ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第四百八十六話「状況説明 4」

――扶桑でクーデターが頻発したのは、『皇室の調停権に原因があるのでは?』と日本は考えたが、そのおかげで、大事に至ることがなかったのも事実であるので、結局は『議会が事後承認する形で留め置く』事でお茶が濁された。扶桑海事変の際は七勇士のおかげでクーデターの早期制圧が叶ったが、鎮圧の名分を天皇が与えたのも大きかった。扶桑では天皇の裁量権が重視されてきたが、それは軍の将校たちが『数十年に一度の割合で』野心を顕にしてきたからで、扶桑は日本より豊かでありつつも、そうした野心家が佐官などに偶に現れる。古株の魔女たちはこうした事への対策を重視したのである。日本はこうした魔女たちの提言を『文民統制の邪魔者』と見なしたが、扶桑での天皇は名実ともに『国家元首』である。ある意味では英国に近い統治形態といえ、日本側も(皇室がある以上は)強く文句は言えなかった。また、皇室出身であろうが、平等に魔力は生じるため、戦線に皇室軍人が立つことも当たり前だったという事実は日本の官僚の頭痛のためであった。日本では付託の悪例としての伏見宮の例があるため、当然ながら、皇室と軍事の関わりは断たせる気であったが、扶桑では『少なからずの皇室軍人が戦争で手柄を立てた記録』が残っているためと、史実よりノブリス・オブリージュの精神が根付いていることを裏付けるケースが多かったため、日本側も扱いに困った。史実では少年期に軍が終焉を迎え、昭和天皇が先鋭化していた軍の思想に染まるのを嫌っていた彼の皇太子(令和の上皇にあたる)の従軍を要望する声が扶桑では大きかった。将来の大元帥を確実視されたからだ。日本側は史実を鑑み、彼に従軍はさせない方針であるが、将来の皇位継承は避けられないため、扶桑と協議を重ね、新憲法では『皇室の軍事的権能を内閣に委譲する。皇室軍人はその身分にある間は皇室の人間としての権限は停止される。ただし、有事の際の調停権は固有の義務と権利として有する』という妥協案が採択された。扶桑軍の統制を穏便に近代化させるには、扶桑の古株の軍人たちをなだめすかす必要があったからである――

 

 

 

 

 

 

 

 

――軍備近代化に伴い、旧式扱いにされたものは多い。だが、新型兵器の配備は導入コストがかかるため、場繋ぎの旧式を使い倒す例も多かった。軽巡洋艦というカテゴライズそのものが旧態依然と化したため、結果的に『最後の艦隊型軽巡』となった阿賀野型軽巡洋艦もその一つ。武装の刷新、電子装備の強化などの強化がなされたが、軽巡故の限界もあり、阿賀野型は『最後の軽巡』としての任務を全うする事になった。5500トン級軽巡洋艦らがM動乱で退役、もしくは戦没したためで、その代替として、史実の想定通りの運用がなされた。だが、戦中型の軽巡程度の船体では内部容積に余裕がないため、近代化は限定的となった。だが、それでも、(1940年代の水準からすれば)最強の軽巡に等しい能力を誇っている。(ウースター級やファーゴ級はまだ本格的に登場していない)日本連邦は以後、巡洋艦はイージス化+デモイン級対応の攻防力を持つ『イージス巡洋艦』と『巡洋戦艦』相当の『超甲巡』が主流となるため、軽巡洋艦の歴史は阿賀野型で終止符が打たれる見込みとなった。改装後の阿賀野型は巡洋艦用のショックカノン砲塔を有し、対空装備も限定的ながらも、地球連邦軍の宇宙巡洋艦に準ずるモノを備えた。後の巡洋艦の武装は基本的にこの構成となるので、武装テストの役目も負っていた事になる――

 

 

 

 

 

 

――扶桑の造船官は日本の大衆を『俺たちの逆張りを行けばいいと思ってる』と評し、愚痴っている。艦艇が軒並み、大型化の一途を辿っているからだ。実際、特型駆逐艦の系譜は1500トンほどであったのに、電子装備、ミサイル装備を備えた戦後型は2800~4000トンに大型化している。また、生存性と万能性が至上とされたため、駆逐艦にも重装備を持たせるしかないことは扶桑の造船官の頭痛の種であった。空母は旧来の軽空母が用をなさなくなり、50000トン級でさえ『小型』に入る、戦艦も旧来の規格が軒並み、第一線級ではないと見なされる有様。大和型でさえ、大規模改装が必須とされ、ドックはこの数年、フル稼働しっぱなしである。とはいえ、この数年の技術革新で、すべての能力を飛躍させられたのは事実。対ビームコーティング塗装も普及したため、以前より全体の生存性も向上している。ただし、雲龍型空母は『航空輸送艦』に複数が転籍したが、それも近いうちに無理になるだろうと見積もられている。艦上機が大型化するからである。また、人材確保も困難さが増していた。学校での軍事教練の一切合切が廃された関係で、教練担当の将校の配置転換などの手間がかかり、更に故郷で掌返しで悪漢扱いされたことへの補償金などの問題もあり、拾得物や鹵獲品で頭数を揃えることが横行している――

 

 

 

 

 

 

――1947年にパリとロンドンから回収された『N-ノーチラス級戦艦』は正式に1949年度に扶桑の『軍艦』として登録された。艦名は『N-ノーチラス』と『スケート』とされた。正式には国連軍の所有物になるが、保守整備が扶桑の担当であるので、便宜的に扶桑の軍艦籍に登録された。武装は地球連邦軍の規格品に取り替えられ、機関も波動エンジンに換装されているので、元のままなのは外観のみである。どこかの古代文明か、異世界/異星人の置き土産という『毎度お馴染みのパターン』であった。アニメと外観は変わらないが、装甲材質や武装などが地球連邦軍の第一線級軍艦と同等のものに換装されており、戦闘力は本来よりも向上している。修復と就役に二年以上を費やしたのは、コンピュータを地球連邦軍のそれに変え、艦を少人数で完全に機能発揮できるよう、艦橋の操作機器に改良を加えたからである――

 

 

 

 

 

――野比家の地下――

 

ススキヶ原の地下空間の存在を知った日本政府は地下空間を有事の避難所にする事にし、表向きは『野比財団初の街の開発プロジェクト』という体裁で公表した。マルゼンスキーはそのPVを兼ねたミュージック・クリップに出演し、かつての名アニメ『ふしぎの海のナディア』の主題歌として使われていた『ブルーウォーター』を熱唱した。マルゼンスキーの『前世』での晩年期の頃の曲だが、ウマ娘としては『競走馬として活躍した時期より十年後の文化であるはずのバブリー文化にハマっている』ためか、本人はノリノリであった。

 

 

「ふう。お母さんが若い頃に聞いてて、あたしも子供の頃に聞いた記憶があるから、なんとか歌えたわ」

 

「歌詞、微妙に間違ってたよ」

 

「それは勘弁してよ、のぞみちゃん。何せ、子供の頃以来だったもの」

 

「あたしよりマシだって。自分のキャラソンなんて、一度も歌った事ないし」

 

「それは不味いんじゃない?」

 

「そーなんだけど、現役ん時のキャラソン、今となっちゃ、気が引けるんだよね。ネットで、戦姫なんて言われてるしさ」

 

「旦那さんの前世が王子で、今はサムライトルーパーだものね、あなた」

 

「そそ。うちのダンナ、普段は前世と同じで、私立学校の教師なんだけどね。有事になると、サムライトルーパーとして戦うわけ。あたしも驚いたよ。前世じゃ妖精だったし、あたしがいつも守ってたからさ」

 

のぞみもびっくりであった『武装・烈火』。更には『輝煌帝』。その力は圧倒的であり、パワーアップする前の自分が及ぶものではない。(そもそも、輝煌帝の鎧は黄金聖衣と同等以上のポテンシャルを誇るので、当然だが)パワーアップを重ねて、やっと『並び立てる』資格を得たと考えている。また、鎧擬亜本来の力ではないと言っているが、不死鳥のような形のオーラを纏う事があるため、のび太は『ビックリマンの要素が混じってるかな?』と言っている。のぞみはその事が、夫が前世から願っていたことであることはわかっているが、現役時代のことを考えると、寂しい気持ちがあるようだ。

 

「現役時代を思うと寂しいけど、ダンナが望んだことだからね」

 

「ブライアンちゃんの体にも慣れたわね」

 

「背丈が変わんないのもあるかな」

 

「本当のブライアンちゃんより声が高めだから、こっちもわかりやすくて、助かるわ」

 

のぞみが入れ替わっている状態のナリタブライアンの肉体が発する声は普段のハスキーボイスよりはトーンが高めである。ブライアン本人と違いがはっきりしているため、エアグルーヴもマルゼンスキーも助かっている。

 

「この艦、ハッキリ映ってたけど、大丈夫かしら」

 

「良く似た形の地球連邦軍の戦艦だと思うから、大丈夫さ。宇宙戦艦ヤマトがダイアナザーデイで戦ってるの、日本のTVも報道してたしね。まぁ、連合艦隊司令部がそのぶん苦労してるけど」

 

「戦艦大和、まっふたつに折れてなかった?沈没した時の誘爆で」

 

「この世界だと、魚雷が左右均等に当たって、沈没したみたい。他の世界より頑強な造りだったそうで、多少傾いた状態で海底に擱座してたそうな。で、脱出船の素体にしたんだけど、途中で戦艦に転じた。だから、ヤマト型は増産しにくい造りなんだって。手間がかかるから、アンドロメダのように、十隻以上も同時に作れない。だから、その分、ワンオフの高性能モデルになるんだって」

 

「ヤマトは戦艦大和の後身だと?」

 

「うん。正確に言うと、地球連邦軍が戦況を覆す最後の希望として作った宇宙戦艦の資材の少なからずに戦艦大和とその姉妹艦が基本ベースに使われたって感じ。日本人の執念って奴。それがガミラスと白色彗星、はたまた暗黒星団帝国も滅ぼしたバケモノ。『日本人の生み出した戦鬼』なんて言われてるよ」

 

地球連邦軍の精神的シンボルとなった宇宙戦艦ヤマト。前世での無念を晴らすかのように、地球に仇なす敵を尽く滅ぼしてきた事により、反地球連邦勢力や敵対的な異星人からは『絶望を与える戦鬼』として恐れられている。しかし、それでもゲッターエンペラーよりは『遥かにマシ』なのだ。

 

「元になった戦艦大和をドイツの戦艦に劣るガラクタなんて言う声もあるけど、用途が違うんだし、広い太平洋で使う戦艦と、外洋に出る事を考えてない国の船を比べるべきじゃないんだけどねぇ。M動乱で戦ったのは、史実と違う世界で作られてたし、中身はほとんどがフランスの技術だったからね」

 

戦艦大和は戦前日本の生み出した最大の工業生産品でもあるため、何かと毀損も激しいが、一時は世界三大海軍の一角を占めていた日本海軍の最高技術で作られたことには違いない。扶桑の戦艦大和は当初より『昭和19年当時の武装』で完成しており、未来世界と接触しなければ、坊ノ岬沖海戦と同様の姿となるはずであった事、船体構造が史実より頑強であるという点が異なる。未来世界の手で数度の改装を受けた後は『宇宙戦艦ヤマトを洋上で運用している』に等しい戦力となり、姉妹艦も同等の改装を受けたり、その仕様で完成している。日本の左派は大和型の速力をあげつらう事が多かったが、そもそも、戦艦は『単艦行動は滅多にしない』し、単艦の速力はあまり意味のないことである。アメリカの高性能魚雷を十本以上も食らっても浮いていられたのも、大和型のみであるなど、逆に大和型の優秀さを証明しただけであった。扶桑がヤケクソのように未来世界の力を借りて、超強化してしまった大和型は『21世紀のどんな兵器でも沈められない』と断言される代物となったのである。

 

「たぶん、今の大和をみたら、日本の連中は腰抜かすよ。上部構造物が宇宙戦艦ヤマトのそれに変わってるから。むしろ、大淀の再利用に困ってるんだよな、連合艦隊。連合艦隊司令部も戦艦か空母で固定されたから、予算も宙に浮いたし」

 

日本の大衆は『扶桑の大和型がどのような形態となったのか』は知らない。ラ號は大和型の面影を色濃く残していたが、扶桑の大和は完全に宇宙戦艦ヤマトの親戚に変わっているからである。日本の無茶な要求を実現させるためだと、扶桑は言う。『誰がそこまでやれと言った』と日本の造船関係者はぼやいた。扶桑海軍曰く、『調度品と家具を火災対策で陸揚げして、空調を止めてたら、あんたらがものすごく文句言ったから……』との事。扶桑は怪異との戦いがメインであったため、当座の防火対策は必須であった。武蔵でそれを先行して行っていたが、日本側にものすごく文句を言われ、艦長と副長を含めた全部門の責任者の更迭まで取り沙汰されたため、困惑した扶桑海軍が地球連邦軍に泣きついたのが本当のところ。嘘か真か、激昂した日本の政治家が海軍精神注入棒で武蔵の副長を滅多打ちにしてしまい、病院送りにしてしまったともいう。本当かは不明だが、時期的には日本義勇兵の参戦や日本連邦の結成の頃にあたるので、扶桑海軍が不燃塗料や不燃家具、対ビームコーティングの研究に多額の予算を費やすきっかけとなる揉め事があったのは事実だろう。少なくとも、大和においては『連合艦隊旗艦』(M動乱で大淀、ひいては日吉の司令部に移す計画が撤回された)という対外的な見栄えの問題もあり、調度品の撤去はされていなかったが、武蔵は実験艦に供されていたため、不燃対策が先行して行われていた。それが災いした形になった。この『不祥事』で艦歴にケチがついた武蔵は連合艦隊旗艦に返り咲くことは無く、大和と信濃の影としての生涯を送る。むしろ、潜水艦隊の旗艦という想定任務も、連合艦隊旗艦という役目も奪われ、その存在自体が宙に浮いた大淀型のほうが『悲劇』であったりする。大淀型は大淀、仁淀の両艦共に、1949年時点では、水上機そのものの陳腐化、連合艦隊旗艦任務を拝命することも潰えた影響で存在意義を喪失し、半ば予備役同然の有様で『軍港の肥やし』と揶揄されていたのだから。

 

「大淀?」

 

「日本最後の巡洋艦の一つで、最後の連合艦隊旗艦。日本からは燃料と鉄の無駄だからって、直ちに解体しろって言われてるけど、船の数が欲しいから、練習艦代わりにキープされてる船」

 

大淀型は悲運であったが、実際には(連合艦隊旗艦を代行する時のために)大型バルジが船体に追加されており、司令部の受け入れ準備の最中であったが、日本側が横槍を入れ、『内部容積と戦闘力不足』を理由に手を回し、潰した。日吉の司令部も建築工事が中止されていたので、連合艦隊司令部は結局、戦艦の究極といえる『要塞艦』の『三笠』とその改良艦『敷島』の姉妹艦らに置かれる事で妥協された。戦後型のミサイル艦は攻撃力をミサイルに依存するため、怪異との戦闘にはあまり向かないからである。

 

「だから、連合艦隊は日本に口を挟まれない宇宙戦艦に傾倒してんだ。予算上は空軍の管轄だから、海軍の装備の調達に影響ないからね」

 

「宇宙戦艦と艦載機を使っても、あなたの世界のアメリカ政府が折れるとは」

 

マルゼンスキーはそこを指摘する。

 

「そう。問題はそこ。現場はわかってるよ。アメリカの国力なら、マリアナ沖海戦の損害をあべこべにした有様が数回起こっても、二、三年で『元より増える』って。だから、脅しで核兵器を主要工業地帯と都市に落とす案まである。向こうが原爆を使った場合の報復で、だけど」

 

扶桑は核攻撃が起こった場合は反応兵器での報復を行い、リベリオン本土の主要都市と工業地帯に痛撃を与え、敵に絶対の恐怖を与えた上で、停戦を呼びかけるという案を考えている。

 

「あたしたちはその混乱に乗じて、ワシントンに空挺降下して、ホワイトハウスを制圧する。これが極秘の作戦案。その前に、ハワイを落として、太平洋艦隊を海の藻屑にする必要があるけど」

 

扶桑が検討を進める作戦計画は『敵がリトルボーイか、ファットマンを落とした時が発動のタイミング』とするもので、日本には知らせていないが、原爆が落とされた場合の報復措置だけは示唆している。防衛ばかりでは、扶桑国民が納得しないのも事実だからだ。

 

「魔女が独立した兵科でいられるのも、今の戦争が最後になるだろうからね。わかってる連中は他の兵科に移っても大丈夫なように、準備を始めてる。うちは『特殊部隊』扱いでで戦後も続くけど、他はね。あなた達みたいに、『明るい未来がある』わけじゃないのが、うちらの辛い所だよ」

 

魔女は科学技術と上手く共存共栄出来なければ、今後は日陰者となる。魔法に過度に依存すれば、より便利な力に駆逐される。M動乱でのミッドチルダのように。魔女の前途は多難。それはウマ娘たちにもわかる。魔女の世界の報道を見れば、『科学の急速な発展に魔法技術理論の発達が追いついていない』のがよくわかるからだ。ミッドチルダとは人々の体質が異なる以上、『魔女の世界』の魔女ははゲッターエネルギーによる進化を悠長に待てない。それこそが宮藤理論の進化を促す。何かへの危機感が理論の進歩を促す。それは古今東西の世界で共通の事柄かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――こちらはのぞみB。別世界の自分は『別人が体を使って尚も、自分がカスに見えるほど』の戦闘能力が発揮できる事に打ちのめされていた。仮面ライダー二号が身を挺して、自分を守ってくれたことで無力さを痛感したのもあり、示唆された最終形態『ドリームキュアグレース』への羨望を口にする――

 

「その力があれば……私も……あの子みたいに……」

 

「あいつは『強くてニューゲーム』を地で行くのに、更に色々と上乗せされた状態なんだ。お前が焦ったところで、状況は変わらないぞ」

 

「でも、メロディ!!」

 

「まー、ひとまず落ち着け。二号ライダーのことで、お前が責任を感じるのはよくわかる。だけど、お前がドリームキュアグレースになれるのは少なくても、あと15年くらいは待たねぇと無理だ」

 

「じ、15年!?」

 

「ま、お前にとってはそんなにかからねぇかもしれねぇが、普通に待てばな。2020年代に相手方がデビューすんから、お前、普通に年食ったら、そいつらがなる頃にはな、三十路だぞ」

 

「え~~!!」

 

「だから、あたしらにとってのお前が超弩級のイレギュラーなんだよ。旦那いて、願っていたものとは違うけど、仕事で名声を得て、エース扱い、デビルマシンの力と『草薙の焔』を併せ持つって時点で。おまけに、自己意志だけで変身できるんだぞ?盛りすぎだぞ」

 

「メロディはそうじゃないの?」

 

「あたしは別方面なら有名だけど、プリキュアとしては代替わりしていった内の一つって感じの知名度しかねぇからな。機動兵器の操縦には自信はあるけど、ガチバトルの技能は昔とあまり変わってねぇな。ま、単独で技が撃てるようになったり、変身ができる程度だな」

 

それでも、現役時代よりは能力がそれなりに向上し、単独で行動することも増えたと話すキュアメロディ。現役時代は女言葉が多めであるが、転生を重ねた後は女言葉を殆ど使わなくなっている他、回りから『ガサツ』で表される荒っぽさが出ている。

 

「今んとこは後輩と『入れ替わってる奴』と、部隊の同僚でどうにかなる。何人かは医務室で唸ってるしな。そこを守る奴も必要だ」

 

「でも、エレンちゃんと入れ替わってる子、なんだか、すっごーくぶっとんでない?」

 

「お前がいうか?それはともかく、そういう奴なんだ、そいつは。エレンも偶には休みたいって言ってたから、骨休めにはちょうどいい」

 

「それと、同僚って、あのツインテールの子?」

 

「ああ。今はあいつが元いた組織との兼ね合いで、姿を変えてもらったけどな。あいつ、元いた組織が人手不足だからって、過去に死んだ身内の名誉回復をするからって、籍を戻すように言ってきたそうだ。節操ねぇと思ったよ、話を聞いた時」

 

それはティアナ・ランスターのことである。時空管理局の執務官志望であったのもあり、動乱で大打撃を被ったからと、過去に殉職していたが、所属部隊の上官に名誉毀損をされた状態のままであった彼女の実兄の名誉回復をするから……と復帰を誘ってきた時、圭子も素で『あんたら、頭がどうかしてるのか?』と返したほどの厚顔無恥ぶりを見せた。だが、機動六課出身の『優秀な人材』はなんと言われようが、何が何でも手放さないという方針はリンディ・ハラオウン(フェイトの義母)の意志であり、時空管理局の存続のためには、地球の『靴も舐める』という覚悟という表れである。

 

「で、そいつの兄貴の名誉回復の確実な実行を条件に、籍だけは復活させてやったわけなんだけど、バリバリに戦ってるから、警察に近い組織としては不味いって事になって、別人になりきらせる事にした」

 

「いいの、それ」

 

「こっちも貸しは作りたいしな」

 

そのようなわけで、ティアナ・ランスターは前世での姿である『鴇羽舞衣』として戦うことになり、前世での『マイスターオトメ』及び『HIME』。甲・乙それぞれの高次物質化能力が融合・変質した能力を以て戦線に参加する事になった。乙HIMEは『それが存在した世界での戦争抑止力であった』ほどの力を持つが、同等以上の異能がたんまり存在し、更に光速を視認し、見切れるレベルの改造人間や吸血鬼が跳梁跋扈する場では『元の世界ほどの絶対性はない』。それでも、歴代のプリキュアと並び立てるだけの戦闘レベルはある。

 

「そいつ、今頃は格納庫の戦艦の出撃の露払いをやってるはずだ。まぁ、こっちのお前と属性被ってるけどな」

 

そう。鴇羽舞衣は地球人、その末裔である宇宙移民。その双方の時代に於いて、炎属性の能力を有していた。そのため、転生後に草薙流古武術を修めたのぞみと属性がダブる偶然があった。とはいえ、焔はビジュアル的に映えるため、組織に心理的に衝撃を与えることに成功している。彼女には前世を考えれば、元・同僚(キャロ)のお株を奪う、特大の『隠し玉』がある。それはのび太によって周知済みだ。

 

「そっちのあたし、素体になった子の力をそのまま、自家薬籠中の物にしたの?」

 

「いや、中途半端な状態だったから、戦いで仕上げて、戦間期に正式に継いだんだ。それで青い焔を出せるから、炎使いとしてはナンバーワンだな。ヤマタノオロチを倒すほどの炎だからな」

 

キュアメロディは、のぞみBに『Aが背負わされたもの』の重みを説明した。魔女の世界でのヤマタノオロチを退治したと伝わる古武術であり、Aはそれを戦いで磨き上げてきたと。故か、戦いからは逃れられなかったのだと。また、遠い祖先がヤマタノオロチを倒した故に、皇室からも一族郎党が信頼されていた事、のぞみの素体になった者は『次女』であったが、長姉が継承を辞退したので、のぞみAがその責務を継承した事、昭和天皇はその責務から自分の権限の及ぶ範囲で解放させてやりたかったのだと。だが、彼の願いは果たされず、ある意味では『ヤマタノオロチよりも恐ろしいモノ』相手に戦う事になったのは『一族の業』であると。結果的に、のぞみAはプリキュアであり、草薙流古武術の継承者という属性により、元々の志望職に転職しそこねてしまったが、ある意味では『それを望んだ』節もあるので、単純には説明できないのだが、転職を望んだのは真であるので、『戦士としての自分とは別に、家庭人としての幸福を得ることも望んでいた』一面があるのは事実であろう。

 

「わたしは……そっちの私と違う生き方を選びたい。そっちの私の分も、ね」

 

Bは話を聞く内に、Aが立場上、どうしても(皇室のお墨付きをしても)手に入れられなかった道を歩む事を口にする。世界が違えば、それだけ違う生き方があるのだから。ドリームキュアグレースもその一つのはずだと。それを聞き、安堵の表情を見せるキュアメロディであった。

 

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