ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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直近の流れの説明回です。


第六百十二話「これまでのまとめ」

――結局、扶桑の軍需産業を無理に再編した影響で、ダイ・アナザー・デイでは既存兵器の生産にさえ四苦八苦した。現場からの反対を抑えつつ、史実戦後米軍式に変えるには、多大な出血を強いられた。富嶽と連山は本来、雷撃装備も開発されていたが、対艦雷撃の陳腐化などから、対潜ソナーやアスロックの搭載で対潜哨戒機にされたり、諸外国の戦略爆撃機に相当する装備に統一されたりと、多種多様な道を辿った。また、防弾装備と自衛装備が強化された代わりに、飛行性能が多少なりとも低下したりしたが、戦略爆撃機に速力が求められなくなっていたために不問に付された。そのため、ブリタニアに展開した富嶽の部隊は空軍の指揮下で戦略爆撃を敢行。ダイ・アナザー・デイに注ぎ込んだため、一線級の戦闘機も魔女も数がないリベリオンに痛撃を与え、太平洋戦争の開戦を数年は引き伸ばす殊勲を挙げた。富嶽は数年後、ジェット化された『飛天』に機種転換されたため、退役した機体が日本に売却され、航空博物館の目玉となったという――

 

 

 

 

 

――軍需産業の再編により、航空メーカーの淘汰が進んだ他、軍馬の需要減少で『使役馬』に転職した個体が多かったが、ごく一部は『最後のご奉公』で騎兵突撃をかまし、見事に生還したという。また、戦車は(扶桑内部の国産閥を満足させるため)日本系と英国系の双方がメインとなった他、カールスラントの遺棄した戦車(しかも、1945年当時の新鋭)を再生し、当座の戦力とする事も進んだ。M動乱に間に合わせた『四式と五式の改善型』は早晩の陳腐化が予想されたため、74式戦車のコピーを予てから試みていたが、それを知った日本側に『正式にライセンスを出すから、コピーは止めてくれ』と懇願された影響で、整備計画全体が狂った。その影響で、機甲部隊は『雑多な寄せ集め』感が否めない有様となった。日本側もこの予想外の結果に困惑。『内地に置くのを考えたから…』と言い訳する醜態であった。結局、M41軽戦車や五式改で内地部隊は忍ぶ事となり、外地部隊に強力な車両が配備される傾向が決定づけられる。内地の諸インフラが整備途上であったからで、内地のM41は長らく、現役戦車であり続けたという――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――外地は消耗続きであったため、次第に超兵器に傾倒。コンバットアーマーやデストロイドは陸軍が特に好んだ。日本系軽戦車や装甲車の陳腐化、騎兵兵科の廃止などの大変革の最中であったからだ。日本側からは『大量破壊兵器で敵の内地を薙ぎ払う』案も出ていたが、それは史実の戦争末期の本土空襲への意趣返しを(大量破壊兵器で以て)行いたいという願望の表れであった。既に史実と違い、西海岸でティターンズのレーザー核融合弾が炸裂済みであり、大凡、数百万人が亡くなっているが、日本側は『五大湖の工業地帯を完全に破壊しなければ、連中は講和にも応じない』としており、その折衷案が内々で協議されていた。この構想が示すように、リベリオンはこの戦争で『長き混沌に叩き落とされる』のは確実であった。日本は文字通りにリベリオン本国の(文化遺産以外は)全てを粉砕するつもりであったからだ。同時に、これらの作戦では科学兵器が主役であったので、空戦魔女の旧来的な権威も失墜する事になった――

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイの大兵力を日本連邦が(協力込みでだが)撃退したことは、その後の『魔女の世界』での国家間ヒエラルキーを決定づけた。日本連邦はその頂点に君臨する事になったが、史実で米国が担っていた役目を背負い込むことでもある。そのため、連合国は日本連邦に多大な財政援助をしつつ、自分達は財政の回復のための軍縮に勤しむ事になる。日本連邦が戦艦部隊を解体できなかったのも、この外交圧力に由来する。その関係上、扶桑の生え抜き軍人を無碍に扱えなくなったのである。のぞみの一件がその中での最大級のスキャンダルと言えた大事件であった――

 

 

 

――のぞみの一件は対応を間違えれば、日系国家同士の戦になりかねない事態であった。日本はそれを薄氷を踏む思いで交渉を行った。のぞみ個人だけで片付く問題では無くなったためである。扶桑の予備士官制度が大きく揺らぐ事態だったからだ。結局、予備士官の籍にあり、教職にあった、志願していた者は正式な教職にはつけなくなる(妥協的に、大学の講師などは認められた。なお、21世紀日本のような『カルチャースクール』の類は時代的に存在していないのも大きい)代わりに、軍学校の教諭につけるようにするなどの代替措置がなされた他、中等以上の教育機関を出ていた者は士官に任官されるなどの経過措置も通った。扶桑では(時代的に)中等以上の教育機関に行ける者は『恵まれている』からである。扶桑の教育制度を戦後日本に合わせようとすると、それで回っていた社会が混乱を来すのである。また、華族を『世間知らずの殿様とお公家さん』と侮蔑する風潮も持ち込まれたが、扶桑では勲功華族(一代)も多かったので、身分の廃止には繋がらなかった。その代替になり得る名誉を日本側が提示できなかったからだ――

 

 

 

 

 

 

 

――日本側が驚いたのは、扶桑軍の将校達に『みんなのために』という風潮が強かったことだ。江藤は軍への復帰時に『元の部下達の戦功が知られていないか、軽く見られている』ことで天皇直々の査問に遭うなど、受難の日々であった(江藤は艦娘・陸奥のとりなし無しでは、厳罰間違いなしのコースであった)。また、志賀が64Fを飛び出した理由が『陸式に海軍航空の伝統が汚された』というものであったことで、それ以後の海軍航空の政治的立場が悪くなってしまうなど、陸海の垣根と伝統の維持の意識が強かった扶桑軍隊は1945年を境に、内々にも大混乱となった。ミーナの起こした不祥事の影響は、扶桑の方がむしろ大きかったのである。この影響で、カールスラントへの視線と国民感情が急速に冷却化していき、同国は扶桑の関心を維持しようとするが、既に自由リベリオンとの結びつきが『蜜月』と表現されるほどに緊密になっていた上、扶桑の主敵の一つがナチス残党の組織である『ショッカー』の系譜に移行していった時期であった事も重なり、結局は政治が東西ドイツの対立を繰り返す愚を犯すのである。その影響で、カールスラント軍が有名無実化してしまったために、扶桑に同空軍の先進的な軍事思想が流入する事になり、扶桑軍の悪しき伝統は少しづつ薄れ始めるのである――

 

 

 

 

 

――その流れで、黒江達は『異端児』から『次代を担う旗手』へと立場を躍進させた。ダイ・アナザー・デイを分水嶺に、扶桑はかつての元老に代わる『実務面での統率者』を必要としていた事などから、『若手軍人のホープ』であった黒江達は充分に資格を備えていた。その事から、Y委員会は『枢密院』と『重臣会議』の双方の機能を新憲法下で実質的に引き継ぐ『円卓会議』の役目を担うこととされた。当時の扶桑は『武士が支配層であった時代の名残り』が風習・国家制度に多く残っており、大衆も(時代的に)議会制民主主義の何たるかを理解していない者のほうが多かった。それが『明治の元老に代わる、実務での強力なリーダーシップを持つ者』を扶桑の支配階層が求めた理由であった。Y委員会は1947年以降、扶桑の憲政に確固たる影響力を発揮。名誉的な意味合いが強まった貴族院に代わる形で、その地位を取得。議会制民主主義を守護する役目を担っていくのである――

 

 

 

 

 

――軍部は内々の混乱で明治以前からの『騎兵』や戦間期の名残りである『軽戦車』がその地位を失い、代わりに『人型機動兵器を扱う兵科』である『機動科』が生まれ、兵科としての騎兵科の息の根を完全に止める事になった。軍馬が残っていたのは、(生物であるので)怪異に探知されないという一点であったが、既に軍馬で必要な物資を輸送できるような時代を過ぎていたため、1945年を最後に、第一線で騎兵が活躍することは無くなった。コンバットアーマーやMS、デストロイドは旧来の細かい区分の装甲車両をも代替する役目を期待されたわけである。MSはジェガンが(死ぬほど)余っていた事から、扶桑軍の主力MSとなった。既に残存機の多くが『R型』になっていた時期であったので、その型式の指揮機として『スタークジェガン』が配備された。また、宇宙艦を多く得た事により、ヘリウム3ガスを得られる算段も確立された事から、以後、扶桑軍はMSなどを機甲戦力の中核にする形で軍備を刷新していく。この優位性が扶桑軍を『魔女の世界』での主導的役目を担う軍隊に飛躍させる事になる。また、それを(万一の場合に備え)止めるため、64Fにガンダムタイプなどの配備が進められるのであった――

 

 

 

――戦艦は過剰までの近代化改修と改設計で、並のイージス護衛艦が不要になる勢いであった。特に、旧世代の兵器と侮られていた大口径の艦砲が大和型以降は未来の『ショックカノン』に刷新されていた事に驚愕する事になった。64Fの配備艦はそこから更に次世代の『パルサーカノン』に換装されており、ボラー連邦などの国家に対抗できる武力を持つに至った。播磨、三笠、敷島の世代の新戦艦は隠し機能という形でパルサーカノンを備えており、ショックカノンが弾かれた場合の備えとして持たされている。また、水上艦艇のように見えるが、実はそれ自体が偽装であり、実際には『ヤマト型宇宙戦艦』の規格で造られた『宇宙戦艦』だった。艦首も偽装で変形させており、実際には波動砲を備える構造であった。しかも、地球連邦の実験を兼ねたもので、マルチモード波動砲を備えていた。収束・拡散・拡大の三つを使い分け可能な新種のものだ。ゲッター合金の外殻を持たされた故の芸当である。壮大な偽装工作だが、それは空軍の予算を流用して、波動砲の装備などの経費を賄ったためであったりする。海軍の管理であったそれらでさえ、波動砲を隠し持つので、ある意味、『リベリオン本国が原子爆弾を使ったら』に対しての報復の準備であった――

 

 

 

――ラ級については、日本側は技術の流出を恐れたが、ティターンズが『リバティ』を既に建造中であったことなどから、次第に抑止力としての行き渡らせを唱える者が現れた。日本もリバティの抑止力としてのラ級の普及はやむなしと判断。2024年頃に『輸出の条件付き緩和』を容認。その第一陣が『クイーンエリザベスⅡ級』の改装である『ウォースパイト』であり、修理が成った『モンタナ』(修繕版)であった。第二陣はロマーニャの『イタリア』であった。本来はガリアの『ガスコーニュ』も予定されていたが、事前にペリーヌ・クロステルマンから『経費を賄えないから、引き渡しを10年は延ばしてほしい』という嘆願があり、保留とされた。オラーシャ帝国については、21世紀日本の仮想敵国がロシア連邦であったり、魔女の世界でも、ウクライナ(独立)と領土紛争を起こした事から、引き渡し自体が立ち消えになったという――

 

 

 

 

 

 

――ペリーヌ・クロステルマンは1947年に公式の記録上では『ダイ・アナザー・デイでの戦傷が同年に悪化。療養のために、日本連邦へ渡る。現地では孤児院を経営し、生計を立てる』という事になっていた。だが、実際には『そうなる前後』にガリアの反ド・ゴール派のクーデター計画』を『モードレッド』として潰していたりしていた。元々が『円卓を潰した裏切り者』であった都合上、信用があまりないための功績づくりであった。ペリーヌを素体に現界している都合上、生前よりは思考がまともになったらしく、子供に優しくなったり、言動が多少なりとも『らしいもの』に変わっていた。ペリーヌの精神力の強さでモードレッドのチンピラぶりが軽減されたためであった。また、身バレが既にされている事から、自分が元・円卓の騎士である事は大っぴらに宣言していたので、日本のネットでいいおもちゃになったりしていた。本人はそれを楽しんでおり、2020年前後にユーチューバーに挑戦するなど、円卓の騎士としては、もっとも世俗まみれであった。また、騎乗スキルが高めのはずが、乗り物の運転が荒っぽく、装甲バギーなどがよく似合いそうと言われるなど、円卓の騎士かしらぬチンピラ属性を武器にするなど、意外に現代的生活を謳歌していた――

 

 

 

 

 

 

 

 

――アルトリア・ペンドラゴン(青セイバー)。カールスラント第二位のナイトウィッチ『ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン』を素体に現界したわけである。元祖『聖剣使い』であるが、聖闘士達がポンポン会得していくため、実はアイデンティティに危機を感じていた。戦間期はカールスラントに戻っていたが、ハインリーケの係累はB-29の空襲で全滅しており、実質的に天涯孤独の身となった事から、黒田財団の設立に参加するため、扶桑に渡っていた。カールスラントの王位継承権(アルトリアは王位経験者である)にも興味はないため、戦間期は黒田財団の幹部として生計を立て、戦時への移行で『元のカールスラント空軍将校である』と申告して、軍役に戻ったのである。また、生前の王位にあった時期の甲冑姿は本人曰く、『あまり見せびらかすものではないですし……』とし、見せるのを憚った。その代替に『修行時代』の姫騎士姿(俗に言う『セイバー・リリィ』の姿)で戦うようになった。王位を降りているからだとは、本人の弁。とはいえ、言動と声色は王位にあった時期の凛々しいものであったり、得物も『エクスカリバー』であるなど、ノーマル形態とのキメラのような状態であった。王権から解放されたためか、外見相応の振る舞いも多くするようになり、祖国の食事の味を大っぴらに嘆き、現代のスイーツや食事にがっつく。そのがっつきぶりから、2022年頃には、艦娘・秋雲が同人誌即売会で『騎士王の現代生活』なるドキュメンタリー本を売り、大いに儲けたのである。なお、その時の同人誌即売会には、秋雲によって『売り子をやらされる』羽目になり、『円卓の騎士に同人誌即売会の売り子をやらせるのですか!?』と狼狽した挙句、顔から火が出る勢いで赤面しながら、売り子を(嫌々)する姿が目撃されたのであった――

 

 

 

――2020年代以降は日本と扶桑の交流が民間レベルで盛んになったため、扶桑人が日本を旅行することも珍しいことでは無くなった他、艦娘がスポーツ大会に出場するようになったため、2021年のある弓道大会は『第一航空戦隊』の赤城と加賀が一位と二位をかっさらい、その翌年は五航戦(新・第一航空戦隊)の二人が同じ事をするなど、話題に事欠かなかった。瑞鶴は『戦歴はあたしらのほうが長いし!!』と延べ、戦歴そのものは赤城と加賀より長い事をアピールしていたという。艦娘(空母)は史実でもっとも活躍した『開戦時の大型空母六人衆』を頂点に、次点の飛鷹型、大型空母では最低限の練度しかない大鳳が下位にいるなど、史実の活躍度に比例した練度を備えていた。また、史実の活躍度の他、建造時期の反映か、大鳳はクロスボウを持つ他、雲龍型は精度の低い式神の術を持つ。大鳳は史実での期待度の割に、呆気ない最期を遂げた事の反映か、装備が壊れやすいという弱点も持つなど、投入しどころの難しい存在だった。(ただし、使役する艦上機はデフォルトで烈風・流星・彩雲であるという利点もあったが)広報役は知名度のある、一航戦と二航戦が務めることが多いため、翔鶴以降の空母艦娘はあまり顔出しの機会がないが、それでも、大鳳はその可愛さでファンが多いなど、史実の不運が嘘のように恵まれた一面もあった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――艦娘達の内、戦艦でもっとも手すきの金剛、空母ではグラーフ・ツェッペリンは防衛省でGフォース関連の事務作業についていた。その気になれば、金剛は『コンゴウ』に早変わりできるが、黒江から止められていた――

 

「む~!!なんで高雄が良くて、ワタシはダメなのデスかーーー!!」

 

「決まっているだろう?イェーガー中佐が『殴りたくなるから、やめてくれ』と言ったのを忘れたか?」

 

「理不尽デース!!」

 

シャーリーは金剛のもう一つの声色を聞くと、前世での仲間『C.C』を思い出し、無性に殴りたくなるらしい。前世での『ゼロレクイエム』の真実を事後に思い知った事への後悔が残っているからだという。その兼ね合いで『早変わり』を止められているのが、大いに不満らしい。高雄が『タカオ』として大っぴらに活動し、女子高生生活を満喫していたり、『401』(しおい)が『イオナ』に早変わりし、日本で爆買いしていたりするのが羨ましいらしい。

 

「ビスマルクなど、日米の化け物連中にインパクトで負けるわ、リンデマン艦長と喧嘩して飛び出すわ、最近はショック続きなんだぞ。艦長、プリンツ・オイゲンに散々に怒られて、寝込んだらしいぞ」

 

「OH……それは自業自得デスネー……」

 

「せっかく広報も兼任しているのだ。もっと街に繰り出さんといかんぞ?妹達はどうした?」

 

「ひえーと霧島は艤装の第二改装中、榛名なら呼び出せますケド?」

 

「榛名を付き合わせて、買い物にでも行け。第二改装が終わった貴官らなら、おおよそのトラブルは怖くあるまい?」

 

「最古参と言われると、来るものがアリマスケド……」

 

「本当なんだから、仕方あるまい。戦艦の機関出力がそのまま反映されておるから、新幹線も片手で止められるはずであろう?」

 

金剛型は最古参の戦艦だが、最終形態のスペックが反映されている都合上、そのパワーはプリキュアすらも遥かに超える。金剛ですら、13万馬力をマークする。元々が巡洋戦艦であったためのもので、これは最終時の長門(88000馬力)をも凌駕する数値である。そのパワーは日本戦艦娘では第二位を誇り、巨大ダンプカーどころか、戦車の突進でも片手で押し返せるのである。

 

「それはそうデスけど」

 

「私達は並のMSよりパワーがある。新幹線が突進してこようが、別に怖くない。プリキュア達と模擬戦をしようものなら、現役時代の状態であれば、敵ではない」

 

「去年の模擬戦、紅蓮聖天八極式のローラーダッシュを普通に押し返したから、キュアメロディに驚かれましたよ……」

 

「当たり前だ。ナイトメアフレームの出力で戦艦を押し出そうなど……。MSであろうが、普通に勝てるんだぞ、私達」

 

「普通にデストロイを片手で持ち上げられますから」

 

――なお、この逆転現象は後にスーパーロボットの間でも発生し、ユング・フロイトが造らせた『太陽系防衛システム・ダイバスター』(大きさは地球大)を真ゲッタードラゴンが軽く投げ飛ばすという珍現象を起こしたという。ダイバスターとは、デザリアム戦役の結果を受け、ユング・フロイトがバスターマシンの資材で造らせている無人防衛システムであり、その中枢となる『バスターマシン七号』がそれらと合体した姿であるが、大きさが惑星サイズになった弊害で、大きさに比しての出力不足が指摘されていた。ユングがそれでも建造をさせたのは、ボラー連邦との全面戦争も視野に入れていたためである。ユング・フロイトは(近い内に)冷凍睡眠をする事を公言していたので、自分の不在時の守りの万全を期しておきたかったのである。そのダイバスターの中枢であるバスターマシン七号は『アナライザー型のドロイドの成果を反映した復興型超AI』を備えた初の自律型バスターマシンであり、人間サイズのガンバスターと言っていい戦力を誇る。その状態でも強いのだが、ユングとしては『ダイバスターになって、始めて完成した存在である』としており、その状態での稼働テストを極秘裏にしていたのだが、惑星サイズというのが問題であった。ユングはドラえもんに依頼し、地球大のダイバスターを通常サイズにまで縮小させられる出力を持つ縮小光線(スモールライトでは効果が長続きしないので、逆光線を浴びない限りはその状態が続く)の開発を未来デパートの遺していたラボで行い、それをデザリアム戦役の半年後に達成。それで以て、完成していたダイバスターの稼働テストが行われた。出力そのものは『バスターマシン7号の生成可能な縮退炉の出力』とシステムの縮退炉で賄える範囲内としては上々ではあったが、想定よりだいぶ劣るものであった。これは縮退炉一個あたりの出力が想定より低かったり、(惑星サイズになった故に)通常サイズの縮退炉で賄える出力では、ダイバスターの機能を充分に発揮させられなかった。縮退炉が無数になったとて、だ。そこが単一のゲッター炉心で上限のないパワーを引き出せる、上位のゲッターロボ、あるいは『光子力反応炉、ないしは陽子炉を積むマジンガー』との技術格差であったが、同時にそれらの超常性の証でもあった。とはいえ、実用上の出力はクリアしていたので、システム自体の運用に問題無しとされたという――

 

 

 

 

 

――ユングが防衛システムの構築に躍起になっていた理由はもう一つ。それはガンバスターのパイロットであった親友を迎えるために『冷凍睡眠』に入る手筈であったからだ。そのため、ユングは『ジオンを解体させ、人類の争いの終結に目処をつける』事を在任中の使命としていた。だが、折り悪く、地球連邦が他の知的生命との戦乱に明け暮れる時代が到来してしまい、若く、自身もその気になれば、いつでも軍に戻れる立場(元々、軍のトップエースの一人であった)のユングは辞めるに辞められなくなったのである。防衛システムを構築し、その中核に『知能を持つバスターマシン』を添えたのは、自身が冷凍睡眠に入るための準備であった。そのバスターマシンは『世界線が違えば、世界を守るために、姿を消す運命にあった』存在でもあった。その名は『ノノ』。タカヤ・ノリコとアマノ・カズミの二人の往時の容貌をミックスした外見を持っていた。ギアナ高地で開発されている途中のその個体は『第六世代機関』(ヱルトリウムの機関の小型発展型)で駆動し、なおかつ縮退炉を自由に形成できる能力を備える予定であった。思考ルーチンはタカヤ・ノリコのそれを参考にしたものとされ、数年以内に稼働に至る予定であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――こうして、扶桑・地球連邦が『準備』を進める一方、新たな平行世界の発見も相次いだ。オトナプリキュアの世界であり、ウマ娘の世界であった。ウマ娘の世界は平和そのものであるので、平和的な交流の促進が進んだが、オトナプリキュア世界は(元々、滅亡へ向かう世界線であったためか)星の存亡のかかる動乱になり、白色彗星帝国残党との決戦の舞台となった。のぞみは別々の個体が双方に関わることになり、前者は現地にいた個体が(能力を得て)関わり、後者は転生者としての個体がレースを戦い抜く事になったのである――

 

 


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