ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回と同じ頃の遠征軍の様子です。


第四百八十一話「ブライアンの決意と心の焔」

――シンボリルドルフがドリームシリーズを快勝した日、ナリタブライアンは父が周囲の反対を押し切り、勘当を言い渡したため、卒業後は野比家に下宿する事にした。野比家のあるマンションは、いくらでも部屋が空いており、Gフォースが管理者である事もあり、ちょうどいい下宿先である。(ブライアンはその後、家の財産相続を大学卒業時に放棄し、レースで稼いだ賞金、協会や地球連邦軍からの恩給で暮らしていく)――

 

 

「ハヤヒデか。ああ、分かった。ブライアンの私物をトレセン学園に送ってくれ。ヤツの弟分のタニノギムレットに梱包させる」

 

ゴルシはビワハヤヒデからの連絡に『予測の範囲内』だと延べ、ブライアンの私物をまとめておくように、と指示を出す。ブライアンはレースの成績不振で『事業が傾いた』父親の不況を買い、(妹達の事で対立して)勘当を言い渡されたため、独立を決意しており、ゴルシはその援助を申し出ていた。まずは、裏でブライアンの姉妹たちのトレセン学園入学の手引きを進めていた。学費は自分の賞金(ゴルシはG1を既に六勝しており、その獲得賞金は莫大な金額に達している)から捻出することで肩代わりした。シンボリルドルフのドリームシリーズでの激走が報じられた日のことだ。ブライアン、ハヤヒデの父は勘当を言い渡したタイミングで、ブライアンのファンである『親族の資産家』から資金援助を申し出られるという最悪の結果となり、事業を自分の代で畳む事も考えるが、それを遺言に書く前に亡くなり、結果的にハヤヒデが事業を継ぐ事になる。なお、ブライアンはゴルシの他、寮のルームメイトにして、史実での異母弟『タニノギムレット』(同じブライアンズタイム産駒で、ウオッカの父)を使者とすることにし、彼女に言付けを頼んでいた。

 

「これで良し。あとは……」

 

ゴルシは生徒会に入った事で権限を大いに使い、周囲の手助けを始めていく。ルドルフの『復活』がウマ娘界隈に一石を投じたのは確実であり、『引退後に努力が報われる事がある』ことを示す好例となったのである。ブライアンは協会から『ディープインパクトとオルフェーヴルが育つまでは現役でいてくれ』と懇願されていたので、その事をゴルシは協会や学園の理事会との裏取引の材料に使い、ダーティーながらも、テイオー政権の足場固めを始めた。

 

 

 

 

 

 

――遠征軍は攻勢を行う事にし、新たな補給物資も搬入されていた。地球連邦軍はジェイブスやリゼルなどを送り込み、VFは新鋭のカイロスプラスを回した。実戦テストという名目だが、対海底軍艦用なのは明らかであった。YF-29共々、決戦を前提にしての使用であった――

 

 

「ほう。カイロスとジークフリートの間の子か?」

 

「名目上はカイロスの改良ですが、ジークフリートを戦闘用途に仕立て直したものだそうです」

 

「よく製造が間に合ったな?」

 

「はい。この系統は基本フォームの増強で戦闘用への改造も容易でしたので」

 

「デザリアム戦役の頃から製造を?」

 

「ええ。プランはその頃には上がって来ていましたが、あの戦争で延びてしまって」

 

黒江は64Fの次席指揮官として、産休に入った武子の代理の任についた。参謀本部も今回は何の文句もなく、迅速に手続きがなされた。

 

「パットンの親父は短期決戦に出た。急かせてしまったが、五機は間に合ったのか」

 

「ええ。こいつは素直ですから、プリキュアの子らに回したほうがいいでしょう。あなた方には、29がありますから」

 

「熱核バーストタービンのチューンした個体は?」

 

「軸流コスモタービンのスピンオフで燃費を上げて、推力を2.5倍に引き上げたものを搬入させました。これで現時点での最高ランクの性能です」

 

「よし。整備班に換装させる。相手は海底軍艦だ。この世界の自衛隊が奮戦しているようだが、副砲をいくつか潰すのが精一杯だろう。バイタルパートは自衛隊の装備では抜けんはずだ」

 

21世紀の自衛隊の装備は対戦艦では『装備品を壊せても、撃沈はできない。それはドラえもんの世界における自衛隊が戦艦陸奥(廃艦決定後に標的に使われた)相手に実験を行い、実証したことだ。戦艦は過去の遺物とされていたため、しかし、基礎的な破壊力は上がっているので、リットリオ級素体の海底軍艦にはそこそこのダメージになるだろう。

 

「しかし、閣下。相手はリットリオ級です。それほど気になさる必要は」

 

「砲撃戦になれば、無傷ではいられんよ。副砲の一つや二つは潰されるだろうさ」

 

リットリオ級は近距離であれば、40cm砲搭載艦と遜色ない火力を発揮できたとの記録がある。砲塔が増えているのなら、史実より一段上の戦力と考えていいのである。

 

「さて、部下の様子を見に行くか」

 

搬入の担当者と別れ、向かった先は。

 

「ブライアン、実家から勘当されたのか?」

 

「親父の意向だ。ここ最近の不景気で、酒屋もうまくいってなかったからな。私と姉貴の賞金を宛にしていたんだろう。……昔はあんな事をいう人ではなかったんだがな……」

 

「金回りが悪くなった上、21世紀の日本は不景気だからな。成績を挙げられなくなっていたお前をなじるしか、鬱屈した状況のはけ口がなかったんだろう。しかし、それでお前を追い出したから、家庭での居場所も無くすだろう。それでは、長くは生きられんよ」

 

「姉貴はなんと?」

 

「下の妹たちを食わせるため、家を継ぐそうだ。それと、親類の資産家から資金援助の申し出があったそうだ。それで、気まずい空気になったと」

 

「……だろうな」

 

「お前、これからどうするんだ?」

 

「ゴルシには言ったが、野比氏の家に世話になる。高等部を出るまでは寮にいられるが、大学部は新設されたばかりだからな…。高等部を出たら、正式に厄介になる。今はこの体を使って、闘志を養うまでだ」

 

ブライアンはキュアドリームの体を借りている。顔出しが厳禁である以上は、こうした手法で戦うしかないのだ。そして、自分の報奨金などの半分は姉のビワハヤヒデの口座に振り込んでほしいと頼んでいる。すぐ下の妹である『ビワタケヒデ』がトレセン学園の中等部に入れる年齢を迎えるからだ。

 

「妹のタケヒデがそろそろ入学する年頃なんだ。前世を考えると複雑だが、私達が入って、下の妹たちが入れんのはおかしいからな」

 

「自分へ入る報奨金を学費に?」

 

「そうだ。それと、姉貴は家の仕事には素人だ。レースのことしかしてこなかったのを継いだとして、まともに商売を理解するのは時間がかかるだろう?ましてや、姉貴はまだ引退していないが、競技者としては燃え尽きかけてしまってるからな…」

 

「確かに、客商売とレースは違うからな」

 

「タイシンのほうが商売を理解できているくらいだ。ヤツの家は……おばは……花屋なんだよ」

 

「あーあ……史実でのタイシンの母馬、花の名前だったな」

 

「ああ。私もガキの頃に会ったきりだったんだがな…。あんたの部下には悪いが、当分は体を借りておくぞ」

 

ドリームの体を使っているが、目つきなどはブライアンのそれになっており、声色ものぞみ本来のものよりドスが効いている。素体の錦よりは高く、平常時ののぞみよりは低めと、微妙なバランスである。

 

「それは構わないとのことだが、お前はどうするんだ?のぞみはああ見えても、航空科だ」

 

「乗り物は使えんわけではないぞ。先輩のマルゼンスキーはカウンタックを乗り回してるしな」

 

「お前ら、普通に時速80キロ近く出せんだろ」

 

「それはそうだが、長い時間は出せんよ。私達は軍馬や使役馬の特性は持っていないからな。流石に肉体が対応出来ても、アンタのようにマッハじゃ走れんよ」

 

「仮面ライダー達は時速500キロ出せるぞ?」

 

「あの人たちはバッタの改造人間だからだろうが…」

 

「お前らはサラの生まれ変わりだからな。脚部の強さはヒト族とそれほど変わらんから、怪我した時の程度が酷いかもしれん」

 

「ウマ族の起こす怪我を私達がしてしまうのは、ヒトの身体では成し得ない速さを実現させるために、筋肉量が普通の人間の数十倍に達するが、ヒトと同じ構造であるが故に、高速で走ることの負荷が来るからだと、タキオンは言っていたぞ」

 

「仕方がない。お前らは最高で100kmに近い速さに達するという。だが、素体がヒトだから、骨が金属疲労のような事になって、競技者としての致命傷寸前の怪我をした奴がいたろ?」

 

「サイレンススズカ。元チームメイトだった奴だ。あいつは線が細いほうだったからな。高速を長時間維持したから、肉体が精神に追いつかなかったんだ。生物学的限界だな」

 

サイレンススズカは大逃げを行ったが、史実同様に足が自らのスピードに対応できず、もし、処置を間違っていれば、競技者としては再起不能になっていた。このことから、通常のウマ娘の生物学的な速度限界も判明しているが、時代を担うほどの力を持つ者は超集中状態に入ることで、それを超えることはできる。

 

「お前らのごく一部が持つという、超パワーアップのような現象はなんだ?」

 

「時代を担うほどのエース格の連中だけが到達できる極のようなものだ。俗に言う超集中状態。古くはシンザン、最近ではタマさんやオグリさんができた事だ。無論、この私も、な」

 

G1級のウマ娘の更に最強レベルの者達の殆どはレース中に超集中状態に入れる。それを意識的に制御する術はオグリたちの時代に発見されており、オグリ達『平成三強』とタマモクロスが現役期間中に『最強のウマ娘たち』という渾名を欲しいままにしていた理由だ。オグリの時代までは『超集中を必要とするために、レースを引退すると使えなくなる』とされていたが、実際は身体が覚えているため、その状態に突入できれば、一度覚醒した者は永続的に使用できる。

 

「昔のアニメのサイバーフォーミュラや、ジャンプの『テニスの王子様』みたいな話だな」

 

「似たようなものだ。ウマ娘の魂に秘められた力の解放だから、並の連中では闘志を挫かれる。タマさんの現役時代の頃は『発動させれば、基礎能力が同等のウマ娘をも置き去りにできる』ほどのメリットがあったそうだ」

 

「お前も?」

 

「ああ。私の持つ技能で戦闘に応用が効くのはそのくらいだな。あとはガキの頃に流鏑馬とかの武術を噛んだくらいだ。親父がやらせたんだよ」

 

ブライアンもそれに特に何も言わないことから、それらの作品は普通に、ウマ娘世界でも存在したようである。また、普通に年上相手にもタメ口だが、ブライアンは基本的に敬語を使うことが少ない(流石に使うべき時は使うが)ためである。

 

「パイロットはできるか?」

 

「ああ。この肉体の記憶は見れるし、こいつはニュータイプという奴だろう?」

 

「有名な奴とはちと違うがな」

 

のぞみはフラッシュシステムに適性を持つが、通常のニュータイプとは異なるところが多いため、厳密な定義でのニュータイプとは異なる。だが、サイコミュシステムに適性があり、ファンネルも動かせるなどの要素は備えており、アムロ・レイのような『戦闘特化型』のニュータイプになったとされる。ニュータイプと言えども、小説のようなオカルトじみた力は無い。それはサイコフレームの力によるものだし、むしろ、そうした要素はゲッターエネルギーが担っている。コズミック・イラ世界における『SEED』も『ヒトの進化の過程で生まれた能力』に相当するが、ニュータイプほどの戦闘能力は持たない。そのため、SEEDは『火事場の馬鹿力』的な境地に近く、ニュータイプのような『感覚強化型の才覚』と似て非なるものという研究もなされている。似たような『進化』ながら、SEEDは潜在能力を引き出す系統のもの、ニュータイプは反応速度をとにかく強化させ、空間把握能力を極限まで高めるものと言っていい。連邦軍の強硬派がジオンとニュータイプの殲滅のために研究していたのがユニコーンガンダムであるが、皮肉なことに、ユニコーンガンダムこそ、彼らが恐れたニュータイプの奇跡を体現する最新のガンダムとなったのであるが、ゲッター線の驚異の前には霞んでしまった感がある。

 

「あ、ファンネルは普通に使えると思う。前に量産型ニューガンダムのデータが入ってるシミュレータをさせてみたら、ファンネルを操れたからな」

 

「なるほど。しかし、サテライトキャノンはオーバーだろ?」

 

「伝説巨神イデオンのイデオンガンとソードに比べりゃ、カワイイもんだぞ」

 

「あんな銀河を斬れるような化け物と一緒にするなって」

 

呆れるブライアンだが、伝説巨神イデオンを見た事があるらしい。のぞみの愛機『ガンダムDX』は元々、地球連邦軍が『サイコフレームなどの力に頼らずに、隕石やコロニー落としを阻止できないか』と、アナザーガンダムである『ウイングガンダムゼロ』のツインバスターライフル以上の火力を持たせるべく、研究を重ねていたのを、アナハイム・エレクトロニクスが30世紀の技術を得たことで研究を次の段階に進めることに成功。元は防衛衛星用の砲台をMSの装備できるサイズにまで小型化し、新式のガンダムに搭載した。これが起源である。その最高位機種がDXであり、ツインサテライトキャノンの威力は『MSとしては究極』の域だ。

 

「イデオン分かんのか、世代じゃないだろ」

 

「親戚の兄貴たちに見させられてな……。アニメはだいたいは同じものがあるようだ」

 

と、ブライアンはいう。未来世界で具現化したガンダムなども含め、だいたいは同じものが存在するようである。

 

「野比氏に世話になることは伝えてある。高等部を出たら、下宿する。トレセン学園は基本的に高等部までは寮があるが、大学部は新設間もないからな」

 

ブライアンは明確に、野比家への下宿を始める時期を伝える(この事をゴルシから聞いたタイシンが心配し、大学入学後に『社会経験』という名目で、ススキヶ原の花屋でバイトをするようになる)。

 

「親父さんの考えが変わることは?」

 

「親父は職人気質だから、ないだろう。姉貴には重荷を背負わせてしまうが、もし、親父の事業を私が継いでいても、酒造りと配送やらをやらされる羽目になるからな」

 

ビワハヤヒデとナリタブライアンの悲劇は実家が酒屋であり、彼女らがレースで『卓越した才能』を発揮した事で、父親が身の丈に合わない事業拡大の野心を抱いた事だろう。そして、ブライアンが姉以上の才能で三冠を取った事で父親が『取らぬ狸の皮算用』をしてしまい、疫病の流行による売上低下に無策であった事だろう。

 

「私は走ることで、自らの欲望を果たしてきた。親父にしてみれば、引退後のことを考えていない阿呆だろうが、私は姉貴のようにはなれんよ」

 

ブライアンは自分の本質を自覚していたようで、たとえ引退しても、どこかで走っているだろうと、シニカルに笑う。

 

「三冠は通過点。昔はそう考えていた。だが、取ってしまうと、世間的には王者である事を義務づけられる。面倒くさい称号だよ」

 

 

それはコントレイル、デアリングタクトなどの『後世の三冠馬』がその先代の三冠馬『アーモンドアイ』に敗れた事により、評価が下落してしまった事を意識しての一言だ。特にコントレイルは『三冠としては……』という修飾語がつきまとってしまった事を鑑み、世間は早くも『ブライアンの次の三冠ウマ娘が見たい』という風向きである自らの復活を印象付けたいが、掌返しをしまくる世間に愛想が尽きかけている様子を見せた。

 

「世間は三冠足るべき実績を求める。だが、衰えがシニア級で表れてしまえば……。ったく、世間ってもんは……」

 

「なら、復活を強く印象づければいい。ディープインパクトやオルフェーヴルが後継になる運命なら、連中が台頭してくるまでの間を君臨していれば、誰も文句は言うまい。昔の千代の富士みたいなもんだ」

 

「あんた、自分の本来いるはずの時代を考えると、千代の富士は未来の人物だろ」

 

「そこは気にすんな」

 

と、黒江は流す。

 

「これがDXの操縦桿と起動キーを兼ねた『Gコン』だ。持っとけ」

 

「MSの操縦桿は外せるのか?」

 

「昔、核兵器を積んだガンダムが奪われた事の反省で、戦略兵器級の武器を持つガンダムのコントローラーは外せるようになったんだ。他のは、ガンダムタイプでもそんなことはないが、サテライトキャノン持ちだからな」

 

ブライアンは『Gコン』を受け取る。ガンダムXやダブルエックスは強奪を防ぐため、専用の操縦桿が開発され、それを取り付ける事で起動する設計である。ガンダム試作2号機やガンダムマークⅡの強奪の反省によるものである。また、MSの技術そのものがその頃から大きく向上したので、以前ほどの複雑な操作をしなくても、機体側がある程度の操縦の補正をしてくれる。この操縦補助技術の向上も、ジオン残党が急激に掃討されだした理由の一つであり、素人ののぞみがジオンのエース達相手に、MSでそこそこ戦えた理由でもある。

 

「なるほどな。つまり、あんたらは機動兵器で海底軍艦を弱らせて、最後に同じ海底軍艦で倒す算段か」

 

「そうだ。だが、完全に破壊はできん。うちの世界のイタリア海軍が欲しがってきたからな。急に要請を出しやがってからに……」

 

「連中も欲しいんだろうよ、あんたらの海底軍艦への抑止力を。それに、あんたらが出張らんと国を守れんのは、イタリア軍の沽券に関わるだろう?」

 

「確かにな」

 

「それに、仮面ライダー達やこいつら(プリキュア)も出てきているんだ。他の国は焦っているはずだ。魔女はピンキリだし、本当に使える連中は一握りでしかない。その上、働ける時間は10年未満だろう?それに引き換え、ヒーローらは同等の連中をぶつけられない限りは負けんだろ」

 

「ああ。日本連邦の覇権を受け入れるか、ティターンズと数十年単位の冷戦を単独でするか。俺の世界は東西冷戦の伏線が張られまくってるからな。ティターンズにつこうとする連中も多い。アジアの田舎に媚びを売るのを嫌がる国は多いからな」

 

「しかし、負ける陣営につくバカはいるのか?」

 

「そういう連中はだな、俺達を旧秩序の破壊者としか見てないんだよ。欧州が世界の中心の時代なんざ、史実でも、1950年代には終わてるってのに」

 

欧州中心の秩序は日本連邦の台頭で崩された。そう見る学者は多く出てきたが、政治家達の多くはそれを認めず、自分たちが中心たるべしという旧態依然な価値観を守ろうとした。だが、日本連邦の軍事力、経済力、科学は既に同時代の他国に数十年単位で先んじていたため、時間とともに日本連邦の庇護下に入る国々が続出してきている。太平洋戦争中のこの流れが『魔女の世界の国際連合』に力を与える事になる。そして、全世界の鉱物資源の貯蔵量への不安が魔女の世界の目を宇宙へ向けていくことになる。日本連邦は既にそれを見越し、『国連は地球連邦のための準備組織』という認識で運営していた。なお、この戦いはガリアのきな臭い動きへの牽制も兼ね、敢えて魔女の世界に公にされている。

 

「この戦いは、うちらの世界やドラえもんの世界にはオープンにされてるから、インタビューは適当に答えろ。うちの世界じゃ、お前のような気質は好まれるからな」

 

「やれやれ。インタビューは苦手なんだがな。プリキュアとして、やれと言われても」

 

と、困惑気味のブライアン。キュアドリームとしての仕事を代行するのはいいが、インタビューなどは苦手だからだ。とはいえ、のぞみとの識別は容易である。鼻にテープを貼っている(ブライアンが力を発揮するためのルーティンである)、口に葉っぱを咥えている他、腕を組んでいることが多いからだ。

 

「鼻テープはなんとでも誤魔化せるだろ。半日くらいで出撃だから、準備しとけ」

 

「分かった。アンタはどれで出るんだ」

 

「Gカイザー(グレートマジンカイザー)を使う。戦果を挙げてみせんと、ジュンさんに合わせる顔がないからな」

 

「で、アンタの部下はリアル系か?」

 

「スーパーロボットは操縦に相当なタフさを要求するからな。リアル系のほうが頭数が揃うんだよ。それでも、ハイエンド機だらけだが。何人かは召集したから、そいつら待ちだ」

 

「悠長だな」

 

「この世界の自衛隊が意外に奮戦してるから、時間が稼げてんだ。多分、被害は出るだろうが、それなりに損害は与えてくれるだろう」

 

インペロの頑強な装甲に阻まれ、決定打は与えられないが、対空砲や副砲などの細かい装備に損害は与えられているという観測データは得ており、自衛隊の装備は戦艦の主砲に耐えられないという点を除けば、概ねの足止めには成功している。応急修理の時間を入れた場合、半日は時間を稼いでくれるだろうと見積もられている。

 

「しかし、傍から見ると、すごい贅沢だな。あんたの隊は」

 

「まぁ、近頃は民間軍事会社のほうが装備がいい場合もあるが、ウチはロンド・ベルの分所も兼ねてるから、多分、VF-Xの上位の部隊くらいの優遇を受けてるな。数年前はそれを活かせなかったが」

 

マジンガーやゲッターも個人のコネで回せるあたり、地球連邦に太いパイプがないと、とても不可能であることはブライアンにもわかる。可変戦闘機も最低で『AVF』クラスのハイエンドモデルであり、最高位のYF-29も複数を有するなど、地球連邦軍の特殊部隊すら成し得えていないグレードだ。

 

「アンタ、その事、地味によく話すな?」

 

「苦労させられたし、正式な使用許可を取り付けた時には、戦場の大勢が決まっていたからな。上も相当にお冠でな。前の上官はそれで飛ばされたって聞いた。可変戦闘機を見てんのに、先入観で使用許可を出さなかったんだから、上に相当に叱責されてたよ」

 

ミーナの犯した失態の中でも、可変戦闘機の特性に無知だったことは『1944年に共同戦線を一度張った者』として『してはいけない類のミス』であった。ロンメルがミーナの501からの更迭を正式に決めたのは、そのミスがさらなる減点となったからである。

 

「その反省で、今は全面的に公表してるってことか」

 

「21世紀世界には示威になるし、俺たちの故郷だと、強すぎってことで抑止力になるからな」

 

「確かに、三形態への変形ってインパクトは大きいし、戦闘機としても、普通に21世紀の最新機以上に強いものな」

 

「それと、歌も研究が進んでてな。一種の能力ブースト効果を出せる事がわかってる。お前に歌ってもらったのは、お前のサウンドエナジーレベルを調べるためでもあった」

 

「やれやれ。歌も軍の研究対象か」

 

「未来世界で、歌で本当に戦争が終わった事があってな。それ以来、地球連邦は全力で歌の研究をしてるんだ」

 

シンフォギアが未来世界で比較的容易に解析できたのは、歌の研究理論が『マクロス7船団』のDr.千葉により、既に進んでおり、サウンドエナジーの可視化もなし得ていたからだ。そのため、歌の軍事利用も進んできていると言っていいが、個人単位でプロトデビルンを聴き惚れさせた熱気バサラの例があるように、素でとんでもない歌エネルギーを叩き出せる者がいるのも事実。歌で世界が救われた事例が出ているので、Dr.千葉のような研究者が出てくるのである。ひとえに、未来世界が既に恒星間航行も実現している文明レベルであり、解析用の機械も地球製、プロトカルチャーの遺産、ガミラス、ガトランティス、デザリアム製など、ありとあらゆる方面に事欠かないからである。

 

 

「歌で世界を救う、か。私達もいつしか、ライブが当たり前になっていたが、『応援してくれたファンへ感謝の気持ちを表す』という目的を超えてきているのは事実だな…」

 

ブライアンは三冠ウマ娘でありながら、怪我による不調で敗戦が続いており、ライブで三番手以下のポジションにつくことも多くなってきていた。協会に担当トレーナーがクビにされたのは、そのことも関係している。ブライアンは自分の前から姿を消してしまった『彼』にこれまでの感謝を伝えたかったが、怪我をしてからは『全盛期の六割も出ていない』と評されるほどの凡庸な走りに終始してしまっており、トレーナーを奪われたこともあり、ブライアンは実のところ、精神的に追い詰められてきていた。口ではそう誤魔化しているが、ブライアン自身、トレーナーが去ってからはライブの負の側面を自覚してしまった影響で素直に歌えなくなっていた。だが、怪我がドラえもんの力で完治した事、療養先の野比家での体験で精神的な安定を取り戻した事、FireBomberやリン・ミンメイなどの『未来世界での戦争を歌で終わらせた、あるいは行方を変えた』者達の存在を知った事、プリキュア達が今の自分より若い年頃で『世界のために戦っていた』ことで、『年上の自分が、こんなことでどうする!!』と奮起したなどの理由で、名実ともに『全盛期の輝き』を取り戻した。

 

「あんたらのおかげで、私は立ち直れた。その恩返しだ。戦いぬいてみせる。パイロットだろうが、なんだろうがな」

 

ブライアンは黒江にそういい、改めて『決意』を示し、正式にGコンを受けとる。Gコンには指紋認証機能もあるので、その関係もあり、キュアドリームの体を借りているが、ブライアンらしい要素も所々で出している。この世界ののぞみとの視覚上の識別のためであるが、猛禽類のような目つきであるので、見分けは(のぞみを知る者ならば)簡単だ。ブライアンは立ち直れた恩を返すため、この戦いを『キュアドリーム』として戦い抜く決意であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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