ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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第五百七十八話の続きです。


第五百八十五話「取り繕いの終わり」

――日本連邦の体制は長い年月のすり合わせの末、合議制と事後承諾の有事即応が取り決められた。扶桑の近衛師団は(扶桑の皇室の他国への体面や反乱へのカウンターとして必要とされたため)規模の縮小と人員整理が大規模に断行されつつも『連隊』規模に縮小されつつも存続。連邦憲章には議会制民主主義と立憲君主制が明記された。日本連邦軍は双方の軍隊から部隊を供出しつつ、有事に結成される事などが明記された。この日本連邦が後の地球連邦の起原となるのである。軍の装備はなるべく、自衛隊に合わせる事が模索されていたが、結局はお互いの時代の差の違いが大きすぎる故に『努力義務』に留められた(扶桑には、戦艦や重巡洋艦などが普通にある時代なので)――

 

 

 

 

 

――その努力義務により、独自装備の保有の余地が認められたため、戦艦や重巡洋艦などの保有枠が存続した。日本側は戦艦や重巡洋艦と完全に同価値の戦闘艦艇を用意できないからだ。とはいえ、重巡洋艦は大半が1920年以前の設計の老朽艦であり、史実では20cm砲に換装された艦が換装されていない(即応性の高さが推されたため)ケースもあった。故に、代替艦の新造が急がれた。利根型は(史実のM1作戦の敗因と言われることもあり)『縁起が悪い』と、その運用が日本側に忌避され、退役に追い込まれた。最上型も『軽巡洋艦として造られたから』と軽視される有様であった。その代替として造られたのが『伊吹型重巡洋艦』であった。設計は史実通りに最上型の改善型だが、クーデターでの破壊工作のせいで、その竣工が遅れに遅れた。特に伊吹は空母化の資材が工廠に運び込まれた段階での撤回であったので、造船側が混乱したのだ。伊吹の原型である最上型は1946年の段階で性能が陳腐化していたが、高雄型以前の艦型が老朽化していたため、妥協的に建造された。改高雄型と言える新型は1950年代以降の就役の見込みだったからだ――

 

 

 

 

 

 

――なお、ダイ・アナザー・デイで鹵獲されたミッドウェイ級空母は直ちに修理され、日本連邦海軍の戦力とされた。政治側は外貨獲得手段として『自由リベリオンへ直ちに譲渡しろ』と圧力をかけたが、扶桑の空母は35000トンの大鳳が最新の状態で、その量産も頓挫していた。そのため、ミッドウェイ級の譲渡は妥協的に棚上げされ、場繋ぎでの運用が決められたのだ。(扶桑は史実の信濃相当の空母の造船を所望したが、日本側はキティホーク級相当を望み、却下したための弊害)こうして、栄光の第一航空戦隊の旗艦の地位はミッドウェイが場繋ぎで継承する事になった。当初は魔女たちが赤城らの代打としての運用をする事を望み、妥協的に直線甲板のままでの運用が内定していた。日本側はそれを『使い物にならない』と却下し、直ちに史実最終時相当の艦容へ改装された。それは魔女たちの地位低下の象徴となった――

 

 

 

 

 

 

 

――一時に吹き荒れた『日本の暴漢の暴行』。それであえなく病院送りにされた連合軍将官は多く、カーチス・ルメイやマーク・ミッチャーなどが餌食となった。彼らはダイ・アナザー・デイでの指揮の機会をむざむざ逃す事になり、多くが1946年頃まで病院で唸る羽目となった。これは日本を公務で訪れ、護衛を伴わぬ時を狙われたためであった。マーク・ミッチャーは『坊ノ岬沖海戦の一件』への逆恨みだったという。この暴行は士官(参謀、将官まで及ぶ)層中心に行われ、金属バットがベコベコになるまで殴打され、瀕死の状態に追いやられた士官もいたという。犯罪の横行を見かねた在日米軍が自主的に護衛をつけることで沈静化したものの、マーク・ミッチャー提督が重傷を負ったのは、自由リベリオンには痛手であった。彼は史実を考えれば、1946年前後に心臓病で亡くなるからである。日本側も『史実の彼らとは異なる存在であるので、史実の行為の是非を問うのは無駄なことだ』と声明を出したものの、連合軍の提督や将軍は『別の自分の選択』が自らを苦しめる事になるため、日本行きを恐れる者も出てしまうのであった――

 

 

 

 

 

 

 

――その関係もあり、黒江や智子のような『新進気鋭の若手将校』は重宝された。史実で相当する者が航空部隊のエースである上、性別が反転しているために『史実の人物と同じポジションの同位体だけど、別人です』という理屈が通じやすいからだ。その一方で、政治と官僚が嫌った者が『プリキュアオールスターズの転生体にあたる軍人』である。往時の能力と記憶を持ったままで軍人をしていたケースが複数確認され、中には扶桑きっての武門の名家の後継者がプリキュアオールスターズの転生者であったケースも複数あり、当事者のみならず、政治と事務方の関係者を悩ませた。日本側はこの『プリキュアオールスターズの転生者』の出現が一番の頭痛の種であり、のぞみの一件では『大きな借り』を扶桑に作ってしまう事になったため、取り扱いに困っていた。しかし、下手に扱うと、逆に政権が転覆しかねないほどの騒動になってしまうので、最終的に『触らぬ神に祟りなし』の理屈が認知され、基本的に『プリキュアオールスターズで正規軍人になっていた者は士官級の階級を与え、前線で戦わせる』という了解が連合軍の間で共通認識となった。それが扶桑の戦意高揚キャンペーンの展開に待ったをかけた侘び代わりとして扱われた――

 

 

 

 

 

 

――実際、魔女たち(とりわけ空戦魔女)の軍事的価値が大きく低下した時代を迎えた後では貴重な『一騎当千を近代戦で約束された者』であるため、プリキュアオールスターズは(のぞみの一件の騒動が収まった後からは)連合軍の全軍で厚遇されるようになり、ダイ・アナザー・デイやデザリアム戦役の実績から、連合軍期待の戦力と扱われるようになった。虫の良い話だが、ある意味、魔女たちが自分でガタガタにした社会的信用を回復させるための役目をプリキュアオールスターズが担った格好になったわけだ。その内のキュアドリームは戦いの中で、後輩のキュアスカイと違い、自己の精神状態の不安定化と友情への侮辱をトリガーに『闇落ち』しかけた。だが、想い人の転生体『コージ』の愛と仲間達の想いが『踏みとどませ』、その状態を闇属性フォームとし、自己意志での制御を可能とした。それがノワールフォームと呼ばれる形態であり、彼女が転生後に始めて得た『世界線独自の形態』である(変化が大きい第一の形態であるので、本人はフォームに相応しい名前を考案中との事)。正史にはない姿であるが、パワーアップ率は現役時代における通常のスーパー化(蝶の翼が生えるバージョン)を凌ぐもので、武器も真ゲッタートマホーク(ハルバードタイプ)を使うなど、フォームとしての攻撃性が強く、口調も自然と荒くなる。好戦性を高めるという、草薙流古武術の特性がプリキュアの力により強く作用する故である。そのフォームはZEROの力により、大人のぞみも変身可能となっていた。大人のぞみの場合は『自分は大人である』自覚が強くあるからか、精神面の影響はのぞみAより小さく、(理性の力が本来の年齢相応に強いためと、本来は草薙流古武術を使えないためか)口調が荒くはなるが、現役時代との差は比較的に小さい――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――一方ののぞみBは世界線間の結びつきが弱い故か、(Aや大人のぞみのように)心に『闇を持つ要素がない』故か、ノワールフォームへの覚醒は起きなかったが、キュアルージュAが集めた後輩プリキュアらの力をサイコフレーム媒介のミラクルライト(疑似)で照射した結果、単独での『ドリームキュアグレース』への変身を起こした。正史での最終変身形態であるので、その力はエターニティドリームに比肩するほどの強大なもの(正史における最終パワーアップなため)であり、周りの戦士達への劣等感に押しつぶされそうになっていたのぞみBには、何よりの救いであった――

 

「これ以上、あんたたちの好きにさせない!!」

 

のぞみBはその力で、学園を占拠するバダンへ立ち向かった。これまでは別世界の自分を含めた他の戦士達に戦闘力が絶対的に劣るが故に(夢原のぞみの同位体の中では)貧乏くじを引かされていたが、ドリームキュアグレース形態であれば、エターニティドリームに匹敵する能力を叩き出せる。つまり、バダンの怪人とまともに戦えるということだ。

 

(わたしだって……わたしだって、夢原のぞみ……キュアドリームだもん!!この世界を自分の手で守れなかったら、キュアドリームの名前がすたる!!)

 

のぞみBはこの独白により、キュアメロディ(北条響)との面識が本当にあることが確定した。その手の決めセリフは本来、キュアメロディの専売特許であるからだ。のぞみはどこの世界でも、戦闘に天賦の才があるのか、戦い方は素人のそれではなく、戦い慣れをした者のそれであった(とはいえ、正規の戦闘訓練済みのAに比べると『素人』の構えであるが)。

 

「ドリームキュアグレース!?う、嘘、本当に!?」

 

「めぐみちゃん……ラブリー、一緒に戦おう!」

 

「うん!でも、凄くややこしくない?」

 

「向こうの事は向こうに任せる!ナチ残党だとか、平行世界を股にかけるとか、全然わかんないけど、こいつらがわたしの大事な人達を傷つけるなら、わたしだって……これ以上は黙っちゃいられないよ!」

 

キュアラブリーにそう返す、ドリームキュアグレース。ラブリーもドリームキュアグレースに合わせ、フォーエバーラブリーへと二段変身を行う。

 

「そっちは自分でなれるの?」

 

「私は現役期間中にパワーアップしたしね。さぁて、怪我も治ったし、ひと暴れといくよ!」

 

仮面ライダー三号に不覚は取ったが、ハピネスチャージプリキュア最強の形態であるのがフォーエバーラブリー。海底軍艦同士の戦闘が予測される段階に至っては、『プリキュア5の世界』の住民への外聞は半分吹っ飛んでいるも同然である。

 

『二人とも、援護する!』

 

二人の頭上を『蒼き流星』がかすめる。

 

「のび太さん、ついに使うんですね?」

 

『宝刀を抜く時ってヤツだ。レイ、V-MAX発動!!』

 

――レディ――

 

青年のび太が調整を続けていた『SPT』。そのフラッグシップ機『レイズナー』(当初より強化型の姿だ)の公的な投入の記録はこれが最初であった。調整に手間取っただけあり、相応に高性能であった。MSより圧倒的に小さい(ナイトメアフレームよりは大型だが)故の小回りと、MSの比ではない速度からの攻撃はまさに『蒼き流星』である。また、一時的にバリア・フィールドを展開し、機体の速度を爆発的に高める『V-MAX』は本来、次期ガンダムに搭載が模索されていた機能の翻案で再現したという。

 

「すごい……青い流星だ……」

 

ドリームキュアグレースも思わず、そう呟くほど、レイズナーは青い流星となっていた。レイというのは、音声応答型の機体管制AIの名だが、無駄に再現度が高いらしく、ちゃんと『フォロン』まで再現されている徹底ぶりであった。その点を指して『野比家当主さまの道楽』と、製造元からは揶揄されていたが、流石にアナハイム・エレクトロニクスは機体スペックでは手抜きはせず、当時の第一線級MSと比べても、抜きん出た速度と機動力を誇っていた。加えて、V-MAX。本来は構想のみがあった『F92』に搭載予定であったという、『質量を持った残像』の実用版とされた機能(実際には構想段階で終わった)を基にする形で発展させ、実用段階に到達させた。のび太は(験担ぎも兼ね)その機能を『V-MAX』と呼ばせ、財団の資金を投入し、完成に至らせた。このアイデアは有用であったので、サナリィが最初にアイデアを練った。だが、F91の時点で『MSの高機動化の限界の模索』を達成した感が強く、更に構想当時の技術レベルでは『高機動モードの完了後における機体の冷却が困難であった』ためか、研究は頓挫していたという。それを当時より進んだ技術で完成させたわけだ。

 

『二人とも、突っ込め!僕が援護する!」

 

「うんっ!」

 

三人はマラサイとゼク・アインの中隊に挑む。敵も味方ももはや、当初のお題目はかなぐり捨てさったのがわかる。対空車両の射線を潜り抜け、それらを潰す。また、ドリームキュアグレース形態は自己治癒能力があるのか、多少の傷はすぐに治癒する。そこは力のソースの一つである『ヒーリングっど』由来の発展要素だろう。

 

『こいつは一分がモードの限界だから、一分過ぎたら、援護頼む!」

 

「ОK!」

 

「あの……あなたが向こうの私の……?」

 

『そうだよ。まぁ、その説明は後でするよ。一言じゃ片付かないからね』

 

のび太はのぞみAの義父にあたる。養子のコージの妻がのぞみAであるからだが、普段は違う時代でお互いに暮らしているので、実のところは夫婦でも、滅多に会えなかったりするが、南洋に自宅は購入済みだ。

 

「やぁぁっ!!」

 

ラブリーはライジングソードを日本刀形態で、ドリームキュアグレースは『スターライトフルーレ』を使い、敵の対空車両を解体し、そのままのび太を狙ったマラサイのフェダーインライフルのエネルギーを斬り裂きつつ、二人で頭上から綺麗さっぱりと両断する。ラブリーに併せられる技能があるのはさすがであった。

 

「どこの世界でも、のぞみちゃんは戦闘慣れしてんだね」

 

「長く戦ってきたから。でも、みんなして、私をボコってきた時は泣いたんだかねー?」

 

「そ、その節はゴメン。こっちも緊急事態だったし」

 

『君、クイーン・エメラルダスとキャプテン・ハーロックにブルったそうだね』

 

「い、いやぁ~……泣いてたら、あんな人達が出てくるなんて……」

 

のぞみBはその時、かれんとこまちを連れていかれたショックで泣きじゃくていたが、クイーン・エメラルダスとキャプテン・ハーロックが現れた上、クイーン・エメラルダスの圧倒的な何かに圧され、実のところは『ちびっていた』。言葉を濁したのは、その時にクイーン・エメラルダスのオーラに『当てられた』だけで戦慄し、ちびったからだろう。

 

「よく誤魔化せたね」

 

「まぁ、そこはねぇ。でも、あの人……ものすごいプレッシャーだったなぁ……」

 

苦笑いのドリームキュアグレース。クイーン・エメラルダスの持っていた圧倒的な強者感と神秘のヴェールはなんとも表現し難い。

 

「でも、エターナルは倒しちゃったんだよね?この世界はどうなるんだろう?」

 

「あたしらの存在がこの世界で生まれてる以上、パワーソースは他のプリキュアと同じになったはずだから、こことまた別の世界みたいに、無理に若返って、リスクありの変身をする……なんてのは無いと思う。こいつらがまた来るかもしれないから、しばらくは警戒しといたほうがいいよ」

 

「そうか、若返るにしても、はーちゃんに魔法で戻してもらえばいいんだ」

 

「そうだよ。こっちののぞみちゃんは、はーちゃんとドラえもんくんに、外見年齢をある程度操作してもらう事あるから」

 

 

戦いつつも、今後についての一定の推論がなされる『プリキュア5の世界』。ある年代を過ぎた後、プリキュア達がのび太の両親に(2020年代で会う時は)外見を(それぞれの本来の生年月日からの概算年齢に)調整している事が明確にされた。また、2020年代では『日本連邦大学』に在籍中のメンバーも多いので、『大学に進学した』との方便を取る者も多い。

 

「お、あれは!?」

 

「うぇ!?ゼク・ツヴァイだ!?地球で使う代物か?」

 

『機体の冷却に数分の時間がかかるから、それまで敵を引き付けてくれ』

 

「わかった!でも、V-MAXって、そんなリスキーなの?」

 

『何分、実験中の代物だしね。まだ、一分とちょっとしか使えない。機体冷却機構の強化がもっと必要だな』

 

とはいえ、一分もあれば、V-MAXを以てすれば、マラサイの数機とゼク・アインの二機を倒すのには充分であったのも事実だ。効果は確かだが、技術的課題も多いのだ。

 

「よし、引き付けるよ!」

 

「うんっ!」

 

二人はゼク・ツヴァイを撹乱にかかる。多少の時間の撹乱ができればいいいからだ。

 

 

 

 

 

――ゼク・ツヴァイは連邦系に見えないような『肥大化した外見』で、モビルアーマー的である。ジオンがMSの重量限界を開発側で定めたのとは対照的だが、地球連邦は基本的に、ジオンのモビルアーマーを歴代ガンダムが尽討伐してきた事から、モビルアーマーの有効性に伝統的に疑義を強く抱いており、一年戦争でボールを投入した以外に『モビルアーマー然とした兵器』を使った例はない。コズミック・イラ歴と違い、モビルアーマーはモビルスーツより後に生まれし概念だからである――

 

 

「なに、こいつ。すごくデブッチョだ……うわっと!」

 

完全な人型とは言い難いシルエットから、プリキュア達から『デブッチョ』と揶揄されるゼク・ツヴァイ。武装も、宇宙空間での運用データしか無い故か、以前の宇宙空間用のものが流用されており、お世辞にも、歩兵への対応力は良いものではなかった。とはいえ、ビーム・スマートガンの火力は高く、一撃で次世代の量産機にあたるはずのジェガンを沈黙させるほどのものであるので、侮れない。

 

「対車両や対空用に調整されたバルカン砲で、歩兵サイズのものを狙えるもんか!」

 

ゼク・ツヴァイはMS戦では強いが、その肥大化した図体から、地上での機動力は低くなってしまう。それが災いし、飛び回る二人に撹乱され、少しずつ装甲に損傷が増える。

 

「あだだ……なんて硬さなの!?」

 

「殴るのは止めな。そいつは分厚いチタン系の合金で覆われてるんだ。殴ったら、突き指しかねないよ」

 

「チタン合金?」

 

「それも、宇宙時代の技術で精錬されてる、ね」

 

ルナチタニウム系の装甲は物理的衝撃に強く、スーパープリキュアのパンチも受け付けないほどである。突き指程度で済むあたり、プリキュアも充分にすごいが。

 

「なら、プリキュア・ドリームアタック!!」

 

「ラブリービーィィム!!」

 

二人はエネルギー攻撃に切り替えたが、ゼク・ツヴァイの分厚いガンダリウムの装甲はそれによく耐え、ゼク・ツヴァイはまったく怯まない。

 

「嘘、スーパー化でパワーは倍になってるってのに、揺るぎもしないって……!?」

 

最強形態での必殺技すら、装甲に若干の損傷を与えるのみ。これはゼク・ツヴァイのガンダリウムの表面に『対ビームコーティング』が三重に施されていたからで、コーティングは充分に効果を発揮したと言えよう。だが、それで充分であった。

 

『後は任せてくれ!』

 

冷却を終えたレイズナーが逆落としからのナックルショットをかます。さしものゼク・ツヴァイも、装甲の比較的薄い箇所に最新兵器たるレイズナーのナックルショット(電磁破砕用の手甲)を喰らえば、機体の損傷は免れず、『柔よく剛を制す』の要領で小爆発を起こし、あっけなく沈黙する。想定外の電磁衝撃波に、内部の回路が耐えきれなかったのだ。

 

『電磁波を伴った、一点集中の衝撃には弱かったようだな。ハッチを開けな。吹き飛ばされたくはないだろう?』

 

と、レーザードライフルをゼク・ツヴァイのコックピットに向け、投降を促す。すると、元ティターンズのパイロットであっただろう、同組織のノーマルスーツを着たパイロットが投降してくる。

 

『ラブリー、ドリーム。ヤツの武装を取り上げな』

 

「わかった。でも、どうする?こんなの」

 

『ジムやガンタンクを流用した重機じゃ、完全に牽引・運搬能力を超えちゃってるから、ケイさんの持ちこんだノワール3に運んでもらうしかないな』

 

ゼク・ツヴァイは全備重量が151.7tを超えるため、連邦の標準的な重機の能力を完全に超えている。200トン近い巨体は、回収する身にも大変なのだ。また、連邦が一年戦争から使用し続けている中で最大級のガンタンク流用の回収機を以ても、能力キャパを完全にオーバーしている事が明示され、のび太も困っている。

 

『タイガーやパンターを回収する時のドイツ軍みたいな気持ちだな、こりゃ』

 

地球連邦の機動兵器は第二次ネオ・ジオン戦争を境に小型軽量化が進んだため、回収機もそれが想定の能力である。ガンタンク改造の回収機が未だに現役なのは、小型軽量化の進展で重量級が減ったからでもある。

 

『あー、ケイさん?ぼくだけど、ゼク・ツヴァイを鹵獲したから、ノワール3で回収に来て』

 

『あいよ。今日は大物だな。今行く』

 

と、圭子に連絡を入れ、回収を手配する。MSの肥大化の極地とも言える機体であることから、ゼク・ツヴァイの回収は地球連邦軍の正規回収部隊を介かずに行われる。

 

「こんなのが使われてるの?」

 

『こいつは旧式になったが、歴代の中でも最重量のヤツさ。ある時期に実験的に試作されたと聞いてる』

 

ゼク・ツヴァイはマスプロダクト製品ではあるが、試作扱いであるのは、ペズンの動乱で使用された機体数がごく少数機であったからだろう。

 

「あ、のび太さん」

 

『なんだい?』

 

「そっちの私、極め技が変わったって聞いたけど……」

 

『少なくとも、三つ以上持ったよ。一つは、はーちゃんが君へ撃とうとしたストナーサンシャイン。もう一つは高エネルギーを一気に開放して、周囲を吹き飛ばすカイザーノヴァ、最後はシューティングスターと同系統だけど、エネルギーを直接ぶつけるシャインスパーク。シャインスパークはよく使うね。最大級の技なんだけどね』

 

「ストナーサンシャイン、シャインスパーク……」

 

のぞみAがシャインスパークを好むのは、元からの技に使い勝手が似ているのも大きい。また、シャインスパークを使えない時や浄化と殲滅の双方を果たす必要がある時はストナーサンシャインを使う。その事を教えられ、自分と別の道を辿り、能力を強化していった事を知るのぞみB(ドリームキュアグレース)。

 

『こっちの君はうちの倅の一人と結婚したのは話したが、それが君も知るココの転生で、記憶持ちだったのは?」

 

「それはりんちゃんから…。ココの生まれ変わりってことは……あの人は……」

 

『そう。だから、君と顔を合わせる事を躊躇っていた。君を転生前に不幸にしてしまう引き金を引いたようなものだからと。だけど、50過ぎの頃の僕が促した。それでゴールイン。たぶん、数年以内に子供もできると思う。同じ種族になったし』

 

青年のび太がそういうように、コージは40を過ぎた後の時期ののび太の養子になり、彼が青年を迎えた後の時期では、のび太は老境に入っている。時空を超えての夫婦関係になった後、コージは魔女の世界で暮らすつもりであり、自宅も購入済みであったが、扶桑の防空司令部の体たらくにより、入居が戦後になりそうである(防空司令部がその地域の安全を約束できないため)。

 

「えぇーーーーーーー!?」

 

『こっちの君は肉体的に歳を食わないだけで、生殖機能に影響はないから、当然、子供は作れる。プリキュアであるおかげで、魔力もそのまま維持されるし』

 

 

魔女の世界では『魔女が純潔を失うと、シールドが張れなくなる』という言い伝えがあったが、時空管理局の魔導師の登場でそれが否定される(時空管理局の魔導師は、子をなした後も普通に活動している)と、それを信じたが故に、軍隊生活で同性愛に至ってしまった魔女たちの多くが困惑することとなり、サボタージュの一因となった。だが、時空管理局の協力で原理が解明されると、その後は(原理の解明で、任期中の結婚が認められたため)普通に結婚する者が生ずるようになっていく。のぞみ、芳佳、坂本はその最初期の事例となった。

 

「あ、敵は?」

 

「連合軍が後を引き受けるって。後は普通の戦車だから」

 

敵は戦車とMSの混合のようである。戦車は二次大戦中のもののマイナーチェンジだが、質が高かったドイツ軍の戦車がベースであったため、連合軍も掃討には苦労している。下手な戦後型をも超え得る装甲と火力を持つ個体もいるからだ。

 

「終わったら、どうすんの?」

 

『ウチの財団とスネ夫んちの映画会社が編集した映像をこの世界の映画会社に売り込んで、配給する手筈だよ。水無月家や四葉財閥に話を通してある』

 

と、当初の目的は四葉財閥と水無月家の財力でどうにかするあたり、嘘はついていない事になる。四葉財閥の後継者(四葉ありす)肝いりの映像といえば、映画会社も買うだろう。

 

「そうか、ありすちゃんがいたんだ……」

 

『そういうこと』

 

その事から、B世界は『ドキドキ!』までの誕生は確定しているようだ。また、面識があることも。その事から、B世界は『オトナプリキュアの世界で起こるべき本来の出来事』には繋がらないことも確定したようなものである。ただし、共通の出来事もないわけではない。プリキュア5の街は第二次世界大戦前は華族の保養地として発展してきたが、B-29の大編隊の攻撃で焼き払われた(ただし、『オトナプリキュアの世界と違い、展開が間に合った日本軍の雷電、鍾馗を主力にした航空部隊と高射砲部隊の決死の迎撃に遭い、B-29も相当数が撃破された。そのおかげで焼け残った地区が存在する)という。また、オトナプリキュアの世界に似た世界を調査したドラえもんによれば、『土地の付喪神が闇落ちしたような存在がプリキュア5の前に現れ、街が捨てられて滅ぶから、その前に人を滅ぼす』という理屈で事変を起こすという。もっとも、オトナプリキュアの世界では、その出来事が起こる前に『地球自体の存亡の危機』になってしまったが。

 

(そういえば、向こうの私、入れ替わって、うまくやれてるのかなぁ?)

 

と、別の自分の様子が気にかかるのぞみB(ドリームキュアグレース)であった。

 

 

 

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