64Fは扶桑軍で最も自由な隊風であるが、それでも、長期休暇は取りにくい。ましてや有事のご時世では尚更だ。キュアラブリーは怪我で休めているが、キュアダイヤモンドは大忙しである。

 

「のび太さんに頼んで、土日をススキヶ原で過ごすしかないな」

 

「それがいいよ。そののび太さんは?」

 

「今日は子孫のとこに行ってる。アナハイム・エレクトロニクスにMSを融通させるそうで」

 

「のび太さんの子孫、何してるの?」

 

「財団を運営している。アナハイム・エレクトロニクスの大株主になったとかで、今はビスト財団に代わる支配者だよ」

 

デザリアム戦役でビスト財団は解体へ向かったが、その財産の多くは野比財団が接収。アナハイム・エレクトロニクスの主導権を奪取(ビスト財団が解体される過程で宙に浮いた『会社の運営指導権』は野比財団が手中に収めた)した。懲罰を受け、規模を縮小したサナリィから技術者を引き抜き、MS開発の中心に返り咲いたアナハイム・エレクトロニクスだが、それには野比財団の意向が作用していたのだ。

 

「で、ガンダムXとかの機体は彼がキャプテン・ハーロックやクイーンエメラルダスからもらった情報で造られた。ハーロックやエメラルダスは30世紀の状況を改善するために、その時代の流れを決定づけた時代である『23世紀』に技術を流している。ジオンはそれをどこかで嗅ぎつけて、似たことをしようとしたんだろうな」

 

「それで、あの街が危険地帯に?」

 

「ヒーローユニオンがいるから、そう簡単には危なくはならんよ。たまにMSに襲われるが…」

 

「いや、おかしーって」

 

真っ当なツッコミのキュアラブリー。とはいえ、ガンダムXのフラッシュシステムは、30世紀水準の技術がなければ成立しなかった。23世紀のネオサイコミュは技術的に不完全な箇所が多すぎるので、700年後の技術で『技術的に危険性のないサイコミュシステム』を目指したのである。最も、従来のサイコミュと異なる箇所が多いので、従来のサイコミュの系譜とは言えないが。

 

「連中は焦ってるんだろう。メカトピア戦争で自分たちの高慢と偏見が『過去の人間』に糾弾されてからというものの、求心力が失せてきてるから」

 

ジオン系諸勢力が大義名分の消滅しかけている時代に取った方策が『タイムマシンを使っての地球連邦の要人の先祖を暗殺する』という、SFでおなじみの手段というものはプリキュア達も呆れるほど、癇癪も同然の行為と見られている。移民星が増加し、『宇宙移民の代表』というアイデンティティも失われ始めた時代に取った手段がテロリズムというあたり、ジオニズムの衰退を感じ取る事ができる。ガンダムファイトも定着し、コロニー間の抗争が防止されるようになった事も、地球圏の安定に寄与している。

 

「そんなことで、過去にテロするかねぇ?」

 

「連中の発想はわからんな。昔のSF映画の見すぎだと思うぞ?自分たちにも悪影響が出るやもしれんことをするっていうのは、統合戦争前の『航時法』でも規制されていたはずだ」

 

ジオンの行為は統合戦争前であれば、確実にタイムマシン関連の基本法『航時法』に触れる行為だと、キュアダイヤモンドは言う。統合戦争でタイムマシンの技術がほとんど失われる前、邪馬台国の位置も掴めていたが、統合戦争の戦乱で記録が失われてしまったなど、ドラえもんの時代よりひどくなってしまったところも多い。23世紀には『自家用タイムマシン』も廃れているが、野比家は例外的に保有している(ドラえもんとドラミのものを秘匿している)。

 

「ああ、タイムマシンでの移動が盛んだった時期にあった法律」

 

「ああ。タイムマシン関連技術の復興で効力が復活するそうだ。復興が勧めば、ドラえもんの時代のように、個人のタイムトラベルも当たり前に戻っていくだろうからな。ジオン残党の昨今の行為は、その法律を遡及で使って裁いているそうだ」

 

21世紀でテロ行為を働いたジオン残党はGフォースから移送された後、ジオン共和国が航時法を適応させて裁く形を取っている。これはジオン共和国の消滅後も『ジオン残党の構成員はジオンの法規で裁いた方が受け入れるだろう』という、地球連邦政府の司法省判断で、形としては『ジオン共和国が戦犯を裁く』体裁をとっている。ジオン共和国の残務処理の一環である。ジオン残党は『デザリアム戦役で禊をした功績で恩赦が与えられ、映えあるジオン軍人として名を刻んだ者』も多いが、そんな騒乱を利用し、テロリズムを行う者とに分かれつつある。プリキュア達は『ジオンも全員が悪人ではない』ことは理解しているが、士官層に『地球連邦政府への憎悪』が根強い事から、敵対するケースが多い。ジオン軍人は『高潔な武人』、『戦争屋』、『戦闘狂』、『思想に共感はしないが、国家の大義を信じた者』、『なにかかしらの手段のために身分を用いる』タイプに大別できる。ジオン残党は度重なる戦争で『人員の質が落ちてきている』ため、することのタガが外れやすく、他組織の踏み台にされてきている。ヌーベルエゥーゴがまさにそれだ。

 

「やれやれ。ショッカーにまで利用されて……満足なのかな?」

 

「連邦に反抗できれば、組織の思想は気にしない。反連邦の連中はこういう謳い文句で動くからな。ジオンは『ジオンの旗を揚げられれば』、ナチスの走狗にもなれるんだろう」

 

ギレン・ザビは一年戦争の際、父のデキンに『貴公はヒトラーの尻尾だな』と述べられたというが、彼が率いた軍隊がそのヒトラーの興した組織の残党に『使いっ走りにされる』様は歴史の大いなる皮肉である。更に、そのジオンを狩る組織が開発した『ザクの後継機』(ハイザック)がショッカーに類する組織に流れ、悪のメカとして運用される点でも、ハイザック本来の開発目標からは逸脱している。戦場では、ゼク・アインに率いられたハイザックが64Fのガンダムタイプと戦闘する光景も珍しくはなくなっている。ジオン残党も大っぴらに用いるため、すっかり『グリプス戦役式のザク』と誤解されている雰囲気さえあるハイザック。地球連邦軍がハイザックの反省で、『主力機はジムの外観イメージを引き継ぐタイプとする』としたのは、流出したハイザックが宇宙海賊で使われるケースも散見されるからだ。生産数も多いが、地球連邦軍に仇なした機体のほうが多いという皮肉もある。そのため、間接的にザク系の基礎設計の優秀性を証明するものとなったが、ザクの正統後継機のザクⅢが『MSが肥大化した時代』の煽りで制式量産されずに『異端児』扱いされ、ハイザックから発展させた構造のギラ・ドーガ(ギラ・ドーガは開発系譜上では、マラサイの後継機らしい)が残党組織で一定の普及を見せる時代における、エンジニアへの一つの慰めといえる。彼女たちがいる秘密基地では、敵から鹵獲したという、『組織のコピーしたハイザック』の検分が始まっている。外観は同じだが、中身はギラ・ドーガ並にチューンアップされているというメカニックやエンジニアの会話がドア越しに聞こえてきた。組織もハイザックを使うというあたり、ザク系の後継機という役目は充分に果たしたものの、秩序の破壊者として使われる方が多くなってしまった同機は『紆余曲折の最もあるザク系の機体』と言えた。

 

 

 

 

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