ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第五百四話「状況説明8」

――ガリア共和国は連合国体制の恩恵を受けつつも、ティターンズに内通するようになっていった。要因はシャルル・ド・ゴールの次女『アンヌ』(アンリとも)が1945年当時の医療技術では治療不可能な難病にかかっており、その彼女を生きながらえさせるための手段を得るために『悪魔に魂を売った』ことが始まりである。欧州の雄を自認するガリアの叡智を結集させても延命も不可能とされる難病にかかった愛娘を生きながらえさせるために。ティターンズは史実より家族愛が強い彼を利用することにし、約束どおりにティターンズの持つ医療技術を提供した。その病は23世紀水準の医療技術であればだが、治療が可能になっていたからだが、これで恩義を得たティターンズはシャルル・ド・ゴールを密かに半傀儡とし、ド・ゴールの望んだものを提供した。ド・ゴールは奇しくも、ティターンズの手で『史実通りに1945年からそう遠くない未来で失脚する』道のレールに乗せられたのである――

 

 

 

――もう一つの要因は、日本経由でガリア革命(フランス革命)当時の混乱の詳細が(漫画を通じて)伝わり、ブルボン王家の残された子供たち(とりわけ、史実で薄幸の人生の末、革命の流れに消え去ったルイ17世の悲劇は強調された)の薄幸、血で血を洗う革命の勢力争いの末に人々が選んだのが、ナポレオン・ボナパルトの帝位獲得という本来の目的からは皮肉な出来事であった事が改めて示された事、シャルル・ド・ゴールが解放後の人心掌握のために、かつての貴族の持つ権威を必要としていたという報道がセンセーションを巻き起こし、混乱状態のガリア国民を余計に狼狽させた。日本にとっては『歴史的事実』であろうと、ガリアにとっての革命時の混乱状態は黒歴史に近いものであったため、ド・ゴールの起こした政治的失態が合わさって、ガリアの人民はそれをもたらした日本連邦を逆恨みするようになり、それがド・ゴールの提唱する『ドゴーリズム』への熱烈な支持に繋がっていった。それがド・ゴールにガリアの独自外交路線の大義名分をもたらし、それを邪魔するペリーヌ・クロステルマンを疎んじる心情となり、ペリーヌは様々な勢力により、七回も暗殺未遂に遭う。皮肉にも、ガリアはティターンズからの援助で軍事的復興の端緒につけたのである。日本連邦に負けじと、裏取引で得た情報をもとに軍事技術の開発を進めるが、悲しいかな、解放後のガリア本土には膨大な軍事面の需要に応えられるだけの鉱物資源の備蓄量は無く、植民地からの輸入が大勢を占めるようになっていた。ティターンズと関係を持ったのは、鉱物資源の備蓄量の減少にガリアの首脳部全員が強い恐怖を持ったからで、ティターンズはそこに上手くつけいることで、欧州侵攻の足がかりを得たのだ――

 

 

 

 

 

――しかしながら、現場のガリア軍人はそんな首脳達の策謀と無関係であるため、大真面目に欧州防衛に燃えており、消極的な政治家を罵る者は多かった。ガリア空軍の主力がダイ・アナザー・デイの緒戦で大損害を負うのも、ド・ゴールにとっては『ティターンズの医療技術を得る』ための生贄であり、折り込み済みのこと。扶桑やカールスラントの影響力を削ぐための尊い犠牲であったのだ。ところが、彼の予想外はカールスラントの(ドイツの介入による)自主的軍縮、その影響で矢面に立たされた扶桑が死にものぐるいで戦ったことである。加えて、事変の英雄部隊の復活とされた『64戦隊』が『どうあがいても絶望』な戦力差のあるダイ・アナザー・デイの陸戦の様相を覆してみせたことである。更に、人々の願いが奇跡を呼んだか、かつての英傑達が蘇るという珍事も起こり、その中にペリーヌ・クロステルマンが擬せられ、彼女自身も強く憧れていた悲劇の人にして、聖女『ジャンヌ・ダルク』が含まれていたのも、ド・ゴールの計算外であった。ジャンヌ・ダルク本人が生前の美しき姿のままで蘇り、生前の奇跡の祝福を自己意志で行使できる状態であることはガリア国民には文字通りに『奇跡』であるが、ド・ゴールにとっては、政治的目論見を打ち砕く元凶であった――

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイの戦場は古今東西の英傑たち(生まれた時代や場所を問わず)が集う場に変貌し、形を問わずに活躍した。ガリアは連合国体制に留まっていたため、ジャンヌ・ダルクの活躍を報じることは大手を振って行える。その事をガリア国民の啓発に利用したのである。ジャンヌ・ダルク自体は生前と違うスタンス(素体がルナマリア・ホークであるので)で戦い、所属も地球連邦であるため、便宜上は『ルナマリアのした事』と処理されている。とはいえ、英霊としての宝具も使用していたので、ガリアはそこを強調した。『生前は魔女として火炙りにしておきながら、黄泉がえり後は聖女扱い』という経緯を考えれば現金なものだが、ガリアは国民を激励し、かりそめの希望を与えつつ、将来における日本連邦との対決に備えていくが……――

 

 

 

 

 

 

 

――カールスラントは相次いだ将校の不祥事とドイツの独善による一方的な通告により、内外で崩壊寸前かつ、メンツ丸つぶれになった。肝心要の科学力も、日本連邦がオーバーテクノロジーを使用し始めたことで優位性を失う事態に陥った。技術の出し惜しみについては、ドイツからも厳しく糾弾され、燃料噴射装置やジェットエンジンのパテントをタダ同然に値切られてしまった。日本連邦に出し惜しみしたら、遥かに進歩した同一のもので市場から駆逐されてしまった上、ドイツにとっては『極めて初歩的な技術』でしかなかった故、タダ同然の値段で輸出するようにされたからだ。国産軍用機も多くが生産中止になり、リベリオン製のライセンシーに切り替えられていったため、航空王国と誇った頃の威容はダイ・アナザー・デイを境に失われていった。これは国産機の多くが長距離侵攻を考慮しない時期の設計であった事、旧世代の双発機や多発機を使うくらいなら、ジェット機を戦闘爆撃機として使えばよかったからだ。ダイ・アナザー・デイに人的資源的意味でしか貢献できなかったことは以後の時代、カールスラント空軍の精神的トラウマとなり、この時期に将校であった者は多くが日本連邦の傭兵も同然の状態で最終的な軍歴を終えていく。その事は数十年後、大戦世代が定年になる1980年代以降に『海外勤務と扱う』ことで政治的に決着を見る。1940年代前半には軍歴が既にある『黄金世代』の魔女の大半が日本連邦の従軍歴を持っている事になっていたからだ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――カールスラントの黄金世代の魔女達はコンドル軍団の経験者を皮切りに、次々と祖国に事実上の見切りをつけ、日本連邦に部隊単位でヘッドハンティングされていった。機材ごと日本連邦に渡った者も多数に登ったが、これはドイツが指導しての軍縮に反対してのものであった。ドイツも名だたる撃墜王の大半が既に日本連邦のヘッドハンティングを受けていたこと、想定外にショックが大きく、全空軍の熟練者の8割方は日本連邦の誘いを受諾した状態になっていた上、六割は既に現地で勤務中であった。さすがにドイツも、軍事的に同位国が無力化してしまう瀬戸際であると理解した後は大慌てで日本連邦と交渉し、彼女たちを『カールスラント義勇兵』として正式に派遣したという体裁にすること、あくまで『彼女たちの正式な軍籍はカールスラントのそれが継続されること』と条件をつけれたが、お目当ての者達は既に日本連邦の永住権を得ていたというオチがついた。そのため、コンドル軍団に所属した経歴がないものの、世界有数の猛者とされていたグンドュラ・ラルがカールスラント空軍の総監として、異例の長期政権を保つ(代わりがいない)。カールスラントの疎開先である『ノイエ・カールスラント』は土地との結びつきがどうしても薄い都合上、魔女の輩出数は多くない上、質も低下していたからだ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――日本連邦では太平洋戦争が史実で『軍隊が解体された時期』に起こることが確定事項と認識されたため、1946年頃の魔女のクーデターを無慈悲に裁いた(戦争遂行のガンと見なした故)わけだが、それが災いし、肝心の太平洋戦争で極度の人材不足に陥った。これは特に魔女では顕著に表れ、黄金世代に依存する人員構成に逆戻りしてしまった。そのため、参謀に退いていた魔女出身者を現場に復帰させることも行われたが、上手くいかないことのほうが多く、義勇兵受け入れに舵が切られた。ダイ・アナザー・デイ後は世界各地で軍縮の機運が高まり、熟練の魔女の多くが職にあぶれており、日本連邦はその彼女たちに居場所を与える代わりに、日本連邦のために戦ってもらう手法を用い、大成功を収める。魔女の魔導理論が科学の発展に追従できなくなり始めた上、魔女の育成で必要と見なされていた『錬成教育の短縮』が兵器の急速な高度化で、魔女本来の寿命と軍務に必要な教育期間が釣り合わなくなって、育成方法が破綻を来した上、エレクトロニクスの普及が『中学校にも通えない農村地域出身者や、無学者の魔女』を実質的に淘汰してしまった形になったためである。そのため、既に実務経験があり、一定の教育を済ませてある義勇兵は日本連邦には必要不可欠であったのだ――

 

 

 

 

 

 

――ガリアの不穏、ブリタニアの軍事力の衰退、カールスラントの『崩壊』により、相対的な超大国に登りつめた日本連邦であったが、独力でリベリオンと戦えと言われているに等しいため、結局は人材を他国からも雇用せざるを得ない状況となっていた。また、日本は建前として、扶桑の戦争に大規模の介入はできない(したくともできない)ので、扶桑の行為にフリーハンドを与えるしかないのだ。扶桑の軍制度を圧力で変えさせた事の見返りである。特に海軍の特務士官を廃し、兵学校出身者の立場を弱めたことは『功績』であると誇っていたからだ。この日本主導の改革は強い副作用を生み、扶桑海軍の機能不全を生み出した。連合艦隊司令部直属の戦力が掃海、制海に駆り出されているのは、この機能不全が主な理由である。また、角田覚治を機動部隊司令に添えた事には(史実で基地航空隊を壊滅させたことで)強い批判が生じたが、当時の扶桑で小沢と山口が辞任した後の機動部隊の適任者は彼しかおらず、妥協的に就任した。扶桑の人材不足の証明と批判されたが、基地航空隊が指揮下から外れた海軍には空母機動部隊の指揮に足る人材が少なく、積極的性格の彼が推された(小沢はあ号作戦で敗北していた)のもあった。角田自身は巨砲主義者であったが、推薦で引き受けた。洋上空母決戦すら避けられるようになったが、空母機動部隊を軽視していない事の象徴とされたのである――

 

 

 

 

 

――かくして、ダイ・アナザー・デイでは、史実の雪辱と言わんばかりに、紫電改や雷電が活躍した。30ミリ機銃に換装された機にバラバラにされた重爆も多数に登る。超重爆迎撃のため、日本連邦の機体は25ミリから30ミリ機銃装備が当たり前になりつつあった頃であったからだが、実際にはB-29には構造上の弱点が明確に存在しており、そこさえ攻めれば、隼でも落とせるのだが、日本は過去のトラウマにより、一撃で落とせる火力を求めた。その結果、日本連邦の要撃機が逆さ落としに重爆に突っ込んでくるというのは当たり前になっていった。紫電改、雷電、陣風などを矢継ぎ早に投入した日本連邦はより強力な新型機である『震電』を量産していく構想を練っていたが、横須賀航空隊が『ストライカーを差し置いて、実機のテストを終えるとは何事か!』と反発した事により、頓挫。震電自体、史実で実績がないため、量産計画はすぐに世代のより新しい『F-86』に変更されてしまった。横須賀航空隊はその柔軟性の欠如により、日本側から後に『震電の実戦の機会を奪った無能集団』のレッテルを貼られてしまう。実際には、『ストライカーのテストを終えてから、実機のテストを終わらせる』という慣習があり、彼らは震電のテストに緊急性を感じなかっただけである。戦線の状況を楽観視していたのもあるが、陣風が自分達の頭ごなしに実用化された機種であるため、その意趣返しのつもりであった。だが、F-86が現れ、震電や閃電などのテスト中の新型機を一夜で旧世代に変えてしまうと、自分達のしたことで、国産機が駆逐される恐怖を抱き、数日で震電のテストを終了させたが、F-86の登場後の時勢、レシプロ戦闘機でしかない震電の居場所はなかったのだ。横須賀航空隊はその一年後の不祥事でテスト部隊としては完全に息の根を止められ、人員は懲罰的に前線に送られ、ほとんどは戦死していった(禊としての死に場所を求めたのも大きいが)。震電は結局、命名規則の変更もあり、場しのぎかつ間にあわせの廉価版ジェット戦闘機でもある『震電改一』の抜本改良機の改二が『蒼莱』という名称に変更された上で、1950年代に量産されるのである――

 

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑国産機の系譜は震電の系譜がかろうじて生き残るのみとなった。閃電などの同時期の対抗馬と目されていた試作機がクーデターで失われてしまった事が最大の要因であったためで、扶桑の航空機は次第に戦後の米軍機のライセンス生産が主流になる。震電の系譜は扶桑の技術陣のせめての希望として機能した。一時は欧米に比肩する航空大国であったはずが、自主開発のリスクを鑑み、ライセンス生産に切り替えられるか、少数生産になるというのは、気骨ある技術者には耐えられない現実だったのだ。震電の系譜の開発継続は横須賀航空隊や台場大尉の一件を鑑みた『対策』であった。烈風が零式の最終発展でありながらも、戦闘爆撃機としての生涯を送ったことで正式な系譜に加えられる事に議論が生まれている。日本はそれを『航空技術の維持のための自己満足』としたが、自らは21世紀に至るまで国産戦闘機どころか、旅客機も飛ばせない有様であったため、扶桑の航空技術を日本に吸収し、将来に希望を残すための手段とするため、扶桑の航空技術を維持させた。それが日本なりの『衝撃降下90°』への手向けであった。この時の施策は数百年後の日本で『コスモ・ゼロ』と『コスモタイガーⅡ』という形で結実する。同機種は22世紀の終わり以降、地球連邦の誇る最強の戦闘機として君臨したが、扶桑技術者たちが日本に提供したノウハウが巡り巡って、地球の守護天使になったのである――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――自由リベリオンは亡命政権の体裁は整えられていたが、実質的に政府の指揮下から離脱した遠征軍が扶桑の領土を間借りするための方便であった。9割方が陸海空軍と海兵隊の軍人で、純粋な文民はごく少数であったからだ。日本側は『トラブル回避のため、自由リベリオン海軍の人員は艦船から出ないように』という要望を出そうとしたが、アメリカ合衆国の圧力で撤回するなど、どうにも締まらなかった。それと関連し、日本側は史実のトラック島とパラオ島の戦訓から、泊地の警戒態勢をずっと最大級のものにするように指示しており、現地人員から不満が出まくっていたので、結局は電子装備の充実や新式艦艇による哨戒網を泊地周りに構築する事にし、それが索敵系の魔女の仕事減少の一因となった。後に、この戦争が起こった原因を後世の人々が調査するが、リベリオンが日本連邦の超人と超兵器に強く恐怖を抱いていた事が後々に向けて遺していた手記で判明する。元々、扶桑はリベリオン西海岸に植民地を持っていたが、リベリオン合衆国が成立する過程で失っていた。その際にリベリオン人たちは扶桑人たちを大陸原住民共々に虐殺したため、その時の復讐がなされることを潜在的に強く恐れる心理を持っていた事、事変の伝説に対抗可能な人材が自軍にはない現実、その扶桑に与した側への恐怖心が戦争の拡大の要因であったのだ――

 

 

 

 

 

 

 

――その扶桑は仕方がなく、超人に頼るしかないという現状があった。1945年当時の魔女の中堅層が命令に従わなくなったので、超人たちをフル活用するしかなくなったのだ。真ゲッターロボやマジンカイザーなどの超兵器が怪異を問答無用で倒せることを示したことも、魔女達の恐怖を煽った。怪異は日々巨大・強大化。それに魔女達の力が追いつかなくなり始めた上、ティターンズの超人たちが普通に魔女より強大であったからである。マジンカイザーや真ゲッターロボはそのティターンズを一瞬で恐怖のどん底に落とせる力を持っていたわけだが、魔女が軍事的に主導権を握れなくなる現実に抵抗する者も多くいた。ミーナは共闘関係にありつつも、真ゲッターロボの強大さに強い恐怖を抱いていた。それが超兵器への理解を阻む一因となった。更に、彼女は事変の伝説を与太話と解釈しており、坂本が黒江たちになつくのに嫉妬した。その嫉妬が彼女を余計に追い込んだのは当事者の間では周知の事実。だが、ミーナは外聞的には『理解ある将校』で通っていたため、その評判に傷が付けば、引退後の転職に支障をきたす。ハルトマンとバルクホルンはそれを懸念した。ハルトマンはミーナ個人は見限っていたが、長年の付き合い故か、ミーナの世間体くらいは守った。友人としての最後の務めとして。ロンメルはハルトマンをマルセイユと共に説得し、そのお膳立てをした。入れ替わった後のまほにも協力させた上での偽装工作と言うやつだ。坂本たちも口裏を合わせたため、ミーナの醜聞は世間には露見せずに済んだのである。64Fの編成はその偽装工作の最中に行われ、武子の着任もすぐだが、その前に多くの統合戦闘航空団隊員が離脱したので、残された戦力は多くなかったが、幹部級は菅野、黒田、竹井、雁淵(孝)が残留、迫水ハルカも加わった(立場はかつてと違い、智子の副官だ)ので、結成当初の時点でも強力と見なされた。なお、その時点でガランドは引退の表明をしていたので、暫定的に連合軍内ではジョージ・パットンの指揮下にあったが、後にロンメルとパットンの合同となり、そこに山下奉文大将が加わる形に落ち着く。ダイ・アナザー・デイ後も部隊が存続することになったからだ。――

 

 

 

 

――離脱した統合戦闘航空団の隊員の穴埋めは意外と簡単であった。残留した中島錦(彼女は覚醒直前までは一般隊員であった)が夢原のぞみに変身し、キュアドリームに戻ったのを皮切りに、プリキュア達が矢継ぎ早に覚醒を遂げ、隊の一翼を直ちに担ったからである。プリキュア達が軍人扱いで遇されたのは、プリキュアになった者が連合軍の士官であったための暫定措置が始まりである。特に、錦が転じた夢原のぞみは、のび太からの情報で『プリキュア界隈における風見志郎』という例えがされるほどの大物であった事から、彼女の登場は大げさにプロパガンダがされていった。時空管理局やのび太経由でプリキュアは続々と増加していき、ダイ・アナザー・デイがたけなわを迎え、地上空母が姿を見せた時には、第一世代のリーダー格はほぼ全員が参加、第二世代も多くが参戦するに至った。また、時空管理局経由で自主的に参加したキュアラブリーとキュアハートの例があるように、いざという時の結集率は良かったのである。かくして、のぞみはダイ・アナザー・デイを戦い抜いたが、その後は前世での本職に戻るつもりであり、ダイ・アナザー・デイ直後に予備役に退き、教職に就くと公言。皇室のお墨付きも得て、転職が内定していた。だが、その段階で『軍人の教職への転職』を問題視する者たちの日本からの横槍が入った。ダイ・アナザー・デイの戦功で最初に表彰されてからすぐのことである――

 

 

 

――日本側の当事者達はのぞみが歩兵科ではなく、飛行科のエリート将校であり、しかも航空魔女であったことに青くなった。歩兵科の学徒動員出身の少女だと思ったら、航空士官学校を出ているエリート軍人であり、航空魔女として統合戦闘航空団に所属していたこともある俊英。しかも、歴代プリキュアでも特に人気がある『プリキュア5の中心戦士』の本人という箔を持っていたとなれば、日本政府も無視できなかった。この騒動は既に語り尽くした感があるが、結果的に扶桑でののぞみの立場を確立させたのも事実。しばらくは腫れ物扱いであったが、デザリアム戦役での戦功が伝わり、『教職にはつけられないけど、軍で出世させるから堪忍ね』と日本側は決定した。扶桑の予備役制度の是非にまで話が膨らんでしまったからだ。日本側は『一士官の転職の話だったのに、なんで他の連中まで影響すんの??』と困惑したが、皇室も認めるエリートであった故、何かあれば、社会全体に強い影響を及ぼしてしまうのである。結局、日本はのぞみに転職を諦めさせる代わりに『軍の中で好きにさせるから……』という妥協で内部を統制し、『扶桑の社会制度にまで口出しするつもりはなかった』といいわけをするしか手がなかった。混乱に巻き込まれた予備士官達を最前線に送り込むことも行われた。要は口封じだが、彼らへの損害補償を恐れた日本側としてできる『合法的な口減らし』でもあった――

 

 

 

 

 

――扶桑では、魔女になれるためか、女性の地位が史実よりだいぶ高いという特徴があった。日本側の左派勢力はそれを軍の力によるものと解釈し、1944年~1946年までの間に引っかき回していった。そのせいで、魔女の地位、ひいては扶桑での女性の地位が却って下がる有様となった。彼らは自分達が非難される立場になると、いいわけを重ねるばかりであった。その償いを求めた扶桑は日本に『素質のある人間をスカウトしてよろしいか?』と脅し、日本も『国民の教育制度を日本に合わせてくれるなら』という条件で呑んだ。これにより、扶桑の学制は日本とほぼ同じものになっていったが、農村部の嘆願で『士官学校の学費免除や学費減免』は(農村部の子弟、戦死した軍人の子が高等官になれる機会は『軍人』になることでしかなし得ない現実もあって)七~十年の勤務義務を条件に、制度が続けられた。また、師範学校も順次、新制大学の教育学部に移行。在籍中の生徒は優先的に入学が許された)扶桑はこのような取引と引き換えに、魔女の戦線への供給を維持したのである。社会的に、農村部の前時代的な風習の多くが否定され、戦争に全てを費やす思想も否定された事から、軍事優先思想は一気に萎み始めた、だが、魔女への信仰も自然に萎み始めてしまったため、プリキュア達はその防波堤とされたわけである。つまりは『魔女狩りを起こさないための人身御供』であった――

 

 

 

――扶桑外務省では、その間に親カールスラント、親オラーシャの二派が衰退し、親英米派が伸長した。これは史実での独露との外交で翻弄されてきた経緯によるもので、特にカールスラント派はナチスとの同盟による破滅の史実の関係か、特に衰弱。残された外交パイプが軍人の持つ個人的繋がりという皮肉な結果となった。オラーシャは21世紀での世界情勢急変の当事者がロシアである影響でろくに援助してもらえず、皇室は辛うじて守られたものの、国家が数個に分裂してしまい、怪異への対応力は無きに等しくなった。扶桑はそうして、やむなく超大国に登り詰めていった――

 

 

 

――そんな世界情勢は扶桑の超大国化に大義名分を与えたが、沖縄から軍が左派の政治圧力で退去させられ、代わりにMATが駐屯するなど、国内も安定しているとは言いがたい有様であった。結局、64Fの超人たちにおんぶにだっこな現状の緩和どころではなく、彼女たちの好きにさせる代わりに、戦線を維持してもらうという結論となった。これはジオン上層部がキマイラ隊で目論んだ事を、それより過去の日本連邦がなし得ていたことになる。そのジオンはキマイラ隊を含めての内輪もめで常に敗北してきたが、それはラプラス戦役でも例外ではなかった。その事実を知った者が魔女の世界のティターンズに協力するという堂々巡りになり、彼らの軍備がティターンズに流れた。地球連邦もそれに従い、扶桑に相応の軍備を提供していったため、太平洋戦争は連邦(旧エゥーゴ)とティターンズとネオ・ジオン残党の代理戦争の様相を呈していった――

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑はカールスラントの軍事生産力が失せた影響で、自国がその代わりにならざるを得なくなった。だが、1944年時点での兵器生産能力は見かけの国力に比して低かったため、地球連邦が提供した『自動生産工場』が以後の時代の兵器生産能力の主力となった。扶桑はエンジニアが史実より多めであるが、工員の動員はすぐにはできなくなったため、自動生産工場は最高機密として守られつつ、次第に増強されていった。この自動生産工場はゼントラーディからの鹵獲品をドラえもんの道具で増やしたり、未来世界から運び込んだものであったが、扶桑にとっては救世主であった(日本の要請での軍事区画と民間区画の分離に寄与できた事から)。特に加速度的に複雑化する兵器の増産は自動生産工場の稼働無しにはなし得ないものであった――

 

 

 

 

 

――太平洋戦争の開戦後、日本は扶桑の機甲戦力の詳細の把握に務めた。1949年時点では、インフラの整っていない本土では軽戦車が主流であったが、既に能力が陳腐化した旧型が多いことを把握すると、当時の本土のインフラで運用可能な軽戦車では最強であった『M41軽戦車』への置き換えを進め、その前型である『M24軽戦車』共々、戦前の国産車を置き換えていった。インフラが整うまで、中戦車や重戦車の大半は最前線である南洋で運用されたわけである。とはいえ、軽戦車は騎兵出身者に好評であったため、最前線でもしばしば運用された――

 

 

 

 

 

 

――太平洋の前線でのプリキュア達への支援に駆り出される機甲部隊の多くはM41軽戦車を運用していた。騎兵から転じた部隊が多くいたためと、既にM24は能力不足が露呈(ダイ・アナザー・デイで大量に失われ、鹵獲運用されたため)していたからだ。1943年当時の平均的な中戦車(Ⅳ号後期型)に匹敵する火力は騎兵閥にとっては充分であった。史実での太平洋戦争と違い、歩兵が満足な対戦車兵器を持っていないため、M41はほとんど無敵(バズーカ砲は当時、魔女のみが使っていたため)であった。魔女の人的資源が既に枯渇状態にあったため、バズーカ砲は歩兵にも配備が行われたが、日本連邦の通商破壊と怪異の攻撃で数が少なく、戦線の様相を変える効果は見込めなかった。日本連邦は既に戦後型対戦車兵器の配備を進めていたのに対し、バズーカ砲すら満足に配備できないリベリオンだが、数の力で圧しつつあり、日本連邦はプリキュア達を火消し役にし、戦線の均衡を保っていた――

 

 

――ダイ・アナザー・デイと太平洋戦争に少数ながらも参戦した自衛隊は古今東西の兵器博覧会と化している戦場の様子を報じている。プリキュア達はティターンズやジオン残党の暴虐ぶりが知れ渡ったことから、彼らと戦う様子が報じられるようになった。彼女たちの本来の相手よりも『よほど恐ろしい』とされたのは、外道な手段も躊躇なく実行するからである。現役時代は笑顔を絶やさなかったはずのキュアハートをして『ド外道が!!』と吐き捨てるほどの所業をすることも多い。『洗脳した魔女に味方を皆殺しにさせた後に自爆させる』手法も用いているため、血で血を洗う戦いも当たり前であったからだ。そのため、現役時代の浄化技が無意味である(そもそも増幅させるべき善の心がない)外道も多いため、それ以外の手段で倒すことも容認されていた。その最たる例は『シャインスパーク』や『ストナーサンシャイン』であった。プリキュアたちの中でも、その境地に達した者は少なかったが、元々、同系統の技を持っていたキュアドリームは『シャインスパーク』を現役時代の『プリキュア・シューティングスター』に代わる切り札として定着させた。それはダイ・アナザー・デイ中からの事であった――

 

 

――2023年――

 

「ああ、ハヤヒデか。私だ。君のご実家の事はゴールドシップから聞き及んでいる」

 

「ブライアンは夢原女史と入れ替わっているようですが、大丈夫でしょうか」

 

「そちらに滞在している世界の雑誌を送っている。それに載っている写真を見てくれ。現況がわかる」

 

「は、はぁ」

 

シンボリルドルフはドリームシリーズの出走が終わった後、大学への進学(トレセン学園の大学部である)が決定したため、その準備と残務処理を名目に、野比家に戻っている。元々はマルゼンスキーのために作られた面があったが、シンボリルドルフなどの年長組が大学への進学を控える年齢になったことから、年長組の人材流失を防ぐための手段として使われ始めている。

 

「これは……キュアドリームの……すると」

 

「ああ。そのカットはブライアンが入れ替わっている時に撮影されたものだ」

 

それはシャインスパークの発動に必要な『ゲッターシャイン』を起こした時のカットであった。ブライアンが入れ替わっていても、技を問題なく撃てるという証明であるが、『仕事』と割り切っていても、妹に大仰に技名を叫ぶ胆力がついたことを嬉しがるハヤヒデ。

 

「あの子が、このようなことをできるようになるとは」

 

「ブライアンは子供の頃、引っ込み思案だと聞いたが…」

 

「ええ。いつからか、今のような振る舞いになっていきましたが」

 

ハヤヒデは妹が意外にノリがいい事を知っている。子供の頃はTVのヒーローやヒロインを見て、変身願望を抱いていたことも。ブライアンは内心にその頃の自分を封じ込めているが、パニックに陥る何かがあれば、それが顔を見せることを心配している。それを上手く変化させられれば、ブライアンは『王者』に戻れる。台頭してくる若手のリーダー格であるオルフェーヴルやディープインパクトへ対抗するだけのポテンシャルはまだ残されているという事は知っている。ブライアンが何故、プリキュアの体を借りたのか?その答えを知っていたのだ…。

 

 

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