ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第四百八十八話「状況説明 6」

――ダイアナザーデイでの海戦で有効性が示された大口径機銃は既存の艦艇に載せるのはかなり難しかった。大和型より前の型式の戦艦は艦上・艦内スペースに余裕がなく、近代化に不向きとされ、結局は退役か、別用途へ転用とされるなど、造船官らにとっては屈辱的な日々が続いた。だが、逆に言えば、兵器の発達で独自性の多くが淘汰されるため、設計のしやすさは向上する事になった。なお、烈風(戦闘機)はダイアナザーデイ以降も使用を続けるため、全機が戦闘爆撃機へ改修をされ、1949年でも現役であった。動力はターボプロップエンジンとされているが、烈風の大型な機体は受け入れの余地を与えたわけで、皮肉な事に、戦闘機としての性能を重視した紫電改は早期に退役し始め、烈風は戦闘爆撃機になれる余地があったことで延命が図られるという結末を迎えた。日本が異常に恐れたF8Fはどうだったかというと、戦後の推測よりも実際の旋回半径が大きかったため、同レベルのカタログスペックを持つ陣風で対処可能であった。更に言えば、パイロットの質が全体で低く、せっかくの高性能を持て余したことも、扶桑の在来機が意外に奮戦出来た理由であった。更に、日本義勇兵の大半は史実の太平洋戦争の実戦経験を持っていたため、日本機のテリトリーである低空に誘い込み、撃破する方法を取った。それも史実で『高性能』とされた機体が続々と日本機に敗北していった要因であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ダイアナザーデイはレシプロ戦闘機の最後の花道とされていたため、本土に残置する機体も続々と惜しみなく投入され、散っていった。ジェット機への切り替えのためであったが、基地インフラの更新も必要となり、結局は莫大な費用がかかる有様であった。民需優先とされた弊害もあり、太平洋戦争が長引く原因ともなった。また、戦術の大転換も起こったので、自由度の高い人型機動兵器は好まれた。(在来兵器の保有数に制限をかける議論がされたため)魔女の一部技能が進化し、ニュータイプ能力に昇華するケースもあり、それは自動的にガンダムタイプへの搭乗資格にもなった。ガンダムタイプは『落とされないことが確実なエース級にのみ与える』ことが地球連邦軍の慣習であることもあり、ロンド・ベルの分署と化している64Fのみの特権であった。旧式のガンダムマークⅡと、技術試験用に提供されたG3ガンダムはその例外であり、扶桑のバックアップに地球連邦がいることを示すためのプロパガンダ用であった――

 

 

 

 

――遠征軍 廻天の格納庫――

 

「しかし、こいつら……ガンダムタイプだったな。ワンオフの高性能機なんぞ、兵器としては異端じゃないのか?」

 

「そうだ。だが、敵のエースを引き付ける囮としての役目も背負ってるからな。連邦軍はジム系をそれこそ三桁を投入しても、一握りのエース級とかに虐殺されてきた記録に事欠かない。だから、ガンダムタイプでエース級を根こそぎ倒す戦法を取るようになったのさ。ガンダムタイプで駄目なら、スーパーロボットもあるからな」

 

黒江がブライアンに説明するが、地球連邦軍は少数精鋭部隊で敵対勢力を打倒するしかない状況が続いたため、ガンダムタイプをどんどん進化させた。パイロットがニュータイプ能力保有者か、それに近い操縦技術持ちに限定されていったのは、過去におけるいくつかの敗北の記録に由来する。一年戦争の時点で、すでに非ニュータイプの乗るガンダムは負けてきた記録があるからである。ガンダムを不倶戴天の仇敵としてきたジオンは過去の隕石落としとコロニー落としの結果、過去の人間であるしずかに『地球環境を身勝手に破壊した者たち』という悪漢の烙印を押されてしまったこともあり、大義名分が根本から崩壊。コミュニティそのものが加速度的に崩壊してきてるわけだが、スペースノイドも異星人の襲来で『連邦による安定』に思考が回帰しだしたため、ジオン残党は起死回生を図ったが、ヌーベルエゥーゴに利用されるだけに終わった。だが、存在を知られていない派閥が白色彗星帝国の遺産により、ギレン・ザビの蘇生に成功し、着々と侵攻準備を整えていた。ミネバ・ラオ・ザビさえ、その存在を知らぬ派閥がその中心である。『ジオンの亡霊は未だ健在である』。そう言いたげに、バダンに与する残党も多く、ジオンが帝政・ナチス時代のドイツを模した国家となっていた事を考えると『必然的』ですらあった。ジオン共和国すら解体された後では『凄まじいまでの執念』である。

 

「地球連邦軍が象徴を求めたのは、地球人がまとまりを失って、母星を滅ぼす結果になるのを恐れたためもある。実際、80年代に流行ったSFにあったろ?」

 

「銀河英雄伝説だろ?おふくろがファンでな……」

 

ブライアンは母親が学生時代から銀河英雄伝説のファンであると話し、黒江の言わんとする事の意味を理解していた。つまり、地球が植民星に高慢であったために、植民星側に滅ぼされ、数百年後には存在自体が忘れ去られるということである。

 

「あれに地球教なんてあったが、地球連邦は『地球統一政府』の愚を知っているらしいな?で、ゲッターエンペラーがその芽を摘み取っているのだろう?」

 

「そうだ。彼は地球を守る意志のもとに動いているから、野心を抱いた植民星は即座に滅ぼしている。銀河にあるウィンダミアという国家がきな臭いが、王族でも、ゲッターエンペラーを知っている連中は地球に喧嘩を売る事を避けてる。波動砲で首都星をぶち抜かれるか、ゲッターエンペラーに星系ごと破壊されるかの二択だぞ?ゲッターエンペラーが動いたら、降伏も何もない。殲滅あるのみだ。30世紀の軍事国家のイルミダスでさえ、国家が短期間で崩壊するんだ。それ以下の国は何の抵抗もできん」

 

ゲッターエンペラーは行動が苛烈な事から、敵視する者は多い。しかし、ゲッターエンペラーすらも『未熟な進化』であると、ゼウスは述べている。だが、ゲッターエンペラーとなった時点で、過去のいかなるゲッターも比較にならないほどの力を有している。あのガトランティスの源流であるという『イルミダス』が地球の占領からの急転直下で『国家崩壊』にまで追い込まれるほどである。最も、イルミダス母星は『ワルキューレの炎』で焼き払われて崩壊したが。

 

「だから、プロトカルチャーの遺産で、それを見た連中は襲来を恐れてる。エンペラーに、時間軸の違いなんてのは無意味だからな」

 

「プロトカルチャーとはなんだ?」

 

「今から50万年くらいの昔、この銀河の中心で栄えた星間国家らしい。分裂した時の戦争でほとんどの記録が失われたが、遺産である戦闘用の種族が銀河を彷徨ってる。それがゼントラーディって連中だ。その内の一つが地球を攻めた。日本は地下に根こそぎ避難させてたから、人工物の全てが無事だったが、他の国は遺産の少なからずを塵にされてる。だから、『宇宙人はぶち殺したる!!』ってなりやすいのさ。運の悪いことに、和解できたのは一握りで、種の絶滅戦争続きだったしな、未来世界」

 

「だから、地球を籠絡させる手を考えていくわけか」

 

「軍が精鋭でも、肝心の政府が腑抜けじゃ、張り子の虎も同然だしな。そこを突いてくる。平和が何十年も続けば、戦争を本当の意味で知る連中はいなくなる。有事への対応の仕方は時代が変われば、いくらでも変化するからな」

 

「私達はあんたらよりマシだな。力があれば、多少の常識は消し飛ぶからな」

 

「それでも、引退する時に大レースに勝てる余力があるのは一握りだぞ。あのゴルシも不可能だったことだからな」

 

ウマ娘は大半が歴代の競走馬の生まれ変わりである種族の都合上、衰えに個人差がある。ゴルシも史実の引退時には、全盛期の追い込み力は失われていた。そのことはブライアンには衝撃なようだ。

 

「私はこれから、オルフェとディープに立ち向かうんだぞ?脅かすな」

 

「サンデーサイレンス系の中でもエリート共が相手だ。まだ成長途中とはいえ、お前の全盛期並だぞ、連中」

 

「ああ。私はブライアンズタイム系だからな……。だが、全盛期の能力であれば、連中と張り合えるはずだ」

 

オルフェーヴルとディープインパクトは史実での三冠馬であるので、ウマ娘としても超A級の能力を入学時点で誇っている。ブライアンも(全盛期の時点では)世界トップレベルと言われたほどの逸材であったので、太刀打ちできる算段があるようだ。

 

「前世での親父の仇討ちか?」

 

「半分はな。ブライアンズタイムはサンデーサイレンス系ほどは走るのが出ていないしな。孫の代になると、ウオッカくらいか」

 

「お前の親戚に、サニーブライアンっていなかったか?」

 

「従姉妹だよ。スズカと同世代で、二冠を取れている。おばが『菊花賞も取れたはず…』と泣いてるのを慰めた事がある」

 

「いるのか」

 

「ああ。ブラリアンと違って、あまり顔は似ていないが、背格好は似てるから、影武者を頼んでる。ブラリアンは白だしな…」

 

「つか、ポニーやん?」

 

「それはいうな」

 

 

ブライアンは複数の親類やそっくりさんに影武者をやってもらう形で生徒会の仕事とレースを両立してきた。ブラリアンは元がポニーであるので、背が低く、更に頭髪が白なので、クリスマスシーズンなどでの影武者を頼んでいるという。

 

「サニーの奴には今度、レストランで奢る約束でな…」

 

「サニーは逃げの脚質のはずだ。バレるだろ」

 

「いや、副会長の立場と、普段が普段だから、あまり話しかけられんから、バレん」

 

「お前、スケバンっぽい雰囲気あるもんな」

 

サニーブライアンに影武者を頼んだ事、親類であるので、髪型を寄せれば、身内でも一目ではわからないくらいには似た容姿である事をブライアンは言う。

 

「姉貴にも協力は頼んである。サニーと私は髪の色は違うからな」

 

「しかし、お前、よく副会長なんてしてられたな?」

 

「ルドルフにスカウトされたんだ。あいつ、現役の末期から会長だったが、ちょうど、ヤツが二期目になるあたりで、私やエアグルーヴが入学して、エアグルーヴは会長の座を争ったが、ルドルフに選挙で負けてな。その直後だな、あいつがルドルフに心酔したのは」

 

エアグルーヴは経緯は不明だが、生徒会の選挙で敗北した後に副会長に抜擢され、以降はルドルフに心酔し、『片腕』となった。それと対照的に、ブライアンは『強すぎる故に、後ろ盾を与えたい』という目的で生徒会に籍を用意された。そのため、ブライアンは(史実の記憶の覚醒後は特に)ルドルフを呼び捨てにしている。

 

「ルドルフは現役時代の騎手が言ってたそうだ。全盛期のルドルフなら、ディープインパクトを下せただろうと」

 

「あいつの全盛期なら、そうだろうよ。まぁ、それはスズカもだが」

 

「ルドルフは大物だからな…。日本競馬史上の英傑に入るほどの。故に、ディープもオルフェも意識はしてるはずだ」

 

「あ、あいつのばーさまが誰かわかるか?」

 

「ルドルフの?もしかして、古の名馬のスピードシンボリか?」

 

「ルドルフは姉妹との折り合いが悪いと聞いた事があってな。当主の継承で次姉とやりあった時、後ろ盾になったのが、その人だとか?」

 

「シンボリ家はスピードシンボリの後はルドルフ、ルドルフの後はシンボリクリスエスが筆頭だが、シンボリクリスエスはシンボリの出じゃないぞ?」

 

「傍流らしいぞ?アメリカの。で、本家に迎えられたとか?」

 

シンボリクリスエスはシンボリ本家の出ではない。シンボリはシリウスとルドルフの引退後、それに続く馬は現れず、外国馬のシンボリクリスエスが栄光をもたらしたのは有名である。オルフェーヴルはブライアンの後継ぎを目されているが、実際は戦績が似ている以外に共通点はなかったりする。

 

 

「シンボリクリスエス。奴がシンボリの将来の継承者なんて、ルドルフも思うまい」

 

「シリウスが聞いたら、腰抜かすだろうよ」

 

彼女の存在はシンボリ本家に今後、ルドルフを継承できるほどの実力者は出ない事の証明でもあるので、ブライアンとしては、なんとも言えない。最も、ルドルフがテイオーを養子にすることもありえるが。

 

「それはメジロにも言えることだな。マックイーンは寝込んでるそうだぞ」

 

「それはゴルシとオルフェに『じいちゃん!!』と呼ばれたからだ。あいつら、余計な事を…」

 

「間違っちゃいないからな。一応。ステイからも『親父』って言われたそうだが……」

 

「野郎、ステイ系はどいつもこいつも……」

 

「いや、お前の親父だって、だいぶ年行ってからも、産駒作ってたぞ?お互い様だろ」

 

「そこを持ち出すのは反則だろー!」

 

「それ言うと、サンデーサイレンスがウマ娘になっているなら、マンハッタンカフェと瓜二つの姿になるだろうし、マックイーンにホの字だったぞ?」

 

「……牡同士のはずだろ??」

 

「いや、マジで」

 

サンデーサイレンスとメジロマックイーンはお互いの晩年期に『恋人』であったとされている。ウマ娘になっても、サンデーサイレンスがその感情を引き継いでいるなら、マックイーンは意外にモテる事になるのだが…。

 

「マックイーンはイクノディクタスに恋してるはずだが……」

 

「ああ、鉄の女」

 

「なんだそれ」

 

「知らんのか?イクノはだな……」

 

イクノディクタスは史実では歴史に残るほどの健脚を誇ったことで知られ、鉄の女の異名を持つ。孫のゴルシの頑強さの要因ではないかとも噂されるほどだ。

 

「……すごいな」

 

「イクノに聞いてみてくれ。屈腱炎から立ち直ったことがあるかと」

 

「?何故だ?」

 

「はっきりしないんだよ。他の馬の話と混じったってのも考えられるし、何分、2020年代じゃ、現役時代から有に四半世紀経ってるから、関係者に物故者が出てるだろうしな」

 

21世紀に伝わる名馬のエピソードには『真偽がはっきりしない』ものもあることから、ウマ娘達に聞く方法が模索されているが、ウマ娘達は『魂と運命は引き継いでいても、記憶は引き継いでいない』。ブライアンやルドルフ、テイオーらのように『記憶が蘇った』ことは超イレギュラーな出来事だ。

 

「機会があれば、聞いてみる」

 

「頼む」

 

「しかし、お前。今の状況を楽しんでるだろ」

 

「それは本当だ。元の世界での実家の揉め事の当事者になったから、気分を紛らわせたいのもあるかもしれんな。この世界の夢原のぞみには悪い気はするがな」

 

「この世界ののぞみは大人になっていくだろうから、いずれは学生時代の思い出の一つになるだろう。ま、あいつに自信をつけさせてやれ」

 

「わかってるさ」

 

ブライアンはアスリートであるので、のぞみの肉体の素質を容易に引き出せる。Aは色々な素地はあれど、運動能力は訓練で向上させてきた。逆に言えば、同一人物であるので、潜在能力はAと同等のはずなのだ。

 

「この世界のこいつはプリキュアになる機会はいずれは減るだろうし、本来の運命の通りに教師になる未来が待っているだろう。失敗や挫折の一つや二つ、どこかで経験していくのは間違いない。言っていたぞ、教師の夢と現実に打ちのめされないようにしてくれと」

 

「そうだろうなぁ。教職の現実は残酷だしな…。それに耐えられなかった世界線が前世なのが、お前が体を借りてるほうだ。気にするのは当然だな。理想に燃えない事が肝要だって、釣り仲間のじーさん連中は言っていたけどな。燃えると、理想と現実のギャップに耐えられないからと言っていた」

 

「それは本人が折り合いをつけるだろ?こいつはそれができなかったのか?」

 

「どうだろうな。子供にかまってやれないとか、若い期間がモンペアが栄えてる時期にぶつかったみたいだからな。その上、家庭が何らかの原因で崩壊したりと、その後の運命が暗転したというからな…。本人が話さないから、後輩から聞いた状況証拠しかないし」

 

「なるほど……」

 

「それはこの世界の自分には話したくないだろうから、お前も気をつけてやれ」

 

「努力はするさ。ガキの夢は壊したくはないしな。……オグリさんが引退しても、現役時代の体形を維持してる理由だが……自分が低迷することでわかったよ」

 

「誰かの夢を壊すことは……ある意味、最大の罪だからな」

 

ヒーロー達に限らず、誰かの夢や目標になった者には、ある種の『責務』が生じる。ブライアンも三冠を獲った後はそれで苦しんだ時期もあるが、『子供たちに夢を見させる』という責務を妹たちの存在で認識した後は、弱みを見せる事を避けている。彼女が弱さを見せたのはゴルシ相手であるため、ゴルシがブライアンの信頼を勝ち取った証拠でもある。

 

「あんたはあるのか?」

 

「ああ。前に二重人格だった時期があってな…。今からして思えば、生まれ変わる度に、人間関係がリセットされる事に耐えられなかったんだと思う。だが、ある時、田舎に帰った時、若い頃の自分に憧れてる子供を遠目に見てな…。恥ずかしいが、仮面ライダーに憧れてる自分の姿に重なって見えてな」

 

「それで立ち直ったのか」

 

「まー、自分が憧れられる立場になってる事を知れば、ガキのままじゃいられないしな。お前もそうだろ?」

 

「姪のウオッカで心当たりがある。もっとも、それは前世での遺伝学的な関係だから、向こうに私の身内という意識はないがな。誰かに憧れ、自分の背中を別の誰かが追う……。こうやって、何かが継承されていくんだろうな」

 

二人は『誰かに憧れ、誰かが自分の背中を追う』という共通の体験がある故に、意気投合した。それぞれ『現在は第一人者と言われるほどに名声があるが、若手時代は誰かの背中を追いかけていた』体験があり、その誰かのおかげで精神的な不調から立ち直るきっかけを得た体験をしたからだろう。

 

「レースに戻ったら、入場券くれよ?」

 

「アンタも勤務を休めるようにしとけよ?テイオーがぼやいてたぞ」

 

「テイオーに謝っておいてくれ。今回の遠征のせいで諦めたからよ」

 

「はちみーくらいは奢ってやれ。いや、作ってやれ」

 

「あいつ、どれだけの配合ならいいんだ?」

 

「わからん」

 

黒江は今回の遠征で、テイオーの有馬記念への招待を棒に振ってしまっている。そのため、テイオーはとても残念がっている。そのため、テイオーは『はちみー』を欲しがっているものの、当然ながら、他の世界には『はちみー』は存在していない。テイオーはその事に遅まきながら気づいてしまい、ものすごく落ち込んでいる。仕方がないため、黒江は自主制作に打って出ようというわけだ。

 

「誰か、味がわかる奴に」

 

「ああ。なんとかしてみる」

 

と、はちみーで協定を結ぶ二人。なんだかんだでブライアンも、ある意味で純真な心根のテイオーを無下にはできない事がわかる。

 

「材料はわかるか?」

 

「後で誰かに聞いとく。テイオーが好きな配合があると、マックイーンから聞いたんだが……なんだったか」

 

と、艦の出撃前ながらも普段のような雰囲気だが、それは二人が『仕事の時にスイッチを入れる』性分である事を示している。ブライアンはテイオーの『心が折れても、もがき続けた』姿に、『二人の姉のような才がないとわかっていても、二人に近づこうと努力する』自分の最愛の妹である『ビワタケヒデ』の姿を重ねているようであった。ブライアンは妹であると同時に、年の離れている『下の妹たち』にとっての姉でもある。故に、テイオーを邪険に扱っていない。ルドルフが本当の妹のように、テイオーを扱う気持ちがわかるからで、ルドルフもそこに気づいている。その事から、ある意味、ルドルフとブライアンは共感し合う関係にあったと言えるし、『弱さと向き合ったからこそ得られた強さ』があることを、黒江とブライアンの会話は示していた。

 

 

 

 

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