ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第四百六十二話「Crystal Energy 2」

――カールスラントは結局、内乱で何もかも破壊、もしくはズタボロの有様だった。軍備も多くが破壊、もしくは解体され、海軍艦隊も多くは内乱で無力化していた。そこからの立て直しには、文字通りに長い年月がかかる見込みだった。カール・デーニッツも解任され、海軍は機能不全。結局、統制が最も残った空軍が他の二軍を一時的に編入し、一元的統制で建て直すしかなく、国家インフラの立て直しが優先された都合上、カールスラントは軍事的に再起不能とみなされた。日本連邦はその代役を求められ、引き受けざるを得なかった。その過程で、扶桑軍全航空隊の旧組織時代の慣習は邪魔と見なされた。時には古参士官や下士官のつるし上げすら行われた。特に海軍航空隊でその傾向が顕著であり、そのことで極度の人手不足に陥るなど、踏んだり蹴ったりであった。MATの勃興期にあった1940年代後半、軍部はまさに人的資源的には『冬の時代』真っ只中。失われた人的資源の補充に目処が立たないため、戦線の『一部の極限された超人たちへの依存』は年を追うごとに高まっていった――

 

 

 

 

 

――1949年度はその最高潮にあった年だが、同時に、扶桑本土に戦地の様子が伝わり、魔女を監禁していた農村部には政治的に極度の打撃となる『食料品の大規模輸入』が実行された。自給自足可能な南洋はともかく、本土の国民を食わせられるだけの食料供給力が(1945年の不作もあって)なかったからである。既に農村部の供給する米だけで満足するような国民性ではなくなり、畜産業は諸外国に比して小規模。それは必然的な選択だった。農村部はこの施策の転換に多くが対応できず、1960年代までに数十%が廃村となる。施策の転換までに猶予期間があったので、多くの地主は方針転換を促すために、自分の子女を軍に送り込むが、当然ながら、そういう打算ありの志願が上手くいくはずはなかった。軍部は64Fへの依存を緩和しようと奮闘するも、こうした行為の横行で出鼻を挫かれたわけだ。不幸中の幸いは黒江達の後輩世代にも俊英が出たことだろうが、それも『1945年までに志願済みの世代』であり、それ以降の世代からエース級は出ていない。これは史実で日本の軍事組織が解体されていた時期に相当する時代に入ったため、魔女の覚醒率がグンと下がったからである。それに同期して、魔女の質も大きく低下。その回復には『少なくとも、自衛隊が史実で創立された1955年以降の時期までかかるだろう』と、国防省/防衛省は嘆息している――

 

 

 

 

――この時期に太平洋戦争が重なった事が魔女の社会全体には不幸であった。国難というのに、働き盛りの年齢層の魔女は軍を抜け、戦線を支えたのは、通常部隊と一握りの超人たち。そうなれば、怠惰な魔女たちは社会的に疎んじられ始める。オラーシャでの虐殺はけして、『他人事』ではないのだ。その重大さを認識した者たちは1954年過ぎまで『覚醒率と質の低下』に悩む事になる――

 

 

 

 

 

 

 

――M動乱を期に、撤廃が進んでいたはずの水雷兵装が復権した事により、今度は居住スペースの再削減で忍従を強いるしかない有様に陥ったため、扶桑軍の艦艇は空母や補助艦艇を含む全種で大型化が進展。駆逐艦でも、戦後第一世代の護衛艦『やまぐも型護衛艦』が採用され、大戦型を代替し始め、後期型のみねぐも型護衛艦も生産され始めた。M動乱で失われた膨大な数の駆逐艦の代替のためだ。そのため、艦名は撃沈されたそれらの多くを継いでいた。巡洋艦はこんごう型以降の護衛艦をタイプシップとするイージス艦が5500トン級軽巡/阿賀野型を代替し始めたが、重巡は造艦計画が混乱を来たしたため、伊吹型を(陳腐化を承知で)四隻作りつつ、デモイン対応の新型の設計が緊急で始められている。空母は対潜空母に雲龍型のいくつかを流用しつつ、大型正規空母の建造に全力が注がれた。工程が複雑化し、訓練期間も考えると、実働は1955年以降と見積もられたため、攻勢作戦の実施は再延期された。魔女の数が予定数に達せず、第二世代理論式のストライカーユニットの生産と普及が捗っていないからであった――

 

 

 

――空母は超大型と垂直離着陸機を搭載する強襲揚陸艦の建造に方針が刷新され、そのせいで予算取得が大きく遅延した。大戦型軽空母の大半を売却し、それで得られた資金で戦後型空母へ刷新するという方針は『補助艦艇の充実を目指す日本防衛省』になかなか理解されず、軽空母の売却で得られた資金の多くは軍事インフラの整備に回され、空母の建造は1949年まで許可されなかった。大戦前の空母の代替が認められたため、扶桑は超大型空母の建造に直ちに着手(基地航空隊至上主義派の井上成美提督が空軍へ移籍したため)。1953年以降に三隻の就役が見込まれている。魔女の運用はこの時代に強襲揚陸艦での運用に全面的に移行することとなり、第二世代ストライカーの運用改修が既存艦、建造中の新型艦に施されていった。これは雲龍型の延命策を兼ねたもので、空母艦載機が加速度的に大型化していき、魔女に割くスペースが無くなることがわかったため、扶桑の空母機動部隊は空母×2と強襲揚陸艦×2の編成に刷新され、戦艦などの護衛艦を空母の周りに配置する輸形陣が採択される。そして、先制攻撃を行うため、ミサイル装備やビーム装備が扶桑の艦艇へ普及していき、第二世代ストライカーのマルチロール化も進展してゆくのである――

 

 

 

 

 

 

 

――戦艦は既に砲力で『実用上の限界点』に達していたため、防御力と脅威への対応力の向上が主眼となり、装甲板の材質や装甲板一枚あたりのサイズの見直し、船殻そのものの構造強化が逐次、行われ続けた。また、魔女不足を補うため、一次的な対策として、対ビームコートの普及も行われた。その結果、『世界最強』に足る能力に至った。攻撃面で限界に達したのなら、(過度に速度が必要でなくなったため)考えられるだけの防御力強化を行うべしという方針のもと、青天井の予算が注ぎ込まれた。他国が戦艦を捨て去る時代を見越し、自前でそれを賄うための施策であったが、それは半ば杞憂であった。元々、扶桑は史実の日本帝国との比較で五倍以上の工業力を誇っており、艦艇の機関性能はかなり上であった。そこに未来技術が更に上乗せされたという情報を敢えて流すことで、空母や潜水艦を仮想敵国に造らせない作戦を取るようになり、それが成功する。その間に、反応弾の保有を進め、対リベリオンの報復攻撃用として、その存在を秘匿していくのである――

 

 

 

 

――日本連邦が強大な戦艦部隊を維持したということは(日本連邦以外に、魔女世界で実用段階のミサイル技術を持つ国はリベリオン本国しかなかった)その抑止力は必須。それが軍事の鉄則であるため、(空母が果てしなく高額化すること、潜水艦の需要が少ないなどの理由で)士官のポスト維持のためもあり、戦艦は数の減勢が図られつつも、保有自体は続けられた。比較的に打撃が少なかったロマーニャは『出戻り』で衰退し始めたヴェネツィアと実質的に合同する形で、戦艦部隊の更新を『タラント空襲』を理由に推進。リットリオの更新型を竣工させた。これが他国での『ポスト・ヤマト』タイプの嚆矢となり、1949年から(比較的に余裕がある国に限るが)新型戦艦の竣工が続いた。ブリタニアはクイーン・エリザベスⅡ級でライオン級以前の艦艇を更新する方針であり、実働艦は七隻体制で固定されたが、予備艦はその倍以上をキープしていた。その都合で、陳腐化して久しい『キングジョージⅤ世級戦艦』が予備役を解かれ、博物館船となるか、資金捻出の一環で解体されたのも、この頃になる。カールスラントは造船所に仕事を与えるため、M動乱で鹵獲し、各軍港のあちらこちらに繋留されていた艦艇の再整備を行ったが、不幸中の幸いで『艦種のコレクション』であったため、残存する『ビスマルク』と『ティルピッツ』をそれらと組み合わせての『ささやかな艦隊』を再建し始めた。同国はそれを起点に秩序を取り戻し始め、NATOを安堵させた。その流れから取り残された形のガリア共和国。国土復興優先派が(娯楽に飢える国民の不満もあり)退潮を始め、ド・ゴールを中心にしての『軍備復興優先派』が台頭し始める。とはいえ、ガリアは鉱物資源の供給に不安が増大しており、旧式装備の多くを解体し、資材を再利用する形でしか艦隊の復興は出来なかった。その精神的拠り所であった『リシュリュー級戦艦』だが、既に戦闘能力は『時代遅れ』となっており、国民の精神的支柱としての修理であった。その改良型の『ガスコーニュ』級や次世代型の『アルザス級』の建造再開は絶望視されており、それがド・ゴールの心象を連合軍からティターンズ寄りにする決定的要因となった。ダイ・アナザー・デイ当時からティターンズに裏で接近していた彼は次第に『ガリアの栄光の再来』に傾倒。史実通りに『ド・ゴール主義』を掲げ、支持を拡大。1950年に連合軍の総司令部と国防大学は東京と新京へ移転せざるを得なくなる。(これにより、扶桑の連合軍内部での主導権が確立される)こうして、ガリアは次第にド・ゴール自身も予測できぬ方向へ暴走し始めるのである――

 

 

 

 

 

 

 

 

――遠征軍の状況はけして有利とはいえぬ状況であったが、司令部の態勢の立て直しがなり次第、攻勢をかけるつもりであった。そんな中、ティアナ・ランスターの過去生とその能力が判明。緊急時であったため、武子は直ちに戦闘要員へ配置転換。訓練を命じると同時に、自身の視察を敢行した――

 

「なるほどね。圭子が見込んだ事はある。けど、今回は偶然のようね?」

 

「ヤツはゲッター線の効用でカンがいいからな。今回ばかりは俺も驚いたよ」

 

「で、どうなの?」

 

「前世で、その代での実力者だったようだからな。鍛えれば行けると思う。ティアナ・ランスターとしてはだが、経験が少ないからな」

 

「管理局の訓練課程はどうなってんの?」

 

「扶桑の1941~43年よりひでぇぞ?申し訳程度の座学が数ヶ月あった後に、実習と称して、現場に出すんだぜ?俺たちの若い頃よりひどいぜ。坂本の代でも、訓練期間はあったからな」

 

武子と智子は黒江と同レベルの訓練期間があった最後の世代の魔女であった。陸軍に航空隊があった時代に『対人訓練をきっちり仕込まれた』最後の世代でもある。ティアナ・ランスターは比較的に地上本部に余裕のあった時期に入局していたが、人手不足が祟り、すぐに現場に出されていた。管理局のエリートコースを辿ったなのはでさえ、座学の期間は地球連邦での促成コースより短かったと判明しているので、ロンド・ベルの幹部層も絶句していたが、もちろん、黒江たちもそうである。圭子が黒田にしばらくの間、ティアナを教育させていたのは、そのことを知っていたからだ。

 

「あのガサツな圭子が訓練期間を取っていたのは、そういうことね」

 

「時空管理局は魔法に依存しすぎだったからな。だから、なのはみてぇな事が横行するんだろうな」

 

「海軍より悪いわね」

 

「あそこは前世の坂本がそうだったように、理系に見せかけた体育会系だからな。まっつぁんが空軍に来た時点で、お察しってヤツだ」

 

坂本は前世の自分をそう振り返っていると、黒江は武子に教える。同時に、末期状態の海軍航空に見切りをつけた古参の魔女、あるいは魔女出身者は多い。実質的に航空作戦の主力は空軍で賄っている扶桑だが、予算対策上の都合で海軍航空が存続しているのは、地球連邦政府の都合で、間接統治になったミッドチルダと似た理由だ。

 

「中々の速度ね」

 

「俺達なら対処できる範囲内だが、大抵の奴らは初見じゃ無理だろうな。あれは宇宙に出れるそうだが、今となっちゃ、それで驚くかと言われればな」

 

ティアナ・ランスターの前世にあたる人物『鴇羽舞衣』が持っていた『高次物質化能力』は最初の生にあたる21世紀初めには、彼女を含めて、13人ほどが覚醒していたという。その時代の遥か後、彼女らの子孫が何らかの手段で宇宙移民を行い、更に世代を経て『地球』という母星の存在が忘れ去られた後の末裔としての二回目の生においては『最初の13人』の能力を科学的に解析し、人工的に制限を課した状態の超能力を付与したものの上位の実力者であった。彼女はその二つの生における能力が融合し、厳密にはそれらと『似て非なるもの』に変化した能力を得た。それは魔力と併用可能であるので、ある種のチートと言えるが、今一つといったところで、爆発的な力はない。安定性寄りの能力といえた。

 

「安定寄りで爆発力はないが、実戦で『使える』能力……っていったところね」

 

「ティアナは本来、次世代の指揮官にしたかったと、はやてが言ってたからな。しかし、戦法を考えると、突撃させたほうが使いやすいな」

 

炎使いは意外にいる。草薙流古武術を用いるのぞみが実質的な最高位にある(草薙流古武術を極め、炎の温度が上昇した結果、より強大なパワーを示す『青』になった)が、元は炎使いではない。根っからの炎使いはりん(キュアルージュ)だが、最近はのぞみのことを考え、後方支援に徹しており、プリキュアとしての相棒の地位は後輩のキュアメロディとキュアハートに任せている。

 

「炎使い、増えたわね」

 

「まぁ、氷使いは主人公向けの能力じゃねぇしな。たいていは炎か雷だだ。サポート役が多いな、本当」

 

「殆どの属性を使えるあなたが言っても、何の説得力もないわよ」

 

「そうか?」

 

「スカイライダーを呼んだのは?」

 

「一文字さんの穴を埋めるためと、ティアに空中戦のイロハを今一度、叩き込むためだ。元々、ティアナは空中戦の素質無しと判定されていたからな。前世で慣れてたって言っても、遠い昔のことだしな」

 

ティアナ・ランスターは魔導師としては『空戦の素質無し』と見なされていたが、前世の記憶と能力が目覚めた後は、のぞみ達に遜色ない空中戦がこなせるようになっていた。だが、本格的な空戦の経験が不足しているため、スカイライダー/筑波洋が呼び寄せられた際に、彼女を鍛えるように要請した。元々、『単純な戦闘力のレベルで敵に劣るような状況でも、戦術レベルで凌駕することで戦場を制する』方針でティアナ・ランスターは育成されていたが、個人単位の戦闘力も一定以上がなければ、多少の戦術面の優位は容易に崩される事は地球での幾多の戦争で証明されている。

 

「どうです、洋さん。そいつの動きは」

 

「悪くはないが、いまいち経験が不足だね。実戦に出すには、しばらく時間がいるよ」

 

セイリングジャンプで飛行しているスカイライダーが言う。歴代仮面ライダー(昭和)で唯一、完全な飛行能力を持つ彼から見ると、(前世で経験があるとはいえ)ティアナ・ランスターは未熟であると判定した。それを考えると、すぐに空戦に対応したのみならず、本人に遜色ない戦闘を展開したナリタブライアンやナリタタイシンは『才ある者』と言える。

 

「そうですか。やっぱ、あいつらは天才か……」

 

「そういう事になる。門外漢だった者がそこそこの経験者を追い抜くくらいの急成長をする事はままあるしね」

 

実際にブライアンはこの戦闘の経験を糧にし、後に三冠ウマ娘としての復権を果たすことになる。サクラローレルにとどめを刺される史実を覆すのだ。サクラローレルはブライアンへの凄まじい『愛』が仇となり、史実よりも遅咲きとなるが、史実の悲劇的結末(競争者としての致命傷を負う)は避けられた格好になる。

 

 

「ブライアンは何をしてるんだろうか」

 

と、ブライアンが気になる黒江だが、ブライアンは日頃は無理に抑えている闘争本能を存分に発揮。のぞみの体の潜在能力を存分に活用し、大暴れであった。

 

――戦場――

 

 

『ゲッタァァァ・ビィィィム!!』

 

額の前のあたりにゲッターエネルギーを収束し、ゲッタービームを放つ。ゲッタービームは腹からのビームのほうが大口径・大威力(炉心直結なため)だが、使い勝手は額のほうが上であるため、ゲッタービームを生身で撃つときは『額の位置にゲッター線を収束させ、放つ』。威力はゲッターロボのそれと同等であるので、まさに必殺光線と言えた。

 

「……ふう。戦車隊はこれで始末したはずだ。しかし、敵も小出しにしてくるな」

 

「残党だしね。そう簡単に機甲戦力は出せないよ。Ⅲ号戦車まで混ざってるとは思わんだ。それに、航空戦力も大戦中の戦闘機が普通に来るからね。それなら、少数を残してるレシプロ機で対応できるから、楽なんだけど」

 

扶桑軍はレシプロ機の運用は当面続ける事にしている。ダイ・アナザー・デイのために製造した機体が余りに余ったため、戦闘用途にも小数が現役扱いのままである。多くは陣風で、それであれば、bf109Kであろうとも、目ではないからだ。

 

「メッサーシュミットやフォッケウルフを引っ張り出すくらいなのに、時々は東独時代のジェット機が飛んでくるのも摩訶不思議だな。で、こっちはゼロ戦か?」

 

「いや、紫電改以降の機体さ。ゼロ戦はもう数が残ってないはずだよ」

 

この頃になると、零戦は大半が前線で消耗し、小数機が練習航空隊の中等練習機に回される程度まで減っている。アグレッサー部隊用の機体も大半が実戦機に改造され、多くがダイ・アナザー・デイの空に散っていったため、生き延びた個体は日本に買われたりした影響もあり、小数が中等練習機として余生を送っていた。そのため、1949年以降に前線に残っているレシプロは紫電改や陣風などの『ダイ・アナザー・デイの決戦機であった』機種となる。

 

「姉貴に聞いたら、震電はないのか?と言われたぞ?」

 

「あー、震電ね。開発されてはいたんだけど、クーデターがあった時に試作機が燃やされてね。もちろん、当事者の兵隊は銃殺刑。管理責任を問われた下士官と士官は閑職に左遷。その士官が資材を集めて、復元を試みているようだけど……自己満足だしなぁ」

 

震電はジェット戦闘機として完成したが、史実震電の面影は(設計の最適化で)薄れているため、日本人には『コレジャナイ』とがっかりされるのが通例だが、レシプロとしての完成が諦められ、ジェット戦闘機に設計が変わったので、史実の姿を留めるほうが難しいのだが。

 

「で、結局はお目当ての実戦に使えず、ジェット戦闘機に直したのか」

 

「うん。メーカーへの救済も兼ねてるからね。扶桑の迎撃部隊に優先して回されてるから、前線に回るかどうかってとこ。雷電や月光はいつまでも使えないからね」

 

震電改シリーズの嚆矢『改一』は戦後第二世代相当の性能を持つ国産機という触れ込みで生産された。震電の原型を比較的に保つが、戦後型ジェットエンジンを積むため、各所を再設計している。扶桑の航空技術維持用の存在であったので、史実米軍機を嫌う部隊に優先配備されており、前線にはほとんど出回っていない。前線には改二の配備が予定されていたからだ。

 

「で、飛行型怪人に私達をぶち当てるのか」

 

「仕方がないさ。怪人は戦闘機の攻撃に耐えるからね。陸でも、普通の兵隊や戦闘車両じゃ太刀打ちできない。魔女でも、怪人の装甲を抜ける火器は大型の装甲脚を使わないと無理。だから、怪人を倒せる力を持つあたしらが過剰に期待されちゃうわけ」

 

プリキュア達は(技が通じれば)怪人と対等に戦えるため、上層部から(過剰に)期待される。なるべく『歴代の戦闘ポテンシャルが高い者』が選抜されていたが、幹部層相手にはごく一部の最強形態持ちでなければ、まともに戦えぬ問題も生じた。その持ち主であった自分とキュアラブリーも、最高幹部級の実力者である仮面ライダー三号に手も足も出ない有様であった。

 

「三号は今のあたし達じゃ歯が立たない。悔しいけどね。ダブルライダーが再改造を選ぶくらいの敵だ。だから、プリキュアで奴に太刀打ちできるのは『あなた』だけだよ、実質は」

 

「……責任重大だな」

 

仮面ライダー三号は『加速装置』を攻撃にも応用しており、プリキュア達はそれに為す術もないが、キュアドリームのみはデザリアム戦役での超パワーアップで『加速装置に対応できる』力を手にしており、それは『他人の精神が入れ替わっていても使える』基礎的なものであるので、責任重大と言うことはわかる。ブライアンは苦笑するしかなかった。だが、この時にドリームの体を使ったことで、鈍っていたり、ズレていた『感覚』を往時(全盛期)のそれに戻す事に成功。鳴りを潜めていた『領域』の発動も再び可能となり、協会の求める『三冠ウマ娘の責務』を再び果たし得る身となるのだ。

 

「それはそうと、黒江さんが新しいガキを鍛えていると聞いたが?」

 

「ああ。ティアナ・ランスターちゃんのことだね。元は時空管理局で、なのはちゃんの部下だった子でね。ひょんな事で『魔女の世界』に飛ばされて、なのはちゃんの部下だったってんで、ケイさんが身柄を預かったんだ。別世界に飛ばされたショックのせいか、前世の記憶が復活してきたっていうから、この間(三日前)から聞き取り調査と特訓中さ」

 

「あわよくば…という奴か」

 

「前世でかなり強力な異能を使ってたようでね。その調査が終わったと報告書にあるから、その次の段階に入ったんだろうね」

 

キュアハートのその言葉通り、ティアナ・ランスターは魔導師としては凡人に近くとも、『マイスター乙HIME』としては上位の実力者に属していたため、魔導師としての技能は補助的に用いるとした。記憶の覚醒に伴い、別名義での活動も行う事(時空管理局の魔導師としては著名なほうであるためか)があると説明を受けた事により、後に(ティアナ・ランスターは変身魔法が苦手であったため、空中元素固定能力を習得させる事になった)前世での『鴇羽舞衣』を別名義に用いる事となり、その姿での軍籍を別個に取得。また、元は時空管理局で執務官志望であったため、鴇羽舞衣としての軍籍は『諜報部所属の魔女』ということになり、Y委員会/G機関のスパイの一人という扱いで、魔女の世界の歴史に名を刻む事になる。

 

「そうか、スカイライダーが来たのは、単に二号の穴埋めじゃないということか…」

 

「そういう事だね。のぞみちゃんと面識あるし、あなたの事情も知ってるから、素で接して大丈夫だよ」

 

「そいつは助かる。キャピキャピした性格を演じるのは性に合わんのでな……」

 

ブライアンは無頼漢で、男前な性格なので、のぞみの現役時代における『ドジだけど、そこぬけに明るい』キャラを(のぞみ達の現役時代における通学先の)学園関係者向けに装うのは、かなり苦労しているとぼやく。とはいえ、かなりの精度であり、ゴルシも関心するほどの出来栄えであった。曰く、ダイタクヘリオスやトーセンジョーダンを参考にしたとの事で、伊達に現職の副会長でないところを見せている。ブライアンはこの活動が気に入ったようで、普段より饒舌であった。その一方で、サクラローレルの重い『愛』に応え、彼女を安心して凱旋門賞に送り出してやりたいという老婆心があるらしく、ローレルへ『お守り』を買ってやる一方で、『奴に借りを返してこそ、三冠ウマ娘としての自分の価値が定まる』と考えているようでもある。姉のビワハヤヒデに『獅子は子を千尋の谷に落とすというだろ?』と話し、ローレルの『運命』の回避に自らの復活は必須と考えるあたり、ブライアンはハヤヒデから『お前は損得なしに競い合える相手を心の奥で求めているが、ローレル君の事は特別な相手と見ているだろう?』と言われ、それを否定しなかった。キュアドリームの現役時代におけるキャラを演じてみせるなど、かなりの悪戦苦闘もしている。

 

「エアグルーヴが聞いたら、どう思うだろうな……。……まったく」

 

と、ドリームをキャラ込みで演ずる事はかなり大変なようだが、プリキュア5の人気っぷりも実感したようだったブライアン。ゴルシはそれをリカバーしてやるなど、意外に演技上手なところを見せつつ、新生徒会メンバーとしての責務をこなしていた。

 

 

 

 

 

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