ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第四百六十七話「Y委員会の動きと、遠征の状況2」

――キュアドリームは前世での不幸を結果的に『強さへの渇望』に昇華させた。戦いの連続により、基本世界及び、前世での自分自身を遥かに凌ぐ強さを手にした。その渇望がブライアンの魂とドリームの肉体とのマッチングの良さをもたらしたわけだ。エターニティドリーム形態は柔和な印象のシャイニングドリームからは若干であるが、離れている。コスチュームが白金になり、更に滑らかな翼を持つ。オーラはスパークを伴う攻撃的な側面の発露を示しており、そのポテンシャルは黄金聖闘士級に到達している。(プリキュアとしての)現役時代の敵である『エターナル』はもはや敵ではなかった――

 

 

 

 

 

 

 

――騒動のせいで蚊帳の外であった『エターナル』が残った総力を挙げて侵攻してきたが、それは彼らの死を意味する行為であった。複数の仮面ライダーや、(プリキュアとは別の)異能を持つ者たちなどが待ち構えていたわけで、心情的に味方側に傾き、離反しかけていたブンビーを除いた、全ての人員は彼らの敵ではなかった――

 

「悪いが、あんたらを相手しているほど、私たちは暇じゃないんだ。せめてもの慈悲だ。涅槃に行かせてやる」

 

「貴様……この世界のプリキュアではないな?」

 

「そうだ。とはいえ、御託を垂れる気はない」

 

「では、その大口に見合った力を見せてもらおうか」

 

エターナルの館長は痺れを切らしたか、自ら出陣。気配の違いからか、目の前のドリームがこの世界の住人ではないことを悟っているようだ。

 

「いいだろう」

 

「ぬ?」

 

「受けろ!!ゴッドサンダー!!」

 

ゴッドサンダー。ゴッドマジンガーが持つ『サンダーブレークの広域放射発展型』である。それを放ち、館長が召喚する『ホシイナー』の集団を一掃する。更に館長自身にも大ダメージを与える。残った幹部と強化ホシイナーもライダーたちの力には及ばず、消化作業的に次々と倒されていく。

 

「…!?」

 

「本来なら、プリキュア5の全員でアンタを倒すんだろうが……あいにく、そんなことをしていられる余裕はこちらにはない」

 

「ほう」

 

「行くぞっ!」

 

エターニティドリーム(ブライアン)は館長を攻め立てていく。如何に館長といえど、光を超えるレベルの速さには対応出来ず、軌跡を目で追うことも出来ず、ダメージを蓄積してゆく。

 

「はぁっ!!」

 

ブライアンはドリームの持つ『空中元素固定能力』により、クリスタルフルーレを分解、再構築。剣ではなく、ブルースカイ色のスピアとする。そして、それを以て突撃。青い風となりて、スピアを館長の胸に勢い良く突き刺した。

 

「馬鹿な……私が……気配すら……!?」

 

「トドメだ。あの世で自分の行いを悔いろ!!」

 

ブライアンはエターニティドリームが持つ『草薙流古武術の奥義』を以て、館長を消し去る。その名も。

 

「伍百伍拾伍式・神威!!」

 

本来は拳を地面に打ち付け、巨大な爆炎を噴出させる技だが、この時は館長をスピアで串刺しにした上で地面に叩きつけつつ発動させた。爆炎があがった後に『青い炎』が館長の全てを焼き払っていった。トドメに『千百弐拾七式・都牟刈』も組み合わせたらしい。

 

「……言ったろう?暇じゃないと」

 

草薙流古武術の概要を多少の説明で理解したのか、ブライアンは(元々、炎属性の『領域』を持っていたためか)使いこなすという天才ぶりを見せた。レースでの諸感覚を強化する作用を持つ『領域』だが、戦闘にも応用が効くため、ブライアンは連続で大技をかけ、エターナルの館長を粉微塵にしてのけた。元々、ある程度の武道の心得はあったので、門外漢というわけではない。(むしろ、格闘の心得がそれまで全くないのに、二年間の経験で歴代随一の戦闘能力を得たのぞみのほうが『戦闘の天才』であると言えるが)

 

 

「さて、この暗雲を払うか」

 

ブライアンは暗雲を散らす目的で、ストナーサンシャインを空中に放つ。わざわざ、そういう目的にキングストーンフラッシュを頼む必要はないからだ。そして、その閃光を合図に、残ったエターナルの構成員を仮面ライダーたちが各々の必殺技で一斉に倒す。

 

「お疲れ様です」

 

「うむ」

 

既に内通していたブンビーを除く全員はこの時に冥土へ送られ、エターナルは文字通りに崩壊。館長が集めていたモノも全て解放された。キュアローズガーデンは図らずも救われた(エターナルの手からは)わけだ。だが、エターナルを滅ぼしても、組織の興味を引いてしまった事には変わりないので、この世界に平和が来るわけではない。

 

「アンタはこの場を離れろ。それと、悪事から足を洗うんだな」

 

「君はドリームの姿をしているが、別人だね?」

 

「故あって、こいつの体を借りているんでな。最も、アンタの知るキュアドリームとも別のドリームからだが」

 

地上に下り、ブンビーに忠告するブライアン。エターニティ形態は『イレギュラーな形態』だが、シャイニング形態の面影が残るので、ドリームキュアグレースよりも『キュアドリーム単体のパワーアップ』である事は判別できる。

 

「君はなぜ、キュアドリームの体を?」

 

「顔出しで戦うには不味い商売……と言っても、陸上競技の類だが……に身を置いているんでな。その関係で借りた。入れ替えロープという奴を使ってな」

 

「ドラえもんに世話になってるのかね?」

 

「そうだ。居候している以上、主に恩返しをせねばならんが、スポーツ選手が顔出しで戦闘行為は不味いだろう?」

 

「過去の戦争で例がないわけではないがね」

 

ブンビーはドラえもんの存在を知っているようだった。ナイトメアとエターナルに属する時は多次元世界を行き交っていたからだろう。

 

「この国じゃ、そういう事はタブーだろう?戦後は。その関係で、体を借りた」

 

「いいのかね?思いっきり、プリキュアのタブーを犯していると思うが?」

 

「プリキュアの不文律的なものなら、そうだな。だが、敵が敵だからな。ナチ相手には、不文律など気にしてはいられん」

 

「ナチス・ドイツなら、仕方ないか…」

 

ブンビーの耳にも、ナチス・ドイツの悪名は轟いているようである。そして、仮面ライダーと怪人を産みし存在でもある事から、ナイトメアやエターナルとも過去に敵対関係にあったらしい事がわかる。

 

「彼らはソ連邦の独裁者よりはマシだが、それでも残虐非道だからね。君らの国はよく手を組んだね?」

 

「ドイツびいきが陸軍にごちゃまんいたし、うまく乗せられたんだろう。実態は『利用されただけ』だしな」

 

日本がカールスラントに冷酷であるのは、ナチス・ドイツにまんまと乗せられた挙句の果てに、『弾除けに利用されていた』事が判明した経緯によるものだという事でもある。日独伊三国同盟の実態も判明しているので、扶桑がカールスラントに惹かれつつあるのを強引に潰したのである。『ドイツと結んで利益を受けた国はない』という歴史を使って。もっとも、国土奪還のために全てを費やしてきたカールスラントにはたまったものではなく、同位国でさえ冷酷な態度であったため、クーデターの失敗後は見るも無惨な有様である。

 

「君の仲間に伝え給え。カールスラントの国家は立ち直れるかどうか……」

 

「それは連中が一番よくわかってるだろうさ。以前のようには戻れなくとも、戦後の西ドイツくらいにはなれるだろう。1980年代くらいまでかかるだろうがな」

 

ナリタブライアンも、カールスラントの目指すべき姿は『戦後の西ドイツ』であることは漠然と理解していたようである。魔女の世界では『ポーランドがそもそも成立したことがない』ため、史実通りにポーランド国家を魔女の世界に作るのは無理であった。(怪異の存在から、『大国の庇護下にいたほうが安全』とする認識がある。それでも滅んだ李氏朝鮮の例がある)その兼ね合いもあり、カールスラントの再建は(地政学的な都合で)認められ、後の再建完了時に『カールスラント=オーストリア連合帝国』という新たな国号が定められ、以後は『史実西ドイツとドイツ第二帝政のキメラ国家』という体裁で欧州に返り咲くのだ。(ノイエ・カールスラントの地は結局、安全保障の都合で維持された)

 

「君の仲間の国はどうするのかね?」

 

「その代わりを求められるのは目に見えているからな。軍縮は戦間期に行うしかないだろう。日本とそれで衝突するだろうよ」

 

ブライアンの予測通り、扶桑皇国と日本国は戦間期に入るたびに、軍縮の議論で揉める事が恒例行事となる。魔女の世代交代が太平洋戦争以降に緩やかになる原因でもある。多くの秘伝が世に埋もれる事態も既に発生しつつあったため、黄金世代の子世代が反軍的な思想である事が多かったため、完全な黄金世代からの世代交代は、孫世代が現れる1990年代末~2000年代にまで持ち越されるのだ。

 

「半世紀の冷戦を史実の米ソの代わりに演ずる。因果な話だよ」

 

「誰かがそれをしないと、魔女の世界は今後は平和を保てんだろうさ。太平洋戦争が終われば、ブリタニアは衰退するだろうし、カールスラントという軍事面の要も無くなったからな」

 

それは素人目にもわかることであった。太平洋戦争で日本連邦が栄えれば、長年の戦時財政で疲弊し、ダイ・アナザー・デイで軍事大国としての権威も陰りを見せたブリタニア連邦(グローリアスウィッチーズの即時後送は皮肉なことに、その象徴とされた)は相対的な大国ではあり続けたが、権威については既に陰りを見せている。(グローリアスウィッチーズはダイ・アナザー・デイを期に、解散すら検討されるに至る。精鋭との触れ込みだったのに、活躍どころか、64Fから『物見遊山に何ができる』と、元から宛にされていなかった事が伝わったからだ)

 

「それじゃ、私はこれで。連中との戦い、がんばってくれよ」

 

「戦いが激しくなるから、しばらくは街を離れてろよ」

 

「そのつもりさ」

 

「アンタのことは伝えとく」

 

ブンビーは別れを告げた後、東京に上京。『ブンビーカンパニー』という零細企業を立ち上げる。その後はプリキュア5と『いい付き合い』をしていき、実質的な保護者のようなポジションとなるのだ。また、ナイトメア時代に扶桑に行った事があるような口ぶりだった。

 

「さて、これであとは組織だけか」

 

「これから戦いは激しくなる。君も気を引き締めてくれ」

 

「ああ」

 

V3にそう返すブライアン。戦いが激しくなる予感はしているからだ。フェイトにティアナの『覚醒』が伝えられ、黒江が記憶していた『座標』にある次元世界に赴いたのは、それから間もなくの事であった。

 

 

 

 

 

 

 

――ティアナは時空管理局への扶桑軍の気づかいにより、『鴇羽舞衣』としての軍籍を獲得。以後は圭子同様に『二つの軍籍を使いこなす』事になった。スバルのように『時空管理局で行き場がなくなったので、管理局員としての籍は形だけ』であるのと対照的に、時空管理局の部局に復帰扱いであるが、執務官の職が廃される寸前に執務官に任ぜられたので、彼女が『最後の執務官』である。彼女の任官を最後に、執務官職が廃され、司法部門と武装部門の分離(司法部門の独立)がなされたため、執務官としての権限を奮える最後の人間となった。異世界に転移することで、当初の志望を叶えた形である。また、ティアナとしては空戦の素質はないとされていたが、マイスター乙HIMEに戻ったことで『一級の空戦センス』が目覚めた(乙HIMEは空戦が多かったため)。それをより完全にするため、仮面ライダー達に鍛えてもらう事になり、この日はXライダーに鍛えられていた――

 

 

「ライドル風車火炎返し!!」

 

ライドルスティックを猛烈な勢いで回転させ、ティアナの放つ炎を跳ね返すXライダー。自分の放った炎を跳ね返され、動揺するティアナ。

 

「ライドルロングポール!!」

 

その隙を見逃さないXライダーはライドルを『ロングポール』形態にし、凄まじい勢いの突きを放ち、ティアナを吹き飛ばす。いくらマイスターローブ(滅多なことでは損傷しないが、ある一定以上の力が加わると、損傷する)を纏っていても、瞬時に何mもライドルが伸び、その直撃を加えられたため、脇腹に痛みが走り、すぐには立ち上がれなくなる。

 

「ぐ……痛ッ……!コーラルやパールのローブじゃ、今ので致命傷だったかも……。でも、マイスターローブでこれ…!?どこが深海改造用のツールなのよ!」

 

乙HIMEの中でも、第一線で働く『マイスター乙HIME』は『その世界の一国の安全保障を担う存在』とされるほどの戦力を誇る。『貴族同士の決闘に近い形で全面戦争を防ぎ、世界の秩序を保つ』という秩序維持システムを担う存在であるので、その思想は『ガンダムファイト』とよく似ている。マイスター乙HIMEの中でも、力の根源になるナノマテリアルの力には上下があり、例えば、その世界最高のナノマテリアル『蒼天の青玉』は歴代最高の乙HIME『レナ・セイヤーズ』のポテンシャルを存分に引き出せたが、それより劣る『孤高の紅翡翠』は彼女のポテンシャルに追従できずに失われたという。なお、ティアナが前世に持ち、今まさに(擬似的に再現しているものだが)纏っているのは『炎綬の紅玉』と呼ばれしマイスターローブで、かなり高位のマイスターローブである。その防御力を超えてくるあたり、伊達に『ライドル』が仮面ライダーの使うツールではないことがわかる。

 

「ライドローブ!!」

 

「わ、わわっ!?」

 

今度はライドローブに捕らえられ、そのまま、クルーザー(Xライダーの愛車。1500馬力を誇る)に乗ったXライダーに引きずり回される。

 

「わぁぁ――!?あ、あたしは西部劇……おわーーーー!?」

 

西部劇でよく見る『ならず者の乗る馬に引きずられる、哀れな一般人』と同じ構図で超高性能のオートバイに引きずり回されるティアナ。ライドロープは包丁やナイフを寄せ付けない強度を誇る上、ガッチリとティアナを簀巻きにしており、ティアナが振りほどこうとしても、微動だにしない。

 

「正義の味方のすることじゃないですって~!」

 

と、数キロほど引きずられる。

 

「俺たちはまだ優しいほうさ。ウルトラセブンはジープで体当たりしてきたそうだし」

 

「……」

 

「真冬の滝で滝行させるなんて真似もしたそうだしな、彼」

 

それらはウルトラセブン(モロボシ・ダン)がウルトラマンレオ(おゝとりゲン)に課したことで有名な特訓である。『特訓でホイホイ強くなれるわけではない』というのが時空管理局での教導だったが、扶桑/日本では伝統的に『特訓あるのみ』であった。その違いは世界と組織の違いだけでは片付かない。

 

「ウルトラセブンに会った事が?」

 

「俺達の現役時代、彼らの活躍した時期と被っていたからな。ただ、会ったのは数回しかないが」

 

「イタタ……まさか、バイクに引きずられるなんて」

 

「俺達はそういう事態もあったからな。想定できる事は体験しておいたほうがいい」

 

「と、言うことはウルトラ怪獣がいたんですか?」

 

「1950年代から1980年に入るまでのほぼ30年間。俺たちはその最後の10年が現役期間だったからな。ただ、俺たちの世界にウルトラ怪獣が本当にいたのかはわからんままだ」

 

 

Xライダーは『ウルトラマン達と会ったことがある』らしいことを話す。だが、ウルトラ怪獣が自分達の世界に本当にいたのかは全く不明のままであるといい、23世紀に入ってからの調査でも判明はしなかったと述べる。(だが、複数の次元にまたがって存在しているという『怪獣墓場』が地球からそう遠くない空域にあるらしい事は判明したという)

 

「あの世界の技術でも、ですか」

 

「宇宙戦争の連続で、地表が何度も焼き払われたからな。日本はジオフロントの研究を21世紀から続けていたから、世界遺産などは都市ごと地下深くに避難させられたが、他の国の大半は遺跡などが失われた。ドラえもんの協力で復活できたが、今は厳重に保護されている」

 

ジオフロント研究が盛んだった日本連邦は都市単位で地下に避難し、遊星爆弾などの難を逃れたが、他国はそうはいかず、遺跡などを喪失。ドラえもんの協力で遺跡などを復元したが、スペースノイドからは『国家予算の無駄遣い』と攻撃されており、それがネオ・ジオンが再興を繰り返せる理由の一つであった。しかし、人類共通の宝を復活させる事に異論を挟む者はスペースノイドでも少数派であり、ジオン派は結局、『本当の異星人』の出現で政治的な立場もアイデンティティも揺らぐ事態となり、結局はデザリアム戦役でタウ・リンに利用され、ネオ・ジオンの終焉を招いた。また、スペースノイド達によるテロを防ぐため、23世紀時点での各世界遺産は『ガンダムファイトでも壊してはいけない』という風にルールが改定されたという。

 

「ウルトラマンも、本当に俺達の世界の住民かどうかはわからんままだった。彼らは多次元宇宙の概念を俺達に教えてくれたが…」

 

M78星雲にいると思われるウルトラ族だが、次元を超えられると言っており、本当に『仮面ライダーらのいる地球』のある宇宙のM78星雲にいたのかは定かではない。

 

「でも、地下にこんな広い空間を作れるなんて」

 

「その気になれば、北海道一個分の地下室にできるそうだ。壁紙秘密基地も増やしたから、ラ級の鹵獲や、司令部のバックアップのためだろう」

 

「三号に襲われて、かなり危なかったですからね」

 

「あれで司令部機能の分散が認められたが、パットン司令官は二次大戦中の人間だから、それを嫌がってたんだ。」

 

「あの人はコテコテの前線指揮タイプですから。騎兵出身だし」

 

「あれほどの将軍は代わりがいないからね。史実の事故死は怖がっていたがな。日本は『いくらでも代わりはいるぞ!』と、軍を脅しているが、将軍や提督クラスの軍人は実際には換えが効かんよ」

 

Xライダーの言うように、将軍や提督は『換えが効きにくい』。日本軍の実例(山本五十六や山口多聞の戦死など)がそれを示している。それで戦局が余計に悪化した例もあるからだ。

 

「でも、あたしに殆ど手出しをさせないなんて」

 

「経験が違うんだ。気にする事はない。多少強引だが、君の耐久力を試させてもらった」

 

「簀巻きにして、西部劇の悪党がやりそうな事して、ですか?」

 

 

「案ずるより産むが易しという言葉があるだろう?それに、君の能力の確認ソースは君たちの記憶と、我々の世界でのアニメの映像。傍から見れば滑稽だろうが、本当にそうなのだから、なんとも言えん」

 

「所々、薄ぼんやりなんですよ」

 

「時間経過で思い出すさ。それよりも、問題はこれからだ」

 

「敵が海底軍艦を使うと?」

 

「あれが出てきたら、否応なしに自衛隊が様子を確認しに来るはずだ。全長300m級の飛行船などないからな。この世界の空自が手を出したら終わりだ。空自の戦力では、インペロには傷もつけられん。対38cm砲防御の重装甲を破れるものは戦後世界にはない。戦艦の重要部を貫くようにはできていないからな、戦後のミサイルは」

 

戦後のミサイル兵器は『戦前に存在した重装甲の軍艦』を無力化はできても、破壊はできない。もし、敵が海底軍艦での無差別攻撃に出れば、空自は為す術がない。

 

「つまり、この世界のあれこれが探る前に?」

 

「決着をつける。海底軍艦同士の戦闘でね。既に砲弾は運び込んでいる。あとは細かい艤装を進めるだけだ」

 

「廻天……51cm砲にした改良型ですよね」

 

「ラ號の四連装46cm砲は問題が多かったからな。口径を上げて、信頼性を総合的に上げたそうだ。四連装砲塔はアレだからね」

 

四連装砲塔は51cm砲が造れなかった日本軍の妥協策であるので、信頼性に問題があった。それを扶桑は准同型艦を造る時に設計図通りに『51cm砲』を搭載し、相応の防御力を与えた。インペロが38cm砲と、当時の標準より劣る程度(当時の大国は41cm砲が標準化していたので、英・伊の艦は火力に劣る)であるのに、圧倒的に優位だ。

 

「イタリアは38cmを超える口径の砲は造れなかった。それを考えると、最後はドリルによる衝角戦になるだろうな」

 

「近代以前にあった、ラムでの体当たりですか?」

 

「そうだ。日露戦争までの時期に行われていた古典的戦法だ。この場合はドリルを使うがな」

 

「敵も、海底軍艦の運用データを集めたいのだろう。だから、噛ませ犬的なポジションであるイタリアの戦艦までも使うのだろうな」

 

「イタリアが噛ませ犬ですか?」

 

「造艦技術的に劣っていたから、仕方あるまい。日本やアメリカのように華々しい戦とも無縁だ。レパントの海戦からこっち、海戦で勝った記録もないしな」

 

ティアナにそう明言するXライダー。仕方ないが、近代イタリアは造艦技術では『列強の下の方』に分類される。フリッツX爆弾の攻撃で最高の戦艦を喪失するなど、失態の方が有名なので、ダイ・アナザー・デイでも『ロマーニャは門番だけしていろ』と言わんばかりの扱いであった。Xライダーからも三下と見なされているため、イタリア海軍のヘタレっぷりは仮面ライダーらの間でも知れ渡っているようだ。

 

「有り体に言えば前座だが、この世界の自衛隊を壊滅させられるだけの戦力は持っている。それが海底軍艦だ」

 

海底軍艦は基本ベースとなった軍艦の強さで戦力評価が決まるため、最新最強の戦艦をベースとしたものが上位に君臨する。だが、下位のものでも、21世紀の空・海軍を容易に返り討ちにできる。ましてや、戦後世界の軍艦は『戦艦の艦砲を防ぐことは想定していない』のだから、太平洋戦争当時より攻撃力の優位性が高まっている。

 

「どんなに腐っても、戦艦って事ですか」

 

「そうだ。おまけに潜水できるから、潜水艦であっても逃げられん。それが知れれば、大事になる」

 

「内輪で処理すると?」

 

「そうだ。映像だけなら、コンピュータグラフィックとかの言い訳が効くからな」

 

海底軍艦の撃沈が最終目標であるが、外部に漏れないよう、M粒子で各種電子機器の機能を低下させておく方策を立てるという方針で決まっており、海底軍艦は撃沈後に回収する事も決められていると伝えた。

 

「漏れちゃいけないものって事ですね」

 

「この世界には存在しないものだからな、海底軍艦は。我々の世界と違ってね」

 

そこでティアナは休憩として、Xライダーから食事を受け取る。世間一般では軽食の範疇に入るものだが、軍隊では贅沢に入る『ハンバーガー』だ。

 

「ハンバーガーかぁ。ミッドチルダでもありましたよ。地球からの移民が伝えたみたいで」

 

「あそこは地球からの漂流者も多かったようだからね。それを考えれば、ミッドチルダが地球の文化圏に組み込まれるのは当然だな」

 

「地球人が作ったっぽいですからねぇ、ミッドチルダもベルカも。でも、機動六課じゃ、あまり食べる機会なかったし、扶桑に流れ着いたら、アフリカ勤務でしたから、肉料理は久しぶりですよ」

 

「お武ちゃんは、肉料理は月に一回程度と決めているようだからね。時代的に贅沢品と考えているようだ。コンビーフが余ってると言っているんだがね」

 

「隊長は果物と珈琲好きだからなぁ」

 

武子の怪我からの回復がいささか遅れた理由は『回復期に、肉料理を贅沢と捉えているので、あまり食べなかった』事も関係している。その点は『古い時代の北海道人の思考回路だなぁ』と周囲に評されている。また、ティアナはアフリカでの勤務中、精神的に食事を楽しむ余裕がなかったらしい事も判明した。

 

「ところで、なのはさんはどうですか?」

 

「君らがいなくなった後、やらかしてな。それで呑んべえになってしまったんで、流竜馬君の道場に送り込む算段だそうだ」

 

「そうですか……。やっぱ、やらかすんですね」

 

「なんとかしようと、事前に周りが方策を練ったが、それで史実より迷惑がかかる事態になった。それで、当人もエリートコースから転落したそうだ」

 

「うーん……」

 

「なのはちゃんが立ち直れるかは今後次第だろう」

 

ティアナはなのはの転落ぶりに気まずい顔を見せる。自分の失踪がメンタルに影響を与えたのは容易に考えられるからだ。とはいえ、エリートから転落したおかげで、衆目の注目を浴びなくなる分、動きやすくなるのだが。

 

「それと、今、なのはちゃんを模して、闇の書が生んだコピー体の行方を探している。どうやら、彼女がキュアアムールになったようでな」

 

「えーーーー!?」

 

「不確定な情報しかなくて、こちらも手が無くてな。外見年齢は18歳相当くらいに成長しているはずだ。闇の書の生んだ存在なら、外見年齢の成長は幾分か遅いはずだからな」

 

Xライダーは『八神はやての要請で、シュテル・ザ・デストラクターの行方を探している』ことを伝える。その事から、メカトピア戦争からの帰還直後に『その出来事』があり、そこから更に歴史が分岐したのが『自分達の知る、なのはの辿った道』だと〆る。そして、なのはやシュテルが『ハルバードを用いる事がある』という情報から、一つの憶測を口にする。

 

「スバルが言ってたんですけど、なのはさん……プライベートだと、歳をサバ読む事があるって。思い出したんですけど、前世で……そういうことしてた人がいたんです。まだ、薄ぼんやりとしか思い出せてないんですけど……武器もハルバードでした」

 

彼女が記憶している、その人物とは?なのはの前世らしい事がわかるが……。

 

 

 

 

 

――プリキュア5の世界の悪の組織『エターナル』が何人かの仮面ライダー、キュアドリームの役目を演ずるナリタブライアンに倒されたことで、ひとまずの区切りをつけた連合軍だが、ティアナ・ランスターの覚醒で新たな情報が多数もたらされ、海底軍艦『インペロ号』の存在により、早期決着を焦る連合軍の上層部。ススキヶ原に現れた『ハカイダー』…。様々な出来事が交錯する中、組織が用意した海底軍艦が不気味に胎動を始める……――

 

 

 

 

 

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