ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

566 / 788
プリキュア5の世界編+αです。


第六百三十五話「掃討戦、デルザー軍団」

――扶桑は結局、戦争関連の出費が強引に抑え込まれる一方で、民需関連予算が増大。扶桑史上で空前絶後の好景気に湧いていた。だが、同時に、社会的地位の低下で故郷を追われた軍人らが基地周辺に住まいを構える『軍人街』の形成という社会問題が発生。急速に基地の敷地内に官舎が建設されるに至る。扶桑軍の社会的地位の急激な低下による弊害が社会問題化した事は日本連邦の課題であった。結局、扶桑軍の中堅層の軍人不足が顕著となり、魔女の新規志願数の大幅減少と世代交代による現場の人材不足が日本側に認識されたのは、攻勢の期日の直前。日本は『攻勢を待てと言っただけで、中止とは言っていない』と言い訳をかましたが、扶桑軍から猛抗議を食らう羽目となった。この混乱を現場が尻拭いする羽目となったのは言うまでもない。超兵器で蹂躙する事になったのも、その一環であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

――ティターンズ残党は『アメリカ相当の国家の繁栄を潰す』という目的で『自分らの太平洋戦争での敗北』すら想定済みであった。つまり、リベリオンを敗北させるのが、彼らの真の戦略であった。その首魁『アレクセイ』は『どうせ、戻ってもエゥーゴに裁かれるのがオチだ。どうせなら、戦って死ぬのがいい』と考えており、自らの戦死すら考慮に入れていた。しかし、彼の想定より、リベリオン軍は優秀であった――

 

 

 

――リベリオン軍はもともと、世界の次代の覇者を約束されていた国の軍隊であった。それ以外の国との戦闘では自然に優位に立てるため、ティターンズが意図的に大損害を出させるように仕組んでも、扶桑側の戦術ミスなどが原因で『勝ってしまう』ことがしばしばであった。そのことも太平洋戦争の混迷の理由であった――

 

 

 

 

 

――64F主力の遠征も最終段階に入っていた。デルザー軍団の残りの面々やいくつかの暗黒組織の幹部が現れ、歴代仮面ライダーと歴代プリキュアらの共同戦線となったからだ。ナリタブライアンとゴールドシップは『最後の大仕事』として、その戦闘にプリキュアとして参戦していた――

 

 

――プリキュア5の世界――

 

「いよいよ、連中も本腰を入れてきたな」

 

「改造魔人というが、連中、本当に元からバケモノだったのを強くしたのか?」

 

「らしいぜ。伝説上の魔物を強化した存在って触れ込みだ」

 

「こいつらのデフォルトの技は効果がないってことか」

 

「見ろ、案の定だ」

 

ゴルシ(キュアビートの体を借りている)が促すように、デルザー軍団のドクロ少佐(出自はデュラハンの一族という)がキュアルージュ(B)のファイヤーストライクを物ともせずに、その爆炎から飛び出してくる。

 

「チッ!」

 

ブライアンはそのまま(キュアドリームAの体を借りている)飛び上がり、空中で錐揉み回転を行いながら、キックの態勢に入る。ドリルの如き回転と、赤い『紫電の光』を起こしながら。

 

『超電!!ドリルキィーーーック!!』

 

超電子エネルギーをドリルのように叩き込むこの技は仮面ライダーストロンガーの持ち技だが、この遠征までに、のぞみAは(パワーアップと特訓で)会得していた。その関係で、彼女よりも運動神経が良いブライアンも(記憶の見様見真似ながら)放つことができるのである。

 

「ぐああああーーー!?」

 

と、ドクロ少佐の首が跳ね飛ばされ、時間差で首と胴体が爆発し、果てる。

 

「ムゥ、小娘……貴様……」

 

「悪いな、私も扱えるんでな。……超電子の力を」

 

ジェネラルシャドウの言葉にそう返す。

 

「え!?何、今の!?私の固有技じゃないよね!?」

 

困惑の表情を見せ、駆け寄ってくるドリームキュアグレース形態ののぞみB。

 

 

「まどろっこしい説明は、私の性分じゃないんでな。あとでストロンガーにでも聞くんだな。彼が由来なんでな」

 

「助けてくれて、ありがとう。でも、こいつら……」

 

「あんたらの力じゃ、牽制が精一杯だ。正面きっての相手は引き受ける。それに、あんたはその力(ドリームキュアグレース)にまだ慣れてないだろ?」

 

「何よそれー!わたしだって、それなりに場数は踏んでるんだからねーー!」

 

「こんな時に膨れてる場合か。戦闘員を散らすから、下がってろ」

 

「!!」

 

ドリームキュアグレースとキュアルージュ(B)の見ている前で、ブライアン(姿はキュアドリームA。フォームはエターニティ形態である)は、ドリームAの会得済みの能力では変わり種に入るものを使った。

 

「ヌゥン!」

 

心の内で念じると、ゲッターエネルギーがダブルトマホークを象った形状で固形化していく。それを六つ程度揃え……。

 

『ダブルトマホォォク!!ブゥゥメラン!!』

 

エネルギーのトマホークを念じることで投擲。自分らに近づいてきた戦闘員を見事にみじん切りにする。そして。

 

「さて、仕上げといくか」

 

残っていた一個をそのまま『真ゲッタートマホーク』として再構成し、かつぐ。明らかにプリキュアの持っていい武器ではない。だが、元々が必殺技発動用の道具である『キュアフルーレ』より遥かに戦闘向けではある。

 

「はぁああっ!!」

 

ブライアンの身体能力が反映されてもいるため、真ゲッタートマホーク(ハルバード状)も軽々と振り回す。全体的なデザインは真ゲッタードラゴンのそれだ。容易く戦闘員を複数斬り捨てる。

 

「なに、その斧!?」

 

「ハルバードといえ、ハルバードと。近頃のゲッターロボの斧はみんな、こんなのらしいぞ」

 

と、ブライアン。ゲッターロボ由来の力である事を明言する。自分の姿を借りてはいても、荒々しい戦いを見せる事に、のぞみBは不満げだ。とはいえ、どことなくイケボ(雰囲気が違うのもある)であるのもあり、かっこよさを醸し出している。

 

「あなた、専門は陸上競技なんでしょ?なのに、どうして?」

 

「アスリートはスポーツバカというわけではないぞ?それと、私の実家は酒屋でな。色々と厄介な客が多いからと、親父に護身術を否応なしに仕込まれてな。むしろ、格闘の心得ないのに、変身していれば、攻撃に躊躇しないあんたらのほうがすごいぞ?」

 

「あ、あはは……」

 

 

ブライアンはウマ娘であるが、臆病であったのを矯正しようとした実父の意向で、武道をやらされた事がある。(流鏑馬などもそれだ)言うならば、経験者だ。そのため、一介の中学生(現役時代。それも帰宅部だ)ののぞみが変身しただけで、戦いに躊躇しないのが信じられないようだ。

 

「あたしは一応、スポーツしてるわよ?まぁ、変身してれば、色々と補正つくからってのもあるけど。だけど、あんたこそ、どこで覚えたのよ、そんな斧の扱い方」

 

「実戦を何回か経験すりゃ、自然と身につく。あんたらの後輩たちが新アイテムをスムーズに使うのと同じだ」

 

「それ言われちゃねぇ」

 

 

キュアルージュBはその一言に苦笑する。自分たちも心当たりがあるからだ。とはいえ、ブライアンのパワーが反映され、更に能力値が戦闘向きであるエターニティドリームの状態で奮われるトマホークは凄まじい威力を見せる。

 

「プリキュアだけが世界を守ってきたわけでもないしね」

 

上空から、ティアナ・ランスターが降りてくる。この時の彼女は前世で用いていた『炎綬の紅玉』のマイスターローブ(ただし、転生で力に変質を起こしており、前世でのリスクなどは存在しないらしい)を纏っており、容姿もその時代のものにしている。

 

「……あんたか。あんたも難儀なことになったもんだな」

 

「仕方ないっしょ。こちとら、昔の名前で出ています的な状況になっちゃってるんだから。おかげで、本名(ティアナ・ランスター)じゃ、休暇扱いよ」

 

「時空管理局への配慮か?まったく……」

 

「あたし、そもそもは管理局は抜けてたのよ?転移の時の処理で。それで、人手不足になったからって、取引持ちかけてきたのよ。面倒なことしてくれちゃって」

 

ティアナとしては、転移時に管理局は抜けたつもりであった。だが、機動六課に選ばれるくらいには有望とされていた人材であり、なのはの部下であった経歴は『手放すには惜しい』とされた。だが、不都合があった。ティアナは転移前、時空管理局の航空士官学校を落第し、陸士に回った経歴の持ち主であったが、圭子の数年がかりの教育により、秘められし素質が開花。見事に撃墜王となっていた。半ば実地教育であったが、圭子は航空士官学校に遜色ない座学を施していた。それが功を奏したわけだ。戦功もあり、将校に任ぜられ、ダイ・アナザー・デイにも参戦していた。その際に生存が確認されたが、ティアナは扶桑に骨を埋めるつもりであった。だが、時空管理局は『君の亡き実兄の名誉を公的に回復させるから……』という条件を提示し、ティアナに復帰を求めた。結局、それから程なくして、時空管理局そのものが地球連邦政府の管理下に置かれたため、扶桑軍との兼務という形となった他、なのはではなく、フェイトの配下という形になった。なのはとの史実の揉め事の記憶を持っていた(なのはは今回は事前に回避したが、ティアナは記憶を『持ち越す状態』であり、お互いに気まずくなったため)ための措置であった。

 

 

「なのはさんとは気まずいから、フェイトさんに仕える事になってさ。それはいいんだけれど、あたしが『飛べる』ことが時空管理局の教育部署の一大不祥事になっちゃうとかで、なんとか伏せられないかって。それで、あたしの前世をケイさん達が知ってたから、『前世の記憶と能力が戻ったんだし、姿も変えちまえ』って」

 

「ずいぶんとアバウトだが、時空管理局への気遣いって奴か?」

 

「そういう事。まぁ、ティアナとしちゃ、脇役ポジだったのに慣れてたから、今更、主役ポジに慣れろったってねぇ。こそばゆいのよね」

 

「仕方ないだろ、あんたは前世が結構な大物なんだからな。それは私も同じことだが」

 

「あーん!わたしの姿でイケボは反則だってぇ~!」

 

一同は戦闘員を蹴散らしながらも、話し込む。のぞみBはブライアンが『別の自分』の肉体を使っているが、ブライアンの特性の反映で『イケボ』になっている(その気になれば、のぞみBも出せる範囲だが)事に膨れる。だが、よく聞いていれば、声色自体は変わっていない。ドスを効かせたりしただけである。

 

「まったく、あんた自身の体から出してる声なんだぞ?」

 

「そんな事言ったってぇ」

 

「やれやれ。御託はいいから、雑魚どもを散らせ。大物はライダー達とわたしとあいつ(ゴルシ)でどうにかする」

 

「えらい自信ね?」

 

「伊達や酔狂で、別のあんたらはパワーアップしていないということだ」

 

ブライアンは流鏑馬(ウマ娘世界では、ウマ娘自らが走って、的を射る武道である)や多少の格闘術の心得があった。それを実戦で用いるのは初めてに等しい。だが、個人トレーナーの契約を協会に切られてからは(全盛期に海外遠征するつもりであったのもあるが)護身術を独学で実践し、学んでいた。その成果と、のぞみAがパワーアップを重ね、様々な技を身に着けていた事が複合した結果、ブライアンはのぞみAの評判に傷をつけずに戦えているのである。のぞみA以上に闘争心が強い(トップ級のウマ娘であったので)のもプラスに働いた。

 

 

『ショルダースライサー!!』

 

黒江、智子を始めとして、プリキュアの立場に置かれた者、あるいはプリキュアでありつつも、別の力を得た者に共通して『多用される武器』がショルダースライサー(マジンカイザーの持つ片手持ちの剣)である。マジンガーブレードよりは大ぶりだが、片手で扱える範囲の使い勝手を持つ。カイザーブレードやエンペラーソードを用いるまでもない剣戟の時は充分に事足りる。キュアフルーレは本戦闘向けではないが、ショルダースライサーは完全に剣戟を前提にした武器なのも大きい。

 

「!は、速い!?」

 

サーベルを持った戦闘員らとの剣戟が始まるが、ブライアンはウマ娘としての軽いフットワーク、のぞみAの体が持つハイパワーを存分に活かした『忍者と侍の双方の特徴を併せ持つ』とも言われる我流の動きを披露しつつ、ショルダースライサーを暗器のように扱うなど、意外に芸の細かいところを見せる。のぞみBはパワーアップ形態になっているのにも関わらず、視認できない速さでブライアン(姿は別形態の自分自身)が駆け抜け、長めの刀身の剣を暗器のように扱い、戦闘員らを一撃で仕留める姿に見とれてしまう。

 

「あ、あなた、本当に素人!?」

 

「言ったろ、本業はスポーツ選手だと。だが、ダイブ系のバーチャルリアリティゲームを学園の指示でテストプレイさせられることがあってな。その時に、理事長の好みだか知らんが、無双系のアクションゲームを従姉(ナリタタイシンのこと)と一緒にプレイさせられたんだよ」

 

ブライアンはトレセン学園生徒会の最高幹部である。その関係で、サトノ家(サトノクラウンやサトノダイヤモンドの実家。アミューズメント関連事業で特に名を馳せてきたという)の経営する電子産業企業の開発しているダイブ系のシミュレーターのデータ収集をやらされた事がある。ある時に、自分一人では興が乗らないと言い訳をしたら、ウイニングチケットがタイシンを連れてきて、それを見た理事長が二人にプレイさせた。その際にプレイしたゲームが無双系のアクションゲームだったのだ。その経験が活きたわけだ。

 

「まぁ、世の中、何が役に立つのか。わからんということだな」

 

「むーーーー!!私だって、プリキュアになって、それなりに場数は踏んできてるもんーー!!」

 

「あんた…、ツッコむとこ、そこなのね……?」

 

と、キュアルージュBのツッコミが入る。本職さながらの見事なアクションを見せるブライアンと違い、現役真っ只中である時間軸の都合もあってか、パワーアップしていても、精神面の若さ、純粋に『戦士としての立場の危うさを感じている』故の焦りも入る複雑な心境が垣間見えるのぞみB。案の定、デルザー軍団の『隊長ブランク』の突撃を止められない。

 

「嘘、ドリームアタックで怯みもしないの!?」

 

とっさに『プリキュア・ドリームアタック』をドリームキュアグレース形態で放ったが、隊長ブランクは怯みもせず、爆煙から姿を見せる。

 

「俺の体に、そんな技が効くものか!」

 

 

隊長ブランク(フランケンシュタインの怪物の子孫が強化改造された魔人)は偉大な先祖の特徴を受け継いでいたらしく、パワーアップ形態での『プリキュアドリームアタック』を物ともせずに突進してくる。見かねたブライアンは右腕のブローブをのぞみAの持つ能力『空中元素固定能力』で再構築し……。

 

「おっと、そいつらに手出しはさせんぞ、隊長ブランク!……ターボスマッシャーパーーーンチ!!」

 

右腕にしているブローブをターボスマッシャーパンチに再構築。それを放つ。凄まじい螺旋状の回転を伴う鉄拳が超音速で打ち出され、横っ腹に命中。隊長ブランクを空高く吹き飛ばす。

 

「ストロンガーさん、今だ!!」

 

「サンキュー。上出来だ!」

 

ブライアンの声に応じ、仮面ライダーストロンガーがチャージアップ形態で現れる。デルザー軍団との戦闘には必須の姿だ。

 

「よう、隊長ブランク。久しいな」

 

「ストロンガー、キサマ!!」

 

「生憎だが、大首領にまた生き返らせてもらえ」

 

「!!」

 

『超電!!スクリューキィィーーーーク!!』

 

ストロンガーはスクリュー回転を伴った両足キック『超電スクリューキック』を放つ。如何に通常の怪人より遥かに頑強な改造魔人も、『栄光の七人』の中でも最強無比を誇った『チャージアップストロンガー』の前では、赤子に等しい。超電子エネルギーを宿したストロンガーの蹴りはスクリュー回転を伴い、隊長ブランクのボディを飴細工のように貫き、致命傷を与える。

 

「クソ……ま…しても……!」

 

「あん時に言ったはずだぜ?先祖の名に傷がつくってな」

 

隊長ブランクがフランケンシュタインの怪物の子孫である故か、ストロンガーもそれを踏まえた台詞回しで決める。隊長ブランクが倒されるや否や、今後は空中から『荒ワシ師団長』(竜巻魔エキムというトルコの魔人の一族)が襲いかかる。技を放ち終えた隙を突いての攻撃だが、ブライアンとキュアルージュに読まれており、ショルダースライサーとキュアフルーレを投擲され、見事に体を貫かれる。

 

「あんた、竜巻魔エキムとかいう奴の一族だそうだな?先祖に免じて、一瞬で葬ってやろう!!」

 

ブライアンは左腕を天に掲げ、エターニティドリームの流麗な姿と裏腹の荒々しい技の態勢に入った。雷を召雷し、それを指先で受け、エネルギーを増幅させる。そのエネルギーが一定に達した段階で、高電流として放たれる。秒速30万km、秒間30万Aの凄まじい出力のものとして。

 

「如何に、あんたの体が絶縁体と言っても、内部に直接流し込めば、どうかな?」

 

ニヤリと笑い、サンダーブレークを撃ち込む。デルザー軍団の強さの秘密の一つに、『通常のストロンガーのエレクトロファイヤーくらいのエネルギーは寄せ付けない』というものがあるが、ある一定の臨界点があった。超電子、あるいはそれに極めて近い力の電気エネルギーには耐えられないのだ。サンダーブレークは(スーパーロボットの必殺技なので)エレクトロファイヤーの数倍のエネルギーを誇る。それをブレートとフルーレを通し、直接流し込んだのである。

 

『サンダーブレーク!!』

 

周りの戦闘員諸共に屠る。サンダーブレークの破壊力の高さを伺わせる一幕であった。フルーレは回収されたが、凄まじい威力だ。のぞみAのパワーアップぶり、それを適切に扱えるブライアンの野生のカンが窺えた。

 

「ヒュウ。なかなかやるじゃねぇか」

 

「グレートマジンガーの戦闘データは見ていたんでな。『こいつ』の能力なら、再現できると思ったまでだ」

 

「お前、今の状況、楽しんでるだろ」

 

「そう言われると、嘘ではないな」

 

と、ブライアンはまんざらではないようだ。闘争心を是とする種族である故だろう。

 

「私達は元々、闘争心を原動力にしてきた種族だからな。もっとも、『史実』とやらに自然と従うようにされていたのは気に入らんが」

 

「それが入れ替わりを頼んだ理由か?」

 

「そうだ。あんたも知ってるだろうが、そうなるつもりは毛頭ないということだ」

 

ブライアンは運命の力に抗うことを選び、その精神力を鍛える目的で『のぞみAと入れ替わった』。その決意の表れか、自然と紫色の闘気が彼女を包みこんでいた。ウマ娘は闘気が可視化される事がある。それはたとえ、別人の体を使っていても変わりはないようだ。

 

「さて、まどろっこしいのは終わりだ。戦闘員の雑魚どもを蹴散らしてみせよう」

 

ブライアンは、プリキュア5の象徴である胸の蝶を象ったリボンを二重構造のV字型放射板に変形させる。そして。

 

「チリ一つ残さん!!」

 

「!!この技……ブレストファイヤー!?」

 

「いや、ブレストバーンの系統だ!見ろ!V字の形の放射板に変形させてるだろ」

 

「マニアじゃないと、わかんないですよ~、そんなの!?」

 

ティアナ、のぞみBが異口同音にストロンガーに言う。実際にその通りであるからだ。だが、ブライアンは放射板を真っ赤に輝かせていき……。

 

『グレェェトブラスタァァァ!!』

 

これがグレートブラスター。マジンカイザーのファイヤーブラスターと対になる、マジンエンペラーGの必殺技である。ブレストバーンより独自色が濃くなっている他、ファイヤーブラスターより発射までのチャージタイムが速い、発射時の反動が遥かに低減されているなど、攻撃面ではファイヤーブラスターに優位に立っている。攻撃的な気質である彼女にはうってつけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――その頃、扶桑では(日本の意向で)軍票の廃止の期日の再延長が決められた。扶桑軍は各地に展開しており、軍票は兵員の給与の支払いなどに使用されていたが、それを現金(駐屯地ごとに違う)支給やプリペイドカード方式に切り替えるには時間も人手もまるで足りない上、本国で取り付け騒ぎが起きまくり、扶桑の経済基盤がグラついたからである。日本としては『こっちに軍票の法律はとっくにないから、気軽に持ってこられても…』という実務上の都合であったが、扶桑は大量の軍票を刷っており、それをいきなり無効化されてしまうと、経済的に困るのである。日本はこの問題の対処にものすごく苦慮する事になった。また、魔女の世界では(時代的に)ユーロは影も形もないので、扶桑は地域ごとの貨幣に応じた軍票を用いていた。それに気がついた日本は顔面蒼白であった。結局、預金を軍票に換金していた大衆も多かったため、『1965年8月まで換金を受け付ける』事にし、結局は日本も経費を負担する羽目となったのである。この騒ぎは扶桑の経済に少なからずのダメージをもたらし、戦争長期化の一因となるのだ。作戦の変更はその処理のほうが大事とされたせいであった。だが、作戦の第二段階の延長により、扶桑空軍待望の『F-15E』の採用と生産が間に合う事になり、F-105を退けて戦闘爆撃機として任についた。日本にはない『侵攻用の戦闘爆撃機』ということで物議を醸したが、性能は一級品。50機あまりが前線に回されたのである――

 

 

 

 

 

――扶桑では、南蛮に傾倒したことでも有名であった織田信長が本能寺の変の難を逃れ、そのまま天下を握ったり、怪異絡みで外征が積極的に行われていた結果、島原の乱など、隠れ十字教信者を生んだ『十字教絡みの動乱』はそもそも起こっていない。つまり、史実の徳川家がしたような十字教への弾圧はまったくなされていないのである。秀吉や家康の治世にあった十字教の弾圧関連の出来事は(織田信長の家系が代々、十字教かぶれであったのもあり)影も形もない。そのため、有馬家が十字教大名のままで存在していた。彼らに史実の罪を挙げ連ねても、無意味であったが、史実での改宗の責任を日本の大衆から追求され、それにたまりかねた有馬家の当代当主が衝動的に自刃してしまう事件が発生する。このような悲劇の余波はついに旧諸侯にも及んだのである。扶桑華族で分家出身の軍人の息女が本家当主の座を継ぐ事が流行した要因は、この悲劇も大いに絡んでいる。この流れで、旧諸侯の社会的影響力の減退が急速に始まり、扶桑でも『近代資本主義のもとで立身した者たちが社会の歯車を実際に動かす』風潮が定着し始めるのである。その一方で、黒田のように、近代的な財団法人を興し、上手く近代資本主義の時代に乗っかり、金銭的に富裕層かつ、社会的影響力を維持したままで居続ける華族も意外に多かった。この有馬家の悲劇は日本にも多大な衝撃を与え、以後は感情的な(史実に基づく)批判は鳴りを潜める事になった。とはいえ、扶桑華族にとっては、一種の『脅し』の効果があったのも事実であり、以後、学者肌の嫡男がそのまま次の当主になる事は減少し、分家出身でも戦功を立てたりした者が当主を継ぐ事が増えたという――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑の社会は全体的に軍事が尊ばれていたが、日本がそれを強引に陽から陰へ変えようとしたため、その歪が生じ、日本の目論見が却って、潰れてしまう事態が頻発し、軍人街という社会問題も引き起こしてしまった。日本は『職業差別の意図はなかった。軍事より銃後のほうが大事だという事を説くつもりだった』と弁解するしかなかった。このように、扶桑の大衆が日本の想定を遥かに超えて敏感に反応したことが、日本連邦の足並みが乱れる理由であった。扶桑軍人達はこうした荒波に翻弄されていき、次第に政治に興味を無くしていく。国防大臣の就任条件も『軍を離れて~』という一文が加えられたからである。だが、当時は完全に文民育ちの者に統制できるような状態ではなかったので、軍の第一線を引退した長老達の指定席のような地位となっていた。事変を生き残った士官がまだ『若手』である時代故であった。黒江達の突出を嫌った層が陸海軍を問わずに『軍国主義者』とレッテルを貼られ、中央を追放された事になるが、それが結果的に『史実で無能な働き者とされた者たち』の淘汰を成功させたのである。また、本土空襲の危険が(弾道ミサイル技術の登場で)増してしまったことで軍人の危機感は煽られたが、扶桑の軍備は切り替え中であるので、贅沢は言えなかった。結局、64Fの幹部層の提言を軽視したために、防衛装備の旧態依然ぶりが強調される形になったのは皮肉であった――

 

 

 

 

 

 

 

――複数の世界で決戦中の地球連邦軍。いずれも火消しのようなものであった。いずれも、歴代プリキュアが関わっていた事から、ドラえもん世界では、興味を持って報じられていた。ドリームはさることながら、キュアスカーレット、キュアエトワールといった『近年のプリキュア』の登場と活躍は歓迎された。既にその両者も(本来ならば)現役を引退している時代であったが、それぞれの理由で現役のプリキュアとして活動していた。スカーレットは現役時代、転生後共に『高貴な身分の出』であるため、大衆からは高嶺の花扱いであった。対して、キュアエトワールは現役時代、『過去にフィギュアスケート選手であった経歴を持ちつつも、品行方正ではなく、ちょっと背伸びしている感じ』が人気を呼んでいた。二人が主要人物であったアニメはとうに終了している(キュアエトワールの現役時代からも、有に5年ほどが経過済み)時代であったが、アニメと違い、変身後の姿で日常生活を楽しんでいる様子を写したピンナップ写真集はGフォースの副収入を担っていた。それぞれの現役時代であれば、ご法度になりそうなリラックスした場面を写したものは特に売れ筋であった。エトワールが動物園のレッサーパンダに悩殺され、『きゃわわ~……』という風に萌えている場面は最近の売れ筋アイテムとは、Gフォースの広報官の談。遠征の必要経費を捻出するためとはいえ、アコギと言われそうなプレミアム商法をしている彼ら。初期世代のピンナップなどはは2023年の段階では、(現役時に子供であったりした)大人層、近年の世代は20代~10代前半の女子などがよく購入するという。坂本美緒(A)はこの業務も管轄下であり、意外に商売人に向いているのでは?と思わせる販売戦略を立て、武子に関心されていた――

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。