ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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『プリキュア5の世界』編です。


第六百六話「インペロの制圧と炸裂の闘技」

――扶桑軍そのものの再編は戦争を大義名分に実行された。だが、扶桑は事変の経験で既に規格統一を図っていたため、そこに戦後基準の規格を無理に投入したため、却って混乱が起こった。仕方がなく、経過措置が認められたのがダイ・アナザー・デイだが、陸軍船舶部隊は海軍に有無を言わさずに編入させ、陸軍から独自の戦力輸送能力を(クーデター抑止を名目に取り上げた。同時に海軍からも航空戦力を全て取り上げようとしたが、流石にそれは非合理的であるので、辛うじて存続した。だが、扶桑海軍航空の主力が陸上部隊化していたために、扶桑と日本がそれで大揉めとなった。結局、移籍させてしまった元の艦上機部隊を旧任務に継続して就かせることで妥協され、同部隊を飛行時間八〇〇時間以上にまで鍛えることが条件とされた。しかし、魔女にもそれほどの飛行時間を持つ者は殆どいないため、数年で条件は緩和された。だが、その間の混乱で生え抜きの扶桑軍航空兵の練度は大きく低下。そこからの完全な再建には数十年を要する試算が提出され、扶桑航空行政の首脳陣は頭を抱えた。64Fの編成の恒久化はこうした状況への対応であった――

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑皇国は明治の元老の亡き後は重臣会議が国政を指導する役目を持っていたが、指導力不足を露呈し、形式的なものになっていた。それに代わり、『Y委員会』が実質的に天皇の設問機関に収まっていた。64Fの幹部層と当代の有力な提督・将軍や政治家、実業家、学者などで構成されたそれは枢密院と重臣会議の双方の役目を新憲法下で担うべく、委員会は公式化された。当時は日本連邦体制へ移行していく時期であったので、日本の官民が扶桑の体制を変えようと、あの手この手で試みていた。戦前期の体制を悪の根源と断ずる者は戦後日本には多く、軍部や華族制度はその標的にされた格好であった。夢原のぞみはその最たる犠牲者の例であった。最終的に『軍籍を有したままでの教師への転職は認められないが、残留すれば、軍内で早めに昇進させるし、然るべき資格を取れば、軍学校教官としての活動は認める』ということで和解が成立し、事件の決着がついた。訴訟がされ、のぞみの一件が政権のスキャンダルとして大々的に報じられるのを恐れる日本政府が文科省と厚労省に手を引かせたのだ。扶桑軍隊の予備役制度を大いに揺るがしてしまったのは、日本としても、完全に予想外の結果であったのだ――

 

 

 

 

――この事例は日本の官庁の内部統制の緩さを露呈する一大不祥事となった。扶桑は予備役制度の変更を余儀なくされ、軍籍が残っているが、教職にいた予備士官の扱いに難儀する事になったし、日本は扶桑からの書類で、予備士官(平時は教職)の人数が陸自の全人員よりも多いことを知らされ、担当者はその場で立ち眩みを起こしたという。結局、予備役編入を『なかった事にする』方法でその場の支出を抑えた日本だが、損害補償が控えていたので、財政への負担が懸念された。そこで扶桑に実行させたのが『最前線で合法的に人数を減らす』という口減らしであり、扶桑の士官たちからも苦言を呈されるほどの『その場しのぎ』であった。また、のぞみがプリキュアとしてもエース格であり、扶桑でも英雄として扱われるほどの武勲ある将校であることは日本の総理大臣が文科相を怒鳴りまくる原因となり、厚労相も辞任後に『生きた心地がしなかった』というほどの怒髪天ぶりであったという。一歩間違えれば、扶桑が戦争の口実にしかねないからだ。

 

――君たちは総兵力が1000万人近い『大戦型国家総力戦前提の軍隊』相手に、自衛隊が立ち向かえると言えるのか!!近代化された戦艦大和を沈められると言えるのか!!――

 

と、閣議でヒステリックに怒鳴りまくる総理大臣を止める術は官房長官にもなかった。近代化された戦艦大和の力は、当時の自衛隊の新鋭イージス艦『まや型護衛艦』も『ただの駆逐艦』扱いできるほどのものであった。それはダイ・アナザー・デイで証明されている。現代型艦艇は戦艦の主砲を喰らえば、一撃で轟沈してしまうからだ。また、自衛隊が勝利できる可能性は一回の会戦が限界であること、扶桑の超人が全力を出せば、町ごと滅ぼされてしまう事も既に明らかであることから、扶桑を怒らせる事は厳禁とされた。文科省はその元凶と見なされた事から、しばらく針の筵であり、2030年代に入るまでは冬の時代を過ごすのである。

 

 

 

 

――同時に、低下した航空兵の質を補うため、地球連邦軍が実戦試験を条件に、試験中の『コスモタイガーⅢ』を扶桑空軍へ提供した。コスモタイガーⅢはコスモタイガーⅡの正統な後継ぎとして開発されたが、機体特性が前型機と大きく異なる事から、次期主力になり損ねた。だが、火力の高い局地戦闘機が決定的に不足(VF-17の旧式化など)していた事から、かつてのコアブースターインターセプトタイプの後継機として採用され、生き長らえた。扶桑に提供されたのは、艦上機としては失格と見なされたが、局地戦闘機としての適性が見出されたからであった。だが、一部は遠征軍に持ち込まれており、本来の開発目的に供されていた――

 

 

 

 

――オトナプリキュア世界での動乱と同じ頃、『プリキュア5の世界』で海底軍艦・インペロへの攻撃にそれは投入された。前型機より大型化したそれは燃費の悪化による(宇宙空間での)航続距離の低下と運動性能の低下を招いたが、制空戦闘を至上とする機体として失格でも、単に一撃離脱戦法を主とする局地戦闘機としてなら、充分過ぎる機動性は維持していた。また、武装は前型と比較にならないほど強大なものである――

 

 

 

「ケイ、ヤツの副砲を潰せ!!」

 

「そうだろうと思って、敷島のジジイからの贈り物のドリルミサイルを装備してきた。艦が揺れるから、踏ん張ってろ」

 

圭子が率いるコスモタイガーⅢの編隊は早乙女研究所/ネイサーのラインで戦闘機用に調整された『ゲッターライガー用のドリルミサイル』を搭載していた。バリアを突き破り、強固なラ級の装甲をも穿つために用意された切り札であった。コスモタイガーⅢの中隊が一斉に放ったそれは、既に減少していた『インペロ』の対空砲火をくぐり抜け、インペロのバリアを破り、そのまま勢いよく、残っていた副砲塔や艦橋構造物に突き刺さりつつ爆発する。その衝撃でインペロが揺らぐ。

 

「うぉっ!?」

 

「アポロガイスト、覚悟!!」

 

『神剣抜刀(エクス・マキナ)!!』

 

黒江は爆発の振動で態勢を崩したアポロガイストへ咄嗟にエクス・マキナを放った。のぞみが撃てる以上、正規の聖闘士である黒江が使えない道理はない。だが、そこへマシーン大元帥が庇いに入り、お得意の『ピラミッドバリアー』で防ごうとしたが、そんなバリアが神剣に通用するはずはなく、マシーン大元帥はバリアーごと左半身を切断される。

 

「ぬうううう……小娘め!」

 

マシーン大元帥とて、左半身を切断されては為すすべもない。

 

『トドメだ!!』

 

キュアドリーム(中身はナリタブライアンである)がトドメを刺そうと、その技を使うが、ドリーム固有の技ではない。改造魔人をも屠る『聖闘士の闘技』であった。

 

『アトミックサンダーボルト!!』

 

ブライアンの小細工を嫌う気質もあり、射手座・獅子座系の正統派闘技は性に合うらしい。アポロガイストの盾になる形で、マシーン大元帥はその攻撃を一身に受け、アトミックサンダーボルトの乱打で体を削られていき、やがて消滅した。だが、彼はそんな程度では堪えない。

 

――フハハハ……見事だな、小娘。だが、この俺は肉体の一つや二つを破壊されたところで堪えはせん。この俺は改造魔人。大首領様あるかぎり、蘇るのだ!!――

 

「大幹部のくせに、やる事がセコいぞ!!」

 

――なんとでもほざけ。勝負はまだ一回の表だ!今に見ておれ!!――

 

と、保険がかかっているのを前提で動き、ものすごい負け惜しみを堂々と言い放つなど、どこか憎めない印象を与えるマシーン大元帥。野球好きなのか、『一回の表』という言い回しをするなど、デルザー軍団の長である『大幹部』の割に、どこか間の抜けた印象も与える。大技でようやく倒せる大物には違いないのだが。ブライアンはこの妙に『保険をかけている、悪の大幹部』に呆れつつも、とりあえずは大金星であった。

 

 

 

 

――インペロはコスモタイガーⅢ部隊の攻撃で副砲と対空砲を失った他、各部スラスターと重力制御に支障を来し、高度が低下し始める。黒江は艦に『煙突ミサイルでトドメを刺せ!!』とテレパシー通信で指令。艦が下方に回り込んで放った煙突ミサイルはインペロの操舵系を完全に破壊。同艦は街に不時着する。

 

「こりゃ、街は当分はうちらで封鎖だな。こいつを回収できるドック艦の手配をせりゃならん」

 

「あるのか、そんなのが」

 

「マクロス級やヱルトリウム級の余った船体を再利用したドック艦がある。こいつはマクロス級改造の大きさ位で事足りる。海底軍艦としちゃ、大きさは中程度だしな」

 

「アメリカやロシアの偵察衛星は?」

 

「M粒子で誤魔化す。あれは偵察衛星の映像も乱すからな。最悪、撃ち落として、同じものをコピーして置き換える。とりあえず、マシーン大元帥は撃退したから、後はヨロイ騎士と磁石団長だ。磁石団長はおつむが単細胞って話だ、割に楽に相手取れるだろう」

 

 

ラ級は平均で350~500mほどの大きさである。各国の最大戦艦をベースにしたが、1940年代当時に建造が可能な戦艦の大きさは各国で差があるからだ。インペロはイタリア最大の戦艦だが、海底軍艦としては中程度の大きさ。ラ號をタイプシップとした扶桑の海底軍艦より数十mは小型だ。本体部分はドレッドノート級よりは大型だが、ヤマトやアンドロメダほどではない。今回、真っ向からの砲撃戦を避けたのは、流れ弾が市街地に当たるのを警戒してのことである。

 

「悪の大幹部ってのは、妙に語彙が豊富だな」

 

「昔ながらの悪人ってのはな、単細胞に見えて、意外におつむは回るんだとよ。強さは別としてな。俺達は例外だよ、素で奴らと戦えるんだからよ」

 

「確かに」

 

「お前もだいぶ、その体に慣れたようだな?」

 

「まぁ、背丈はほぼ同じだし、プリキュアになっていれば、私の要求に応えきれるようだからな」

 

ブライアンは鍛えたプロのアスリートである上、素で人間の何倍も能力が高いウマ娘なので、運動量が現役時代より遥かに超えている状態ののぞみAの肉体でなければ、彼女の要求に肉体がついてこれなかっただろう。如何にプリキュア化していても、だ。ウマ娘の中でも当代最強を誇っていた故か、夢原のぞみの姿では自分の要求に肉体が応えきれないないことを理解しており、ここのところは変身したままである。プリキュアの状態で始めて、ブライアンの要求にようやく応えられるからだ。

 

「まぁ、元が運動オンチだったんだ。それがお前の要求に応えられるだけの能力になっただけでも、大したもんだぞ」

 

「それはわかっているさ」

 

ブライアンは普段の運動量がウマ娘でもトップ級であったため。キュアドリームになりっぱなしだ。この時はノーマルフォームに戻しているが、本人との識別ポイントとして、鼻に絆創膏を貼っていることだ。幼き日に姉・ビワハヤヒデが自分にかけてくれたおまじないであり、現在では『験担ぎ』の意味を持つ。ブライアンはのぞみと入れ替わっていても、それをしており、それが本人との識別ポイントとなっている。

 

 

「でもよ、あんた、さすがだな。その体の扱い方を短時間で心得るとはよ」

 

「私はいっぱしのスポーツ選手だ。体の動かし方は心得ているさ。それがたとえ、種族の違う者の体だろうとも。あんたは自動小銃の整備をちゃんとしとくんだな」

 

「こりゃ手厳しい」

 

のぞみ本人の声ではあるが、口調は荒々しい。シャーリー(キュアメロディ)に対しても、これだ。

 

「さて、艦橋を制圧しに行くぞ……おっと!」

 

黒江がそう指示を出したところ、床を高速で熱線が走る。この攻撃ができるのは…。

 

「フハハハ……よくぞ大元帥を撃退した。だが、この俺が残っているぞ」

 

「来たな、ヨロイ騎士!」

 

「異世界であるとはいえ、祖国の日本を死に場所にできるとは、運のいい奴らよ。……やれ!!」

 

「昭和のベタな戦闘員の呼び方しやがって!みんな、雑魚に時間をかけるなよ!」

 

ヨロイ騎士配下の戦闘員が襲いかかるが、戦闘員如きは敵ではないし、ホムンクルスであるのもわかっているので、手加減無しで全員がなぎ倒す。

 

『乙女座の技は始めてだが……天舞宝輪!!』

 

黒江は面倒くさいのか、乙女座の奥義『天舞宝輪』で一気に屠る。体力を消費しないからだろう。

 

「げ、あんた、乙女座もできんのかよ」

 

「ガキの頃、いたずらが過ぎるって、おふくろに咎められて、一夏を寺で過ごした事あるんだよ。その時の体験のおかげだと思う」

 

「おい、お前も何かやれよ」

 

「私に振るな。まぁ、いい。成果は必要だからな。……劫火断罪・劫火旋風!!」

 

ブライアンはシャーリーに振られ、そこで咄嗟に自身と相性の良い獅子座の奥義にして、将来は一輝が会得する秘奥義『劫火断罪・劫火旋風』を放つ。獅子座と鳳凰星座双方の適性が必要な奥義であり、それを正規の聖闘士で実現し得たのは、過去未来を通じて、一輝ただ一人であった。鳳翼天翔の発展系の一つであり、魂も焼き払える。そのため、おそらくは積尸気も操るのが必要な奥義だ。

 

「ライトニングフレイム!!」

 

次いで、ライトニングプラズマの最高位『ライトニングフレイム』を放つ。デルザー軍団の戦闘員をも一瞬で消滅させる『焔の雷霆』だ。これはライトニングプラズマの上位技なので、ライトニングプラズマを扱えれば、容易に会得できる。

 

 

「こうなったら、あたしもブチ殺し確定だ!!失せやがれ!!」

 

「あ、その姿で原子崩しをやんのかよ」

 

「るせぇよ!あたしはあんたらと違って、このほうが慣れてんだ」

 

と、黒江のツッコミが入るシャーリー。原子崩しを使うと、口調が麦野沈利寄りのチンピラ口調になるからだ。

 

「どうした、悪の組織さんよぉ!!このあたしに触れてみろよ!!アハハハ!!」

 

と、麦野沈利を思わせるような口調に早変わりである。

 

「ま、本家よりは可愛げあるから、いっか」

 

とはいえ、プリキュアの姿でするからというビジュアル上の補正により可愛げがあるだけで、普段の容姿では、ルッキーニが泣いた事があるくらいには怖いとの事。

 

「そういう問題か?やれやれ」

 

そして、ヨロイ騎士と剣での勝負になる。名は体を表すとはよく言ったような掛け声(『カチュウ』)とともに、剣を繰り出してくる。

 

「あぁん!?電気ネズミみたいな鳴き声あげんな!可愛げねぇ癖に!!」

 

「任せろ。剣術なら、私も些かの心得がある。実家の親父が護身術を習わせてたんでな」

 

ブライアンはそう言い咄嗟に、のぞみが持たせていた斬艦刀を日本刀形態で取り出し、ヨロイ騎士の剣に対抗した。ブライアンはヨロイ騎士が片手持ちの西洋剣である故に、攻撃モーションにパターンがあるのを瞬時に見抜き、剣が大きく振られた一瞬を突く形で、のぞみAの肉体が記憶する突進技を使う。それは。

 

『飛天御剣流・九頭龍閃!!』

 

のぞみAの肉体は(鍛えた分)現役時代よりかなり重い。かなりの筋肉がついているからである。それ故に、突進技である九頭龍閃はかなりの威力として示された。斬艦刀の威力もあり、標準的なライダーキックに耐える装甲にも、ひび割れが生ずる。

 

「おのれ、小癪な!!」

 

「ほう。これに耐えたか。だが……これで終わりだ!!」

 

ヨロイ騎士は咄嗟に距離を取るが、ブライアン(体はキュアドリーム)の振るった刀が起こした旋風に巻き込まれ、逆に引き寄せられる。

 

『飛天御剣流・奥義!!』

 

ブライアンはのぞみの肉体が記憶する通りに、左足を軸足にして、踏み出す。そこからの乾坤一擲の居合。余りの速さにより、旋風が走ったかのような音が響きわたる。ブライアンがレースで一気に加速する時の要領で踏み込み、彼女が本当の肉体で発揮する速さを引き出したからであった。

 

『天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)!!』

 

その一瞬、斬艦刀が装甲を切り裂く『スパァーン』という音だけが響きわたった。流石のヨロイ騎士も自身に何が起こったのかを『理解できなかった』。改造魔人の反応速度をも超えていたのである。ヨロイ騎士は視線が左右で次第にずれていくのを認識した瞬間に爆発を引き起こし、肉体を塵に還される。

 

――いったい何が起こったのだ!?この俺が認識出来ぬなど…!?――

 

「どっかの世界での超神速の居合術だそうだ。私はよく知らんが」

 

天翔龍閃の速さは正統に伝承されていなくとも、聖闘士か、それに匹敵する者が放った場合、文字通りの神速となる。だが、その速さに耐えられる強度を持つ剣が必要となる。斬艦刀はまさにその強度を備えていた。 また、ブライアンが運良く『父親にあらかたの護身術を叩き込まれていた』関係で居合ができる素地が充分にあった事。この幸運で天翔龍閃を充分にできたのだ。

 

――おのれ、覚えておれ~!!――

 

 

 

……と、魂だけの状態で退散するヨロイ騎士。

 

「奴は魔物の魂だから、積尸気魂葬破も効かんらしい」

 

「それであんたは追撃を諦めてたのか」

 

「何らかの怪物を更に改造した者らしいからな、デルザー軍団は。人の魂の常識は通用しないらしい」

 

――こちら、Xライダーだ。艦橋は俺とアマゾンが制圧した。火器管制装置をこれから切る。アポロガイストは逃げたが、磁石団長はV3とストロンガーに任せて、君等は艦の制圧に専念してくれ――

 

と、艦内放送で、別働隊のXライダーが状況を知らせる。アマゾンは自己治癒で傷をどうにかして合流したらしい。

 

「Xライダー、アマゾンさんの傷は?」

 

「アマゾンは回復力が高い。インカの自然科学の力だろう。腕も治ったよ」

 

艦内電話でXライダーに問い合わせる黒江。アマゾンライダーはインカのロストテクノロジーで改造されていたので、回復力は歴代随一らしい。ある意味、機械式の改造よりも回復力が高い。

 

 

「火器管制装置をオフにした。メインエンジンは止めるが、補助エンジンは動かしておく」

 

「了解」

 

インペロの火器管制装置がオフにされ、残っていた火器の灯が消える。主砲はただの一発も放たれなかったわけだが、イタリア艦らしい脆さを露呈した結果となった。インペロは砲撃戦であれば、そこそこ強いと思われたが、イタリアらしく、工業力の限界か、設計期間の短さか、艦のスラスター配置や動力伝達配管の配置などに欠陥があり、砲撃戦で動力系統を損傷した場合、動力系統の暴走が起きる危険があったのが後日に判明する。つまり、武子が事前に言いつけていた事は的外れでもなかった事になる。

 

――司令塔――

 

「Xライダー、艦橋の人員は?」

 

「その辺の貯蔵庫に放り込んだ。磁石団長はストロンガーの超電ジェット投げで敗走したそうだ」

 

「わかりました。通信機は生きてます?」

 

「生きている。それで君らの艦に連絡が取れるはずだ」

 

この一連での戦闘での戦果は『デルザー軍団の二大魔人の撃破』と仮面ライダー四号の撃退、インペロの制圧。仮面ライダーすらも苦戦する可能性が高い敵への戦果としては、大金星といえるものであった。インペロは連邦のドック艦が来るまでは動かすわけにもいかないため、Gフォースが町ごとの封鎖を続けるしかないが、(当然ながら)『プリキュア5の世界』にはそんな組織は存在しないので、国連軍の名義を用いての封鎖が行われた。表向きは国連による調査を装う形となった。こうして、海底軍艦は撃破されたが、地上軍は依然として健在であるので、戦いの主軸は再度、そちらへ移行していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――『ドリームキュアグレース』に覚醒したのぞみBは、その力で今までの鬱憤を晴らす活躍を見せていた。とはいえ、ナチス・ドイツの持つ強力なる戦闘車両を正面きって撃破できるほどの技を持たないのには変わりないため、RXの変身形態『ロボライダー』の援護などに回っていた――

 

「うーん、向こうのわたしみたいな技が使えればいいのに」

 

「仕方ないわよ、こっちのあんたは説明しずらい理由でパワーアップを重ねてるもの。しかも、ニュータイプになってるし」

 

「なにそれーーー!?」

 

「でも、その姿なら、普通の形態より遥かに強いし、空も飛べるんだから、贅沢いわない」

 

「マナちゃんもそっちで何があったのさ、りんちゃん」

 

「話すと長いわよ。あの子も転生で色々苦労してんのよ。あたしなんて、一回、記憶がぶっ飛んでるし」

 

「え!?」

 

「それが、こっちのあんたのパワーアップの一つのきっかけ。あたしはそれもあって、後方支援なのよ。あんたが心配しちゃってさ」

 

「そうなんだ……」

 

「あとで、こっちのあんたが覚醒した時の映像を見せてあげるわよ。もらってるから。」

 

「ところでさ……あの機械(タブレット)何?板みたいなのに……」

 

「そうね、あんたが高校か、大学に入るくらいには普及しだすと思う」

 

「え、今の技術で造れるの?」

 

「うん。あと数年くらいで一気に出てくるわよ、ああいう機械」

 

のぞみBの時代(2008年ごろ)、タブレットタイプのコンピュータはまだ知名度も低く、ビジネスマンの一部が持つような物に過ぎなかった。だが、2010年(ハートキャッチプリキュアの時代)から一気にブレークスルーが起こり、大衆が持つ普遍的な機械であり、道具へと一気に変遷していくのである。

 

「えーーーー!?」

 

「ああいうの、今くらいまでは、ビジネスマンがもつツールみたいな感じだけど、あと数年でブレークスルーが起こって、一気に普及していくのよ。2010年代の終わりくらいには、金に余裕がある人は持ってるわよ」

 

「うそ!?」

 

「そんくらいになれば、ね。文明は10数年もあれば進歩するのよ、特にコンピュータ関連って」

 

2000年代終わりに中学生ののぞみBには信じられないが、成人し、就職した後の時間軸では、自分もそれを仕事で使っている(大人のぞみは実際に授業で使っていた)のだ。

 

「その究極みたいなもんよ、ドラえもんって」

 

「そ、そういえば。あの子って……ロボットなんだっけ?」

 

「ネコ型のね」

 

「え、タヌキじゃないんだ」

 

「あ、やっぱり」

 

のぞみBもドラえもんを初見では『タヌキ型』と思っていたようである。ドラえもんは耳をつけていようとも、タヌキに間違えられる。それはネコには見えないからだろう。

 

「二人とも伏せろ!!ボルティックシューター!!」

 

ロボライダーの声が響き、ボルテックシューター(ボルティックとも)の光芒が頭上を通過していく。そして、遥か遠くの『ブルムベア』が撃破され、煙を上げていた。

 

「すご~い。あんな遠くの戦車を」

 

「俺のボルテックシューターは改造人間を撃ち抜けるからね。第二次世界大戦型の戦闘車両はブリキも同然さ」

 

ロボライダーはちょっと誇らしげだ。彼の装甲はピカピカだ。至近距離からの『15cm StuH 43(/1) L/12(15cm砲)』も受け付けない強度を誇るため、戦車との戦闘では自分が盾となっている。

 

「よし、これで自走砲の部隊は敗走させた。ここらへんはしばらく大丈夫だろう」

 

本格的に掃討戦に入りつつあるが、地上軍主力は依然として健在である。ロボライダーはそれらを倒すための重要な立ち回りが要求されていた。

 

「よし、次の地点に向かおう。俺達は時間稼ぎだ。地上軍が態勢を立て直すまでの」

 

ロボライダーの言う通り、彼の遊撃活動は時間稼ぎの一貫であった。地上軍はM48やその後継ぎたるM60、2024年度退役が見込まれたために、ライセンスが全面的に降りた74式戦車などを装備し、徹甲弾も刷新するなど、装備補充と刷新を進めている。とはいえ、大戦型のように、分厚い装甲を纏っているわけではない車両も多いため、相応の犠牲も生ずるだろうという評もある。特に、74式はGフォースの手で『運動戦』に供されるので、ダイ・アナザー・デイに続いての被撃破記録を作ってしまうのかと懸念されていた。これは74式の時代は重装甲よりも、運動性能と避弾経始が重視されていたからだが、実際には、側面を二次大戦型の大口径砲搭載の車両に撃たれ、撃破されてしまった例があるなど、避弾経始は必ずしも機能しない事を示してしまっている。とはいえ、日本としても、2024年からは気兼ねなく、扶桑へ渡せる見込みの戦車である事、その時点で開発から50年になるので、そのあたりは仕方がないとされ、さほど問題視されなかった。74式はこうして、日本では『去りゆく老兵』、扶桑では『チトやチリに代わる新鋭戦車』としての顔を持つようになり、前者では無事に退役、後者は大戦型を代替する新鋭戦車という扱いで続々と就役していくことになるのである。

 

 

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