ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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留守番組の状況です。


第四百七十五話「留守番組の状況」

――遠征が行われている最中、キュアエトワールに行われた説明は『彼女の経験してきた出来事に説明がつく』事も含まれていた――

 

「なるほど。ドリームがやたらと好戦的だったりしたのは……」

 

「そう。時たま、中身が入れ替わってたりしてたのよ。技や武器も本人と違っているから、わかるでしょう?」

 

「いや、それは無理ですって…」

 

と、言うように、彼女は『自分の世界のはな(キュアエール)はすごく憧れていた』と述べた。曰く、『ムーンライトやスカーレットの言うような、殺伐とした出来事は起こっておらず、自分達やキュアブラックらの危機を何度か救ってくれた』とのことで、キュアフローラの発言と一致した。少なくとも、彼女とエトワールは同じ流れの世界線の存在である事がわかる。

 

「私たちは過去のプリキュアと出会った事が少ないんです。あなた達のように、オールスターズで戦うような事態は数回くらいでしたから…。ホイップやミラクルから、あなた達世代のことは聞いてましたけど、会った事は……三回あるかないか……」

 

「フローラの言っていることと一致するわね…。少なくとも、あなた達は『同じ流れを辿った』世界の住民という事になるわね」

 

「あなた達は違うんですか?」

 

「ええ。みんながバラバラ。揃って同じ世界にいた事がわかるのは……スイートプリキュアくらいね。後はバラバラの世界の出身だったり…。お互いに体験した出来事に、細かな差異があるのも確認されているわ。あとは……私たちの世代の戦いの一つで共通した体験を持つかどうか。それで、ある程度は共通点を見いだせるわ。フローラから聞いたことないかしら?」

 

「そういえば……」

 

キュアフローラはオールスターズ戦の流れが第三者の介入で変化した出来事を数度ほど経験したと語り、その数回で『マジンカイザー』、『バグ』、『ゲッター天』を目撃するなど、中々に『ドワォ!』な体験をしている。その体験からか、何人かの先輩に質問をし、キュアブルームから回答を得られたと語っている。また、キュアアクアから『仮面ライダーJ』のことを聞いたとも言い、彼女は少なくとも、その体験から、『自分達もわからないところで、誰かが自分たちと別に、世界のために戦っているのだ』と認識した事、『誰かに地球人類を圧倒的な力を以て、根絶やしにする意思があるのなら、人類はその意思をねじ伏せてでも、生きるために足掻く権利を持つ』と考えるようになった事を窺わせた。これは『バグ』と『ゲッター天』の戦闘の際に、彼女が『歴代ゲッターの生き様』を垣間見た事による。

 

「フローラが巨大ロボに助けてもらった事があるって言ってました」

 

「フローラがそう言ったのね?」

 

「ええ。それで考えが変わったと……」

 

「たとえ、ヒトを否定するのが地球の意志でも、ヒトを脅かすのなら戦う……と」

 

既に、いくつもの動物が人間無しでは成り立たない仕組みになるほどになっている事は周知の事実。かつて、東方不敗がドモン・カッシュに否定されたように、ヒトも天然自然の中から生まれた『地球の一部』なのだ。それを無視し、粛清に動く意見があるヒーリングアニマルは『ゲッターエンペラーの粛清の対象』となり得るのだ。どこかの世界では、彼らがそう動いたのと同時に、エンペラーが目覚め、地球を高濃度ゲッターエネルギーで満たし、彼らを『取り込む』という形で、実質的に粛清をしているのも確認されている。

 

「ヒーリングアニマルに聞かせたい言葉ね。ヒトは彼らをも超える何かの手で、生まれるように仕向けられたとはいえ、自然の一部だから」

 

「どういうことです?」

 

「フローラの言っていた事は……ヒトという種族の存在意義に関わるのよ。地球の意志をも超える存在……そうね。宇宙の真なる神々というべき存在のね……」

 

そこで、キュアムーンライトはヒーリングアニマルやスタープリンセス、ブルーなどの『歴代のプリキュア達の世界で神、あるいはそれに近いとされた存在は『神に近い力を持つ存在であるか、末端に位置する神であって、世界を創造した大神は他にいる』ことを教え、その彼らが創造した、彼らでも手出しが不可能な存在を倒すための『兵器』が人間なのだと。

 

「真なる神……それでも手出しが出せないって……」

 

「真相は多次元宇宙の外の空間にあると言われてるわ。その空間を支配するヤツを更に倒すのが彼らの太古からの大望。地球人は有り体に言えば、大きさでは測れないそいつを消滅させるために創り出した生物兵器の一つなのよ。宇宙を消滅させる機械のバケモノを生み出すための……」

 

神々はゲッタードラゴンがゲッターエンペラーに進化する事を望んでいる。それにドラえもん達は気づいており、エンペラーが生まれる事は因果律で決められた既定路線と察しつつも、行動原理を和らげようとしているのである。

 

「世界の理を捻じ曲げるほどの力を持つものはもう生み出されてきているわ。機械が自分の意志で世界を滅ぼした例もあるわ」

 

サイコフレームやマジンガーZEROの魔神パワーはプリキュアのシステムにも介入できるものであり、ZEROはその力で、キュアフェリーチェの大地母神になる因果を消し去った(ただし、みらいとリコの祈りが通じたのか、神であった時の不死性は維持された)

 

「因果律を書き換えられる兵器すらあるもの。そうすれば、私たちの起こした現象も無効化させられてしまうわ。対抗するには、その兵器の上を行くしかない」

 

因果律兵器の威力はプリキュア達の力を無効化させてしまうほどのもの。ZEROはこれと高次予測を併用することで無敵を誇ったが、メタ的な意味を含むが、『Zを超えるために生み出された存在』には通じない。これがマジンカイザーなどの『Zやグレートを超える存在』がZEROに対抗できる理由付けである。

 

「なんか、もう……信じられませんよ」

 

「だけど、これが真実よ」

 

そして、極めづけは……。

 

「今から見せるのは、あなたたちが求めていた事の一つの回答よ」

 

キュアエトワールが見させられたフィルムは『伝えられる、ドリームの人物像に個々で差異がある』事への回答であった。

 

「心を入れ替えて、そのまま変身って……できるんですか!?」

 

「フレッシュ!の時代に実例があるわ。それに、心だけを入れ替える技術はある世界で実用段階になっているの。ドリームは立場上、顔出しも多いから、時たま、隊の幹部が入れ替わっているのよ。その時にオールスターズの呼集がかかる事が多い。だから、人物像に差があるのよ」

 

「……はなたちが見たら、卒倒もんだなぁ」

 

なお、黒江が入れ替わっている時に呼集がかかれば、まだいいほう。圭子が入れ替わっていた時には『子供には見せられない』スプラッタ劇になってしまうのである。(銃を躊躇なく、敵の頭に向けて発砲したりするので)グレネードランチャーを使ったり、斧で敵を倒しまくるからでもある。

 

「ある時は刀で無双して、またある時は銃撃狂……ファイトスタイルに差があるのは、そういうわけよ」

 

「別人が入れ替わってるって、言わないんですか?」

 

「事情を知ってる者がその場にいるとは限らなくてね。一番危ない人が替わってる時に、はなが見てなくて良かったわ。敵が長口上いうと、グレネードランチャーを口に打ち込むような人だから…」

 

「なんですか、それぇ!?」

 

「だから、大きな差が出たと言うべきね。使う武器も、技も」

 

とはいえ、共通する必殺技もある。シャインスパークやストナーサンシャインがそれだ。シャインスパークはシューティングスターのほぼ上位互換の技である上、威力は桁違い。

 

「とはいえ、似た技もあるわ。その人はそれを元から使える」

 

それはシャインスパークのことである。『ポーズが天空×字拳みたいだ』と指摘されていたシューティングスターは直撃しても、敵の幹部には通じないことが多かったが、シャインスパークは通じない敵がいない。怪異はゲッターエネルギーに特に弱いため、圭子はストナーサンシャインと併用することで、伝説を残した。キュアドリームもデザリアム戦役の後期に会得。以後はシューティングスターやドリームアタックに代わり、個人単位の『切り札』としている、その情報を応用した『劣化ゲッター線弾頭』が23世紀で開発され、魔女の世界に供給されている。21世紀で言う劣化ウラン弾の代替のようなものだ。

 

「おそらく、あなたが目撃したキュアドリームはこれのいずれかを撃っているはずよ」

 

『シャイィィィンスパァァァク!!』

 

『ストナァァァァ・サァァンシャイィィン!!』

 

いずれも、インパクト充分な技だ。デザリアム戦役後期以降に本人が使用した際の映像である。破壊力はプリキュアの個人単位としては信じられないほどで、技の出典元のゲッタードラゴンや真ゲッター1に引けを取らない。

 

「……ええ。撃ってます」

 

「なら、そのドリームは『この場にいる』ドリームよ」

 

と、ムーンライトは告げる。エトワールは謎が解けたようで、スッキリしたような顔であった。

 

「でも、なんでそんな事を?」

 

「みんなの事情聴取をする内、体験した出来事に差異がある事がわかってね。そこから調査する事になったのよ」

 

そこまでいったあたりで、基地に空襲警報が響き渡る。

 

「空襲警報?珍しいわね。隣がしくじったのかしら」

 

64Fの基地は最前線であるが、滅多に空襲は受けない。空襲する側に大損害が出るからだ。また、隣の部隊も精鋭で鳴らす部隊であるので、まず到達できないのだが。

 

「ムーンライト。敵はMSを使って、隣を撃退したみたい。迎撃準備をさせるわ」

 

キュアミントが知らせにやってきた。

 

「頼むわ、ミント」

 

この時期には、ティターンズ側も未来世界に残存する残党らの支援でMSを増加させており、使い捨てのようにハイザックなどを用いていた。数が多く(ハイザックの総生産数はグリプス戦役当時でも数千機を超えており、ネオ・ジオン系勢力が再生産していたためか、デッドストックが有に2000機を数えていた)、いくらでもパーツの補充が効くからか、上位機種よりも積極的に用いられていた。

 

「敵の機種は?」

 

「毎度おなじみのハイザックね。あれなら、横流しがいくらでも効くから」

 

「なめられたものね。迎撃の指揮を取って」

 

「分かったわ」

 

キュアミントはそのまま格納庫へ向かっていった。ハイザックは未来世界では既に旧式もいいところで、一般向けのホビーとしても流通しているほどのものだが、一年戦争中の機種よりは高性能であるため、テロ活動などでもよく見る。プリキュア5のメンバーはチーム戦を行ったプリキュアでは最古参であるため、実質的に他のプリキュア達の現場指揮を執る事が多い。彼女もその一人。キュアミントは『姉が転生して、キューティーハニーになっていた』関係上、普段の住まいは未来世界の如月邸(再建された)である。兼ねている副業は小説家であり、その点では夢を叶えている。なお、彼女も機動兵器の訓練を受けており、乗機はこの時点で、MSでは『ZⅡ』(近代化改修型。量産型であるリゼルから逆算して開発された、新規のウイングユニットを装備する)になっている。ゼータ系は空軍の部隊である64Fでは需要が高く、(64Fが連邦政府と連邦軍にコネを持ち、なおかつ、実質的にロンド・ベルの分署であるため)、配備数は比較的に多い。元々は白兵戦向けの機体ではない系列だが、ガンダリウムイプシロン(元は熱核パルスエンジン用の部材)が装甲材とフレームなどに使用されるようになり、機体内部の部材の更新、管制OSの世代交代、VFのスピンオフ技術の相乗効果で以前より維持費が安価となったため、増産が積極的に行われ、ティターンズ時代の面影が残る他のTMS系列の殆どを駆逐したのである――

 

 

 

――格納庫――

 

「ミント、出せる機体、VF-1EXしかないそうな」

 

「あ、オーバーホールしてたんだったわね」

 

「整備班から、今日はVF-1EXで我慢してくれって」

 

「仕方ないわね。防空装備を使いましょう。ハイザックの他はせいぜい、セイバーフィッシュかTIMコッドでしょうし」

 

整備班からの連絡で、整備が済んでいたVF-1EX(練習機を兼ねての配備だが、近代化改修の第三世代型に属するので、オリジナルよりかなり高性能である)しか出せないとのことなので、普段は各々の練習機として用いる個体に実戦装備を施し、出撃する。当然ながら、ファイター形態で出撃するため、出撃時の手順は戦闘機のそれに準じており、各々の機体と管制塔の間では、航空無線用語が飛び交う。ムーンライトが説明をしている部屋からは、出撃する機体の様子がよく見えるわけだが。

 

「あの……1940年代なのに、なんで、あんなに近代的なジェット機が?」

 

当然、部屋のカレンダーの日付は1949年であり、時代を考えれば、普通にレシプロ戦闘機も飛んでいていいはずの時代。それがいきなり、20世紀の後半期に飛んでいそうなスタイルの機体がランディングしていれば、そうもなる。

 

「その説明もするから。ややこしいのよ、その辺」

 

可変戦闘機のファイター形態は20世紀後半の『第四世代ジェット戦闘機』以前の形態を取る。第五世代機の外観を持つのは、VF-22系列くらいである。VF-22のスタイルは高コストであるため、後の世代には引き継がれず、サイボーグ前提のVF-27になり、YF-29でその頂点に達し、YF-24から派生したVF-31系がVF-19を置き換えていくことも囁かれている。性能面では、ハード面の進歩で『カイロスプラス』で『デュランダル』に引けをとらないほどにアップしたという。

 

「それと、この隊は歌やダンスの訓練もあるから、あなたはそれにも参加するように」

 

「……は?なんでですか?軍隊ですよね?」

 

「本来は専門の曲技飛行隊の仕事なのだけど……」

 

扶桑の世論は戦時になると、史実の日本帝国ほどでないにしろ、『撃ちてし止まん』な風潮を帯びてしまうので、曲技飛行隊は白眼視される傾向がある。ルミナスウィッチーズの結成を遅らせた原因でもある。ウィッチは貴重なのに、曲技飛行ごときに割いていいのか、と。実際は戦闘ができない特性のウィッチも多くいるのだが、扶桑国民には知られておらず、本来は戦闘向けの固有魔法ではないはずの宮藤芳佳が扶桑きっての撃墜王として鳴らしている現状では、『戦わないウィッチ』は生きにくくなっていた。

 

「1940年代の日本は戦争中だから、曲技飛行を専門の部署にやらせるのを嫌うのよ。この世界、誰でも力を持っているわけではないから……」

 

「そういう時代だって言いますからね…。ひいおじいさんから聞いた事が」

 

「そうか、あなたの頃だと、ひいおじいさんになるのね……」

 

世代による差だが、第三世代のプリキュアにとって、太平洋戦争は『曾祖父母の世代の体験した出来事になるため、感覚として『遠い昔の出来事』である。世代の相違を感じ、2010年の時点で高校生(当時に17歳であった点から逆算すると、生年月日はかれんとこまちとほぼ同年代にあたる)だった月影ゆりと、その8年後に14、5歳である輝木ほまれとでは、一回りは違う。五年一昔というが、なぎさとほのかの現役時代に赤ん坊である世代が後年にプリキュアになる事の証明であるが、自分のその時代での年齢を意識せずにはいられないのか、キュアムーンライトは世代の差をここで『はっきりと認識した』。

 

「……ムーンライト?」

 

「あなた達の時代での自分の年を考えてしまってね…。」

 

世代の相違による認識の差は流石に堪えたか、普段は冷静沈着なムーンライトも若干、物寂しそうな表情になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

――魔女の多くが、凄惨な人類同士の戦争から離れたがったのは、『戦わない魔女』への白眼視から逃れたかったからだが、その流れの始まりは志賀少佐にあった。志賀は空軍を『合同部隊』だろうとする程度の認識であったが、実際は独立した軍隊であったため、彼女は完全に面目を失った。昭和天皇の擁護が無ければ、長老達のつるし上げにあっていたほどだ。彼女は私費で震電ストライカーの復元を行いつつ、海軍からの退役も考えたが、古参兵の不足により慰留され、戦争の終わりまでは現役であり続ける事になった。彼女は退役後は企業を興し、そのまま市井で生活したため、2010年代までには亡くなるという。雁淵孝美に自分の真意を綴り、不明を詫びる手紙を残しており、彼女は64Fの飛行長を辞したことが、魔女たちの個人単位の対立や派閥抗争の引き金になったことを悔いていた。退くに退けなかったのだとも綴っており、海軍で受けた教育を鵜呑みにしていたことを悔いている事を告白していた。結局、彼女は戦争中、窓際と扱われる『教育部隊』を転々とする事になり、軍でのキャリアは少佐で打ち止めとなったが、その後は警備会社の社長として成功したため、ある意味では幸福であった。しかし、彼女のした事は結果的に魔女のコミュニティの観点から見れば『悪手』であるのは変わりはないため、事変後第一~第二世代の魔女達は大半が中佐までの階級でキャリアを終える事になった他、彼女ほどの魔女が前線勤務を放り出したことで、中堅層の多くが前線勤務を放り出し、他部署などに移籍願いを出す事態に発展。志賀は後年、この流れを『自分の意図したものではない』と弁明。天皇に述べた『海軍の航空部隊を基にするのなら、海軍の軍規が適応されるはずだと考えたからであり、国家的英雄である黒江に反抗する意思などなかった』と繰り返し述べ、自分の浅慮が魔女間の派閥抗争を招いたのだと、強く悔やむ羽目となる。とはいえ、元から一般の軍人と魔女出身者の間に対立があった事、国家的英雄であっても、中堅世代の魔女達は心の何処かで『過去の人間がしゃしゃり出るな』と、自分達の前の世代の魔女を見下していたのは事実であり、それが志賀の起こした騒動を呼び水に表面化。クーデターの遠因となったのは歴然たる事実。扶桑が1900年代頃から抱えつつも、表に出さなかった問題が戦争の様相の回帰、様々な要因で『絶対的な摂理があっさりと覆りだした』ことを受け入れられない事が扶桑の『歪み』として表面化。超人たちへの依存の解消が『軍にいる魔女にできる、皇室や国家への贖罪』とする(坂本や若本を中心にして)啓発運動が展開される事になった――

 

 

 

 

 

――史実と異なり、日本連邦には21世紀以降のあらゆる科学的研究の成果が手元にあるため、史実で日本軍が手出しできずにいた『ナバホ語通信』は日本連邦のコンピュータ装備の前には無力であった。更に、扶桑には日本には存在しない方弁が複数あり、それらを複合して『暗号』として活用しつつ、偽装に旧来の暗号機を使うという三段構えの方法を用い、リベリオン軍の機先を制することが可能であった。だが、その優位をリベリオンの工業力はほとんど帳消しにしてしまうため、戦況は膠着状態に陥っていた。扶桑が人型機動兵器へ傾倒しだしたのは、旧来の兵器の物量戦では及ばないことを理解していたからであった――

 

 

 

――扶桑皇国へ卸された『RGM-86』(ジムⅢ)、RGM-89『ジェガン』。一般部隊へ『軽戦車の代替』として配備されるものである。これはカテゴリそのものが陳腐化してしまった軽戦車が多数派の扶桑陸軍機甲部隊を短期間で『使い物にする』ための措置であり、MSは司令部直轄の部隊に回される事になった。MSの構造は高度であり、電子装備も相応な事から、前線部隊の大半の手に余ると判断されたのである。そのさらなる代替が『コンバットアーマー』であった。これは戦車の急激な大型高性能化に揚陸装備の刷新が追いつかないからで、『新型揚陸艦の竣工と新式戦車の普及までの空白を埋める』兵器として、MSやコンバットアーマーが注目されたのだ。ジェガンやジムⅢは余剰品の放出でもあったが、人型機動兵器は既存のインフラに強く頼らずとも、戦地に展開できるという利点がある事から、旧式の軽戦車を瞬く間に駆逐した。戦場に残れたのは、戦後型軽戦車に相当する『M41軽戦車』と、ダイ・アナザー・デイ当時に最新鋭だった『M24軽戦車』であった。M24は本土に残存する新砲塔チハや八九式、九五式軽戦車の代替に選定され、インフラ整備が進んでいない扶桑本土に配備された。M41との混合配備であったが、これはM24は史実で第二次世界大戦中に既に能力不足を指摘されていた事による――

 

 

 

 

 

 

――戦闘機「烈風」は魔女の世界では、制空戦闘機の座を「紫電」系列に奪われた代わりに、扶桑初の戦闘爆撃機として使用され、同期の紫電改より長命を保っていた。紫電改が陣風やジェット機の登場で旧式化し、ダイ・アナザー・デイ直後から後方に配置転換されだしたのに対し、烈風は大柄な機体が幸いし、扶桑初の戦闘爆撃機として運用されていた。これは魔女の世界での戦闘機は元来、『魔女の嚮導』が主任務であったため、戦闘爆撃機としての運用が考慮されていた事による。日本側は『空戦特化の烈風は戦闘爆撃機に向かない』としたが、史実より頑強な構造を持ち、戦闘爆撃機へのアップデートパーツも制作済みであった。そのため、なし崩し的に戦闘爆撃機に回され、制空任務はさらなる次世代機の『陣風』が担った。ジェット機が普及し始めた1949年次でも、相当数が現役で運用されていた。戦闘爆撃機化したことで、同世代機よりも長命を保つという皮肉な状況であった。太平洋戦争でも用いられていたが、根本的に世代の異なる戦闘機であるセイバーフィッシュやTIMコッドには無力であり、64F基地にたどり着くことの阻止に失敗してしまった。だが、ダイ・アナザー・デイ帰りの猛者達の操縦であったため、多くが不時着に成功しており、人的損害は微々たるものであった。64Fが迎撃態勢を取れるだけの時間も稼げており、烈風本来の開発目標を示すだけの戦闘はできていた――

 

「ん。64の連中だ」

 

「どうします?連中に拾ってもらいます?」

 

「無線が生きてるなら、要請を出しとけ。そのうち拾ってくれる」

 

64Fの留守番組がVF-1で出撃するのを、近くの岩場に不時着した連山(空中管制機型)の搭乗クルーが(タバコを更かしながら)見上げながら言い合う。

 

「あれが次の時代の飛行機ですか。変な感じですね」

 

「だが、カールスラントが先鞭をつけた噴流推進式の完成形だ。あの国は我々が無邪気に憧れるのに優越感を得つつ、裏で田舎者と見下していた。その報いを受けたのだ。未来技術の流入という出来事でな。その結果があれだ」

 

機長はカールスラントに無邪気に憧れていた戦前の扶桑に思いを馳せ、打算と策謀のコマとして扱ったカールスラントへの怒りを垣間見せた。他の乗員もカールスラント軍人に『田舎の軍人』と見下された経験があるらしく、同意の表情であり、これからの技術立国は自分らだという自負も覗かせていた。このような認識が扶桑人に生まれた点で、ヘルマン・ゲーリングは罪深いと言えた。

 

 

 

 

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