ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第四百七十話「Y委員会の動きと、遠征の状況 4」

 

 

――扶桑は歴史が日本と違うため、日本ほどハードな勤務はなかったのだが、日本側が『月月火水木金金!!』(太平洋戦争後も残る悪癖)状態であり、64Fはまさにその状態に追い込まれている。日本の左派の論調は『有事に休みはないんだろ!』と言わんばかりの喧嘩腰であり、戦中の特高警察と大して変わらない有様で、扶桑軍の疲労度をアップさせるだけであった。64Fは戦場の火消し役として用いられているため、常に一騎当千を求められる。それは彼女らの負担を大きくするのみであった――

 

 

 

 

 

 

――扶桑の沖縄は日本の左派の反軍・反戦運動が特に強く展開されたが、不意に現れた怪異の無差別攻撃により、運動そのものが瓦解。運動を行った側が扶桑に賠償金を一銭たりとも払うことはなかったため、沖縄の対怪異の安全は脅かされたまま。結局、MATが沖縄の安全の維持を担うことになり、軍は外縁部に空母をプラットフォーム化させて駐屯することで釣り合いを取らせたが、振興金の宛が外れることになったため、県議会で問題となった。かくして、日本の左派は扶桑で拠点を築くことに失敗。以後はリベリオンへの情報提供などの利敵行為を働くことで、扶桑皇国体制の転覆を目論んでいく。こうして、怪異は時たま、日本人にも精神的圧迫をもたらしつつ、存在感を示す。怪異も地味に進化してきたため、『デュアルコア持ち』、『超高速型』が現れる様になり、北方戦線は戦力の増強を催促。連合軍は太平洋戦線以外に戦力を割く事は出来ないため、『六神合体ゴッドマーズ』にその掃討を依頼。明神タケル(マーズ)は要請を了承し、怪異の掃討を行うことになった。1948年のことだ。当時、既に北方戦線に人員を割く余裕がなかったからである。それから一年後には『巣にいる大型怪異』がゴッドマーズに倒され、北方戦線は再び平穏に戻った。このような事例により、怪異もけして軽視出来ない事が判明したわけだが、怪異はこの頃には以前ほどの脅威とは見做されておらず、魔女の存在価値の証明のための獲物と見做されるに至った。しかし、凡百の魔女の手に負える怪異では無くなり始めていたのも事実なので、新式ストライカーの配備は切望されていた――

 

 

 

――遠征軍――

 

「なるほど。連中の猛攻であんたらは疲労困憊になってるわけか」

 

「そうなんだ。おまけに、仮面ライダー三号の攻撃で、あたしは怪我しちゃったし、仲間の子はベットで寝込んでる有様」

 

「三号とやらだが、なぜそこまで強大なパワーを得ている?」

 

「多分、組織がその時点の最高を作ろうとした結果かもね。もう一つは組織の首領の器としての役目を持つって奴かな」

 

「器か…。霊的な話になってきたな」

 

「そもそも、別の星で生まれたサイボーグ戦士じゃないかって話だしねぇ、大首領」

 

組織は『地球に生命が宿った時期に飛来した宇宙のサイボーグ戦士が日本になるはずの地に拠点を築いていた』ことを始まりとし、ナチスを手足に仕上げ、戦後は『戦争や競走に負けた集団を取り込んでいく』手法で拡大していき、同時期に多数の『悪の組織』が興り、同時にヒーローたちがそれを倒していった時代があった。仮面ライダー達はその時代に生み出された存在である。

 

「仮面ライダーたち以外にも多くのヒーローがいたというが、その多くは1970~90年代の20年間で現れては消えていった。で、2000年代以降は……」

 

「三大ヒーローとあたしらだけ。あたしらは新参で、しかも、2000年代半ばからの登場だから、平成年間の半分とちょっとくらいで70人超えになった事になる。日本三大ヒーローは昭和年間の後期からいるから、あたしらなんて、青二才もいいところさ」

 

70年代から90年代前期までのヒーローの活躍華やかりし頃は、それこそ『百花繚乱』のヒーローたちが地球を守っていたが、その後は三大ヒーローの系譜にある者のみに絞られ、そこに女子代表でプリキュアが食い込んだ状況にある。

 

「あんた、ずいぶんぶっちゃけてるな」

 

「第二世代最強は自負してるけど、十年一昔ってゆーっしょ?それもあるさ。あたしらは『フレッシュ!』以降は一年交代だから、個々の印象も薄くなるからなぁ。メタ的にいうと、玩具も売上落ちてるんだって話聞いたし」

 

キュアハートは現役時代と異なり、逸見エリカとしての性格が強く出ているためか、現役時代の天真爛漫で明朗快活な印象とは異なる人物像である。逸見エリカとしては多くの挫折(二年連続の準優勝、西住みほへの強い劣等感と才能の差など)を経ているため、キュアハートとなっていても、ぶっちゃける事が多い。そこはキュアメロディになっていても、過去生の愚痴が多いシャーリーと似ていたりする。

 

「まー、プリキュアとしちゃ人気はあるほうだけど、学校に戻ったら、部活の次期部長をやらされるの確定だし。任期の一年でどうやって再建しろってんのよ…」

 

と、黒森峰女学園の次期隊長としての責務を負わされる事にネガティブなのは、逸見エリカとしての挫折の多さに起因している。戦車道は相田マナとしての成功経験と能力だけではカバーできない『集団競技』であるのも大きい。

 

「アンタは後輩が完成させることを前提にしての道筋をつければいいってことだろう?私達は基本的に個人競技だから、自己管理はするが、トレーナーがつく。私は知ってのとおり、成績不振でトレーナーが協会にクビにされたが……」

 

ブライアンはトレーナーが自分に置き手紙を残し、学園を去らざるを得なくなったことを『私のせいだ……』と悔やみ、自分を責めた。だが、闘争心の薄れたウマ娘は『肉体のフルポテンシャルを発揮できない』という、種としての弱点があり、ブライアンはそれに合致してしまい、致命傷は回避したものの、レースから距離を置く状態となっていた。

 

「だから、テイオーから話を聞いた時、藁にもすがる思いでな。それで野比氏の世話になったわけだ。今回のことも、レースに必要な闘争心を取り戻すために頼んだ。先輩たちもそうだが、変えたい運命の一つや二つくらいはあるんでな」

 

 

ブライアンはキュアドリームの体を借りているが、ブライアン本来の無頼ぶりを存分に見せている。声は当然ながら、キュアドリーム(夢原のぞみ)のものだが、スケバン的な凄みを伴う迫力がある。

 

「レースには復帰したんでしょ?」

 

「大阪杯の一回こっきりじゃ、親類のサニーブライアンが言われたように『フロック』って言われるのは目に見えているからな。GⅡやGⅢのレースをいくつか連勝してみせんと、世間は認めてくれん。ましてや、私はクラシック三冠を達成したウマ娘だからな。世間的に王者と見做され、それに見合う成績を求められ続けるのさ。引退まで……な」

 

ブライアンは次の『三冠が約束されし、二人の後輩』のことを意識せずにはいられないのか、親類のサニーブライアンの事もあるのか、大阪杯の勝利を喜べず、フロック(まぐれ)と言われかねないと逆に危惧を覚えており、GⅡやGⅢのレースで『全盛期と同様の着差で勝ってみせなければならない』という義務感すら抱くに至った。ブライアンは当時、年齢が『競技ウマ娘としての最盛期を終える頃』とされる目安の年齢に届きつつあり、世間的には大阪杯の勝利は『蝋燭が燃え尽きる前の閃光』と見做されていた。だが、ブライアンは肉体的には『全盛期』に差し戻せたが、肝心要の心が傷ついている状態であるため、闘争心を完全に甦らせるために、キュアドリームの仕事を代行する事を選んだのだ。

 

「私のわがままに彼女を付き合わせた以上、立場に見合った成果は出してみせるさ。それがたとえ、戦場であろうとも。種の祖である三女神のうち、バイアリータークには軍歴があるからな。ちゃんと記録に残っている」

 

ウマ娘という種がヒトに『種として認知された』際に、その祖とされた三人のウマ娘。競走馬の三大始祖の転生にして、近代以降のウマ娘の祖であろう存在。その一人『バイアリーターク』は一時の事だが、軍に在籍した時期がある(軍隊経験がある)。ブライアンはそれを知っていたのだろう。それに関連し、現代に残存する『三人にまつわるすべての記録』をもとに、『サトノ家』(サトノダイヤモンドとサトノクラウンなどの実家。コンピュータ事業などで財を成した資産家一族)がトレーナーのサポートAIを開発中だが、そのAIは『生前の彼女らでなければ、知るはずのない情報を持つ』など、プログラムの突然変異などでは説明がつかない挙動を見せているという。

 

「後輩に電子産業で財を成した一族の出の者(サトノダイヤモンドの事)がいてな。そいつに聞いた話で、裏も取れている。直にルドルフが高等部を出るから、トレーナーたちのサポートAIを学園が開発させているという」

 

「どうして?」

 

「ルドルフは七冠を誇った。後輩への面倒見も良かったが、年齢的に、そろそろ大学に進学するからな。姉貴は家を継がされるから、行けなさそうだが……」

 

ブライアンは姉が大学進学を諦めさせられると踏んでいたのだが、実際はブライアンのことで後悔している父親が妻に諭され、更にそれを聞いた資産家の大叔父が事業への資金援助を申し出た事から、ビワハヤヒデは無事にトレセン学園の大学部に進学するのだ。(ビワハヤヒデのこれまでの功績を鑑み、学園側も進学を促したため)

 

「トレーナー業は難関でな。旧帝大レベルの学力を持つ連中でも、そうそうなれるものじゃないし、協会の不興を買えば……最悪、転職しなけりゃならんという危うい立場の商売だ。だから、学園の理事長たちが協会の前の上層部に事後報告にしてまで、サポートAIを作らせていた。ルドルフが高等部を去れば、生半端なトレーナー達では、我の強い若造共の制御はままならないからな」

 

「そうそう、質のいい指導者は出ないものだし、時代が変われば……だしねぇ。そこはどこも同じか…」

 

スポーツの世界も日進月歩なため、指導者の思考が時代遅れになってしまう事はままある。黒森峰女学園戦車道部の場合、西住流への依存をまほの在籍時に強めてしまった結果、思考の柔軟性が失われたでくのぼうの集団が出来上がってしまい、プラウダ高校、大洗女子学園にそれぞれ敗退する結果に終わっている。また、非西住流時代のノウハウが失われた状態であるため、逸見エリカは必然的に『西住流に依存しない戦い方』を一から再構築せねばならない。黒森峰の理事会も先の大会での結果を受けて、責任のなすりつけあいになり、その要因を作ったであろう何人かの生徒が自主退学したというほど荒れていた。キュアハートがげんなりしているのは、逸見エリカとして待ち受ける苦難があまりに大きいからだろう。

 

「まだ、実戦で戦うほうが気が楽だよ。帰ったら、部活の連中を束めないとならないしさ。おまけに、学校の理事会からは注文つけられそうだし」

 

「実戦のほうが楽というのも、変な話だぞ」

 

と、ブライアンにツッコまれるキュアハート。とはいえ、ブライアンもブライアンで、レースよりも実戦のほうが楽な状況であったので、人のことは言えなかったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

――その頃、ドラえもんの世界での21世紀では、旧・学園都市の在籍経験者の消息を追う作業が国家規模で行われていた。なお、シャーリーの前世の一つである『麦野沈利』も学園都市にいたが、ドラえもんの世界では何らかの理由で死亡したか、行方不明であるらしく、ある時期から記録がないという。ただし、生死不明と扱われているのか、全国指名手配(暗部の一端を担い、彼女自身も平然と大量殺人も行ってきたので)がされたままである。シャーリーが麦野沈利の名残りと思われる『怖い口調』を用いても、麦野沈利の姿を取らない理由はそのためである。(『麦野沈利の姿なんて取れねぇよ!全国指名手配で、生死を問わない扱いになってんだぞ!!』とは、シャーリーの談)――

 

 

「スネ夫か?やはり、麦野沈利の消息は?」

 

「非合法も含めて探したが、ある時期に目撃されたのが最後だ。この世界では死んだかもしれん。シャーリーさんには姿を取るなと言ったか、のび太」

 

「ああ。キュアメロディか、紅月カレンの姿を取れと言っといた。ま、キュアメロディのほうが気が楽だってんで、最近はキュアメロディで通してる」

 

「だろうな」

 

青年のび太とスネ夫は遠征軍のバックアップをしつつ、政府の依頼を遂行していた。それが学園都市在籍経験者の消息の調査だ。麦野沈利については『死亡の可能性が大』と判定したようだ。御坂美琴については、中学卒業後に両親の意向で外国に移住させられたが、成人後は世界各地を巡る仕事についているという。(御坂美琴との連絡は取れている)。

 

「何らかの戦いが2010年代の半ばにあったと見るべきか?」

 

「たぶん。常盤台中学も2018年前後には閉校になっているし、学園都市のエリート校ってステイタスを失った卒業生達はその後に社会的なエリートで無くなった者も多い。能力もおいそれと使えないだろうからね」

 

「学園都市も無くなった後に残ったのは、高層ビル街の廃墟か。どうするんだ?」

 

「銀河連邦の主要な機能をバード星から移すそうだよ。バード星の警察内部が腐敗し始めてて、本部を地球に移して、不満分子を粛清したいそうな」

 

「日本政府は学園都市の痕跡を消したいのか?」

 

「そのようだ。アレイスター・クロウリーに利用されて、奥多摩を切り開いた後に残ったのが無機質なビル街とくれば…。そりゃ、更地にしたいけど、60年近くも費やして開発されてきたのを無にはできないだろ?戦争中の軍都でもあるまいし。だから、表向きは銀河連邦に提供する体裁で痕跡を消すそうだ」

 

「やれやれ。学園都市の兵器対策は僕たちに丸投げか?」

 

「あれらはスーパーロボットでないと始末できんからな。既に六割は解体したそうだが…」

 

「本当か?」

 

「偽装の可能性があるからなぁ。ブラックマーケットに相当数が出回ったと見るべきだぞ」

 

「厄介なことになったな」

 

のび太は嘆息する。

 

「幸い、銀河連邦から『機動刑事ジバンの復活が完全に成功した』と通達がデザリアム戦役の前にあったから、彼が協力してくれるそうだ」

 

「デザリアム戦役の前に覚醒めたと聞いていたが?」

 

「調整が続けられていたんだそうだ。なにせ、1980年代時点での技術とオーバーテクノロジーの組み合わせで構成されていたそうで」

 

機動刑事ジバンとは、1980年代の終わり(バブル時代)に生み出されたロボットポリスとされるが、実態は仮面ライダーに近いサイボーグである。高度化する犯罪に悩んだ日本警察の切り札となる事が期待されたが、(当時としても)倫理的にかなり危うい側面があったため、計画は中止されていた。だが、バイオロンに対抗すべく、殉職した刑事『田村直人』の遺体をベースに蘇生改造することで具現化した存在。現役時代は警視正の階級を持っており、復活後は更に昇進しているという。なお、彼が去った後に現れたヒーローである『特警ウインスペクター』のパワードスーツはジバンのサポートドロイドの人型ボディとして設計されていたものの外装パーツを転用する形で生まれているという。

 

「彼はどうしていたんだ?」

 

「1993年頃に機能を停止したそうで、発見した関係者の生き残りの手で眠りについていたそうだ。だが、ゴルゴムの登場の際に、その子孫の手で蘇らせられたらしい。その人達の薦めでバード星に行き、宇宙刑事ギャバンの手引きでボディの改修を行っていたそうだ」

 

「なるほど。それで、ジャンパーソンとの関係は?」

 

「基礎技術がジャンパーソンに使われた程度だな。正確には、その素体になった戦闘用ロボットだが」

 

「もしかして、日本警察が超凶悪犯罪に無関心になったのは?」

 

「ジャンパーソンの素体になったロボットの暴走事故が原因だろう。レスキューポリスの予算もそれ以降に減らされ始めたという記録がある。まぁ、ススキヶ原のこの有様に後悔しているようだが」

 

日本警察はススキヶ原の混沌とした有様に、自らの失策を認めざるを得なかった。ヒーロー/ヒロインに治安維持を依存せざるを得ない有り様は日本警察の上層部を大いに後悔させている。

 

「ダークやシャドウの残党がバダンに取り込まれたという話もある。ハカイダーが動いてるのがその証拠だ」

 

「キカイダー兄弟やイナズマンも動いてる。だが、日本警察がキナ臭い」

 

「なぜだ」

 

「プリキュアやヒーロー達に手柄を取られて、焦ってるんだろう。あれじゃ、未来世界からモビルドールでも買いかねん」

 

「どうするつもりだ?」

 

「正木警視監からの要請だ。いざという時は関わったメンバーを私人逮捕しても、構わんそうだ。モビルドールは倫理的にも不味い代物だからな」

 

スネ夫はそのことに触れる。日本警察はモビルドールやゴースト無人戦闘機の情報に魅力を感じる一方、特捜ロボジャンパーソンの出自の秘密に自らも関係していた過去から、『感情のないロボットで犯罪者を倒す』ことに傾倒してしまったといい、正木警視監は次第に中央から排斥された事、21世紀の不況の時代に『かつては杞憂と言われた出来事が頻発してしまった』ことにより、警察内部の抗争が激化。結局、昭和~平成初期までの寛容性の失われた警察はヒーロー/ヒロインの活動に寄与する事が何らできぬ状態に陥り、ススキヶ原自警団に解散命令も出せぬという醜態を晒している。そして、警察内部の妬みを利用されそうになっているのだと、スネ夫は伝える。

 

「組織がビルゴルディを呪術的な何かで蘇らせる可能性が出てきている」

 

「何、ジャンパーソンという正義のロボットが最後に戦ったっていう、あの悪のボスが?」

 

「バダンが1995年頃、彼の残した何かを回収した事がわかった。連中には時空魔方陣がある。情報を一つでも掴めば、奴らは再生を行えるからな。警戒しておけよ」

 

「わかった」

 

ヒーロー達よりも、組織のほうがトップダウン方式の指揮系統であるため、迅速に行動できる。これは基本的に、ヒーロー達は『何かを未然に防ぐ』よりも、『被害の拡大を食い止める』という形でしか動けないという弱点があるため、そこを突かれた形である。

 

「未知の病気に対しての医者みたいな感じだな、僕たちは」

 

「仕方がない。正義の味方ってのは、被害が起きないと、活動の理由が生まれないからな。守る事はそういうことだ」

 

「ある程度の損害は織り込み済み、か」

 

「子供でもわかることさ。お前が子供の頃、ジャイアンに殴られたり、ママに叱られたりしないと、ドラえもんは道具を出さなかったように。悪の組織の動きもそう。大衆は何かが起きないと、力を持つ誰かに大義名分を与えようとはしないもんだ」

 

受話器越しのスネ夫の声には、子供時代の自分の行動への自嘲も入っていた。ジャイアンもスネ夫も、中・高生の頃に『小学生時代の行動のしっぺ返し』を味わったが、スネ夫の場合は『皆と違う学校に入ったために寂しい思いをした上、何かかしらの精神的挫折を学校内で味わった』ため、子供時代の自分を顧みる機会を得た。その頃に知り合った女性と成人後に結婚したという。

 

「お前がいうと、説得力あるよ」

 

「ガキの頃の事は悪かった。僕とジャイアンはそう思ってるよ」

 

「時代が五年でもずれてれば、ジャイアンと君は学校でいじめの主犯として糾弾されていたのは間違いなかった。それは自覚してるね?」

 

「ああ。中高の体験で痛感してるさ。だから、お前とはずっと友達でいたいんだ」

 

「ああ。先祖代々、子々孫々までな」

 

のび太はスネ夫に子供の頃の意趣返しも兼ねての皮肉を織り交ぜつつも、変わらぬ友情を確かめあう。また、スネ夫は中高のどこかで『自分がのび太と似た立場に立たされたことで、のび太の心境を真に理解した』らしきことを窺わせる。のび太はジャイアンとスネ夫が苦境に立たされた時代においても、子供の頃と同じように接し続け、二人を精神的に支えた。そのため、大学以降は対等な立場になっている。

 

「お前の要望した弾丸は一両日中には発送する。製造に時間がかかっているんだ」

 

「わかった。それと、武器の融通も頼む」

 

「防衛省に働きかけておく」

 

のび太は骨川コンツェルンの防衛産業に関与している会社に『仕事用の弾丸』を発注したようで、スネ夫も積極的に製造をさせている事がわかる。Gフォースに何かかしらの装備品を卸しているらしく、受話器を持つスネ夫の座るデスクの机には、その関連書類が置かれていた。その書類には『G用・機材M』という名があり、Gフォースに卸す予定の試作戦闘機と思われる写真も傍に置かれていた。その戦闘機の外観は『マットアロー1号』そのものであった。未来世界やバード星のテクノロジーを導入しているようで、搭載されている予定のエンジンは『軸流コスモタービン』と記されていた。

 

 

 

 

 

――骨川コンツェルンの航空事業部の管理する、ある工場で試作機の製造が進められ、搭載予定エンジンのテスト、模型による風洞試験が行われている。コスモタービンの膨大な推力を以てして、形にしようとしているは『マットアロー1号』。ウルトラホークに続く『ウルトラメカの実現』に骨川コンツェルンが関わる事により、高価で大型なウルトラホークより安価なメカということで選定され、試作に入っていた。既に量産も視野に入っているようであり、武装の選定も佳境であるようであった。学園都市から接収した超研究は飛行性能の向上のために使われていたため、武装はオーソドックスな構成が予定されているようである――

 

 

 

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