――魔女の世界は結局、『一部の人々』(戦前日本に否定的な考えを持つ様々な立場の人々を指す)が『史実通り』(つまり非軍事化)の歴史へ矯正を何度も試みたという『現代の価値観で過去を裁き、自分達の理屈でその当時の風俗や風潮を断罪・否定する』も同然の行為を複数の人々が平然と行った結果、現地の各種『秩序』が大混乱を来したという有様であった。日本連邦は軍が中心であったものの、皇室という共通事項が存在した事、『内政干渉』がのぞみの一件以降はクローズアップされたため、その傷が致命的になることはなかった。怪異がいたため、現地から軍事力を過度に奪う事は国家と民族の『致命傷になる』事が遅まきながら認識されたからである。日本連邦は結局、『魔女の世界』の他国の経済・軍事的な衰退で、相対的な意味での超大国にならざるを得なかったため、軍人・軍属の戦時前提での人雇用の維持(雇用人数の維持)を選らざるを得なかったが、その代わりに、軍事技術の民間へのスピンオフを強く推進させたため、それが遅れていた他国が唖然とする勢いで、民需関連技術が長足の進歩を遂げる。たった数年で、史実の『1960年代の生活水準』に統治下の各地域の都会が達し始めた。また、『文化の奨励』も強力に進めたため、日本からの輸入漫画を買った少年や青年が『日本の大御所漫画家の若き日の姿』であったという因果を思わせる出来事もあった。扶桑は次第に、文化面でも世界的影響力を保持するようになっていくが、1940年代末はその端緒についた時期であった。軍事的には、航空開発の花形が欧州から自由リベリオンに完全に移行した時代にあたる。日本連邦が自由リベリオンが開発元の機体を次々と採用したためである。ブリタニアは戦後第一世代レベルの史実機の自国向けの手直しにも四苦八苦していたし、カールスラントに至っては、内乱で開発どころでは無くなった。その間に、レシプロ機の旧式化に伴う後継のジェット戦闘機を模索していた日本連邦は(日本の『日米同盟』の兼ね合いもあったが)ダイ・アナザー・デイ期に取得していた米軍機を次々と生産。自由リベリオンはそのライセンス権のパテントで潤う事になる。自由リベリオンにとっては『タダで実戦テストをしてもらえる』ため、軍用機の生産は美味しい外貨獲得の手段であった。ダイ・アナザー・デイの消耗はちょうどいい『更新の機会』であったため、一般部隊用の機体が大量に生産された。戦後第一、第二世代は冷戦後の時代のような『万能機』が存在しないので、日本の財務関係者の目論んだ『機種整理・統合』の目論見はまたも、現場の都合で潰える事になった――
――扶桑の空母で最新最強であった『大鳳型』であったが、日本にとっては『不運』の代名詞であった事、内部容積の狭さから、ダイ・アナザー・デイの検討段階で『早期退役』が検討されたが、信濃が戦艦である事の判明により、結局は妥協的に改装が行われた。アイデンティティであった『装甲空母』というカテゴリが一過性のもので終わった事、船体サイズの都合(史実より多少は大きい)もあり、翔鶴型に統合され、量産も潰えた。肝心要の空母機動部隊旗艦の地位もM動乱でのみの措置とされ、動乱後は瑞鶴に験担ぎで戻され、その次は『ミッドウェイ』になるなど、場繋ぎ感の強いものとなった。日本型正規空母の最終型としては、実に物寂しい顛末になったわけである。しかし、日本型空母では『ジェット戦闘機の搭載に適さない』という難点があったため、結局は徒花となる運命であった。とはいえ、ミッドウェイの修繕と大改装、新規空母の設計は時間のかかることであるので、なんだかんだで現役に留まり、翔鶴型三番艦と扱われる形でだが、空母機動部隊に籍を置き続けた。結局、空母の大型化が進展し、以前のような量産が困難となる事で、水上戦闘艦艇の近代化と大型化、空母の補助としての強襲揚陸艦の建造が促進され、以前のような航空消耗戦はこれらが担うことになる。また、扶桑は元々、あきつ丸を有していたため、その方向性の正しさを確信。ダイ・アナザー・デイ後は以前が嘘のように、強襲揚陸艦の建造に熱を上げる。とはいえ、元々、雲龍型航空母艦で想定されていた『航空消耗戦』を代わりに遂行できる船を欲しがっていた海軍の意向もあり、空母の代替物的な運用が多くなされ、魔女の運用の旧型空母からの移管もなされていったという――
――日本連邦は合議制とはいえ、扶桑の国家体制への懐疑論などが原因で、日本側が失態を起こすことが常態化していた。扶桑は彼らの失態を『軍の近代化と国土強靭化』の方便に用いた。その一方で、戦艦が現役兵器の座にあるのを日本の大衆に嘲笑されていたが、戦艦は『防御力もあるし、他の船舶との衝突事故が起こっても、大きな損害を負わないので、醜態を晒さないで済む』という平時におけるメリットが発見された事、『戦後型の艦艇にはない強靭な船体構造と装甲、直接打撃力を持つメリット』から、当時に最新最強の艦型であった大和型のみを艦隊に残す案を数回ほど提出した。結果的にそれはすべて否決された。扶桑は(他国の実戦的な戦艦部隊の多くがダイ・アナザー・デイ後に解体に向かったため)戦艦を12隻以上は維持せねばならなかったからだ。とはいえ、大正時代後期の基礎設計である八八艦隊型戦艦を第一線で維持するメリットは完全に消えたため、ダイ・アナザー・デイを境に、第一線の戦艦は大和型以降の重戦艦で占められる事となった。(この重戦艦一辺倒への反発が超甲巡の『ほどほどな火力』を生み出したが、結局は時局の都合で火力の強化を余儀なくされた)長門は日本に買い取られ、博物館船になったわけだが、扶桑国民は猛反対していた。だが、長門はビキニの核実験で失われたはずであったので、是非でも記念艦にしたかったのである。長門はM動乱で『旧式艦』の烙印を押された状態で退役をする事になったので、『手柄を立てさせてからにすべきだ』という意見が強かったのだ。だが、長門は既に就役から20年を超える軍艦であり、本来の開発目的で活躍する余地は残されていなかった。その事から、せめてもの餞に、盛大な退役記念セレモニーが行われたのだった――
――大和型は近代化改修で艦容を変えつつ、M動乱以降の扶桑海軍の主力艦艇であった。元々、船体がブロック構造であった幸運で近代化の受け入れ余地があったことから、作り替えに近い改造を受け、『大まかなシルエットしか残っていない』と揶揄されるに至った。船体延長と幅の拡大措置を受けた時点で『史実とはかけ離れた』姿になっているが、主砲も長砲身化が数度に渡って行われた。史実がそうであるように、51cm砲ヘの換装も武蔵で実験されたが、51cm砲の砲台としての安定性を欠くという結果になり、当初より50cm台の艦砲に対応する次世代艦が設計された。それが播磨型、それに続く水戸型であった。だが、大和型の主砲もさらなる改良のため、改修無しで載せられる限界の大きさである『48cm砲』への将来的な換装が議論された。これは元々、大和型の仕様策定の過程で『発展性の担保』という項目があり、史実と違い、主砲のターレットなどに、そのくらいまでは素で受け入れられる余裕が確保されていたためで、50口径48cm砲がその対象になり、信濃から換装が始まり、同時にさらなる近代化改修も行われ(対空兵装のレーザー化など)、大和の系譜が世界最強であるという日本連邦の執念が怪物を生み出したと言ってよかった。この改修の連続により、連合国軍は戦艦の実践的な整備に段々と興味を失ってゆくことになるが、象徴兼対地砲台としては保有し続けることになる。日本連邦はそんな事情で『世界唯一の実践的な戦艦部隊を維持する国家連邦』となり始めるのである。戦後式の『やられる前にやる』というソフトキルの思想が魔女の世界では不可能である故に、大口径の砲熕武装が居場所を与えられ続けるというのは、なんとも皮肉な話であった――
――潜水艦は輸送名目でカールスラントが研究を続けていたが、日本連邦の戦後型潜水艦と超大型輸送機の登場で、その目的ですら旧態化。それが潜水艦を本来の目的に立ち返らせる事となったが、既に酸素魚雷や追尾魚雷に至った日本連邦が突出した感があり、魚雷技術が停滞していたカールスラントが容易に追従できるレベルではなかった。XXⅠ型潜水艦の整備にカール・デーニッツが傾倒したのは、この差を埋めようとした結果だが、実質の地政学的な変化(南リベリオンに疎開している)による水上艦艇の整備が重要になっていたのにかかわらず、潜水艦偏重な軍備警備を続けたがために失脚する事になった。とはいえ、一応は理に適っている。『往時の大洋艦隊の復活は夢物語である』からだ。だが、一定規模の水上艦隊は必要であった。カールスラント海軍はその点の理解に乏しい者が権力の座にあったがために、1918年以来の再建努力が完全に水泡に帰す事になった。このショックでカールスラント海軍全体が無気力化してしまったため、日本連邦は否応なしに『魔女の世界の海洋安全保障』の多くを背負わされる事になり、結果として、扶桑皇国が大規模な軍隊を維持する上での大義名分として機能するのである――
――連合国の中心であったブリタニア連邦は財政的・人心的な疲弊が極限に達しつつあり、戦争に関われる体力を失っていたからである。ウィンストン・チャーチルは(他に代わりうる人物がいないので、首相の座を維持)はダイ・アナザー・デイで『グローリアスウィッチーズ』が醜態を晒した事に激昂していたが、1945年当時の時点で、同隊の結成時の人員の多くは退役済みで、実際の練度は結成時の70%以下に落ち込んでいた上、実戦経験が皆無な者が多かった。その事実により、64Fから『物見遊山』と評された。多少の経験はあれど、ダイ・アナザー・デイは『人同士の争い』である事により、魔女達の多くは有効な戦力足り得なかった。陸戦魔女が花形になる一方で、空戦魔女は『ホバリングのできる歩兵』の域を出ない平均火力であった故に、20ミリ砲に耐える防御力を持つリベリオンの新鋭機の前に敗退する事が常態化していたからである。特に、対人戦に尻込みする魔女は空戦分野の魔女に多く、最終的に64F以外に『有効に機能する部隊』が陸上配置の飛行隊から無くなる有様であった。グローリアスウィッチーズは状況の打開のために出征させたのだが、事態を余計に悪化させるだけであった。64Fのダイ・アナザー・デイでの戦功はこの事態により突出する事になり、魔女閥からの憎悪を煽ることになった。だが、魔女閥そのものがオラーシャの分裂に伴う混乱、扶桑でのクーデター失敗とカールスラントの内乱に対するNATO軍の介入が決定打になり、派閥として解体に向かったため、64Fはむしろ羨望を受ける立場になった。魔女の部隊の多くが特権を廃され、ダイ・アナザー・デイでの醜態をなじられる立場になり、多くが色々な兼ね合いで解体されていく中、各種の特権を司令部より保証されていたからだ。たとえ、最前線で戦うのが宿命だとしても――
――日本連邦が超大国として君臨する時代の到来の象徴が64Fの存在であった。その中でも、歴代のプリキュア達は日本連邦の異能への寛容性の象徴として扱われたが、実際は部内で相当に懐疑論が強かった。だが、南斗聖拳や泰山・華山系の拳法が世に知られ、漫画通りの威力が示され、プリキュア達すらも真っ向からの勝負では不利である事が示された事で風向きが変わった。特に、のぞみは彼らに拷問をされつつも耐え抜いたという泊がついた事もあり、エース格と見做された。だが、不運な事に、扶桑でダイ・アナザー・デイの戦功第一と讃えられながらも、その直後に出した予備役編入願い、教職への転職(扶桑国内で)を日本の官僚の独善で潰されてしまう事態に遭遇する。彼女でだめなら…と、扶桑の予備士官制度が混乱を来たしたため、扶桑は高官達を矢継ぎ早に送り込み、日本側に猛抗議。だが、一官僚の独断による処理であった事が判明すると、日本政府は(扶桑が日本を占領するのを恐れて)、のぞみに示談をもちかけたが、上官の一人である圭子が先手を打ち、週刊誌にタレコミを行った事でもみ消しは不可能となり、政権のスキャンダルにまで発展した。『夢原のぞみはプリキュア5のリーダー格である』(本人は『リーダー』格である事を否定しているが、誰の目にも明らかであった)という事実の判明もあり、日本政府は大慌てで事態の沈静化を図り、予備役編入と教職への転職を『なかったこと』と扱う代わりに、大佐までの早期昇進の確約と金鵄勲章の等級引き上げ、給与と危険手当の倍額化などを提案した。のぞみはそれに加え、教官資格の授与と日本連邦大学への入学の確約を要求。日本政府は(自分たちに非があるため)これを承諾した(折りしも、太平洋戦線の開戦が確実なものとなっていた事、予備役からの再召集の手続きが煩雑化していたため、のぞみには現役将校でいてもらったほうが、人事課的には良かったのである)。野党からは贔屓しているという批判もあったが、優秀な魔女であり、尚且つ『プリキュア戦士の古豪でもあり、キュアブラックに次ぐ、オールスターズのサブリーダーの地位にあった』いう『現役時代の箔』もあり、日本政府も最終的に容認した。だが、扶桑では無名の魔女であった事が災いし、戦士としての実力を見せなくてはならない機会が多かった。これは現地雇用であった『他のプリキュア戦士』であっても同様であった――
――黒江と智子がドリームとピーチに成り代わった『大決戦』は、プリキュアオールスターズの出来事が『各チームは現役時代のどこかから召喚される』事が確かめられた戦いであった。同時に、プリキュア達が『自分たち以外にも、地球を守る存在がいる』事を認知するきっかけともなった。大決戦の記憶を持つ者がその後のオールスターズ戦を戦う事もあり、キュアブルームとキュアイーグレットはその筆頭格であった。ヒーローユニオンの参戦は、プリキュア達に明確な『地球を邪悪の魔の手から守る』という目的を叩きつける形となったわけだが、昭和ライダーの『生身の肉体とまともな老いを失っても、それを悲観せずに邪悪と戦う力として受け入れる』生き様を垣間見せる機会でもあった(故に、死地に自分たちから赴く)。その背中は結果的に、キュアアクアとキュアミントの意識を大きく変え、その後の参戦に繋がった。(そのため、本人達は本来の夢を、本来と違った形で実現させる事になる)二人の心境の変化には、大決戦での超獣戦隊ライブマンのリーダー戦士『レッドファルコン\天宮勇介』の『自分達が戦っていた相手が倒れ、後続の戦士にバトンタッチしても、自分達が戦いに必要とされなくなるわけじゃない。万一に備えるというのも、一つの選択だ』という言葉が大きく関係しており、彼らが昭和の頃から戦い続けている(ひいては、定期的に巨悪が地球を狙い続けている)理由を示唆された事で、自分達の判断だけで、巨悪に対抗できる力を捨てる選択を取っていいのかという葛藤が生まれた。実際にその後も『地球全体を脅かす巨悪』がプリキュア達の前に現れ続けたため、かれんとこまちは『別の世界のこと』が気がかりになっていた。そこで、キュアフェリーチェ\花海ことはと知己を得たのを期に、彼女を介する形で『魔女の世界に転生したのぞみ』の情報を得、ことはを保護しているのび太とやりとりを交わすようになっていった。彼女らがデザリアム戦役以降の戦いに参戦した理由はそんな理由であった。だが、それは同時に『自分の故郷』をどうするのかという問題も浮き彫りにし、のぞみBの反発を呼んだ。彼女は『別の世界にも、みんながいるはず』と考えていたからだが、実際にはそうではなかった。その後、『プリキュア5の世界』には定期的に戦力を派遣する事になる他、仮面ライダーBLACKとBLACKRXが交代で(互いに異なる世界の南光太郎)守る事となった。だが、彼らが交代で守る事に驚愕した『組織』が大攻勢を計画し、実行されたわけであった――
――次いで、観測された『オトナプリキュアの世界』は仮面ライダーディケイドとキュアピーチの観測結果次第だが、現役引退をした(せざるを得なかった)後のプリキュア達が普通の生活を送る世界であるという。そのため、『戦士であり続ける道を選んだ』のぞみAらのことは『聞かれない限りは教えない』ことが決められている。のぞみAも教職への転職は内定に至っていたが、国家組織の意向として、『軍学校出身者の教職への転職は規制された』ので、軍人で居続けるしか選択肢がなかった。予備士官制度そのものがガタガタになってしまったからだ。日本は『日本国家として、扶桑軍の士官\将校の教職への転職、予備役制度を妨害・規制する意図はなかった。せめて……転職するにしても、予備役編入からは数年くらいは間を置いてくれ!!』と本音をぶちまけたが、激しい非難に耐えかね、扶桑軍に深く謝罪する羽目になった。のぞみは(被害者であるが)国の意向として、軍に留める代わりに、『望むものを叶える』という事で決着した。日本社会特有の『長いものには巻かれろ』『そうしたほうが悪い』という論調は他国には(同位国にも)通じないという事実の証明であった。その事を言った場合、どうなるか。プリキュア達自身にも未知数であった。更に言えば……――
――『オトナプリキュアの世界』の夜――
「これ見せたら、どういう反応になるか……」
「流石のお前も、それはわからんか」
「当たり前だって。黒いシャインスパークなんて、ショックが……。しかも、ダークプリキュアみたいに、コスチュームが黒くなるんだよ、反動で」
黒いシャインスパーク。その名を『ズワルト・シャインスパーク』という。ゲッター線本来の輝きとは異種の輝き(反ゲッター線と混じりあったかは定かではない)を発し、反動でコスチュームが漆黒に染まる。デザリアム戦役でのぞみAがZEROと一体化した直後に放ったのが最初であったが、それ以降はゲッター線の効用とZEROの気質が人格レベルで影響を及ぼしたか、現役時代より好戦的になり、口調も荒くなっている。
「おまけに、必要に応じてだけど、一人称で『俺』も使うようになったし」
「それは奴の転生先の環境もあるだろう?」
「かもねぇ」
キュアピーチが手に持つは、その時の一瞬を事後にドラえもんがタイムテレビで撮影した写真。ゲッターシャインを発動させた一瞬の内に、コスチュームが漆黒に染まるのがわかる。
「インパクト絶大だな、それは」
「そうだよ、自己意思だけで変身できる上に、これだもん」
「お前が転生前に目覚めていた『アギトの力』も中々だぞ?」
「あれはあんたが説明できるっしょ?」
「まぁ、前に津上翔一(本名は沢木哲也だが、その名で生きたらしい)や、その世界の日本警察から聞いたからな。お前、何故そうなったか、わかるか?」
「前世で心当たりがある出来事があるけど、はっきりとは覚えてないんだよね。今は武器を出せるし、アギトの各フォームの特性を上乗せできるけど」
「充分に反則だぞ、それは」
門矢士とキュアピーチは互いにあんぱんを食べながら、『オトナプリキュアの世界』でのプリキュア5とスプラッシュスターの元メンバーを遠くから観測している。遭遇した場合の説明用に現像した写真は三枚。一つはのぞみAが戦士として生きる事を選択肢した事の証である『エターニティドリーム』形態の写真、二枚目は『ズワルト・シャインスパーク』を発動させた時のゲッターシャインを捉えたもの、三枚目は覚醒後の『自己意思だけでのプリキュアへの変身』の瞬間。(プロセスは現役時代とまったく異なり、乙HIMEの『マテリアライズ』(乙HIMEにとっての『変身』のようなもの。21世紀頃に存在した『HIME』の高次物質化能力を後世で科学的に解析し、ナノマテリアルなどの高度な科学でその一端を再現したもの)にプロセスが酷似している。もっとも、後輩らは『強い自己意思』だけで変身を成した事があるので、それをZEROの力で起こしているとも取れるが。
「でしょ?それに、これはどう説明しよう」
「うーむ……。」
さすがの士も押し黙る。アイテムを介さないで変身する上、現役時代はミラクルライト無しにはなし得なかったはずのシャイニングドリームへの直接変身は自分にも、口での説明は無理だからだろう。
「戦士として生きる事自体は否定はせんだろうが……今の商売がな」
「それはあたしもだし。とはいえ……バリバリのエリート軍人だしねぇ。しかも、のぞみちゃんはちゃんと軍学校(扶桑陸軍の航空士官学校、後に空軍の士官学校に転ずる)を転生した先での名義とはいえ、出てるし」
戦後日本では何かと否定されがちに見られる『軍人』という職業。戦後日本での『自衛官』と言ってもいいのだが、撮影時点では、扶桑空軍の制服は制定されていなかったので、それ以前の所属組織である扶桑陸軍の軍服を着用している。一見すると、史実の太平洋戦争当時の日本陸軍の軍装である(航空胸章と魔女胸章付きだが)なので、戦後世代(彼女らの祖父母でも、戦争経験者ではないと思われる)の認識として、旧陸軍への嫌悪感は多かれ少なかれある(子供の頃の学校教育で多かれ少なかれ、自然とそうなる)と思われるので、その説明が物凄くややこしくなること請け合いだ。
「おまけに、写真撮った時の服装だ。どう見ても、だ。旧軍の軍服だぞ、旧軍の。それも陸軍だぞ、陸軍」
「だよねぇ。人によっちゃ……」
「それこそ、説明がややこしくなる原因だぞ。軍服にしても、海軍のほうがまだ良かったぞ……」
「言えてる。薄汚れたカーキー色の軍服なんて、映画やドラマじゃ、大抵は軍国主義の権化みたいな外道の悪役だし……。これが海軍の第二種軍装(純白の軍服)ならなぁ……」
それが二人の頭痛の種だった。軍人、ないしは自衛官への職業差別的な意識がある(戦後の『陸軍悪玉論』のせいだが)が消えつつあるものの、年輩者の中には根強く残るのが、戦後の日本なのだ。こうして、『オトナプリキュアの世界』の夜は更けていくわけだが、その世界でのプリキュア経験者達が露知らぬところで、キュアピーチは門矢士(仮面ライダーディケイド)と共に、エンカウントした場合の説明の仕方を考えるのだが、良い方策が浮かばず、頭を抱えるのだった。