ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第四百六十四話「海底軍艦とは?」

――魔女の世界での魔女信仰は他世界との接触で大ダメージを被った。更に、各種条約の改定で『十代前半での軍役』が忌避されるようになると、各国の軍学校は魔女候補生の教育に悩む事になった。怪異との戦争では『最短で数年の軍役で退役する』のが当たり前であり、職業軍人として『引退後も軍に残る』のは少数派であったので、軍学校での教育も促成を前提にしたものになっていたが、そうした『期間雇用』と『正規雇用』が分けられる事になったため、以後の時代には『戦役終了後に雇用契約を終える』形式の期間雇用が魔女で根付く事になる。これは農村部の女性層の要請によるものだが、時代の変化に伴い、正規雇用への移行が選択できるようになる。これは黄金世代の高齢化の進展と同期しており、黄金世代が加齢するに従い、その後の時代のことを考えなくてはならなくなるからだ――

 

 

 

 

――1949年当時、黄金世代の第一世代であった者は(30代に入る者も多いため)退役後の生活を皮算用していたが、のぞみの転職トラブルの余波で『定年まで勤め上げるほうが、社会的に評価される』風潮が生まれてしまったため、家業を継がせようとした者たちの困惑がものすごく、社会問題となった。この時代から『魔女の新社会での生き方』の模索が続く事になる。怪異は消えたわけではないので、軍とそれ関連の会社以外の就職先を作る必要もあった。警察官や警備会社。怪異専門のハンター…。社会全体で居場所を与えなくては、オラーシャの悲劇の二の舞いである。扶桑はオラーシャという迫害の実例を鑑み、社会全体で魔女を保護すべきと判断したのである。軍の立場が変化し、以前のように『無制限に予算を使えるわけではなくなった』都合、軍の選抜は厳しくなっていくからである。黄金世代の退役理由はこの時期、『実家の事情』が最も多かったが、国難の時期に退役させることは批判を招く行為であるので、社会的分断を招きかねなかった。そのため、退役希望者は戦役の終了までの後方勤務が推奨されていた。故郷に言い訳も立つし、副業で他の事をしても、(のぞみの一件の事後処理の一環で)戦争中はお咎めなしだからだ――

 

 

 

 

 

――海軍は空軍の設立で戦力を奪われた形だが、空軍は緊急展開軍としての役目を帯びて生まれし軍隊なので、宇宙艦隊の保有は必然であった。地球連邦軍の厚意もあり、急速に宇宙艦隊の整備は進み、日本向けの組織説明には載っていないが、宇宙艦隊の運用部門は設立済みであった。その旗艦としての運用が想定されていたのが『轟天号』以下の海底軍艦であった――

 

 

 

 

――敵の海底軍艦はインペロであった。単純明快に、リットリオ級戦艦の改良型である。スペック的には『艦隊決戦型の戦艦相手には不利』と言われるリットリオだが、速射性に改良を加えられていると思われる。並大抵の航空機の武器では、装甲に傷一つ負わせられない頑強さを備えているが、対38cm砲レベルの装甲でしかないため、大和型を超える艦砲を持つ廻天の敵ではないのは事実だ――

 

 

 

 

――戦場――

 

「敵の撤退条件は?」

 

「海底軍艦を失うこと」

 

「海底軍艦?」

 

「ある世界での第二次大戦の枢軸国が一発逆転の切り札として、開戦時から作ってた超兵器。古代文明が残した重力制御の炉心を持って、あらゆるフィールドを往く軍艦。元は潜水機能の付与の研究から始まったから、その名残りで海底軍艦と呼ばれたんだそうな。ベースになったのが各国の最新最強の軍艦。つまり、当時の最強の戦艦だった。当時の列強の数だけ建造されたようだけど、存在が確定してるのは少ないよ」

 

 

日本のラ號、アメリカのリバティとモンタナ、イギリスのG級巡洋戦艦、フランスのガスコーニュ、ドイツのフリードリヒ・デア・グロッセ、ソ連のソビエツキー・ソユーズ、イタリアのインペロ。少なくとも、現時点での海底軍艦のオリジナルは八隻前後である。

 

「空を飛べるようにした事、当時の軍艦としての最新最強の装備を積むから、『作る難しさ』で建造が遅延して、枢軸国側のは戦争に間に合わなかった。だけど、そのポテンシャルは未来世界のワンオフ級の宇宙戦艦に匹敵する。波動砲抜きで、だけどね」

 

海底軍艦の力は20~21世紀では破格の力を持つ。元から核兵器にも耐えられる構造になっているのを更に強化されたら、21世紀までの時代のあらゆる兵器が効かない事になる。23世紀以降の科学でさえ、『量産品の宇宙戦艦では相手にもならない』。たとえ、それが海底軍艦では『格下』とされるインペロであろうと。

 

「だから、海底軍艦をコピーする時も、日本の海底軍艦をベースにしたんだ。大和は世界最強の戦艦だからね」

 

各国の最強の戦艦をベースにした海底軍艦だが、ベース艦の格差による性能差は存在する。大和は(性能に様々な論評はあるが)攻防性能では間違いなく、最強を誇った。その姉妹艦を海底軍艦化すれば、当然ながら世界最強になりえる。

 

「どうして、21世紀の日本が持ってないで、地球連邦軍が持つ?」

 

「日本は当然、欲しがった。だけど、作るのを命じた『大日本帝国』が法的にある内に軍へ納入されなかったし、旧軍の兵器は国連の管理下に置かれるべしっていう理屈も通じない。だから、22世紀終わりまで秘匿されていたんだ」

 

 

ラ號は23世紀世界では『地球防衛の要』として運用されているが、21世紀日本も(扶桑が准同型艦を作ったため)欲しがり、数度も接収を試みた。だが、いずれも無理のある理屈で接収しようとしたので、失敗に終わった。

 

「その類の奴があんたらの持ってる戦艦とドンパチか?」

 

「そう。最終的にそうなると思う。上に武器が集中してるのは、空を飛ぶ機能は研究の過程で副次的に生まれたからだよ」

 

海底軍艦は水上艦をベースにした都合上、船体上部に武装が集中している。どういうわけか、その設計思想はは宇宙戦艦の時代の各星間国家で同じだが、『宇宙に上下の概念がある』のかは定かではない。

 

「下に武器がついてないのが多いが?」

 

「海底軍艦の時代なら説明つくんだけど、宇宙戦艦が普通に造られる時代でも、普通に上下あるねぇ……」

 

地球連邦の艦艇のみならず、歴代の敵対国でも、普通に宇宙戦艦に上下の概念がある。これは『上下の概念がある種族の通念』にまで踏み込む問題なので、キュアハートにはなんとも言えない。とは言え、宇宙戦艦ヤマトは潜水艦に偽装する機能があり、その際には第三艦橋を使用する。(遠い発展型の大ヤマトでは戦闘艦橋化されているが)

 

「第三艦橋はあるのか?」

 

「宇宙戦艦にはあるよ。あ、宇宙戦艦ヤマトのあれはネタにされる勢いだから、配属された連中、遺書書くって」

 

「だろうな」

 

宇宙戦艦ヤマトが度々喪失する『第三艦橋』だが、宇宙戦艦ヤマトでの設計ミスとネタにされるほどに死亡率も高い部署である。それは『漫画として、宇宙戦艦ヤマトがある』世界の住民からは『当然だろ』と言わんばかりのものだ。

 

「しかし、ヤマトも数奇な船だぜ。沈んだ戦艦大和の躯を改造した移民船が宇宙戦艦に衣替えして、宇宙最強の軍艦になるんだから」

 

「あれほど不思議な船もないよ。日本人の執念に近いねぇ」

 

と、ゴルシとキュアミューズもヤマトの数奇な運命をそう評した。日本人の執念の産物だと。それは第二次世界大戦で落日を迎えた『近代国家としての日本』の遺した遺産に『生き延びようとする意志の強さ』が合体して生まれた『怪物』であることを指してのものである。現に30世紀の未来においても、宇宙戦艦ヤマトの生まれ変わりとも言える『宇宙戦艦大ヤマト』が地球連邦の後身『太陽系連邦』の旗艦として君臨している。アンドロメダの系譜が(政治や験担ぎ的意味で)『機械力に溺れた者の破滅の象徴』とされ、限定的な展開に終わるのとは対照的に、『気骨ある地球の象徴』として、ヤマトの名が地球連邦軍の旗艦につけられるようになるのだ。

 

「第三艦橋と艦長席は嫌だぜ。誰か言ったか、魔の艦長席だぞ、ヤマトの艦長席」

 

「世界線によっては、古代さんの棺桶代わりになるし、沖田提督の死の床だもんなぁ……」

 

苦笑いのキュアミューズ。とはいえ、ガイア・ヤマトはアース・ヤマトと違い、第三艦橋が頑強であり、呪いを打ち破るので、アース・ヤマトの背負った呪いは前身の帝国海軍時代から蓄積された超常的な何かと言えるだろう。

 

「おまけに、地球連邦が太陽系連邦に変わった時代でも、ヤマトって聞いただけで、異星人が怯えるってさ」

 

「太陽系連邦?」

 

「25世紀の後に、地球連邦政府が更に改組した後の国号。太陽系全体が本国扱いになったから、らしいよ。地球連邦政府自体はあるけど、他の移民星やコロニーとの連合国になったんだって」

 

太陽系連邦。地球連邦の組織が正式な星間国家連邦へ発展した政体である。設立は18代YAMATOの活躍した時代の後で、27~28世紀に停滞期に入り、29世紀が暗黒期、30世紀には復興期に入っている。これはイルミダスに敗戦し、ゲッターエンペラーとワルキューレの炎で逆転勝利する過程が挟まったからだが、ハーロックやクイーンエメラルダスは暗黒期における同族同士の骨肉の争いを無くすために動いている。『イルミダスに対抗可能な科学力を早期に持たせる』こともそうだが、停滞期に生まれた『政治の怠惰』を罪と考えているようである。仕方がないが、発展が停滞した国家の政治家は『自分と子の代が平和なら、他はどうでもいい』という思考回路に陥りがちである。それがイルミダスへの楽観に繋がり、地球の敗戦を招いた。だが、ゲッターエンペラーがそれを覆したことで『彼らが弾圧した反イルミダス派が勢いづき、地球人同士で内戦になるのだと、ハーロックはいう。

 

「問題はそれ以降の200年は平和だったから、29世紀末の危機に対応できなかったこと。それを変えるのが、ハーロック達の目的」

 

「平和が長くなると、有事への対応の議論がタブーにされるからな。それはいつの時代も同じか」

 

「そういうこと。相手が悪の組織だろうが、異星人だろうと、ね」

 

「やれやれ。平穏が続くというのも、考えものという奴か。平和に越したことはないが、あまりに事が起こることがなければ……か。まるで災害対策だな」

 

「火山の噴火や大地震とかは、最高で数百年のインターバルがあるからね。その間に伝承が途絶えて……なんて、よくあるよ」

 

「私達の時代の大地震のように、か?」

 

「だね」

 

どの世界でも、2010年代の初めに大地震が起こる事はこれで確定した。ブライアンが子供の頃(小学校に入る頃)にそれが起こったこと、それ以来、父親が子供達をトレセン学園に入れようとしていたことも思い出す。

 

「思えば、ウチの実家は二度も打撃を受けたことになるな…。下の妹たちは私と姉貴のような才能はない……まさか」

 

「どうしたの?」

 

「親父のやつ……知っていたのか?下の妹たちに才がないと」

 

「あなたの実家……何を?」

 

「酒屋だ。運送もしているが、ここ最近は疫病のせいで客足がな。とはいえ、すぐ下の妹なら、学園に通わせられるだけの蓄えはあったはずだぞ…?」

 

ここで、ブライアンは実家の酒屋の経営が行き詰まりつつある事に気づいた。大震災と疫病のダブルパンチに加え、稼ぎ頭であるハヤヒデとブライアンの姉妹が全盛期を過ぎ、ブライアンに至っては衰えが顕著になった。つまり、今後の収入は大きくは見込めない事を父親は悟っていたのかもしれない。いったん衰えが始まれば、復活はまずありえない。サクラチヨノオーのように。ブライアンはその事に考えが行き着いた。

 

 

「親父……まさか、私が勝ち続ける前提で借金していたのか?……バカな……!?」

 

「あなたは三冠ウマ娘だった。ルドルフちゃんの後継ぎを期待されるくらいの実力があったのなら……」

 

「バカな、私は三冠を取る前に負けた事があるんだぞ……!?」

 

そう。無敗で三冠となるウマ娘はディープインパクトの出現まで現れない。とはいえ、全盛期のブライアンは世界のウマ娘でも屈指の実力を持っていた。それは揺るぎない事実である。ブライアンは『自分が勝ち続ける事を当て込んでいた父親』に信じられない思いだった。

 

「お前は会長の後継ぎを政治的に期待されてた。親父さんも、ハヤヒデのできなかった事をやってのけたお前に期待しすぎたんだ」

 

「クソッタレが……それじゃ、妹達は……なんのために……!」

 

「なら、お前が守ってやれ。妹達の未来をな」

 

ゴルシは三冠ウマ娘は『ディープインパクト』と『オルフェーヴル』がその申し子である事を知っている。彼女らは有終の美が約束される『女神に愛されしウマ娘』である。だが、ブライアンとその妹達は『悲運のウマ娘』として名を残す世界線が存在する。ブライアンは史実では子を満足に残せぬままに早世したのだから。

 

「しかし……」

 

「ディープインパクトやオルフェーヴルと戦いたいんだろう?史実でお前の後継ぎになったガキどもと」

 

ブライアンは三冠を取ったものの、その後の凋落ぶりから『悲運の三冠馬』として名を残した。ゴルシはそれを知っているので、発破をかける。

 

「今更、恥も外聞もないはずだ。実家のことはハヤヒデに任せろ。手引はあたしがしてやる」

 

「お前、私が実家を勘当された事を知ってやがったな!」

 

「ハヤヒデから相談されたんだよ。それで、メジロ家に資金援助を取り付けた。アサマお祖母様も玄孫(史実では、ゴールドシップはメジロアサマの五代後の子孫である)の頼みには弱いからな」

 

ゴールドシップは手際が良いため、ハヤヒデの相談を受けている傍らで、メジロ家当主のメジロアサマとコンタクトを取り、自分が史実での子孫である事を用いた交渉術で、ハヤヒデ、ブライアンの実家の経営する酒屋への資金援助を確約させた。だが、既にブライアンは勘当を言い渡された後であり、一手遅かった。そのため、ゴルシはのび太に『空いてる部屋をブライアンに提供してくれ』と頼みこんでいたのだ。

 

「お前ほどのウマ娘に日雇い労働はされらんねぇし、野良レースなんて出たら、それこそ問題だ」

 

「レースで得た肩書なんぞ、私にはどうでもいいんだがな……」

 

「そういう次元じゃねぇよ。と、言うわけで、親父さんの気も、お前がまた勝ち続ければ、コロッと変わるだろう。それまでの仮住まいは必要だぜ?ましてや、お前はそう遠くないうちに高等部を卒業する立場だぜ?」

 

「うっ……!」

 

当たり前だが、年長のウマ娘達は直に20代を迎える年齢である。その中で比較的に若めの世代のブライアンでも、高等部の卒業が見えてきている年頃。勘当され、レース以外の収入がない状態のブライアンとしては、生活に困る状態だ。

 

「かといって、仲間内でカンパする手はカタブツのエアグルーヴが許さねぇだろ?だから、あたしとテイオーがトレーナー代わりになってやる。住まいはのび太んちの空いてる部屋を借りればいい」

 

「あ、今回の事はちゃんと報奨出すってさ」

 

「こっちから無理強いさせた割に、そこはちゃんとするんだな」

 

「あなたほどの大物だと、顔出しで喧嘩もできないでしょ?プリキュアの姿なら、ある程度は言い訳も立つしね」

 

「プリキュアも賛否両論のようだが……」

 

「僕たちの商売柄、戦いは避けられないさ。ボクたちは『アニメとよく似た、別の存在』なんだ。アニメとは違った選択くらい取って、当たり前さ。それに、普通に戦ったら、日本の警察がお目溢ししてくれなきゃ、普通に法律違反になって、ブタ箱行きになっちゃうんだしさ」

 

「日本の警察は融通も効かせられんのか?」

 

「ヒーロー華やかりし頃は、現場判断で柔軟な対応をしてたらしいんだけど、その時代を知らない世代が指揮権を握ったからなぁ。それで、仮面ライダー達の過去の戦闘行為の是非まで無理に議論しだして、収集がつかない有様」

 

「それで、業を煮やした自衛隊が動いたのか」

 

「うん。まぁ、何人かが現役の士官なのも効いたけどね」

 

日本警察のヒーロー/ヒロインの法的取り扱いの議論が内部抗争を呼び、とても表に出せないほどの争いになってしまったのは周知の事実だが。ヒーロー達はそれを上手く利用して立ち回り、ヒーローユニオンの設立に至った。プリキュア達は公的機関に属する者が数人いたため、それに準ずる扱いを他のメンバーに当てはめたのが実際のところ。

 

「そもそもが自分の世界の住民でもないし、かといって、ドリームの転職志望を一人の官僚のエゴで潰した事実は覆しようがない。同時に、多くの扶桑軍人の転職活動に悪影響が出まくったのも事実。その結果が彼女のスピード出世さ」

 

「転職を潰した詫び代わりということか」

 

「扶桑の社会不安を煽った侘びでもあるね。お上……扶桑軍で『陛下』を指す隠語だけど……のお墨付きを得てた彼女がだめなら、自分たちはどうなるんだって、転職志望の軍人が大騒ぎしたんだ。日本政府も顔面蒼白の事態だよ。対応を間違えれば、自分たちが扶桑に攻められるからね。超近代化がされた戦艦大和と武蔵の二隻は、日本の海自の主力を数十分で全滅させられるだけの戦力がある事は知ってるし」

 

日本政府が第一に恐れるのは、扶桑連合艦隊との衝突である。史実よりも強力無比な艦艇が揃う上、近代化度合いで海自を数世代は離している戦艦群は衝撃であった。史実より強大な艦砲を持つのに、自衛隊を数世代は離すほどの電子装備も持つ。その戦闘システムを完備するのは戦艦部隊と小数の空母のみであったが、日本はそれを実態以上に恐れたのだ。

 

「日本政府は変に的確だな」

 

「自衛隊の予算削減の大義名分にされるからな。『第二次大戦の戦艦に、大金を費やして整備した近代艦がボコボコにのされる』なんて。漫画の中でしかできねぇよ。艦砲をミサイルで止めるなんてマネ。一発が億単位のミサイルと砲弾じゃ、割に合わねぇよ。それに迎撃ミスったら、ジ・エンド。轟沈だしな」

 

21世紀型艦艇は砲弾への備えという意味合いが強い『直接防護』はほとんどされていない。それ故に、20世紀型の有視界戦闘に弱い。特に頼みの電子装備が通じない場合は戦後の戦闘艦艇は『良くて巡洋艦』にすぎない。だが、戦艦は至近弾だけで『近代艦の電子装備をメチャクチャに壊せる爆風が起こせる』し、直撃すれば、イージス艦も一発で轟沈してしまう。扶桑の艦艇は『更に別世界の超テクノロジーで改修されている』事も通告されていたため、日本政府はそれを(扶桑の思惑通りに)過大評価したわけだが、扶桑の新型戦艦が『普通の常識の戦艦より遥かに優れた兵器』なのは揺るがない事実である。

 

「しかも、旗艦級は宇宙戦艦ヤマトの時代の戦闘システムを持ってんだぞ?21世紀のシステムと比較になるわきゃねー。何光年も先の目標を正確に撃てるからな」

 

「確かに。それと同じものがあるのか?」

 

「うん。敵味方関係なしに。宇宙戦艦の戦闘システム自体、ヤマトが生まれる前に完成の域に達してたからね」

 

宇宙戦艦の戦闘システムは『内戦』続きの地球で洗練されつづけたものが最も優れており、ガミラス帝国艦も性能差を埋められた後はフリゲート艦にも負ける『三下扱い』に成り下がった艦級が多く、それがガルマン・ガミラス時代の新造艦製造ラッシュに繋がったわけである。

 

「だから、やり合うときは地力の差が効く。ま、こっちは大和がベースなんだ。パスタを茹でるしか能のない、イタ公の三下とはわけが違うよ」

 

艦娘・リットリオが聞けば泣きそうな評価だが、史実で同型艦のローマが誘導爆弾で瞬殺されているリットリオ級と、1945年当時に世界最大最強の海軍の空母艦載機の反復攻撃を受けても、最大で半日近くも耐え抜くほどの防御力を見せた大和型では、天と地ほどの評価の差がある。『造船技術が遅れていた』とされる日本海軍だが、その知識の粋を結集した大和型は当初の設計思想の達成は成し得た。従って、キュアハートがインペロを三下と見なすのは当然の流れであった。部分的には一流海軍国も唸る面はあるが、1940年代のイタリア王国の工業力の限界も露呈する存在がインペロなのだ。廻天も大和がベースだが、ネガをできるだけ潰していることが設計原本の時点で明らかになっており、ラ號の設計は(示威効果を狙った艦首デザインを除き)超大和を目指した事がわかる。乾パンやチリコンカンを口にしつつ、こうした会話を続ける一同の上をドダイ付きのMSの一団が通過していく。

 

「マラサイが指揮官機のハイザック編隊か。お決まりの定期便だね」

 

「敵もMSでハラスメントか」

 

「敵は残党だから、爆撃機をあんま持ってないからね。それに、ドイツ軍の急降下爆撃機は戦争中の時点で型落ちだしね」

 

「まぁ、当然だな」

 

司令部があると思われる付近の定期爆撃を命じられた敵のMS部隊がドダイ付きで飛行する。それを迎え撃つために飛来する、SFS付きの『ジェガン』。SFS(サブフライトシステム)の型は敵味方で同じ。MSの性能で連合軍は優位に立っている。

 

「ハイザックとジェガン。どっちも型落ちだが……」

 

ジェガンのほうが遥かに新しいが、型落ちという意味では似たようなもの。戦場で求められるのは最新式の機械ばかりではないのだと、共に型落ちな両機種の空中戦は物語っていた。

 

 

 

 

 

 

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