ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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プリキュア5の世界編です。


第六百三十七話「ゴルシの示した回答」

――魔女の世界での潜水艦は人員と物資輸送に使われていたため、史実のような攻撃の研究は1920年代の水準で止まっていた。それが功を奏し、日本連邦はシーレーンを維持できていた。日本連邦は新鋭艦と新鋭機を最優先でシーレーン防衛に回したが、通常兵器運用ドクトリンが史実より遅れていた同世界では杞憂に終わった。魔女たちが通商破壊を『卑怯だ』と嫌ったからだが、逆に日本連邦は通商破壊対策に過敏になっており、潜水艦を片っ端から沈めていった。そのために、リベリオン軍の潜水艦は1948年で払底し、その再生産も(魔女達の妨害で)ままならない有様であった。一方の日本連邦は潜水艦の数量不足に悩みつつも、通商破壊に勤しんでいた。その差に加え、ブリタニア経由での戦略爆撃(弾道ミサイルに確実性がないため、爆撃機を使用)も行われており、日本連邦のほうが情け容赦のなさを発揮している。それでも、均衡を保つだけであるあたり、リベリオンの物量と国力の強大さの表れであった。日本連邦は前線の兵器の更新が立ち遅れ、なおかつ兵員の練度の問題に悩んでいるが、1940年代の水準でいえば、必要十分であった。この戦争の兵器の質の強化と必要知識の増大は魔女達(学歴は大半が小学校~中学校卒)の再教育の経費の拡大を招いた。扶桑の魔女としては最高位に近い地位にあった坂本でさえ、小学校をまともに卒業していないのだから、他の魔女たちの学歴は見るも無惨であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そのため、のぞみたちが(相対的に)高学歴扱いになったわけだ。扶桑軍の末端の兵士や下士官の多くは『中学校卒』、あるいは純粋培養の陸軍幼年学校卒の者であった。この問題は軍学校の改革が根付く時代まで、軍の足かせとなっていく。当時は幼年学校卒の経歴の者が多数派であったが、幼年学校卒の者が疎んじられる時代を迎えてしまったため、彼らは戦場での死を切望するという事態に陥った。

 

 

 

 

――64F 遠征軍基地

 

「ふむ……」

 

「どうしたよ、姉御」

 

「なんじゃ、小僧か。今回は不参加か」

 

「ガキどもが混ざったから、控えだよ。どうしたよ、あんたともあろう者が書類で」

 

「司令部からの通達じゃが、これを見ぃ」

 

「どれどれ。教導要員を選抜して、各部隊に貸し出せ…だって?よほど不足してんだな、教官層」

 

「例のクーデターの後、せっかく育っていた中堅層がごっそり抜けよった。それが日本の予想以上に深刻で、教官層が空洞化したそうでの」

 

「教官の仕事は世間的には受けが悪いからな、扶桑じゃ、隠居人の仕事ってイメージだし。武子は怒るだろうが、扶桑は武士の国だった時期が800年以上あったからな」

 

武子は事変後に教官であった時期があるため、軍事を徹底的に陰とする風潮に違和感を感じていた。彼女が日本の意向で更迭されないのは、『同位体が加藤隼戦闘隊の長であった加藤建夫である』という事、64Fの総隊長である事が理由であった。

 

「娘っ子には酷だが、軍事は穢れだからのぉ。戦後の日本には。故に、無頓着なところがあるのじゃ。防衛出動がジオン残党相手にかかった時も、モビルスーツの現実性が認識されてからで、後手後手じゃったからの。で、ハイニューが来たら、一部の輩が自衛隊を叩いたそうでの。で、娘っ子はその割に、人材の優遇相応の成果を求められていると来てる。かわいそうじゃが、アレキサンダー大王やチンギス・ハーンのような無敵ぶりを求められるのがウチじゃからの」

 

「その割に、陰に生き、陰に死ねってのが戦後の日本の軍事への考えだもんな。あいつにはきついだろう。あたしらは慣れたが、あいつは自衛隊での勤務実績はまだないからな。教官はどうする」

 

「手空きの魔弾隊から、三~四人は出そう。上も、魔女はそれほど求めてはおるまい。今、必要なのは通常兵器じゃからのぉ」

 

赤松は最高幹部としての判断を下す。上層部からの要請への回答だ。魔女の育成枠が日本の意向で縮小されている故の想定人数がそのくらいであるからで、通常兵器での戦いが激しい一方、MATとの住み分けで出動が減ったため、魔女たちは主に空戦で暇を囲っている。空戦は弾着観測と上空援護くらいしか仕事がなくなったし、陸戦が激戦続きなのと対照的であった。この問題の解消は第二世代式の普及の促進で図られるが、舟形への回帰傾向が見られたために不評であり、間を置かず、さらなる進化が求められるのである。

 

「しかし、あの馬のお嬢(ブライアン)だが、どこで戦い方を覚えた?」

 

「元々、護身術を心得てたそうだ。立場上、一定の武道は必要だったみたいでな」

 

「それで、奴の元の担当トレーナーだが、我々に探せと?」

 

「どうやら、世間の批判を恐れた協会が強引に首を切ったようでな。彼は家族とも気まずくなって、市井に姿を消したそうだ。民間の探偵業者じゃ限界があるから、法をある程度は無視できるあたしらに依頼がきたんだ。生徒会の名で」

 

「学校の生徒会にしては、強大すぎないか、権限が」

 

「トレセン学園という、一つの巨大コミュニティを生徒たちの手で自治させる事の意義が重視されているそうだぜ。理事会は世間向けの形式的なもので、学校の自治は生徒会が担ってる」

 

学内の予算までも生徒会の管轄であるなど、トレセン学園の生徒会は『一学校の生徒会の範疇を遥かに超える権限を持つ』。だが、調査能力はシンボリ家、メジロ家などのバックホーンに依存しており、キングヘイローの際は『補助に留まった』がために長期化したが、今回は比較的簡単だろう。

 

「問題は件の彼に代わる個人トレーナーが見つかるか。場合によれば、ボウズ(黒江)にやらせる」

 

「規定かなにかがあるらしいしな。協会の意向でクビにされた場合、再契約は極めて難しいという…。件の彼とあやつは結婚するつもりだったのかの?」

 

「普通に行けば、三冠ウマ娘としての悠々自適な生活が保証されるから、引退・卒業後に籍を入れて、家を継ぐこともあり得ただろうな。だが、ブライアンの運命は史実を考えれば、残酷そのものだ。引退後の数年以内に内蔵の大病で命を落とす可能性も無きにあらずだ」

 

ブライアンが運命に抗う事にこだわるのは、前世の自分の最期が胃破裂によるものであった記憶が蘇った事、現役晩年期の低迷が自分の怯えも絡んでいる事による悔しさが絡み合ってもの。そのため、ウマ娘として『ヒトに極めて近い体を得た』事を僥倖としている。記憶が戻った後は協調性を得たが、既に史実での低迷期に入った後であった。ブライアンがキュアドリームに扮したのは、精神状態を全盛期の闘争心溢れる状態に戻すためである。ブライアンとしては、史実を回避するための最後の手段であった。

 

 

 

 

 

 

――そのブライアンは闘争心を名実ともに漲らせるため、キュアドリームに扮していた。デルザー軍団は歴代暗黒組織でも最強格に属する実力派だが、歴代ライダーがスクラムを組んだ上、プリキュア達が最強形態で戦った事もあり、若干ながらも劣勢であった。だが。

 

 

「!!」

 

「ハート!!今の攻撃は……」

 

キュアハートが狙撃され、肩を抑える。コスチュームと肩を貫通され、出血する。

 

「テメェは……」

 

「フッ……マシーン大元帥の求めに応じて、来てみたが……小娘共がライダー共に加勢していたとはな」

 

「貴様、ハカイダー!!」4

 

「如何にも。この俺は組織に与してはおらんが、依頼は果たす」

 

デルザー軍団に加勢したハカイダー。黒光りするボディ、脳髄が入る頭部(優秀な人物の脳髄でないと、機体のポテンシャルは発揮されない。ギルハカイダーが小物であったのは、元から発狂していたプロフェッサー・ギルの脳髄が載せられていたためだ)は不気味感満載だ。

 

「貴様、今度は誰の脳髄を得た!?」

 

「どういう事…?」

 

疑問を口にするキュアハートに、キュアドリーム(ブライアン)は答える。

 

「奴の頭部に脳みそが入っているだろう?あれは本物らしい」

 

「え!?そんな、脳みそを取り出した状態で生かせるなんて」

 

「しかも、1970年前半期の時点で、だ。脳髄の自我と記憶はあったり、なかったりするそうだが…!!」

 

「このハカイダーに死という文字はない。ボディと脳髄さえあれば、いつでも蘇るのだ」

 

「うぉっ!……その反応速度……射撃の名手の脳髄を組み込んだか?」

 

「フフ…。どうかな?」

 

ハカイダーは装備の拳銃で牽制しつつ、プリキュア達に近づく。ハカイダーの能力は脳髄の持ち主に左右されるので、サブロー時代の優秀さを発揮できているという事は、光明寺博士クラスの人材の脳髄が組み込まれている事を意味する。外観もサブロー時代のそれに戻っているが……。

 

 

「ハカイダー様、何を遊んでおいでで?」

 

「来たか」

 

同型の人造人間が三体ほど現れる。ハカイダー四人衆だ。

 

「貴様らは……」

 

「我らハカイダー四人衆、地獄から舞い戻ったわ!」

 

「テンプレな台詞吐きやがって!再生怪人は弱いのがお約束だぞ!」

 

ブライアンは思わずツッコむ。ハカイダー四人衆のうち、三人のノリが昭和の三下系の悪役キャラそのままであったからだ。

 

 

「ハハハ……、小娘ども、我々を昔と同じだとたかをくくっておるな」

 

「キカイダー兄弟にいいようにやられた貴様らがなんのために生き返らせられた?」

 

「それを言う必要はない」

 

「おっと、レッドハカイダー。キカイダー兄弟から聞いたが、お前の腕で、私に当てられるか?」

 

ボーガンを構えるレッドハカイダーをブライアンは挑発してみせる。ハッタリではない。ウマ娘としての高い動体視力や反射神経が加わった状態なので、ボーガンの弾速であれば、素で充分に見切れるのである。

 

「小娘め!!」

 

「トサカにきたか」

 

レッドハカイダーがボーガンを乱射する。だが、ブライアンは矢を指で受け止める。

 

「ハッ、ボーガンでこの私に傷を…?笑わせる」

 

体はキュアドリームだが、声色はブライアンの声に近めのハスキーボイスである。のぞみのボディで出せる範囲のものだが、充分にドスは効いている。

 

「挨拶代わりだ。喰らえ!」

 

『エクスカリバー!!』

 

聖剣は存在に紐づけされているため、精神が入れ替わった状態でも使える。ハカイダー達はロボットのため、普通に避けるが、地面に綺麗さっぱりと切り口ができる。

 

「これが噂の聖剣か。アーサー王伝説のものだが……。まさか、霊格として複数が存在するとはな」

 

「元のものに遜色はないぞ。当たれば、あんたらだろうと、タダではすまん」

 

背後に聖剣(エクスカリバー)のビジョンが浮かぶ。存在に紐づけがなされたため、存在に気づけば、のぞみBも使えることになる。また、この時にブライアンもその恩恵に預かれたので、後に日曜大工や人命救助などで大いに活用する事になる。

 

「これは面白い」

 

ハカイダー(リーダー格の個体)はハカイダーショットを連射し、ブライアン達を牽制する。当たれば、プリキュアの防御を余裕で貫通する故、ブライアンも迂闊には接近できない。

 

「キカイダー兄弟を倒す前に、いい余興になるというものだ」

 

「キカイダー?」

 

「1970年代に活動していたヒーローで、オーバーテクノロジーで生み出されたアンドロイドだ。このハカイダーと同じようにな」

 

キカイダーは完成当時からは考えられない水準の人工知能を持つアンドロイドであった。ご丁寧に説明してくれるのも、ハカイダーの生まれた時代を感じさせる。のぞみBらは『その時代の技術で精巧なアンドロイドが作れたのか?』と驚きであった。如何に光明寺博士とプロフェッサー・ギルの技術が当時の技術水準を超越していたかがわかる。

 

「一つ聞こう。ダーク……いや、プロフェッサー・ギルはハカイダータイプを量産するつもりだったのか」

 

「このハカイダー三人衆が何よりの証拠だ。初期ロットが完成した段階でギルが倒されたので、こやつらしかいないがな」

 

ハカイダーはオリジナルの個体、量産型、制作途中の二号機が存在した。その内の二号機の部品を一部に使用したと思われるハカイダー。流石に、ロボット再生装置での再生、ビジンダーレザーによる破壊を繰り返されたオリジナルの部品は一部を再利用できなかったのだろう。

 

「さて、おしゃべりはここまでとしよう」

 

 

と、ハカイダーが銃を向けようとした瞬間、砲撃が行われ、ハカイダー達はド派手にぶっ飛ばされる。さしものハカイダーたちも驚きの声を挙げ、なんとも情けない有様で転がっていく。

 

「なにィ!!これは……」

 

『どうやら、間に合ったようだね。それまでだ、ハカイダー』

 

なんと、のび太が重整備中のレイズナーではなく、ダグラムで駆けつけたのである。背中にはターボザックという装備をつけており、重装備タイプであることが窺える。

 

「おのれ、卑怯な!等身大の相手にリニアカノンだと!!」

 

『君等が道徳を説くなんて、世も末だね。君等相手に、卑怯もラッキョウもないね』

 

「今度はなに!?」

 

「落ち着け、味方だ」

 

身構えるのぞみBらだが、ブライアンは味方だと教える。一言でいうなら、無骨な人型兵器である。顔がなく、頭部にコックピットがあり、戦闘ヘリコプターのようなキャノピーを持つ外観だ。大きさはモビルスーツよりは小さいが、ナイトメアフレームよりは大きい。

 

『デルザー軍団共々、今の一撃じゃ死なないうのはわかっている。さて、もう一発』

 

背中のリニアカノンが火を吹く。MSより無骨な外観であり、ナイトメアフレームと違い、如何にもという感じのデザインであることで、ミリタリーオタクからの人気は高い。ミノフスキー粒子とMSの台頭で廃れた兵器『戦闘ヘリコプター』の流れを汲むからだ。

 

 

 

――ダグラムは元々、コンバットアーマーの決定版として、未来世界における反地球で開発がされていた。だが、人型ロボットを軽視する現地の『芹沢虎徹』参謀長の判断で、パテントや製造権一式が(タキオン波動エンジン技術の提供と引き換えに)売却された。その製造権などを引き取ったのが、地球の野比財団であった。財団がアナハイム・エレクトロニクス社を掌握し始めたダイ・アナザー・デイの段階で試作され、この時点では、のび太の使用に数えられていた。レイズナーと異なり、地球連邦軍に量産前提で採用されており、陸軍で量産型が試験配備の段階にある――

 

『た~ま~や~♪』

 

いささかギャグっぽい光景だが、リニアカノンの威力自体は『ガンダリウムγくらいの装甲板は軽くぶち抜ける』もの。有無を言わさず、ハカイダーたちを撃退するには、このくらいの火力が必要であったのだ。

 

「綺麗さっぱりとお星さまになるくらい、ぶっ飛んでいったわねぇ」

 

『あれくらいじゃ死なないから、奴らは。ロボットだし。正確に言うと、サイボーグらしいけど』

 

「脳みそを機械の中枢に使うなんて……。そんな技術が……大阪万博とかしてた時期にあったっていうの…?」

 

「この世界にはないが、こいつを動かしてる奴の世界にはある。脳みその神経系を機械と接続させ、機械の体を生身と同じように動かせる。医療目的という名目で、戦中の頃から研究がされていたらしい。宇宙からのオーバーテクノロジーを前提にした上で」

 

「宇宙!?……わたし、SFとか苦手なんだよなぁ」

 

「あんたは駄目なのか?」

 

「え、そっちは大丈夫なの?」

 

「入れ替わってるからいうが、持ってる本にSFがかなりあったぞ」

 

「嘘ぉ!?」

 

戦闘中なので、軽く伝える程度であったが、のぞみAは転生前の職場環境と転生後の周囲に影響されたため、蔵書にSFなどが多いらしいことがBに伝わった。これは宇宙に関係する仕事である事、次元世界を股にかける関係で、SFにある程度の耐性があることが必要であったからである。

 

「こればかりは仕事の関係だろうし、職場環境も大きいから、私にはなんとも言えんが。まぁ、パイロットなせいだと思う」

 

「パイロットかぁ…」

 

「詳しくは、あとでコイツから聞くんだな。あんたの結婚先の家の主だしな。此方側での話だが」

 

のぞみBは複雑な表情だ。別の自分は生まれ変わった後は教師の道を諦め、職業軍人。それも高級将校の道を歩んでいる。しかも、プリキュアの力を持って。それはなんとも言えないらしい。

 

「あなたは大丈夫なの?」

 

「目的のためには、如何な労苦も厭わん。たとえそれがなんであろうとも、な。だが、私は立場上、元の姿では参加できん。だから、別のあんたから体を借りた」

 

「どういう科学力なのぉ~!?」

 

精神を入れ替えられる科学など、想像だもできない。だが、巨大な人型ロボットや宇宙戦艦を造れる技術力なら、精神を入れ替えることすらなし得るだろう。

 

「さて、残ったデルザー軍団に一発かましておくか」

 

ブライアンは空高く飛びあがり、同じことを考えていたストロンガーと共に、ある必殺技の態勢に入る。

 

『超電子!!!』

 

オレンジ色の雷が迸り、空中で大の字になりながら、その場で大の字になり高速回転、落雷を浴びる。

 

『稲妻キィーーーーック!!』

 

その瞬間、仮面ライダーらと、ダグラムに乗るのび太を除く全員が耳を塞いだ。オレンジ色の2つの雷が合体し、辺り一帯に響き渡る落雷となった。

 

「!!……耳がぼわんぼわんする~~……」

 

「あんな轟音だ。無理もねぇ。休んでな。おい、のび太。どうだ?」

 

『今の稲妻キックで、敵は撤退したみたいだ。コンバットアーマーの部隊に、ここ一週間は警備させるよ』

 

のび太の言から、DAM(一部の設計を変えたダグラムの量産機)の部隊が稼働するに至ったのがわかる。ラウンドフェイサーは生存性に難があり、かといって、四脚戦車は補助兵器の域を出ない。かといって、有力な機種『ビッグフット』は高コストであった。もっともバランスのいいダグラムが量産化されたのは当然であった。

 

「ボトムズは人道的に量産できねぇもんな」

 

『あれは数があって、人的資源が無尽蔵に等しい陣営じゃないと使えないさ』

 

コンバットアーマーは一定の生存性、モビルスーツ以下の製造コストなどから、連邦陸軍が『昔の戦闘ヘリコプター的な兵器』として捉え、より高コストなモビルスーツを補助する兵器とした関係で、戦闘ヘリコプターの衰退で転科したパイロットが多い。モビルスーツが頑強な装甲を持ったせいで、戦闘ヘリコプターの搭載する兵器では傷つけることもままならないため、モビルスーツの装甲がチタン系の合金に世代交代したグリプス戦役後は衰退。その代わりに、コンバットアーマーが陸軍に注目されたとのこと。

 

「シンプルな作りだね、これ」

 

「まぁ、有視界戦闘用に造られたものだしな。昔の戦闘ヘリコプターに代わる低コスト兵器の一つらしい。その中の最高位のものだってよ」

 

ターボザック装備のダグラムの性能はコンバットアーマー中でも最高位を誇る。整備性も(モビルスーツとは別個の環境で整備性を重視され、人型ロボットに発展したため)モビルスーツ以上に高い。元はXネブラという電磁雲に対応する過程で、電子的な制御を必要最低限に落としたのも関係しているが。ガイアの軍人らは『人型ロボットが隆盛を極める世界』を隣接地域が築いている事に愕然とし、その整備に躍起になっているという。

 

「元はその世界の反地球……つまり、太陽の反対側で生まれた『もう一つの地球』で生み出されたらしいが、コイツの財団に安価でパテントが売り払われてな。それで生まれた」

 

「え、もう一つの地球って?」

 

「天文学的には否定されて、この世界にはないが、別の世界で、それが偶発的に生まれる。稀なことらしいがな。これまた、文明も同じように生まれていく。そんな星がある。二連惑星になるはずだったものが、何かの加減で離れていった結果っていう意見もあるらしいが……あいにく、私も、お前自身も専門家じゃないしな」

 

「ほえ……そんなことあるんだね」

 

「天文学的に低い確率だが、ありえないわけではないらしい」

 

反地球は(未来世界には)実は地球の上下左右にも複数が存在しているが、その内、ほぼ同じレベルかつ、似た文明を持ったのが『ガイア』である。

 

「ミントに言ったら、喜びそう」

 

「別の世界の事をお前は早期に認識していたろ?」

 

「まぁね。でも、プリキュア以外にも結構いるんだね、世界を守る人達…」

 

「江戸の頃からだそうだ。あとでのび太から資料をもらえよ」

 

「そうする。あなたもブライアンちゃんと同じ世界の子だよね?ビートの体を使ってるけど」

 

「説明しずらいんだ、あたしの場合。この時代は馬としても、まだ生まれてねぇし。活躍したのは2010年代のことだ」

 

「そなの?」

 

「ああ。お前が高校、いや、大学に行った時には見れるかもな。まぁ、競馬場にいくってのは、親にいい顔されない場合も考えられるから、そこは上手くやれ」

 

ゴルシがやってきた。キュアビートの体を借りているが、表情は(中身の)ゴルシらしく、ギャグ寄りの豊かなものだ。

 

「体を貸し借りって、どうなの…?」

 

「私達はアスリートだから、協会がうるさくてな。サバゲーならまだいいが、ドンパチはもちろんご法度だ。だが、私にも都合というものがあるから、お前と後輩に無理を言って、体を借りた。ドラえもんがいるしな」

 

「それはずるいってー!私だって、ドラえもんに会いたいのにー!」

 

「あんたねぇ…」

 

と、膨れるのぞみB。それに呆れるりんB。とはいえ、のぞみB達はこれから、学園の関係者に事情の第一報を伝える役目が待っている。ブライアンも『キュアドリーム』として、学園の関係者(理事長と理事会など)にその子細を伝える仕事がある。

 

「でも、どうすんの?これから」

 

「あんたらの学校のお偉方には、私とゴルシがまず接触する。それで、口八丁で国連からの見舞い金って名目で金を渡す。ここの学校は私立だろう?」

 

「確かに」

 

「私立は評判が落ちれば、経営に悪影響が出るからな。今回の事は『どこかの武装勢力がナチ残党が日本軍へ遺していた兵器で起こしたテロ』という風に国も装うだろうが、無策だったとは言えないから、私たちとの取引に応じるだろう。それに、ハカイダーが蘇ったという事は……キカイダー達から聞いた『最終兵器』が完成するかもしれん」

 

「最終兵器?」

 

「キカイダーがハワイにいく前に残した資料によれば、試作型は日本で建造され、予備の機体はドイツで建造されていたそうな。キカイダー達のみならず、仮面ライダーらも倒すために造られていたそうだが……」

 

プロフェッサー・ギルの最後にして、最悪の遺産『ジャイアントデビル』。開発コード・ネームは『アーマゲドン』。プロフェッサー・・ギルの叡智を集めて設計された、最強の人造人間という伝聞が残っている。とはいえ、そのサイズは巨大兵器そのものであり、完成していれば、一日で日本は消し飛ぶと豪語していたという。

 

「1970年代にそんなのが……!?」

 

「あんたらとは別の世界でのことだが、地球の悪の組織が多かった時代はその頃なんだと。1980年代以降は宇宙からの敵がメインになるそうでな」

 

「なんでぇ!?」

 

「ナチの残党とかが活動実態を保っていた時期だからじゃないか?」

 

「なんか、陰謀論でよくネタにされた話だけど、こうして戦ってみると、信じられないわよ」

 

「旧軍の残党よりマシだろ。旧軍の残党となると、曽祖父の世代と一戦を交える事になる」

 

「そっか、戦場行ってた人たちは若くても、昭和の始め頃の人達だもんなぁ」

 

「あたしらのひいじいさんの代の連中と戦うってのは、変な感じがするわね」

 

「連中の執念に付き合うのも一興だが、お前らには酷な話だろう。私には目的があるが、お前らは巻き込まれただけだからな」

 

「でも、今さら傍観する気はないよ。そっちの私に借りを返したいしさ」

 

「話に聞いたが、シャドームーンに喧嘩を売ったそうだな?」

 

「うん。あいつに手も足も出なくてさ」

 

「お前、アホだろ」

 

「なぁ!?」

 

「ヤツは雰囲気だけで強者ムーブしてんのに、実力差わかんねぇのか」

 

「私はあなた達みたいに、喧嘩とか、スポーツ慣れしてないもんー!」

 

「帰宅部だったんだろ?それは聞いてる。よく生きて帰れたな」

 

ゴルシ(体はキュアビート)に言われ、またも膨れるのぞみB。

 

「そのへんは記憶ないんだ。あいつに腕をボロボロにされたあたりで気絶したみたいで……気がついたら、プリキュアの姿のままでベットに寝かされて、治療されてた」

 

 

「その間はどうしてたんだっけ?」

 

『息子から聞いたけど、こちら側ののぞみちゃんが一時的に代行したんだって。緊急事態だったし、その時はボクやドラえもんと連絡取れなかったみたいでさ』

 

「俺も光太郎(RX)から聞いたけどよ、結構苦労したみたいだぜ?ほら、すっかり軍人の習慣になっちまってるから、朝の五時に起きるだろ?で、両親が親戚に誘われて、海外旅行に出ちまったから、自炊する羽目になったとか?」

 

ストロンガーも続く。のぞみAはその事態の収拾がつくまでB世界に滞在し、久方ぶりに中学生生活を送ったが、習慣が軍人のそれになってしまっているので、色々と苦労した上、柄にもない自炊までする羽目になった(現役時代と違い、軍隊生活で自炊はできる)。そういう流れであったと。

 

「そのへん、後で教えてください」

 

「後でな。」

 

戦いは終わったわけではない。敵もラウンドフェイサーやヘイスティを送り込んでおり、コンバットアーマーも有しているらしい。のび太がダグラムで応戦を始める。

 

『ソルティックとアイアンフットか…。やっぱ、連中も持ってたか』

 

コンバットアーマーはナイトメアフレームと違い、移動手段は歩行であるので、もっとも原初のロボット同士の対決に近い。

 

「のび太、敵は雑魚だ。早々に片付けろ」

 

「あいよ」

 

コンバットアーマーでは、ダグラムに勝てる機体は存在しない。部分的に能力が上回っても、総合面で及ばないからである。史実では反連邦の象徴であった同機が『地球連邦・改革派のエース機』となるというのは、ある意味では皮肉な事実であった。

 

「のび太、あんま関節に負担かけんなよ」

 

『わーってるって!』

 

ゴルシがそう注意を呼びかける。モビルスーツとナイトメアフレームと違い、コンバットアーマーは戦略移動力を持たない純然たる『陸戦兵器』である。MSと違い、降着時の軟着陸をするためにしか、機体にスラスターを持たない(改良型ターボザック装備であれば、一年戦争当時の連邦製MSクラスの跳躍力を得るが)。また、マッスルシリンダー(ボトムズのそれと同様)が関節駆動に採用されている都合、被弾した場合はMSより脆い。双連式のダグラム系以外のほぼすべての機種で見られる傾向だ。

 

「どういうこと?」

 

「ああいうロボットは関節の摩耗が問題になるんだよ。荒く使うと、フレームが耐えられなかったり、部品がイカれる。だから、関節部の摩耗を軽くする技術や、関節自体に強度と柔軟性の高い特殊合金を使って対処してるんだ」

 

ゴルシが解説するが、コンバットアーマーは他の機動兵器と違い、関節への負担が大きいので、部品交換などが簡便化されている他、予備パーツが多めに生産されている。ダグラムは特別に頑強な構造だが、それでも突然の故障はあり得るので、運用の際には、四肢の予備パーツを多めに持っていった上で、時間整備が欠かせない。

 

「スーパーロボットは特別な合金で全身ができてるから、整備の間隔は長めだが、リアル系はそうじゃない。むしろ、戦闘機や戦車より短めで、財政的には嫌われ者だそうだぜ」

 

――プリキュア5の世界で繰り広げられている戦闘は現地の付喪神/土地神を闇落ちさせたが、地球連邦軍/Gフォースの陰陽師にあえなく対策を施され、大局に何ら影響は及ぼさなかった。むしろ、ハカイダー四人衆の存在から、『プロフェッサー・ギルの遺産』のほうに焦点が移る有様であった。『インペロすら、その完成の陽動にすぎないのでは?』という一つの予測。ハカイダーを生み出した男の最後の遺産『ジャイアントデビル』とは?――

 

「しかし、また一つ、謎が生まれたぞ、ゴルシ」

 

「ジャイアントデビルだろ?謎って言えるか?キカイダーの時代に初号機ができてたそうだし」

 

と、言いつつ、ゴルシは高速戦隊ターボレンジャーから拝借した『GTソード』で見事な剣捌きを見せる。

 

「高速戦隊ターボレンジャーからの借り物だけど、喰らえ!!」

 

『GTクラァッシュ!!』

 

デルザー軍団の岩石男爵をGTクラッシュで切り裂く。借りている体の元の持ち主は愚か、そもそも、プリキュアと関係がない技なあたり、ゴルシの立ち位置がわかる。

 

「お前、剣を扱えたのか」

 

「オヤジ(ステイゴールド)の仕込みだよ」

 

「ステイのやつか……あいつも昔はヤンチャで通ってたからな」

 

「むしろ、スーパー戦隊の武器を解析して、それを増産できるほうがすげえよ」

 

「あなた、その姿での元の武器は使えるの?」

 

「使えるけど、奴らに浄化は意味ないからな。ガチの武器を使ったほうが効率がいい。むしろ斬艦刀でも借りてくりゃ、良かったかな」

 

「ざ、斬艦刀…」

 

キュアルージュBは唖然とするが、デルザー軍団相手に優勢に立ち回れるあたり、ゴルシもブライアンも、反射神経は素でプリキュアよりも鋭敏であるのがわかる。

 

「こっちのあんたはファイヤーストライクが効かない敵がいるとかで、獣神サンダーライガーの技を覚えたそうだぜ?プロレスラーじゃないほうだぜ?」

 

「プロレスラーじゃない獣神サンダーライガーを覚えてるの、日本に何人いるのよ……」

 

と、キュアルージュBはツッコむが、別の自分が『固有技が効かない』事態に悩んだ結果、別の技を一から覚えた事を伝えられると、複雑そうな表情であった。

 

「でもよ、あんたの技、割に効かないこと多いだろ」

 

「それは否定しないわ。心当たりあるし。でも、そっちの私たち、技が効かないこと多いの?」

 

「中ボス以上には効かないそうだ。それだから、いろんな戦闘法を模索したんだろう」

 

64Fは強敵にあたるため、気合でプリキュアの必殺技をかき消せる敵との遭遇率が異常であった。その対策が『他のヒーローの技を覚えろ』というアバウトなものであったが、64Fの隊員となったプリキュアは時代を動かせるほどの才覚の持ち主で固められていた都合もあり、あっさりとそれをなし得たのである。

 

「あ、あたしらは武道の心得がないわけじゃないし、元からプロのアスリートだしな」

 

ウマ娘達は千差万別だが、現役中に神事に携わる機会があったり、それ以前から武道を習っているケースがある。ブライアンは幼少期~デビュー前に流鏑馬の経験があった。ゴルシについては『ステイゴールドに教わった』と自己申告である。とはいえ、ゴルシも一級のアスリートであるのは事実だった。

 

「これだけ始末できりゃ、上出来だな」

 

「幹部三名と戦闘員の数十人を倒せたからな、それも、改造魔人とくりゃ」

 

デルザー軍団相手に、初見で互角以上の戦闘を展開できるブライアンとゴルシ。本業で一流とされる実力を持ち、尚且つ(本来はご法度だが)戦闘でも優秀であるのは反則級である。

 

「これだけやりゃ上出来だが、あんたの顔を立てとく必要がある。ブライアン、一発かませ」

 

「チッ、面倒な事を。エンペラァァァ・ソォーーード!!」

 

鋼鉄ジーグのビルドアップのようなアクションをした後、天空に右腕を掲げる。すると、ブライアン(姿はエターニティドリーム)の眼前に雷が奔り、一つの大剣が地面に突き刺さった状態で出現する。

 

『雷鳴を斬り裂く!!』

 

それを有名なポーズで構える。姿は自分そのものだが、戦闘に特化した能力に進化し、未来永劫、地球人類そのものを守護せねばならなくなった世界線を垣間見たのぞみBの表情は複雑である。だが、『プリキュアが必要とされる時に、完全に自己意志で力を行使できる』というのは、『有事に自らの意思で対応できる』事でもある。二人ののぞみはそれを自己の意思で選んだ。世界を守るには、何かを犠牲にせねばならないという事だろうか?のぞみBはこれ以後、戦うことで自分の存在意義を満たす事に喜びを感じる側面、戦いから解放されたいという気持ちの相克に悩む事になる。気質がAより穏やかである故であった。だが、有事は『忘れた頃に来る』事を思い知った事で『人々の希望であり続けるのは悪いことではない』という思考にたどり着く。結果的にその思いと交流での『世界の理の破壊』が『キュアドリームの力』が彼女の手元に残り続ける理由となり、中学卒業~高校までにプリキュアを引退せざるを得なかった『オトナ世界』と違い、B世界でののぞみは『現役プリキュア』であり続けることになる。

 

「ねぇ、ゴルシちゃん。私たちは……戦いから逃れられないの?」

 

「それはある意味、不幸と言える。だけどよ、こういう見方もあるぜ。『人に隠れて悪を斬る』って人生が楽しめるってな」

 

「人に隠れて悪を斬る…?」

 

「そうだ。元は1994年に地球を守った、『忍者戦隊カクレンジャー』の決めセリフだけどな。いいんじゃないか?大事な誰かを守るために、プリキュアになったんだろ、お前は」

 

ゴルシの後押しは『戦士であり続けたい』事で『ココを裏切るのでは?』と後ろめたい気持ちがあったらしいのぞみBに一種の安堵をもたらし、(有事を警戒する必要があった事から)B世界のプリキュア5は自然消滅を迎えない道筋を辿っていくことになる…。

 

 

 

 

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