ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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「プリキュア5の世界編」です。


第六百二十一話「ナリタブライアンのもう一仕事」

――地球連邦は実質的に、一部の有能な者たちが軍を統制する構図となっていた。ガトランティス戦役での失態で、議会の権威が完全に失墜したためで、戦後は軍の後援を受けた者が大統領になる事が常態化していた。ガトランティスの無差別攻撃で議会の有力者らの大半が死に絶えたためだ。末端の移民星までは目が行き届かず、失態を犯す事も常態化していたが、ゲッターエンペラーがシリウス星系の移民を滅ぼしたことで、ウィンダミア王国の強行派の決起が促される結果となった。だが、プロトカルチャーの技術を得たところで、時間軸すら無視できるゲッターエンペラーの前では『蟷螂の斧』であった――

 

 

 

 

 

 

――ウィンダミア王国は決起前の時点での王はゲッターエンペラーの脅威を知っていたが、その宰相が暴走を起こすのである。王国はその動乱で宰相に全責任を押しつける形で、地球連邦との和睦を急ぐことになる。ゲッターエンペラーの顕現で、主要惑星を物理的に握りつぶされたりするからだ。ワルキューレの必死の呼びかけでそれ以上の事態にはならなかったが、地球連邦を怒らせると、躊躇なく絶滅戦争をされるという事実は、地球連邦の周辺にいる別種族を恐れさせた。特に、ガトランティスとの絶滅戦争を勝ち抜いたという報は小規模の別種族の心をへし折るのに充分な効果であった。(独裁国家である)ガルマン・ガミラスやボラー連邦(共産国)よりは穏便な統治がされるからだ。ウィンダミア王国のすることは将来、それらの種族に揶揄される(王統の途絶などが起こるため)ことになる。ゲッターエンペラーに主要惑星の複数が潰された影響による星域の不安定化なども重なり、同国は正統な王統を失い、統治の大義名分もヴァールシンドローム患者の家畜扱いで喪失し、時代が23世紀から更に進んだ後、正統な王統がその時代に絶えたことにより、地球連邦の勢力に完全に呑み込まれていくのだ……――

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑はのぞみの一件で、予備役制度に大ダメージを被った。日本側も予想外の事実に困惑。結果として、(軍人の困窮による反乱を防ぐため)『扶桑軍人の副業』を当面の間、認めることになってしまった。予備役という制度そのものの意味を日本側が知らなかったからだ。予備員などの制度にも重大なダメージを被ったため、日本は損害補償の一環で、三自衛隊の幹部自衛官の少なからずを扶桑の戦争に関わらせざるを得なくなった。日本の皇室に扶桑の宮家(日本で戦前に断絶し、戦後の醜聞のない、有栖川系の男女。そんな経緯から、日本側も妥協で受け入れた)から養子を取った以上、相応の献身をしなくては、扶桑の国民が納得しなかったのだ。これは戦後の日本が好む『金で解決できる問題』ではない。扶桑の軍人を思想を理由に、大量に北方に島流しにした結果、前線を人材不足に陥らせたのだから、当然の結果であった。特に、魔女兵科は『島流し』で致命的なダメージを負ったに等しく、魔女への差別意識の芽生えが起こったことなども考えると、軍役を投げ出す者が多数に戻った。日本は『魔女狩りを促すつもりはなかった。魔力を10代のうちしか使えないなんて…』と言い訳したが、釈明にもならなかった。それが『ゲッター線の照射、もしくはタイムふろしきによる若返りに起死回生を賭ける』魔女が多くなった理由だ。――

 

 

 

 

 

 

 

――この得られる人材の減少と質の低下は扶桑の魔女兵科の遠からずの解消の序曲であった。日本としてはジュネーヴ条約との兼ね合いのつもりであったが、魔女が特異な存在であったので、取り扱いに困ることになった。魔女狩りのきっかけと言われても困るので、結局は雇用形態その他は『現状維持』を決め込んだ。オラーシャの有様を鑑みての事なかれ主義であり、のぞみの一件の衝撃の冷めやらぬ内に、恥の上塗りは避けたかったのである。こうして、魔女の雇用形態の近代化は部内の人間達による改革による変化に託される事となり、坂本はこのことに心血を注ぐわけだ。プリキュア達という奇跡に頼ってばかりでは、『扶桑撫子の沽券に関わる』。それが坂本の1945年秋以降の口癖であった。坂本は前線こそ退いたが、人材育成と発掘、魔女の再就職等には史実と異なり、心血を注ぐほど入れ込んでいたので、史実と違い、人事局に友人が多くなっていた――

 

 

 

 

 

 

 

――平行世界の魔女達は基本的に『客人』と扱われたが、芳佳とリーネが問題を起こしたため、その後始末に64Fは追われた。二人はのぞみの一時預かりとなり、そこで『引退者への気づかい』や『引退者に無理強いをしない』という(坂本Bは教えていなかったらしい)当たり前の事を教育された。芳佳Bは二年という時間で『自分のわがままで、坂本の顔に泥を塗ってしまった』ことの重大さを理解し、先輩らへの非礼を実感した。もはや、謝っても済む問題でもなかったが、芳佳Bはけじめとして、二人に土下座した上で、二人の技を引き継ぐと宣言。これが彼女のその後を変化させるきっかけとなるのである。のぞみはこの事件で教育係としての資質を見出され、遠征後に坂本の補佐という形で、人材育成に携わる第一歩を刻むことになる。のぞみは本来は教師になるはずであったので、ある意味での帳尻合わせでもあった。とはいえ、それは当分は先であった――

 

 

 

 

 

 

――ある意味、プリキュアという異能は魔女の世界での魔女の立場を(ある意味で)守っていた。また、日本との交流は歴史学者以外に存在が忘却されていた『中華王朝』を顧みる風潮を呼び起こした。西遊記、三国志、水滸伝などの現代語訳もヒットを飛ばし、日本を介する形で、現代型の中華料理も伝わっていくのである。その過程で、軍師としての諸葛孔明が顧みられるようになり、欧州の『戦争論』一辺倒の風潮に一石を投じた。代わりに、軍事・技術大国としてのカールスラントの没落が現実となった。日本連邦がぼったくりの報復代わりに、21世紀水準の技術を公然と使用したからである。デジタルコンピュータが存在しない時代に、21世紀以降の完成されたデジタルコンピュータが使われれば、カールスラントの誇った暗号機『エニグマ』も玩具も同然であった――

 

 

 

 

 

――この優位性は1945年以降の日本連邦の圧倒的優位に貢献した。ティターンズも表立ってはそれらは使えない(地球連邦の正規軍と違い、保守整備に必要な部品の恒常的な入手に目処がついていなかったため)というデメリットがあり、ダイ・アナザー・デイでの『数の劣位を覆す』一つの理由となった、とはいえ、プリキュア達も完全に無敵でもなく、南斗聖拳、華山、泰山系の暗殺拳の前の前に、一敗地に塗れる事も多かった。。とはいえ、プリキュア達も完全に無敵でもなく、南斗聖拳、華山、泰山系の暗殺拳の前の前に、一敗地に塗れる事も多かった。それに対抗する術として、黒江らが聖闘士の闘技を長期スパンで仕込むことになった他、デザリアム戦役中、のぞみが正式に草薙流古武術を継ぐきっかけになった。とはいえ、プリキュア達も完全に無敵でもなく、南斗聖拳、華山、泰山系の暗殺拳の前の前に、一敗地に塗れる事も多かった。それに対抗する術として、黒江らが聖闘士の闘技を長期スパンで仕込むことになった他、デザリアム戦役中、のぞみが正式に草薙流古武術を継ぐきっかけになった。また、たまたまだが、黒江のGフォースでの副官が南斗水鳥拳の21世紀時点での伝承者であった幸運もあり、南斗水鳥拳の奥義の数々が伝承されていった。――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――仮面ライダー三号に二度目の敗北を喫した黒江だが、三号は黒江を好敵手と見ているのか、過度な攻撃はしなかった。とはいえ、クロックアップ状態でのキックは骨の数本はへし折る威力であり、さすがの黒江も療養を余儀なくされた。黒江がほうほうの体で帰還した時、バダンのアッザム部隊が事もあろうに、襲来してきたのである――

 

 

 

「アンタは寝ていろ。ここは任せろ、せっかく持ってきたのなら、私が使ってやる」

 

「あれは皇帝の一つだが……お前なら、使いこなせるだろう。シンクロシステムの搭載改修も済ませてある。操縦法は直接、インプットされる」

 

さすがの黒江も担架で運ばれていく。ブライアンは入れ替わりでの大仕事についた。グレートマジンカイザーを起動させたのだ。

 

「本当は俺がすべきだが、このザマだ。お前に任すぞ」

 

「任せろ。ああいうじゃじゃ馬は望むところだ。最も、元は馬だった私が言う事でもないがな」

 

「その自覚は芽生えたのか?」

 

「あんたらと付き合ってるうちに、な」

 

繰り返すが、ブライアンはのぞみの体を使っている。本来は元の姿で戦いたかったようだが、流石にそれは不味すぎるので、のぞみの体を借りることにしたのである。精神を入れ替えたので、肉体はのぞみのものである。外見上の違いは目つきの違いで、内面的なものによる『声色の差』でしかわからない。

 

「ゴルシはどうした?」

 

「今、学園の連中に言い訳をしてる。あんたらが海底軍艦と本気でドンパチしたから、アンタの部下を借りるとか言ってたぞ」

 

キュアビートの姿で、ゴルシはのぞみが現役当時に通っていた学園の関係者に口八丁で(嘘八百だが)事情を説明している。

 

「そうか。ここののぞみは何してる?」

 

「ゴルシが相づち打たせるために、連れてったぞ。で、心配だからって、りんさん(キュアルージュ)が」

 

「あいつ、どこの世界でも、口八丁はできんのか」

 

「そうなんですよ。のぞみ、口はうまい方じゃないですから」

 

「かれんか。俺の骨は何本イってる?」

 

「全治数ヶ月ですね。私はみゆき(芳佳A)のように、高精度の治癒魔法は使えないので」

 

「応急処置で充分だ。根治レベルの治癒ができる宮藤がオカシイんだ」

 

キュアアクア(水無月かれん)は加入後、世界の環境により、魔力が発現。扶桑の医務学校で治癒魔法を覚えた。芳佳のような根治レベルではないが、通常の治癒魔法は応急処置レベルの精度なのだ。

 

「骨はくっつきゃ良い、それでテーピングすりゃ動ける。完治させるのは、事が片付いてからで構わん」

 

「とはいえ、数日は検査と安静が必要ですよ。これでも、世界線によっては、大学病院で内科医になる身ですからね」

 

「お前、大人のぞみの話だと、27でもう現場に立ってるそうだしな」

 

かれんは音楽家の家に生まれながらも、ミルクとの一件が現役時代にあったのをきっかけに、医者の道を歩んだ。大人のぞみ曰く、『ストレートで医者になったみたいですよ』とのこと。

 

「そ、そうなんですか」

 

「大病院じゃ、20代で現場のローテーション入れるのは有望株だって事だ。俺の一番上の兄貴がそう言ってたよ」

 

キュアアクアはこの『B世界の出身である』ので、未来を予言されたようで、妙な感じらしい。

 

「のぞみはどうなったんです?」

 

「私立の小学校に就職できたそうだ。おそらく、この世界でもそうだろう。プリキュアの力はこの世界だと保たれるから、二足の草鞋は履くだろうけど」

 

プリキュアの力は『世界が完全に平和になると、資格者から失われる』という可能性がオトナプリキュアの世界で示されたものの、B世界では、プリキュアオールスターズという概念が生まれているので、そういう事にはならない。つまり、プリキュアであるままで成人していくのである。

 

「つまり、あんたらの後輩ができた場合、あんたらは大人になっても、戦う宿命になるってことだろうな。因果な事だが、人々が望む限り、英雄は英雄でなくてはならん。私がそう望まれていたように」

 

ブライアンは三冠の名誉、凋落の晩年の記憶を取り戻したからか、そうしたことに一家言あった。自身が馬であった頃、関節炎で全盛期のパフォーマンスを出せなくなった結果、三冠の名誉云々…という話になり、ついには適性外の高松宮記念で醜態を晒し、名誉回復は不完全なままで引退せざるを得なかった。後輩のコントレイルも、ジャパンカップの敗北が三冠馬としての名誉に傷を入れる結果となった。彼の場合は有終の美を飾れたが、それでも、『歴代でも下の方』と言われてしまうのは、大衆がディープインパクト、シンザンやシンボリルドルフのような『絶対王者』を三冠馬に求めているからである。

 

「私など、クラシックの王者だったから、古馬時代の掌返しぶりは嫌に思ったもんだ。全盛期はポニーに、『もじった名前』がつけられるくらいには人気だったんだがなぁ」

 

ナリタブラリアンは、ウマ娘世界では親類とのことであるが、馬であった頃もブラリアンの存在は『名誉』と思っていたらしい。

 

「馬だった記憶持ちも大変ねぇ」

 

「あんたが生まれるか、生まれないかくらいの時代の馬だったからな。子孫は残せなかった(子が大成しなかった)が、名前は残ったよ。あんたの現役時代の馬だった『ウオッカ』は親類にあたる。マヤノトップガンも父は同じだから、今度会う時に、どういう顔すればいいのか分からんな」

 

とはいえ、2008年次では、ウオッカは現役競走馬である。この年の秋には、伝説の天皇賞・秋が控えているのだ。

 

「ん、まてよ。この世界は2008年。ウオッカはまだ現役の競走馬だぞ、ブライアン」

 

「あ、そうか。それはややこしいな」

 

後日、この世界での秋頃、ブライアンは元の姿で競走馬『ウオッカ』の晴れ舞台を観戦することになる。『高校生とわかる格好で、競馬場に行くものではない』とアドバイスされたため、ドレス風の勝負服(第二勝負服)で行ったという(そのため、却って目立った)。まさか、誰もが『親類でも見るような顔で競走馬を追う、ドレスコードを着こなす美女』が、かつての三冠馬の転生した姿であるなど、想像だもしないだろう。その時にナリタブライアンの姿を『見た』事が、ウオッカの魂を競走馬としての死後、魂をウマ娘世界に導くトリガーとなったのか?それは定かではない。

 

「だろ?行って来い」

 

「ああ。姉貴や妹達(ビワタケヒデなど)へのいい土産話になりそうだ。あんたらの持つ『皇帝』と呼ばれた魔神の力、借りさせてもらうぞ」

 

担架で運ばれていく黒江。ブライアンは踵を返し、そのまま駐屯地のダストシュートで格納庫の『カイザーコンドル』のもとに降り立つ。ブレーンコンドルが変異した『カイザーコンドル』はカイザーパイルダー寄りの外観をしている。機械がある方向で進化をすると、外観はどれも『似たようなもので落ち着く』。機械の進歩ではありがちなこと(スペースシャトルとブランが特に有名だろう)なのは、ブライアンも知っていた。

 

「エンジン始動。カイザーコンドル、スイッチ・オン!!」

 

カイザーコンドルが離陸し、そのまま格納庫を出る。

 

『マジーン・ゴー!!』

 

マジンガーは出撃時には、こうしたプロセスを踏む。元々が民間研究所の持っていた防衛戦力だったからである。故に、軍が解体を検討された時代でも、兵器としての研究が続けられた。ガトランティス戦役の後は『軍隊にかける再建コストを削減させるため』、政府の手で軍に編入された。政府のハト派の発言力がガトランティス戦役でほぼ壊滅(死んだり、世の人々に愛想を尽かされ、『転向した』りした)し、タカ派も『魔女の世界での蛮行』によりますます衰退したため、政府は軍部の良識派の出身者が実質的に統制するようになっていた。議員の大半が危険の矢面に立つ事もできない『事なかれ主義』を露呈したからで、スーパーロボットは『軍部の量的戦力を抑えつつ、民間軍事企業のように、反乱する危険がないという保証付きの絶対的な防衛力』として、ガトランティス戦役を境に、政府に重宝されるようになっていったのである。マジンガーとゲッターはこうした情勢で、一気に『防衛の中核』と見なされるようになり、政府公認で開発が盛んになったのである。

 

『ファイヤー・オーン!!』

 

グレート以降のマジンガーは戦闘機が機体と合体する手法で起動する。Z方式では、羽交い締めにされた際、搭乗機を引き抜かれる(実際に、そうして鹵獲された世界線があるらしい)危険がわかったからだ。その代わりに、合体難度が大きく向上したのは言うまでもない。ブライアンはのぞみの肉体の持つ『操縦技能』を最大限に駆使することで、ドッキングに成功。無事に起動させる。

 

『スクランブルダァァシュ!!』

 

変異したため、形状が大きく(W型)変わった『スクランブルダッシュ』が展開され、駐屯地の秘密発進口から飛びだっていく。これからがブライアンの『もう一仕事』であった。そして、炎ジュンの願った光景。ブライアンは『キュアドリーム』の名と姿を借り、人類最強のスーパーウェポンを操る。ある意味、反則に反則を重ねていた。

 

 

 

 

――かくして、グレート系のマジンガーは即応性重視のため、自前で翼を持つ。グレートの時代は機体制御の中枢回路の配置などの問題で『回路がある箇所を攻撃されると、全機能が止まる』という弱点があったが、外装や内部構造が刷新された皇帝では『そうしたことはない』。軍事的には、グレート系の設計思想のほうが即応性から、需要があるのだ。ブライアンの攻撃的な気質(元々の臆病さが成長と共に反転した)からしても、グレート系統のマジンガーは合っていると言えた――

 

 

 

 

 

 

 

 

――今回の事件でもっとも割を食ったのは、『プリキュア5の世界』の海上保安庁であった。連合軍は『国連の調査団』を装い、街の封鎖を続けていた。手痛い損害を負わせられた彼ら治安維持当局にしてみれば、『国連もクソもあるか!ここは俺等のシマだ!!』と言いたかったが、日本政府はどこの世界でも戦後は『国際連合は国際組織としての絶対権威』とし、その存在を信奉していたので、その言い分が通るという状況であったので、当局は手出しが不可能であった。結局、この世界での海保はこの事件で割を一番に食う羽目となった。巡視船の新造こそ認められたが、世が既にインターネット時代であった故に、軍事オタクから『イタリア軍の二次大戦当時の武装しかない飛行戦艦に手も足も出なかった』と、長らく、ネットで物笑いの種にされたという(これは日本連邦のある世界でも同様であった)。もっとも、戦後世界の巡視船で戦艦(しかも、第二次世界大戦で最強クラス)を監視する事を余儀なくされた故の悲哀であった。誤解されがちだが、海上保安庁は警察組織であり、他国における『沿岸警備隊』ではない。故に、戦艦や重巡などの重火力艦の監視は本当は任務外だ。日本連邦のある『ドラえもんの世界』の海上保安庁が『次元ゲートの警備』を辞退したのは、戦艦や重巡と常に対峙していれば、船も人も足りなくなるという判断である。実際、自衛隊も交戦規定が改訂されるまで、必殺の手段と見込まれた魚雷戦を封じられ、戦艦については無視せねばならなかったので、海上保安庁はなおさらである。

 

 

――この事件はプリキュア5の世界で都市伝説化する。『イタリアとの関係悪化』を懸念した政府が事後、『事件に関係する証拠を破棄させた』からである。これはベレンコ中尉の亡命事件と似たような処理であった。これはイタリア王国軍の消滅から既に数十年も過ぎていた上、大戦中のイタリアに、そのような飛行戦艦を制作できる技術も余裕もなかったという故の判断であった。だが、戦艦大和を飛行メカにしたようなドリル戦艦と砲火を交えていたという目撃情報もあり、結果的にだが、インターネット時代の情報拡散に政府と官僚の認識が追いついていない事の証明となってしまったのみならず、海保長官が辞意を以て抗議の意思を示すなど、禍根の残る結果になった――

 

 

 

 

 

 

 

――ブライアンの出撃の数時間ほど前。プリキュア5の世界での動乱は終局へ向かい始めた。そんな中、のぞみBはドリームキュアグレースへの覚醒により、A世界のプリキュア達に基礎能力が追いつき、ようやく、戦力としてカウントされた。学園への事情説明に『夢原のぞみ』として駆り出され、秋元こまち(キュアミント)と共に、学園の理事会などへの説明に参加していた。こまちにとっては、なんとも奇妙な状況であった。のぞみとドリームが同じ場所で『別人』として、同じ場所にいるのだから――

 

 

「なんとも奇妙ね……」

 

「しかし、これで別人って説明に説得力は出るだろ?」

 

「確かにそうだけど、なんか違う~!!」

 

「仕方がないだろう。中身が違うんだぞ」

 

変身を解いたのぞみBは、自分の変身態を客観視するという事態に困惑も困惑であった。ブライアンもドリームの通常形態に戻していたが、目つきは明らかに、『カタギには見えない』類のものである。

 

「儂らは表立っては顔を見せられん身だ。君等でなんとかしてくれ。数十年も前に死人だからな」

 

「笑いながら言うことか?おっさん」

 

パットンとブラッドレーは二次大戦の指導層の世代なので、21世紀には既に存命していない(墓の中)はずの人間だ。その関係上、プリキュアを代表して、ドリームが理事会に説明する必要があった。

 

「あたしも取り繕ってやるから、お前も少しは働けよ、のぞみ」

 

「なんですかー!人をアホ扱いしてー!」

 

「いや、そうだろ?プリキュアの一年目の頃、掃除を手伝うとか言って、あちらこちらでドジ踏みまくったくせによ」

 

「な!?なんで、それ知ってるんですかー!?」

 

「ゴメン、あたしが話した」

 

「ルージュぅ~~!」

 

「いや、あんた、迷惑かけたの事実でしょ……あん時」

 

のぞみBはぶーたれるが、それは全ての世界ののぞみの体験する『失敗』である。圭子に話題に出されたのにならず、キュアルージュ(りん)が転生しても、それを覚えており、他人に話したことは大いに憤慨ものらしいが、それは事実だ。

 

「何よー!みんなしてーーー!!」

 

「馬鹿、拗ねてる場合か。お前はドジっ子が過ぎて、理事会にも名前が知られてるんだぞ」

 

「えーーーー!?」

 

「そのほうが、却って信用されることもある」

 

圭子は自衛隊の制服姿である。Gフォースに籍を置いているので、事前にオーダーしていたらしい。もちろん、航空自衛隊のものだ。階級も空将のそれにしている。

 

「あんたの若さで、空将は無理ないか?」

 

「国連への出向云々で通す。どうせ、軍隊に興味のない輩だろうからな。嘘も方便ってやつだ」

 

戦後の日本の大衆は軍隊に興味のない者が多数派だ。女性自衛官が広報役代わりにされている面があると言っても、詮索好きか、探偵でもなければ、細かい身分までは調べない。圭子はそこを突いた。実際、国連の平和維持活動に自衛隊は意外と関わっているからだ。ブライアンは心配らしい。

 

「やれやれ。トチるなよ、のぞみ」

 

「だーからー、私の姿で私を呼ばないでよー!気が変になりそうーー!」

 

「気持ちはわかるが、漫画でよくあるだろ、こういうの」

 

「確かにそーだけどさー……」

 

のぞみBは正真正銘の現役真っ只中であるので、大いにぶーたれたり、拗ねる。のぞみAが成人した時間を経ているため、場面に応じ、振る舞いを適宜、切り替えることをこなせるのに対し、Bは外見相応にあどけなさがある。ブライアンの生徒会副会長という肩書きはここで生きてくるのであるった。出撃のおおよそは数時間前のことであった。

 

 

 

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